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審決分類 審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更  A23F
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A23F
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A23F
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A23F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23F
管理番号 1375857
異議申立番号 異議2020-700305  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-28 
確定日 2021-05-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6602060号発明「容器詰乳含有茶飲料及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6602060号の特許請求の範囲を、令和3年1月20日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。 特許第6602060号の請求項1、3に係る特許を維持する。 特許第6602060号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6602060号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成27年6月9日に出願され、令和1年10月18日にその特許権の設定登録がされ、同年11月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和2年4月28日に特許異議申立人 合同会社SAS(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。その後の経緯は次のとおりである。

令和2年 7月27日付け 取消理由通知
同年 9月11日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年10月26日付け 訂正拒絶理由通知
同年11月18日 意見書及び手続補正書の提出(特許権者)
同年12月11日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和3年 1月20日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 3月24日 意見書の提出(申立人)

第2 訂正の適否についての判断
1 令和2年9月11日になされた訂正請求について
令和2年9月11日になされた訂正請求は、その後の令和3年1月20日に訂正請求がなされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

2 令和3年1月20日になされた訂正請求による訂正の内容
令和3年1月20日になされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、令和3年1月20日提出の訂正請求書に記載されるとおりの次のものである。

(1)訂正事項1
訂正前の請求項1において、
「茶抽出液を含有せず、粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に8.0質量%未満含有する容器詰乳含有茶飲料であって、」とあるのを、
「茶抽出液を含有せず、粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有する容器詰乳含有茶飲料であって、前記粉砕茶葉が、粉砕紅茶葉であり、前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものであり、」に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
訂正前の請求項3において、
「前記容器詰乳含有茶飲料は、前記粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に8.0質量%未満含有する、容器詰乳含有茶飲料の製造方法。」とあるのを、
「前記容器詰乳含有茶飲料は、前記粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有し、
前記粉砕茶葉が、粉砕紅茶葉であり、前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものである、容器詰乳含有茶飲料の製造方法。」に訂正する。

3 一群の請求項について
訂正前の請求項1?2について、訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって、記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?2に対応する訂正後の請求項1?2に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。

4 訂正の目的、新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、飲料中の乳固形分の含有量の範囲を「8.0質量%未満」から「1.0質量%以上8.0質量%未満」に限定し、「粉砕茶葉」を「粉砕紅茶葉」に限定し、「乳固形分」を「牛乳および全粉乳由来のもの」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下、「本件特許明細書等」という。)には、「粉砕茶葉の供給量は、最終製品である容器詰乳含有茶飲料1Lに対して1g以上6g以下であり、かつ、容器詰乳含有茶飲料に含まれる乳固形分が8.0質量%未満であれば特に限定されない。……、容器詰乳含有茶飲料に含まれる乳固形分1gが1.0質量%以上であることが好ましく、……。」(明細書の段落0020)(下線は当審にて追加。以下同様。)と記載されており(ここに記載される「乳固形分1gが1.0質量%」は、質量と質量%が同時に記載されており、誤記が存在していることは明らかで、上記上限の記載との関係で、「乳固形分が1.0質量%」が正しい記載であることが自明であるから、明らかな誤記と認められる。)、飲料中の乳固形分の含有量の範囲を「1.0質量%以上8.0質量%未満」にすることは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
また、本件特許明細書等には、「粉砕茶葉の種類は特に限定されるものでなく、粉砕紅茶葉であってもよい……。」(明細書の段落0019)と記載されていることから、「粉砕茶葉」を「粉砕紅茶葉」にすることは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
また、本件特許明細書等には、訂正前の請求項1?3に係る発明を実施したものと認められる実施例に関して、
「【0028】
<実施例及び比較例>
〔実施例に係る容器詰乳含有茶飲料の製造〕
表1の処方に従い、飲料を調製した。粉砕紅茶葉は、インド産、50%積算質量粒子径(D50):8.2μm、90%積算質量粒子径(D90):24.8μmを使用した。充分に撹拌した後、殺菌後の飲料を190g入りスチール缶に充填、密栓し、レトルト殺菌した。そして、実施例に係る容器詰乳含有茶飲料を得た。なお、容器詰乳含有茶飲料に含まれる粉砕茶葉の含有量は、飲料1Lあたり3.0gであり、乳固形分は3.5質量%である。
【0029】
【表1】

