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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1375584
審判番号 不服2020-5733  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-27 
確定日 2021-07-01 
事件の表示 特願2015-240242「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月15日出願公開、特開2017-104275〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成27年12月9日の出願であって、令和1年5月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月1日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年1月24日付け(送達日:同年1月28日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、同年12月15日付けで拒絶の理由(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和3年3月10日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年3月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、AないしNについては、分説するため合議体が付した。)。

「A 遊技球の入球が可能な始動領域と、
B 前記始動領域に遊技球が入球したときに判定情報を取得する判定情報取得手段と、
C 前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与する特別遊技を行う契機となる特別判定情報であるか否かを判定する当該判定手段と、
D 前記当該判定手段による判定が未だ行われていない前記判定情報を、保留として所定数記憶する保留記憶手段と、
E 前記保留として記憶されている前記判定情報が、前記特別判定情報であるか否かを判定する事前判定手段と、
F 所定の演出を表示する演出表示手段と、
G 前記判定情報に基づいて前記演出表示手段にて表示される演出態様を決めるための変動パターンである確定変動パターンを決定可能な変動パターン決定手段と、
H 前記事前判定手段により判定された前記判定情報に基づいて、前記変動パターン決定手段により前記確定変動パターンが決定されたことを条件として、当該判定情報が前記当該判定手段に判定されるまでの期間において、前記演出表示手段にて表示される先読み演出を実行することが可能な先読み演出実行手段と、
I 前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数に関わらず、同一の前記確定変動パターンが決定される特定情報であるか、または、
J 前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数によって、異なる前記確定変動パターンが決定され得る不特定情報であるかを判定する情報種別判定手段と、
を備え、
K 前記変動パターン決定手段は、
前記保留として記憶された前記判定情報が前記特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンを決定する確定変動パターン決定手段と、
L 前記保留として記憶された前記判定情報が前記不特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターンを決定する擬制変動パターン決定手段と、
をさらに備え、
M 前記先読み演出実行手段は、
前記擬制変動パターンが決定された場合にも前記先読み演出を実行することが可能である、
N ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち、理由3は、概略、次のとおりである。

(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又
は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献1

引用文献1:特開2014-210111号公報

第4 引用文献1の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
当審における拒絶の理由(令和2年12月15日付け拒絶理由通知書)に引用文献1として引用された本願の出願前に頒布された特開2014-210111号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

ア 「【技術分野】【0001】
本発明は、大当り判定の先読み可能な遊技機に関する。」

イ 「【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0005】 しかし、事前判定に基づく事前予告の内容と、実際の変動内容とに齟齬が生じてしまうことで、事前予告の信頼性が大きく低下する場合があった。【0006】 そこで、本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、事前予告の信頼性を高め、遊技者の興趣を低下させることのない遊技機を提供することを目的とする。」

ウ 「【0062】
第1始動入賞口36への入賞球及び第2始動入賞口37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36a(図3参照)と始動口2スイッチ37a(図3参照)によって検出される。第1始動入賞口36に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口37に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。
【0063】
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置41においても表示される。」

エ 「【0065】
特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。」

オ 「【0084】
また、ROM111bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶している。
【0085】
変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数(振り分け乱数)をCPU111aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報である。また、変動パターン振り分け情報には、結果がはずれとなる場合に選択されるハズレ変動パターン振り分け情報、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターン振り分け情報等が含まれる。例えば、特図変動表示ゲームがリーチなしの変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてノーマル(N)リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)1リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)2リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)3リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、大当りとなる特図変動表示ゲームにてプレミアムリーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報等がある。」

カ 「【0241】
〔特図保留情報判定処理〕
次に、上述した特図始動口スイッチ共通処理における特図保留情報判定処理の詳細について説明する。図13は、本発明の第1の実施の形態の特図保留情報判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0242】
特図保留情報判定処理は、各保留記憶(始動記憶)に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該保留記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。
【0243】
遊技制御装置100は、まず、先読み演出(先読み予告)を実行するか否かの対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしているか否かをチェックする(S1301、S1302)。例えば、特別遊技状態では、特図1及び特図2の先読み演出を実行しない。また、例えば、特図2の変動表示ゲームを特図1の変動表示ゲームよりも優先して実行する遊技機では、特定遊技状態(時短遊技状態)において、特図1の保留記憶の先読み演出を実行しない。そして、先読み演出を実行してよい条件を満たしていない場合には(S1302の結果が「N」)、以降の先読み処理を行わずに本処理を終了する。
【0244】
対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合には(S1302の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、保留記憶が大当り、小当り、はずれのいずれであるかを判定する事前判定処理を実行する(S1303)。事前判定処理は、特図始動記憶領域に記憶する大当り乱数の値が、はずれ、低確率時・高確率時共通の大当り(共通大当り)、高確率時のみの大当り(特定大当り)、小当り、の各判定値としてそれぞれ設定されている所定の範囲の数値であるかを判定することによって、先読み予告の対象となる保留記憶の抽選結果を事前に判定する処理である。
【0245】
例えば、大当り判定値として「1」を低確率時の判定値、「1?10」を高確率時の判定値とした場合、大当り乱数値が1であれば低確率時・高確率時共に大当りとなる共通大当り、大当り乱数値が2?9であれば高確率時の場合のみ大当りとなる特定大当りと判定される。
【0246】
S1304?S1310では、事前判定処理の判定結果に基づいて、対応する情報テーブルを設定する。具体的には、遊技制御装置100は、まず、事前判定処理の判定結果が高確率時のみの特定大当りであるか否かを判定する(S1304)。判定結果が特定大当りである場合には(S1304の結果が「Y」)、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数チェックテーブルを大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして設定する(S1306)。大当り図柄乱数チェックテーブルには、大当りか否かの振分率を表す乱数の判定値や当該判定値に対応する大当り情報テーブルのアドレスが定義されている。続けて、当該大当り図柄乱数に対応する大当り情報テーブルを取得して設定する(S1307)。大当り情報テーブルには、図柄情報や始動口入賞演出図柄コマンドが定義されている。
【0247】
一方、判定結果が高確率時のみの特定大当りではない場合には(S1304の結果が「N」)、次に、遊技制御装置100は、事前判定処理の判定結果が低確率時・高確率時共通の共通大当りであるか否かを判定する(S1305)。判定結果が共通大当りである場合には(S1305の結果が「Y」)、S1306以降の処理を実行する。
【0248】
判定結果が共通大当りではない場合には(S1305の結果が「N」)、次に、遊技制御装置100は、事前判定処理の判定結果が小当りであるか否かを判定する(S1308)。判定結果が小当りである場合には(S1308の結果が「Y」)、対象の始動口スイッチに対応する小当り情報テーブルを設定する(S1309)。一方、判定結果が小当りではない場合には(S1308の結果が「N」)、演出内容を選択するためのテーブルとしてはずれ情報テーブルを設定する(S1310)。
【0249】
このように保留中の保留記憶に基づく変動表示ゲームの結果に応じて演出内容が設定されるので、遊技制御装置100は、変動表示ゲームの結果に対応するテーブルを設定する(S1304?S1310)。
【0250】
次に、遊技制御装置100は、設定した情報テーブルから図柄情報を取得し、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S1311)。続いて、設定した情報テーブルから始動口入賞演出図柄コマンドを取得し、当該始動口入賞演出図柄コマンドをRWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(S1312)。
【0251】
次に、遊技制御装置100は、対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグを準備し(S1313)、始動口入賞演出コマンドを設定する対象のテーブルを準備する(S1314)。
【0252】
次に、遊技制御装置100は、対象の始動口に関して設定された特図情報を設定するための特図情報設定処理を実行し(S1315)、特図変動表示ゲームの変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S1316)。
【0253】
変動パターン設定処理(S1316)は、識別情報の変動態様を示す複数の変動パターンから一つの変動パターン(変動パターン番号)を選択する処理である。
【0254】
次に、遊技制御装置100は、変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)を準備し(S1317)、準備したコマンドの設定処理を実行する(S1318)。
【0255】
次に、遊技制御装置100は、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして(S1319)、コマンド設定処理を実行する(S1320)。
【0256】
次に、遊技制御装置100は、一定の条件下において先読み演出実行コマンドを設定する事前報知設定処理を実行する(S1321)。事前報知設定処理は、事前判定処理の判定結果が特定大当りである場合であって、当該判定対象の保留記憶よりも先に確率状態を低確率に設定する通常大当りがある場合(当該判定対象の保留記憶を記憶する特図1/特図2始動記憶領域よりも前の特図1/特図2始動記憶領域に通常大当りがある場合)には、先読み演出を実行しない。その後、本処理を終了する。
【0257】
本処理中、変動パターン設定処理(S1316)後の処理では、取得した変動パターン番号に基づいて始動口入賞演出コマンドを準備し(S1317)、さらに、始動口入賞演出図柄コマンドを準備する(S1319)。そのため、保留記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する保留記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置300に対して通知することが可能になっている。演出制御装置300は、表示装置41に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する先読み演出を行う。」

