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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G08B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G08B
管理番号 1375276
審判番号 不服2020-9499  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-07 
確定日 2021-07-06 
事件の表示 特願2015-191233「携帯監視端末及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日出願公開,特開2017- 68423,請求項の数(4)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は,平成27年9月29日の出願であって,平成30年9月4日に手続補正がされ,令和元年8月30日付けで拒絶理由通知がされ,令和元年11月1日に手続補正がされ,令和2年3月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年7月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和3年2月12日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,令和3年4月13日に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要

原査定(令和2年3月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1
・引用文献等 1-2

・請求項 2-5
・引用文献等 1-2

<引用文献等一覧>
1.特開2015-016216号公報
2.特開平04-188300号公報


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1(明確性)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2(サポート要件)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3(実施可能要件)この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。


●理由1(明確性)
・請求項1
「当該取外しを検出したときの前記体動の検出状況」について,いつの検出状況であるのか理解できない。

「検出したとき」とは一般に「検出した時点」であると理解される。
一方,請求項1を引用して記載している請求項2では,「取外し検出時の少なくとも前後いずれかの所定期間」であると記載されているが,「検出後の所定期間」の検出状況は「検出した時点」では分からない。
したがって,請求項1の「検出したとき」は一般的な解釈とは異なると理解されるから,どのような内容であるのか理解できない。

・請求項2-4
請求項1を引用して記載しているから,同様の理由を有する。
・請求項5
請求項1と同様である。

●理由2(サポート要件)
・請求項:1,2
取外し検出時の少なくとも「前後いずれか」(請求項2)の所定期間に基づいて,監視を継続するか否かを判定することが記載されているが,明細書及び図2を参照すれば,「検知前の20分間」と「検知後の1分間」の両方を用いて監視を継続するか否かを判定することが記載されているだけであり,どちらか片方で良いことは記載されていない。
また,「取外しを検出したときの」(請求項1)についても同様である。

・請求項3-4
請求項1又は2を引用して記載しており,同様の理由を有する。

●理由3(実施可能要件)
(1)段落【0036】には,「取外し時にユーザに体動がなければユーザを就寝中とみなして生活監視を継続し,取外し時にユーザに体動が有れば生活監視を終了する。」の記載がある。
(2)段落【0048】には,「上記検知前の20分間にユーザに有意な体動が無ければ,生活監視部181は,ユーザは非活動状態(就寝中)にあると判断し,上記取外しはユーザの意図しない取外しであるとみなして生活監視を終了する。」の記載がある。
(3)図2では,ST23において「No」の場合は,監視を継続している。
すなわち,生活監視を継続するのか終了するのかの記載について,(1)(3)では,体動が無い場合に継続しているが,(2)では体動が無い場合に終了しているから,発明の詳細な説明と図面に逆の記載があって,どちらの場合に「継続」し,どちらの場合に「終了」するのかを理解することができない。


第4 本願発明

本願請求項1-4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は,令和3年4月13日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-4は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ユーザの生活異常の発生を監視する携帯監視端末であって,
前記ユーザへの装着状態を検出する装着検出手段と,
当該携帯監視端末の動きを検出し動きデータを出力する動きセンサと,
前記動きデータに基づいて前記ユーザの体動を検出する体動検出手段と,
前記体動が検出されない状態が所定の監視時間継続した場合に前記ユーザに生活異常が発生したと判定する手段であって,前記装着状態が装着の状態において当該携帯監視端末の取外しを検出した場合に,当該取外しを検出したときの前記体動の検出状況に基づいて,前記装着状態が非装着の状態においても前記生活異常の監視を継続するか否かを判定する異常判定手段と
を具備し,
前記異常判定手段は,前記取外し検出時の少なくとも前後いずれかの所定期間における前記体動の検出状況に基づいて,前記生活異常の監視を継続するか否かを判定する
携帯監視端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯監視端末であって,
前記異常判定手段は,前記所定期間継続して前記体動が検出されなかった場合に前記生活異常の監視を継続し,前記所定期間内に前記体動が検出された場合には前記生活異常の監視を終了する
携帯監視端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯監視端末であって,
前記異常判定手段は,当該携帯監視端末の装着中の生活異常の監視において,第1の基準に基づいて前記生活異常を判定し,前記取外し検出後に継続する生活異常の監視において,前記第1の基準よりも厳格な第2の基準に基づいて前記生活異常を判定する
携帯監視端末。
【請求項4】
ユーザの生活異常の発生を監視する携帯監視端末に,
当該携帯監視端末の前記ユーザへの装着状態を検出するステップと,
当該携帯監視端末の動きを検出し動きデータを出力するステップと,
前記動きデータに基づいて前記ユーザの体動を検出するステップと,
前記体動が検出されない状態が所定の監視時間継続した場合に前記ユーザに生活異常が発生したと判定するステップと,
前記装着状態が装着の状態において当該携帯監視端末の取外しを検出した場合に,当該取外しを検出したときの前記体動の検出状況に基づいて,前記装着状態が非装着の状態においても前記生活異常の監視を継続するか否かを判定するステップと
を実行させるプログラムであって,
前記生活異常の監視を継続するか否かを判定するステップは,前記取外し検出時の少なくとも前後いずれかの所定期間における前記体動の検出状況に基づいて,前記生活異常の監視を継続するか否かを判定する
プログラム。」


