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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
管理番号 1376112
審判番号 不服2019-7353  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-04 
確定日 2021-07-16 
事件の表示 特願2017-106562「マイクロ流体カートリッジ用の基体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月31日出願公開、特開2017-151123〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年(平成20年)7月14日(パリ条約による優先権主張 2007年7月13日 米国(US))を国際出願日とする特願2010-517005号の一部を平成25年4月26日に特願2013-094482号として新たな特許出願としたものを、その一部を平成27年9月29日に特願2015-191869号として新たな特許出願としたものを、さらにその一部を平成29年5月30日に特願2017-106562号として新たな特許出願としたものであって、平成30年3月19日付けで拒絶理由が通知され、同年8月27日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成31年1月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、令和元年6月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において令和2年4月6日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月13日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?22に係る発明(以下、請求項1ないし22に係る発明を、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明22」という。また、本願発明1ないし22を総称して「本願発明」という。)は、令和2年10月13日付けの手続補正書により補正(以下「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(下線は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
複数のポリヌクレオチド含有サンプルの増幅反応を行うためのマイクロ流体カートリッジであって、
前記マイクロ流体カートリッジ用の単一の基体を有し、
前記単一の基体は、複数のサンプルレーンを有し、前記複数のサンプルレーンの各々は、マイクロ流体ネットワークを有し、
前記マイクロ流体ネットワークは、ポリヌクレオチド含有サンプルを受入れるように構成された入口と、第1のバルブ及び第2のバルブと、増幅反応チャンバと、通気部と、前記入口から前記第1のバルブを通って前記増幅反応チャンバに通じる第1のチャネルと、前記増幅反応チャンバから前記第2のバルブを通って前記通気部に通じる第2のチャネルとを、互いに流体連通した状態で有し、
前記マイクロ流体ネットワークにおいて、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルと共通する平面内にあり、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、加熱時に溶融する温度応答性物質を含み、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質はそれぞれ、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルをシールし、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、ガスポケットを有し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットはそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質とガス連通し、
前記増幅反応チャンバ、前記入口、及び前記増幅反応チャンバを隔離する前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを含む前記マイクロ流体ネットワークの各々は、前記単一の基体内に構成される、マイクロ流体カートリッジ。
【請求項2】
前記第1のバルブのガスポケット内のガス及び温度応答性物質を加熱するとき、前記第1のバルブのチャンバ内のガス圧力により、前記第1のバルブの温度応答性物質を前記第1のチャネルに移動させて前記第1のチャネルを塞ぎ、前記第2のバルブのガスポケット内のガス及び温度応答性物質を加熱するとき、前記第2のバルブのチャンバ内のガス圧力により、前記第2のバルブの温度応答性物質を前記第2のチャネルに移動させて前記第2のチャネルを塞ぐ、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項3】
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは、前記増幅反応チャンバを前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルから隔離するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項4】
前記複数のサンプルレーンの各々の第1のバルブ及び第2のバルブは、任意その他のサンプルレーンの第1のバルブ及び第2のバルブから独立して制御可能である、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項5】
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは、前記マイクロ流体ネットワークの第1のチャネル及び第2のチャネルと同じ側に形成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項6】
前記複数のサンプルレーンの各々は、他のサンプルレーンから独立して、1つ又は2つ以上のポリヌクレオチドを増幅させるように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項7】
前記増幅反応チャンバのうちの少なくとも1つにおいて、リアルタイムPCRを実施するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項8】
前記入口の各々は、所与の量のサンプルをピペット先端部から受入れるように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項9】
サンプルの所与の量は1?20μlである、請求項4に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項10】
前記入口は、逆円錐台形構造を有し、前記逆円錐台形構造において、高さは少なくとも1mmであり、ピペット先端部の導入を受入れる最も幅が広い箇所の直径は1?5mmである、請求項9に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項11】
前記複数のサンプルレーンの入口は、多ピペットヘッドディスペンサからの同時供給を可能にするように互いに間隔をあけている、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項12】
前記増幅反応チャンバの容積は1?20μlである、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項13】
前記複数のサンプルレーンは12個のレーンである、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項14】
さらに、前記増幅反応チャンバの各々の上に位置する蛍光検出窓を有する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項15】
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、充填チャネルを有し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質はそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの充填チャネルに搭載される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項16】
前記第1のバルブを作動させるとき、前記第1のバルブの温度応答性物質は、前記第1のバルブの充填チャネルから前記第1のチャネルに移動する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項17】
前記第2のバルブを作動させるとき、前記第2のバルブの温度応答性物質は、前記第2のバルブの充填チャネルから前記第2のチャネルに移動する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項18】
前記温度応答性物質は、第1の温度において比較的移動せず、第2の温度でより多く移動する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項19】
前記第1のチャネルは、前記第1のバルブとの接合部のところの部分を含み、前記部分は、前記第1のチャネルの他の部分よりも細い、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項20】
前記第1のチャネルの細い部分は、少なくとも0.5mmの長さを有する、請求項19に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項21】
さらに、前記マイクロ流体カートリッジと相補的な形状を有する診断装置が前記マイクロ流体カートリッジを単一の向きで受入れることを確保する位置合わせ部材を有する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項22】
前記基体は、空気又は液体を通さず、前記マイクロ流体カートリッジの作動中における空気又は液体の出入りは、前記入口又は前記通気部を介してのみ可能である、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。」

第3 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項 1-9,12-18,22
・引用文献等 1-3

・請求項 10,11
・引用文献等 1-4

・請求項 19,20
・引用文献等 1-3,5

・請求項 21
・引用文献等 1-3,6

<引用文献等一覧>
1.特表2004-536689号公報
2.特表2004-536291号公報(周知技術を示す文献)
3.国際公開第2007/044917号(周知技術を示す文献)
4.特表2005-533652号公報(周知技術を示す文献)
5.特表2007-500510号公報
6.国際公開第2007/075919号(周知技術を示す文献)

第4 当審拒絶理由の概要
令和2年4月6日付けの当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。

理由1.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


・理由1,3
・請求項1-22
請求項1には、「前記マイクロ流体カートリッジ用の単一の基体を有し、前記単一の基体は、複数のサンプルレーンを有し、前記複数のサンプルレーンの各々は、マイクロ流体ネットワークを有し、」、「前記増幅反応チャンバ、前記入口、及び前記増幅反応チャンバを隔離する前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを含む前記マイクロ流体ネットワークの各々は、前記単一の基体内に構成される」と記載されており、発明の詳細な説明には、「マイクロ流体基体層は、典型的には、プラスチック、好ましくは、ゼオノール(zeonor;登録商標)プラスチック(環状オレフィンポリマー)で射出成形され、この層は、第1の側にPCRチャネル及びバルブチャネルを有すると共に、第2の側(ラベルに向いて配置され ている)に通気部チャネル及び種々の入口孔を有し、かかる入口孔は、ワックス装填孔及び液体入口孔を含む。典型的には、PCR反応器、入口孔、及びPCR反応チャンバを隔離するバルブを含むマイクロ流体ネットワークの全ては、単一基体中に構成される。」(段落【0203】)と記載されているが、「単一」の「基体」の意味として、(1)単一の材料で、射出成形等により一体的に形成された基体の意味、(2)基体全体が単一の材料から構成されているが、複数の構成部分を結合して最終的に一体の基体として形成された基体の意味、(3)第1の基体、第2の基体・・・というように、複数の基体を有するのではなく、単に一つの基体のみであるという意味、などが考えられるが、これらのいずれを意味するのか、又はこれら以外を意味するのか、明確に把握することができない。
したがって、請求項1-22に係る発明は明確でなく、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-22に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

