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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04B |
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管理番号 | 1375348 |
審判番号 | 不服2020-14197 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-09 |
確定日 | 2021-07-06 |
事件の表示 | 特願2018-535100「狭帯域物理ランダムアクセスチャネル周波数ホッピングパターンおよび検出スキーム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月13日国際公開,WO2017/119943,平成31年 3月 7日国内公表,特表2019-506792,請求項の数(1)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2016年(平成28年)11月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年1月7日 米国,2016年11月2日 米国)を国際出願日とする出願であって,令和元年10月11日に手続補正がされ,令和元年10月31日付けで拒絶理由が通知され,令和2年2月12日に手続補正がされ,令和2年5月29日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年10月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年5月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 ・請求項 1-2,5-11,14-20,23-28 ・引用文献等 1 ・請求項 3-4,12-13,21-22 ・引用文献等 1-2 <引用文献等一覧> 1.Qualcomm Incorporated,Narrow band OFDMA-Random Access,3GPP TSG GERAN #64 Tdoc GP-140840,3GPP,2014年11月,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg-geran/TSG_GERAN/GERAN_64_San_Francisco/Docs/GP-140840.zip> 2.米国特許第8553743号明細書 第3 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下,「本願発明1」という。)は,令和2年10月9日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 ワイヤレス通信のための方法であって, 基地局とユーザ機器(UE)との間の通信のための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を識別すること,前記基地局は,前記UEと,前記UEと異なるUEと通信している,と, 複数の単一サブキャリア送信を備えるランダムアクセスプリアンブルのために前記PRACH内で周波数ホッピングパターンを決定すること,前記周波数ホッピングパターンは,前記PRACH内で第1の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップと,前記PRACH内で第2の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップとを備え,前記第1の周波数ホッピング距離は,前記第2の周波数ホッピング距離より長く,前記第1または第2の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップを2回以上の所定の回数実行した後,前記第2または第1の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップを実行する,と, 前記UEが,前記決定された周波数ホッピングパターンに従って前記ランダムアクセスプリアンブルを送信することと を備える,方法。」 第4 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の理由に引用されたQualcomm Incorporated,Narrow band OFDMA-Random Access,3GPP TSG GERAN #64 Tdoc GP-140840,3GPP,2014年11月,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg-geran/TSG_GERAN/GERAN_64_San_Francisco/Docs/GP-140840.zip>(以下,「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には, 「2 Physical Random Access Channel Physical Random Access Channel (PRACH) is used by a UE to request dedicated resources for uplink/downlink data transfer. The basic structure for PRACH is shown in Figure1. A UE must have acquired timing and frequency synchronization before accessing a base station. The random access process is based on a segmented ALOHA procedure, where PRACH transmission must occur within one of the PRACH segment defined within the first 24 extended slots of a frame. Each PRACH segment conveys 24 bits as defined in [2]. A PRACH segment occupies one tone at a time and lasts an even number of slots.」 (当審訳: 「2 物理ランダムアクセスチャネル 物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は,アップリンク/ダウンリンクデータ転送の専用リソースを要求するためにUEによって使用される。PRACHの基本構造を図1に示す。UEは,基地局にアクセスする前に,タイミングと周波数の同期を取得している必要がある。ランダムアクセスプロセスは,セグメント化されたALOHA手順に基づいており,PRACH送信は,フレームの最初の24個の拡張スロット内で定義されたPRACHセグメント内の1つで発生する必要がある。各PRACHセグメントは,[2]で定義されているように24ビットを伝送する。PRACHセグメントは,一度に1つのトーンを占有し,偶数スロット持続する。」) 