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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1376173
審判番号 不服2020-10357  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-27 
確定日 2021-07-15 
事件の表示 特願2017-32004号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年8月30日出願公開、特開2018-134304号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成29年2月23日の出願であって、平成31年3月20日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年5月27日に意見書および手続補正書が提出され、さらに、同年9月20日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月2日に意見書および手続補正書が提出されたところ、令和2年4月13日付け(送達日:同年4月28日)で、令和1年12月2日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年7月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年7月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により、令和1年5月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
画像表示手段と可動役物とを含む演出手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されたことを報知する前記可動役物の動作をともなう救済成功演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されなかったことを報知する救済失敗演出と、前記救済成功演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段と、
前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後に前記特定予告演出が実行されることを可能とし、当該ハズレリーチ演出の終了前、および、前記救済失敗演出を実行させる場合に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段と
を具備することを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和2年7月27日付け)における
「始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
画像表示手段と可動役物とを含む演出手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されたことを報知する前記可動役物の動作をともなう救済成功演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されなかったことを報知する救済失敗演出と、前記救済成功演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段と、
前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において前記第1の割合よりも高い第2の割合により前記特定予告演出が実行されることを可能とし、当該ハズレリーチ演出の終了前、および、前記救済失敗演出を実行させる場合に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段と
を具備することを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2-1 補正の目的および新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合」の「前記特定予告演出」の「実行」に関して、「当該ハズレリーチ演出の終了後に前記特定予告演出が実行される」とあったものを「当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において前記第1の割合よりも高い第2の割合により前記特定予告演出が実行される」と限定するものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【0404】?【0410】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Gは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、
C 前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 画像表示手段と可動役物とを含む演出手段と、
E 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されたことを報知する前記可動役物の動作をともなう救済成功演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されなかったことを報知する救済失敗演出と、前記救済成功演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段と、
F 前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において前記第1の割合よりも高い第2の割合により前記特定予告演出が実行されることを可能とし、当該ハズレリーチ演出の終了前、および、前記救済失敗演出を実行させる場合に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段と
G を具備することを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-209268号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特別遊技の実行有無に関する演出について新たな演出を導入できれば、遊技の興趣向上が見込まれる。遊技機において、遊技への飽きを抑制して楽しんで遊技を行ってもらうために、新たな演出及び方法の導入が重要であることは言うまでもない。
【0006】
そこで本発明は、特別遊技の示唆に関連する演出を通じて遊技の興趣向上に寄与する遊
技機を提供することを目的とする。」

イ 「【0016】
遊技盤101の略中央部分には、液晶ディスプレイパネル等から成る画像表示部104が配置される。画像表示部104は各種の演出画像を表示する。例えば、画像表示部104は、特別図柄抽選(大当たり抽選とも称される)の抽選結果を表すための特別図柄に対応して設けられた装飾図柄を表示すると共に、遊技機100が特別図柄抽選の抽選結果を示すまでに行う演出に関する画像を表示する。画像表示部104は、普通図柄抽選の抽選結果を表すための図柄(普通装飾図柄)などをも表示して良い。」

ウ 「【0025】
演出に用いられる可動役物は、遊技盤101上にも設けられている。本実施形態において遊技盤101上には盤可動役物130が設けられる。例えば、盤可動役物130を用いた演出の実行時において、可動役物130は、図1に示した位置から下方へスライドして画像表示部104の前面へ進出し、それ以外のときは図示のように画像表示部104の上部に設けられた収納スペースに退避している。
・・・
【0027】
特別図柄として第1及び第2特別図柄が存在する。特別図柄表示部201は、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示部201a及び第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示部201bを有する。保留表示部203は、表示部203a、203b及び203cを有する。第1特別図柄抽選の権利(後述の特図判定用情報)は、所定数(例えば4)を上限として保留され、その保留された権利の個数が保留情報数U1として表示部203aに表示される。第2特別図柄抽選の権利(後述の特図判定用情報)は、所定数(例えば4)を上限として保留され、その保留された権利の個数が保留情報数U2として表示部203bに表示される。遊技球がゲート108を通過したことによる普通図柄抽選の権利は、所定数(例えば4)を上限として保留され、その保留された権利の個数が保留情報数U3として表示部203cに表示される。
・・・
【0029】
<<遊技機の基本動作>>
次に、遊技機100の基本動作について説明する。遊技機100は、第1又は第2始動条件が成立すると、その成立タイミングに応じた特図判定用情報を取得し、特図判定用情報に基づく特別図柄抽選(大当たり抽選)を行う。特図判定用情報の取得は、特別図柄抽選の権利の取得に相当する。特別図柄抽選では、大当たりに当選したか否か(大当たりに当選したか、或いはハズレであるか)が判定される。尚、大当たりの当選を大当たりの発生と表現することがある(後述の小当たりについても同様)。また、或る特図判定用情報が大当たりに当選していることを、当該特図判定用情報が大当たりであるなどと表現することもある(後述の小当たりについても同様)。第1特別図柄抽選をおこなった場合、遊技機100は、第1特別図柄表示部201aの第1特別図柄を変動表示させる。そして、この変動表示の開始から所定時間経過後に、第1特別図柄抽選の抽選結果を示す図柄で(即ち第1特別図柄抽選の抽選結果を示す態様で)第1特別図柄を停止表示させる。一方、第2特別図柄抽選をおこなった場合、遊技機100は、第2特別図柄表示部201bの第2特別図柄を変動表示させる。そして、この変動表示の開始から所定時間経過後に、第2特別図柄抽選の抽選結果を示す図柄で(即ち第2特別図柄抽選の抽選結果を示す態様で)第2特別図柄を停止表示させる。」

