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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F16B
管理番号 1374860
異議申立番号 異議2020-700230  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-01 
確定日 2021-03-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6582346号発明「上板付き什器における支持体と上板との連結構造及び上板付き什器システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6582346号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6582346号の請求項2及び3に係る特許を維持する。 特許第6582346号の請求項1に係る特許異議申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6582346号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成27年11月9日の出願であって、令和1年9月13日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日 令和1年10月2日)がされ、令和2年4月1日に特許異議申立人中村誠(以下、「異議申立人」という。)により全請求項(請求項1?3)に対して特許異議の申立てがされたものである。
そして、その後の経緯は次のとおりである。
令和 2年 8月21日付け 取消理由通知
同年10月29日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)

第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨、訂正の内容
(1)請求の趣旨
令和2年10月29日に特許権者により行われた、願書に添付した特許請求の範囲の訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許第6582346号の特許請求の範囲を本件訂正の訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを求める、というものである。

(2)訂正の内容
本件訂正の内容は以下ア?ウのとおりである。(下線は特許権者が付したものである。)
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の
「前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されていることを特徴とする請求項1に記載の上板付き什器における支持体と上板との連結構造。」
との記載を
「床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備え、
前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されていることを特徴とする上板付き什器における支持体と上板との連結構造。」
に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3の
「床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持される複数種類の上板と、複数種類の前記上板のそれぞれと対応した形状を備え、前記支持体と前記上板とを連結する複数種類の連結部材とを有し、前記支持体と前記上板とが、請求項1または2に記載の上板付き什器における支持体と上板との連結構造によって連結されていることを特徴とする上板付き什器システム。 」
との記載を
「床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持される複数種類の上板と、複数種類の前記上板のそれぞれと対応した形状を備え、前記支持体と前記上板とを連結する複数種類の連結部材とを有し、
前記支持体と前記上板とが、
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備える、
上板付き什器における支持体と上板との連結構造によって連結されていることを特徴とする上板付き什器システム。 」
に訂正する。

2 一群の請求項について
訂正前の請求項2及び3は、訂正前の請求項1を引用するものであって、訂正後の請求項2及び3は、訂正事項1によって削除される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正後の請求項1?3に対応する訂正事項1?3は、一群の請求項1?3に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

3 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否等について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

新規事項の追加の有無について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を削除するものであるから、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件について
訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に関する要件は課されない。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
新規事項の追加の有無について
訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件について
訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に関する要件は課されない。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項3は、訂正前の請求項3が訂正前の請求項1又は2を引用する記載であったものを、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるとともに、同項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。

新規事項の追加の有無について
訂正事項3は、請求項2を引用しないものとした他に、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3は、請求項2を引用しないものとした他に、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件について
訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項3に係る訂正事項3に関して特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に関する要件は課されない。

4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項〔1?3〕のとおり、訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正の訂正後の特許請求の範囲の請求項1?3についての訂正は認められるから、本件特許の請求項2及3に係る発明(以下「本件発明2」及び「本件発明3」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2及び3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項2】
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、 前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備え、
前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されていることを特徴とする上板付き什器における支持体と上板との連結構造。
【請求項3】
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、 前記支持体によって下面を支持される複数種類の上板と、複数種類の前記上板のそれぞれと対応した形状を備え、前記支持体と前記上板とを連結する複数種類の連結部材とを有し、
前記支持体と前記上板とが、
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備える、
上板付き什器における支持体と上板との連結構造によって連結されていることを特徴とする上板付き什器システム。」

第4 当審の判断
1 取消理由の概要
本件特許に対して、令和2年8月21日付けで通知した取消理由の概要は次のとおりである。
(1)取消理由1(新規性)
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1又は2に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

引用文献1:特開2013-94265号公報(異議申立人の甲第1号証。)
引用文献2:特開2005-160836号公報(異議申立人の甲第4号証。)