・理由1
・請求項1-22
この出願の発明の詳細な説明には、
「【0213】
例えば熱を加えることによる作動時、バルブは、材料、例えばPCR実施準備のできたサンプルの微小液滴がチャネルに沿ってバルブの一方の側から他方の側に流れるのを阻止する閉鎖状態に移行する。例えば、バルブは、第1の温度では比較的動かず、第2の温度では移動可能である熱応答性物質(TRS)の1つ又は2つ以上の凝集体を有する。TRSの凝集体は、本質的には、作動時に通路を閉塞するよう協働する小さな粒子の固体の塊又は凝集体であるのがよい。TRSの例としては、共融合金(例えば、はんだ)、ワックス(例えば、オレフィン)、ポリマー、プラスチック及びこれらの組合せが挙げられる。第1の温度及び第2の温度は、バルブが収納されているマイクロ流体カートリッジの材料、例えばポリマー層を損傷させるほどには高くない。一般的に言って、第2の温度は、約90℃以下であり、第1の温度は、第2の温度未満である(例えば、約70℃以下である)。
【0214】
バルブと関連した各凝集体に関し、チャンバは、この凝集体とガス連通状態にある。ガス(例えば、空気)はチャンバ内で加熱すると共にTRSの1つ又は2つ以上の凝集体を第2の温度まで加熱すると、チャンバ内のガス圧力は、それに対応する凝集体をチャネル中に動かし、それにより材料がチャネルに沿って流れるのを妨げる。ネットワークの他のバルブは、本明細書において説明したバルブと同一構造を有すると共に同じ仕方で作動する。
【0215】
バルブの密封を非常に頑丈に且つ確実にするために、バルブ接合部のところの流れチャネルは、狭く作られ(幅が150μm、深さ又は狭さが150μmである)、細くされたチャネルは、長さが少なくとも0.5又は1mmに作られ、従って、ワックスは、長くて狭いチャネルをシールし、それにより、チャネルの壁を通る漏れを減少させる。不良シールの場合、チャネルの壁周りにワックスを越えて流体の漏れが生じる。従って、流れチャネルは、できるだけ狭くなっていると共に長く作られ、例えば約1mmという長い長さに作られている。バルブは、空気をワックス充填ポート内で加熱することによって作動し、それにより、ワックスは、これがその元の位置に戻ることがないような仕方で前方に動く。このように、空気とワックスの両方が、バルブの作動中に加熱される。」
と記載されているが、バルブを加熱させる機構について何ら記載されていないため、バルブを加熱することにより熱応答性物質(TRS)の凝集体を如何にして動かすことによりバルブを作動させているのか把握することができない。
したがって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-22に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

・理由2,3
・請求項1-22
請求項1には、「前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、ガスポケットを有し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットはそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットの温度応答性物質とガス連通し、」と記載されており、請求項15-17には以下のように記載されている。
「【請求項15】
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、チャンバを有し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質はそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのチャンバに搭載される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項16】
前記第1のバルブを作動させるとき、前記第1のバルブの温度応答性物質は、前記第1のバルブのチャンバから前記第1のチャネルに移動する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項17】
前記第2のバルブを作動させるとき、前記第2のバルブの温度応答性物質は、前記第2のバルブのチャンバから前記第2のチャネルに移動する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。」
そして、請求項1に記載された「ガスポケット」と請求項15-17に記載された「チャンバ」は、同じものを意味するのか、異なるものを意味するのか明確に把握することができない。
また、発明の詳細な説明には、「バルブと関連した各凝集体に関し、チャンバは、この凝集体とガス連通状態にある。ガス(例えば、空気)はチャンバ内で加熱すると共にTRSの1つ又は2つ以上の凝集体を第2の温度まで加熱すると、チャンバ内のガス圧力は、それに対応する凝集体をチャネル中に動かし、それにより材料がチャネルに沿って流れるのを妨げる。」(段落【0214】)とあり、「チャンバ」がTRSの凝集体とガス連通状態にあることについて記載されているものの、「前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、ガスポケットを有」すること、及び、「前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットはそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットの温度応答性物質とガス連通」することについて、発明の詳細な説明に記載されていない。
したがって、請求項1-22に係る発明は明確でなく、発明の詳細な説明に記載されたものでない。

第5 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審にて付した。)。

(引1a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体デバイスの分野に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、規定された一連の構成を介して離散的な超小型液滴を動かすことにより動作する超小型流体デバイスに関する制御方法、制御システム、及び制御ソフトウェアに向けられる。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において、マイクロ/ナノ テクノロジーデバイスは、所望の機能を様々に形成するために一緒になりながら1μmから1μmの1/100のスケールの構成要素を有するデバイスであるとして知られている。特に、マイクロ流体デバイスは、化学または生化学に関する反応や解析を実行する機能を共同的に作用することによって処理する流体形成マイクロ/ナノ テクノロジーデバイスである。」

(引1b)
「【0034】