第5 引用文献,引用発明等

1.引用文献1について

原査定の理由に引用された特開2015-016216号公報(以下,「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には,

「【0001】
本発明は,生体情報検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,ユーザーの腕等に装着して用いる生体情報検出装置が広く知られている。当該生体情報検出装置により検出される生体情報としては,例えば脈拍数等の脈波情報が考えられる。その場合の生体情報検出装置とは,狭義には脈拍計であり,当該脈拍計に含まれる脈波センサーからの信号に基づいて,ユーザーの脈拍数の計測等を行うものである。」

「【0040】
しかし,本出願人は脈波センサーを含む生体情報検出装置の構造,或いは脈波センサー信号に基づく脈波情報の演算処理の内容等を考慮することで,小型軽量を実現しつつ,長時間の連続動作が可能な生体情報検出装置を実現する。その場合,生体情報検出装置は特定の状況下(例えば運動中)だけで生体情報を検出するのではなく,仕事中や睡眠中を含めた長時間(狭義には1日中)において生体情報を検出し,「ライフログ」として活用することが可能となる。
【0041】
ライフログの検出においては,ユーザーに対して24時間365日の装着を強いることができない以上,脈波センサー信号の測定が行われていながら,生体情報検出装置が非装着状態であるという状況が大いに起こりうる。その際に,装着状態で取得された適切な脈波情報と,非装着状態で取得された不適切な脈波情報とを同等に扱ってしまっては,脈波情報を用いた処理に支障を来すことになる。
【0042】
そこで本出願人は,装着状態か非装着状態かを何らかの手法により検出し,非装着状態であると判定された場合には,演算された脈波情報の記録,通信の停止指示,又は非装着状態であることを表す情報を関連づけての記録,通信の指示を行う手法を提案する。このようにすれば,記録された脈波情報を用いた処理,或いは通信先の外部電子機器で行われる脈波情報を用いた処理を適切に行うことが可能になる。記録,通信の停止指示を行っていれば,脈波情報を用いた処理においてはそもそも非装着状態での脈波情報は取得されないことになる。また,非装着状態であることを表す情報を関連づけての記録,通信の指示を行っていれば,脈波情報を用いた処理において,非装着状態での脈波情報の優先度を下げる,或いは処理に全く用いない等の判断を行うことが可能になる。」

「【0052】
2.システム構成例
図3に本実施形態に係る生体情報検出装置のシステム構成例を示す。図3に示したように,生体情報検出装置は,脈波検出部10と,体動検出部20と,処理部100と,表示部200と,記憶部300と,通信部400とを含む。ただし,生体情報検出装置及び当該生体情報検出装置の各部は図3の構成に限定されず,これらの一部の構成要素を省略・変更したり,他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。」

