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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1376170
審判番号 不服2020-8116  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-11 
確定日 2021-07-15 
事件の表示 特願2015-159812「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月16日出願公開、特開2017- 38019〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成27年8月13日の出願であって、平成31年4月18日付け拒絶理由通知に対する応答時、令和1年6月20日に手続補正がなされ、同年11月11日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時、令和2年1月20日に手続補正がなされたが、当該手続補正について、同年3月26日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、同年6月11日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされ、当審の同年12月25日付け拒絶理由通知に対する応答時、令和3年3月3日に手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明は、令和3年3月3日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
半導体素子を収納するケースと、
前記ケースの側面を貫通して、前記ケースの底面の主面に埋設され、露出面が前記主面と同一平面を成し、一端部が前記ケースの外部に延伸し、他端部が前記ケースの内部に位置する第1配線パターンと、
前記主面に、前記他端部と隙間を設けて隣接して埋設され、露出面が前記主面と同一平面を成す第2配線パターンと、
前記第1配線パターンの前記他端部に導電性接着剤を介して配置された電子部品と、
前記主面の前記隙間に、前記主面に対して対向する側に突出して配置され、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの空間距離に基づく高さであるブロック部と、
前記ケース内を封止する封止部材と、
を有し、
前記ブロック部は、一端が前記ケースの内面に接して、前記ケースの内部に延伸し、前記他端部に沿って前記他端部の全周囲を囲い、他端が前記ケースの内面に接している、
半導体装置。」

3.拒絶の理由の概要
本願の請求項1に対して、令和2年12月25日付けで当審が通知した拒絶理由は次のとおりのものである。
本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記引用文献1に記載された発明及び周知の技術事項(下記引用文献2ないし4に記載された技術事項)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2014-157925号公報
引用文献2:特開2000-183468号公報
引用文献3:米国特許出願公開第2012/0061819号明細書
引用文献4:特開2001-210764号公報

4.引用文献の記載および引用発明
上記引用文献1(特開2014-157925号公報)には、「半導体装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
(1)「【請求項1】
少なくとも一個の半導体素子が搭載された絶縁回路基板と、
該絶縁回路基板が取り付けられた底面部及び該底面部の周りを囲む側面部を有する樹脂ケースと、
該樹脂ケースと一体的に成型され、該樹脂ケース内の底面部の表面に位置するように該絶縁回路基板の周囲に設けられるとともに、部分的に該樹脂ケース内から樹脂ケース外へ延びるリードと、
該樹脂ケース内に充填された封止樹脂と、
を備え、
該樹脂ケース内の底面部の周縁に沿って、該リードの両側に、凹部が形成されていることを特徴とする半導体装置。」

(2)「【0014】
本発明の半導体装置の実施形態を、図面を用いて具体的に説明する。
本発明の一実施形態の半導体装置10を図1に平面図で、図2に図1のII-II線で切断した断面図で示す。本発明の一実施形態の半導体装置10は、パワー半導体モジュールとして構成されたものであり、複数の半導体素子11A、11Bが、絶縁回路基板12上に搭載されている。半導体素子11A、11Bは、それぞれIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ;Insulated Gate Bipolar Transistor)及びFWD(フリーホイーリングダイオード;Free Wheeling Diode)である。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0016】
半導体素子11A、11Bが搭載された絶縁回路基板12は、樹脂ケース13に収容されている。樹脂ケース13内には、リード14が設けられている。このリード14に、半導体素子11A、11Bや絶縁回路基板12の導体層12bが、ボンディングワイヤによって電気的に接続されている。図1、図2では、本発明の理解を容易にするために、ボンディングワイヤの記載を省略している。
このリード14は、金型を用いたトランスファー成型によって樹脂ケース13内の底面部13aの表面と同一平面上に位置するように樹脂ケース13と一体的に成型されている。図3に、リードフレーム15を一体成型された樹脂ケース13を示す。リードフレーム15のリード14の一部は樹脂ケース13の側面部13bを貫通して樹脂ケース13内から樹脂ケース13外まで延出している。リードフレーム15は金型にセットされ、トランスファー成型により樹脂ケース13と一体成型される。リードフレーム15のタイバー15aは、成型後に切除される。
【0017】
樹脂ケース13は、底面部13aと、この底面部13aの周りを囲む側面部13bとを有する概略直方体の箱型形状を有している。樹脂ケース13は、好適にはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)から選ばれる1種の樹脂よりなる。樹脂ケース13の底面部13aには開口部13cが設けられていて(図3参照)、この開口部13cに絶縁回路基板12が緊密に取り付けられている。
また、半導体素子11A、11Bにより構成される主回路を制御するための制御回路チップ16A、16Bがリード14上に設けられている。
【0018】
また、ボンディングワイヤが配線された後の樹脂ケース13内に、図2の断面図に示すようにエポキシ樹脂、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等からなる封止樹脂17が注入、固化されて、この樹脂ケース13内の半導体チップ11A、11B、リード14や制御回路チップ16A、16B等を保護している。なお、図1では、本発明の理解を容易にするために、封止樹脂17を除いた樹脂ケース13の内部を図示している。」