後述する<好ましいマイクロ流体デバイス>の節は、本発明のシステム及び方法により制御された好ましいマイクロ流体デバイスについての概略を説明する。後述する<好ましい制御システム及び方法>の節は、好ましいマイクロ流体デバイスの特徴からみたこれらシステム及び方法の好ましい実施例について説明する。後述する<好ましい熱制御された実施例>の節は、好ましい熱制御されたマイクロ流体デバイスと、それらのより好ましい制御システム及び方法についてさらに詳しく説明する。さらに、<好ましい熱制御された実施例>の節は、付加的な実施例について説明する。」

(引1c)
「【0035】
<好ましいマイクロ流体デバイス>
本発明のシステム及び方法は、“デジタル”として引用される方法で動作するマイクロ流体デバイスを制御する。本小節では、“デジタル”マイクロ流体デバイスの全体的な特徴をまず説明し、続いて好ましい熱制御型“デジタル”マイクロ流体デバイスを説明する。【0036】
(デジタルマイクロ流体デバイス)
・・・
【0043】
好ましいデジタルマイクロ流体デバイス(プロセッサ)
本発明の制御方法及びシステムは、前述したような一般的なデジタルマイクロ流体デバイスを制御するために適用される。しかしながら、好ましくは、それらは以下の付加的な属性、(i)優勢なモジュラ及び階層的構造であること、(ii)主に電気制御信号によって制御可能であること、を有するデジタルマイクロ流体デバイスに適用される。
【0044】
以下でマイクロ流体“プロセッサ”と称されるこのような好ましいデジタルマイクロ流体デバイスは、一般的なデジタルマイクロ流体デバイスよりも好ましい。というのは、幅広く異なるプロセッサが、モジュラを実行する単一プログラム可能な制御システム、及び階層構造型の制御方法によって、柔軟かつ容易に制御されるからである。特定クラスの特定なマイクロ流体プロセッサの制御は、その特定クラスの全マイクロ流体プロセッサに関する低レベル制御の詳細を階層的にカプセル化する高レベルな制御モジュールを包含することによって特徴づけられる。
・・・
【0063】
(好ましいマイクロ流体プロセッサ)
・・・
【0070】
この典型的なマイクロ流体プロセッサは、3つのタイプのサブアセンブリから構成されていて、各サブアセンブリは、3つのタイプのアクチュエータから構成され、かつ各アクチュエータは、制御可能な1つのタイプのデバイスレベル構成要素から構成されている。また、プロセッサは、流路、貯蔵器、ポート、出口、光伝導体などのような受動的な構成要素を含んでいる。特に、このプロセッサは、分離した4つのサブアセンブリを備えている。すなわち、サブアセンブリとしての計量1と計量2を測定する2つのマイクロ液滴、サブアセンブリとしての計量1を混合する1つのマイクロ液滴、及び反応/検出1として引用されるサブアセンブリとしての反応/検出する1つのマイクロ液滴である。
【0071】
これらのサブアセンブリは、すべてが受動的な入り口、放出口、通気口、貯蔵器で相互接続された、制御可能な3つの加熱アクチュエータ、制御可能な6つのバルブのアクチュエータ、及び1つの光学検出器から構成される。前記サブアセンブリは、以下の構成要素を有している。すなわち、入り口1、放出口1、バルブ1、加熱器1、流路1を含むサブアセンブリとしての計量1と、入り口2、放出口2、バルブ2、加熱器2、流路2とを含むサブアセンブリとしての計量2と、加熱器1(及び任意選択で加熱器2)、バルブ3、バルブ4、通気口1、通気口2、Y型の流路3、流路4とを含むサブアセンブリとしての混合1と、バルブ5、バルブ6、加熱器3、流路5とを含むサブアセンブリとしての反応/検出1とである。ここで、加熱器1及び加熱器2は、サブアセンブリとしての混合と計量の両方に含まれている。また、加熱器1、バルブ3、バルブ4、通気口1、通気口2、流路1、及び流路4は、サブアセンブリとしてマイクロ液滴の動きを単独で形成する。最後に、受動的な流路に加えて、前記プロセッサは、制御可能なあるタイプのデバイスレベル構成要素、局所抵抗加熱器のみから構成される。抵抗加熱器は、フィードバック情報を供給する抵抗温度検出器に機能的に作用して結合されるのが好ましい。
・・・
【0082】
サブアセンブリの動作は、構成要素アクチュエータの調整された動作から生じる。まず、2つのマイクロ液滴動きアクチュエータは、ヒータ1及びヒータ2により制御された圧力生成器で生成されたガス圧力手段によって、流路1,2に沿ってマイクロ液滴を動かす。次に、バルブ1、ヒータ1、入り口1、放出口1、流路1といったアクチュエータで構成されるサブアセンブリの計量1は、後述する方法でポートの入力1を通って導かれた流体の標本から、規定された量のマイクロ液滴を計測する。
【0083】
最初、バルブ3及びバルブ1がまだ開いていない場合は、それらが開けられ通気口1への側流路がブロックされていない。次に、例えば、外部の手動または自動デバイスによって、流体が入り口1に入り、そして最初の疎水性領域h3によって形成された安定位置に流れ込んで、過剰の流体がポートの放出口1を介して排出されながら流路1の幅一杯に満たされる。領域h1は、入ってきた流体がヒータ1への側流路へ進入することを妨げる。最後に、ヒータ1によって生成された制御型ガス圧力は、ヒータ1への側流路の接合部と領域h3との間にある流入された流体より、マイクロ液滴を絞り込む。そして、前記接合部を越えた通気口1への側流路の所にマイクロ液滴を押し進める。領域h5は、マイクロ液滴が通気口1への側流路に入ってくることを妨げる。そして通気口1は、押し進められているガス圧力が逃がしている。サブアセンブリの計量2が同様に構成され動作する。(流路1,2が液滴の計測後に補充されることを妨げるために、不図示のバルブが隣接した入り口1及び入り口2に任意選択で存在する。)
【0084】
サブアセンブリの混合1は、異なる成分を有する2つのマイクロ液滴を混合し、それらは、後述する方法により、主流路4と通気口1への側流路との接合部により生成された安定位置で隣接して位置付けられている。まず、バルブ3(及びバルブ1とバルブ2)が閉じられ、その結果、流路4内で隣接した状態にあるマイクロ液滴が、流路5に向かって押し進められる。次に、ガス圧力がヒータ1またはヒータ2、またはその両方によって生成され、その結果、流路4内の2つのマイクロ液滴が、通気口2への側流路の接合部を越えて安定位置に移動させられる。重要なことは、生成された圧力が制御されているので、その動きがマイクロ液滴を混合させるのに十分に速いということである。最後に、図1に示された残りのサブアセンブリであって、バルブ5、バルブ6、ヒータ2、o1、o2、流路5を含む反応/検出1は、以下のように動作する。正確な構成を有した混合マイクロ液滴が流路5に位置付けられた後で、この流路はバルブ5及びバルブ6を閉じることによって密閉される。次に、トラップされたマイクロ液滴内の反応をシミュレートするためにヒータ3が制御され、このシミュレートされた反応の結果が、o1及びo2により導かれた放射線によって光学的に検出される。」