2 訂正後の取消理由について
本件訂正により請求項1は削除されたため、上記取消理由1及び2の対象が存在しないものとなった。

3 取消理由で採用しなかった異議申立人の主張について
(1)異議申立人の提示した証拠
甲第1号証:特開2013-94265号公報(上記引用文献1)
甲第2号証:特開2004-324671号公報
甲第3号証:Haworth,inc.Webページ「Intuity Benching North」 America Specificaion Guide/Price List-June 2015」2015年6月、URL:https://web.archive.org/web/20150905201658/http://haworth.com/docs/default-source/documents-and-files-intuity/intuity-benching_na-price-list.pdf?sfvrsn=4
甲第4号証:特開2005-160836号公報(上記引用文献2)
(【図1】?【図4】からは、上部から側方に延出する構成を有しない脚(1)の上端に支持ブラケット(8)を取り付け、その上に天板(5)を取り付けた構成が見て取れる。)
甲第15号証:特開2007-175089号公報
(【図3】からは、上部5から側方に延出する構成を有しない支脚4の上端に天板受具10を取り付け、その上に天板2の下面3を取り付けた構成が見て取れる。)
甲第16号証:特開2009-30810号公報
(【図3】?【図10】からは、上部から側方に延出する構成を有しない脚支柱3の上端に連結体4を取り付け、その上に机天板2を取り付けた構成が見て取れる。)
甲第17号証:特開2010-164100号公報
(【図1】?【図7】からは、上部から側方に延出する構成を有しない脚筒体Tの上端に天板支持ブラケットBの脚取付部Aを取り付けた構成が見て取れる。)
甲第18号証:米国特許出願公開第2013/0319296号明細書
(FIG.3Bからは、longitudinal frame member 100の端部をsecond transverse frame member 300の中間位置に垂直に取り付けるconnector 10の上にworksurface 400を取り付けた構成が見て取れる。)

(2)甲第1号証を主引例とする主張について
異議申立人が、特許異議申立書において、甲第1号証を主引例として提示し、主張していることからすると、その段落【0018】?【0020】、【0040】?【0044】、【図1】?【図3】、【図10】、【図11】の記載等から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「床面上に床面に並行する方向に互いに離間して立設された左右の脚2と、脚2によって下面を支持された天板1と、を有する机における脚2と天板1との連結構造であって、
脚2と天板1とを連結するスペーサ5を有し、
脚2は、床面から上方に向かって立設された脚支柱3,3´と、脚支柱3,3´の上部から側方に延出して設けられ、スペーサ5が(上フレーム4を介して)連結される上面を備えるジョイント金具41の水平部41aと、を有し、
スペーサ5は、正面視逆L字形になっており、上フレーム4を介して脚2のジョイント金具41の水平部41aの上面に固定された、逆L形の水平方向に延出した部分の下面側の部分を有する逆L形の内角側の部分と、天板1の下面に固定された逆L形の水平方向に延出した部分の上面側の部分と、を有し、
スペーサ5の逆L形の内角側の部分は、ジョイント金具41の水平部41aの側面に上フレームを介して固定される逆L形の垂直方向に延出した部分を有する、机における脚2と天板1との連結構造。」

そこで、本件発明2と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「脚2」は、本件発明2の「支持体」に相当し、以下同様に、
「天板1」は「上板」に、
「机」は「上板付き什器」に、
「スペーサ5」は「連結部材」に、
「脚支柱3,3´」は「支柱部」に、
「ジョイント金具41の水平部41a」は「受け部」に、
「逆L形の水平方向に延出した部分の下面側の部分」は「第一連結部」に、
「逆L形の内角側の部分」は「支持体連結部」に、
「逆L形の水平方向に延出した部分の上面側の部分」は「上板連結部」に、
「逆L形の垂直方向に延出した部分」は「第二連結部」に、それぞれ相当する。

そして、甲1発明の「上フレーム4を介して脚2のジョイント金具41の水平部41aの上面に固定された、逆L形の水平方向に延出した部分の下面側の部分」の構成と、
本件発明2の「前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部」の構成とは、
「前記支持体の前記受け部の前記上面側に配置されて連結された第一連結部」という限りにおいて共通する。