エ 「【0033】
大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させると、遊技機100は、大当たり遊技状態となる。大当たり遊技状態では、大入賞口111を開放させるラウンド遊技を、当選した大当たりの種類(図7参照)に応じたラウンド分(例えば16ラウンド分)実行する大当たり遊技が行われる。大入賞口111の開放中に遊技球が大入賞口111へ入賞すると、遊技機100は所定個数の賞球を払い出す。大当たり遊技状態は、大当たり遊技が終了することによって終了する。大当たり遊技では、大入賞口111への遊技球の入賞によって賞球を得られる機会が与えられるため、大当たり遊技は大入賞口111が開放されない遊技(例えば通常遊技状態における遊技)よりも遊技者にとって有利である、と言える。ここにおける有利とは、大入賞口111の開放に伴い、遊技者がより多くの賞球を得やすい(得られる賞球の期待値が大きい)ことを意味する。」

オ 「【0041】
?<<遊技機の内部構成>>図4を参照して、遊技機100の内部構成を説明する。図4は、遊技機100内の、制御に関わる部分のブロック図である。図4に示す如く、遊技機100に設けられた制御部400は、遊技の進行を制御する主制御部401と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部402と、演出内容を制御する演出制御部403とを備えている。制御部400の他、図4に示される各構成要素が遊技機100に設けられる。例えば、図3の主制御基板301、賞球制御基板302及び演出制御基板303により、夫々、図4の主制御部401、賞球制御部402及び演出制御部403が形成され、図3の出力端子基板305は図4の盤用外部情報端子基板491を含む。
【0042】
[1.主制御部]主制御部401は、CPU(Central Processing Unit)411と、ROM(Read Only Memory)412と、RAM(Random Access Memory)413と、不図示の入出力インターフェース(I/O)等を備えて構成される。主制御部401におけるCPU、ROM、RAMを、夫々、特に、メインCPU、メインROM、メインRAMとも呼ぶ。メインCPU411は、遊技の進行に関する各種プログラム等をメインROM412から読み出し、メインRAM413をワークエリアとして使用して、読み出したプログラムを実行する。図4に示す如く、メインROM412には、テーブルTAt、TZt、THt、FAt、FZt、FHt及びDKtが格納され、メインRAM413には、記憶領域413a?413jが設けられている。この他にも、様々なテーブルをメインROM412に格納しておくことができると共に、様々な記憶領域をメインRAM413に設けておくことができる。」

カ 「【0046】
また、主制御部401には、図2の情報表示部114内の各種表示部が接続される(但し、図4において表示部204及び205の図示は省略)。主制御部401は、特別図柄抽選の抽選結果に基づき第1特別図柄表示部201a又は第2特別図柄表示部201bの表示制御を行い、普通図柄抽選の抽選結果に基づき普通図柄表示部202の表示制御を行う。更に、主制御部401は、保留情報数U1、U2及びU3に基づき保留表示部203の表示内容を制御する。」

キ 「【0055】
[1-2-3.特別図柄処理]特別図柄処理を説明する(図5参照)。特別図柄処理において、メインCPU411は特図判定を実行する。特図判定は、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定から成る。上述の特別図柄抽選は、特図当たり判定及び特図図柄判定を含み、特図変動パターン判定を更に含むと考えても良い。故に、特図判定は特別図柄抽選を包含すると考えても良いし、特図判定と特別図柄抽選は互いに等価であると考えても良い。特別図柄処理において、メインCPU411は、特図判定用情報記憶領域413dに記憶されている特図判定用情報を用いて、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定を順次実行し、これらの判定結果を特図判定結果記憶領域413eに記憶させる。そして、特図変動パターン判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で(特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す態様で)特別図柄を停止させる。
【0056】
メインCPU411は、特別図柄の変動表示を開始する際、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定の判定結果を含む変動開始コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行開始を指示し、特別図柄の変動を停止する際、変動停止コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行終了を指示する。また、特図当たり判定の結果が大当たり又は小当たりの当選を示しているとき、メインCPU411は、変動停止コマンドに続きオープニングコマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し当たり演出の実行開始を指示し、大当たり遊技又は後述の小当たり遊技の終了時においてエンディングコマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し当たり演出の実行終了を指示する。RAM413に設定されたこれらのコマンドは、後述の出力処理(図5参照)において演出制御部403に出力される。
・・・
【0058】
特別図柄処理において、メインCPU411は、まず、メインROM412に記憶された特図当たり判定テーブルTAtと判定対象TTの特図当たり乱数との比較を伴う特図当たり判定を行う。」