(引1d)
「【0141】
<好ましい熱制御型の実施形態>
より好ましい実施形態では、本発明のシステム及び方法が、図1に示されるような熱制御型のマイクロ流体プロセッサに適用される。ここでの小章には、そのシステム及び方法のより好ましい実施形態を順に説明する。
・・・
【0160】
(方法及び機能)
この小章では、好ましい熱制御型マイクロ流体プロセッサ、構成要素レベル機能、アクチュエータレベル機能、マイクロ液滴レベル機能、及び最近のユーザレベル機能に関する機制御能を説明する。この説明は、典型的であるが制限するものではない。以下の説明において、当業者は、説明された機能についての他の実行を構成する仕方、また好ましい熱制御された技術で構成された他の可能性のある構成要素及びアクチュエータが、本発明に従ってどのように制御されるかを理解するだろう。
・・・
【0167】
(構成要素レベルの機能)
構成要素レベルの機能は、例えば、マイクロ流体プロセッサ内のマイクロ液滴または他の材料を移動するための圧力を制御可能に生成する。この機能は、熱制御型の機械力を要求する幾つかの高レベルなアクチュエータに関する有用な構成要素である。圧力生成の好ましい実施形態は、制御された熱要素のガス貯蔵器と、そのアプリケーションのポイントに加熱することで加圧されたガスを導く流路と含んでいる。図5Aは、流路68の圧力例のポイントにリンクする、比較的大きなガス貯蔵器65と比較的小さな導入流路66を備えた好ましい実施形態を示している。貯蔵器のガスは、空気になり得る窒素またはアルゴンのような不活性ガスであるのが好ましい。その貯蔵器は、その底部(または頂上)に埋め込まれた制御型加熱器69(添付の温度センサが図示されていない)を有している。流路68の領域67は、疎水性の面を有しているので、流路68に存在するどんな(水性の)流体もガス貯蔵器69から排除される。
【0168】
図5Bは、この圧力生成器に関する構成要素レベルの制御機能を示している。第1のステップにおいて、その機能は圧力生成器、及び関連する熱と生成された所望の圧力をあらわすパラメータの識別をする。次のステップで、所望の圧力は、必要とされた熱の所望量に変換され、そして最後のステップで、前記熱は、必要とされた熱を供給するのに十分な時間の温度に(同一の構成要素から規定されたコネクタ上の制御信号によって)制御される。
【0169】
前述した温度効果に依存するマイクロ液滴センサに加え、構成要素レベルの機能がマイクロ流体プロセッサに存在する他のタイプのマイクロ液滴センサをさらに制御する。例えば、マイクロ液滴センサは、容量性の検出器に基づいていて、2つのリード間のインピーダンスが、マイクロ液滴の存在、不存在により変更される。このとき、DAQボードは、スイッチ可能なインピーダンスセンシング回路を含んでいる。また、圧力センサが存在し、後述するようなマイクロ液滴位置センサとして用いられる。圧力センサは、図5A、Bの制御可能な圧力機能に用いられるための直接フィードバックを提供する。
【0170】
(マイクロバルブ機能)
マイクロバルブ機能は、殆どのマイクロ流体プロセッサに存在するアクチュエータレベルの重要な機能である。図6Aは、制御された流路78を開閉するためのマイクロバルブに関する好ましい実施形態を示している。このマイクロバルブは、例えば、加熱器HTR1及び制御された流路78に接続する側流路77とともに、ガス貯蔵器75を含む圧力生成器を有している。側流路77は、低溶融点で不活性材料のプラグ76によってブロックされる。前記溶融点は、流路78のマイクロバルブによって制御された任意のマイクロ液滴の沸点より低いが、マイクロ流体プロセッサの温度を操作するベースラインよりも高い方が好ましい。例えば、溶融点は、40℃から90℃までにあり、50℃?70℃であるのが好ましい。その材料は、ワックス(例えば、オレフィン)、または共晶合金(例えば、はんだ)である。また、図示したように、マイクロバルブは、側流路77の制御された加熱に関する加熱器HTR2、及び制御型流路78の制御された加熱に関する加熱器HTR3を含んでいる。これら3つの加熱器に選択的に付随するセンサは、簡単かつ制限無く、図6Aから省略される。
【0171】
リード79?82の構成は、直接経路づけられ重複していない4つの制御リードのみで、3つの加熱器全ての独立した制御をもたらす1つの配置である。この示された配置は典型的なものである。例えば、各加熱器に2つの6つのリードが替わりに供給され得る。
【0172】
図6Aでは、閉動作するマイクロバルブに関して示されおり、オープン状態のマイクロバルブを描いている。図6Bは、クローズ状態のマイクロバルブを描いている。図6Cは、マイクロバルブの閉機能のステップを描いている。この閉機能は、まず、入力パラメータ83を取得し、その入力パラメータ83は、特定のマイクロバルブを閉じるためのパラメータ、その加熱器、及び加熱制御リードかつ任意の選択的なセンサからの信号をモニタリングするためのコネクタを識別する。また、入力パラメータは、マイクロバルブの閉機能のための“オープン”にしなければならない現在のマイクロバルブ状態を含んでいる。(マイクロバルブがすでに閉である場合、この閉機能は単に抜け出る。)
【0173】
次に、ステップ84で、(リード79、80を活性化することによって)加熱器HTR2と側流路77とを温度T_(2)にわずかに、しかし十分に、前記プラグが溶融するためプラグ76の温度を溶融する以上に(例えば、1℃?5℃以上)制御する。プラグ溶融でその後または同時に、ステップ85で、加熱器HTR1を、十分なガス圧力が溶融したプラグを出口流路77から制御された流路78へ移動するために生成される時間、温度T_(1)に制御する。好ましくは、T_(1)>T_(2)である。この圧力は、前記プラグを流路78に移動するのに十分に規定された時間遅延86の間、維持される。あるいはまた、プラグに関する位置センサが利用(例えば、HTR3に関する熱センサ)可能な場合、プラグの十分な移動がセンシングされるまで遅延が続く。
【0174】
そのとき、ステップ87で、HTR2を非活性にし、その温度があるプロセッサのベースライン温度T_(0)の許容範囲内に戻るまで待つ。その結果、プラグは再び凝固する。ベースライン温度への復帰は、センサによってセンシングされるか、十分な時間遅延の後に仮定されるかの何れかである。プラグが凝固された後、ステップ88で、同様に、HTR1とガス貯蔵器75との温度をベースラインに戻す。流路77からのプラグの動きによってガス量は大きくなるので、マイクロバルブが開いているときよりも閉じているときに、ベースライン温度で、貯蔵器75の中には比較的低いガス圧力がある。
【0175】
制御された流路78が凝固されたプラグでブロックされているので、いまマイクロバルブは閉じている。ステップ89で、マイクロ流体プロセッサの現在の状態を記述するデータに、マイクロバルブの状態が閉として印される。
【0176】
マイクロバルブを開ける動作が図6Bに示されており、クローズ状態のマイクロバルブを描いている。図6Aは、オープン状態のマイクロバルブを描いている。そして、図6Dは、マイクロバルブの開機能のステップを描いている。いつものように、この機能は、まず入力パラメータ90を取得する。これらのパラメータは、ステップ及びモニタリングコネクタを識別し、閉状態を表示する(その他では、この機能は単に抜け出る)。まず、この機能は、加熱器HTR2と側流路77とを温度T_(2)に制御し、HTR3と制御された流路78を温度T_(1)に制御する。前述したように、T_(1)とT_(2)は両方とも、プラグの溶融点を超えている。したがって制御された流路78のプラグ76は、溶融するとともに、閉じているマイクロバルブからガス貯蔵器75に残っている比較的低い圧力の影響のある下で、側流路77へ引き戻される。これらの加熱器は、プラグが側流路77に戻るのに十分な時間遅延91の間、活性化される。あるいはまた、プラグの位置センサが利用可能(例えば、HTR2に関連した熱センサ)な場合、プラグの動きがセンシングされるまで、その遅延は続く。
【0177】
最後に、加熱器HTR2とHTR3は、非活性にされ、そして、出口流路の熱に近い温度が、(温度モニタリングによる、または時間遅延によるの何れかで)ベースラインの範囲内に戻るまで、ステップ92は続く。最後に、マイクロバルブの状態が、出口流路77及びブロックされていない制御された流路78に凝固されたプラグが閉であるとして印される。
【0178】
以下の記載では、図6A、Bのように、3つの加熱器及び少なくとも4つのリードを備えた説明の替わりに、1つの加熱器と1組のリードを概略的に示したものであるが、これに制限されるものではない。
【0179】
(光学的検出器の機能)
流路から反応結果のどんな物理的除去もなく、マイクロ流体プロセッサの外部で容易に実行されることから、マイクロ流体プロセッサの反応または解析に関する結果は、光学センシングで行われるのが好ましい。あるいはまた、マイクロ流体プロセッサが反応結果に関して分離した機構を含んでいる場合、分離した構成要素の検出が、光学手段によってなされることが好ましい。光学的センシングは、錯乱した入射放射線、または生成された蛍光性の放射線などに依存する。また、本発明は、放射線による反応や解析の励起を供給する。
【0180】
基本的な光学検出構成要素及び制御機能が、図11A、Bに示されている。図11Aは、マイクロ液滴のmd1の光学センシングに関する典型的な構成要素を備えたマイクロ流体プロセッサの限定部分165を示している。そしてそれは、主流路167の疎水性領域h1へ隣接する安定した位置として示されている。光構成要素は、(例えば、DAQボードのレーザダイオードからの)入射放射線をmd1に導くための放射線コンダクタ166、及び(例えば、DAQボードフォトダイオードへ)解析に関するマイクロ液滴1からの放射線を導くための放射線コンダクタ169を含んでいる。md1から導かれた放射線は、錯乱した放射線、蛍光性の放射線などである。レンズ168は、集めて、焦束し、波長をフィルタリングするなどの放射線に関する要素を概略的に示している。また、センシングされたマイクロ液滴を通る放射線の通り道を2重にするため、主流路に隣接して反射板が置かれる。このような反射板は、例えば、干渉フィルターまたは二色性ミラーのような波長に基づく属性を選択的に有している。
【0181】
限定部分165は、マイクロ流体プロセッサの平面外の光コンダクタを実質的に垂直に配置して示し、かつプロセッサの厚さを通る光を通過している、実質的に垂直の描写である。また、この部分は、マイクロ流体プロセッサの平面内の光コンダクタを実質的に水平に配置して示し、かつプロセッサの1つの流路のみを通る光を通過している、実質的に水平の描写である。さらに、光コンダクタは、目標に近い最後の方向に方向転換することのためだけに、(水平的に)プロセッサの平面に実質的に実行する。
【0182】
図11Bは、アクチュエータレベルの光センシング機能を示している。この機能は、特定の光センシングアクチュエータを識別するパラメータ170を取得することによって開始し、その結果、DAQボードのマイクロプロセッサは、放射線の生成、及び識別された光検出センサのために正しいコネクタに接続する検出構成要素を制御する。次に、入力放射線コンダクタは171であり、生じた放射線はセンシングされた172である。
【0183】
完全に外部でなす他の検出方法は、外部に適用された磁性(NMR)または電磁場、或いは光検出器によるこれらの場を組合せに基づくものだが、本発明のマイクロ流体プロセッサにおいて用いられるのが好ましい。この場合、場を生成する構成要素は、マイクロ流体プロセッサやDAQボード(またはDAQボード筐体)に置かれ、制御機能を識別し、制御機能によって活性化されなければならない。」

