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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H04L
管理番号 1375448
審判番号 不服2020-3328  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-10 
確定日 2021-07-13 
事件の表示 特願2017-561083「無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月20日国際公開、WO2017/122268、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)1月12日を国際出願日とする出願であって、平成30年8月9日に手続補正書が提出され、令和元年5月28日付けで拒絶理由通知がされ、令和元年8月8日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年11月29日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年3月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審において、令和3年3月2日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和3年5月14日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年11月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1 (明確性)請求項12に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2 (実施可能要件)本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項12に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由4 (進歩性)請求項1-16に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2014/0177565号明細書
2.3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures (Release 13),3GPP TS 36.213 V13.0.0,2016年 1月 6日,pp. 225-295,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36213-d00.zip
3.特開2013-197829号公報
4.特開平8-242200号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1 (明確性)請求項1-15に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2 (サポート要件)請求項1-15に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、令和3年5月14日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-15は以下のとおりの発明である(下線部は補正箇所を示す。)。

「 【請求項1】
他の無線通信装置と信号を送受信する通信部と、
第1レイヤの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を用いて、前記第1レイヤのデータのみに対する第1の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信するよう制御するとともに、前記PUCCHを用いて前記第1レイヤよりも上位のレイヤである第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信することを、前記他の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく実行するように制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御し、
前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータである
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第2レイヤは、前記第1レイヤよりも上位のレイヤであり、
前記通信部は、前記第1レイヤにおける信号と、前記第1レイヤよりも上位レイヤである前記第2レイヤのデータ及び前記データに対する送達確認情報を送受信することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第2レイヤのデータに対する送達確認情報はTCP(Transmission Control Protocol)データに対するTCP ACK(Acknowledgement)又はTCP NACK(Negative Acknowledgement)であり、前記第1レイヤの前記制御チャネルはPUCCH(Physical Uplink Control Channel)であることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1レイヤの信号に対する送達確認情報と前記第2レイヤのデータに対する送達確認情報を、前記PUCCHを用いて前記通信部から前記他の無線通信装置へ送信することを可能にすることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1レイヤの信号に対する送達確認情報はMAC(Medium Access Control)レイヤにおける信号に対するHARQ ACK(Acknowledgement)又はHARQ NACK(Negative Acknowledgement)であり、前記第2レイヤのデータに対する送達確認情報はTCP(Transmission Control Protocol)データに対するTCP ACK又はTCP NACKであることを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記他の無線通信装置が制御情報を前記第1レイヤの他の制御チャネルを用いて前記無線通信装置へ送信する際に前記他の無線通信装置が前記無線通信装置に割り当てた前記他の制御チャネルに含まれる各要素を表すインデックスに基づいて前記PUCCHに含まれる第1の無線リソースを決定し、当該第1の無線リソースを用いて前記送達確認情報を送信することを可能にすることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記他の制御チャネルの各要素を表すインデックスのうち最小のインデックスに基づいて前記第1の無線リソースを決定することを可能にすることを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記他の制御チャネルはPDCCH、前記各要素はPDCCHに含まれるCCE(Control Channel Element)、前記インデックスはCCEインデックスであることを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記制御部は、32CC(Component Carrier)サポートに対応可能なPUCCHフォーマットを用いて前記送達確認情報を送信することを可能にすることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、PUCCHフォーマット3を用いて送信する場合よりも多くのビット数を送信可能なPUCCHフォーマットを用いて前記送達確認情報を送信することを可能にすることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記第2レイヤのデータはTCP(Transmission Control Protocol)データであり、
前記制御部は、TCPヘッダの第1の領域に前記TCPデータに対する前記送達確認情報を表す情報を挿入し、当該情報に基づいて前記TCPデータに対する前記送達確認情報か前記送達確認情報以外の他のデータかを判別することを可能にすることを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記第2レイヤのデータはTCP(Transmission Control Protocol)データであり、
前記制御部は、前記TCPデータのデータ量に基づいて、前記TCPデータに対する前記送達確認情報か前記送達確認情報以外の他のデータかを判別することを可能にすることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記他の無線通信装置は基地局装置又は移動局装置であることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項14】
第1及び第2の無線通信装置を備える無線通信システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置と信号を送受信する通信部と、
前記第1の無線通信装置により、前記第2の無線通信装置と信号を送受信し、第1レイヤの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を用いて、前記第1レイヤのデータのみに対する第1の送達確認情報を前記第2の無線通信装置へ送信するよう制御するとともに、前記PUCCHを用いて前記第1レイヤよりも上位のレイヤである第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報を前記第2の無線通信装置へ送信することを、前記第2の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく実行するように制御する第1の制御部を備え、
前記第1の制御部は、前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記第2の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御し、
前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータであり、
前記第2の無線通信装置は、前記PUCCHを用いて前記送達確認情報を受信することを可能にするように制御する第2の制御部を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
第1及び第2の無線通信装置を備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記第1の無線通信装置により、前記第2の無線通信装置と信号を送受信し、第1レイヤの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を用いて、前記第1レイヤのデータのみに対する第1の送達確認情報を前記第2の無線通信装置へ送信するよう制御するとともに、前記PUCCHを用いて前記第1レイヤよりも上位のレイヤである第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報を前記第2の無線通信装置へ送信することを、前記第2の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく実行するように制御し、
前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記第2の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御し、
前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータであり、
前記第2の無線通信装置により、前記PUCCHを用いて前記送達確認情報を受信することを可能にするように制御する
ことを特徴とする無線通信方法。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(訳文は当審が作成した。下線は当審において付与した。以下、同様。)。

