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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B62D
管理番号 1375654
審判番号 不服2021-2774  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-02 
確定日 2021-07-20 
事件の表示 特願2018-517226号「タンクを組み込む自動車のための車輪付きのリアアクスルアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日国際公開、WO2017/055694、平成30年10月11日国内公表、特表2018-529576号、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経過
本願は、2016年6月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年10月2日、仏国)を国際出願日とする出願であって、令和2年3月4日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月9日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲及び明細書について補正する手続補正書が提出されたが、同年10月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和3年3月2日に拒絶査定に対する審判請求をされたものである。

第2 原査定の概要
本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基いて、本願の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願の請求項2?10に係る発明は、以下の引用文献1,2又は1?3に記載された発明に基いて、本願の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の請求項1?10に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・引用文献等一覧
1.特開平8-40302号公報
2.特開平7-323868号公報
3.特開平5-8643号公報

第3 本願発明
本願の請求項1?10に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明10」という。)は、令和2年6月9日の手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書、並びに、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
自動車の車輪のリアアクスルアセンブリ(10)であって、
自動車ボディ(15)の下方に固定される中央接続サポート(14)であって、少なくとも、第1のフロントクロス部材(16)、および前記第1のフロントクロス部材(16)の後方に配置されている第2のクロス部材(18)を含む、中央接続サポート(14)と、
少なくとも2つの下側サスペンションアーム(44、52)をそれぞれ含む少なくとも2つの関節体(42)であって、前記少なくとも2つの下側サスペンションアーム(44、52)のそれぞれは、関連するステアリングナックル(20)を前記中央接続サポート(14)の一方の側に接続しており、それぞれの下側サスペンションアーム(44、52、60)は、前記中央接続サポート(14)の前記第1のフロントクロス部材(16)および前記第2のクロス部材(18)の上に、概して長手方向の軸の周りに枢動可能に装着されている、少なくとも2つの関節体(42)と
を備え、
前記中央接続サポート(14)は、リジッドな外側壁部によって境界を定められている少なくとも1つのタンク(12)を備え、前記第1のフロントクロス部材(16)および前記第2のクロス部材(18)は、前記タンク(12)の前記外側壁部を介して互いに剛結されている、リアアクスルアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記中央接続サポート(14)は、第3のクロス部材(22)を含み、前記第2のクロス部材(18)は、長手方向に前記第1のフロントクロス部材(16)と前記第3のクロス部材(22)の間に間置されている、請求項1に記載のアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記第1のフロントクロス部材(16)、前記第2のクロス部材(18)、および前記第3のクロス部材(22)のうちの少なくとも1つは、前記タンク(12)の前記外側壁部と少なくとも部分的に一体的に形成されている、請求項2に記載のアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記第1のフロントクロス部材(16)は、前記タンク(12)の前記外側壁部に剛結される別個のパーツである、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項5】
それぞれの関節体(42)は、前記下側サスペンションアームのうちの1つ(52)に平行に、前記第1のフロントクロス部材(16)を関連するステアリングナックル(20)に接続する少なくとも1つの上側サスペンションアーム(60)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記タンク(12)は、前記第1のフロントクロス部材(16)および前記第3のクロス部材(22)だけを介して、前記自動車ボディ(15)の下方に固定されることが意図されている、請求項2に記載のアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記下側サスペンションアーム(44、52)は、前記タンク(12)の下方で延在している、請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記タンク(12)は、概して平行六面体の形状であり、第1のフロントクロス部材(16)および前記第2のクロス部材(18)のものと実質的に等しい横断方向の長さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記タンク(12)の下側面(30)は、前記第1のフロントクロス部材(16)と前記第2のクロス部材(18)との間に横断方向に延在する、ホイールシャフト(70)を収容するためのトラフ(74)を有している、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のリアアクスルアセンブリ(10)を装備している自動車。」

第4 引用文献の記載事項等
1 引用文献1について
引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審が付与。以下同様。)。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料タンクの固定構造に関する。」

