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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1375686
審判番号 不服2020-6024  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-01 
確定日 2021-06-30 
事件の表示 特願2017-224842「クラウドストレージ管理のための方法、コンピュータプログラムおよびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月21日出願公開、特開2018- 97861〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成29年11月22日(パリ条約による優先権主張2016年12月9日(以下,「優先日」という。),韓国)の出願であって,平成31年4月4日付けで拒絶の理由が通知され,令和1年7月9日に意見書とともに手続補正書が提出され,同年12月23日付けで拒絶査定(謄本送達日令和2年1月7日)がなされ,これに対して令和2年5月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,同年7月8日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされ,同年10月28日に上申書が提出されたものである。


第2 令和2年5月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年5月1日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のように補正された。(下線は,補正箇所を示すために審判請求人が付与したものである。)

「 【請求項1】
コンピュータで実現されるクラウドストレージ管理システムにおけるクラウドストレージ管理方法であって、
電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージのドライブをメインドライブであるネットワークドライブとして、前記電子機器上に構成し、
前記ネットワークドライブを通じて前記ユーザが利用する少なくとも1つの他のサーバ上の第2クラウドストレージのドライブを連動し、
前記ネットワークドライブを通じて前記第1クラウドストレージと前記第2クラウドストレージを統合管理すること、を含み、
前記統合管理することは、前記ネットワークドライブを通じて前記第2クラウドストレージに格納されたファイルのメタデータを収集して前記第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供する、クラウドストレージ管理方法。」

なお,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
コンピュータで実現されるクラウドストレージ管理システムにおけるクラウドストレージ管理方法であって、
電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージに対するネットワークドライブを、前記電子機器上に構成し、
前記ネットワークドライブを通じて前記ユーザが利用する少なくとも1つの他のサーバ上の第2クラウドストレージを連動し、
前記ネットワークドライブを通じて前記第1クラウドストレージと前記第2クラウドストレージを統合管理すること、を含み、
前記統合管理することは、前記ネットワークドライブを通じて前記第2クラウドストレージに格納されたファイルのメタデータを収集して前記第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供する、クラウドストレージ管理方法。」

2 本件補正の適否の判断

本件補正により,本件補正前に「電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージに対するネットワークドライブを、前記電子機器上に構成し」とあるのを,本件補正後に「電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージのドライブをメインドライブであるネットワークドライブとして、前記電子機器上に構成し」と補正された。
そして,審判請求書により審判請求人は,「本願発明1では、第1クラウドストレージのドライブはメインドライブであるネットワークドライブとして電子機器上にあり、ネットワークドライブを通じて第1クラウドストレージに第2クラウドストレージのドライブをサブドライブとして連動すること、およびネットワークドライブを通じて第1クラウドストレージに対して第2クラウドストレージを統合管理することで、ネットワークドライブを通じて第2クラウドストレージに格納されたファイルのメタデータを収集し、ネットワークドライブを通じて第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供すること、という構成によって、第1クラウドストレージがメインドライブであって第2クラウドストレージがサブドライブの関係となります。」(「(3-3)本願発明1と引用発明1との対比」の項)旨主張している。
そこで,本件補正に係る,当該「電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージのドライブをメインドライブであるネットワークドライブとして、前記電子機器上に構成」することが,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載したものであるか否かについて検討する。