ア 「[0003]In traditional universal mobile telecommunications systems (UMTS) or similar radio air interfaces, the control signaling of a wireless transmit/receive unit (WTRU) that is not in a connected mode, (e.g., not using a cell-dedicated channel (DCH) in a UMTS wideband code division multiple access (WCDMA) system), is transmitted on a common downlink (DL) channel such as a forward access channel (FACH) carried on a shared physical resource such as a secondary common control physical channel (S-CCPCH). Acknowledgement signals are sent on a contentious common uplink (UL) channel, (e.g., a random access channel (RACH)).」

「(当審訳)
[0003] 従来のユニバーサル移動通信システム(UMTS)または同様の無線エアインターフェースでは、接続モードにない(例えば、UMTS広帯域コード分割マルチアクセス(WCDMA)システムにおいてセル専用チャネル(DCH)を使用しない)ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)の制御信号は、セカンダリ共通制御物理チャネル(S-CCPCH)などの共有物理リソースで伝送されるフォワードアクセスチャネル(FACH)などの共通ダウンリンク(DL)チャネルで送信される。確認応答信号は、競合する共通アップリンク(UL)チャネル(例えば、ランダムアクセスチャネル(RACH))で送信される。」

イ 「[0010] A method and apparatus for uplink transmission over a non-contentious shared feedback channel, wherein the parameters of the uplink transmission are determined by the parameters of a downlink transmission, are disclosed. A new uplink channel, called a physical shared uplink feedback channel (PSUFCH) is used for uplink transmission such as feedback information in response to a downlink transmission on a fast shared data channel. The content of the feedback information may be general, e.g. an ACK/NACK or a CQI. The PSUFCH is transmitted using power ramping that terminates upon reception of a downlink ACK (DLACK) from a Node-B. No ambiguity resolution is required due to the non-contentious and deterministic mapping of the uplink channel resources.」

「(当審訳)
[0010] アップリンク送信のパラメータがダウンリンク送信のパラメータによって決定される、非競合共有フィードバックチャネルを介したアップリンク送信のための方法および装置が開示される。物理共有アップリンクフィードバックチャネル(PSUFCH)と呼ばれる新しいアップリンクチャネルは、高速共有データチャネルでのダウンリンク送信に応答するフィードバック情報などのアップリンク送信に使用される。フィードバック情報の内容は一般的なものであり得、例えば、ACK/NACKまたはCQIである。PSUFCHは、ノードBからダウンリンクACK(DLACK)を受信すると終了するパワーランピングを使用して送信される。アップリンクチャネルリソースの非競合的で決定論的なマッピングのため、アンビギュイティの解決は必要ない。」