また、甲1発明の「スペーサ5の逆L形の内角側の部分は、ジョイント金具41の水平部41aの側面に上フレーム4を介して固定される逆L形の垂直方向に延出した部分」の構成と、
本件発明2の「前記支持体連結部は前記受け部の側方を向く面に当接して連結された第二連結部」の構成とは、
「前記支持体連結部は前記受け部の側方を向く面に連結された第二連結部」という限りにおいて共通する。

したがって、本件発明2と甲1発明とは、
「床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面側に配置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方を向く面に連結された第二連結部を備える上板付き什器における支持体と上板との連結構造。」
である点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。

[相違点1]
本件発明2は「前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部」の構成と、「前記支持体連結部は前記受け部の側方を向く面に当接して連結された第二連結部」の構成を有する。
これに対し、甲1発明は、「上フレーム4を介して脚2のジョイント金具41の水平部41aの上面に固定された、逆L形の水平方向に延出した部分の下面側の部分」の構成と、「スペーサ5の逆L形の内角側の部分は、ジョイント金具41の水平部41aの側面に上フレーム4を介して固定される逆L形の垂直方向に延出した部分」の構成を有しており、間に「上フレーム4」が介されるため、「ジョイント金具41の水平部41aの上面」に「逆L形の水平方向に延出した部分の下面側の部分」が載置されない構成であり、また、「ジョイント金具41の水平部41aの側面」と「逆L形の垂直方向に延出した部分」は相互に当接しない構成である点。

[相違点2]
本件発明2は「前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されている」構成を有するのに対し、甲1発明はこのような構成を有しない点。

次に相違点1について検討する。

引用文献1には、「上フレーム4」を省略することが記載ないし示唆されていない。
また、「上フレーム4」を省略することが当業者にとって自明であったことや、周知の技術手段であったことを示す証拠はない。
そして、相違点1に係る本件発明2の構成により、「第一連結部の他に、第二連結部によって側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結されていることで、曲げ強度を高めてより強固な連結構造とすることができる。」(明細書の段落【0011】参照。)という作用効果を本件発明2は奏すると認められる。

そうであれば、相違点2について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明と同一の発明でなく、また、甲1発明及び従来周知の技術手段から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められないから、本件発明2についての特許は、特許法第29条第1項第3号に該当する発明でなく、同条第2項の規定に違反しない。

また、本件発明3も、上記相違点1に係る本件発明2の構成と同様の構成を備えるので、本件発明2と同様の理由により、本件発明3は、甲1発明及び従来周知の技術手段から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められないから、本件発明3についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

したがって、甲第1号証を主引例とする異議申立人の特許法第29条第1項第3号及び同条第2項に関する主張は採用できない。

(3)甲第2号証を主引例とする主張について
異議申立人が、甲第2号証を主引例として提示し、主張していることからすると、その段落【0020】、【0022】、【0030】?【0035】、【0037】、【0042】、【図1】?【図5】、【図7】、【図8】の記載等から、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲2発明]
「床面上に床面に平行する方向に互いに離間して立設された複数の脚フレーム2及び袖3と、複数の脚フレーム2及び袖3によって下面を支持された天板1と、を有する天板1付きデスクTにおける脚フレーム2と天板1との連結構造であって、
複数の脚フレーム2及び袖3と天板1とを連結する横架材4を有し、
脚フレーム2は、床面から上方に向かって立設された脚支柱21と、脚支柱21の上部から側方に延出して設けられ、横架材4が連結される上面部231aを備えるコーナー部材23と、を有し、
横架材4は、脚フレーム2のコーナー部材23の上面部231aに載置されて押圧係合された下側端部を備える横架材連結部と、天板1の下面に連結された天板連結部と、を有する天板1付きデスクTにおける脚フレーム2と天板1との連結構造。」

