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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  A61L
審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A61L
審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件  A61L
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61L
管理番号 1375861
異議申立番号 異議2020-700613  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-19 
確定日 2021-04-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6652836号発明「層状複水酸化物を用いた脱臭剤およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6652836号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。 特許第6652836号の請求項1及び4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6652836号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成27年12月28日に特許出願され、令和2年1月28日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月26日に特許掲載公報の発行がされた。
その後、請求項1及び4に係る特許について、令和2年8月19日に、特許異議申立人岡林茂(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和2年11月27日付けで取消理由が通知され、令和3年1月21日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、本件訂正請求に対して、申立人から令和3年3月11日に意見書(以下、「申立人意見書」という。)の提出がされた。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。

・訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「結晶子サイズが20nm以下の層状複水酸化物を活性炭に担持させた」とあるのを、「結晶子サイズが20nm以下の層状複水酸化物を合成する際に層状複水酸化物を活性炭に担持させた」に訂正する。請求項1を引用する請求項2?4についても同様に訂正する。

ここで、訂正前の請求項2?4は、訂正前の請求項1を引用し、これら請求項1?4は一群の請求項を構成するところ、上記訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、この一群の請求項1?4を訂正の単位として請求されたものである。

2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件)の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「層状複水酸化物を活性炭に担持させた」ことについて、「層状複水酸化物を合成する際に」担持させたことに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、願書に添付された明細書には、「まず、塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)16.92gと塩化アルミニウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)10.06gを26.98gの蒸留水に溶解させ、酸性溶液を調製する。また、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)10gを30gの蒸留水に溶解させ、アルカリ性溶液を調製する。次いで、当該酸性溶液とアルカリ溶液を混合し、当該混合溶液に281.85gの蒸留水を、時間をおかず速やかに添加して、pH7.5-8.5に調整した。そして、24時間後に当該溶液をろ過し、得られたろ過物を120℃で10時間乾燥したものを層状複水酸化物2とした。」(段落【0081】)、及び、「本発明の脱臭剤としては、・・・前記層状複水酸化物2を活性炭に担持させたもの(検体2)・・・を用いた。なお、検体2は、層状複水酸化物2を合成する際のアルカリ性溶液に活性炭(和光純薬工業株式会社製、コードNo.034-18051)10gを添加することにより、前記層状複水酸化物2を活性炭に担持させたものである。」(段落【0082】)と記載されているから、訂正事項1は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(2)独立特許要件について
訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるところ、この訂正の対象となる一群の請求項である訂正前の請求項2及び3には、特許異議の申立てがされていないから、訂正後の請求項2及び3に係る発明については、独立特許要件について検討する必要がある。
しかしながら、訂正前の請求項2及び3に係る発明は、拒絶理由を発見しないとして特許されたものであり、また、訂正後の請求項2及び3に係る発明は、下記「第3 特許異議の申立てについて」において検討する、訂正後の請求項1及び4に係る発明と同様に、新たな拒絶理由が生じるものではないから、訂正後の請求項2及び3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。

(3)申立人の主張について
申立人は、層状複水酸化物を合成する際に活性炭に担持することについて、願書に添付された明細書の段落【0043】及び【0044】に記載がないため、本件訂正請求は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない旨を主張している(申立人意見書第1頁下から5行?第2頁下から4行)。
しかしながら、上記(1)で検討したとおり、層状複水酸化物を合成する際に活性炭に担持することは、願書に添付された明細書の段落【0081】及び【0082】に記載されているから、申立人の上記主張は採用できない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項?第7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?7に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許異議の申立てがされた請求項1及び4に係る特許の発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明4」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
比表面積が20m^(2)/g以上であり、結晶子サイズが20nm以下の層状複水酸化物を合成する際に層状複水酸化物を活性炭に担持させたことを特徴とする脱臭剤。
【請求項4】
前記層状複水酸化物は、結晶内に炭酸イオンを含有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の脱臭剤。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び4に係る特許に対して、令和2年11月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。

(取消理由)
訂正前の請求項1及び4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記引用文献1に記載された発明及び同引用文献2?6に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(引用文献一覧)
引用文献1 特開昭58-214338号公報(甲第1号証)
引用文献2 特開2009-34564号公報(甲第4号証)
引用文献3 特開2005-306667号公報(甲第5号証)
引用文献4 国際公開第2005/087664号(甲第6号証)
引用文献5 特開平9-239263号公報
引用文献6 特開2002-336693号公報