ウ 「[0022] When referred to hereafter, the terminology “WTRU” includes but is not limited to a user equipment (UE), a mobile station, a fixed or mobile subscriber unit, a pager, a cellular telephone, a personal digital assistant (PDA), a computer, or any other type of user device capable of operating in a wireless environment. When referred to hereafter, the terminology “base station” includes but is not limited to a Node-B, a site controller, an access point (AP), or any other type of interfacing device capable of operating in a wireless environment.
[0023] FIG. 1 shows a wireless communication system 100 including a plurality of WTRUs 110, a Node-B 120, and an RNC 130. As shown in FIG. 2, the WTRUs 110 are in communication with the Node-B 120, which is in communication with the RNC 130. The WTRUs 110 are configured to receive data transmissions from the Node-B 120 over a high speed shared data channel. The WTRUs 110 are configured to transmit feedback over a shared fast feedback channel, (i.e., PSUFCH). Although only three WTRUs 110, one Node-B 120, and one RNC 130 are shown in FIG. 1, it should be noted that any combination of wireless and wired devices may be included in the wireless communication system 100. For example, although the RNC 130 is shown in the wireless communication system 100, the RNC 130 may not exist in the system 100 and may be included in the Node-B 120 or any other entity in the system 100.
[0024] FIG. 2 is a functional block diagram 200 of the WTRU 110 and the Node-B 120 of FIG. 1. As shown in FIG. 1, the WTRU 110 is in communication with the Node-B 120 and both are configured to provide a fast uplink response to data or signaling sent on shared physical data channel without a dedicated uplink channel.
[0025] In addition to the components that may be found in a typical WTRU, the WTRU 110 includes a processor 115, a receiver 116, a transmitter 117, and an antenna 118. The processor 115 is configured to provide a fast uplink response to data or signaling sent on a shared physical data channel without a dedicated uplink channel. The receiver 116 and the transmitter 117 are in communication with the processor 115. The antenna 118 is in communication with both the receiver 116 and the transmitter 117 to facilitate the transmission and reception of wireless data.
[0026] In addition to the components that may be found in a typical Node-B, the Node-B 120 includes a processor 125, a receiver 126, a transmitter 127, and an antenna 128. The processor 125 is configured to provide a fast uplink response to data or signaling sent on shared physical data channel without a dedicated uplink channel. The receiver 126 and the transmitter 127 are in communication with the processor 125. The antenna 128 is in communication with both the receiver 126 and the transmitter 127 to facilitate the transmission and reception of wireless data.
[0027] FIG. 3 is a flowchart showing a fast uplink response to data or signaling sent on shared physical data channel without a dedicated uplink channel. A Node-B transmits a message over a shared DL channel (step 310). Upon reception of the message, the WTRU 110 generates feedback which is described below in further detail (step 320). The feedback is transmitted to the Node-B over the Physical Shared Uplink Feedback Channel (PSUFCH) (step 330). The PSUFCH is a new channel used by a WTRU to signal information such as feedback information related to downlink transmissions on a fast shared data channel. The WTRU 110 waits for a response from the Node-B to the feedback for a predetermined period of time (step 340). If no response is received from the Node-B, the WTRU 110 increases the transmission power and resends the feedback (step 350). If a response is received, usually in the form of a DLACK, the WTRU 110 does not resend the feedback (step 360). In particular the WTRU 110 sends PSUFCH transmissions in known epochs, (e.g., periodically), and using known resources, increasing its power every time until it receives DLACK.
[0028] The WTRU 110 may be either designed or instructed by the network using L3 signaling to provide the following feedback information to Node-B 120 according to a combination of any of the following embodiments.
[0029] The WTRU 110 may provide feedback to the Node-B 120 by transmitting an ACK or a NACK as necessary following each HS-DSPCH sub-frame. In this case either the ACK or NACK may be implicit while the other one of the two is sent explicitly, (e.g. a transmission may be taken by Node-B 120 to be ACK and its absence a NACK).」