そこで、本件発明2と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「脚フレーム2」は、本件発明2の「支持体」に相当し、以下同様に、
「天板1」は「上板」に、
「天板1付きデスクT」は「上板付き什器」に、
「横架材4」は「連結部材」に、
「脚支柱21」は「支柱部」に、
「コーナー部材23」は「受け部」に、
「上面部231aに載置されて押圧係合された下側端部」は「第一連結部」に、
「横架材連結部」は「支持体連結部」に、
「天板連結部」は「上板連結部」に、それぞれ相当する。

したがって、本件発明2と甲2発明とは、
「床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造。」 である点で一致し、以下の相違点3及び4で相違する。

[相違点3]
本件発明2は「前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備える」構成を有するのに対し、甲2発明は、このような構成を有しない点。

[相違点4]
本件発明2は「前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されている」構成を有するのに対し、甲2発明はこのような構成を有しない点。

次に相違点3について検討する。
甲2発明の「横架材4」は、「離間して立設された」2つの脚フレーム2、あるいは脚フレーム2及び袖3の間に両端が架けられる「架材」であって、そのような架材に、本件発明2の「第二連結部」に相当する部分を付加することは、当業者であっても通常想到し得ることとは認められない。
また、甲第1号証、甲第4号証の【図4】、甲第15号証の【図3】、甲第16号証の【図3】?【図10】、甲第17号証の【図1】?【図7】、甲第18号証のFIG.3Bを見ても、架材、あるいは両端が下方から支持されるような長尺の部材に、本件発明2の「第二連結部」に相当する部分を付加することが、従来周知の技術手段であったとは認められない。

そして、上記(2)の相違点1で検討したと同様に、相違点3に係る本件発明2の構成により、「第一連結部の他に、第二連結部によって側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結されていることで、曲げ強度を高めてより強固な連結構造とすることができる。」という作用効果を本件発明2は奏すると認められる。

そうであれば、相違点4について検討するまでもなく、本件発明2は、甲2発明及び従来周知の技術手段から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められないから、本件発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

また、本件発明3も、上記相違点3に係る本件発明2の構成と同様の構成を備えるので、本件発明2と同様の理由により、本件発明3は、甲2発明及び従来周知の技術手段から当業者が容易に発明をすることができたものとは認められないから、本件発明3についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

したがって、甲第2号証を主引例とする異議申立人の特許法第29条第2項に関する主張は採用できない。

(4)甲第3号証を主引例とする主張について
異議申立人が、甲第3号証を主引例として提示し、主張していることからすると、その第6頁、第12頁、第22頁、第30頁、第60頁、第74頁、第76頁の図面の記載等から、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲3発明]
「床面上に床面に平行する方向に互いに離間して立設された脚(Leg)と、脚(Leg)によって下面を支持された作業台(Worksurface)とを有する机(benching)における脚(Leg)と作業台(Worksurface)との連結構造であって、
脚(Leg)と作業台(Worksurface)とを連結する支持ブラケット(Brackets)を有し、
脚(Leg)は、床面から上方に向かって立設された支柱部と、支柱部の上部から側方に延出して設けられ、支持ブラケット(Brackets)が連結され、その上に作業台(Worksurface)の下面が載置される受け部と、を有し、
前記支持ブラケット(Brackets)は、作業台(Worksurface)の下面に連結された上板連結部を有し、
前記支持ブラケット(Brackets)は受け部の側方を向く面に当接して連結された第二連結部を備える机(benching)における脚(Leg)と作業台(Worksurface)との連結構造。」

そこで、本件発明2と甲3発明とを対比すると、甲2発明の「脚(Leg)」は、本件発明2の「支持体」に相当し、以下同様に、
「作業台(Worksurface)」は「上板」に、
「机(benching)」は「上板付き什器」に、
「支持ブラケット(Brackets)」は「連結部材」に、それぞれ相当する。

したがって、本件発明2と甲3発明とは、
「床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される受け部と、を有し、
前記連結部材は、支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方を向く面に当接して連結された第二連結部を備える上板付き什器における支持体と上板との連結構造。」
である点で一致し、以下の相違点5及び6で相違する。

