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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29C
管理番号 1375494
審判番号 不服2020-4279  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-01 
確定日 2021-06-24 
事件の表示 特願2016- 2540「成形品取出機及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月13日出願公開、特開2017-121771〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年 1月 8日の出願であって、令和 1年 8月 7日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月10日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年12月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和 2年 4月 1日に審判の請求がなされたものである。


第2 本願発明について

1 本願発明
本願発明は、令和 1年10月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の前記成形型の開閉方向を前後方向と定義し、前記射出ユニットが位置する方向を後方及び前記型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前記前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前記前後方向及び前記左右方向と直交する方向を上下方向と定義したときに、前記樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも前記可動ユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレームと、
前記前後フレームに沿って前記前後方向に移動する前後移動体と、
前記前後フレームよりも長さが短く且つ前記前後移動体を前記上下方向に通る仮想中心線を中心にして一方の端部が回動するように前記前後移動体に取り付けられた回動フレームと、
前記回動フレームに沿って移動する回動移動体と、
前記回動移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アームと、
前記上下アームの先端に設けられた取り出しヘッドと、
前記前後移動体の移動、前記回動フレームの回動、前記回動移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部を具備してなる成形品取出機。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、
本願発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、
との理由を含むものである。

引用文献1:特開2012-240290号公報
引用文献2:特開平2-128816号公報

3 引用文献の記載事項等
(1) 引用文献1の記載事項
引用文献1には、「樹脂成形品取出し機」に関して、図面とともに次の記載がある。(下線は、当審合議体が付したものである。)

「【請求項1】
樹脂成形機の固定プラテンに基端部が固定され、該樹脂成形機の操作側又は反操作側にて樹脂成形機の中心軸線と一致する前後方向で、少なくとも型開した金型と射出ユニットに至る長さからなる前後フレームと、
前後フレーム上にて上記前後方向へ往復移動可能に支持される前後走行体と、
前後フレームに対して前後走行体を往復移動する前後移動部材と、
前後走行体に対し、上記中心軸線と直交する左右方向へ移動可能に支持され、かつ上記左右方向が上記樹脂成形機の金型に至る長さからなる左右フレームと、
前後走行体に対して上記左右フレームを往復移動する第1左右移動部材と、
上記左右フレームに対して上記左右方向へ往復移動可能に支持される左右走行体と、
上記左右フレームに対して上記左右走行体を往復移動する第2左右移動部材と、
上記左右方向体に対して上下方向へ昇降可能に支持され、下部に樹脂成形品を保持する保持部材が設けられた上下アームと、
上記左右走行体に対して上記上下アームを昇降する上下移動部材と、
を備えた樹脂成形品取出し機。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形機から成形された樹脂成形品を取り出す樹脂成形品取出し機、詳しくは金型から取り出した樹脂成形品を樹脂成形機の中心軸線方向で、射出ユニットの側方に取出す樹脂成形品取出し機に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、樹脂成形品を樹脂成形機の操作側又は反操作側へ取出するタイプの樹脂成形品取出し機にあっては、樹脂成形品の開放位置が制限され、取出し作業性が悪くなる点にある。また、樹脂成形機の操作側又は反操作側に開放された樹脂成形品を集積するための広いスペースを必要とするため、限られたスペースに配置された樹脂成形機数が制約され、成形作業効率が悪くなる点にある。
【0011】
更に、縦トラバースタイプの樹脂成形品取出し機にあっては、樹脂成形品の開放位置が限定され、取出し作業性が悪くなる点にある。また、保持部材が可動側の部材と干渉しないようにするには、保持部材を高い位置まで持ち上げる必要があり、保持部材の昇降時間が長くなって樹脂成形品取出しサイクルが長くなり、高速取出しが困難になると共に樹脂成形品取出し機が設置された樹脂成形機を収容する工場の天井高さをこれらの機械高さに応じて高くする必要があり、樹脂成形品取出し機が設置された樹脂成形機の設置が制約される点にある。」