(2)「【0002】
【従来の技術】従来、自動車などの車両の燃料タンクにおいて、車両ボディの外側に設けられる場合にはリアシート部分の下やリアフロア部分の下などに配置され、車体の略前後方向に掛け渡したバンドでタンクの下面を支えて、ボディの下面に押付けるように支持されているものがある。
【0003】燃料タンクのレイアウトとして、一部の車両において燃料タンクをリアサブフレームで囲むように設けたものや、燃料タンクをリアサブフレームに搭載したものがある。そのようなものにおいては、車両組立時に燃料タンクとサブフレームとを別々にボディに組み付ける必要があるが、例えば予めサブフレームに燃料タンクをサブ・アッセンブリ化しておけば、サブフレームと燃料タンクとを一体化してボディに取り付けることができ、組立の工数削減及び自動化が可能である。
【0004】しかしながら、燃料タンクをサブフレームに搭載した場合、特にサブフレームをNVHの向上のためにブッシュなどを用いてボディに取り付けると、路面の凹凸に起因するサスペンションの振動がサブフレームに伝わるためサブフレームが振動し、燃料タンクも共に振動することから、ボディに固定した場合よりも大きな加速度で燃料タンクが振動するという問題がある。そのため、燃料タンクをサブフレームに搭載する場合には振動を考慮した構造にする必要が生じ、剛性を高めたり制振構造にした場合には製造コストが高騰化するという問題があった。」

(3)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、燃料タンクを支持したサブフレームに振動による大きな加速度が生じても簡単な構造で十分に耐え得る燃料タンクの固定構造を提供することにある。」

(4)「【0009】図1は、本発明が適用された自動車のマルチリンク式リヤサスペンションの要部を示す斜視図である。このリヤサスペンションは、複数のメンバを結合して籠型に形成されたサブフレーム1と、サブフレーム1の左右にてそれぞれ枢着された各複数のアッパアーム及びロワアームを介して支持されたリヤハブキャリア2と、左右のハブキャリア2のアッパアーム連結端の近傍にスタビライザリンクを介して両端を連結されたスタビライザロッド3とを有している。
【0010】サブフレーム1は、図2の平面図に良く示されるように、車体の左右方向(図では左側が前)に延在する前後のクロスメンバ4と、車体の前後方向に延在する左右のサイドメンバ5とを井桁状に一体接続してなる。この前後左右の各メンバ4・5で囲まれた空間内に燃料タンク6が納められ、燃料タンク6の下面を支持するように、両クロスメンバ4間には、左右のサイドメンバ5の各近傍にて車体の前後方向に延在する左右一対の縦支持部材7が掛け渡されていると共に、両サイドメンバ5間には、両縦支持部材7を補強するべく横切るように車体の左右方向に延在する横支持部材8が掛け渡されている。
【0011】さらに、燃料タンク6の上面であって車体の左右方向両端の近傍には、概ね車体の前後方向に延在する2本のバンド9が掛けられている。バンド9の両端は、前後のクロスメンバ4にそれぞれ結合されている。
【0012】なお、左右の縦支持部材7の各両端は、前側クロスメンバ4に一体的に固設された左右のトレーリングアーム枢着ブラケット11と、後側クロスメンバ4に一体的に固設された左右のコントロールアーム枢着ブラケット12とにそれぞれ結合されている。これらブラケット11・12は、図1及び図2に示されるように、それぞれ前後左右の各メンバ4・5の4角に設けられており、各メンバ4・5の剛性を高めている。
【0013】このようにして構成された本実施例のサブフレーム構造では、図3に併せて示されるように燃料タンク6の下面を縦支持部材7により支持していると共に、燃料タンク6の前面側をトレーリングアーム枢着ブラケット11により、燃料タンク6の後面側をコントロールアーム枢着ブラケット12により支持している。すなわち、燃料タンク6の支持部として各ブラケット11・12と縦支持部材7とが設けられている。また、各ブラケット11・12が、各メンバ4・5の4角にて車体の前後左右方向に対して斜めのテーパ面を有するように形成されており、燃料タンク6の左右面側を各ブラケット11・12のテーパ面により支持している。
【0014】そして、燃料タンク6の上面側は両バンド9により支持されている。なお、バンド9は、前記したように各ブラケット11・12に結合されており、各ブラケット11・12は剛性が比較的高いことから、バンド9による上記支持を剛性の高いものとすることができる。」

(5)「【0015】このようにして、サブフレーム1内に燃料タンク6が納められると共に、燃料タンク6の前後左右及び上下の6面をサブフレーム1とバンド9とにより固定することから、路面からの振動がサブフレーム1を介して燃料タンク6に伝わっても、上記したように高剛性に燃料タンク6が固定されることから、燃料タンク6の剛性を必要最小限にすることができる。また、燃料タンク6の比較的剛性の高い角部をブラケット11・12により支持することから、バンド6を締め込んだ際に燃料タンク6の変形を防止することができ、バンド6の安定した張力を得られると共に、衝突時にサブフレームが変形してもブラケット11・12の面で燃料タンク6の剛性の高い角部を押すことになり、燃料タンク6の変形を防止し得る。」