(3)「



上記(1)ないし(3)から以下のことがいえる。
・引用文献1に記載の「半導体装置」は、上記(1)、(2)の記載事項、(3)の図1、及び図2によれば、半導体素子11A、11Bが搭載された絶縁回路基板12を収容する樹脂ケース13と、樹脂ケース13内の底面部13aの表面と同一平面上に位置するように樹脂ケース13と一体的に成型され、絶縁回路基板12の周囲に設けられるとともに、部分的に樹脂ケース13の側面部13bを貫通して樹脂ケース13内から樹脂ケース13外まで延出する複数のリードと、樹脂ケース13内に充填された封止樹脂17と、を備えるものである。
・上記(2)の段落【0017】の記載事項によれば、複数の制御回路チップ16A、16Bがリード14上に設けられてなるものである。
そして、上記(3)の図1によれば、符号「16B」で示されている部分にはリードが図示されており(制御回路チップの外形は省略されていると認められる。)、当該リードは、一端部が樹脂ケース13外に延出し、他端部は樹脂ケース13内に位置しており、当該他端部上に「制御回路チップ16B」が配置されていることを見て取ることができる。そして、さらに当該リードの他端部と隙間を設けて隣接(図1でいえば、樹脂ケース13の側面部13bがある側を除く左右両側と側面部13bがある側と反対側とに隣接)して他のリードが設けられていることも見て取れる。

以上のことから、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「半導体素子が搭載された絶縁回路基板を収容する樹脂ケースと、
前記樹脂ケース内の底面部の表面と同一平面上に位置するように前記樹脂ケースと一体的に成型され、前記絶縁回路基板の周囲に設けられるとともに、部分的に前記樹脂ケースの側面部を貫通して前記樹脂ケース内から前記樹脂ケース外まで延出する複数のリードと、
前記リード上に設けられた複数の制御回路チップと、
前記樹脂ケース内に充填された封止樹脂と、を備え、
前記複数のリードには、一端部が前記樹脂ケース外に延出し、他端部が前記樹脂ケース内に位置するとともにその他端部上に前記複数の制御回路チップのうちの一つが配置されてなるリードと、当該リードの他端部と隙間を設けて前記樹脂ケースの側面部がある側を除く左右両側と当該側面部がある側と反対側とに隣接して設けられた他のリードとが含まれている、半導体装置。」

5.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「半導体素子」、「樹脂ケース」は、それぞれ本願発明でいう「半導体素子」、「ケース」に相当し、引用発明における「樹脂ケース」にあっても、半導体素子を絶縁回路基板とともに収納してなるものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「半導体素子を収納するケースと」を有するものである点で一致する。

(2)引用発明における「複数のリード」は、樹脂ケース内の底面部の表面と同一平面上に位置するように樹脂ケースと一体的に成型されてなるものであり、露出面がケース底面部の主面と同一平面を成すように当該主面に埋設されているといえるものである(引用文献1の図2も参照)。そして、かかる複数のリードのうちの「一端部が前記樹脂ケース外に延出し、他端部が前記樹脂ケース内に位置するとともに、その他端部上に前記複数の制御回路チップのうちの一つが配置されてなるリード」は、樹脂ケースの側面部を貫通して一端部が樹脂ケースの外部に延出(延伸)し、他端部が樹脂ケースの内部に位置するものであるから、本願発明でいう「第1配線パターン」に相当し、また、「当該リードの他端部と隙間を設けて隣接して設けられた他のリード」が、本願発明でいう「第2配線パターン」に相当するといえるものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記ケースの側面を貫通して、前記ケースの底面の主面に埋設され、露出面が前記主面と同一平面を成し、一端部が前記ケースの外部に延伸し、他端部が前記ケースの内部に位置する第1配線パターンと、前記主面に、前記他端部と隙間を設けて隣接して埋設され、露出面が前記主面と同一平面を成す第2配線パターンと」を有するものである点で一致する。

(3)引用発明におけるリードの他端部上に配置されてなる「制御回路チップ」が本願発明でいう「電子部品」に相当し、本願発明と引用発明とは「前記第1配線パターンの前記他端部に配置された電子部品と」を有するものである点で共通する。
ただし、本願発明では第1配線パターンの他端部に「導電性接着剤を介して」電子部品が配置される旨特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点で相違するといえる。