「(当審訳)
[0022] 以下で言及される場合、「WTRU」という用語は、ユーザ機器(UE)、移動局、固定または移動加入者ユニット、ポケットベル、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、またはワイヤレス環境で動作可能なその他のタイプのユーザーデバイスを含むが、これらに限定されない。以下で言及される場合、「基地局」という用語は、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、または無線環境で動作することができる他のタイプのインターフェースデバイスを含むが、これらに限定されない。
[0023] 図1は、複数のWTRU110、ノードB120、およびRNC130を含む無線通信システム100を示している。図2に示されるように、WTRU110は、RNC130と通信するノードB120と通信している。WTRU110は、高速共有データチャネルを介してノードB120からのデータ送信を受信するように構成される。WTRU110は、共有高速フィードバックチャネル(すなわち、PSUFCH)を介してフィードバックを送信するように構成される。3つのWTRU110、1つのノードB120、および1つのRNC130のみが図1に示されているが、無線および有線デバイスの任意の組み合わせが無線通信システム100に含まれ得ることに留意されたい。例えば、RNC130は無線通信システム100に示されているが、RNC130がシステム100に存在せず、ノードB120またはシステム100内の他の任意のエンティティに含まれることもあり得る。
[0024] 図2は、図1に示されるWTRU110およびノードB120の機能ブロック図200である。図1に示されるように、WTRU110は、ノードB120と通信しており、両方とも、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネル上で送信されるデータまたはシグナリングに対して高速アップリンク応答を提供するように構成される。
[0025] 典型的なWTRUに見出され得る構成要素に加えて、WTRU110は、プロセッサ115、受信機116、送信機117、およびアンテナ118を含む。プロセッサ115は、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネルで送信されるデータまたはシグナリングに対して高速アップリンク応答を提供するように構成される。受信機116および送信機117は、プロセッサ115と通信している。アンテナ118は、無線データの送受信を円滑にするために、受信機116および送信機117の両方と通信している。
[0026] 典型的なノードBに見出され得る構成要素に加えて、ノードB120は、プロセッサ125、受信機126、送信機127、およびアンテナ128を含む。プロセッサ125は、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネルで送信されたデータまたはシグナリングに対して高速アップリンク応答を提供するように構成される。受信機126および送信機127は、プロセッサ125と通信している。アンテナ128は、無線データの送受信を円滑にするために、受信機126および送信機127の両方と通信している。
[0027] 図3は、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネル上で送信されたデータまたはシグナリングに対する高速アップリンク応答を示すフローチャートである。ノードBは、共有DLチャネルを介してメッセージを送信する(ステップ310)。メッセージを受信すると、WTRU110は、以下でさらに詳細に説明されるフィードバックを生成する(ステップ320)。フィードバックは、物理共有アップリンクフィードバックチャネル(PSUFCH)を介してノードBに送信される(ステップ330)。PSUFCHは、高速共有データチャネルでのダウンリンク送信に関連するフィードバック情報などの情報を通知するためにWTRUによって使用される新しいチャネルである。WTRU110は、ノードBからのフィードバックへの応答を所定の期間待機する(ステップ340)。ノードBから応答が受信されない場合、WTRU110は送信電力を増加させ、フィードバックを再送信する(ステップ350)。通常はDLACKの形式で応答を受信した場合、WTRU110はフィードバックを再送信しない(ステップ360)。特に、WTRU110は、既知の期間で(例えば、定期的に)、既知のリソースを使用してPSUFCHを送信し、DLACKを受信するまで毎回その電力を増加させる。
[0028] WTRU110は、以下の実施形態のいずれかの組み合わせに従って、以下のフィードバック情報をノードB120に提供するために、L3シグナリングを使用してネットワークによって設計または指示され得る。
[0029] WTRU110は、各HS-DSPCHサブフレームに続いて、必要に応じてACKまたはNACKを送信することによって、ノードB120にフィードバックを提供することができる。この場合、ACKまたはNACKのいずれかが暗黙的に送信され、2つのうちのもう一方が明示的に送信され得る(たとえば、送信があることはノードB120によってACKとして受け取られ、送信がないことはNACKとして受け取られる)。」

エ 「[0036] In addition, the WTRU 110 may use the PSUFCH to transmit an indication of uplink bandwidth request. The request may comprise a properly quantized buffer occupancy, happy bit, etc. and may include an indication of the type of service or to request transition to cell-DCH. The request may be transmitted as a response to polling from the Node-B 120 or attached to other feedback (such as the ACK/NACK/CQI described above). The WTRU 110 may also use the PSUFCH to transmit higher layer responses, (e.g., transmission control protocol (TCP) ACKs), or application layer responses. Additionally, the WTRU 110 may use the PSUFCH to provide specific power control feedback for downlink channels.」

「(当審訳)
[0036] さらに、WTRU110は、PSUFCHを使用して、アップリンク帯域幅要求の指示を送信することができる。要求は、適切に量子化されたバッファ占有率、ハッピービットなどを含み得、サービスのタイプの表示を含み得るか、またはセルDCHへの移行を要求し得る。要求は、ノードB120からのポーリングへの応答として送信されるか、他のフィードバック(上記のACK/NACK/CQIなど)に添付される。WTRU110はまた、PSUFCHを使用して、より高い層の応答(例えば、伝送制御プロトコル(TCP)ACK)、またはアプリケーション層の応答を送信することができる。さらに、WTRU110は、PSUFCHを使用して、ダウンリンクチャネルに特定の電力制御フィードバックを提供することができる。」