「【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、樹脂成形機の固定プラテンに基端部が固定され、該樹脂成形機の操作側又は反操作側にて樹脂成形機の中心軸線と一致する前後方向で、少なくとも型開した金型と射出ユニットに至る長さからなる前後フレームと、前後フレーム上にて上記前後方向へ往復移動可能に支持される前後走行体と、前後フレームに対して前後走行体を往復移動する前後移動部材と、前後走行体に対し、上記中心軸線と直交する左右方向へ移動可能に支持され、かつ上記左右方向が上記樹脂成形機の金型に至る長さからなる左右フレームと、前後走行体に対して上記左右フレームを往復移動する第1左右移動部材と、上記左右フレームに対して上記左右方向へ往復移動可能に支持される左右走行体と、上記左右フレームに対して上記左右走行体を往復移動する第2左右移動部材と、上記左右方向体に対して上下方向へ昇降可能に支持され、下部に樹脂成形品を保持する保持部材が設けられた上下アームと、上記左右走行体に対して上記上下アームを昇降する上下移動部材とを備えたことを最も主要な特徴とする。」

「【発明の効果】
【0013】
本発明は、樹脂成形品の開放位置に付いての場所的制約を低減し、工場スペースを有効活用して樹脂成形品を効率的に取出して成形作業を効率化することができる。また、保持部材の持ち上げ高さを高くする必要がなく、樹脂成形品取出しサイクルが長くなるのを回避して高速取出しを可能にすることができる。」