(6)「【0016】なお、前記実施例では燃料タンク6の下面を縦支持部材7により支持して上面をバンド9により支持するようにしたが、逆に上面を支持部材により支持して下面をバンドにより支持するようにしても良い。さらに、燃料タンク6の下面にブラケットを設けて、そのブラケットをねじ止めなどすることにより、バンドを省略しても良い。」

【図1】


【図2】


(7)上記(2)(特に、【0002】、【0003】)及び(4)によれば、サブフレーム1は、車両ボディの下に取り付けられると認められる。

(8)上記(4)(特に、【0010】、【0012】)によれば、サブフレーム1は、前側クロスメンバ4と後ろ側クロスメンバ4と、左右のサイドメンバ5とを井桁状に一体接続してなり、両クロスメンバ4間には、左右のサイドメンバ5の各近傍にて左右一対の縦支持部材7が掛け渡され、両サイドメンバ5間には、両縦支持部材7を補強するべく横支持部材8が掛け渡され、左右の縦支持部材7の各両端は、前側クロスメンバ4に一体的に固設された左右のトレーリングアーム枢着ブラケット11と、後側クロスメンバ4に一体的に固設された左右のコントロールアーム枢着ブラケット12とにそれぞれ結合されていると認められる。

(9)上記(4)(特に、【0010】、【0013】、【0014】)によれば、サブフレーム1の前後左右の各メンバ4・5に囲まれた空間内に燃料タンク6が納められ、燃料タンク6の下面を縦支持部材7により支持し、燃料タンク6の前面側をトレーリングアーム枢着ブラケット11により、燃料タンク6の後面側をコントロールアーム枢着ブラケット12により支持し、燃料タンク6の上面側は両バンド9により支持されていると認められる。

上記(2)、(4)、(7)?(9)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「自動車のマルチリンク式リヤサスペンションであって、
車両ボディの下に取り付けられるサブフレーム1であって、前側クロスメンバ4と後側クロスメンバ4と、左右のサイドメンバ5とを井桁状に一体接続してなり、両クロスメンバ4間には、左右のサイドメンバ5の各近傍にて左右一対の縦支持部材7が掛け渡され、両サイドメンバ5間には、両縦支持部材7を補強するべく横支持部材8が掛け渡され、左右の縦支持部材7の各両端は、前側クロスメンバ4に一体的に固設された左右のトレーリングアーム枢着ブラケット11と、後側クロスメンバ4に一体的に固設された左右のコントロールアーム枢着ブラケット12とにそれぞれ結合されている、サブフレーム1と、
サブフレーム1の左右にてそれぞれ枢着された各複数のアッパアーム及びロワアームを介して支持されたリヤハブキャリア2と
を有し、
サブフレーム1の前後左右の各メンバ4・5に囲まれた空間内に燃料タンク6が納められ、燃料タンク6の下面を縦支持部材7により支持し、燃料タンク6の前面側をトレーリングアーム枢着ブラケット11により、燃料タンク6の後面側をコントロールアーム枢着ブラケット12により支持し、燃料タンク6の上面側は両バンド9により支持されている、マルチリンク式リヤサスペンション。」

2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、後輪懸架装置と、左右の懸架装置間に配設された燃料タンクとを備える自動車のリヤシャシー構造に関するものである。」

(2)「【0008】図1並びに図2は、本発明に基づき構成されたリヤシャシーの要部を示している。このリヤシャシーは、サブフレームとしての主部が燃料タンク1で構成され、マルチリンク式後輪懸架装置のアセンブリ2をこの燃料タンク1を介して車体メインフレーム3に固定するようになっている。燃料タンク1は、各々の外端にてリヤハブキャリア4を支持するアッパアーム5・リーディングアーム6・トレーリングアーム7・ロワアーム8・コントロールアーム9の各リンクアームの内端を枢着した状態で、防振用マウントラバー10の中心部に挿通されるボルト11を介して車体メインフレーム3の下面に締結される。なお、ここでは車体メインフレーム3に対して燃料タンク1をボルト止めするものとしたが、これは従来広く採用されているバンドで固定する方法であっても良い。」

【図1】


3 引用文献3について
引用文献3には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、車体後部フロアの下方に配設される自動車の燃料タンク支持装置に関するものである。」