」(明細書の段落0028?段落0029)
との記載があって、牛乳および全粉乳が原材料として用いられたことが示されるとともに、他の原材料に乳固形分を含むものは見当たらないことから、この記載により、実施例に係る容器詰乳含有茶飲料における乳固形分は牛乳および全粉乳由来のものであることが示されているといえる。したがって、「前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものであり、」とすることは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
訂正事項1は、上記アで検討したように、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更したものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3において、飲料中の乳固形分の含有量の範囲を「8.0質量%未満」から「1.0質量%以上8.0質量%未満」に限定し、「粉砕茶葉」を「粉砕紅茶葉」に限定し、「乳固形分」を「牛乳および全粉乳由来のもの」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、「粉砕茶葉の供給量は、最終製品である容器詰乳含有茶飲料1Lに対して1g以上6g以下であり、かつ、容器詰乳含有茶飲料に含まれる乳固形分が8.0質量%未満であれば特に限定されない。……、容器詰乳含有茶飲料に含まれる乳固形分1gが1.0質量%以上であることが好ましく、……。」(明細書の段落0020)と記載されており(ここに記載される「乳固形分1gが1.0質量%」は、質量と質量%が同時に記載されており、誤記が存在していることは明らかで、上記上限の記載との関係で、「乳固形分が1.0質量%」が正しい記載であることが自明であるから、明らかな誤記と認められる。)、飲料中の乳固形分の含有量の範囲を「1.0質量%以上8.0質量%未満」にすることは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
また、本件特許明細書等には、「粉砕茶葉の種類は特に限定されるものでなく、粉砕紅茶葉であってもよい……。」(明細書の段落0019)と記載されていることから、「粉砕茶葉」を「粉砕紅茶葉」にすることは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
また、本件特許明細書等には、訂正前の請求項1?3に係る発明を実施したものと認められる実施例に関して、
「【0028】
<実施例及び比較例>
〔実施例に係る容器詰乳含有茶飲料の製造〕
表1の処方に従い、飲料を調製した。粉砕紅茶葉は、インド産、50%積算質量粒子径(D50):8.2μm、90%積算質量粒子径(D90):24.8μmを使用した。充分に撹拌した後、殺菌後の飲料を190g入りスチール缶に充填、密栓し、レトルト殺菌した。そして、実施例に係る容器詰乳含有茶飲料を得た。なお、容器詰乳含有茶飲料に含まれる粉砕茶葉の含有量は、飲料1Lあたり3.0gであり、乳固形分は3.5質量%である。
【0029】
【表1】

」(明細書の段落0028?段落0029)
との記載があって、牛乳および全粉乳が原材料として用いられたことが示されるとともに、他の原材料に乳固形分を含むものは見当たらないことから、この記載により、実施例に係る容器詰乳含有茶飲料における乳固形分は牛乳および全粉乳由来のものであることが示されているといえる。したがって、「前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものであり、」とすることは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
訂正事項3は、上記アで検討したように、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更したものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

5 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、令和3年1月20日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、3に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」、「本件発明3」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
茶抽出液を含有せず、粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有する容器詰乳含有茶飲料であって、
前記粉砕茶葉が、粉砕紅茶葉であり、
前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものであり、
前記粉砕茶葉の50%積算質量粒子径(D50)が1μm以上30μm以下であり、90%積算質量粒子径(D90)が10μm以上50μm以下である、容器詰乳含有茶飲料。」、
「【請求項3】
液体に粉砕茶葉を供給し、茶抽出液を使用せず、粉砕茶葉入りの乳含有茶飲料を調製した後、前記乳含有茶飲料を固液分離することなく容器詰めして、容器詰乳含有茶飲料を製造する工程を含み、
前記粉砕茶葉の50%積算質量粒子径(D50)が1μm以上30μm以下であり、90%積算質量粒子径(D90)が10μm以上50μm以下であり、
前記容器詰乳含有茶飲料は、前記粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有し、
前記粉砕茶葉が、粉砕紅茶葉であり、
前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものである、容器詰乳含有茶飲料の製造方法。」

第4 取消理由通知で通知した取消理由の概要
本件訂正請求により訂正される前の請求項1?3に係る特許に対して、令和2年7月27日付け取消理由通知及び令和2年12月11日付け取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
1.(サポート要件違反)
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

第5 取消理由についての当審の判断
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきといえる。

1 本件発明1、3の課題
特許請求の範囲の請求項1、3に記載された事項ならびに発明の詳細な説明(特に、段落0006、段落0012)の記載から、本件発明1、3の課題は「茶葉の使用量を抑制しながら、十分な茶感を付与でき、かつ、抽出後の茶葉の廃棄を必須としない、おいしさに優れる容器詰乳含有茶飲料の製造方法及び容器詰乳含有茶飲料」を提供することであると認められる。

2 発明の詳細な説明の記載
記載ア
「【0016】
本発明の容器詰乳含有茶飲料の製造方法においては、粉砕茶葉を利用することにより、少ない茶葉供給量であっても、十分な茶感を付与することができ、おいしさに優れる容器詰乳含有茶飲料を製造することができる。また、本発明の粉砕茶葉は、容器詰乳含有茶飲料の液体中に含まれる状態でも飲用可能であり、抽出後の粉砕茶葉を廃棄する必要がない。また、従来の乳含有茶飲料は、抽出時の茶葉の使用量を抑えると、味が薄くなるため、十分に濃い味の乳含有茶飲料を得ようとすると、乳固形分の配合を多くする必要があった。他方、乳含有茶飲料中の乳固形分の配合を多くしすぎると、ミルク感が強くなりすぎて、茶感とのバランスが欠ける乳含有茶飲料となってしまう。これに対し、本発明の容器詰乳含有茶飲料によると、粉末茶葉が十分な茶感を付与できるので、乳固形分を8.0質量%未満と抑えても、十分な味の濃さを付与することができ、茶感とミルク感とのバランスにも優れたものとなる。」(段落0016)

記載イ
「【0019】
粉砕茶葉の種類は特に限定されるものでなく、粉砕紅茶葉であってもよいし、粉砕抹茶葉であってもよいし、粉砕ほうじ茶葉であってもよいし、粉砕プーアル茶葉であってもよいし、他の粉砕茶葉であってもよい。例えば、粉砕紅茶葉を用いることでミルクティーを提供でき、粉砕抹茶葉を用いることで抹茶ラテを提供できる。」(段落0019)

記載ウ
「【0020】
粉砕茶葉の供給量は、最終製品である容器詰乳含有茶飲料1Lに対して1g以上6g以下であり、かつ、容器詰乳含有茶飲料に含まれる乳固形分が8.0質量%未満であれば特に限定されない。粉砕茶葉の供給量は、得られる容器詰乳含有茶飲料の茶感がより増強されることから、最終製品である容器詰乳含有茶飲料1Lに対して2g以上であり、かつ、容器詰乳含有茶飲料に含まれる乳固形分1gが1.0質量%以上であることが好ましく、容器詰乳含有茶飲料1Lに対して3g以上であり、かつ、乳固形分が3.0質量%以上であることがより好ましい。他方、粉砕茶葉の供給量は、製造時に茶葉の供給量を抑制できることから、最終製品である容器詰乳含有茶飲料1Lに対して5g以下であることが好ましく、最終製品である容器詰乳含有茶飲料1Lに対して4g以下であることがより好ましい。」(段落0020)

記載エ
「【0021】
また、本明細書において乳固形分とは、乳脂肪分と無脂乳固形分とを合わせたものを意味する。なお、乳固形分は常圧加熱乾燥法によって測定する。
【0022】
乳成分は、特に限定されないが、例えば、牛乳、豆乳、練乳、脱脂乳、還元乳(全粉乳、脱脂粉乳又は調製粉乳から還元した還元乳)、クリーム等を使用できる。
【0023】
乳成分の供給量は、特に限定されず、所望のミルク感や、茶感、全体のおいしさ、乳成分の種類等を考慮して適宜設定することができる。」(段落0021?段落0023)

記載オ
「【実施例】
【0028】
<実施例及び比較例>
〔実施例に係る容器詰乳含有茶飲料の製造〕
表1の処方に従い、飲料を調製した。粉砕紅茶葉は、インド産、50%積算質量粒子径(D50):8.2μm、90%積算質量粒子径(D90):24.8μmを使用した。充分に撹拌した後、殺菌後の飲料を190g入りスチール缶に充填、密栓し、レトルト殺菌した。そして、実施例に係る容器詰乳含有茶飲料を得た。なお、容器詰乳含有茶飲料に含まれる粉砕茶葉の含有量は、飲料1Lあたり3.0gであり、乳固形分は3.5質量%である。
【0029】
【表1】


【0030】
〔比較例に係る容器詰乳含有茶飲料の準備〕
比較例に係る容器詰乳含有茶飲料として、市販品に係るPETボトル入り紅茶飲料(製品名:紅茶花伝、日本コカ・コーラ社製)を用いた。
【0031】
〔官能評価〕
パネリスト30名により、実施例及び比較例に係る容器詰ミルクティーの官能評価を行った。具体的に、各パネリストに、表2に示す評価項目について、5段階評価で評価を行った。それぞれの評点の平均点を表2に示す。
【0032】
【表2】


【0033】
表2に示すとおり、「全体としてのおいしさ」、「茶感の好み」、「ミルク感の強さ」及び「味の濃さ」のいずれにおいても、実施例に係る飲料が比較例に係る飲料に比べて高い評価であることが確認された。
【0034】
以上の結果より、粉砕茶葉を用いることで、飲料1Lに対して1g以上6g以下、かつ、乳固形分1gあたり0.02g以上0.2g以下と少ない使用量であっても、従来品と比較しても十分な茶感を付与することが可能であり、おいしさに優れることが示された。すなわち、容器詰乳含有茶飲料の製造において、粉砕茶葉を用いることで、茶葉の使用量を抑制しつつ、十分な茶感を付与し、おいしさに優れる容器詰ミルクティーを得られることが示された。また、茶葉の使用量が少ないのに加え、さらに、茶の抽出を要することなく十分な茶感を付与することが可能であり、おいしさに優れることが示された。これは、乳含有茶飲料を固液分離することなく容器詰めすることから、乳含有茶飲料が、粉砕茶葉の可溶性固形分及び不溶性固形分の両方を含んでおり、特に、殺菌工程は、加熱温度が高く、その温度で保持される時間が長く、このように、高い温度で長時間、粉末茶葉を含有した状態で殺菌工程を経ることにより、結果的に、粉末茶葉に含まれる可溶性固形分、不溶性固形分等の茶葉成分を多種かつ多量に得ることができたためであると予想される。」(段落0027?段落0034)

3 判断
(1)発明の詳細な説明の記載についての検討
上記記載エに、乳成分の供給量は、所望のミルク感や、茶感、全体のおいしさ、乳成分の種類等を考慮して適宜設定することができることが記載されていることにも示されるように、ミルク感、茶感、及び全体のおいしさは、乳成分の種類、乳成分の量によっても変化することは技術常識であるところ、全粉乳は牛乳から水分を除去して乾燥させたものであって、その成分は、牛乳の水分以外の成分と同等のものであるから、本件発明1、3において「乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のもの」と特定されていることにより、乳成分の種類は、飲料中の乳固形分の含有量が同じであれば、ミルク感に関して同等に扱えるものといえるし、さらに、本件発明1、3において「乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有」と特定されていることにより、その乳成分の量は、ミルク感が得られないほど乳成分の量が少ない範囲を含まず、ミルク感が一定程度得られる範囲にあるといえる。
また、茶葉の呈する茶感は、茶葉の種類によって異なる一方、茶葉の種類が特定されていれば同等に扱うことが技術常識であるところ、本件発明1、3においては粉砕茶葉が「粉砕紅茶葉」と特定されていることにより、粉砕茶葉のD50及びD90が同じであれば、茶感に関して同等に扱うことのできるものといえる。
また、茶感とミルク感とのバランス感には、茶感の強さとミルク感の強さのバランスが必要であることは技術常識から明らかであるところ、本件発明1、3においては「粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し」及び「乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有」と特定されることにより、容器詰乳含有茶飲料に含まれる粉砕茶葉の量と乳固形分の含有量との比率が一定範囲に特定されているものと認められる。

そして、上記記載オには、実施例として、飲料1Lあたり、粉砕紅茶葉(インド産、D50:8.2μm、D90:24.8μm)3.0g、砂糖60.8g、牛乳150g、乳化剤3.5g、全粉乳20.15g、L-アスコルビン酸ナトリウム0.3g、香料0.8g、及びpH7.0となるまでの量の重曹、を使用し、充分に撹拌した後、殺菌後の飲料を190g入りスチール缶に充填、密栓し、レトルト殺菌することにより得られた容器詰乳含有茶飲料(乳固形分は3.5質量%)が記載されるとともに、当該実施例は、比較例とされた市販品に係るPETボトル入り紅茶飲料(製品名:紅茶花伝、日本コカ・コーラ社製)に比べて、「全体としてのおいしさ」、「茶感の好み」、「ミルク感の強さ」及び「味の濃さ」のいずれにおいても高い評価を得たことが記載されている。
容器詰め乳含有茶飲料において、「茶感の好み」において高い評価を得るために、「十分な茶感」があることが必要であると認められるから、「茶感の好み」において高い評価が得られていれば、当然、「十分な茶感」があるものと認められるし、容器詰め乳含有茶飲料において、「全体としてのおいしさ」、「茶感の好み」、「ミルク感の強さ」及び「味の濃さ」のいずれにおいても高い評価が得られていれば、当然、十分な味の濃さ、及び、茶感とミルク感とのバランス感に優れる「おいしさに優れる」ものであると認められるから、実施例は、本件発明1、3の課題を解決できるものであると、当業者は認識する。
そして、発明の詳細な説明の記載において本件発明1、3を実施したと認められる実施例は、上記記載オに記載された実施例のみであり、その比較対象は、本件発明1、3との一致点及び相違点がともに不明である市販品に係るPETボトル入り紅茶飲料(製品名:紅茶花伝、日本コカ・コーラ社製)の比較例のみであるものの、本件発明1、3は本件訂正によって、乳固形分の種類及びその含有量の範囲、茶葉の種類、及び粉砕茶葉の量の範囲が一定範囲に特定されており、それらに関する上記記載イ?エの一般的記載及び技術常識を考慮すれば、容器詰乳含有茶飲料における茶感、ミルク感、全体のおいしさ、及び茶感とミルク感のバランスが一定程度得られると当業者に認識される範囲内にあるといえるから、本件発明1、3は、その課題である「茶葉の使用量を抑制しながら、十分な茶感を付与でき、かつ、抽出後の茶葉の廃棄を必須としない、おいしさに優れる容器詰乳含有茶飲料の製造方法及び容器詰乳含有茶飲料」を提供することを、解決できるものであると当業者は認識する。

したがって、本件発明1、3は、発明の詳細な説明の記載により、又は出願時の技術常識に照らし、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。
よって、本件発明1、3は、発明の詳細な説明に記載したものである。

(2)申立人の意見について
申立人は、令和3年3月24日提出の意見書において、
「…、「十分な茶感」とは、…、茶葉の量的感覚であると推測される。一方、「茶感の好み」とは、…、嗜好性が評価されていると推測される。…、実施例の評価結果をもって本件発明の課題が解決されていると認めることはできない」(3頁9?14行)、
「…、実施例は一例のみであり、その比較対象は、…一致点及び相違点がともに不明である比較例一例のみである。…、本件特許発明のどの技術的特徴が本件特許発明の効果を奏するのか理解できないし、…、訂正が請求された請求項の発明全体の範囲内で、当該実施例と同様に、前述の効果のいずれにおいても、高い評価を得らえるものであるとは当業者は認識できない。」(3頁15?23行)、
「通常、比較評価をする場合、…、茶葉使用量、乳固形分等のこれらの効果に影響を与える要素以外(…)は一定にして評価し、その上で、評価する成分をうち一つを一定にしたうえで、…、茶抽出液と粉砕茶葉を比較して評価するべきであるが、本件特許の明細書に記載された実施例では、…、何一つ要素が固定されていないため、本発明の効果が確認できるほど比較例は明記されていない。1点のみの評価では、各要素と発明の効果との関係が認識できるものではない。」(3頁24行?4頁2行)、
「…「牛乳および全粉乳由来のもの」に関しては、「牛乳と全粉乳由来以外のその他の乳固形分を併用すること」を包含する意味なのか、それとも「牛乳および全粉乳のみから由来するもの」を意味するのかが不明である。
仮に、「牛乳および全粉乳由来のもの」が、「牛乳と全粉乳由来以外のその他の乳固形分を含む」ことを包含する意味の場合、…、本件特許の明細書の記載の1つの実施例のみでは、「牛乳、全粉乳、及び、その他の乳製品」由来の乳固形分を含む容器詰乳含有茶飲料が、「全体のおいしさ」、「茶感の好み」、「ミルク感の強さ」及び「味の濃さ」のいずれにおいても、高い評価を得らえるものであるとは当業者は認識できるものではない。……。
一方、…「牛乳および全粉乳由来のもの」が、「牛乳および全粉乳のみから由来するもの」を意味するものだとしても、そもそも、乳固形の起源は牛乳にあるので、文字通りに解釈すれば、あらゆる乳固形が訂正請求項に係る発明の範囲内になる。…、あらゆる乳製品を原料とした容器詰乳含有茶飲料が、「全体のおいしさ」、「茶感の好み」、「ミルク感の強さ」及び「味の濃さ」のいずれにおいても、高い評価を得らえるものであるとは当業者は認識できないことは明らかである…。」(4頁9行?5頁2行)、
「訂正後の請求項1及び3について、乳固形分の下限を1.0質量%設定したとしても、…、粉砕茶葉の含有量「飲料1Lあたり1g以上6g」と乳固形分の含有量「1.0質量%以上8.0質量%未満」のすべてにわたって、「ミルク感」が十分に得られることが示せているとはいえないし、ミルク感を得るためのいわゆる臨界的意義であることも明細書から導きだすことができない。
…、訂正請求項1及び3には、特定の値の粉砕茶葉量、粒子径が記載されているが、これらのすべてにおいても、効果があることを裏付けるデータがないし、具体的に効果が確認されている範囲以外の粉砕茶葉や乳固形分量については所望とする効果を奏するか否かを推認することもできない。」(5頁9?19行)、及び
「…、訂正請求項に記載の「牛乳および全粉乳由来のもの」は、…、「牛乳と全粉乳以外、その他の乳固形分を併用すること」を包含する意味なのか、それとも「牛乳および全粉乳のみから由来するもの」を意味するのかが不明であり、十分な説明もなされていない。したがって、令和3年1月20日の訂正請求書に記載の訂正が認めらえる場合は、その訂正請求項にかかる発明は明確でないことを付言しておく。」(5頁24行?6頁2行)などと主張する。

申立人は、実施例1つでは、本件特許発明全体で実施例と同等の高い評価がすべての項目で得られていることが裏付けられておらず、数値範囲の臨界的意義が示されていいないことをサポート要件違反の理由として主張しているが、本件特許発明全体において、実施例と同等である必要はないし、数値範囲に臨界的意義は必ずしも必要ではない。
また、上記(1)において示したとおり、発明の詳細な説明の記載において本件発明1、3を実施したと認められる実施例は、上記記載オに記載された実施例のみであり、その比較対象は、市販品に係るPETボトル入り紅茶飲料(製品名:紅茶花伝、日本コカ・コーラ社製)の比較例のみであるものの、本件訂正によって、範囲が特定されたことにより、それらに関する上記記載イ?エの一般的記載及び技術常識を考慮すれば、本件発明1、3の乳成分の種類、乳固形分の含有量の範囲、茶葉の種類、及び粉砕茶葉の量の範囲は、容器詰乳含有茶飲料における茶感、ミルク感、全体のおいしさ、及び茶感とミルク感のバランスが一定程度得られることが当業者に認識される範囲内にあるといえるから、本件発明1、3は、その課題である「茶葉の使用量を抑制しながら、十分な茶感を付与でき、かつ、抽出後の茶葉の廃棄を必須としない、おいしさに優れる容器詰乳含有茶飲料の製造方法及び容器詰乳含有茶飲料」を提供することを、解決できるものであると当業者は認識するといえる。
また、本件発明1、3における「牛乳および全粉乳由来のもの」については、請求項1、3において、「乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有…」との記載の後に「前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のもの…」との記載があること、及び、上記記載オに示される、本件発明1、3を実施したと認められる実施例の原材料についての記載から、容器詰乳含有茶飲料中に含有される乳固形分は、容器詰乳含有茶飲料の原材料として用いられる牛乳および全粉乳に由来することを意味すると認められ、本件発明1、3が明確でないとすることはできない。
したがって、申立人の令和3年3月24日提出の意見書における主張はいずれも受け入れられない。

(3)小括
以上のとおり、取消理由通知で通知した取消理由によっては、本件発明1、3に係る特許を取り消すことはできない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第29条第2項について
申立人は、特許異議申立書において、証拠として以下の甲第1号証?甲第11号証を提出し、訂正前の請求項1?3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された技術的事項により、当業者が容易に発明することができたものであり、訂正前の請求項1?3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、その特許は、同法第113条第2号の規定により取消されるべきものである旨を主張する。

甲第1号証:特開2000-228952号公報
甲第2号証:特開2001-29053号公報
甲第3号証:特開2008-104428号公報
甲第4号証:アサヒ飲料株式会社,
「2012年、「フォション」ブランドからの「美食」新提案 パリの高級食材商が見出した日本の雅(みやび)な「お点前(てまえ)」 『フォション オテマエ ド パリ お抹茶』 『フォション オテマエ ド パリ 抹茶ラテ』 9月4日(火)からリニューアル!!」と題する2012年8月9日付けニュースリリース
甲第5号証:“アサヒ飲料 濃厚感を演出し秋向け新製品を投入”と題する記事,ビバリッジ ジャパンNo.368 2012年9月号,19頁,平成24年8月28日発行
甲第6号証:株式会社伊藤園,「こだわりの愛知県西尾産抹茶100%使用 “抹茶の苦味”“ミルクのコク”が程良い抹茶ラテ チルド製品「抹茶ラテ」新登場 2014年1月6日(月)より販売開始(コンビニエンスストア限定)」と題する2013年12月26日付けニュースリリース
甲第7号証:“伊藤園 エナジー炭酸,チルド乳飲料,はと麦茶ほか”と題する記事,ビバリッジ ジャパンNo.385 2014年2月号,5-6頁,平成26年1月28日発行
甲第8号証:原口康弘 他2名,“加工用微粉抹茶の製造と性質”,日本食品科学工学会誌,第50巻,第10号,468-473頁(2003年10月)
甲第9号証:特許第5679614号公報
甲第10号証:特許第5679615号公報
甲第11号証:「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(厚生省令第五十二号)昭和26年12月27日付け
(以下では、甲第1号証?甲第11号証をそれぞれ、「甲1」?「甲11」という。)

申立人は、より具体的には、甲1の段落0029の表1には、茶抽出液を含有しない乳含有抹茶飲料が記載されており、甲2の段落0018にも茶抽出液を含有しない乳含有抹茶飲料が記載されており、甲5に記載されている商品名「フォションオテマエドパリ抹茶ラテ」及び甲7に記載されている商品名「抹茶ラテ」も茶抽出液を使用していない可能性が高いので、茶抽出液を使用しないことは公知である上、甲3の段落0002には抽出液を使用する場合の課題が指摘されており、抽出液をできるだけ少なくさせ、好ましくは抽出液を使わないとする動機づけも存在するとした上で、甲1の段落0029に記載された抹茶飲料は、その抹茶含有割合が「粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有する」ことを満たし、また、その乳固形分含有割合が、甲11を根拠にした推算によれば「乳固形分を飲料中に8.0質量%未満含有する」ことを満たすものであるから、本件発明1、3と甲1に記載された発明との相違点は、粉砕茶葉の粒径のみであるところ、当業者は、甲3、甲8?甲10における飲用抹茶の粒径についての記載を参酌して、訂正前の請求項1?3に係る発明を容易に発明することができた、と主張する。
しかし、甲1に記載された発明は、甲1の請求項1?7及び段落0001等に記載されるように、脂肪分を含有する食品の光照射によるオフフレーバー発生を防止するためのものであって、本件発明1、3とは解決しようとする課題が異なる。
また、甲8の468頁左下欄1行?右下欄7行に「抹茶は,…,主にお点前などの飲用に用いられてきた.近年,…加工用として用いられる量が多くなっている.….飲用として抹茶を使用する場合は,粒度分布の広いこと,すなわち大きな粒子で質感を,さらに細かい粒子で舌触りや泡立ちの良さを演出している.しかし,食品加工の分野では大きな粒子は,ざらついた食感の原因となる.例えば,飲料に懸濁して使用する時には,抹茶の粒子が大きいために沈降してしまう.…….
今回,これらを改良すべく微粉抹茶を調整し,その性質を調べた.」
との記載があり、従来から用いられてきた抹茶を飲料に懸濁する際の問題点が示されていることから、甲1の段落0029に記載された抹茶飲料に配合された抹茶の粒度分布が、甲8に、従来から用いられてきた抹茶の粒度分布として示されたものと同程度であるとすることはできない。
また、甲8?甲10には、茶抽出液を使用せず、粉砕茶葉だけで十分な茶感を得ながら、抽出後の茶葉の廃棄が不要である飲料についての記載はなく、甲1の段落0029に記載された抹茶飲料に配合された抹茶の粒度分布を本件発明1、3と同程度にする動機づけがあるともいえない。容器詰茶乳含有茶飲料について記載する甲2?甲7を考慮しても同様である。
したがって、申立人のかかる主張は、採用することができない。

2 特許法第36条第4項第1項について
申立人は、特許異議申立書において、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、訂正前の請求項1?3に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、その特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである旨を主張する。
申立人は、より具体的には、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、訂正前の請求項1?3に係る発明の構成要件の一部の範囲の実施例が記載され、実施例より広い発明の構成要件の範囲において、効果(おいしさなど)が得られる容器詰乳含有茶飲料の具体的な成分の含有量を決定することは、当業者に過度の試行錯誤を要求するものといえる、と主張する。
しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1、3を実施したものと認められる実施例が一例とはいえ記載されており、当業者は、その実施例の製造条件などについての記載、上記記載イ?エの一般的記載、及び本願出願時の技術常識を参酌して、当業者であれば成分の含有量に関し、本件発明1、3を実施するための製造条件を決定することができると認められる。
したがって、申立人のかかる主張は、採用することができない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1、3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶抽出液を含有せず、粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有する容器詰乳含有茶飲料であって、
前記粉砕茶葉が、粉砕紅茶葉であり、
前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものであり、
前記粉砕茶葉の50%積算質量粒子径(D50)が1μm以上30μm以下であり、90%積算質量粒子径(D90)が10μm以上50μm以下である、容器詰乳含有茶飲料。
【請求項2】
削除
【請求項3】
液体に粉砕茶葉を供給し、茶抽出液を使用せず、粉砕茶葉入りの乳含有茶飲料を調製した後、前記乳含有茶飲料を固液分離することなく容器詰めして、容器詰乳含有茶飲料を製造する工程を含み、
前記粉砕茶葉の50%積算質量粒子径(D50)が1μm以上30μm以下であり、90%積算質量粒子径(D90)が10μm以上50μm以下であり、
前記容器詰乳含有茶飲料は、前記粉砕茶葉を飲料1Lあたり1g以上6g以下含有し、かつ乳固形分を飲料中に1.0質量%以上8.0質量%未満含有し、
前記粉砕茶葉が、粉砕紅茶葉であり、
前記乳固形分が、牛乳および全粉乳由来のものである、容器詰乳含有茶飲料の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-04-23 
出願番号 特願2015-116861(P2015-116861)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A23F)
P 1 651・ 854- YAA (A23F)
P 1 651・ 855- YAA (A23F)
P 1 651・ 851- YAA (A23F)
P 1 651・ 841- YAA (A23F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福澤 洋光  
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 関 美祝
村上 騎見高
登録日 2019-10-18 
登録番号 特許第6602060号(P6602060)
権利者 アサヒ飲料株式会社
発明の名称 容器詰乳含有茶飲料及びその製造方法  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  
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