「【実施例1】
【0016】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図3に示すように、樹脂成形機1の本体3には、中心軸線方向に所要の間隔をおいて固定側プラテン5及び可動側プラテン7が相対して設けられると共に中心軸線方向に軸線を有したタイバー9が横架される。上記固定側プラテン5には、固定金型5aが固定される。また、タイバー9には、可動側取付盤11が中心軸線方向へ摺動可能に軸支され、該可動側取付盤11には、可動金型11aが固定される。
【0017】
また、可動側プラテン7側の本体3には、上記可動側取付盤11に連結される油圧シリンダ、電動モータ及びスクリュー等からなる型締めユニット13が設けられる。また、固定側プラテン5側の本体3には、射出シリンダ15a、射出シリンダ15a内に樹脂原料を供給する原料ホッパー15a等の射出ユニット15が設けられる。上記型締めユニット13は、可動側プラテン7より、また射出ユニット15は、固定側プラテン5よりそれぞれ高さを有している。
【0018】
上記固定側プラテン5の上端面には、樹脂成形品取出し機17の前後フレーム19の機部が固定される。該樹脂成形品取出し機17の前後フレーム19は、樹脂成形機1の操作側側面又は反操作側側面(図は、操作側を示す。)にて中心軸線方向で、例えば可動側プラテン7から射出ユニット15に至る長さからなる。該前後フレーム19には、前後走行体21が中心軸線方向へ往復移動するように支持される。
【0019】
前後フレーム19に対して前後走行体21を移動する前後移動部材としては、例えば前後方向に軸線を有して前後フレーム19の前後拡端部に回転可能に軸支された歯付きプーリ等の回転体(図示せず)と、一方の回転体に連結された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ23と、各回転体間に掛渡され、一部が前後走行体21に固定された歯付きベルト等の走行部材(図示せず)とから構成される。
【0020】
前後移動部材は、上記ベルト駆動機構の他に前後フレーム19に対して長手方向へ延出して固定されるラックギャと、前後走行体21に設けられ、出力軸に取り付けられたピニオンギャがラックギャに噛合わされる数値制御可能に電動モータとからなるラック・ピニオン駆動機構(いずれも図示せず)、前後フレーム19に対して長手方向へ延出して回転可能に軸支されると共に前後走行体21に設けられたナットに噛合わされる送りねじと、該送りねじを回転駆動する数値制御可能に電動モータとからなる送りねじ駆動機構、リニア駆動機構(いずれも図示せず)等の何れであってもよい。
【0021】
上記前後走行体21の上部には、中心軸線と直交する左右方向へ延出し、樹脂成形機1の側部から樹脂成形機1の中心に至る長さの左右フレーム25が左右方向へ往復移動可能に支持される。即ち、前後走行体21の上部には、直線ガイド(図示せず)が設けられ、該直線ガイドには、左右フレーム25に設けられたレール25aが摺動可能に支持される。
【0022】
上記左右フレーム25は、前後走行体21に対して第1左右移動部材により左右方向へ往復移動される。該第1左右移動部材としては、例えば前後走行体21の上部に固定される数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ27と、左右フレーム25に固定され、電動モータ27の出力軸に固定されたピニオンギャ(図示せず)が噛合わされるラックギャ(図示せず)とから構成される。上記第1左右移動部材としては、上記したベルト駆動機構、送りねじ駆動機構、リニア駆動機構等の何れであってもよい。
【0023】
左右フレーム25には、左右方向へ延出するレール25bが固定され、該レール25bには、左右走行体29が左右方向へ往復移動可能に支持される。該左右走行体29は、第2左右移動部材により左右方向へ往復移動される。該第2左右移動部材としては、例えば左右フレーム25の左右両端部にそれぞれ回転可能に軸支された回転体(図示せず)と、一方の回転体に連結された数値制御可能にサーボモータ等の電動モータ31と、両回転体に掛渡され、一部が左右走行体29に固定された歯付きベルト等の左右走行部材(図示せず)とから構成される。上記第2左右移動部材としては、上記したラック・ピニオン駆動機構、送りねじ駆動機構、リニア駆動機構等の何れであってもよい。
【0024】
上記左右走行体29には、上下方向に軸線を有した上下アーム33が昇降可能に支持され、該上下アーム33は、上下移動部材により昇降される。該上下移動部材としては、例えば上下アーム33に対して上下方向へ延出して固定されるラックギャ(図示せず)と、ラックギャに噛合うピニオンギャが出力軸に固定された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ35とから構成される。該上下移動部材としては、上記したベルト駆動機構、送りねじ駆動機構、リニア駆動機構等の何れであってもよい。
【0025】
上記上下アーム33の下部には、樹脂成形品37を保持する保持部材39が固定される。該保持部材39としては、可動金型11aの型合わせ面に相対するチャック板に対し、負圧発生源(図示せず)に接続されて樹脂成形品37を負圧吸着する多数の吸着パッドを配置した構成、圧縮空気発生源(図示せず)に接続されて樹脂成形品37を把持する多数のシリンダを設けた構成のいずれであってもよい。図は、チャック板に多数の吸着パッドを配置した例を示す。
【0026】
次に、上記のように構成された樹脂成形品取出し機17による樹脂成形品37の取出し作用を説明する。
先ず、樹脂成形機1による樹脂成形品37の成形時においては、例えば前後移動部材23の駆動により前後走行体21を前後フレーム19の固定側プラテン5に応じた位置へ移動させると共に第1左右移動部材27を駆動して左右フレーム25を固定側プラテン5寄りの一方端部側へそれぞれ移動させる。また、上記状態にて第2左右移動部材31を駆動して左右走行体29を左右フレーム25における固定側プラテン5寄りの一方端部側へ移動させると共に上下移動部材35を駆動して上下アーム33を上昇させて保持部材39を固定金型5aの上方へ移動して待機させる。(図1参照)
【0027】
該状態にて樹脂成形機1の制御装置(図示せず)から樹脂成形作業の終了により型開信号が樹脂成形品17(合議体注:「樹脂成形品取出し機17」の誤記と認められる。)の制御装置(図示せず)へ型開完了信号が出力されると、前後移動部材23を駆動して前後走行体21を前後フレーム19における可動側プラテン7寄りの他方端部側へ移動させながら上下移動部材35を駆動して上下アーム33を下降して保持部材39を型開した可動金型11aの型合わせ面に相対させる。(図4参照)
【0028】
該状態にて樹脂成形機1の突出し機構(図示せず)により可動金型11a内の樹脂成形品37が突出されて保持部材39に保持されると、上下移動部材35を上記と逆方向へ駆動して上下アーム33を上昇させながら前後移動部材23を上記と逆方向へ駆動して前後走行体21を射出ユニット15側へ移動して保持部材39に保持された樹脂成形品37を金型間から抜け出させる。
【0029】
そして保持部材39に保持された樹脂成形品37が金型間から抜け出したタイミングで射出ユニット15側に対する前後走行体21の移動を継続しながら第1左右移動部材27を上記と逆方向へ駆動して左右フレーム25を樹脂成形機1の外側へ移動させながら第2左右移動部材31を上記と逆方向へ駆動して左右走行体29を左右フレーム25の他方端部側へ移動させることにより保持部材39に保持された樹脂成形品37を射出ユニット15における原料ホッパー15bの側方で樹脂成形機1外の開放位置の上方へ移動させる。(図5参照)
【0030】
この動作時においては、前後走行体21に対して左右フレーム25を移動させながら左右フレーム25に対して左右走行体29を移動することにより樹脂成形品37を保持した保持部材39を左右走行体29の移動距離及び移動速度のほぼ2倍で移動するため、樹脂成形品37を保持した保持部材39を短時間に樹脂成形機1の外側へ移動させて原料ホッパー15bに接触するのを回避することができる。
【0031】
即ち、前後走行体21を射出ユニット15側へ移動する動作のみでは、保持部材39に保持された樹脂成形品37が原料ホッパー15bに衝突することになるが、本例では、上記したように射出ユニット15側に対する前後走行体21の移動に伴って左右フレーム25を樹脂成形機1の外側へ移動させながら左右フレーム25上にて左右走行体29を移動させることにより樹脂成形品37を保持した保持部材39を、原料ホッパー15bに対する非干渉領域を通過させて接触を回避する。
【0032】
そして上記動作により樹脂成形品37を保持した保持部材39が開放位置の上方へ移動されると、必要に応じて上下移動部材35を駆動して上下アーム33を下降し、保持部材39に保持された樹脂成形品37を開放位置に配置された箱詰め装置等の集積手段又はシューター等の排出手段(いずれも図示せず)に近接させた後に保持手段39による保持を解除して取出し動作を完了する。」

