オ 「



カ 「



以上ア?カより、特に下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数のWTRU(ワイヤレス送信/受信ユニット)110、ノードB120、およびRNC130を含む無線通信システム100であって、
WTRU110は、ノードB120と通信しており、
WTRU110は、高速共有データチャネルを介してノードB120からのデータ送信を受信するように構成され、
WTRU110は、共有高速フィードバックチャネル(すなわち、PSUFCH)を介してフィードバックを送信するように構成され、
WTRU110は、プロセッサ115、受信機116、送信機117、およびアンテナ118を含み、プロセッサ115は、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネルで送信されるデータまたはシグナリングに対して高速アップリンク応答を提供するように構成され、受信機116および送信機117は、プロセッサ115と通信しており、アンテナ118は、無線データの送受信を円滑にするために、受信機116および送信機117の両方と通信しており、
ノードB120は、プロセッサ125、受信機126、送信機127、およびアンテナ128を含み、プロセッサ125は、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネルで送信されたデータまたはシグナリングに対して高速アップリンク応答を提供するように構成され、受信機126および送信機127は、プロセッサ125と通信しており、アンテナ128は、無線データの送受信を円滑にするために、受信機126および送信機127の両方と通信しており、
ノードBは、共有DLチャネルを介してメッセージを送信し、
メッセージを受信すると、WTRU110は、フィードバックを生成し、
フィードバックは、物理共有アップリンクフィードバックチャネル(PSUFCH)を介してノードBに送信され、
PSUFCHは、高速共有データチャネルでのダウンリンク送信に関連するフィードバック情報などの情報を通知するためにWTRUによって使用される新しいチャネルであり、
WTRU110はまた、PSUFCHを使用して、より高い層の応答(例えば、伝送制御プロトコル(TCP)ACK)、またはアプリケーション層の応答を送信することができる、
無線通信システム100。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の技術事項が記載されている。

(237頁21行-23行)
「10.1.2.2.2 PUCCH format 3 HARQ-ACK procedure
For PUCCH format 3, the UE shall use PUCCH resource …(中略)… for transmission of HARQ-ACK in subframe n …(後略)」

「(当審訳)
10.1.2.2.2 PUCCHフォーマット3 HARQ-ACK手順
PUCCHフォーマット3の場合、UEはサブフレームnでのHARQ-ACKの送信にPUCCHリソース…(中略)…を使用する必要がある…(後略)」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0022】
移動端末装置300は、上位プロセッサ350、通信制御プロセッサ360、無線部370、ミキサ375、及びアンテナ376を備える。
【0023】
上位プロセッサ350は、アプリケーション351と上位層の処理352の各機能ブロックを含む。アプリケーション351と上位層の処理352は、例えば、上位プロセッサ350においてそれぞれ実行される機能ブロックである。上位プロセッサ350は、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出して、図示しないRAM(Random Access Memory)にロードし、ロードした当該プログラムを実行することで、アプリケーション351と上位層の処理352などの機能ブロックを実行(又は実現)することができる。」

「【0025】
上位層の処理352は、例えば、TCP/IPプロトコルに従うデータを生成し、当該データを通信制御プロセッサ360を介して無線基地局装置に送信したり、通信プロセッサ制御部360を介して受信した当該データを受け取る。上位層の処理352は、例えば、無線基地局装置から送信された下り信号に対する送達確認を示すデータ(例えば、TCP/IP_ACKなどのデータ)を生成し、上り信号に含めて通信制御プロセッサ360に出力する。上位層の処理352は、上り信号に送達確認を示すデータを含めて通信制御プロセッサ360に出力することもできるし、送達確認を示すデータを含めずに上り信号を通信制御プロセッサ360に出力することもできる。上位層の処理352は、所定のタイミングで、送達確認を示すデータを生成し、上り信号に含めて送信することができる。」

「【0028】
通信制御プロセッサ360は、上り信号の流量測定361、上り信号の種別測定362、実行スケジュールの変更363、実行スケジュールに基づく制御364、上りリンクに対する処理365、及び下りリンクに対する処理366の各機能ブロックを含む。例えば、通信制御プロセッサ360は、図示しないROMに記憶されたプログラムを読み出し、これをRAMにロードし、ロードした当該プログラムを実行することで、これらの機能ブロックを実行(又は実現)することができる。
【0029】
上り信号の流量測定361は、通信制御プロセッサ360が実行する通信階層よりも上位層の機能ブロックを実行する上位プロセッサ350からの上りリンクに対する入力である上り信号のデータ量を測定する。上り信号の流量測定361は、測定した上り信号のデータ量を上り信号の種別測定362に出力する。
【0030】
上り信号の種別測定362は、測定したデータ量に基づいて、上り信号が上位層における送達確認を示すデータを含むかどうかを判定する。例えば、上り信号の種別測定362は、データ量が所定サイズのデータ量であるかどうか、あるいは所定サイズのデータ量を有するデータを単位時間カウントした回数が所定回数に達したかどうか、などにより判定することができる。」