[相違点5]
本件発明2は、「受け部」が「前記連結部材が連結される上面を備え」ており、「連結部材」が「前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部」を有しているのに対し、甲3発明は、このような構成を有しない点。

[相違点6]
本件発明2は「前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されている」構成を有するのに対し、甲3発明はこのような構成を有しない点。

次に相違点5について検討する。

甲3発明の脚(Leg)の受け部の上面には、作業台(Worksurface)の下面が載置されるから、甲3発明においては、支持ブラケット(Brackets)を介して作業台(Worksurface)の荷重を脚(Leg)に伝える必要はないので、本件発明2の「第一連結部」に相当する構成を付加する動機付けがあるとはいえない。

また、甲3発明においては、受け部の上面に、支持ブラケット(Brackets)を載置して連結する第一連結部に相当する構成を付加する空間がないため、本件発明2の「第一連結部」に相当する構成を付加することに関して、甲3発明には阻害要因があるといえる。

そして、甲第1号証、甲第4号証の【図4】、甲第15号証の【図3】、甲第16号証の【図3】?【図10】、甲第17号証の【図1】?【図7】、甲第18号証のFIG.3B等を見ても、脚(Legあるいは支持体)の受け部の上面に、作業台(Worksurfaceあるいは上板)の下面が載置される机(benchingあるいは什器)において、本件発明2の「第1連結部」及び「第二連結部」に相当する部分の両者を備えさせることが、従来周知の技術手段であったとは認められない。

そうであれば、相違点6について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3発明及び従来周知の技術手段から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められないから、本件発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

また、本件発明3も、上記相違点5に係る本件発明2の構成と同様の構成を備えるので、本件発明3と同様の理由により、本件発明3は、甲3発明及び従来周知の技術手段から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められないから、本件発明3についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

したがって、甲第3号証を主引例とする異議申立人の特許法第29条第2項に関する主張は採用できない。

第5 むすび
特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項2及び3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項2及び3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正により請求項1は削除されたため、異議申立人がした請求項1に係る特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削 除)
【請求項2】
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備え、
前記支持体の受け部と略同一の断面を有する把持部を備えた杆材が設けられ、前記連結部材の前記支持体連結部は、前記杆材にも連結されていることを特徴とする上板付き什器における支持体と上板との連結構造。
【請求項3】
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、
前記支持体によって下面を支持される複数種類の上板と、複数種類の前記上板のそれぞれと対応した形状を備え、前記支持体と前記上板とを連結する複数種類の連結部材とを有し、
前記支持体と前記上板とが、
床面上に前記床面に平行する方向に互いに離間して立設された支持体と、前記支持体によって下面を支持された上板と、を有する上板付き什器における支持体と上板との連結構造であって、
前記支持体と前記上板とを連結する連結部材を有し、
前記支持体は、前記床面から上方に向かって立設された支柱部と、前記支柱部の上部から側方に延出して設けられ、前記連結部材が連結される上面を備える受け部と、を有し、
前記連結部材は、前記支持体の前記受け部の前記上面に載置されて連結された第一連結部を備える支持体連結部と、前記上板の下面に連結された上板連結部と、を有し、
前記支持体連結部は前記受け部の側方または下方の少なくとも一方を向く面に当接して連結された第二連結部を備える、
上板付き什器における支持体と上板との連結構造によって連結されていることを特徴とする上板付き什器システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-03-05 
出願番号 特願2015-219973(P2015-219973)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (F16B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大谷 謙仁  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 杉山 健一
内田 博之
登録日 2019-09-13 
登録番号 特許第6582346号(P6582346)
権利者 株式会社オカムラ
発明の名称 上板付き什器における支持体と上板との連結構造及び上板付き什器システム  
代理人 鈴木 三義  
代理人 松沼 泰史  
代理人 鈴木 三義  
代理人 志賀 正武  
代理人 志賀 正武  
代理人 松沼 泰史  
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