本願明細書段落【0045】には,「ネットワークドライブ」について,「ドライブ構成部310は、電子機器1(110)のユーザに割り当てられた第1クラウドストレージに対するネットワークドライブを構成するように電子機器1(110)を制御してもよい。」と記載されている。
また,「メインドライブ」については,同じく本願明細書段落【0045】に,「ドライブ構成部310は、サーバ150と関連するクラウドサービスプラットフォームで電子機器1(110)のユーザに割り当てられた第1クラウドストレージにアクセスすることのできる仮想のドライブ(以下、「メインドライブ」と称する)を電子機器1(110)上に構成してもよい。」と記載されている。
以上の記載から,当初明細書等の記載によれば,「電子機器1(110)」には,「ドライブ構成部310」によって,「第1クラウドストレージに対するネットワークドライブ」が構成され,同じく「ドライブ構成部310」によって,「第1クラウドストレージにアクセスすることのできる仮想のドライブ」である「メインドライブ」が,「電子機器1(110)」上に構成されることが読み取れる。
しかしながら,「電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージのドライブをメインドライブであるネットワークドライブとして、前記電子機器上に構成」すること,すなわち,「第1クラウドストレージにアクセスすることのできる仮想のドライブ」である「メインドライブ」を,「第1クラウドストレージに対するネットワークドライブ」として構成することは,当初明細書等には一切記載されていない。
さらに,当初明細書等のその余の記載,例えば,本願明細書段落【0049】-【0059】及び図面の図6-図10の記載を参照したとしても,「第1クラウドストレージ」及び「第2クラウドストレージ」との間で,審判請求書において主張されるような,「第1クラウドストレージがメインドライブであって第2クラウドストレージがサブドライブの関係とな」るような態様は,当初明細書等から読み取ることはできない。

したがって,本件補正は,当初明細書等に記載された技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではない。

3 補正の却下の決定のむすび

よって,本件補正は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明

令和2年5月1日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,令和1年7月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,その請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。

「コンピュータで実現されるクラウドストレージ管理システムにおけるクラウドストレージ管理方法であって、
電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージに対するネットワークドライブを、前記電子機器上に構成し、
前記ネットワークドライブを通じて前記ユーザが利用する少なくとも1つの他のサーバ上の第2クラウドストレージを連動し、
前記ネットワークドライブを通じて前記第1クラウドストレージと前記第2クラウドストレージを統合管理すること、を含み、
前記統合管理することは、前記ネットワークドライブを通じて前記第2クラウドストレージに格納されたファイルのメタデータを収集して前記第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供する、クラウドストレージ管理方法。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1-7及び11-17に係る発明は,本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1に記載された発明と同一であるから,特許法29条1項3号の規定により,または,引用例1に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,同法同条2項の規定により,特許を受けることができないものであり,この出願の請求項8-10及び18-20に係る発明は,本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1及び引用例2に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,同法同条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用例1:特開2016-91547号公報
引用例2:特開2008-217695号公報

3 引用例

(1) 引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した,本願の優先日前に既に公知である,特開2016-91547号公報(平成28年5月23日公開。以下,これを「引用例1」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)

A 「【0016】
したがって、ある実施形態は、複数のリモートおよびローカル・デバイス(例えば、デスクトップ、ラップトップ、スマートフォン、タブレット等)ならびにクラウド・ストレージ・サービス/アカウント/デバイスを単一の集約サービス/アプリケーションに接続する方法を提供する。」

B 「【0043】
図3は、集約サービスが提供するユーザー・インターフェースの例を示す。システム(system)300はファイル・マネージャー・システムである。ある実施形態では別の種類の管理システムであってもよい。ユーザー・インターフェースの左側に、集約サービスがアクセス可能な様々なデバイスが示されている。例えば、現在デバイスに認証されているユーザーは、クラウド・ストレージ・デバイス(cloud storage device)301、リムーバブル・ストレージ・デバイス(removable storage device)302、ローカル・ストレージ・デバイス(local storage device)303、およびリモート・ストレージ・デバイス(remote storage device)304等にアクセスできる。加えて、検索機能(search functionality)305が提供されてもよい。ユーザーがデバイスを選択すると、ユーザー・インターフェースの右側に、選択されたデバイスに含まれるファイル、フォルダー、およびデータが示されてもよい。他のレイアウトも可能である。ユーザーは、デバイス(例えば、301、302、303、304等)を選択(例えば、強調表示、マウスによる右クリック、ファンクション・クリック等)でき、ユーザー・インターフェースにおいてオプションまたは選択項目が提供されてもよい。例えば、ユーザーは、デバイス上で右クリックすることで、デバイスを切断可能であってもよい。」