(2) 引用文献1に記載された発明
特に、実施例の記載を中心に整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「中心軸線方向に所要の間隔をおいて固定側プラテン5及び可動側プラテン7が相対して設けられると共に中心軸線方向に軸線を有したタイバー9が横架され、上記固定側プラテン5には、固定金型5aが固定され、タイバー9には、可動側取付盤11が中心軸線方向へ摺動可能に軸支され、該可動側取付盤11には、可動金型11aが固定され、可動側プラテン7側の本体3には、上記可動側取付盤11に連結される油圧シリンダ、電動モータ及びスクリュー等からなる型締めユニット13が設けられ、固定側プラテン5側の本体3には、射出シリンダ15a、射出シリンダ15a内に樹脂原料を供給する原料ホッパー15a等の射出ユニット15が設けられた樹脂成形機1に設けられた樹脂成形品取出し機17であって、
樹脂成形機1の固定側プラテン5の上端面に、前後フレーム19の機部が固定され、
前記前後フレーム19には、前後走行体21が中心軸線方向へ往復移動するように支持され、
前記前後走行体21の上部には、中心軸線と直交する左右方向へ延出し、樹脂成形機1の側部から樹脂成形機1の中心に至る長さの左右フレーム25が左右方向へ往復移動可能に支持され、
前記左右フレーム25には、左右方向へ延出するレール25bが固定され、該レール25bには、左右走行体29が左右方向へ往復移動可能に支持され、
前記左右走行体29には、上下方向に軸線を有した上下アーム33が昇降可能に支持され、
上下アーム33の下部には、樹脂成形品37を保持する保持部材39が固定され、
制御装置により制御される、
樹脂成形品取出し機。」