以上より、特に下線部に着目すると、引用文献3には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「移動端末装置300は、上位プロセッサ350、通信制御プロセッサ360、無線部370、ミキサ375、及びアンテナ376を備え、
上位プロセッサ350は、アプリケーション351と上位層の処理352の各機能ブロックを含み、
上位層の処理352は、例えば、TCP/IPプロトコルに従うデータを生成し、当該データを通信制御プロセッサ360を介して無線基地局装置に送信したり、通信プロセッサ制御部360を介して受信した当該データを受け取り、上位層の処理352は、例えば、無線基地局装置から送信された下り信号に対する送達確認を示すデータ(例えば、TCP/IP_ACKなどのデータ)を生成し、上り信号に含めて通信制御プロセッサ360に出力し、
通信制御プロセッサ360は、上り信号の流量測定361、上り信号の種別測定362の各機能ブロックを含み、
上り信号の流量測定361は、通信制御プロセッサ360が実行する通信階層よりも上位層の機能ブロックを実行する上位プロセッサ350からの上りリンクに対する入力である上り信号のデータ量を測定し、上り信号の流量測定361は、測定した上り信号のデータ量を上り信号の種別測定362に出力し、
上り信号の種別測定362は、測定したデータ量に基づいて、上り信号が上位層における送達確認を示すデータを含むかどうかを判定すること。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0035】次に、図2はFACCHデータ及びTCHデータを送信するデータ送信部31の構成を示すブロック図である。同図において、データ送信部31は、シリアル/パラレル変換回路151、選択回路152、FIFO回路153、パラレル/シリアル変換回路154、出力制御回路155、シリアル/パラレル変換制御回路156、FIFO制御回路157、ステータス生成回路158、及びデータセット判定回路159により構成される。」

「【0043】このように、データ送信部31では、通常、CPU側からの通話またはアイドルを示す切替信号CG1に基づいて、TCHデータまたはTCHアイドルデータ(データ値は全て「0」)を送出するような動作を行っている。また、FACCHデータについては、CPU側からFIFO回路153に書き込まれたものをTCHデータまたはTCHアイドルデータをスチールして送信するようにしている。図4はこのような動作を行うデータ送信部31のタイミングを示す図であり、同図(a)は送信スロットタイミングSSL、(b)はTCH送信タイミングSTCT、(c)はFACCH送信タイミングSFCT、(d)はCPU側からの送信要求RQ、(e)はFIFOステータスFST、(f)はCPUのライト信号WRをそれぞれ示している。
【0044】ここで、図4の送信スロットタイミングでTCHデータが送信された後、CPUにより10ワードのFACCHデータがFIFO回路153に書き込まれた場合は、次の送信スロットタイミングでこのFACCHデータが送信される。ところが、送信スロットタイミングでFACCHデータを送信した後、さらにCPUが次のFACCHデータを書き込もうとしてこれが次の送信スロットタイミングに間に合わず、8ワード分のデータしか書き込めなかった場合は、FIFO制御回路157は、送信タイミングであってもFIFO回路153からのデータの読出制御を行わない。
【0045】即ち、この場合、データセット判定回路159では送信スロットタイミングのアサート直後にFIFOステータスFSTを検査し、FIFO回路153にデータが満杯状態(つまり、16ビット×10ワードのデータが蓄積されている状態)になっていないと判断すれば、送信タイミングであっても、FIFO制御回路157に対しFIFO回路153、パラレル/シリアル変換回路154及び出力制御回路155を制御させないようにする。この結果、この送信タイミングでは、データが全て「0」のTCHアイドルデータが送信される。その後、CPUが残りの2ワードのFACCHデータをFIFO回路153に書き込むと、この書き込まれたFACCHデータと既に書き込まれている8ワードのデータとは次の送信タイミングで送信される。図5は、このようなデータ送信部31の総合の動作状況を示すタイミングチャートである。」

以上より、特に下線部に着目すると、引用文献4には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「FACCHデータ及びTCHデータを送信するデータ送信部31において、
データ送信部31は、シリアル/パラレル変換回路151、選択回路152、FIFO回路153、パラレル/シリアル変換回路154、出力制御回路155、シリアル/パラレル変換制御回路156、FIFO制御回路157、ステータス生成回路158、及びデータセット判定回路159により構成され、
データ送信部31では、通常、CPU側からの通話またはアイドルを示す切替信号CG1に基づいて、TCHデータまたはTCHアイドルデータを送出するような動作を行っており、FACCHデータについては、CPU側からFIFO回路153に書き込まれたものをTCHデータまたはTCHアイドルデータをスチールして送信するようにしており、
送信スロットタイミングでTCHデータが送信された後、CPUにより10ワードのFACCHデータがFIFO回路153に書き込まれた場合は、次の送信スロットタイミングでこのFACCHデータが送信され、
送信スロットタイミングでFACCHデータを送信した後、さらにCPUが次のFACCHデータを書き込もうとしてこれが次の送信スロットタイミングに間に合わず、8ワード分のデータしか書き込めなかった場合、データセット判定回路159では送信スロットタイミングのアサート直後にFIFOステータスFSTを検査し、FIFO回路153にデータが満杯状態(つまり、16ビット×10ワードのデータが蓄積されている状態)になっていないと判断すれば、送信タイミングであっても、FIFO制御回路157に対しFIFO回路153、パラレル/シリアル変換回路154及び出力制御回路155を制御させないようにし、
その後、CPUが残りの2ワードのFACCHデータをFIFO回路153に書き込むと、この書き込まれたFACCHデータと既に書き込まれている8ワードのデータとは次の送信タイミングで送信されること。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「WTRU(ワイヤレス送信/受信ユニット)110」は、本願発明1の「無線通信装置」に相当する。

イ 引用発明は、「WTRU110は、ノードB120と通信し」、「WTRU110は、プロセッサ115、受信機116、送信機117、およびアンテナ118を含み」、「受信機116および送信機117は、プロセッサ115と通信し」、「アンテナ118は、無線データの送受信を円滑にするために、受信機116および送信機117の両方と通信し」との構成を備えているから、引用発明の「ノードB120」は、本願発明1の「他の無線送信装置」に相当し、引用発明の「受信機116、送信機117、およびアンテナ118」は、本願発明1の「他の無線通信装置と信号を送受信する通信部」に相当する。

ウ 引用発明は、「プロセッサ115は、専用のアップリンクチャネルなしで、共有物理データチャネルで送信されるデータまたはシグナリングに対して高速アップリンク応答を提供するように構成され」、「メッセージを受信すると、WTRU110は、フィードバックを生成し」、「フィードバックは、物理共有アップリンクフィードバックチャネル(PSUFCH)を介してノードBに送信され」、「WTRU110はまた、PSUFCHを使用して、より高い層の応答(例えば、伝送制御プロトコル(TCP)ACK)、またはアプリケーション層の応答を送信することができる」との構成を備えている。
ここで、伝送制御プロトコル(TCP)がOSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのプロトコルであることは技術常識であるから、引用発明の「WTRU110」は、「PSUFCH」を使用して「ノードB」、すなわち「他の無線通信装置」に対して、「伝送制御プロトコル(TCP)ACK」、すなわち、「OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータ」に対する「送達確認情報」を送信するものであるといえる。そして、当該「送達確認情報」を「第2の送達確認情報」と称し、「トランスポートレイヤ」を「第2のレイヤ」と称することは任意である。
また、引用発明の「プロセッサ115」は、本願発明1の「制御部」に相当し、引用発明において、「PSUFCH」を介したフィードバックの送信が、「他の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく」実行されるものであることは明らかである。
よって、引用発明と、本願発明1の「第1レイヤの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を用いて、前記第1レイヤのデータのみに対する第1の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信するよう制御するとともに、前記PUCCHを用いて前記第1レイヤよりも上位のレイヤである第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信することを、前記他の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく実行するように制御する制御部とを備え」、「前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータである」とは、「第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信することを、前記他の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく実行するように制御する制御部とを備え」、「前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータである」点で共通する。

(2)一致点・相違点
以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「他の無線通信装置と信号を送受信する通信部と、
第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信することを、前記他の無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順を行うことなく実行するように制御する制御部とを備え、
前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータである
ことを特徴とする無線通信装置。」