(引1e)
「【0191】
(マイクロ液滴の計量機能)
・・・
【0192】
流体は、手作業の変換手段(例えば、ビベット)によって、または自動変換手段(例えば、ロボット)によって外部ソースからポートを介してプロセッサに導入される。ポートは、様々な流体変換手段(例えば、洗浄器、ビベット)を受け入れるためにマイクロ流体プロセッサ上に準備される。図8Cは、洗浄器に合わせた外部ポートを示している。ポート1は、穴があけられた膜113(例えば、自己密封、ゴムのような素材)で覆われ、かつマイクロ流体プロセッサ内の流路110に接続された流体貯蔵器114を含んでいる。この図は、穴のあいた膜113と、流体がすでにポートへ導入された洗浄器115を示している。この膜は、注入された流体が逆流することなくプロセッサへ浸透することを保証している。ビベットの場合、貯蔵器114の形状は、流体変換のビベット先端にびったり密封するように合わせられる。」

(引1f)
「【0201】
(好ましい反応機能)
一般的に、意図した反応または解析のために、正しい構成で作られたマイクロ液滴を準備する。反応にとって、このマイクロ液滴は、残りのマイクロ流体プロセッサで蒸発または意図しない相互作用を避けるために隔離され、その反応が意図したように進むために規定された温度に調整される。顕著なポリメラーゼチェーン反応(PCR)は、マイクロ液滴が規定された温度プロトコルを介して巡回的に繰り返されることを要求する。他の反応は、マイクロ流体プロセッサの反応領域に存在することを必要とする(固体の)触媒を要求する。さらに、反応は、放射線のシミュレーションを要求する。以下の記述は、限定するものではなく、規定された温度での反応においてであるが、当業者であれば、温度プロトコル、触媒、放射線シミュレーションなどをいかに準備するかを容易に理解できるものである。
【0202】
したがって、前述した好ましい実施形態の場合、反応は、隔離される制御可能に加熱された流路領域内で、或いは、マイクロ液滴が移動及び隔離され得る制御可能に加熱された貯蔵器内で、残りのマイクロ流体プロセッサの結果より実行される。図10Aは、制御可能な加熱器HTR1、及び隔離されたバルブのバルブ1、バルブ2を備えた流路150内の(触媒を欠いた)反応領域156を典型的に示している。例えば、側流路151は制御可能な通気口につながるので、領域156は、マイクロ液滴の安定位置となる。(同様の安定位置が、とりわけ図1で議論されている。)あるいはまた、適切に置かれた疎水性領域が、この安定位置を定義している。
【0203】
反応制御機能が、図10Cに示され、反応前の反応領域156を描画している。図10Dは、反応過程における反応領域を描画している。そして、10Eは、反応制御機能のステップを描画している。ステップ157は、マイクロ流体プロセッサ構成、反応のための温度プロファイル、反応領域、及びその制御線とコネクタとを形成する構成要素の識別子を含むパラメータを取得する。取得した構成から、この機能は、結果としてまたはマイクロ流体プロセッサステップの前に、正しい構成を有するマイクロ液滴が、反応領域に位置付けられているかをチェックする。位置付けられていない場合、この機能は、おそらくエラー識別子とともに存在する。次に、ステップ158は、バルブ1とバルブ2を閉じることによって、反応領域156を隔離するアクチュエータレ場ル野マイクロバルブ機能を呼び出す。ステップ159は、前述した熱プロトコルを実行する。いかなるマイクロ液滴もこの機能によって変換されないので、その構成は、反応が実行されていることを表示している範囲にだけ更新される必要がある。
【0204】
完了した反応は、マイクロ流体処理の最終結果であり、この場合、結果として生じたマイクロ液滴の内容がセンシングされるか、或いは、それは中間反応となってこの場合、マイクロ液滴はさらに処理される。
【0205】
次に、典型的に好ましい構成である熱制御されたマイクロ流体プロセッサを簡単に説明する。例えば、図10Bは、プレート152及びトッププレートに対して密封した状態で位置付けられ結合された並行底プレート155からのプロセッサの全体構成を描画した、図10Aにおける線10A-10Bに沿った断面を示している。このプレートは、シリコン、プラスティックポリマー、ガラスなどである。流路150のような流路は、機械加工され、エッチングされ、或いは1つのプレートで他に定義される。ここで、底プレートは実質的に平らであるのだが、頂上プレートはマイクロ液滴が処理されるよう扱われた壁面を有している。特に、疎水性(または親水性)の流路領域は、プレートの結合前の処置によって定義される。リード154のような電気的な構成要素及びリード線は、エッチングされていない実質的に平らなプレートに置かれるのが好ましく、流路の中に挿入される絶縁層153によって覆われる(また必要ならば、基礎となる)。リード線は、例えば、アルミニウムのような絶縁材質を蒸発させる。絶縁層は、セラミックまたは例えば、シリコン二酸化物のようなポリマーである。光コンダクタは、プレート結合の後でプロセッサに接続された光ファイバーから作られる。その構成方法は、半導体製造で用いられる石版技術分野で良く知られた方法から適応される。例えば、米国特許番号6048734号、6057149号を参照されたい。
【0206】
(統合されたデバイス動作機能)
前述したマイクロ液滴レベル機能は、多くの異なる反応または解析を実行する多くの異なるタイプのマイクロ流体プロセッサに関するユーザレベルの反応制御機能を生成するために組み合わされる。本発明に従った制御機能の構成またはプログラミングは、非常に簡略化される。というのは、計量する、移動する、混合する、または反応するのような化学及び生物学におなじみの実験機能を特定するマイクロ液滴レベル機能を直観により認識するのにだけ注意を払うことが必要とされるからである。ここのマイクロ流体プロセッサ構成要素及びそれらの一連の制御の詳細は、それら全てが低レベルのマイクロ流体プロセッサ制御を実行する際に共同して機能する構成要素レベル、アクチュエータレベル、及びマイクロ液滴レベル制御機能の階層的構成によって隠される。制御型マイクロ流体プロセッサのデジタル性質から、この階層的制御は可能である。
【0207】
これらの優位性が、図1に示された好ましい熱制御柄マイクロ流体プロセッサに関するユーザレベルの反応制御機能によって示されている。このプロセッサは、とりわけ、サンプル及び幾つかのPCR試薬を含む第1のマイクロ液滴を計量することによって、残りのPCR試薬を含む第2のマイクロ液滴を計量することによって、2つのマイクロ液滴を混合することによって、混合されたマイクロ液滴でのPCR温度プロトコルを実行することによって、及び反応結果を検出することによって、単純PCRのサンプル解析を実行する能力がある。
【0208】
より詳細には、図12は、ホストシステムに入力されたユーザ命令によって制御された、ユーザレベルのPCR反応制御機能を示している。ユーザがホスト装置に命令を入力すると、ステップ175は、反応ステップ機能を開始する。次に、ステップ177、178は、反応が実行されるマイクロ流体プロセッサのデータ説明を含む入力パラメータを取得する。前述したように、この説明データは、マイクロ流体プロセッサ自身によって供給されたり、またはプロセッサがデータベースへこのようなデータのキーを供給する。
【0209】
この機能は、構成要素、アクチュエータ、及び後述するマイクロ液滴レベル機能によって要求されたサブアセンブリを識別し、好ましくは、このプロセッサが正確な配置にこれら正確な資源を有しているかを確認する。図1のマイクロ流体プロセッサの場合、これらの資源が確認され、かつ計量1、計量2、混合1、及び反応/検出1として識別される。次に、計量1及び計量2サブアセンブリによってパラメータ化された計量マイクロ液滴レベル機能を用いるステップ177、178は、PCR解析及び試薬に関するサンプルを含む、第1及び第2のマイクロ液滴を計量する。2つの計量ステップは、マイクロ液滴が計量される反応物を表示する信号が、プロセッサにロードされる間、待つ(例えば、図8Dを参照)。次に、ステップ179は、計量されたマイクロ液滴を混合するため、混合1サブアセンブリによってパラメータ化された混合マイクロ液滴レベル機能を呼び出す。混合されたマイクロ液滴は、反応/検出1サブアセンブリの反応領域に位置付けられるので、ステップ180は、実行反応マイクロ液滴レベル機能を呼び出すことによって反応を実行する。最後に、ステップ181は、反応結果のアクチュエータレベル機能を呼び出すことによって、反応結果を光学的に解析する。競争反応で、ステップ182は、ホストシステムに対して反応結果と競争信号を戻す。例えば、様々に呼び出された機能によって更新されるようなマイクロ流体プロセッサ構成データをモニタリングすることによって、この機能の動作の全体にわたり、非同期のホストモニタリングまたは制御183が進行の中に存在する。
【0210】
したがって、この典型的なPCR反応は、高レベルのマイクロ液滴機能に完全に特定される流体。この機能を実行するために調和的にされなければならない個々の構成要素の詳細な動作は、反応制御が表現されるマイクロ液滴機能によってカプセル化されるのが一般的である。」

(引1g)
【図1】

【図3A】

【図10A】-【図10D】


2 引用発明
(1)上記(引1c)【0043】の「好ましいデジタルマイクロ流体デバイス(プロセッサ)」、及び、【0044】の「以下でマイクロ流体“プロセッサ”と称されるこのような好ましいデジタルマイクロ流体デバイス」という記載から、引用文献1において「マイクロ流体デバイス」と「マイクロ流体プロセッサ」は同じ構成を表していると認められることから、以下、「マイクロ流体プロセッサ」と記載することとする。

(2)上記(引1b)【0034】の記載から、(引1b)に続く各節の記載は好ましい「マイクロ流体デバイス」すなわち「マイクロ流体プロセッサ」について記載したものであるといえる。すなわち、(引1c)?(引1f)の記載は、両立しない異なる「マイクロ流体プロセッサ」の実施例について記載したものではなく、「マイクロ流体プロセッサ」の各構成についてそれぞれ記載した両立する実施例であるといえる。

(3)引用文献1の「バルブ」と「マイクロバルブ」について、例えば(引1f)【0203】の「次に、ステップ158は、バルブ1とバルブ2を閉じることによって、反応領域156を隔離するアクチュエータレ場ル野マイクロバルブ機能を呼び出す。」(当審注:「アクチュエータレ場ル野」は「アクチュエータレベルの」の誤記と考えられる。)という記載に表れているように、引用文献1において両者は同じ構成を指すものと認められる。そのため、以下、「バルブ」と記載することとする。

(4)上記(引1f)【0205】の記載について
ア 「図10Bは、プレート152及びトッププレートに対して密封した状態で位置付けられ結合された並行底プレート155からのプロセッサの全体構成を描画した、図10Aにおける線10A-10Bに沿った断面を示している。」という記載について、ここでは「プレート」と呼称される部材が「プレート152」、「トッププレート」及び「底プレート155」の3つ記載されている。しかし、図10Bには符号152は示されていないものの、「底プレート155」と「絶縁層153」以外に「プレート」と呼べる部材は図10B上部の板状部材のみであるから、図10Bに示される「マイクロ流体プロセッサ」は「プレート」と呼称される部材は2つのみであり、「プレート152」及び「トッププレート」は共に図10B上部の板状部材という、同一の部材を指していると認められる。そのため、以下、「プレート152」及び「トッププレート」を「トッププレート152」と記載することとする。

イ 「流路150のような流路は、機械加工され、エッチングされ、或いは1つのプレートで他に定義される。ここで、底プレートは実質的に平らであるのだが、頂上プレートはマイクロ液滴が処理されるよう扱われた壁面を有している。」という記載について、まず、「頂上プレート」は「トッププレート152」と同じプレートを指すと認められる。また「流路150のような流路は、・・・1つのプレートで他に定義される。」という記載と図10Bから、「流路150」は「トッププレート152」に設けられているといえる。