3 引用文献1の記載事項及び引用1発明について
(1)引用文献1の記載事項
ア 「1. 下記式(1)
(M^(2+))_(x)Al_(2)(OH)_(2x+6-ny)(A^(n-))_(y)・mH_(2)O ・・・(1)
但し式中、M^(2+)はMgおよび/またはZnを示し、
A^(n-)はn価のアニオンを示し、そして
x、y及びmは、夫々、下記条件を満足する数である、
x≧1
0<y<2
m>0
で表わされるハイドロタルサイト類化合物又はその約800℃までの焼成物の約5?約95重量%と活性炭の約95?約5重量%とを有効成分として含有することを特徴とする複合吸着剤。」(特許請求の範囲)

イ 「本発明は複合吸着剤に関し、とくに広汎な被吸着物質に対して優れた吸着能を示し且つ構成成分単独が示す吸着能からは予想外な相乗的吸着能を発揮する複合吸着剤に関する。」(第1頁右下欄第3?6行)

ウ 「更に、本発明者等は、おそらく該複合吸着剤に於ては、両構成成分の単なる混合状態とは異なる相互作用変化、たとえば活性炭の表面構造に何等かの変化を生ずる相互作用変化が起るものと推測しているが、後記実施例及び比較例の実験結果に示されるように、該複合吸着剤は、ハイドロタルサイト類化合物成分単独が実質的な吸着能を示さない被吸着物質たとえばホルムアルデヒド、フェノール、トリエタノールアミンなどに対して、活性炭成分単独が示す吸着能からは全く予想外の増大した吸着能変化を生ずることを発見した。」(第2頁右上欄第11行?左下欄第4行)

エ 「本発明の複合吸着剤は広汎な被吸着物質の吸着に利用でき、例えば、メッキ排液中のCN^(-)、CrO_(4)^(2-)、AsO_(4)^(2-)、フッ素イオン含有排水、染料排水中の各種染料、パルプ排液中のリグニン、海水中のウラン、含油排水中の油、リン酸、ハッコウ排水中のタンパク質、カフェイン等の吸着、糖液の精製、排水の2次処理、空気中のNO_(4)、SO_(4)の除去、アンモニアの除去等を例示できる。」(第3頁右下欄第11行?第4頁左上欄第1行)

オ 「実施例 1
BET比表面積120m^(2)/gの下記式
Mg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)O
で表わされるハイドロタルサイト類の微粉末4kgと市販の活性炭粉末3kgとを、混練機に入れ、充分混合した後、混練しながら水4.5kgを徐々に注加し、約30分間混練した。この混練物を押出機により、直径15mmの円筒状のペレットに成形した。このペレットを、約600℃で1時間焼成して、複合吸着剤を得た。」(第4頁左上欄第3?12行)

(2)引用1発明について
引用文献1には、上記(1)アによれば、ハイドロタルサイト類化合物の焼成物と活性炭とを有効成分として含有する複合吸着剤が記載されている。そして、上記(1)オによれば、その具体例として、BET比表面積120m^(2)/gのMg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)Oで表わされるハイドロタルサイト類の微粉末と活性炭粉末とを混合した後、混練しながら水を徐々に注加して混練した後、成形及び焼成して得られた複合吸着剤が記載されている。さらに、上記(1)エによれば、当該複合吸着剤が、広汎な被吸着物質に対して優れた吸着能を示し、空気中のアンモニアの除去に利用できることが記載されている。
したがって、これら記載を整理すると、引用文献1には、
「ハイドロタルサイト類の焼成物と活性炭とを有効成分として含有し、空気中のアンモニアの除去に利用できる複合吸着剤であって、
BET比表面積120m^(2)/gのMg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)Oで表わされるハイドロタルサイト類の微粉末と活性炭粉末とを混合した後、混練しながら水を徐々に注加して混練した後、成形及び焼成して得られた複合吸着剤。」
の発明(以下、「引用1発明」という。)が記載されているといえる。