キ 「【0302】
このように、事前判定の結果が高確率時のみの大当りである特定大当りの場合であって、判定対象の保留記憶よりも先に通常大当りとなる保留記憶がある場合には、先読み演出を実行しない。確率状態が高確率時であれば大当りとなる特定大当りも、低確率時には大当りとならないため、従来の遊技機では、事前判定時と実際の変動開始時との確率状態との違いによる判定のくい違いが生じるが、本実施形態の遊技機では回避可能である。」

ク 「【0325】
次に、遊技制御装置100は、RWMの特図1用の大当り乱数セーブ領域(特図1始動記憶領域、特図2始動記憶領域)から判定対象となる特図1用の大当り乱数をロードして準備した後(S2402a)、前述した大当り判定処理を実行し(S2403a)、判定対象の大当り乱数が大当りか否かを判定する(S2404a)。」

ケ 「【0749】 (第7の実施の形態)
第1の実施の形態では、先読み時の大当り判定によって得られた判定結果が「高確率時のみの大当り」である場合であって、判定対象の保留記憶よりも先に通常大当りがある場合には、先読み演出を制限した。これに対して、第7の実施の形態では、変動表示ゲームが実行される直前(以下、変動開始時と記載)の保留数に基づいて変動パターンが決定される乱数値の場合には、先読み演出を制限する。
【0750】
具体的には、本実施形態では、変動パターンの決定方法として、変動開始時の保留数に基づいて変動開始時に変動パターンが決定される保留数対応パターンと、保留数に関係なく変動パターンが決定される保留数非対応パターンとが設けられる。そして、入賞時の事前判定において、変動パターンの決定が保留数対応パターンに該当すると判定された場合には、遊技制御装置100は、専用の未確定変動パターンコマンドを演出制御装置300に送信する。未確定変動パターンコマンドを受信した演出制御装置300は、先読み演出を行わない等の先読み演出の制限をする。

【0753】
遊技制御装置100は、特図情報設定処理の実行(S1315)に続いて、変動パターン乱数の値から変動パターンを事前に判定する変動パターン事前判定処理を実行する(S7901)。
【0754】
変動パターン事前判定処理(S7901)では、図81に示す本実施形態の変動パターン選択テーブルを使用し、入賞時に取得した変動パターン乱数の圧縮値振分処理(図15参照)を実行することで、判定対象となる保留記憶の変動パターンを事前に判定する。
【0755】
本実施形態における変動パターン選択テーブルでは、変動開始時の保留数に基づいて変動開始時に変動パターンが決定される保留数対応パターンが設けられているが、入賞時に行なわれる事前判定においては、変動開始時にいずれの変動パターンが選択されるのか分からない。そこで、本実施形態では、保留数対応パターンに対応するため、事前判定時には変動パターンが未確定である変動パターン番号(図81(A)の2段目を参照)を用意する。
【0756】
次に、遊技制御装置100は、変動パターン事前判定処理(S7901)での判定結果となる変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)を準備し(S7902)、準備したコマンドの設定処理を実行する(S1318)。遊技制御装置100が保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合には、上述のとおり、専用の未確定変動パターンコマンドが準備され、コマンド設定処理が実行される。」

コ 「【0791】
〔先読み予告設定処理〕
図87は、本発明の第7の実施の形態の先読み予告設定処理の手順を示すフローチャートである。上述のとおり、先読み予告設定処理は演出制御装置300において実行される。
【0792】
本実施形態では、保留数対応パターンの乱数値である場合には先読み演出を制限するために、S5006の処理に続いて事前判定により取得した変動パターン番号が「07」であるか否かを判定する処理(S8701)が、第2実施形態の先読み演出設定処理に追加される。
【0793】
現在、先読み演出を実行中ではない場合には(S5006の結果が「N」)、演出制御装置300は、変動パターン事前判定処理において取得した変動パターン番号が「07」であるか否かを判定する(S8701)。
【0794】
変動パターン番号が「07」である場合には(S8701の結果が「Y」)、演出制御装置300は、先読み演出を制限するため、以降の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0795】
変動パターン番号が「07」でない場合には(S8701の結果が「N」)、演出制御装置300は、先読み演出を実行するため、S5007以降の処理を実行する。これにより、図52の示すように、先読み対象となる保留記憶の形態が期待度に応じて変化する先読み演出が実行される。」