C 「【0051】
502において、ある実施形態は、集約サービスのデバイスによってリトリーブ(retrieve)され、、かつリモート・デバイスに格納されたデータおよびクラウド・ストレージ・デバイスに格納されたデータに類似するファイル・システム・データを要求してもよい。加えて、または代わりに、ファイル・システム・データは、複数のリモート・デバイス、複数のクラウド・ストレージ・デバイス、ローカル・ストレージ・デバイス、リムーバブル・ストレージ・デバイス等のファイル・システム・データを含んでもよい。ファイル・システム・データは、例えば、タイトル、要約、作成者、キーワード、ファイルのサイズ、データの種類、データの場所、作成日時、変更日時等、データに関するメタデータを含んでもよい。加えて、または代わりに、この類似するデータ(ファイル・システム・データ)は、ストレージ・デバイスに格納されている実際のデータの何らかの形を含んでもよい。例えば、ある実施形態は、ストレージ・デバイスからファイルをコピーし、集約サービスのデバイスのメモリーにそのファイルを格納してもよい。類似するデータ(ファイル・システム・データ)は、例えば、階層データやインデックス・データ等、データを表示するために集約サービスが使用する他の種類のデータを含んでもよい。」

D 「【0053】
503において、ある実施形態は、集約サービスのデバイスからファイル・システム・データが受信されたか否かを判定してもよい。ファイル・システム・データの受信は、集約サービスのデバイスにおいてユーザーが認証されているか否かによって決まってもよい。503においてファイル・システム・データが受信されない場合、ある実施形態は、505において何もせず、501において認証入力が受信されるまで待つ。一方、503において集約サービスのデバイスからファイル・システム・データが受信された場合、ある実施形態は、504において、例えば、ディスプレイ・デバイス(例えば、モニター、タッチ・スクリーン、ディスプレイ、液晶ディスプレイ等)を使用して、要求されたファイル・システム・データから生成されるファイル・マネージャー・アプリケーションの形式でユーザー・インターフェースを表示する(例えば、図3に示す)。ファイル・マネージャー・アプリケーションは、要求されたファイル・システム・データだけでなく、他のストレージ・デバイスからのファイル・システム・データも含んでもよい。例えば、一実施形態において、ファイル・マネージャー・アプリケーションは、クライアント・デバイスに格納されたデータに関するデータを付加的に表示してもよい。加えて、または代わりに、ファイル・マネージャー・アプリケーションは、集約サービスのデバイスと通信するか、または集約サービスのデバイスに接続される、他のストレージ・デバイス(例えば、ローカル・ストレージ、リモート・ストレージ、クラウド・ストレージ、リムーバブル・ストレージ等)に格納されたデータを表示してもよい。
【0054】
一実施形態において、要求されたファイル・システム・データは、集約サービスのデバイスによって取得され、その後、ユーザー・インターフェースにアクセスするためにユーザーが使用しているデバイスによって受信されてもよい。要求されたファイル・システム・データは、特定のデータを要求するユーザー入力の受信に応じて表示されてもよい。例えば、ユーザーは、ユーザー・インターフェースを使用して(例えば、301等のストレージ・デバイスをダブル・クリックして)、ストレージ・デバイスを選択してもよい。ストレージ・デバイスが選択され次第、ある実施形態は、ユーザー・インターフェースに(例えば、図3に示すユーザー・インターフェースの右側に)、ストレージ・デバイスのコンテンツを表示してもよい。」