「2.1 Detailed description Within the first 24 extended slots, 0, 1, ... , 23, frequency hopping of g tones occurs at the beginning of each odd-numbered slot, and random frequency hopping occurs at the beginning of each even-numbered slot. The hopping with fixed step size of g tones helps the base station to measure uplink time-of-arrival. The random hopping creates frequency diversity and reduces inter-cell interference. Let the random frequency hopping sequence be f0, f1, ..., f11 within the first 12 extended slots, a tone resource unit with index f0 consists of tones f0 f0+g f1 f1+g, ...,f11+g (mod 80) in slot 0, 1, ...11, respectively. At least one tone resource unit must be assigned to PRACH.」 (当審訳: 「2.1 詳細な説明 最初の24個の拡張スロット0,1,...,23内では,gトーンの周波数ホッピングが各奇数番号スロットの先頭で発生し,ランダム周波数ホッピングが各偶数番号スロットの先頭で発生する。gトーンの固定ステップサイズでのホッピングは,基地局がアップリンクの到着時間を測定するのに役立つ。ランダムホッピングは周波数ダイバーシティを作成し,セル間の干渉を減らす。ランダム周波数ホッピングシーケンスを最初の12個の拡張スロット内のf0,f1,... ,f11とすると,各々スロット0, 1, ...11においてインデックスf0のトーンリソースユニットは,トーンf0 f0+g f1 f1+g,... ,f11+g(mod 80)で構成される。少なくとも1つのトーンリソースユニットをPRACHに割り当てる必要がある。」) 「In addition to the aforementioned “micro-hopping” that occurs at each odd-numbered slot, PRACH transmission may also perform frequency hopping at each even-numbered slot as other UL channels determined by the base station. An example PRACH allocation with both frequency hopping schemes is illustrated in Figure 4.」 (当審訳: 「前述の各奇数番号スロットで発生する「マイクロホッピング」に加えて,PRACH送信はまた,基地局によって決定される他のULチャネルと同様に,各偶数番号スロットで周波数ホッピングを実行することができる。両方の周波数ホッピング方式を使用したPRACH割り当ての例を図4に示す。」) 「 Figure4 Example PRACH allocation for two modulation schemes」 (当審訳: 「図4 2つの変調方式のPRACH割り当ての例」) の記載があるから, 「物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は,アップリンク/ダウンリンクデータ転送の専用リソースを要求するためにUEによって使用され, PRACH送信は,フレームの最初の24個の拡張スロット内で定義されたPRACHセグメント内の1つで発生する必要があり, 最初の24個の拡張スロットでは,gトーンの周波数ホッピングが各奇数番号スロットの先頭で発生し,ランダム周波数ホッピングが各偶数番号スロットの先頭で発生し,gトーンの固定ステップサイズでのホッピングは,基地局がアップリンクの到着時間を測定するのに役立ち,ランダムホッピングは周波数ダイバーシティを作成し,セル間の干渉を減らし, 前述の各奇数番号スロットで発生する「マイクロホッピング」に加えて,PRACH送信はまた,基地局によって決定される他のULチャネルと同様に,各偶数番号スロットで周波数ホッピングを実行することができる, PRACH送信方法。」(以下,「引用発明」という。) の発明が記載されている。 2.引用文献2について 原査定の理由に引用された米国特許第8553743号明細書(以下,「引用文献2」という。下線は当審が付与。)には, 「FIG.1 is a block diagram of one embodiment of a manner for communicating information in accordance with the present invention. The embodiment of FIG.1 utilizes RF communications and frequency-hopping to avoid interference with other RF devices that may be within the wireless communication range. In a frequency hopping system, the communication frequencies do not remain constant, but rather are changed over time and/or in connection with triggering events in order to continually change the frequency in which information is communicated. For example, in the embodiment of FIG.1 a plurality of frequencies100 are available for use in any of the frequency hopping sequences that will be utilized. In one embodiment there are fifty available frequencies100, although the number of available frequencies100 may be any number. Multiple frequency hopping sequences are used in accordance with the invention. Each of the different sequences may be determined in advance. Alternatively, each of the different sequences may be randomly selected or randomly created. Random selection or creation of the sequences may involve purely random techniques, such as creating a purely random sequence with no external input or influence. In another embodiment, pseudo-random sequences are selected/created, such as by creating a particular sequence based on a random or locally-unique input, such as a seed. Thus, when referring to a random herein, this includes varying degrees of randomness, and does not require absolute randomness. For example, the generation of a random sequence may be based on a seed(s) that will produce the same sequence based on the same seed. Further, different algorithms for producing random seeds and random sequences vary in the degree to which the result is random, and the present invention includes any degree of randomness. Any manner of selecting or creating different sequences may be used in connection with the present invention.」