(2)「【0021】自動車の車体1後部には、図4および図5に示すように、左右両側部において車体前後方向に延びる一対のリヤサイドフレーム2,2が配置されており、該リヤサイドフレーム2,2間には、エンジン(図示省略)の駆動力を後輪側に伝えるプロペラシャフト3が車体前後方向に配設され、該プロペラシャフト3の後端には、後輪車軸4に連結されたリヤディファレンシャル装置5が接続されている。該リヤディファレンシャル装置5は、リヤサスペンション装置6を支持する支持部材であるサスペンションクロスメンバ7に取り付けられている。
【0022】前記リヤサスペンション装置6は、リヤサイドフレーム2とホイールハブ8との間に取り付けられるアッパーアーム9,10、ロアアーム11およびトレーリングアーム12と、ホイールハブ8と車体側部材との間に介設されるショックアブソーバ13とからなっている。
【0023】前記サスペンションクロスメンバ7は、図2に示すように、車体前後方向に所定間隔をおいて並ぶ前後支持フレーム14,15と、これら前後支持フレーム14,15間に架設され且つ車幅方向に所定間隔で並ぶ左右支持フレーム16,17とによって構成されている。
【0024】そして、前記サスペンションクロスメンバ7における左右支持フレーム16,17は、リヤシート18下方に位置する水平な前方支持部16a,17aと、該前方支持部16a,17aから後方に向かって斜め上向きに延設される傾斜支持部16b,17bと、該傾斜支持部16b,17bから後方に延設され且つリヤディファレンシャル装置6上方に位置する水平な後方支持部16c,17cとによってそれぞれ構成されている。
【0025】また、前記サスペンションクロスメンバ7における後部支持フレーム15の車幅方向両端には、前記ロアアーム11の内端部が連結される連結部19,19が一体に垂設されている。符号20はサスペンションクロスメンバ7を車体側部材に取り付けるためのボルト挿通孔である。
【0026】しかして、前記サスペンションクロスメンバ7には、前記前後支持フレーム14,15および左右支持フレーム16,17に囲まれた空間内に位置せしめられた状態で燃料タンク21が支持されている。」

【図2】


【図5】


第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「マルチリンク式リヤサスペンション」、「車両ボディ」、「下」、「取り付けられる」こと、「サブフレーム1」、「前側クロスメンバ4」、「横支持部材8」、「ロワアーム」、「リヤハブキャリア2」、「有」すること、「燃料タンク6」は、それぞれ、本願発明1における「リアアクスルアセンブリ(10)」、「自動車ボディ(15)」、「下方」、「固定される」こと、「中央接続サポート(14)」、「第1のフロントクロス部材(16)」、「第2のクロス部材(18)」、「下側サスペンションアーム(44、52)」、「ステアリングナックル(20)」、「備え」ること、「タンク(12)」に相当する。
引用発明1における「自動車のマルチリンク式リヤサスペンション」、「車両ボディの下に取り付けられるサブフレーム1」は、それぞれ、本願発明1における「自動車の車輪のリアアクスルアセンブリ(10)」、「自動車ボディ(15)の下方に固定される中央接続サポート(14)」に相当する。
引用発明1における「サブフレーム1」は、「前側クロスメンバ4」と「横支持部材8」を含み、「横支持部材8」は「前側クロスメンバ4」の後方にあるから、本願発明1における「少なくとも、第1のフロントクロス部材(16)、および前記第1のフロントクロス部材(16)の後方に配置されている第2のクロス部材(18)を含む、中央接続サポート(14)」に相当する。
また、引用発明1における「複数の」「ロワアーム」は、本願発明1における「少なくとも2つの下側サスペンションアーム(44、55)」に相当し、引用発明1における「アッパアーム及びロワアーム」並びに「リヤハブキャリア2」からなるものは、本願発明1における「関節体(42)」に相当し、引用発明1における「各複数のアッパアーム及びロワアーム」並びに「リヤハブキャリア2」からなるものは、本願発明1における「少なくとも2つの下側サスペンションアーム(44、52)をそれぞれ含む少なくとも2つの関節体(42)」に相当し、引用発明1における「リヤハブキャリア2」が「サブフレーム1の左右にて」「支持され」ることは、本願発明1における「関連するステアリングナックル(20)を前記中央接続サポート(14)の一方の側に接続している」ことに相当するから、引用発明1における「サブフレーム1の左右にてそれぞれ枢着された各複数のアッパアーム及びロワアームを介して支持されたリヤハブキャリア2」「を有」することは、本願発明1における「少なくとも2つの下側サスペンションアーム(44、52)をそれぞれ含む少なくとも2つの関節体(42)であって、前記少なくとも2つの下側サスペンションアーム(44、52)のそれぞれは、関連するステアリングナックル(20)を前記中央接続サポート(14)の一方の側に接続している、少なくとも2つの関節体(42)」「を備え」ることに相当する。
そして、引用発明1における「燃料タンク6」が、外側壁部を有することは明らかであるから、引用発明1における「サブフレーム1の前後左右の各メンバ4・5に囲まれた空間内に燃料タンク6が納められ」ることと本願発明1における「前記中央接続サポート(14)は、リジッドな外側壁部によって境界を定められている少なくとも1つのタンク(12)を備え」ることとは、「前記中央接続サポート(14)は、」「外側壁部によって境界を定められている少なくとも1つのタンク(12)を備え」ることという点で共通する。
そうすると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

<一致点>
「自動車の車輪のリアアクスルアセンブリであって、
自動車ボディの下方に固定される中央接続サポートであって、少なくとも、第1のフロントクロス部材、および前記第1のフロントクロス部材の後方に配置されている第2のクロス部材を含む、中央接続サポートと、
少なくとも2つの下側サスペンションアームをそれぞれ含む少なくとも2つの関節体であって、前記少なくとも2つの下側サスペンションアームのそれぞれは、関連するステアリングナックルを前記中央接続サポートの一方の側に接続している、少なくとも2つの関節体と
を備え、
前記中央接続サポート)は、外側壁部によって境界を定められている少なくとも1つのタンクを備える、リアアクスルアセンブリ。」

<相違点1>
本願発明1は、それぞれの下側サスペンションアーム(44、52、60)は、「前記中央接続サポート(14)の前記第1のフロントクロス部材(16)および前記第2のクロス部材(18)の上に、概して長手方向の軸の周りに枢動可能に装着されている」のに対し、引用発明1は、複数のロアアームがサブフレーム1のどこにどのように接続されているのか不明である点。

<相違点2>
本願発明1は、タンク(12)の外側壁部が「リジッド」であり、「前記第1のフロントクロス部材(16)および前記第2のクロス部材(18)は、前記タンク(12)の前記外側壁部を介して互いに剛結されている」のに対し、引用発明1は、「燃料タンク6の下面を縦支持部材7により支持し、燃料タンク6の前面側をトレーリングアーム枢着ブラケット11により、燃料タンク6の後面側をコントロールアーム枢着ブラケット12により支持し、燃料タンク6の上面側は両バンド9により支持されている」点。

(2)判断
事情に鑑み、まず、相違点2について検討する。
引用文献1の【0016】(上記第4 1(6)参照)には、サブフレーム1への燃料タンクの固定にねじ止めを採用することで、バンドを省略できる旨の記載があることから、引用発明1において、燃料タンク6を支持する部分、すなわち、縦支持部材7,トレーリングアーム枢着ブラケット11、及び、コントロールアーム枢着ブラケット12では、ねじ止めを採用することは、当業者が容易になし得るといえるが、引用文献1のその他の記載を参酌しても、サブフレーム1のその他の部分でねじ止めを採用することの動機付けがあるとは認められない。
引用発明において、前側クロスメンバ4と横支持部材8は、縦支持部材7を介して接続され、縦支持部材7は燃料タンク6の下面を支持するものであることを勘案すると、引用発明1において、相違点2に係る本願発明1の構成とするのには、燃料タンク6の外側壁部をリジッドにし、縦支持部材7を除去した上で、前側クロスメンバ4と横支持部材8を、それぞれ燃料タンク6に剛結する必要があるところ、上記に説示したとおり、前側クロスメンバ4と横支持部材8を、それぞれ燃料タンク6にねじ止めすることの動機付けがあるとは認められず、そもそも、縦支持部材7は、燃料タンク6の下面を支持するものであり、引用発明1における、必要不可欠の構成の1つであることから、縦支持部材7を除去することには阻害要因があるといわざるを得ない。
引用文献2は、マルチリンク式後輪懸架装置における、リヤハブキャリア4を支持するロワアーム8の構造等を開示するものであるところ、引用発明1において相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではないから、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?10について
本願発明2?10は、本願発明1の構成を全て有するものであるから、上記1(2)に説示したのと同様に、引用文献1、2又は1?3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
第5に説示したとおり、当業者であっても、本願発明1は、原査定で引用された引用文献1、2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本願発明2?10は、原査定に引用された引用文献1、2又は1?3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の拒絶理由を維持できない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-29 
出願番号 特願2018-517226(P2018-517226)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B62D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森本 哲也  
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 八木 誠
氏原 康宏
発明の名称 タンクを組み込む自動車のための車輪付きのリアアクスルアセンブリ  
代理人 園田・小林特許業務法人  
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