「【0057】
体動検出部20は,種々のセンサーのセンサー情報に基づいて体動に応じた信号(体動信号)を出力する。体動検出部20は,例えば体動センサー(狭義には加速度センサー)21と,A/D変換部26を含むことができる。ただし,体動検出部20はその他のセンサー(例えば圧力センサーやジャイロセンサー)や,信号を増幅する増幅部等を含んでもよい。また,複数種類のセンサーを設ける必要はなく,1種類のセンサーを含む構成であってもよい。A/D変換部26では,体動信号のA/D変換処理を行い,デジタル信号を出力する。
【0058】
処理部100は,脈波センサー信号や体動信号に基づいて種々の処理を行う。処理部100は,着脱検出部110と,脈波情報演算部120を含んでもよい。
【0059】
着脱検出部110は,脈波検出部10からの脈波センサー信号に基づいて,生体情報検出装置の着脱に関する検出処理を行う。図3に示したように,着脱検出部110では体動検出部20からの体動信号を合わせて用いてもよい。着脱検出部110は,具体的には装着状態か非装着状態かの判定を行うが,後述するように装着状態と非装着状態の中間的な状態である中間状態等まで考慮した処理を行ってもよい。着脱検出部110の処理の詳細は後述する。」

「【0068】
3.着脱検出の具体的な手法
次に着脱検出の具体的な手法を説明する。まず脈波センサー信号のDC成分の変化値を用いた基本的な手法を説明し,その後,生体情報検出装置に衝撃が加えられた場合との判別手法について説明する。
【0069】
3.1 DC成分の変化値を用いた基本的な手法
図4に装着状態から非装着状態へ変化した場合の脈波センサー信号の変化を示す。ここでは,脈波センサー11のPD13において検出される光が強いほど,脈波センサー信号の出力電圧値は小さくなるものとしている。ただし,検出光量と出力電圧値の関係は脈波センサー11の構成により変化するものであり,検出光量が多いほど出力電圧値が大きい値となる場合も考えられる。
【0070】
図4では経過時間が62秒程度の時に生体情報検出装置の取り外しが行われた。図4からわかるように,脈波センサー信号のAC成分(脈AC)は,装着状態にある56秒程度までは脈に対応した周期性を有する信号となり,その後取り外し動作により信号波形が乱れ,取り外しの完了後は脈とは対応しない信号となるため,周期性のない波形となる。
【0071】
一方,脈波センサー信号のDC成分(脈DC)は,安定的な装着状態ではほぼ一定の値となり,取り外し完了後の安定的な非装着状態では装着状態とは異なるほぼ一定の値となる。そして,非装着状態での値は装着状態での値に比べて小さい値となる。ただし上述したように,装着状態での値,非装着状態での値ともに種々の要因により変動するものであるため,それぞれの値と閾値との比較処理では,精度よく着脱検出を行うことは難しい。
【0072】
そこで本実施形態では,図4にΔ脈DCとして示したように,脈波センサー信号のDC成分の変化値を用いる。図4からわかるように,DC成分の変化値は,装着状態及び非装着状態のそれぞれにおいては0に近い値となるが,装着状態から非装着状態へ切り替わりタイミング(取り外しのタイミング)において,絶対値の大きい値をとる。そして,装着状態での値と非装着状態での値は,それぞれ種々の要因変動を受けるものであるが,その差分値であるDC成分の変化値については,当該種々の要因による影響がキャンセルされる。よってDC成分の変化値を用いることで,外光の状況や,ユーザーのヘモグロビン等の差異,或いは押圧の状態等の変動によらずに,精度よく着脱検出を行うことが可能になる。」

「【0077】
3.2 衝撃検出処理
上述したように,所与の期間T1での脈波センサー信号のDC成分の変化値ΔDC1と,所与の閾値Th1との比較処理により,生体情報検出装置の取り外しを検出できる。しかし,生体情報検出装置に対して強い衝撃が加えられた場合,生体情報検出装置及び当該生体情報検出装置に設けられた脈波センサー11が,生体(肌)に対して浮く場合がある。その場合,脈波センサー11のPD13は,LED12からの照射光が生体で反射された反射光を適切に検出できず,また,肌と生体情報検出装置の隙間から外光が入り込む可能性がある。そのため,脈波センサー11が浮いている期間においては,脈波センサー信号は非装着状態と同様の特性を示す。」

「【0083】
そこで本実施形態では,T1でのΔDC1を用いた判定に合わせて,衝撃検出の判定を行ってもよい。そして,ΔDC1がTh1を超えていた場合であっても,衝撃が検出された場合には,DC成分の変化値は衝撃に起因するものであり取り外しが行われたのではないと判定する。また,ΔDC1がTh1を超えており,且つ衝撃が非検出の場合に,取り外しが行われたと判定すればよい。」