サ 「【0813】 (第7の実施の形態の変形例3)
第7の実施の形態の変形例3では、事前判定時にはどの変動パターンが選択されるか分からない保留数対応パターンも先読み演出の対象とし、期待度を明確に報知しない態様として曖昧先読み演出を行う。
【0814】
以下、第7の実施の形態の変形例3について図90から図91を参照して説明する。なお、第7の実施の形態と共通する事項については記載を省略し、相違する事項のみ説明する。
【0815】
〔先読み予告設定処理〕
図90は、本発明の第7の実施の形態の変形例3の先読み予告設定処理の手順を示すフローチャートである。
【0816】
本変形例では、所定の場合に期待度を明確に報知しない曖昧先読み演出を行うために、所定の場合に先読み予告実行フラグをオンに設定する処理が第7実施形態の先読み演出設定処理に追加される。
【0817】
S8701において、変動パターン番号が「07」であると判定されると(S8701の結果が「Y」)、演出制御装置300は、先読み演出を実行するため、対象となる始動記憶表示に曖昧先読み演出である未確定先読み予告態様を設定する(S9001)。未確定先読み予告態様は、例えば、先読み演出の対象となる保留記憶を「?」として表示する等、期待度を曖昧なものとする予告態様である。
【0818】
次に、演出制御装置300は、先読み予告変更フラグをオンに設定する(S9002)。先読み予告変更フラグがオンである場合、曖昧先読み演出を行っている始動記憶の変動開始時に、始動記憶数に基づいて先読み演出の表示態様を変更する。
【0819】
一方、変動パターン番号が「07」ではない場合には(S8701の結果が「N」)、保留数非対応パターンの一部を曖昧先読み演出の報知態様に設定するため、演出制御装置300は、所定の割合での分岐処理を実行する(S9003)。
【0820】
変動パターン番号「07」は、はずれ変動選択テーブルにのみ定義されるので、仮に変動パターン番号「07」のみを期待度が不明である報知態様とすると、結果として曖昧先読み演出は、はずれである報知となってしまう。そのため、当りであっても一定の割合で期待度を明確に報知しない曖昧先読み演出が実行されるように、変動パターン番号「07」以外の変動パターン番号の一部をS9001の処理へと分岐させる。
【0821】
〔本変形例の演出態様を説明する画面遷移図〕
図91は、本発明の第7の実施の形態の変形例3の先読み演出の態様を説明するための画面遷移図である。
【0822】
(A)?(B)は、先読み対象となる保留記憶が発生し、次に実行されるという状況の画面であり、(C)?(E)は、先読み対象となる保留記憶が実行される直前の保留数によって演出態様が異なることを説明するために3パターンに分かれている。
【0823】
(A)は、先読み対象となる保留記憶が入賞し、保留記憶が「?」として未確定先読み予告態様による先読み演出が実行された画面である。事前判定により変動パターン番号「07」を取得した保留記憶、及び事前判定により「07」以外の変動パターン番号を取得した保留記憶のうち所定の割合の保留記憶が先読み対象となる。
【0824】
(B)は、先読み対象の保留記憶よりのひとつ前に入賞した保留記憶が消化されて、新たな変動表示ゲームが実行された画面である。
【0825】
(C-1)?(C-3)は、先読み対象となる保留記憶が実行される直前の保留数によって異なっており、(C-1)は保留数が1個である画面、(C-2)は保留数が2個である画面、(C-3)は保留数が4個である画面である。
【0826】
先読み対象となる保留記憶のひとつ前の保留記憶による変動表示ゲームが確定して、先読み対象の保留記憶が実行されるまでのインターバル期間である(C)までは、先読み演出は「?」として未確定先読み予告態様の状態である。
【0827】
(D)は、先読み対象の保留記憶が実行される直前の画面である。(D)が表示される時間は(C)から(E)へと遷移する間の僅かな時間であるが、先読み演出が未確定先読み予告態様から、変動開始時に実際に振り分けられた変動パターンに基づいた演出態様に変化する。
【0828】
(D-1)での先読み演出は、保留数が1個であるため、保留数1用の選択テーブルによって振り分けられた変動パターンとして期待度の高位のリーチ態様が選択されたことを示唆する先読み態様Bに変化している。
【0829】
(D-2)での先読み演出は、保留数が2個であるため、保留数2用の選択テーブルによって振り分けられた変動パターンとして期待度が中位のリーチ態様が選択されたことを示唆する先読み態様Aに変化している。
【0830】
(D-3)での先読み演出は、保留数が4個であるため、通常変動が選択されたことを示唆する通常の保留表示態様に変化している。
【0831】
(E-1)?(E-3)は、先読み対象の保留記憶が消化されて、変動表示ゲームが実行された画面である。
【0832】
このように、保留数対応パターン及び保留数非対応パターンの一部は、入賞時から変動開始直前まで、例えば、「?」として先読み演出がされ、変動開始直前の僅かな時間において実際に振り分けられた変動パターンに基づく期待度を報知する。これにより、先読み対象の保留記憶が変動開始の直前まで不明であるため、遊技者に期待感を与えるとともに、保留数対応パターンについて実際の期待度と矛盾なく先読み演出が可能となる。
【0833】
また、保留数非対応パターンについても第7実施形態のとおり、先読み演出が実行可能であるため、保留数対応パターン及び保留数非対応パターンのいずれも先読み演出が可能となる。
【0834】
なお、本変形例では、変動開始時に実際に振り分けられた変動パターンに基づいて先読み演出の演出態様を変化させたが、事前判定で変動パターン番号「07」以外を取得した保留記憶に関しては、それぞれの変動パターン番号に基づいた先読み演出態様とする一方、事前判定で変動パターン番号「07」を取得した保留記憶に関しては、変動開始時の保留数に基づいて、先読み態様を変更するようにしてもよい。具体的には、保留数が1の場合は必ずリーチが発生するので期待度中の先読み態様Bに、保留数が2または3の場合はリーチまたは通常変動が発生するので期待度低の先読み態様Aに、保留数が4の場合は必ず通常変動が発生するので先読み態様を終了させて通常時の保留表示態様に変更するようにしてもよい。このようにした場合、変動開始時の変動パターンの判定結果を確認することなく、曖昧先読み演出の表示態様を変更させることができる。
【0835】
〔第7の実施の形態の変形例3の効果〕
以上のように、本発明の第7の実施の形態の変形例3によれば、保留数対応パターンについても実際の変動内容との矛盾が生じがたい態様にて先読み演出が可能であり、遊技の興趣が向上する。【0836】 なお、本願において、先読み演出を実行しないように制御するにあたっては、全く先読み演出を実行しないようにすること以外にも、チャンスアップ演出しか実行しない、激熱演出は実行しない、など、少なくとも、当選確実を報知する当確演出は実行しないように制御してもよい。」

2 引用発明
(1)第1実施形態の発明
引用文献1の【0011】?【0388】は、第1の実施の形態を説明するものであり、第1の実施の形態として、以下の発明(以下、「第1実施形態の発明」という)が記載されていると認められる。

第1実施形態の発明:
「a 第1始動入賞口36への入賞球及び第2始動入賞口37への入賞球は、それぞれ内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出され、第1始動入賞口36に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口37に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶され(【0062】)、
bd 始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶され、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置41においても表示され(【0063】)、
c 遊技制御装置100は、RWMの特図1用の大当り乱数セーブ領域(特図1始動記憶領域、特図2始動記憶領域)から判定対象となる特図1用の大当り乱数をロードして準備した後、大当り判定処理を実行し、判定対象の大当り乱数が大当りか否かを判定し(【0325】)、
e 遊技制御装置100は、先読み演出(先読み予告)を実行するか否かの対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしているか否かをチェックし、対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合には、遊技制御装置100は、特図始動記憶領域に記憶する大当り乱数の値が、はずれ、低確率時・高確率時共通の大当り(共通大当り)、高確率時のみの大当り(特定大当り)、小当り、の各判定値としてそれぞれ設定されている所定の範囲の数値であるかを判定することによって、先読み予告の対象となる保留記憶の抽選結果を事前に判定する処理である事前判定処理を実行し(【0243】、【0244】)、
f 表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっており(【0065】)、
g ROM111bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶しており(【0084】)、変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数(振り分け乱数)をCPU111aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報であり(【0085】)、
h’ 変動パターン設定処理後の処理では、取得した変動パターン番号に基づいて始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、始動口入賞演出図柄コマンドを準備することで、保留記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する保留記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置300に対して通知することが可能になっており、演出制御装置300は、表示装置41に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する先読み演出を行い(【0257】)、
o 事前判定の結果が高確率時のみの大当りである特定大当りの場合であって、判定対象の保留記憶よりも先に通常大当りとなる保留記憶がある場合には、先読み演出を実行しない(【0302】)
n 遊技機(【0001】)。」

(2)第7実施形態の発明
引用文献1の【0749】の、
「第1の実施の形態では、先読み時の大当り判定によって得られた判定結果が「高確率時のみの大当り」である場合であって、判定対象の保留記憶よりも先に通常大当りがある場合には、先読み演出を制限した。これに対して、第7の実施の形態では、変動表示ゲームが実行される直前(以下、変動開始時と記載)の保留数に基づいて変動パターンが決定される乱数値の場合には、先読み演出を制限する。」
との記載及び「第7の実施形態」についての説明である【0749】?【0798】の記載を参照すると、「第1実施形態の発明」の構成h’の
「変動パターン設定処理後の処理では、取得した変動パターン番号に基づいて始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、始動口入賞演出図柄コマンドを準備すること」
と、【0756】の
「遊技制御装置100は、変動パターン事前判定処理(S7901)での判定結果となる変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)を準備」すること
は同じ処理について述べたものであると認められることから、第7の実施形態として、上記の「第1実施形態の発明」の構成h’及び構成oを、それぞれ以下のように構成h-i-j-k-l及び構成m’に置き換えた発明(以下、「第7実施形態の発明」という。)が記載されていると認められる(下線部は、「第1実施形態の発明」から置き換えられた箇所を示す。)。

第7実施形態の発明:
「a 第1始動入賞口36への入賞球及び第2始動入賞口37への入賞球は、それぞれ内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出され、第1始動入賞口36に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口37に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶され(【0062】)、
bd 始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶され、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置41においても表示され(【0063】)、
c 遊技制御装置100は、RWMの特図1用の大当り乱数セーブ領域(特図1始動記憶領域、特図2始動記憶領域)から判定対象となる特図1用の大当り乱数をロードして準備した後、大当り判定処理を実行し、判定対象の大当り乱数が大当りか否かを判定し(【0325】)、
e 遊技制御装置100は、先読み演出(先読み予告)を実行するか否かの対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしているか否かをチェックし、対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合には、遊技制御装置100は、特図始動記憶領域に記憶する大当り乱数の値が、はずれ、低確率時・高確率時共通の大当り(共通大当り)、高確率時のみの大当り(特定大当り)、小当り、の各判定値としてそれぞれ設定されている所定の範囲の数値であるかを判定することによって、先読み予告の対象となる保留記憶の抽選結果を事前に判定する処理である事前判定処理を実行し(【0243】、【0244】)、
f 表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっており(【0065】)、
g ROM111bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶しており(【0084】)、変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数(振り分け乱数)をCPU111aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報であり(【0085】)、
h-i-j-k-l 遊技制御装置100は、変動パターン乱数の値から変動パターンを事前に判定する変動パターン事前判定処理を実行し(【0753】)、変動パターン事前判定処理で使用する変動パターン選択テーブルでは、変動開始時の保留数に基づいて変動開始時に変動パターンが決定される保留数対応パターンに対応するため、事前判定時には変動パターンが未確定である変動パターン番号が用意され(【0754】、【0755】)、遊技制御装置100は、変動パターン事前判定処理での判定結果となる変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)を準備し、準備したコマンドの設定処理を実行し、遊技制御装置100が保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合には、専用の未確定変動パターンコマンドを準備し、コマンド設定処理を実行することで(【0756】)、保留記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する保留記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置300に対して通知することが可能になっており、演出制御装置300は、表示装置41に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する先読み演出を行い(【0257】)、
m’ 変動パターン番号が「07」である場合には、演出制御装置300は、先読み演出を制限するため、先読み予告設定処理を終了し、変動パターン番号が「07」でない場合には、演出制御装置300は、先読み演出を実行するための処理を実行し、これにより、先読み対象となる保留記憶の形態が期待度に応じて変化する先読み演出が実行される(【0794】、【0795】)
n 遊技機(【0001】)。」

(3)引用発明
引用文献1の【0813】の
「第7の実施の形態の変形例3では、事前判定時にはどの変動パターンが選択されるか分からない保留数対応パターンも先読み演出の対象とし、期待度を明確に報知しない態様として曖昧先読み演出を行う」
との記載及び「第7の実施の形態の変形例3」についての説明である【0813】乃至【0836】によれば、第7の実施の形態の変形例3として、上記の「第7実施形態の発明」の構成m’を、以下のように、構成mに置き換えることができる(以下の「第7実施形態の発明」の構成m’を、構成mに置き換えた発明を、以下では「引用発明」という。下線部は、「第7実施形態の発明」から置き換えられた箇所を示す。)。

引用発明:
「a 第1始動入賞口36への入賞球及び第2始動入賞口37への入賞球は、それぞれ内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出され、第1始動入賞口36に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口37に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶され(【0062】)、
bd 始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶され、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置41においても表示され(【0063】)、
c 遊技制御装置100は、RWMの特図1用の大当り乱数セーブ領域(特図1始動記憶領域、特図2始動記憶領域)から判定対象となる特図1用の大当り乱数をロードして準備した後、大当り判定処理を実行し、判定対象の大当り乱数が大当りか否かを判定し(【0325】)、
e 遊技制御装置100は、先読み演出(先読み予告)を実行するか否かの対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしているか否かをチェックし、対象となる保留記憶が先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合には、遊技制御装置100は、特図始動記憶領域に記憶する大当り乱数の値が、はずれ、低確率時・高確率時共通の大当り(共通大当り)、高確率時のみの大当り(特定大当り)、小当り、の各判定値としてそれぞれ設定されている所定の範囲の数値であるかを判定することによって、先読み予告の対象となる保留記憶の抽選結果を事前に判定する処理である事前判定処理を実行し(【0243】、【0244】)、
f 表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっており(【0065】)、
g ROM111bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶しており(【0084】)、変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数(振り分け乱数)をCPU111aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報であり(【0085】)、
h-i-j-k-l 遊技制御装置100は、変動パターン乱数の値から変動パターンを事前に判定する変動パターン事前判定処理を実行し(【0753】)、変動パターン事前判定処理で使用する変動パターン選択テーブルでは、変動開始時の保留数に基づいて変動開始時に変動パターンが決定される保留数対応パターンに対応するため、事前判定時には変動パターンが未確定である変動パターン番号が用意され(【0754】、【0755】)、遊技制御装置100は、変動パターン事前判定処理での判定結果となる変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)を準備し、準備したコマンドの設定処理を実行し、遊技制御装置100が保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合には、専用の未確定変動パターンコマンドを準備し、コマンド設定処理を実行し(【0756】)、変動パターン設定処理後の処理では、取得した変動パターン番号に基づいて始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、始動口入賞演出図柄コマンドを準備することで、保留記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する保留記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置300に対して通知することが可能になっており、演出制御装置300は、表示装置41に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する先読み演出を行い(【0257】)、
m 変動パターン番号が「07」であると判定されると、演出制御装置300は、先読み演出を実行するため、対象となる始動記憶表示に曖昧先読み演出である未確定先読み予告態様を設定し、未確定先読み予告態様は、例えば、先読み演出の対象となる保留記憶を「?」として表示する等、期待度を曖昧なものとする予告態様であり(【0817】)、次に、演出制御装置300は、先読み予告変更フラグをオンに設定し、先読み予告変更フラグがオンである場合、曖昧先読み演出を行っている始動記憶の変動開始時に、始動記憶数に基づいて先読み演出の表示態様を変更し(【0818】)、一方、変動パターン番号が「07」ではない場合には、保留数非対応パターンの一部を曖昧先読み演出の報知態様に設定するため、演出制御装置300は、所定の割合での分岐処理を実行する(【0819】)
n 遊技機(【0001】)。」

第5 対比
1 本願発明について
(1)本願発明と引用発明の対比に先立ち、本願発明の
「B 前記始動領域に遊技球が入球したときに判定情報を取得する判定情報取得手段と」
「C 前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与する特別遊技を行う契機となる特別判定情報であるか否かを判定する当該判定手段と
「E 前記保留として記憶されている前記判定情報が、前記特別判定情報であるか否かを判定する事前判定手段と」
「G 前記判定情報に基づいて前記演出表示手段にて表示される演出態様を決めるための変動パターンである確定変動パターンを決定可能な変動パターン決定手段と」
「H 前記事前判定手段により判定された前記判定情報に基づいて、前記変動パターン決定手段により前記確定変動パターンが決定されたことを条件として、当該判定情報が前記当該判定手段に判定されるまでの期間において、前記演出表示手段にて表示される先読み演出を実行することが可能な先読み演出実行手段と」
との各構成における「判定情報」、「前記判定情報」、「当該判定情報」の異同について検討する。

(2)本願発明の構成Bにおける「判定情報」に対応しうる本願明細書に記載の構成は、以下の記載から、
・「大当たり決定乱数」
・「当たり図柄乱数」
・「変動演出パターン(変動態様や変動時間)を決定するための各種乱数(リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)」
である。

「【0079】
具体的に、大当たり決定乱数は、第1始動入賞口24に遊技球が入賞したことを契機に(第1始動入賞口検出スイッチ24aからの検出信号が主制御基板100に入力されたタイミングで)、または、第2始動入賞口26に遊技球が入賞したことを契機に(第2始動入賞口検出スイッチ26aからの検出信号が主制御基板100に入力されたタイミングで)取得される。また、各始動入賞口24,26に入賞した場合には、それぞれ1つの大当たり決定乱数が取得される。」
「【0088】
当たり図柄乱数は、上述した大当たり決定乱数と同様に、第1始動入賞口24に遊技球が入賞したことを契機に(第1始動入賞口検出スイッチ24aからの検出信号が主制御基板100に入力されたタイミングで)取得される。または、第2始動入賞口26に遊技球が入賞したことを契機に(第2始動入賞口検出スイッチ26aからの検出信号が主制御基板100に入力されたタイミングで)取得される。また、各始動入賞口24,26に入賞した場合には、それぞれ1つの当たり図柄乱数が取得される。」
「【0133】
また、上述した大当たり決定乱数、当たり図柄乱数と同様に、第1始動入賞口24に遊技球が入賞したことを契機として(第1始動入賞口検出スイッチ24aからの検出信号が主制御基板100に入力されたタイミングで)、または、第2始動入賞口26に遊技球が入賞したことを契機として(第2始動入賞口検出スイッチ26aからの検出信号が主制御基板100に入力されたタイミングで)、変動演出パターン(変動態様や変動時間)を決定するための各種乱数(リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)が取得される。また、各始動入賞口24,26に入賞した場合には、それぞれ1つのリーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数が取得される。」

(3)本願発明の構成Cにおける「前記判定情報」に対応しうる本願明細書に記載の構成は、以下の記載から、「大当たり決定乱数」であると認められる。

「【0090】
また、上述した大当たり決定乱数が大当たりまたは小当たりに当選しているか否か(特別図柄の当否)を決定するものであるのに対して、当たり図柄乱数は、特別図柄の種別を決定するためのものである。すなわち、大当たりの内容(種別、ラウンド数、電サポ回数、アタッカー開放パターン)または小当たりの内容(種別、アタッカー開放パターン)が当たり図柄乱数により決定される。」

(4)本願発明の構成Eにおける「前記判定情報」に対応しうる本願明細書に記載の構成は、以下の記載から、「大当たり決定乱数値」であると認められる。

「【0304】
図24を用いて、主制御基板100の事前判定処理を説明する。
【0305】
(ステップS221)
まず、メインCPU100aは、大当たり決定乱数判定テーブル(図7参照)から、現時点の遊技状態に対応するテーブルを選択し、この選択したテーブルと、上述のステップS205(またはステップS305)で取得された大当たり決定乱数値とに基づいて、大当たりの抽選の結果を判定する大当たり判定処理を実行する。その後、当該判定の結果(大当たりまたはハズレ)に係るデータをメインRAM100c内に設けられた特図データ処理領域に記憶する。」

(5)本願発明の構成Gにおける「前記判定情報」に対応しうる本願明細書に記載の構成は、上記5-1-1で引用した【0133】の記載から、「変動演出パターン(変動態様や変動時間)を決定するための各種乱数(リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)」であると認められる。

(6)本願発明の構成Hにおける「前記判定情報」及び「当該判定情報」は、構成Hの記載によれば、いずれも本願発明の構成Eにおける「前記判定情報」と同一のものであるから、これらに対応しうる本願明細書に記載の構成は、「大当たり決定乱数値」であると認められる。

(7)上記(2)?(6)によれば、本願発明の構成B、C、E、G、Hにおける「判定情報」、「前記判定情報」及び「当該判定情報」に相当しうる本願明細書に記載の構成は、それぞれ以下のとおりである。

・本願発明の構成Bの「判定情報」…「大当たり決定乱数」、「当たり図柄乱数」、「変動演出パターン(変動態様や変動時間)を決定するための各種乱数(リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)」
・本願発明の構成Cの「前記判定情報」…「大当たり決定乱数」
・本願発明の構成Eの「前記判定情報」…「大当たり決定乱数値」
・本願発明の構成Gの「前記判定情報」…「変動演出パターン(変動態様や変動時間)を決定するための各種乱数(リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)」
・本願発明の構成Hの「前記判定情報」、「当該判定情報」…「大当たり決定乱数値」

したがって、本願発明の構成Bにおける「判定情報」は、複数の情報からなるものであり、本願発明の構成C、E、Hにおける「前記判定情報」、「当該判定情報」と本願発明の構成Gにおける「前記判定情報」は、異なる情報であると認められる。

2 本願発明と引用発明の対比
上記1(7)をふまえて、本願発明と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の「第1始動入賞口36」及び「第2始動入賞口37」は、本願発明の「遊技球の入球が可能な始動領域」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aを備える。

(b)引用発明の「大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値」は、本願発明の「判定情報」に相当する。
引用発明の「始動入賞球の検出時に」「抽出され」る「大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値」が「記憶され」る「遊技制御装置100」は、本願発明の「前記始動領域に遊技球が入球したときに判定情報を取得する判定情報取得手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成bdは、本願発明の構成Bを備える。

(c)引用発明の「大当り」は、本願発明の「遊技者に有利な遊技利益を付与する特別遊技」に相当する。
引用発明の「判定対象の大当り乱数が大当りか否かを判定」する「遊技制御装置100」は、本願発明の「前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与する特別遊技を行う契機となる特別判定情報であるか否かを判定する当該判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cを備える。

(d)引用発明の「抽出された乱数値」を「遊技制御装置100内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶」し、「この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置41においても表示され」ることは、本願発明の「前記当該判定手段による判定が未だ行われていない前記判定情報を、保留として所定数記憶する」ことに相当する。
引用発明の「抽出された乱数値」を「記憶」する「遊技制御装置100」は、本願発明の「保留記憶装置」と同一の機能を有する。
したがって、引用発明の構成bdは、本願発明の構成Dを備える。

(e)引用発明の「遊技制御装置100は、特図始動記憶領域に記憶する大当り乱数の値が、はずれ、低確率時・高確率時共通の大当り(共通大当り)、高確率時のみの大当り(特定大当り)、小当り、の各判定値としてそれぞれ設定されている所定の範囲の数値であるかを判定すること」は、本願発明の「前記保留として記憶されている前記判定情報が、前記特別判定情報であるか否かを判定する」ことに相当する。
引用発明の上記判定を行う「遊技制御装置100」は、本願発明の「事前判定手段」と同一の機能を有する。
したがって、引用発明の構成eは、本願発明の構成Eを備える。

(f)引用発明の「各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになって」いる「表示装置41」は、本願発明の「所定の演出を表示する演出表示手段」に相当する。

(g)引用発明の構成fによれば、表示装置41にて実行される飾り特図変動表示ゲームは、各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させるものであるから、引用発明の構成gの「特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン」は、特図変動表示ゲームに対応する表示装置41にて実行される飾り特図変動表示ゲームの変動表示についても規定するものであると認められる。
そうすると、引用発明の
・「変動パターン乱数…を参照して」
・「特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定」し、特図変動表示ゲームに対応する表示装置41にて実行される飾り特図変動表示ゲームの変動表示についても規定する「変動パターン」
は、それぞれ本願発明の
・「前記判定情報に基づいて」
・「前記演出表示手段にて表示される演出態様を決めるための変動パターンである確定変動パターン」
に相当する。
引用発明の「変動パターン」を決定する「CPU111b」は、本願発明の「変動パターン決定手段」と同一の機能を有する。
したがって、引用発明の構成gは、本願発明の構成Gを備える。

(h)引用発明の構成h-i-j-k-lにおける「変動パターン乱数の値」は、引用発明の構成bの「遊技制御装置100」によって「記憶され」る「変動パターン乱数値」と同一のものであって、本願発明の構成Hの「前記事前判定手段により判定された前記判定情報」に相当する。
引用発明の構成h-i-j-k-lにおいて、「遊技制御装置100は、変動パターン乱数の値から変動パターンを事前に判定する変動パターン事前判定処理を実行」することは、本願発明の「前記事前判定手段により判定された前記判定情報に基づいて、前記変動パターン決定手段により前記確定変動パターンが決定され」ることに相当する。
引用発明の構成h-i-j-k-lにおいて、「遊技制御装置100は、変動パターン乱数の値から変動パターンを事前に判定する変動パターン事前判定処理を実行」することは、本願発明の「前記事前判定手段により判定された前記判定情報に基づいて、前記変動パターン決定手段により前記確定変動パターンが決定され」てから、「取得した変動パターン番号に基づいて始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、始動口入賞演出図柄コマンドを準備することで、保留記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する保留記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に」「通知」され、「表示装置41に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する先読み演出を行う」「演出制御装置300」は、本願発明の
「前記事前判定手段により判定された前記判定情報に基づいて、前記変動パターン決定手段により前記確定変動パターンが決定されたことを条件として、当該判定情報が前記当該判定手段に判定されるまでの期間において、前記演出表示手段にて表示される先読み演出を実行することが可能な先読み演出実行手段」
と同一の機能を有することから、引用発明の構成h-i-j-k-lは、本願発明の構成Hを備える。

(ij)引用発明の「遊技制御装置100」が「変動パターン番号「07」」以外の変動パターン番号を取得した場合に「準備」され「コマンド設定処理を実行」される「変動パターン事前判定処理での判定結果となる変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)」は、「遊技制御装置100が保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合に」「準備」され「コマンド設定処理を実行」される「専用の未確定変動パターンコマンド」とは異なる変動パターンコマンドであると認められる。
そうすると、引用発明の
・「事前判定時には変動パターンが未確定である変動パターン番号」である「変動パターン番号「07」」
・引用発明の「事前判定時には変動パターンが未確定である変動パターン番号」である「変動パターン番号「07」」以外の「変動パターン番号」
は、それぞれ本願発明の
・「前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数によって、異なる前記確定変動パターンが決定され得る不特定情報」
・「前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数に関わらず、同一の前記確定変動パターンが決定される特定情報」
に相当する。
引用発明の「遊技制御装置100」は、「取得する変動パターン番号」が「07」であるか否かを判定するものといえるから、本願発明の
「I 前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数に関わらず、同一の前記確定変動パターンが決定される特定情報であるか、または、
J 前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数によって、異なる前記確定変動パターンが決定され得る不特定情報であるかを判定する情報種別判定手段」
と同一の機能を有することから、引用発明の構成h-i-j-k-lは、本願発明の構成I及びJを備える。

(kl)引用発明において、「保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合には、専用の未確定変動パターンコマンドを準備し、コマンド設定処理を実行」することは、本願発明の「前記保留として記憶された前記判定情報が前記不特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターンを決定する」ことに相当する。
また、引用発明の「遊技制御装置100」が「変動パターン番号「07」」以外の変動パターン番号を取得した場合に「準備」され「コマンド設定処理を実行」される「変動パターン事前判定処理での判定結果となる変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び始動口入賞演出コマンド(ACTION)」は、上記(ij)で検討したように、「遊技制御装置100が保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合に」「準備」され「コマンド設定処理を実行」される「専用の未確定変動パターンコマンド」とは異なる変動パターンコマンドであると認められるから、本願発明の「前記保留として記憶された前記判定情報が前記特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンを決定する」ことに相当する。
引用発明において、これらの決定を行う「遊技制御装置100」は、本願発明の「確定変動パターン決定手段」及び「擬制変動パターン決定手段」の機能を有するものであるから、引用発明の構成h-i-j-k-lは、本願発明の構成K及びLを備える。

(m)引用発明において、
「演出制御装置300」が「変動パターン番号が「07」であると判定されると」、「先読み演出を実行するため、対象となる始動記憶表示に曖昧先読み演出である未確定先読み予告態様を設定し、未確定先読み予告態様は、例えば、先読み演出の対象となる保留記憶を「?」として表示する等、期待度を曖昧なものとする予告態様であり、次に、演出制御装置300は、先読み予告変更フラグをオンに設定し、先読み予告変更フラグがオンである場合、曖昧先読み演出を行っている始動記憶の変動開始時に、始動記憶数に基づいて先読み演出の表示態様を変更」すること
は、本願発明の
「前記先読み演出実行手段は、
前記擬制変動パターンが決定された場合にも前記先読み演出を実行することが可能である」
ことに相当するから、引用発明の構成mは、本願発明の構成Mを備える。

(n)引用発明の「遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、
「A 遊技球の入球が可能な始動領域と、
B 前記始動領域に遊技球が入球したときに判定情報を取得する判定情報取得手段と、
C 前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与する特別遊技を行う契機となる特別判定情報であるか否かを判定する当該判定手段と、
D 前記当該判定手段による判定が未だ行われていない前記判定情報を、保留として所定数記憶する保留記憶手段と、
E 前記保留として記憶されている前記判定情報が、前記特別判定情報であるか否かを判定する事前判定手段と、
F 所定の演出を表示する演出表示手段と、
G 前記判定情報に基づいて前記演出表示手段にて表示される演出態様を決めるための変動パターンである確定変動パターンを決定可能な変動パターン決定手段と、
H 前記事前判定手段により判定された前記判定情報に基づいて、前記変動パターン決定手段により前記確定変動パターンが決定されたことを条件として、当該判定情報が前記当該判定手段に判定されるまでの期間において、前記演出表示手段にて表示される先読み演出を実行することが可能な先読み演出実行手段と、
I 前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数に関わらず、同一の前記確定変動パターンが決定される特定情報であるか、または、
J 前記判定情報が前記保留記憶手段に記憶されている前記保留の総数によって、異なる前記確定変動パターンが決定され得る不特定情報であるかを判定する情報種別判定手段と、
を備え、
K 前記変動パターン決定手段は、
前記保留として記憶された前記判定情報が前記特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンを決定する確定変動パターン決定手段と、
L 前記保留として記憶された前記判定情報が前記不特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターンを決定する擬制変動パターン決定手段と、
をさらに備え、
M 前記先読み演出実行手段は、
前記擬制変動パターンが決定された場合にも前記先読み演出を実行することが可能である、
N 遊技機。」
である点で一致し、相違するところはない。

したがって、本願発明は、引用発明である。

第6 意見書における主張について
1 意見書における主張
審判請求人は、令和3年3月10日提出の意見書において、以下の旨主張する。

(主張1)「さらに、擬制変動パターン、つまり変動パターンを決定することは、当然にして変動モード番号および変動パターン番号を選択して変動時間を決定することであり、このことは遊技機の分野において周知の事項です。実際、本願明細書の例えば段落0133等には、「変動演出パターン(変動態様や変動時間)」と記載され、図15には変動モード番号に対応付けられた変動時間および変動パターン番号に対応付けられた変動時間が示されています。よって、補正後の請求項1の「擬制変動パターンを決定する」との記載には、補正の示唆のように変動時間を暫定的に決定している意味も含まれていることは当業者にとっても明らかです。そのため、この記載とは別に「変動時間が対応付けられた所定の変動パターン番号を選択し、暫定的に変動時間を決定して」との記載を採用する必要はないと考えました。」

(主張2)「(3-3)本願発明と引用発明1との対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、両者は以下の点において相違しています。
本願発明は、保留として記憶された判定情報が不特定情報であると判定された場合でも、擬制変動パターンを決定するのに対して、引用発明1は、上記したように変動パターン番号「07」が振り分けられた場合には、変動パターンは未確定として決定されない(引用文献1の図81(A)の2段目を参照)という点において異なっています。
よって、上記の点において、本願発明と引用発明1とは明らかに構成が相違しています。したがって、本願発明は特許法第29条第1項第3号(理由3)に該当しないものと思料致します。
また、引用発明1は本願発明の上記特徴的な構成を備えていないので、本願発明が有する格別の効果を奏することはできません。むしろ、引用発明1は、保留数対応パターンに該当すると判定された場合には、変動パターンを決定していないので、曖昧先読み演出という単純な先読み演出しか実行することができません。」

(主張3)「また、本願発明は、特定情報と不特定情報とで、変動パターンの変動時間を同じにしたときには、特定情報(「00H」)の場合の演出と、不特定情報(「7FH」)の場合の演出とを同様の演出パターンとして取り扱うことが可能となります。したがって、少なくとも変動時間に係る情報が確定していることを条件として先読み演出の実行の可否を決定することができる構成においては、特定情報と不特定情報とを区別せずに一律で取り扱うことが可能となるため、特定情報の場合の演出態様と、不特定情報の場合の演出態様とが異なってしまうといった不具合を生じさせる虞がありません(段落0192,0196、図15参照)。一方、引用発明1は、上記の通り、事前判定時にはそもそも変動パターンを決定していないので、そのような効果を奏することはできません。」

2 意見書における主張についての検討
(1)主張1について
本願明細書の
「【0190】
さらに、変動時間1決定テーブルには、事前判定処理においてのみ決定され得る変動モード番号「7FH」が含まれている。そして、変動モード番号「7FH」には変動時間1として「2秒」が対応付けられている。上述したように、不定値(「7FH」)の場合には、事前判定処理(詳細は図24にて後述する)が行われる時点と、変動演出パターン決定処理(詳細は図27にて後述する)が行われる時点と、において、保留数によって変動モード番号が変わる可能性があり、事前判定処理の時点では、変動時間1を確定させることができない。しかしながら、本実施形態では、不定値(「7FH」)の場合であっても、暫定的に、変動時間1として最も短い「2秒」が決定されるようにしている。
【0191】
ここで「暫定的に決定する」とは、変動時間1を「仮決め」することと同意である。すなわち、この仮決めした時点(事前判定処理が行われる時点)と、変動演出パターン決定処理(図27)が行われる時点とでは、変動時間1が異なる場合もあるが、不定値(「7FH」)であっても何らかの1つの変動パターンが決定したことと擬制する(みなす)ために、このように変動時間1を仮決めするようにしている。これにより、不定値(「7FH」)の場合であっても、後述する先読み演出設定処理(図40参照)を実行することが可能となる。
【0192】
また、暫定的に決定する変動時間1を「2秒」としているのは、変動時間1のうち、最も短い変動時間1が決定される変動モード番号である「00H」に対応させるためである。このように、変動時間1を変動モード番号が「00H」の場合と同じにすることにより、変動モード番号が「00H」と不定値(「7FH」)とを同様の演出パターンとして取り扱うことが可能となる。したがって、少なくとも変動時間に係る情報が確定していることを条件として先読み演出の実行の可否を決定することができる構成においては、変動モード番号が「00H」と不定値(「7FH」)とを同じ演出パターンとして扱うことができる。言い換えれば、固定値「00H」と不定値(「7FH」)とを区別せずに一律で取り扱うことが可能となるため、固定値「00H」の場合の演出態様と、不定値(「7FH」)の場合の演出態様とが異なってしまうといった不具合を生じさせる虞がない。
なお、上述した理由から、不定値(「7FH」)の場合に暫定的に決定する変動時間1は、「2秒」だけに限定されるものではない。」(下線は当審で付した。)
との記載を参酌すると、本願発明は、「少なくとも変動時間に係る情報が確定していることを条件として先読み演出の実行の可否を決定することができる構成」という特定の構成を前提に、「事前判定処理が行われる時点と、変動演出パターン決定処理が行われる時点とにおいて、保留数によって変動モード番号が変わる可能性があり、事前判定処理の時点では、変動時間を確定させることができない」という課題を、変動パターン番号(変動モード番号)が定まっていないことを示す、変動時間として最も短い時間が対応づけられた所定の変動パターン番号(変動モード番号)を選択し、暫定的に変動時間を決定して、確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターンを決定することによって解決するものであると認められる。
しかしながら、本願発明においては、上記前提となる構成について特定されておらず、「擬制変動パターン」の変動時間を暫定的に決定することについても特定されていない。
したがって、本願発明は、「擬制変動パターン」の変動時間を暫定的に決定しないものも含むと認められる。
また、「前記判定情報に基づいて前記演出表示手段にて表示される演出態様を決めるための変動パターンである確定変動パターン」を決定することにより、変動時間が決定されることが周知であるとしても、「擬制変動パターン」は、「確定変動パターン」とは異なるものであって、「前記確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターン」としか特定されておらず、その内容が一意に定まる一般的な用語でもないから、「擬制変動パターンを決定すること」が「当然にして変動モード番号および変動パターン番号を選択して変動時間を決定することであり、このことは遊技機の分野において周知の事項」であるとはいえない。したがって、主張1は採用することができない。
そして、上記第5においては、本願発明における「前記確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターンを決定する」との構成が、「変動時間を暫定的に決定すること」までを含意しないものと認定して、引用発明との対比を行った。

(2)主張2について
本願発明は、保留として記憶された判定情報が不特定情報であると判定された場合、擬制変動パターンを決定するのは、意見書の主張のとおりであるが、擬制変動パターンが決定されても、実際に演出が行われる変動パターンが決定されるわけではないから、引用発明において、変動パターン番号「07」が振り分けられた場合、変動パターンは未確定として決定されないとしても、この点で、本願発明と相違しない。
上記第5の2(kl)で検討したように、引用発明において、「保留数対応パターンとして取得する変動パターン番号「07」を取得した場合には、専用の未確定変動パターンコマンドを準備し、コマンド設定処理を実行」することは、本願発明の「前記保留として記憶された前記判定情報が前記不特定情報であると判定された場合には、前記確定変動パターンに擬制させた擬制変動パターンを決定する」ことに相当する。

(3)主張3について
第5の2(ij)で検討したとおり、引用発明の「事前判定時には変動パターンが未確定である変動パターン番号」である「変動パターン番号「07」」により示されるものも「変動パターン」である。意見書の主張における「特定情報と不特定情報とで、変動パターンの変動時間を同じにしたときには、特定情報(「00H」)の場合の演出と、不特定情報(「7FH」)の場合の演出とを同様の演出パターンとして取り扱うことが可能とな」ること、及び「少なくとも変動時間に係る情報が確定していることを条件として先読み演出の実行の可否を決定することができる構成においては、特定情報と不特定情報とを区別せずに一律で取り扱うことが可能となるため、特定情報の場合の演出態様と、不特定情報の場合の演出態様とが異なってしまうといった不具合を生じさせる虞がありません」との効果については、本願発明で「少なくとも変動時間に係る情報が確定していることを条件として」との事項が特定されていないことから、当該効果は、本願発明が奏する格別な効果であるとはいえない。

(4)まとめ
以上より、意見書における主張1?3は、いずれも採用することができない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-04-14 
結審通知日 2021-04-20 
審決日 2021-05-11 
出願番号 特願2015-240242(P2015-240242)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 57- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 知晋  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 北川 創
佐藤 高之
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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