(3) 引用文献2の記載事項
引用文献2には、「成形品取出し装置」に関して、図面とともに次の記載がある。

「2.特許請求の範囲
成形品取出しヘッドが先端に取り付けられ、該成形品取出しヘッドを上下に移動させるための上下アーム;
該上下アームを保持した走行ベース;
該走行ベースを前後に移動させるための前後フレームと前後案内管;
該前後フレームをその基端部を基点として水平に回転させる回転ベース;
とを備えたことを特徴とする成形品取出し装置。」

「[産業上の利用分野]
本発明は、射出成形機の上部に設置され、該成形機の金型から成形品を取出し、所定の位置に搬送するのに適した成形品取出し装置に関する。」(第1頁左下欄第15行ないし第18行)

「本発明は、かかる問題を解消し、小型でかつ作業効率を向上させることができる成形品取出し装置を提供することを目的とする。」(第2頁右上欄第12行ないし第14行)

「本発明においては、かかる前後フレーム3が、その基端部を基点として水平に回転する回転ベース4aを備えていることを最大の特徴とする。すなわち、前後フレーム3が回転ベース4aにより回転することにより、前後フレーム3は従来の横行フレームの役割を兼ねるとともに、前後フレーム3上の上下アーム2の前後移動と合わせて成形品を広範囲の位置に搬送することを可能としたものである。」(第3頁左上欄第2行ないし第10行)

「また、第1図?第3図に示したように、本装置において、必要により短い横行フレーム5を設けてもよい。この横行フレーム5は、前後フレーム3を横行フレーム5上で左右に横行させることにより、前後フレーム3を回転させたときの到達範囲を広げ、もって成形品の搬送範囲を広げるためのフレームである。したがって、従来の横行フレームのように長いものは必要ではない。」(第3頁左上欄第18行ないし同頁右上欄第5行)

「[発明の効果]
本発明の取出し装置によれば、前後フレームが回転ベースにより回転することにより、成形品を任意の位置に搬送することが可能となる。また、長い横行フレームは不要となるので装置の小型化も図ることができる。」(第3頁右下欄末行ないし第4頁左上欄第5行)













4 対比・判断
(1) 対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明の「射出ユニット15」、「型締めユニット13」、「樹脂成形機1」、「樹脂成形品取出し機17」は、それぞれ、本願発明の「射出ユニット」、「型締めユニット」、「樹脂射出成形機」、「成形品取出機」に相当する。
また、引用発明の樹脂成形機1は、「固定金型5a」が設けられた「固定側プラテン5」及び「可動側プラテン7」が相対して設けられるとともに、「可動金型11a」が固定された「可動側取付盤11」が設けられるものであるから、本願発明の「成型型を有する可動ユニット」を備えているものといえる。
そして、引用発明の「中心軸方向」は、金型の開閉方向であるから、本願発明の「前後方向」に相当し、引用発明の「中心軸線と直交する左右方向」、「上下方向」は、それぞれ、本願発明の「左右方向」、「上下方向」に相当する。
引用発明の「前後フレーム19」は、「固定プラテン5」の上端面にその「機部」が固定されていることから、「前後フレーム19」は、「樹脂成形機1」が位置する空間領域より上側に位置することは明らかであるので、本願発明の「樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも前記可動ユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレーム」にあたる。
さらに、引用発明の「前後フレーム19」に支持される「前後走行体21」は、本願発明の「前後移動体」に相当し、引用発明の「左右フレーム25」に支持される「左右走行体29」は、本願発明の「回動フレームに沿って移動する回動移動体」のうち「移動体」との限りにおいて、引用発明の「左右走行体29」に支持された「上下アーム33」は、本願発明の「回動移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アーム」のうち「移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アーム」との限りにおいて、引用発明の「上下アーム33」の下部に固定された「保持部材39」は、本願発明の「上下アームの先端に設けられた取り出しヘッド」に、引用発明の「制御装置」は、本願発明の「前記前後移動体の移動、前記回動フレームの回動、前記回動移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部」のうち「前記前後移動体の移動、前記移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部」との限りにおいて、一致する。