「【0098】
3.3 AC成分の自己相関関数を用いた手法
また本実施形態では,上述の手法とともに,脈波センサー信号のAC成分信号の自己相関関数を用いて装着状態か非装着状態かを判定してもよい。
【0099】
装着状態での脈波センサー信号のAC成分は,ユーザーの脈に対応した信号となるため,周期性を有する信号となる。また,生体情報検出装置を装着したユーザーが運動をしている場合,AC成分は当該運動による信号値も重畳される可能性があるが,歩行等のように周期性を有する運動も多く,やはりAC成分信号は周期性を有する。
【0100】
それに対して,非装着状態ではAC成分に周期性を持たせる要因は考えにくく,一般的にAC成分信号は周期性を持たない信号となる。」

「【0105】
よって,脈波センサー信号のAC成分の自己相関関数を求め,当該自己相関関数に基づいて装着状態か否かを判定することが可能である。具体的には,自己相関関数の最大値が±0.75を超えている場合,或いは自己相関関数が周期性を有する場合,或いはその両方が満たされる場合に,生体情報検出装置が装着状態にあると判定すればよい。なお,自己相関関数が周期性を有するか否かはFFT等の周波数分析を行うことで判定すればよい。」

の記載があるから,

「ユーザーの腕等に装着して用いる生体情報検出装置であって,
生体情報としては,脈拍数等の脈波情報であり,
装着状態か非装着状態かを検出し,非装着状態であると判定された場合には,演算された脈波情報の記録,通信の停止指示,又は非装着状態であることを表す情報を関連づけての記録,通信の指示を行うものであって,
生体情報検出装置は,脈波検出部10と,体動検出部20と,処理部100と,表示部200と,記憶部300と,通信部400とを含み,
体動検出部20は,種々のセンサーのセンサー情報に基づいて体動に応じた信号(体動信号)を出力し,加速度センサー21と,A/D変換部26を含み,
処理部100は,着脱検出部110と,脈波情報演算部120を含んでもよく,
着脱検出部110は,脈波検出部10からの脈波センサー信号に基づいて,生体情報検出装置の着脱に関する検出処理を行い,体動検出部20からの体動信号を合わせて用いてもよく,具体的には装着状態か非装着状態かの判定を行い,
着脱検出の具体的な手法には,
装着状態での値,非装着状態でのそれぞれの値と閾値との比較処理では,精度よく着脱検出を行うことは難しいため,脈波センサー信号のDC成分の変化値を用いる手法と,
DC成分の変化値を用いた判定に合わせて衝撃検出の判定を行う手法と,
脈波センサー信号のAC成分の自己相関関数を求め,当該自己相関関数に基づいて装着状態か否かを判定する手法
があり,
装着状態での脈波センサー信号のAC成分は,周期性を有する信号となり,非装着状態では,一般的にAC成分信号は周期性を持たない信号となる,
ユーザーの腕等に装着して用いる生体情報検出装置。」(以下,「引用発明」という。)

の発明が記載されていると認める。

2.引用文献2について

原査定の理由に引用された特開平04-188300号公報(以下,「引用文献2」という。下線は当審が付与。)には,

「 この動作を第9図を参照して説明すると,無線送信機5は人体に装着して使用され動きセンサ3から一定時間(例えば1時間(H))振動がなく(S_(l)),次に温度センサ16の温度により装着と判断されたときは(S_(2)-Y)異常(1)として発報するが,未装着と判断された時(S_(2)-N),他のセンサ水道計19,ガス計22,電気計20,トイレのドア開閉器等の適宜の組合わせの各状態を参照し,一定時間(例えば12時間(H))メーター,扉の開閉の動きがない時は生活面で何らかの異常か発生したと見なして異常(1)として発報する。他の動作は第6図(a)の場合と同様である。」(4頁左下欄18行?右下欄9行)

の記載があるから,

「無線送信機5が,人体に装着して使用され動きセンサから一定時間振動がなく,温度センサの温度により装着と判断されたときは異常として発報する」

ことは周知である。


第6 対比

1.本願発明1に対して

本願発明1と引用発明を対比する。

引用発明の「生体情報検出装置」は,ユーザーの腕等に装着して用いるから「携帯」するものであるから「携帯端末」といえる。

引用発明は,「装着状態か非装着状態かを検出」するものであって,「着脱検出部110」が,「体動検出部20からの体動信号を合わせて用いて」,「生体情報検出装置の着脱に関する検出処理を行」うから,「着脱検出部110」は,「当該携帯端末装置のユーザへの装着状態を検出する装着検出手段」であるといえる。