4 取消理由に対する判断
(1)本件発明1について
ア 引用1発明との対比
本件発明1と引用1発明とを対比すると、引用1発明の「Mg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)Oで表わされるハイドロタルサイト類」は、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0021】の「層状複水酸化物は、一般式がM^(2+)_(1-x)M^(3+)_(x)(OH)_(2)(A^(n-))_(x/n)・mH_(2)O(ここで、M^(2+)は2価の金属イオン、M^(3+)は3価の金属イオン、A^(n-)はn価の陰イオン、0<x<1、m>0)で表される不定比化合物であり、ハイドロタルサイト様化合物と呼ばれることもある。」との記載によれば、本件発明1の「層状複水酸化物」に相当する。
また、引用1発明の「BET比表面積120m^(2)/g」は、本件発明1の「比表面積が20m^(2)/g以上」との規定を満足する。
さらに、引用1発明の「空気中のアンモニアの除去に利用できる複合吸着剤」は、アンモニアが臭気成分であることから、本件発明1の「脱臭剤」に相当する。
したがって、本件発明1と引用1発明とは、
「比表面積が20m^(2)/g以上である層状複水酸化物と活性炭の脱臭剤」
の点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1>
本件発明1は、層状複水酸化物の「結晶子サイズが20nm以下」であるのに対して、引用1発明は、その点が明らかでない点。
<相違点2>
本件発明1は、「層状複水酸化物を合成する際に層状複水酸化物を活性炭に担持させた」ものであるのに対して、引用1発明は、「Mg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)Oで表わされるハイドロタルサイト類の微粉末と活性炭粉末とを混合した後、混練しながら水を徐々に注加して混練した後、成形及び焼成して得られた」ものである点。

イ 相違点の検討
事案に鑑み、まず、相違点2について検討すると、引用1発明の複合吸着剤は、上記3(1)イ及びウによれば、「Mg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)Oで表わされるハイドロタルサイト類の微粉末と活性炭粉末とを混合した後、混練しながら水を徐々に注加して混練した後、成形及び焼成」することによって、構成成分単独が示す吸着能からは予想外な相乗的吸着能を発揮するものであるから、その製造工程を変更することには、阻害要因があるといわざるをえない。
そうしてみると、引用文献2?6に記載された技術的事項に関わらず、引用1発明において、複合吸着剤の製造工程を変更して、「層状複水酸化物を合成する際に層状複水酸化物を活性炭に担持させた」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることといえない。
したがって、相違点1についての検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(2)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(3)小括
以上のとおりであるから、取消理由に理由はない。

5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由の概要
申立人は、下記の甲第1号証?甲第9号証を証拠方法として、訂正前の請求項1及び4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第9号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨を主張している。
(証拠方法)
甲第1号証 特開昭58-214338号公報(引用文献1)
甲第2号証 特開2013-624号公報
甲第3号証 特開2012-251095号公報
甲第4号証 特開2009-34564号公報(引用文献2)
甲第5号証 特開2005-306667号公報(引用文献3)
甲第6号証 国際公開第2005/087664号(引用文献4)
甲第7号証 特開平5-269375号公報
甲第8号証 特開2006-265005号公報
甲第9号証 特表平7-501743号公報

(2)申立理由の検討
甲第1号証(引用文献1)には、上記3(2)で検討したとおりの引用1発明が記載されていると認められる。
そして、本件発明1と引用1発明とを対比すると、両者は、上記4(1)アにおける相違点1及び2で相違しているので、まず、相違点2について検討すると、上記4(1)イで検討したとおり、引用1発明の「Mg_(4)Al_(2)(OH)_(12)CO_(3)・3H_(2)Oで表わされるハイドロタルサイト類の微粉末と活性炭粉末とを混合した後、混練しながら水を徐々に注加して混練した後、成形及び焼成」するとの製造工程を変更することには阻害要因があるといえるから、甲第2号証?甲第9号証に記載された技術的事項に関わらず、引用1発明において、相違点2に係る本件発明1の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。
そうしてみると、相違点1についての検討をするまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第9号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。
また、本件発明4は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、本件発明1に対する理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第9号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。
したがって、上記申立理由に理由はない。

6 申立人意見書における申立人の主張について
(1)申立人の主張の概要
申立人は、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、合成する際に活性炭に担持された状態の層状複水酸化物そのものの比表面積の測定方法は記載されておらず、また、その測定データも記載されていないため、本件発明1及び4は、不明確であって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件発明1及び4に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである旨を主張している(申立人意見書第2頁下から3行?第4頁第7行)。

(2)申立人の主張の検討
本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例1(段落【0078】?【0081】)には、塩化マグネシウム六水和物と塩化アルミニウム六水和物を蒸留水に溶解させて、酸性溶液を調製し、水酸化ナトリウムを蒸留水に溶解させて、アルカリ性溶液を調製し、当該酸性溶液とアルカリ溶液を混合し、当該混合溶液に蒸留水を速やかに添加してpH7.5?8.5に調整し、24時間後に当該溶液をろ過し、得られたろ過物を乾燥するとの「層状複水酸化物2」の合成方法が記載されており、また、「層状複水酸化物2」の比表面積の測定方法と測定結果(70.1m^(2)/g)が記載されている。また、実施例2(段落【0082】?【0085】)には、「層状複水酸化物2」の前記合成方法において、アルカリ性溶液に活性炭を添加することにより、「層状複水酸化物2」を活性炭に担持させた「検体2」を合成することが記載されている。
そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、層状複水酸化物の比表面積を制御方法として、段落【0042】に、層状複水酸化物の生成後の熟成時間により当該比表面積を制御するできることのみが記載されている。
これら記載事項を併せ考えると、層状複水酸化物の合成時における担体の有無によって、層状複水酸化物の比表面積が大きく異なるものといえないため、「検体2」の活性炭に担持させた「層状複水酸化物2」の比表面積は、実施例1の「層状複水酸化物2」の比表面積(70.1m^(2)/g)と同程度のものであると推認できるから、本件発明1及び4は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。
また、合成する際に活性炭に担持された状態の層状複水酸化物そのものの比表面積は、実施例1の層状複水酸化物の比表面積の測定方法によって測定されたものといえるから、本件発明1及び4は明確であるといえる。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

第4 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び4に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比表面積が20m^(2)/g以上であり、結晶子サイズが20nm以下の層状複水酸化物を合成する際に層状複水酸化物を活性炭に担持させたことを特徴とする脱臭剤。
【請求項2】
前記層状複水酸化物は、脱臭性金属成分を担持させたものであることを特徴とする請求項1記載の脱臭剤。
【請求項3】
前記層状複水酸化物は、結晶内に過ハロゲン酸イオンを含有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の脱臭剤。
【請求項4】
前記層状複水酸化物は、結晶内に炭酸イオンを含有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の脱臭剤。
【請求項5】
比表面積が20m^(2)/g以上である層状複水酸化物を有効成分とする脱臭剤を製造する製造方法であって、
(1)2価の金属イオンと、3価の金属イオンと、を含む酸性溶液と、
(2)アルカリ性溶液と、
(3)脱臭性金属成分を含む水溶液と、
(4)前記酸性溶液と前記水溶液とのいずれか一方に含まれる過ハロゲン酸イオンと、
を混合して前記層状複水酸化物を合成する層状複水酸化物合成工程を有することを特徴とする脱臭剤の製造方法。
【請求項6】
前記層状複水酸化物合成工程は、前記酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、2時間以内に水分を除去又は中和することで合成することを特徴とする請求項5記載の脱臭剤の製造方法。
【請求項7】
前記層状複水酸化物を活性炭またはゼオライトに担持させる工程を含む請求項5または6記載の脱臭剤の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-04-20 
出願番号 特願2015-257425(P2015-257425)
審決分類 P 1 652・ 856- YAA (A61L)
P 1 652・ 536- YAA (A61L)
P 1 652・ 851- YAA (A61L)
P 1 652・ 121- YAA (A61L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松井 一泰  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 宮澤 尚之
末松 佳記
登録日 2020-01-28 
登録番号 特許第6652836号(P6652836)
権利者 日本国土開発株式会社
発明の名称 層状複水酸化物を用いた脱臭剤およびその製造方法  
代理人 春田 洋孝  
代理人 鈴木 満  
代理人 及川 周  
代理人 特許業務法人太陽国際特許事務所  
代理人 春田 洋孝  
代理人 鈴木 満  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 及川 周  
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