以上の点をふまえると、両者は、
「射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の前記成形型の開閉方向を前後方向と定義し、前記射出ユニットが位置する方向を後方及び前記型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前記前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前記前後方向及び前記左右方向と直交する方向を上下方向と定義したときに、前記樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも前記可動ユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレームと、
前記前後フレームに沿って前記前後方向に移動する前後移動体と、
移動体と、
前記回動移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アームと、
前記上下アームの先端に設けられた取り出しヘッドと、
前記前後移動体の移動、前記移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部を具備してなる成形品取出機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明は、「前後フレームよりも長さが短く且つ前記前後移動体を前記上下方向に通る仮想中心線を中心にして一方の端部が回動するように前記前後移動体に取り付けられた回動フレームと、前記回動フレームに沿って移動する回動移動体」とを有し、「前記回動フレームの回動、前記回動移動体の移動」も制御部で制御するものであるのに対して、引用発明にはそのような特定がない点。

(2) 相違点についての判断
上記相違点について検討する。

上述のとおり、引用文献2には、射出成形機の上部に設置され、該成形機の金型から成形品を取出し、所定の位置に搬送するのに適した「成形品取出し装置」に関して、「前後フレーム3が、その基端部を基点として水平に回転する回転ベース4aを備え」ることにより、成形品を任意の位置に搬送することを可能としつつ、装置の小型化も図ることができるようにするとの技術の開示がある。
そして、成形品取出し機の分野において、成形品を任意の位置に搬送することを可能としつつ装置の小型化も図るようにすることは当然の課題であるといえるところ、引用発明において、このような課題を解決するにあたり引用文献2に記載の技術を適用すること、すなわち、「フレーム」特に「左右フレーム」を回転可能な機構とすることは、当業者が容易になし得たことである。その際、成形品取出し機を構成する他の機構の制御と合わせて、左右フレームの回転機構等についても制御部で制御しようとすることに何ら困難性はない。
また、本願明細書に記載の本願発明の効果は、引用文献1及び2の記載から予測しうる程度のものにすぎない。

(3) 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、「引用文献2に記載された構造は、前後フレーム3を回転させるものですので、引用文献1の発明に引用文献2の構成を適用するのであれば、引用文献1の前後フレーム19を回動可能な構造にするはずであり、引用文献1の左右フレーム25を回動可能な構造にすることはありません」と主張する。
しかしながら、引用文献2の回転する「前後フレーム」は、「上下アーム」及び「成形品取出しヘッド」を有するフレームであって別のフレーム(横行フレーム)上に設置されるものであることからすれば、引用発明に引用文献2に記載の技術事項を適用するにあたり、「上下アーム33」及び「保持部材39」が設けられている「左右フレーム25」を回転するものとすることは、当業者にとって自然なことといえる。
また、そもそも審判請求人の上記主張は、単に引用文献1及び2に記載されている部材の名称が一致することに基づくものであると解されるところ、そのような主張は合理的ではなく、採用することができない。
その他、請求人は縷々主張するが、いずれも採用できない。


第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-04-26 
結審通知日 2021-04-27 
審決日 2021-05-10 
出願番号 特願2016-2540(P2016-2540)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関口 貴夫  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 植前 充司
大畑 通隆
発明の名称 成形品取出機及びその制御方法  
代理人 西浦 ▲嗣▼晴  
代理人 出山 匡  
代理人 ▲高▼見 良貴  
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