[相違点]
<相違点1>
本願発明1は、「第1レイヤの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を用いて、前記第1レイヤのデータのみに対する第1の送達確認情報を前記他の無線通信装置へ送信するよう制御」し、「第2レイヤ」は「前記第1レイヤよりも上位のレイヤである」と特定されているのに対し、引用発明では、そのような構成は特定されていない点。

<相違点2>
本願発明1は、「第2レイヤのデータに対する第2の送達確認情報」の送信が「PUCCH」を用いて行われるのに対し、引用発明では、「PSUFCH」を用いて送信が行われる点。

<相違点3>
本願発明1は、「前記制御部は、前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御」するのに対し、引用発明では、そのような構成は特定されていない点。

(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。
上記相違点3に係る本願発明1の「前記制御部は、前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御」するという構成は、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願日において周知技術であるともいえない。
なお、引用文献4には、「CPUが次のFACCHデータを書き込もうとしてこれが次の送信スロットタイミングに間に合わず、8ワード分のデータしか書き込めなかった場合」に、「その後、CPUが残りの2ワードのFACCHデータをFIFO回路153に書き込むと、この書き込まれたFACCHデータと既に書き込まれている8ワードのデータとは次の送信タイミングで送信されること」が記載されているものの、引用文献4には、「前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定」することは記載されておらず、示唆されてもいない。そうすると、当業者といえども、引用発明及び引用文献4に記載された上記技術事項から、相違点3に係る「前記制御部は、前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御」するという構成を容易に想到することはできない。
したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-13について
本願発明2-13も、上記相違点3に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明14、15について
本願発明14は、本願発明1に対応する無線通信システムの発明であり、また、本願発明15は、本願発明1に対応する無線通信方法の発明であり、本願発明14および本願発明15は、上記相違点3に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
1 理由1(特許法第36条第6項第2号)及び理由2(特許法第36条第4項第1号)について
令和2年3月10日に提出された手続補正書による補正により、請求項12が削除された。
したがって、原査定の理由1及び理由2を維持することはできない。

2 理由4(特許法第29条第2項)について
令和2年3月10日に提出された手続補正書による補正及び令和3年5月14日に提出された手続補正書による補正により、本願発明1-15は、「前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し、前記第2間隔で前記第2レイヤのデータに対する前記送達確認情報を前記PUCCHで送信するように制御」するという構成を有するものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由4を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 理由1(特許法第36条第6項第2号)について
(1)請求項1-15に係る発明の「第1間隔」及び「第1間隔より大きな第2間隔」がそれぞれどのように定められるのかが不明確であるとの通知に対し、令和3年5月14日に提出された手続補正書による補正後の請求項1、14、15において、「前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)請求項1-15に係る発明の「スケジューリング手順」とは、どのようなスケジューリング手順を意味するのか不明確であるとの通知に対し、令和3年5月14日に提出された手続補正書による補正後の請求項1、14、15において、「無線通信装置に対するスケジューリング要求を含むスケジューリング手順」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(特許法第36条第6項第1号)について
(1)請求項1-15に係る発明の「前記第2レイヤのデータを受信してから前記送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記データの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し」という点が発明の詳細な説明に記載されていないとの通知に対し、令和3年5月14日に提出された手続補正書による補正後の請求項1、14、15において、「前記第2レイヤのデータを受信してから前記第2の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信する間隔を、前記他の無線通信装置から前記第1レイヤのデータの送信に付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信してから前記第1レイヤのデータのみに対する前記第1の送達確認情報を含む前記PUCCHを送信するまでの第1間隔より大きな第2間隔に設定し」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)請求項1、2、4、6-10、13-15に係る発明は、第2レイヤが第1レイヤよりも「上位」のレイヤであること、及び第2レイヤのデータが「TCPデータ」であることを特定していないから、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されているとはいえないとの通知に対し、令和3年5月14日に提出された手続補正書による補正後の請求項1、14、15において、「前記第1レイヤよりも上位のレイヤである第2レイヤ」及び「前記第2レイヤのデータは、OSI参照モデルにおけるトランスポートレイヤのデータである」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-22 
出願番号 特願2017-561083(P2017-561083)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04L)
P 1 8・ 536- WY (H04L)
P 1 8・ 121- WY (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平井 嗣人  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 北川 純次
小田 浩
発明の名称 無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法  
代理人 林 恒徳  
代理人 土井 健二  
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