(第6欄15?49行) (当審訳: 「図1は,本発明による情報を伝達するための方法の一実施形態のブロック図である。図1の実施形態は,ワイヤレス通信範囲内にある可能性のある他のRFデバイスとの干渉を回避するためにRF通信と周波数ホッピングを利用する。周波数ホッピングシステムでは,通信周波数は一定に保たれず,情報が通信される周波数を継続的に変更するために,時間の経過とともに,および/またはトリガーイベントに関連して変更する。 例えば,図1の実施形態では,複数の周波数100は,利用される周波数ホッピングシーケンスのいずれかで使用するために利用可能である。一実施形態では,利用可能な周波数100の数は任意の数であり得るが,50の利用可能な周波数100が存在する。本発明によれば,複数の周波数ホッピングシーケンスが使用される。異なるシーケンスのそれぞれは,事前に決定され得る。あるいは,異なる配列のそれぞれをランダムに選択するか,またはランダムに作成することができる。シーケンスの「ランダムな」選択または作成には,外部からの入力や影響を受けずに純粋にランダムなシーケンスを作成するなど,純粋にランダムな手法が含まれる場合がある。別の実施形態では,「シード」と呼ばれるランダムまたは局所的に一意の入力に基づいて特定のシーケンスを作成することなどによって,「疑似ランダム」シーケンスが選択/作成される。したがって,本明細書で「ランダム」に言及する場合,これは,様々な程度のランダム性を含み,絶対的なランダム性を必要としない。例えば,「ランダムな」配列の生成は,シードに基づいて同じ配列を生成するシードに基づくことができる。さらに,ランダムシードおよびランダムシーケンスを生成するための異なるアルゴリズムは,結果が「ランダム」である程度が異なり,本発明は,任意の程度のランダム性を含む。異なる配列を選択または作成する任意の方法を,本発明に関連して使用することができる。」) の記載があるから, 「周波数ホッピングを利用したRF通信では,ランダムに作成した周波数ホッピングシーケンスが使用される」(以下,「周知技術」という。) ことは周知である。 第5 対比 1.本願発明1に対して 本願発明1と引用発明を対比する。 引用発明はアップリンク/ダウンリンクデータ転送の専用リソースを要求するためにUEによって使用されるPRACH送信方法であるから,「ワイヤレス通信のための方法」であって,「基地局とユーザ機器(UE)との間の通信のための物理ランダムアクセスチャネル(RACH)を識別」し,前記基地局が前記UEと通信していることは明らかである。 引用発明は,PRACHの送信において周波数ホッピングを行うから,「PRACH内で周波数ホッピングパターンを決定」しているといえ,gホップとランダムホップを行うから,「前記PRACH内で第1の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップと,前記PRACH内で第2の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップとを備え」ているといえる。 したがって,本願発明1と引用発明とは, 「 ワイヤレス通信のための方法であって, 基地局とユーザ機器(UE)との間の通信のための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を識別すること,前記基地局は,前記UEと通信している,と, 前記PRACH内で周波数ホッピングパターンを決定すること,前記周波数ホッピングパターンは,前記PRACH内で第1の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップと,前記PRACH内で第2の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップとを備える,と, 前記UEが,前記決定された周波数ホッピングパターンに従って送信することと を備える,方法。」 で一致し,以下の点で相違する。 相違点1 本願発明1は,「前記基地局は,前記UEと,前記UEと異なるUEと通信している」のに対し,引用発明は,「前記基地局は,前記UEと通信している」が「前記UEと異なるUEと通信している」かどうか特定がない点。 相違点2 本願発明1は,「複数の単一サブキャリア送信を備えるランダムアクセスプリアンブルのために」周波数ホッピングパターンを決定して,「ランダムアクセスプリアンブル」を送信するのに対し,引用発明は「複数の単一サブキャリア送信を備えるランダムアクセスプリアンブルのために」周波数ホッピングパターンを決定して,「ランダムアクセスプリアンブル」を送信するとの特定がない点。 相違点3 「前記周波数ホッピングパターン」が,本願発明1は,「前記第1の周波数ホッピング距離は,前記第2の周波数ホッピング距離より長く,前記第1または第2の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップを2回以上の所定の回数実行した後,前記第2または第1の周波数ホッピング距離に関連付けられた周波数ホップを実行する」のに対し,引用発明は「gトーンの周波数ホッピングが各奇数番号スロットの先頭で発生し,ランダム周波数ホッピングが各偶数番号スロットの先頭で発生」する点。 事案に鑑み,まず相違点3について検討する。 引用発明は,各奇数番号スロットの先頭で「gトーンの周波数ホッピング」が発生し,各偶数番号スロットの先頭で「ランダム周波数ホッピング」が発生しているから,gトーンとランダムの周波数ホッピングが交互に実行されていることが明らかであるが,本願発明は,第1または第2の周波数ホッピング距離に関連づけられた周波数ホップを「2回以上の所定の回数」実行するものである。 また,「gトーンの周波数ホッピング」は「固定ステップ」である一方,「ランダム周波数ホッピング」は「ランダム」であるから,「gトーンの周波数ホッピング」が「マイクロホッピング」であることを考慮しても,「ランダム周波数ホッピング」は,「gトーンの周波数ホッピング」より大きい場合も小さい場合もある,と理解される。 そして,本願の発明の詳細な説明の【0052】の「タイミング精度は,トーン間の周波数差に依存」することから,大きなホップを行うことによってタイミング精度が向上するものの,「大きなホップは,基地局105から離れたNB-UE115のためのタイミングオフセットを決定するために有効になり得」ないために,「大きな周波数ホップおよび小さな周波数ホップの組み合わせ」により「タイミングオフセットを決定するために有益」という有利な効果もある。 よって,その他の相違点について検討するまでもなく,本願発明1は,引用発明及び周知技術より容易に発明をすることができた,とはいえない。 したがって,原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。 第6 むすび 以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-06-17 |
出願番号 | 特願2018-535100(P2018-535100) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 太田 龍一、川口 貴裕、玉田 恭子 |
特許庁審判長 |
北岡 浩 |
特許庁審判官 |
吉田 隆之 衣鳩 文彦 |
発明の名称 | 狭帯域物理ランダムアクセスチャネル周波数ホッピングパターンおよび検出スキーム |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |