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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02B
管理番号 1375656
審判番号 不服2020-15878  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-17 
確定日 2021-07-20 
事件の表示 特願2016-240178「副室式ガスエンジン」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月21日出願公開、特開2018- 96250、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月12日の出願であって、令和2年4月7日付け(発送日:令和2年4月14日)で拒絶理由が通知され、令和2年6月4日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年6月15日付け(発送日:令和2年6月16日)で最後の拒絶理由が通知され、令和2年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和2年8月13日付け(発送日:令和2年8月18日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して令和2年11月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和2年12月10日に前置報告がされ、令和3年2月15日に上申書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1ないし4に対して 引用文献1及び2

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2016/0326946号明細書
2.実願平3-83708号(実開平5-27240号)のCD-ROM

第3 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和2年11月17日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
エンジンの主燃焼室を形成する主室形成部と、
前記主燃焼室と複数の噴孔を介して連通されるとともに所定の内径を有する小径筒室、
及び前記小径筒室よりも大きい内径を有した大径筒室を有する副室を形成する副室形成部と、
前記副室の大径筒室に設けられた着火装置と、
前記主燃焼室を介さずに前記副室に副室用燃料ガスを供給する副室ガス供給装置と、を備え、
前記複数の噴孔の各々は、
前記噴孔の副室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の副室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である副室側直線と、前記噴孔の主室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の主室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である主室側直線と、が交差するように形成されるとともに、
前記副室の副室中心軸線と前記副室側直線とがなす鋭角側の角度は、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす鋭角側の角度よりも小さくなるように形成され、
前記副室中心軸線は、前記小径筒室、および前記大径筒室の両方の中心軸線となるように構成され、
前記副室形成部は、前記主燃焼室の主室中心軸線と前記副室中心軸線とは一致するように構成され、
前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記副室側直線とがなす前記鋭角側の角度は同じであり、
前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす前記鋭角側の角度は、少なくとも1つの噴孔において異なっており、
前記複数の噴孔の少なくとも一つは、
前記副室側開口を一端側に形成する直線状の副室側直線状孔部と、
前記副室側直線状孔部の他端側に接続されると共に前記主室側開口を形成する直線状の主室側直線状孔部と、からなる
ことを特徴とする副室式ガスエンジン。
【請求項2】
前記副室の中心線と前記副室側直線とがなす鋭角側の角度は、0度以上65度以下であることを特徴とする請求項1に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項3】
前記主燃焼室の主室中心軸線と前記主室側直線とがなす鋭角側の角度は、65度以上80度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項4】
前記小径筒室の長さは、前記大径筒室の長さよりも長いことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の副室式ガスエンジン。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2016/0326946号明細書(以下「引用文献1」という。)には、「FUEL COMBUSTION SYSTEM,NOZZLE FOR PRECHAMBER ASSEMBLY WITH CURVED ORIFICES,AND METHOD OF MAKING SAME」(訳:内燃システム、湾曲したオリフィスを有する予燃焼室アセンブリのノズル及びその製造方法)に関して、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)

(1)「[0006] In still further types of internal combustion engines, prechambers are employed in conjunction with natural gas engines. Given the extremely high temperatures required for auto-ignition with natural gas and air mixtures, glow plugs or other heat sources such as those employed in typical diesel engines can be ineffective.
Rather, a prechamber is associated with each cylinder of the natural gas engine and is provided with a spark plug to initiate combustion within the prechamber which can then be communicated to the main combustion chamber. Such a spark-ignited, natural gas engine prechamber is provided in, for example, the 3600 series natural gas engines commercially available from Caterpillar Inc. of Peoria, Ill.」
(訳:[0006]さらに別のタイプの内燃機関では、予燃焼室が天然ガスエンジンと組み合わせて使用される。天然ガスと空気の混合物の発火に必要な非常に高い温度を考えると、グロープラグまたは一般的なディーゼルエンジンで使用されているような他の熱源は効果がない可能性がある。 むしろ、予燃焼室が、天然ガスエンジンの各シリンダに関連付けられており、予燃焼室内で燃焼を開始するためのスパークプラグが設けられており、これを主燃焼室に伝達することができる。 そのような火花点火式天然ガスエンジン予燃焼室は、例えば、イリノイ州ペオリアのキャタピラー社から市販されている3600シリーズ天然ガスエンジンで提供される。)

(2)「[0009] There is a continued need in the art to provide additional solutions to enhance the performance of components of a fuel combustion system such as those in a prechamber assembly. For example, a prechamber nozzle typically includes a configuration which causes abrupt changes in the flow of the air-fuel mixture/flame front therethrough with sharp corners along the flow path that create localized hot spots in the area of the orifices of the prechamber nozzle. The resulting high temperatures can negatively affect the prechamber assembly's allowable design parameters. As such, there is a continued need to enable a prechamber assembly of a fuel combustion system to operate so as to enhance the combustion of fuel within the system while managing the heat generated during use of the prechamber assembly to improve its durability and usefulness.」
(訳:[0009]当技術分野では、予燃焼室アセンブリ内の構成要素などの燃料燃焼システムの構成要素の性能を強化するための追加の解決策を提供することが継続的に必要とされている。例えば、予燃焼室ノズルは、典型的には、それを通る混合気/火炎前面の流れに急激な変化を引き起こし、流路に沿って鋭い角を有し、予燃焼室ノズルのオリフィスの領域に局所的なホットスポットを作り出す構成を含む。結果として生じる高温は、予燃焼室アセンブリの許容可能な設計パラメータに悪影響を与える可能性がある。したがって、燃料燃焼システムの予燃焼室アセンブリが、その耐久性および有用性を改善するために予燃焼室アセンブリの使用中に発生する熱を管理しながら、システム内の燃料の燃焼を強化するように動作可能にすることが引き続き必要である。)

(3)「[0027] The present disclosure provides embodiments of a component of a fuel combustion system of an engine and methods of making the same. In embodiments, the fuel combustion component is in the form of a nozzle of a prechamber assembly which can be mounted to at least one of a cylinder head or cylinder block of an internal combustion engine. Exemplary engines include those used in vehicles, electrical generators, and pumps, for instance.
[0028] Embodiments of a nozzle for a prechamber assembly constructed according to principles of the present disclosure can have a curved orifice configuration that helps to reduce the heat transfer between the nozzle body and a flow of an air/fuel mixture into the prechamber nozzle and/or a flame front discharging from the prechamber nozzle (also collectively referred to herein as a “fuel mixture/flame front”) respectively passing through the orifices of the nozzle during intended operation of the fuel combustion system by reducing the occurrence of localized hot spots along the flow path. In embodiments, the nozzle can include an orifice surface that defines a curved orifice configured to control the flow of a fuel mixture/flame front passing through the orifice passage defined by the orifice surface to help reduce at least one of the temperature within the orifice passage and the heat transfer between the flow of a fuel mixture/flame front and the orifice surface by providing a smooth curved flow path and/or by decreasing the pressure drop of the flow of the fuel mixture/flame front passing therethrough relative to a similar orifice having an axial configuration. 」
(訳:[0027]本開示は、エンジンの燃料燃焼システムの構成要素の実施形態およびそれを製造する方法を提供する。実施形態では、燃料燃焼構成要素は、内燃機関のシリンダヘッドまたはシリンダブロックの少なくとも1つに取り付けることができる予燃焼室アセンブリのノズルの形態である。例示的なエンジンには、例えば、車両、発電機、およびポンプで使用されるものが含まれる。
[0028]本開示の原理に従って構築された予燃焼室アセンブリ用のノズルの実施形態は、ノズル本体と、予燃焼室ノズルへの空気/燃料混合物の流れおよび/またはノズルのオリフィスをそれぞれ通過して予燃焼室ノズルから放出される火炎前面(本明細書では総称して「燃料混合物/火炎前面」とも呼ばれる。)との間の熱伝達を低減するのに役立つ湾曲したオリフィス構成を有し、それは、燃料燃焼システムの意図された動作中の流れに沿った局所的なホットスポットの発生を低減することによる。実施形態では、ノズルは、湾曲したオリフィス表面によって定義されるオリフィス通路を通過する燃料混合物/火炎前面の流れを制御して、オリフィス通路内の温度の少なくとも1つを低下させるのを助けるように構成された湾曲オリフィスを定義するオリフィス表面を含むことができる。滑らかな湾曲した流路を提供することにより、および/または、それを通過する燃料混合物/火炎前面の流れのオリフィス軸方向における圧力降下を減少させることにより、燃料混合物/火炎前面の流れとオリフィス表面との間の熱伝達は減少する。)

(4)「[0035] Referring to FIG. 1, the cylinder block 22 defines, at least partially, a main combustion chamber 30. In embodiments, the cylinder block 22 can define a plurality of cylinders 32 (one of which is shown in FIG. 1) within which is defined the corresponding main combustion chamber 30. In embodiments, a cylinder liner can be disposed within each cylinder 32. The cylinder liner can be removably secured in the cylinder block 22.」
(訳:[0035]図1を参照して、シリンダブロック22は、少なくとも部分的に、主燃焼室30を規定する。実施形態では、シリンダブロック22は、複数のシリンダ32を規定することができる(そのうちの1つが、図1に示される。)。その中に、対応する主燃焼室30が定義されている。実施形態では、シリンダライナーは、各シリンダ32内に配置することができる。シリンダライナーは、シリンダブロック22内に取り外し可能に固定することができる。)

(5)「[0040] The prechamber assembly 25 is removably secured in the cylinder head 24 such that the prechamber assembly 25 is in communication with the main combustion chamber 30. The prechamber assembly 25 defines a precombustion chamber 37, which is in communication with the main combustion chamber 30. The prechamber assembly 25 includes a prechamber housing 42, an ignition device 44 adapted to selectively ignite fuel disposed in the precombustion chamber 37, a control valve 48, and the nozzle 50. The nozzle 50 and the prechamber housing 42 can be made from any suitable material, such as a suitable heat-resistant metal. Suitable sealing devices 52, such as o-rings, for example, can be disposed between the prechamber assembly 25 and the cylinder head 24. In other embodiments, other sealing techniques, such as, press fit, metal seals, and the like, can be used to provide a seal between the prechamber assembly 25 and the cylinder block 22 and the cylinder head 24.
[0041] The nozzle 50 and the prechamber housing 42 cooperate together to define the precombustion chamber 37 and to define a central longitudinal axis LA of the prechamber assembly 25. The nozzle 50 and the prechamber housing 42 include surfaces that are generally surfaces of revolution about the central longitudinal axis LA.」
(訳:[0040]予燃焼室アセンブリ25は、予燃焼室アセンブリ25が主燃焼室30と連通するように、シリンダヘッド24に取り外し可能に固定されている。予燃焼室アセンブリ25は、主燃焼室30と連通している予燃焼室37を規定する。予燃焼室アセンブリ25は、予燃焼室ハウジング42、予燃焼室37に導入された燃料を点火するように適合された点火装置44、制御弁48、およびノズル50を含む。ノズル50および予燃焼室ハウジング42は、適切な耐熱金属などの任意の適切な材料から作製することができる。例えば、Oリングなどの適切なシール装置52は、予燃焼室アセンブリ25とシリンダヘッド24との間に配置することができる。他の実施形態では、圧入、金属シールなどの他のシール技術を使用して、予燃焼室アセンブリ25とシリンダブロック22とシリンダヘッド24との間にシールを提供することができる。
[0041]ノズル50と予燃焼室ハウジング42は共働して予燃焼室37を規定し、予燃焼室アセンブリ25の長手方向中心軸LAを規定する。ノズル50および予燃焼室ハウジング42は、一般に、長手方向中心軸LAの周りの回転面である表面を含む。)

(6)「[0046] In embodiments, at least one of the prechamber housing 42 and the nozzle 50 define a supplemental fuel passage 72. The supplemental fuel passage 72 is in communication with the precombustion chamber 37 and with the supplemental fuel source 27. In embodiments, the fuel of the supplemental fuel source 27 can have a richer fuel/air ratio than the fuel/air ratio of the fuel supplied directly to the main combustion chamber 30 with which the prechamber assembly 25 is associated.」
(訳:[0046]実施形態では、予燃焼室ハウジング42およびノズル50のうちの少なくとも1つは、補助燃料通路72を規定する。補助燃料通路72は、予燃焼室37および補助燃料源27と連絡している。実施形態では、補助燃料源27の燃料は、予燃焼室アセンブリ25が関連付けられている主燃焼室30に直接供給される燃料の燃料/空気比よりもリッチな燃料/空気比を有することができる。)

(7)「[0055] Referring to FIGS. 1 and 2, the nozzle body 82 defines a plurality of curved orifices 101, 102, 103, 104 in the distal tip 85. The curved orifices 101, 102, 103, 104 are in communication with the interior chamber 95 of the nozzle body 82 and with the main combustion chamber 30 when the prechamber assembly 25 is installed in the cylinder head 24. The nozzle body 82 includes an orifice bridge 108 defined circumferentially between the curved orifices 101, 102, 103, 104.」
(訳:[0055]図1および2を参照して、ノズル本体82は、遠位先端85に複数の湾曲したオリフィス101、102、103、104を規定する。湾曲したオリフィス101、102、103、104は、予燃焼室アセンブリ25がシリンダヘッド24に取り付けられている場合、ノズル本体82の内部チャンバー95および主燃焼室30と連通している。ノズル本体82は、湾曲したオリフィス101、102、103、104の間に円周方向に規定されたオリフィスブリッジ108を含む。)

(8)「[0058] Referring to FIGS. 1 and 2, the illustrated curved orifices 101, 102, 103, 104 are substantially identical to each other. Accordingly, it will be understood that the description of one orifice is applicable to the other orifices, as well. The first curved orifice 101 includes an orifice surface 110 that defines the curved orifice 101. In embodiments, each of the curved orifices 101, 102, 103, 104 has a configuration that helps to reduce the heat transfer between the nozzle body 82 and a flow of a fuel mixture/flame front respectively passing through the curved orifices 101, 102, 103, 104 and/or reduce the temperature within the curved orifices 101, 102, 103, 104 in such a way as to reduce the occurrence of localized hot spots.
[0059] With respect to the first curved orifice 101, the outer surface 88 defines an outer opening 112, and the inner surface 89 defines an inner opening 114. The orifice surface 110 defines an orifice passage 118 extending between, and in communication with, the outer opening 112 and the inner opening 114. The orifice passage 118 is in communication with the interior chamber 95 via the inner opening 114. The other curved orifices 102, 103, 104 of the nozzle body 82 are similarly configured.
[0060] In embodiments, the orifice surface 110 is continuously curved. In the illustrated embodiment, the orifice surface 110 is continuously curved from the outer opening 112 to the inner opening 114. In the illustrated embodiment, the orifice surface 110 comprises a curved cylindrical segment. In embodiments, the orifice surface 110 can be configured to curve toward the mounting end 84 of the nozzle body 82 (see also FIG. 1) such that a flow of a fuel mixture passing through the orifice passage 118 into the interior chamber 95 moves along a flow path 122 generally along the central longitudinal axis LA toward the mounting end 84 of the nozzle body 82.」
(訳:[0058]図1および2を参照して、図示の湾曲したオリフィス101、102、103、104は、互いに実質的に同じである。したがって、1つのオリフィスの説明は、他のオリフィスにも当てはまることが理解されよう。第1の湾曲したオリフィス101は、湾曲したオリフィス101を規定するオリフィス表面110を含む。実施形態では、湾曲したオリフィス101、102、103、104のそれぞれは、ノズル本体82と、湾曲したオリフィス101、102、103、104とそれぞれを通過する燃料混合物/火炎前面との間の熱伝達を低減するのに役立つ構成を有する。局所的なホットスポットの発生を低減することで、湾曲したオリフィス101、102、103、104内の温度を低減する。
[0059]第1の湾曲したオリフィス101に関して、外面88は外側開口112を規定し、内面89は内側開口114を規定する。オリフィス表面110は、外側開口112と内側開口114との間に、そしてそれらと連通して延びるオリフィス通路118を規定する。オリフィス通路118は、内側開口114を介して内部チャンバ95と連通している。ノズル本体82の他の湾曲したオリフィス102、103、104も同様に構成されている。
[0060]実施形態では、オリフィス表面110は連続的に湾曲している。図示の実施形態では、オリフィス表面110は、外側開口112から内側開口114まで連続的に湾曲している。図示の実施形態では、オリフィス表面110は、湾曲した円筒形セグメントを含む。実施形態では、オリフィス表面110は、ノズル本体82の取り付け端84に向かって湾曲するように構成することができ(図1を参照。)、これにより、オリフィス通路118を通過して内部チャンバ95に入る燃料混合物の流れが、流路122に沿って、概して長手方向中心軸LAに沿って、ノズル本体82の取り付け端84に向かって移動する。)

(9)「[0063] As shown in FIG. 2, the curved orifices 101, 102, 103, 104 are respectively circumferentially disposed about the central longitudinal axis LA such that the curved orifices 101, 102, 103, 104 have the same relative inclined position with respect to the central longitudinal axis LA. In embodiments, the curved orifices 101, 102, 103, 104 can extend along a different angle of inclination, defined between the center points of the outer opening 112 and the inner opening 114 of the respective curved orifice 101, 102, 103, 104, relative to the central longitudinal axis LA. In still other embodiments, at least one of the curved orifices 101, 102, 103, 104 can extend along an angle of inclination relative to the central longitudinal axis LA that is different from at least one other of the curved orifices 101, 102, 103, 104.」
(訳:[0063]図2に示すように、湾曲したオリフィス101、102、103、104は、それぞれ、長手方向中心軸LAに対して円周方向に配置され、湾曲したオリフィス101、102、103、104は、長手方向中心軸LAに対して同じ相対傾斜位置を有する。実施形態では、湾曲したオリフィス101、102、103、104は、それぞれの湾曲したオリフィス101、102、103、104の外側開口部112と内側開口部114の中心点との間に定義される異なる傾斜角に沿って延びることができる。長手方向中心軸LAを基準にしています。さらに他の実施形態では、湾曲したオリフィス101、102、103、104の少なくとも1つは、湾曲したオリフィス101、102、103の少なくとも1つの他のものとは長手方向中心軸LAに対する異なる傾斜角に沿って延びることができる。)

(10)図1及び2の図示内容から、予燃焼室37は、小径部及び大径部を有しているといえる。そして、上記(5)(段落[0041]を参照。)並びに図1及び2の図示内容から、長手方向中心軸線LAは、小径部、および大径部の両方の中心軸線となるように構成されているといえる。

(11)上記(6)及び図1の図示内容から、主燃焼室30を介さずに予燃焼室37に燃料を供給する燃料供給装置があるといえる。

上記記載事項、認定事項及び図面(特に、図1及び2を参照。)の図示内容から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

〔引用発明〕
「エンジンの主燃焼室30を規定するシリンダブロック22と、
前記主燃焼室30と複数のオリフィス101、102、103、104を介して連通されるとともに小径部、及び大径部を有する予燃焼室37を規定する予燃焼室アセンブリ25と、
前記予燃焼室37の大径部に設けられた点火装置44と、
前記主燃焼室30を介さずに前記予燃焼室37に燃料を供給する燃料供給装置と、を備え、
前記複数のオリフィス101、102、103、104の各々は、
オリフィス表面110が外側開口部112から内側開口部114まで連続的に湾曲するように形成され、
長手方向中心軸線LAは、前記小径部、および前記大径部の両方の中心軸線となるように構成され、
前記複数のオリフィス101、102、103、104のうちの少なくとも1つが前記長手方向中心軸線LAに対して互いに異なる傾斜の角度に沿って延在する、
エンジン。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された実願平3-83708号(実開平5-27240号)のCD-ROM(以下「引用文献2」という。)には、「副室式内燃機関の燃焼室」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【考案の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は副室式内燃機関の燃焼室に関する。」

(2)「 【0005】
【課題を解決するための手段】
副室は機関シリンダ中心線上域は同中心線に接近した位置に設けられ、半球形円筒形円錐形の組合せから構成された副室上部と円筒形域は円筒形と半球形の組合せから成る副室下部から構成され、前記副室下部の中心線は前記副室上部の中心線に対して機関シリンダ中心線と反対側に傾斜して、機関の圧縮行程時副室内に渦流を生成し、且燃料噴射弁は前記渦流の下流方向に燃料噴射できるように設置され、前記副室上部の円錐面の母線が前記副室上部中心線に垂直な平面となす角θとすると、45°<θ<65°に構成され、前記副室下部の主燃焼室側の端が主燃焼室に突出し、副室噴口は複数前記副室下部の突出端に開口しているものにおいて、前記副室下部中心線に垂直な平面と前記副室噴口の主燃焼室側中心線とのなす角をα_(1 )、前記副室噴口の副室側中心線と前記平面とのなす面をα_(2 )とするとき、α_(2 )>α_(1 )であり前記副室噴口の副室側中心線が前記副室下部の中心線と交る中心線が屈曲した複数の副室噴口を有することを特徴としている。」

(3)「【0007】
【実施例】
本考案の実施例を図1?2によって説明する。
図1は本考案に係る実施例の副室式内燃機関の燃焼室の断面図、図2は本考案に係る実施例の副室噴口部拡大断面図である。
図においてB-Bは機関のシリンダ中心線である。7はシリンダ、6はピストン、4はシリンダヘッドで内燃機関の公知の要素である。1は主室でシリンダヘッド4、ピストン6、シリンダ7でかこまれた空間である。2は副室でシリンダヘッド4に設けられている。8は副室口金でシリンダヘッド4内に設けられ先端が主室1に突き出ている。3は副室噴口で副室口金8の先端に複数設けられた中心線が屈曲した貫通穴である。9は副室口金押えで内側は半球面と円筒面の空洞で副室2の一部をなしシリンダヘッド4にねじこまれ副室口金8を押えている。5は燃料噴射弁で副室口金押え9にねじこまれ副室2の中心よりシリンダ中心線B-Bに近い位置で副室2に開口している。
【0008】
21は副室上部で副室2の主室1から遠い部分で副室口金押え9の内部と副室口金8の内側の円錐面で構成されている。A-Aは副室上部21の中心線である。22は副室下部で副室口金8に設けられた先端半球面の円筒穴である。C-Cは副室下部22の中心線で副室上部21の中心線A-Aに対してシリンダ中心線B-Bと反対側へ傾斜している。D-Dは副室噴口3の副室側中心線であり副室下部22の中心線C-Cに交り且副室下部の中心線C-Cに垂直な平面とのなす角がα_(2 )である。α_(1 )は副室噴口3の主室側中心線が副室下部の中心線C-Cに垂直な平面となす角で、α_(1 )<α_(2 )に構成されている。θは副室上部21の円錐面の母線が副室上部21の中心線A-Aに垂直な平面となす角で45°<θ<65°に構成されている。」

上記記載事項及び図面(特に、図1及び2を参照。)の図示内容から、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献2記載事項〕
「主室1と、前記主室1と複数の副室噴口3を介して連通される副室2と、副室2に設けられた燃料噴射弁5と、備え、複数の副室噴口3は中心線が屈曲した貫通穴であり、副室噴口3の副室側中心線D-Dと副室下部22の中心線C-Cに交り且副室下部の中心線C-Cに垂直な平面とのなす角をα_(2)とし、副室噴口3の主室側中心線が副室下部の中心線C-Cに垂直な平面となす角α_(1)としたとき、α_(1 )<α_(2 )に構成されている、副室式内燃機関。」

3 引用文献3
前置報告において引用された実願平3-8824号(特開平4-105941号)のマイクロフィルム(以下「引用文献3」という。)には、「副室式内燃機関の副室口金」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、副室式内燃機関の燃焼室に適用される副室口金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の副室式内燃機関の燃焼室に適用される副室口金を図4ないし図6により説明すると、図4において、副燃焼室2はシリンダヘッド4に副室口金8を挿入し、上部より副室口金押え9でねじ止めされ取り付けられている。副室口金押え9内には副燃焼室2に燃料を噴射するための燃料噴射弁5が取り付けられている。この副燃焼室2の形状は、半球状や円錐台状ならびに円柱状等があるが、ここでは円柱形状のものを示す。
【0003】
また、副室口金8の下部には、主燃焼室側噴口角度をα1とし、副燃焼室側噴口角度をα2としたとき(ただし、α1およびα2は何れもシリンダ中心線Eに直角な平面に対する角度である)、α1<α2の関係を有する屈曲した複数個の副室噴口3が貫通されていて、この副室噴口3を介して副燃焼室2と主燃焼室1は連通される。主燃焼室1はピストン6頂面とシリンダ7およびシリンダヘッド4下面より形成される。なお、屈曲した複数個の副室噴口3を有する副室口金8は一体型構造である。」

上記記載事項及び図面(特に、図4ないし6を参照。)の図示内容から、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献3記載事項〕
「主燃焼室1と、前記主燃焼室1と複数の副室噴口3を介して連通される副燃焼室2と、副燃焼室2に設けられた燃料噴射弁5と、備え、前記副室噴口3は、主燃焼室側噴口角度をα1とし、副燃焼室側角度をα2としたとき(ただし、α1およびα2はいずれもシリンダ中心線Eに直角な平面に対する角度である)、α1<α2の関係を有するように屈曲している、副室式内燃機関。」

第5 対比及び判断
1 本願発明1
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「主燃焼室30」は、その機能、構成または技術的意義から見て、本願発明1における「主燃焼室」に相当し、以下同様に、「規定する」は「形成する」に、「シリンダブロック22」は「主室形成部」に、「オリフィス101、102、103、104」は「噴孔」に、「小径部」は「所定の内径を有する小径筒室」及び「小径筒室」に、「大径部」は「前記小径筒室よりも大きい内径を有した大径筒室」及び「大径筒室」に、「予燃焼室37」は「副室」に、「予燃焼室アセンブリ25」は「副室形成部」に、「点火装置44」は「着火装置」に、「長手方向中心軸線LA」は「副室中心軸線」に、それぞれ相当する。
上記記載事項(1)及び(6)を参酌すると、引用発明における「燃料供給装置」及び「エンジン」は、本願発明1における「副室ガス供給装置」及び「副室式ガスエンジン」にそれぞれ相当するといえる。

引用発明における「前記複数のオリフィス101、102、103、104の各々は、オリフィス表面110が外側開口部112から内側開口部114まで連続的に湾曲するように形成され、」と、本願発明1における「前記複数の噴孔の各々は、前記噴孔の副室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の副室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である副室側直線と、前記噴孔の主室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の主室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である主室側直線と、が交差するように形成されるとともに、
前記副室の副室中心軸線と前記副室側直線とがなす鋭角側の角度は、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす鋭角側の角度よりも小さくなるように形成され、」の関係について考察する。
本願明細書の段落【0029】ないし【0030】には「【0029】具体的には、図3?図7に示されるように、上述した複数の噴孔4の副室側開口41sの中心位置Pcを通過し、且つ、この噴孔4の副室側開口41sにおける中心線Cpの延在方向に沿った直線である副室側直線Tsと、上記の噴孔4の主室側開口41mの中心位置Pcを通過し、且つ、この噴孔4の主室側開口41mにおける中心線Cpの延在方向に沿った直線である主室側直線Tmと、が交差するように形成されるとともに、副室3rの副室中心軸線Csと副室側直線Tsとがなす鋭角側の角度(副室側角度φs)は、副室中心軸線Csと主室側直線Tmとがなす鋭角側の角度(主室側角度φm)よりも小さくなるように形成されている(φs<φm)。【0030】より簡潔に言うと、副室側直線Tsは、噴孔4の副室側開口41sの中心位置Pcにおける噴孔4の中心線Cpの接線であり、主室側直線Tmは、噴孔4の主室側開口41mの中心位置Pcにおける噴孔4の中心線Cpの接線である。」との記載がある。
そして、引用文献1の図2の図示内容から、引用発明における「オリフィス101、102、103、104」は、「内側開口部114」の中心位置における当該中心線の接線と、「外側開口部112」の中心位置における当該中心線の接線とは交差し、長手方向中心軸線LAと内側開口部114側の接線とがなす鋭角側の角度は、前記長手方向中心軸線LAと外側開口部112側の接線とがなす鋭角側の角度よりも小さくなるように形成されているといえる。
そうすると、引用発明における「前記複数のオリフィス101、102、103、104の各々は、オリフィス表面110が外側開口部112から内側開口部114まで連続的に湾曲するように形成され、」は、本願発明1における「前記複数の噴孔の各々は、前記噴孔の副室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の副室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である副室側直線と、前記噴孔の主室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の主室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である主室側直線と、が交差するように形成されるとともに、前記副室の副室中心軸線と前記副室側直線とがなす鋭角側の角度は、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす鋭角側の角度よりも小さくなるように形成され、」に相当する。

引用発明における「前記複数のオリフィス101、102、103、104のうちの少なくとも1つが前記長手方向中心軸線LAに対して互いに異なる傾斜の角度に沿って延在」と本願発明1における「前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記副室側直線とがなす前記鋭角側の角度は同じであり、前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす前記鋭角側の角度は、少なくとも1つの噴孔において異なって」とは、「前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線に対する角度は、少なくとも1つの噴孔において異なって」という限りにおいて一致している。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点〕
「エンジンの主燃焼室を形成する主室形成部と、
前記主燃焼室と複数の噴孔を介して連通されるとともに所定の内径を有する小径筒室、及び前記小径筒室よりも大きい内径を有した大径筒室を有する副室を形成する副室形成部と、
前記副室の大径筒室に設けられた着火装置と、
前記主燃焼室を介さずに前記副室に燃料を供給する副室ガス供給装置と、を備え、
前記複数の噴孔の各々は、
前記噴孔の副室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の副室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である副室側直線と、前記噴孔の主室側開口の中心位置を通過し、且つ、前記噴孔の主室側開口における中心線の延在方向に沿った直線である主室側直線と、が交差するように形成されるとともに、
前記副室の副室中心軸線と前記副室側直線とがなす鋭角側の角度は、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす鋭角側の角度よりも小さくなるように形成され、
前記副室中心軸線は、前記小径筒室、および前記大径筒室の両方の中心軸線となるように構成され、
前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線に対する角度は、少なくとも1つの噴孔において異なっている、
副室式ガスエンジン。」

〔相違点1〕
本願発明1においては、副室形成部は、主燃焼室の主室中心軸線と副室中心軸線とが「一致」するように構成されているのに対して、引用発明においては、主燃焼室30の中心軸線と予燃焼室37の中心軸線とが一致するように構成されているか否か不明な点。

〔相違点2〕
「前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線に対する角度は、少なくとも1つの噴孔において異なって」に関して、本願発明1においては「前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記副室側直線とがなす前記鋭角側の角度は同じであり、前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす前記鋭角側の角度は、少なくとも1つの噴孔において異なって」いるものであるのに対して、引用発明においては「前記複数のオリフィス101、102、103、104のうちの少なくとも1つが前記長手方向中心軸線LAに対して互いに異なる傾斜の角度に沿って延在」するものである点。

〔相違点3〕
本願発明1においては「前記複数の噴孔の少なくとも一つは、前記副室側開口を一端側に形成する直線状の副室側直線状孔部と、前記副室側直線状孔部の他端側に接続されると共に前記主室側開口を形成する直線状の主室側直線状孔部と」からなるものであるのに対して、引用発明においては、複数のオリフィス101、102、103、104の各々は、オリフィス表面110が外側開口部112から内側開口部114まで連続的に湾曲するように形成されている点。

事案に鑑み、先ず、上記相違点2について検討する。
引用文献2記載事項は上記のとおり「主室1と、前記主室1と複数の副室噴口3を介して連通される副室2と、副室2に設けられた燃料噴射弁5と、備え、複数の副室噴口3は中心線が屈曲した貫通穴であり、副室噴口3の副室側中心線D-Dと副室下部22の中心線C-Cに交わり且副室下部の中心線C-Cに垂直な平面とのなす角をα_(2)とし、副室噴口3の主室側中心線が副室下部の中心線C-Cに垂直な平面となす角α_(1)としたとき、α_(1 )<α_(2 )に構成されている、副室式内燃機関。」というものであって、引用文献3記載事項は上記のとおり「主燃焼室1と、前記主燃焼室1と複数の副室噴口3を介して連通される副燃焼室2と、副燃焼室2に設けられた燃料噴射弁5と、備え、前記副室噴口3は、主燃焼室側噴口角度をα1とし、副燃焼室側角度をα2としたとき(ただし、α1およびα2はいずれもシリンダ中心線Eに直角な平面に対する角度である)、α1<α2の関係を有するように屈曲している、副室式内燃機関。」というものであって、「前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記副室側直線とがなす前記鋭角側の角度は同じであり、前記複数の噴孔の各々における、前記副室中心軸線と前記主室側直線とがなす前記鋭角側の角度は、少なくとも1つの噴孔において異なって」いるという事項まで、開示するものではない。
そうすると、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明において引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項を参酌しても、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
また、他に、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、周知の技術又は設計的事項であることを示す証拠や根拠はない。

次に、上記相違点3について検討する。
引用発明は、上記記載事項(2)、(3)(特に段落[0028]を参照。)及び(8)(特に段落[0058]を参照。)を参酌すれば、滑らかな湾曲したオリフィス形状とすることによって、燃料混合物/火炎前面との間の熱伝達を低減し、局所的なホットスポットの発生を低減することで、オリフィス内の温度を低減するものである。
そうすると、引用発明において、「複数のオリフィス101、102、103、104の各々は、オリフィス表面110が外側開口部112から内側開口部114まで連続的に湾曲するように形成されている」ものを、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項のように、「屈曲した」貫通穴とすることには、阻害事由がある。
したがって、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明において引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項を参酌しても、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

また、他に、上記相違点2及び相違点3に係る本願発明1の発明特定事項が、周知の技術又は設計的事項であることを示す証拠や根拠はない。

そして、本願発明1は、「複数の噴孔4の各々の主室側角度φmをそれぞれ適切に設定することによって、主燃焼室2rにおける未燃燃料の残留を低減し、ノッキングの抑制および熱損失の低減を図ることができ、効率改善を図ることができる。」という、発明の詳細な説明の段落【0039】に記載の作用効果を奏する。

したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2ないし4
本願発明2ないし4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

なお、上記のとおりであるから、令和3年2月15日の上申書において提示された補正案については、これを採用するまでもない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-30 
出願番号 特願2016-240178(P2016-240178)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 高島 壮基
鈴木 充
発明の名称 副室式ガスエンジン  
代理人 誠真IP特許業務法人  
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