引用発明の生体情報検出装置は「加速度センサー21」を含むから,該「加速度センサー21」は,当該生体情報検出装置の動きを検出しており,加速度センサー21を含む体動検出部20からの体動信号は,着脱検出部110の検出処理に用いられるから,加速度センサー21が「出力」していることも自明である。
したがって,引用発明の「加速度センサー21」は,「当該携帯監視端末の動きを検出し動きデータを出力する動きセンサ」といえる。

引用発明の「体動検出部20」は,「加速度センサー21」を含む「種々のセンサーのセンサー情報に基づいて体動に応じた信号(体動信号)を出力する」から,「前記動きデータに基づいて前記ユーザの体動を検出する体動検出手段」であるといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,

「携帯端末であって,
当該携帯端末のユーザへの装着状態を検出する装着検出手段と,
当該携帯端末の動きを検出し動きデータを出力する動きセンサと,
前記動きデータに基づいて前記ユーザの体動を検出する体動検出手段と,
を具備する,
携帯端末。」

で一致し,以下の点で相違する。

相違点1
本願発明1の携帯端末は,「ユーザの生活異常の発生を監視」する「携帯監視端末」であるのに対し,引用発明は,「脈拍数等の脈波情報であ」る「生体情報」を検出する携帯端末である点。

相違点2
本願発明1は,「前記体動が検出されない状態が所定の監視時間継続した場合に前記ユーザに生活異常が発生したと判定する手段であって,前記装着状態が装着の状態において当該携帯監視端末の取外しを検出した場合に,当該取外しを検出したときの前記体動の検出状況に基づいて,前記装着状態が非装着の状態においても前記生活異常の監視を継続するか否かを判定する異常判定手段」を具備し,「前記異常判定手段は,前記取外し検出時の少なくとも前後いずれかの所定期間における前記体動の検出状況に基づいて,前記生活異常の監視を継続するか否かを判定する」のに対し,引用発明は,「装着状態か非装着状態かを何らかの手法により検出し,非装着状態であると判定された場合には,演算された脈波情報の記録,通信の停止指示,又は非装着状態であることを表す情報を関連づけての記録,通信の指示を行う」手段を有している点。

事案に鑑み,まず相違点2について検討する。

引用発明は,「着脱検出」に関して3つの手法が記載されているが,いずれの手法も,着脱検出時の少なくとも前後いずれかの所定期間における前記体動の検出状況を用いた処理は行っていない。
また,上記「第5 2.」のとおり,「無線送信機5が,人体に装着して使用され動きセンサから一定時間振動がなく,温度センサの温度により装着と判断されたときは異常として発報する」ことが周知であったとしても,相違点2に係る「前記取外し検出時の少なくとも前後いずれかの所定期間における前記体動の検出状況に基づいて,前記生活異常の監視を継続するか否かを判定」することが周知技術であるとまではいえない。
したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-3に対して

本願発明2-3は,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4に対して,

本願発明4のプログラムは,本願発明1と同様の判定行って異常の監視を継続するか否かを判定するステップを実行させるから,同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.小括

したがって,原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。


第7 当審拒絶理由についての判断

1.明確性について

「当該取外しを検出したときの前記体動の検出状況」は,補正により,明確となった。

2.サポート要件について

発明の詳細な説明の【0066】に「当該取外し検知前後の所定期間における体動の検出処理のいずれか一方(図2のステップ22及び23の処理と,ステップ24の処理のいずれか一方)の処理を省略してもよい。」と記載されているから,前後いずれかの片方で良いことは発明の詳細な説明に記載されている。

3.実施可能要件

補正により,生活監視を継続するのか終了するのかの記載は統一された。

4.小括

したがって,当審拒絶理由により本願を拒絶することはできない。


第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-17 
出願番号 特願2015-191233(P2015-191233)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G08B)
P 1 8・ 536- WY (G08B)
P 1 8・ 537- WY (G08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西巻 正臣  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 吉田 隆之
山中 実
発明の名称 携帯監視端末及びプログラム  
代理人 高橋 満  
代理人 中村 哲平  
代理人 千葉 絢子  
代理人 金子 彩子  
代理人 関根 正好  
代理人 折居 章  
代理人 大森 純一  
代理人 白鹿 智久  
代理人 金山 慎太郎  
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