E 「【0058】
したがって、例示的実施形態および図面によって示したように、ある実施形態は集約サービスを提供する。集約サービスは、ユーザーによるリモート・デバイス、クラウド・ストレージ・デバイス、ローカル・ストレージ・デバイス、リムーバブル・ストレージ・デバイス等へのアクセスを可能にするアプリケーションを提供する。集約サービスは、ユーザーが、これらのデバイスとサーバーとの間の通信リンクを提供する集約サービスにデバイスを接続することにより、これらのデバイスへのアクセスを受け付けてもよい。ある実施形態は、集約サービスが1種類のストレージ・デバイスに接続するだけでなく、同じ種類の複数のストレージ・デバイスを含む、複数のストレージ・デバイス(例えば、同じプロバイダーがホストする2つ以上のリモート・デバイス、2つ以上のクラウド・ストレージ・デバイス、2つ以上のクラウド・ストレージ・デバイス等)に接続できるようにしてもよい。これらのデバイスが接続されたら、ある実施形態は、ユーザーが単一のインターフェースを使用して複数のデバイスにアクセスできるユーザー・インターフェースを提供してもよい。一実施形態において、ユーザーはさらに、場合によってはインターフェースを使用して、複数のデバイス間でファイルを共有および検索可能であってもよい。したがって、ある実施形態は、ユーザーが、複数の場所にある複数のストレージ・デバイスにアクセスし、ストレージ・デバイスに格納されたデータを容易かつシームレスに操作可能なアプリケーションを提供する。」

F 「

図3」

(2) 引用発明

ア 上記記載事項Aの「複数のリモートおよびローカル・デバイス…(中略)…ならびにクラウド・ストレージ・サービス/アカウント/デバイスを単一の集約サービス/アプリケーションに接続する方法」との記載から,引用例1には,“複数のリモートデバイスならびにクラウド・ストレージ・サービス/アカウント/デバイスを単一の集約サービス/アプリケーションに接続する方法”について記載されているといえる。

イ 上記記載事項Bの「図3は、集約サービスが提供するユーザー・インターフェースの例を示す。システム(system)300はファイル・マネージャー・システムである。」との記載,及び上記記載事項Fの図3,並びに上記アの認定事項より,引用例1には,“前記集約サービスが提供する,ファイル・マネージャー・システムのユーザー・インターフェースが表示され”ることが記載されているといえる。
上記記載事項Fの図3には,左側に所定のアイコンと共に「Favorites」,「Desktop」…と縦に並んだ列の下方に,「Aggregate Service Device」という項目があり,そのすぐ下に,「Cloud Drive(Home)」と「Cloud Drive(Work)」という項目が並んでいる様子が読み取れる。そして,これら2つの「Cloud Drive(Home)」と「Cloud Drive(Work)」には,「301」という符合が振られており,上記記載事項Bの「ユーザー・インターフェースの左側に、集約サービスがアクセス可能な様々なデバイスが示され…(中略)…現在デバイスに認証されているユーザーは、クラウド・ストレージ・デバイス(cloud storage device)301、リムーバブル・ストレージ・デバイス(removable storage device)302、ローカル・ストレージ・デバイス(local storage device)303、およびリモート・ストレージ・デバイス(remote storage device)304等にアクセスでき」との記載を併せて参照すると,これら2つの「Cloud Drive(Home)」と「Cloud Drive(Work)」は,それぞれ別の「クラウド・ストレージ・デバイス」を表したものであることを読取ることができる。したがって,引用例1には,“前記ユーザー・インターフェースには,Aggregate Service Deviceとその下に2つのクラウド・ストレージ・デバイスに対するCloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)が表示され”ることが記載されているといえる。