ウ なお、ア、イについて、引用文献1は国際出願PCT/US2002/009439の、日本における国内段階にあたる出願の公表公報であるところ、上記国際出願の国際公開公報である国際公開第02/078845号の明細書第55頁には、引用文献1の【0205】に対応する記載として次の記載がある(和訳は当審にて作成した)。
“For example, Fig. 10B illustrates a section of Fig. 10A along line 10A-10B depicting general construction of such processors from top plate 152, and parallel bottom plate 155, which is positioned and bonded with a seal against the top plate. The plates may be silicon, plastic polymer, glass or so forth. Passages, such as passage 150, are machined, etched, pressed, or otherwise defined in one plate, here the top plate, while the bottom plate is substantially flat, and have walls appropriately treated for the type of micro-droplets to be processed.”
(和訳)「例えば、図10Bは、図10Aの線10A-10Bに沿った断面図であり、トッププレート152と、トッププレートに対して位置付けられシールで接合された平行な底プレート155からなる、そのようなプロセッサの一般的な構造を示す。プレートは、シリコン、プラスチックポリマー、ガラスなどであってもよい。流路150などの流路は、1つのプレート、ここではトッププレート内に、機械加工、エッチング、プレス、または他の方法で画定され、底プレートは実質的に平坦であり、処理されるマイクロ液滴のタイプに対して適切に処理された壁を有する。」
すなわち、この記載からも、図10B上部の板状部材が「トッププレート152」であること、及び、「流路150」は「トッププレート152」に設けられていることが理解できる。

(5)上記(引1f)【0202】の「図10Aは、・・・流路150内の(触媒を欠いた)反応領域156を典型的に示している。」という記載から図10Aに描かれる領域は「反応」が行われる箇所であること、(引1c)【0084】の「図1に示された残りのサブアセンブリであって、バルブ5、バルブ6、ヒータ2、o1、o2、流路5を含む反応/検出1」という記載から図1に描かれる「マイクロ流体プロセッサ」は「反応/検出1」という「サブアセンブリ」を有すること、及び図1と図10Aから、以下のことがいえる。
ア 図10Aで描かれる領域は図1における「反応/検出1」という「サブアセンブリ」であること。
イ 図1における「反応/検出1」という「サブアセンブリ」は、「反応領域156」を備えること。
ウ 図10Aにおける「バルブ1」、「バルブ2」はそれぞれ、図1における「バルブ5」、「バルブ6」に対応するバルブであること。

(6)上記(引1f)【0207】の「このプロセッサは、とりわけ、サンプル及び幾つかのPCR試薬を含む第1のマイクロ液滴を計量することによって、残りのPCR試薬を含む第2のマイクロ液滴を計量することによって、・・・単純PCRのサンプル解析を実行する能力がある。」という記載から、(引1c)の記載の「サブアセンブリ」としての「計量1」及び「計量2」は、「PCRのサンプル」を計量するものであるといえる。そして、「計量1」及び「計量2」はそれぞれ「入り口1」及び「入り口2」を含むところ、これら「入り口1」及び「入り口2」は「PCRのサンプル」を受け入れるためのものであると認められる。

(7)図1から以下のことが見てとれる。
ア 「流路1」、「流路3」及び「流路4」は、「入り口1」から「バルブ5」を通って「反応/検出1」の「反応領域156」に通じていること。
イ 「流路2」、「流路3」及び「流路4」は、「入り口2」から「バルブ5」を通って「反応/検出1」の「反応領域156」に通じていること。
ウ 「流路5」は、「反応/検出1」の「反応領域156」から「バルブ6」を通って「通気口3」に通じていること。

(8)上記(1)?(7)を踏まえると、上記引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「PCRのサンプル解析を実行する能力があるマイクロ流体プロセッサであって、
マイクロ流体プロセッサは流路が設けられたトッププレート152、及び、トッププレート152に結合された底プレート155からなり、
マイクロ流体プロセッサは、PCRのサンプルを受け入れるための入り口1、2、通気口3、流路1?5、バルブ1?6を有し、また、反応/検出1という反応領域156を含むサブアセンブリを有し、
流路1、流路3及び流路4は、入り口1からバルブ5を通って反応/検出1の反応領域156に通じ、
流路2、流路3及び流路4は、入り口2からバルブ5を通って反応/検出1の反応領域156に通じ、
流路5は、反応/検出1の反応領域156からバルブ6を通って通気口3に通じ、
バルブはガス貯蔵器、低溶融点で不活性材料のプラグ、流路、流路に接続する側流路、及び、加熱器を有し、加熱器の制御によりプラグが溶融して流路へ移動し、凝固されたプラグは流路をブロックする、
マイクロ流体プロセッサ。」

3 引用文献2の記載
引用文献2には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審にて付した。)。

「【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、熱処理、たとえば、PCR増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立配列複製、酵素反応速度論研究、均質リガンド結合アッセイなどの敏感な化学処理、ならびに、厳密な熱制御および/または急速な熱変化を必要とする、より複雑な生化学処理または他の処理を伴う方法において使用できる、サンプル処理装置、方法、およびシステムを提供する。
・・・
【0024】
PCRによるポリヌクレオチド増幅を、ここで最も詳細に説明するが、それらを用いる装置および方法を、さまざまな他のポリヌクレオチド増幅反応およびリガンド結合アッセイに用いてもよい。・・・
【0033】
サンプル処理装置10は、ここで処理アレイ20と呼ばれる、相互連結された室および他のフィーチャのグループをいくつか含む。1つの例示的な処理アレイ20が、図2の拡大上面図に示されている。
【0034】
サンプル処理装置10の各処理アレイ20は、入力室30、一次処理室40、二次処理室60、および出力室80を含む、いくつかの共通構成要素を含む。本発明によるサンプル処理装置内の処理アレイは、これらの構成要素の一部のみを含んでもよいことが理解されるべきである。たとえば、処理アレイは、より単純な1つの形態で、入力室、一次処理室、および出力室のみを含んでもよい。
・・・
【0036】
本発明のサンプル処理装置において、典型的には、入力室30が、入力室30と同じ処理アレイ20内のどの処理室および出力室よりも、装置10の中心16の近くに配置されることが好ましいであろう。入力室30を中心16の近くに配置することによって、装置10が中心16の周りに回転することにより、入力室30内に配置された材料が、処理アレイ20の他の室の方に移動する。
【0037】
図2に示された処理アレイ20は、一次処理室40と二次処理室60との間に配置されたバルブ50、および二次処理室60と出力室80との間に配置されたバルブ70などの、付加的な任意の構成要素を含む。処理アレイ20のさまざまな構成要素は、サンプル材料、試薬、濾過材などを、処理アレイ20内のさまざまな室間で搬送できるように、チャネルによって連結されている。」

【図1】

【図2】


4 引用文献3の記載
引用文献3には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審にて付した。また、和訳として引用文献3のファミリー文献である特表2009-511059号の記載を用いた。)。
「TECHNICAL FIELD
[0002] This technology described herein relates to methods and devices for preparing polynucleotide-containing samples, and more particularly to methods and devices that utilize micro fluidic components for preparing samples for subsequent analysis of polynucleotides contained therein.
BACKGROUND
[0003] Many laboratory techniques involve detection, quantitative analysis, or amplification of polynucleotides. For example, the polymerase chain reaction (PCR) is a well-established routine laboratory practice for amplifying DNA in DNA-containing samples. Nevertheless, even routine practices would benefit from levels of automation that would increase throughput, improve consistency of analyses, and be simple to use, as well as save processing and analysis time for individual samples.
・・・
Multi-sample cartridge
[0057] The methods described herein may be practiced with a multi-sample cartridge 700 or 720, as shown in FIGs. 3A, 3B, and 3C respectively. A multi-sample cartridge may be used to convert a number of samples, including at least a first sample and a second sample, wherein the first sample and the second sample each contain one or more polynucleotides (which may be the same as, or different from, one another), into respective forms suitable for analyzing the one or more polynucleotides.
[0058] Multi-sample cartridge 700, in which micro fluidic circuitry 708, 710 is shown schematically, comprises at least a first microfluidic cartridge 704 and a second microfluidic cartridge 706, separably affixed to one another. Multi-sample cartridge 720 is another embodiment in which sample lanes such as 723 and 725 are grouped in pairs, and comprises at least a first microfluidic cartridge 724 having a first pair of sample lanes, and a second microfluidic cartridge 726 having a second pair of sample lanes, wherein the first and second microfluidic cartridges are separably affixed to one another. A sample lane is an independently controllable set of elements by which a sample can be prepared, according to methods described herein. A lane comprises at least a reagent inlet, a sample luer, a microfluidic component, and a waste chamber, as further described herein in connection with a microfluidic cartridge.」

(和訳)
「技術分野
[0002] この明細書で述べる技術は、ポリヌクレオチド含有サンプルを調製するための方法及び装置、さらに詳細には、サンプルに含まれるポリヌクレオチドの引き続く分析用のサンプルを調製するためのマイクロ流体構成要素を利用する方法及び装置に関する。
背景技術
[0003] 多くの実験技術はポリヌクレオチドの検出、定量分析、又は増幅を含む。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNA含有サンプル中のDNAを増幅するための確立した日常的実験プラクティスである。それにもかかわらず、日常的プラクティスでさえ、処理能力を高め、分析の一貫性を向上させ、かつ使い方が簡単であるのみならず、個々のサンプルの処理及び分析時間を節約するであろう自動化レベルから利益を得るだろう。
・・・
マルチサンプルカートリッジ
[0057] 本明細書で述べる方法は、それぞれ図3A、3B、及び3Cに示されるように、マルチサンプルカートリッジ700又は720を用いて実施される。マルチサンプルカートリッジを用いて、少なくとも第1のサンプルと第2のサンプル(ここで、前記第1のサンプルと第2のサンプルはそれぞれ1つ以上のポリヌクレオチド(相互に同一又は異なってよい)を含有する)を前記1つ以上のポリヌクレオチドの分析に適したそれぞれの形態に変換することができる。
[0058] マイクロ流体回路708、710の概要が示されているマルチサンプルカートリッジ700は、相互別々に添付されている、少なくとも第1のマイクロ流体カートリッジ704と第2のマイクロ流体カートリッジ706を含む。マルチサンプルカートリッジ720は別の実施形態であり、723と725のようなサンプルレーンが対になって群化し、かつ第1のサンプルレーン対を有する少なくとも第1のマイクロ流体カートリッジ724と、第2のサンプルレーン対を有する少なくとも第2のマイクロ流体カートリッジ724とを含む、前記第1及び第2のマイクロ流体カートリッジは相互別々に添付されている。サンプルレーンは、本明細書で述べる方法でサンプルを調製できる、独立して制御可能な一組の要素である。レーンは、少なくとも試薬入口、サンプルルアー、マイクロ流体構成要素、及び廃棄物チャンバーを含む。このことは、マイクロ流体カートリッジと関連して本明細書でさらに述べる。」

【図3A】


5 引用文献2,3の記載事項
上記引用文献2,3の記載から、「PCRによるポリヌクレオチド増幅を行うサンプルの処理装置において、サンプルの処理を行うレーンを複数設け、複数のサンプルを処理すること」は、本願の優先日前に周知の事項であったと認められる。

第6 対比
1 引用発明の「マイクロ流体プロセッサ」は、本願発明1の「マイクロ流体カートリッジ」に相当する。

2 本願発明1の「マイクロ流体ネットワーク」に関する構成について
(1)引用発明の「PCRのサンプルを受け入れるための入り口1、2」は、本願発明1の「サンプルを受入れるように構成された入口」に相当する。

(2)引用発明の「通気口3」は、本願発明1の「通気部」に相当する。

(3)引用発明の「反応領域156」は、(引1f)【0203】の「ステップ158は、バルブ1とバルブ2を閉じることによって、反応領域156を隔離する」という記載から、「バルブ」により隔離することができる領域であり、そのため「チャンバ」にあたる領域といえる。よって、引用発明の「反応領域156」は、本願発明1の「増幅反応チャンバ」に相当する。

(4)引用発明の「流路1」、「流路3」及び「流路4」を合わせた流路は、「入り口1からバルブ5を通って」「反応領域156に通じ」ていて、また、「流路2」、「流路3」及び「流路4」を合わせた流路は、「入り口2からバルブ5を通って」「反応領域156に通じ」ている。そのため、引用発明の「バルブ5」が本願発明1の「第1のバルブ」に相当し、また、引用発明の「流路1」、「流路3」及び「流路4」を合わせた流路、及び、「流路2」、「流路3」及び「流路4」を合わせた流路が、本願発明1の「入口」から「第1のバルブを通って」「増幅反応チャンバに通じる第1のチャネル」に相当する。

(5)引用発明の「流路5」は、「反応領域156からバルブ6を通って通気口3に通じ」ている。そのため、引用発明の「バルブ6」が本願発明1の「第2のバルブ」に相当し、また、引用発明の「流路5」が本願発明1の「増幅反応チャンバ」から「第2のバルブを通って」「通気部に通じる第2のチャネル」に相当する。

(6)引用発明において、「流路1、流路3及び流路4は、入り口1からバルブ5を通って反応/検出1の反応領域156に通じ、流路2、流路3及び流路4は、入り口2からバルブ5を通って反応/検出1の反応領域156に通じ、流路5は、反応/検出1の反応領域156からバルブ6を通って通気口3に通じ」ているのであるから、引用発明の「入り口1、2」と、「バルブ5」及び「バルブ6」と、「反応領域156」と、「通気口3」と、「流路1」、「流路3」及び「流路4」を合わせた流路、及び、「流路2」、「流路3」及び「流路4」を合わせた流路と、「流路5」とは、「互いに流体連通した状態」にあるといえる。

(7)引用発明の「バルブ」は、該「バルブ」が有する「プラグ」が「流路をブロックする」ことで作用するから、「プラグ」は「流路」と共通する平面内になくてはならず、そのため引用発明の「バルブ5」と「流路4」は共通する平面内にあり、「バルブ6」と「流路5」は共通する平面内にあるといえる。さらに、引用文献1には各「流路」を異なる層に設けたり、傾けて設けたりするという記載はないことから、引用発明の「流路1?5」は共通する平面内にあるといえる。そのため、引用発明の「バルブ5」及び「バルブ6」は、「流路1」?「流路4」及び「流路5」と共通する平面内にあるといえる。

(8)引用発明は、本願発明1の「サンプルを受入れるように構成された入口」と、「第1のバルブ」及び「第2のバルブ」と、「増幅反応チャンバ」と、「通気部」と、入口」から「第1のバルブを通って」「増幅反応チャンバに通じる第1のチャネル」と、「増幅反応チャンバ」から「第2のバルブを通って」「通気部に通じる第2のチャネル」にそれぞれ相当する構成を、「互いに流体連通した状態」で有しており、これらが本願発明1の「マイクロ流体ネットワーク」に相当する。

3 本願発明1の「バルブ」に関する構成について
(1)引用発明の「プラグ」は「低溶融点で不活性材料」からなり、「加熱器の制御により」「溶融」するから、本願発明1の「加熱時に溶融する温度応答性物質」に相当する。

(2)引用発明の「凝固されたプラグ」が「流路をブロック」することは、本願発明1の「温度応答性物質」が「チャネル」を「シール」することに相当する。

(3)引用発明の「ガス貯蔵器」は、本願発明1の「ガスポケット」に相当する。

(4)(引1d)【0170】の「マイクロバルブは、例えば、加熱器HTR1・・・とともに、ガス貯蔵器75を含む圧力生成器を有している。」、及び、【0173】の「加熱器HTR1を、十分なガス圧力が溶融したプラグを出口流路77から制御された流路78へ移動するために生成される時間、温度T_(1)に制御する。」という記載から、引用発明の「バルブ」において「ガス貯蔵器」の「ガス」の加熱により「プラグ」が移動しているから、「ガス貯蔵器」と「プラグ」は「ガス連通」しているといえる。

(5)引用発明における「バルブ」に関する記載は、各「バルブ1?6」について共通する構成について述べたものであるから、上記(1)?(4)にて指摘した点は、「バルブ5」及び「バルブ6」について当てはまる。よって、引用発明の「バルブ5」及び「バルブ6」は、本願発明1の「第1のバルブ」及び「第2のバルブは各々、加熱時に溶融する温度応答性物質を含み、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質はそれぞれ、」「第1のチャネル」及び「第2のチャネルをシールし、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、ガスポケットを有し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットはそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質とガス連通」するという構成を備えるといえる。

4 本願発明1の「単一の基体」に関する構成について
(1)まず、本願発明1の「単一の基体」について検討する。
ア 上記「第4」にて述べたように、当審拒絶理由では、理由1,3として、以下の概略の拒絶理由を通知した。
『「単一」の「基体」の意味として、(1)単一の材料で、射出成形等により一体的に形成された基体の意味、(2)基体全体が単一の材料から構成されているが、複数の構成部分を結合して最終的に一体の基体として形成された基体の意味、(3)第1の基体、第2の基体・・・というように、複数の基体を有するのではなく、単に一つの基体のみであるという意味、などが考えられるが、これらのいずれを意味するのか、又はこれら以外を意味するのか、明確に把握することができない。』
イ これに対し、請求人は令和2年10月13日付け意見書において、「(3)単一の基体に関する理由について」として以下の様に回答した。
『請求項1に記載された「単一」の「基体」は、段落[0182]に記載されているように、複数の層を有していてもよいし、段落[0203]に記載されているように射出成形等により一体成形されてもよいものであり、例えば、一方に限定されるわけではありません。』
ウ 上記の当審拒絶理由に対する請求人の回答より、本願発明1の「単一の基体」は、1つの層のみからなる「基体」だけではなく、複数の層から構成されていても良い1つの「基体」とみなせるものも含むものであると理解できる。また、そのような理解は、本願発明1の「単一の基体」という文言の語義と反するものではない。

(2)引用発明の「マイクロ流体プロセッサ」は、「流路が設けられたトッププレート152、及び、トッププレート152に結合された底プレート155」からなるところ、「トッププレート152」及び「底プレート155」は「結合され」て1つの板状部材となっていることから、引用発明の「トッププレート152」と「底プレート155」とが「結合され」た1つの板状部材は、本願発明1の「単一の基体」に相当するといえる。

(3)上記「2」の(8)で述べたように、引用発明は本願発明1の「マイクロ流体ネットワーク」に相当する構成を有しており、また、引用発明の「入り口1、2」から「通気口3」まで通じる「流路1?5」は「サンプル」が移動するレーンであるといえるから、引用発明は本願発明1の「サンプルレーン」に相当する構成を有し、当該「サンプルレーン」に相当する構成は本願発明1の「マイクロ流体ネットワーク」に相当する構成を有するといえる。

(4)引用発明の「マイクロ流体プロセッサ」は本願発明1の「マイクロ流体ネットワーク」に相当する構成を有しており、当該構成は、「反応領域156」、「入り口1,2」及び「バルブ5」、「バルブ6」を含んでいる。また、引用発明の「マイクロ流体プロセッサ」は「流路が設けられたトッププレート152、及び、トッププレート152に結合された底プレート155」からなる。そうすると、引用発明における本願発明1の「マイクロ流体ネットワーク」に相当する構成をなす各部材は「トッププレート152」、及び、「トッププレート152に結合された底プレート155」からなる1つの板状部材内に構成されるといえる。そのため、引用発明は、本願発明1の「増幅反応チャンバ」、「入口、及び前記増幅反応チャンバを隔離する」「第1のバルブ」及び「第2のバルブを含む」「マイクロ流体ネットワーク」は、「単一の基体内に構成される」という構成を備えている。

5 以上のことから、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違あるいは一応相違する。
【一致点】
「サンプルの増幅反応を行うためのマイクロ流体カートリッジであって、
前記マイクロ流体カートリッジ用の単一の基体を有し、
前記単一の基体は、サンプルレーンを有し、前記サンプルレーンは、マイクロ流体ネットワークを有し、
前記マイクロ流体ネットワークは、ポリヌクレオチド含有サンプルを受入れるように構成された入口と、第1のバルブ及び第2のバルブと、増幅反応チャンバと、通気部と、前記入口から前記第1のバルブを通って前記増幅反応チャンバに通じる第1のチャネルと、前記増幅反応チャンバから前記第2のバルブを通って前記通気部に通じる第2のチャネルとを、互いに流体連通した状態で有し、
前記マイクロ流体ネットワークにおいて、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルと共通する平面内にあり、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、加熱時に溶融する温度応答性物質を含み、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質はそれぞれ、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルをシールし、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは各々、ガスポケットを有し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブのガスポケットはそれぞれ、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの温度応答性物質とガス連通し、
前記増幅反応チャンバ、前記入口、及び前記増幅反応チャンバを隔離する前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを含む前記マイクロ流体ネットワークは、前記単一の基体内に構成される、マイクロ流体カートリッジ。」

【相違点1】
本願発明1において「増幅反応」が行われる対象の「サンプル」は「ポリヌクレオチド含有サンプル」であるのに対し、引用発明の「サンプル」は「ポリヌクレオチド含有」のものであるかが不明である点。

【相違点2】
本願発明1は「複数の」「サンプルの増幅反応」を行うものであり、「単一の基体」が「複数のサンプルレーンを有し、前記複数のサンプルレーンの各々は、マイクロ流体ネットワークを有」し、「マイクロ流体ネットワークの各々は、前記単一の基体内に構成される」のに対し、引用発明の「サンプル」及び「サンプルレーン」は複数ではなく、またそれ故、「サンプルレーン」が「マイクロ流体ネットワークを有」するという構成、及び、「マイクロ流体ネットワーク」が「前記単一の基体内に構成される」という構成は有するものの「複数のサンプルレーンの各々」が「マイクロ流体ネットワークを有」するという構成、及び、「マイクロ流体ネットワークの各々」が「前記単一の基体内に構成される」という構成(下線は当審にて付した。)を有しない点。

第7 判断
上記相違点について検討する。
1 相違点1について
引用発明の「サンプル」は「PCRのサンプル」であるところ、例えば引用文献2の【0024】の「PCRによるポリヌクレオチド増幅」という記載や、引用文献3の[0003]の「多くの実験技術はポリヌクレオチドの検出、定量分析、又は増幅を含む。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNA含有サンプル中のDNAを増幅するための確立した日常的実験プラクティスである。」という記載に示されるように、一般的に「PCRのサンプル」はDNAを構成する「ポリヌクレオチド」を含有するサンプルである。
そのため、引用発明の「PCRのサンプル」は「ポリヌクレオチド含有サンプル」であると解せるから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

2 相違点2について
上記「第5」の「5」において述べたように、「PCRによるポリヌクレオチド増幅を行うサンプルの処理装置において、サンプルの処理を行うレーンを複数設け、複数のサンプルを処理すること」は、本願の優先日前に周知の事項である。
そして、引用発明の「マイクロ流体プロセッサ」において「入り口1、2」、「バルブ5」、「バルブ6」、「反応領域156」、「通気口3」、「流路1?5」を含む、本願発明1の「サンプルレーン」に相当する構成を複数設けることは、より多くのサンプルを解析するために当業者が容易に想到しうることである。この時、引用発明は「複数のポリヌクレオチド含有サンプルの増幅反応を行うための」ものとなり、また、「複数のサンプルレーンの各々」が「マイクロ流体ネットワークを有」するという構成、及び、「マイクロ流体ネットワークの各々」が「前記単一の基体内に構成される」という構成を有することとなる。

第8 請求人の主張について
請求人は令和2年10月13日付け意見書にて、「(4)引用文献1(特表2004-536689号公報)に記載された発明において複数のサンプルレーンを有するように変更することに阻害要因があること」として、以下の様に主張している。
「引用文献1の図1及び段落[0085]を参照すると、電気信号または光信号に関するリード線及び外部コネクタが、コネクタ10におけるマイクロ流体プロセッサの終端まで延びています。また、図3A及び段落[0130]を参照すると、マイクロ流体プロセッサ20は、標準化された大きさ、形状、及び電気的及び光学的コネクタ21を含む標準型の物理構成を有しており、電気的光学的コネクタ21は、長方形のマイクロ流体プロセッサ20の3つの端に沿って配置されています。マイクロ流体プロセッサ20は、その接点(電気的及び光学的コネクタ)21と接続するために標準化された電気的及び光学的コネクタ25を有するインタフェースハードウェア、即ち、データ収集(DAQ)ボード26のレセプタクルに着脱されます。
引用文献1には複数のサンプルレーンが記載されていないので、DAQボード26は、単一のサンプルレーンのために作られており、仮にマイクロ流体プロセッサを、複数のサンプルレーンを含むように変更すれば、DAQボード26に接続できなくなります。加えて、仮にマイクロ流体プロセッサを、複数のサンプルレーンを含むように変更しようとすると、複数のサンプルレーンのための電気的及び光学的コネクタを長方形のマイクロ流体プロセッサの3つの端に沿ってどのように配置すればよいか、当業者は引用文献1から容易に想到し得ないと考えます。
従って、引用文献1に記載された発明において複数のサンプルレーンを有するように変更することには阻害要因があると考えます。」
しかし、請求人が挙げる引用文献1の【0085】,【0130】,【図1】,【図3A】等に記載される構成は、「マイクロ流体プロセッサ」が1つの「サンプルレーン」に相当する構成を設けた場合について説明したものであって、「サンプルレーン」に相当する構成を複数設ける場合は「リード線」、「接点21」、「入力ポート22」、「コネクタ25」といった部材の個数や配置を「サンプルレーン」に相当する構成の数に合わせて適宜設計することができるものである。また引用文献1において「マイクロ流体プロセッサ」が1つの「サンプルレーン」に相当する構成を設けた場合について説明した記載は、「サンプルレーン」に相当する構成を複数設ける場合の設計を妨げるものでもない。
よって、「引用文献1に記載された発明において複数のサンプルレーンを有するように変更することには阻害要因がある」とする請求人の主張は採用できない。

第9 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-02-17 
結審通知日 2021-02-18 
審決日 2021-03-03 
出願番号 特願2017-106562(P2017-106562)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01N)
P 1 8・ 536- WZ (G01N)
P 1 8・ 537- WZ (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 保  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 磯野 光司
森 竜介
発明の名称 マイクロ流体カートリッジ用の基体  
代理人 須田 洋之  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 山本 泰史  
代理人 松下 満  
代理人 渡邊 徹  
代理人 倉澤 伊知郎  
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