(4)引用発明における樹脂ケース内に充填された「封止樹脂」は本願発明でいう「封止部材」に相当し、本願発明と引用発明とは「前記ケース内を封止する封止部材」ものである点で一致する。

(5)本願発明では「前記主面の前記隙間に、前記主面に対して対向する側に突出して配置され、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの空間距離に基づく高さであるブロック部と」を有し、「前記ブロック部は、一端が前記ケースの内面に接して、前記ケースの内部に延伸し、前記他端部に沿って前記他端部の全周囲を囲い、他端が前記ケースの内面に接している」のに対し、引用発明ではそのようなブロック部を有していない点で相違する。

(6)そして、引用発明における「半導体装置」は、本願発明でいう「半導体装置」に相当するものである。

よって上記(1)ないし(4)によれば、本願発明と引用発明とは、
「半導体素子を収納するケースと、
前記ケースの側面を貫通して、前記ケースの底面の主面に埋設され、露出面が前記主面と同一平面を成し、一端部が前記ケースの外部に延伸し、他端部が前記ケースの内部に位置する第1配線パターンと、
前記主面に、前記他端部と隙間を設けて隣接して埋設され、露出面が前記主面と同一平面を成す第2配線パターンと、
前記第1配線パターンの前記他端部に配置された電子部品と、
前記ケース内を封止する封止部材と、
を有する半導体装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では第1配線パターンの他端部に「導電性接着剤を介して」電子部品が配置される旨特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。

[相違点2]
本願発明では「前記主面の前記隙間に、前記主面に対して対向する側に突出して配置され、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの空間距離に基づく高さであるブロック部と」を有し、「前記ブロック部は、一端が前記ケースの内面に接して、前記ケースの内部に延伸し、前記他端部に沿って前記他端部の全周囲を囲い、他端が前記ケースの内面に接している」のに対し、引用発明ではそのようなブロック部を有していない点。

6.判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用発明においても、制御回路チップは何らかの接着(接合)部材を介してリードの他端部上に配置されるのが普通であるといえるところ、例えば当審の拒絶の理由に引用された特開2013-258321号公報に記載(段落【0045】、図2を参照)のように、チップと配線パターンとの電気的な接続も兼ねて、チップを銀ペーストなどの接合材を介して配線パターン上に配置することは周知といえる技術事項である。よって、引用発明においても、制御回路チップを銀ペーストなどの接合材、すなわち導電性接着剤を介してリードの他端部上に配置するようにし、相違点1に係る構成とすることは当業者であれば適宜なし得ることである。

[相違点2]について
例えば上記引用文献2(段落【0024】、図1を参照)、上記引用文献3(段落[0028]?[0030]、FIG1A、FIG1Bを参照)、及び上記引用文献4(段落【0043】、図1(c)を参照)に記載のように、隙間を設けて隣接した2つのリードなどの導電パターン間の絶縁距離(沿面距離)を長くして電気的絶縁性を確保するために、当該導電パターン間にパターンに沿って所定高さのブロック部(引用文献2の「リブ11」、引用文献3の「protruding element 17」、引用文献4の「絶縁領域5における絶縁層2の突出部分」が相当)を設けることは周知の技術事項である。ここで、本願発明では「ブロック部」について、2つの配線パターン間の「空間距離に基づく高さ」であるとしているが、その高さに基づく分だけ絶縁距離(沿面距離)が長くなることを意味しているにすぎない。そして、引用発明においても、隙間を設けて隣接して配置された関係にある2つのリード同士は電気的に独立したものであると認められ、当該2つのリード間の電気的絶縁性の確保は当然望まれることであるから、「他端部が樹脂ケース内に位置するとともに、その他端部上に複数の制御回路チップのうちの一つが配置されてなるリード」と「当該リードの他端部と隙間を設けて前記樹脂ケースの側面部がある側を除く左右両側と当該側面部がある側と反対側とに隣接して設けられた他のリード」とのすべての隙間に沿って上記周知の技術事項を採用し、相違点2に係る構成とすることは当業者であれば容易になし得ることである。

そして、上記各相違点を総合勘案しても、本願発明が奏する効果は、引用発明及び周知の技術事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。

7.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-05-07 
結審通知日 2021-05-11 
審決日 2021-05-25 
出願番号 特願2015-159812(P2015-159812)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 雅博木下 直哉  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 井上 信一
永井 啓司
発明の名称 半導体装置  
代理人 特許業務法人扶桑国際特許事務所  
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