ウ 上記記載事項Cの「集約サービスのデバイスによってリトリーブ(retrieve)され、、かつリモート・デバイスに格納されたデータおよびクラウド・ストレージ・デバイスに格納されたデータに類似するファイル・システム・データを要求し…(中略)…ファイル・システム・データは、複数のリモート・デバイス、複数のクラウド・ストレージ・デバイス…(中略)…のファイル・システム・データを含んで…(中略)…例えば、タイトル、要約、作成者、キーワード、ファイルのサイズ、データの種類、データの場所、作成日時、変更日時等、データに関するメタデータを含んで…(中略)…階層データやインデックス・データ等、データを表示するために集約サービスが使用する他の種類のデータを含んでもよい」との記載,及び上記イの認定事項より,引用例1には,“前記集約サービスのデバイスによってリトリーブされ,かつ前記リモート・デバイスに格納されたデータおよびクラウド・ストレージ・デバイスに格納されたデータに類似するファイル・システム・データを要求し,前記ファイル・システム・データは,複数のリモート・デバイス及び複数のクラウド・ストレージ・デバイスのファイル・システム・データを含み,例えば,タイトル,要約,作成者,キーワード,ファイルのサイズ,データの種類,データの場所,作成日時,変更日時等,データに関するメタデータを含んでいて,階層データやインデックス・データ等,データを表示するために集約サービスが使用する他の種類のデータを含”んでいることが記載されているといえる。

エ 上記記載事項Dの「集約サービスのデバイスからファイル・システム・データが受信された場合、…(中略)…ディスプレイ・デバイス…を使用して、要求されたファイル・システム・データから生成されるファイル・マネージャー・アプリケーションの形式でユーザー・インターフェースを表示する」との記載,並びに,上記イ及びウの認定事項から,引用例1には,“前記集約サービスのデバイスから前記ファイル・システム・データが受信された場合,ディスプレイ・デバイスを使用して,要求された前記ファイル・システム・データから生成されるファイル・マネージャー・アプリケーションの形式で前記ユーザー・インターフェースを表示”することが記載されているといえる。
同じく上記記載事項Dの「ユーザーは、ユーザー・インターフェースを使用して…(中略)…ストレージ・デバイスを選択し…ストレージ・デバイスが選択され次第、…ユーザー・インターフェースの右側に…ストレージ・デバイスのコンテンツを表示し」との記載から,引用例1には,“ユーザーは,前記ユーザー・インターフェースを使用してストレージ・デバイスを選択し,ストレージ・デバイスが選択され次第,前記ユーザー・インターフェースの右側にストレージ・デバイスのコンテンツを表示”することが記載されているといえる。

オ 上記記載事項Eの「集約サービスは、ユーザーによるリモート・デバイス、クラウド・ストレージ・デバイス、…(中略)…へのアクセスを可能にするアプリケーションを提供する。集約サービスは、ユーザーが、これらのデバイスとサーバーとの間の通信リンクを提供する集約サービスにデバイスを接続することにより、これらのデバイスへのアクセスを受け付け…(中略)…同じ種類の複数のストレージ・デバイスを含む、…(中略)…2つ以上のクラウド・ストレージ・デバイス…(中略)…に接続できる…(中略)…ユーザーが単一のインターフェースを使用して複数のデバイスにアクセスできるユーザー・インターフェースを提供し…(中略)…ユーザーが、複数の場所にある複数のストレージ・デバイスにアクセスし、ストレージ・デバイスに格納されたデータを容易かつシームレスに操作可能なアプリケーションを提供する」との記載,及び上記イの認定事項から,引用例1には,“前記集約サービスは,ユーザーによるリモート・デバイス,クラウド・ストレージ・デバイスへのアクセスを可能にするアプリケーションを提供し,ユーザーが,これらのデバイスとサーバーとの間の通信リンクを提供する集約サービスにデバイスを接続することにより,これらのデバイスへのアクセスを受け付け,同じ種類の複数のストレージ・デバイスを含む,2つ以上のクラウド・ストレージ・デバイスに接続でき,ユーザーが単一のインターフェースを使用して複数のデバイスにアクセスできるユーザー・インターフェースを提供し,ユーザーが,複数の場所にある複数のストレージ・デバイスにアクセスし,ストレージ・デバイスに格納されたデータを容易かつシームレスに操作可能なアプリケーションを提供する”ことが記載されているといえる。

カ 以上上記アないしオより,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「複数のリモートデバイスならびにクラウド・ストレージ・サービス/アカウント/デバイスを単一の集約サービス/アプリケーションに接続する方法であって,
前記集約サービスが提供する,ファイル・マネージャー・システムのユーザー・インターフェースが表示され,
前記ユーザー・インターフェースには,Aggregate Service Deviceとその下に2つのクラウド・ストレージ・デバイスに対するCloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)が表示され,
前記集約サービスのデバイスによってリトリーブされ,かつ前記リモート・デバイスに格納されたデータおよびクラウド・ストレージ・デバイスに格納されたデータに類似するファイル・システム・データを要求し,前記ファイル・システム・データは,複数のリモート・デバイス及び複数のクラウド・ストレージ・デバイスのファイル・システム・データを含み,例えば,タイトル,要約,作成者,キーワード,ファイルのサイズ,データの種類,データの場所,作成日時,変更日時等,データに関するメタデータを含んでいて,階層データやインデックス・データ等,データを表示するために集約サービスが使用する他の種類のデータを含み,
前記集約サービスのデバイスから前記ファイル・システム・データが受信された場合,ディスプレイ・デバイスを使用して,要求された前記ファイル・システム・データから生成されるファイル・マネージャー・アプリケーションの形式で前記ユーザー・インターフェースを表示し,
ユーザーは,前記ユーザー・インターフェースを使用してストレージ・デバイスを選択し,ストレージ・デバイスが選択され次第,前記ユーザー・インターフェースの右側にストレージ・デバイスのコンテンツを表示し,
前記集約サービスは,ユーザーによるリモート・デバイス,クラウド・ストレージ・デバイスへのアクセスを可能にするアプリケーションを提供し,ユーザーが,これらのデバイスとサーバーとの間の通信リンクを提供する集約サービスにデバイスを接続することにより,これらのデバイスへのアクセスを受け付け,同じ種類の複数のストレージ・デバイスを含む,2つ以上のクラウド・ストレージ・デバイスに接続でき,ユーザーが単一のインターフェースを使用して複数のデバイスにアクセスできるユーザー・インターフェースを提供し,ユーザーが,複数の場所にある複数のストレージ・デバイスにアクセスし,ストレージ・デバイスに格納されたデータを容易かつシームレスに操作可能なアプリケーションを提供する
方法。」

4 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「複数のリモートデバイスならびにクラウド・ストレージ・サービス/アカウント/デバイスを単一の集約サービス/アプリケーションに接続する方法」は,引用発明の「集約サービス」が,「ユーザーによるリモート・デバイス,クラウド・ストレージ・デバイスへのアクセスを可能にするアプリケーションを提供し,ユーザーが,これらのデバイスとサーバーとの間の通信リンクを提供する集約サービスにデバイスを接続することにより,これらのデバイスへのアクセスを受け付け,同じ種類の複数のストレージ・デバイスを含む,2つ以上のクラウド・ストレージ・デバイスに接続でき」るものであることから,「クラウド・ストレージ・デバイス」を含むシステムにおける,当該「クラウド・ストレージ・デバイス」を管理するシステムであるといえ,当該システムはコンピュータによって実現されるものであることは当業者にとって自明であるから,引用発明と本願発明とは,“コンピュータで実現されるクラウドストレージ管理システムにおけるクラウドストレージ管理方法”の点で一致する。

(2)引用発明は,「複数のリモートデバイスならびにクラウド・ストレージ・サービス/アカウント/デバイスを単一の集約サービス/アプリケーションに接続する方法であって」,「集約サービスが提供する,ファイル・マネージャー・システムのユーザー・インターフェースが表示され」るとともに,「前記ユーザー・インターフェースには,Aggregate Service Deviceとその下に2つのクラウド・ストレージ・デバイスに対するCloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)が表示され」るものであり,当該「リモートデバイス」は,本願発明の「電子機器」に相当する。
引用発明において「前記ユーザー・インターフェースを使用してストレージ・デバイスを選択」する「ユーザー」は,本願発明の「電子機器のユーザ」に相当する。
また,引用発明の当該「ユーザー」が,「前記ユーザー・インターフェースを使用してストレージ・デバイスを選択」すると,「ストレージ・デバイスが選択され次第,前記ユーザー・インターフェースの右側にストレージ・デバイスのコンテンツ」が「表示」されることから,当該「ユーザー・インターフェース」に表示されるところの,「Cloud Drive(Home)」は,上記(1)の認定を踏まえれば,本願発明の「電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージ」に対応するドライブに対応するものといえる。
そして,引用発明の「ユーザー・インターフェース」において,「Cloud Drive(Home)」が表示されることは,本願発明の「電子機器のユーザに割り当てられた、前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージに対するネットワークドライブを、前記電子機器上に構成」することに対応するといえることから,以上総合して,引用発明と本願発明とは,下記の点(相違点1)で相違するものの,“電子機器のユーザに割り当てられた,前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージに対するドライブを,前記電子機器上に構成”する点で一致する。

(3)引用発明の「ユーザー・インターフェース」には,「2つのクラウド・ストレージ・デバイスに対するCloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)が表示され」るものであり,当該「ユーザー・インターフェース」に表示されている当該「Cloud Drive(Work)」は,上記(2)の認定事項を踏まえると,本願発明の「第2クラウドストレージ」に相当するといえることから,引用発明と本願発明とは,“前記第1クラウドストレージと第2クラウドストレージを統合管理すること”を含む点で一致する。

(4)引用発明の「ファイル・システム・データ」は,「複数のリモート・デバイス及び複数のクラウド・ストレージ・デバイスのファイル・システム・データを含み,例えば,タイトル,要約,作成者,キーワード,ファイルのサイズ,データの種類,データの場所,作成日時,変更日時等,データに関するメタデータを含」むものであるから,本願発明の「メタデータ」に相当する。
そして,引用発明は,「前記集約サービスのデバイスから前記ファイル・システム・データが受信された場合,ディスプレイ・デバイスを使用して,要求された前記ファイル・システム・データから生成されるファイル・マネージャー・アプリケーションの形式で前記ユーザー・インターフェースを表示し」,「ユーザーは,前記ユーザー・インターフェースを使用してストレージ・デバイスを選択し,ストレージ・デバイスが選択され次第,前記ユーザー・インターフェースの右側にストレージ・デバイスのコンテンツを表示」するものであり,このようなデバイスの選択処理及び表示処理は,上記「メタデータ」に関する認定事項,及び上記(3)の「第2クラウドストレージ」に関する認定事項を踏まえれば,第2クラウドストレージに格納されたメタデータを収集し,当該第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供するものといえることから,引用発明と本願発明とは,下記の点(相違点3)で相違するものの,“前記統合管理することは,前記第2クラウドストレージに格納されたファイルのメタデータを収集して前記第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供する”点で一致する。

(5)以上,(1)ないし(4)の検討から,引用発明と本願発明とは,次の一致点及び相違点を有する。

〈一致点〉
コンピュータで実現されるクラウドストレージ管理システムにおけるクラウドストレージ管理方法であって,
電子機器のユーザに割り当てられた,前記クラウドストレージ管理システムと関連するサーバ上の第1クラウドストレージに対するドライブを,前記電子機器上に構成し,
前記第1クラウドストレージと第2クラウドストレージを統合管理すること,を含み,
前記統合管理することは,前記第2クラウドストレージに格納されたファイルのメタデータを収集して前記第2クラウドストレージに対するメタサービスを提供する,クラウドストレージ管理方法。

〈相違点1〉
本願発明が,「第1クラウドストレージに対するネットワークドライブ」を構成するものであるのに対し,引用発明は,ネットワークドライブを構成することが特定されていない点。

〈相違点2〉
本願発明が,「前記ネットワークドライブを通じて前記ユーザが利用する少なくとも1つの他のサーバ上の第2クラウドストレージを連動」するものであるのに対し,引用発明は,ネットワークドライブを通じて第2クラウドストレージを連動することが特定されていない点。

〈相違点3〉
本願発明が,「前記ネットワークドライブを通じて」統合管理するものであるのに対し,引用発明は,ネットワークドライブを通じて統合管理することが特定されていない点。

5 判断
上記相違点につき検討する。

(1)相違点1について
引用発明は,「ユーザー・インターフェース」に,「Aggregate Service Deviceとその下に2つのクラウド・ストレージ・デバイスに対するCloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)が表示され」るものであり,当該「ユーザー・インターフェース」は,「ファイル・マネージャー・アプリケーションの形式で」表示されるものであって,「Aggregate Service Device」という項目と,「Cloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)」という項目とは,階層関係をもって表示されるものである。
引用発明の「ユーザー・インターフェース」に表示される「Cloud Drive(Home)」は,上記4(2)に示したとおり,本願発明の「第1クラウドストレージ」に対応するドライブを表すものであるところ,「ファイル・マネージャー・アプリケーション」に関する技術常識に鑑みれば,階層の上位に表示される「Aggregate Service Device」という項目は,その下位に「Cloud Drive(Home)」という項目,すなわち「第1クラウドストレージ」を表示して管理するために表示されているともいえることから,これを“ネットワークドライブ”と呼称することに格別困難性はなく,引用発明に基づいて第1クラウドストレージに対するネットワークドライブを構成することは,当業者にとって容易になし得たものである。

(2)相違点2について
上記(1)に示したとおり,「ユーザー・インターフェース」に表示される,「Aggregate Service Device」という項目を,“ネットワークドライブ”と呼称することに格別困難性はなく,当該「Aggregate Service Device」と言う項目の「下に2つのクラウド・ストレージ・デバイスに対するCloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)が表示され」ていることから,「ファイル・マネージャー・アプリケーション」に関する技術常識に鑑みれば,第2クラウドストレージに対応する「Cloud Drive(Work)」という項目も,当該ネットワークドライブを通じて「ユーザー・インターフェース」によって表示・管理されているといえる。
そして,当該ネットワークドライブを通じた「ユーザー・インターフェース」による「Cloud Drive(Work)」の表示・管理は,同じく「Aggregate Service Device」と言う項目の下に表示される「Cloud Drive(Home)」とともに表示・管理されるものであるから,“連動”しているともいえ,したがって相違点2も格別なものとはいえない。

(3)相違点3について
上記(1)及び(2)で示したように,引用発明は,「ファイル・マネージャー・アプリケーションの形式」で表示される「ユーザー・インターフェース」によって,「Cloud Drive(Home)及びCloud Drive(Work)」がともに管理されていて,当該「ファイル・マネージャー・アプリケーションの形式」で表示される「ユーザー・インターフェース」において,「Aggregate Service Device」と言う項目を通じて管理されていることから,ネットワークドライブを通じて統合管理されているともいえ,したがって相違点3も格別なものとはいえない。

(4)むすび
以上検討したとおり,相違点1ないし3はいずれも格別なものではなく,またそのことによる効果も,当業者であれば普通に想起し得る程度のことに過ぎない。
したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明(引用発明)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである。


第4 むすび

以上のとおり,本願発明は,本願優先日前に頒布された引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-01-15 
結審通知日 2021-01-19 
審決日 2021-02-05 
出願番号 特願2017-224842(P2017-224842)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和平 悠希上島 拓也  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 山崎 慎一
月野 洋一郎
発明の名称 クラウドストレージ管理のための方法、コンピュータプログラムおよびシステム  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  
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