ク 「【0063】
第1特別図柄についての特図当たり判定において(第1始動条件の成立に基づく特図当たり判定において)、大当たりに当選したとき、その大当たりが、特A、特B、特C、通A、通Bとなる割合は、夫々、65%、5%、5%、10%、15%である。第2第1始動条件の成立に基づく特別図柄についての特図当たり判定において(第2始動条件の成立に基づく特図当たり判定において)、大当たりに当選したとき、その大当たりが、特A、特B、通A、通Bとなる割合は、夫々、25%、50%、10%、25%である。第2特別図柄についての特図当たり判定において特Cの大当たりに当選することは無い。」

ケ 「【0081】
大入賞口処理では、特図判定の結果が大当たりの当選を示しているときに、大当たりの種類に応じた大入賞口開放パターンを用いて大入賞口111が開閉動作され、特図判定の結果が小当たりの当選を示しているときに、小当たり用の大入賞口開放パターンを用いて大入賞口111が開閉動作される。大入賞開放パターンテーブルDKtには、大入賞口111の開放態様を定義した大入賞口開放パターンが大当たりの種類ごとに格納されていると共に、小当たり用の大入賞口開放パターンが格納されている。メインCPU411は、テーブルDKtを参照して大入賞口処理を実現する。尚、テーブルDKtにおいて、特Cの大当たりに対する大入賞口開放パターンと、小当たり用の大入賞口開放パターンとを同一又は類似のパターンに設定しておくと良い。つまり、小当たりが発生したのか特Cの大当たりが発生したのかが判別不能又は判別困難となるように(換言すれば高確率遊技状態に移行せしめられるのか否かが判別不能又は判別困難となるように)、小当たり遊技における大入賞口111の開閉態様と、特Cの大当たり遊技における大入賞口111の開閉態様とを同一又は類似の開閉態様にしておくと良い。」

コ 「【0096】
[3.演出制御部]演出制御部403は、CPU431と、ROM432と、RAM433と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される(図4参照)。演出制御部403におけるCPU、ROM、RAMを、夫々、特に、サブCPU、サブROM、サブRAMとも呼ぶ。サブCPU431は、遊技機100が行う演出の制御に関する各種プログラムをサブROM432から読み出し、サブRAM433をワークエリアとして使用して、読み出したプログラムを実行する。」

サ 「【0154】
[変動演出パターンHEp_a16]図20を参照し、変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活失敗演出、ハズレ告知演出が、この順番で実行される。
【0155】
前段演出では、第1?第3装飾図柄(図20のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図20では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。その後、強リーチ演出では、遊技上の課題として、主人公キャラクタZRが敵キャラクタBを倒すという課題が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が実行される。
【0156】
変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、強リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタBに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a16のリーチハズレ示唆演出に含まれる。尚、リーチハズレ示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a16の強リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。
【0157】
変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活失敗演出が行なわれる。復活煽り演出及び復活失敗演出については後述する。その後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄を非ゾロ目の態様にて停止表示させる演出はハズレ告知演出に相当する。
【0158】
[変動演出パターンHEp_a26]図21を参照し、変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出、当たり告知演出が、この順番で実行される。
【0159】
前段演出では、第1?第3装飾図柄(図21のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図21では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。その後、強リーチ演出では、遊技上の課題として、主人公キャラクタZRが敵キャラクタBを倒すという課題が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が実行される。
【0160】
変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、強リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタBに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a26のリーチハズレ示唆演出に含まれる。尚、リーチハズレ示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a26の強リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。
【0161】
変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活成功演出が行なわれる。復活煽り演出及び復活成功演出については後述する。その後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様にて停止表示させる演出は当たり告知演出に相当する。」

シ 「【0167】
本実施形態において、復活煽り演出は、演出ボタン121を押下する操作の有無に関係なく実行される基本復活煽り演出と、演出ボタン121を押下する操作に応じて実行される追加復活煽り演出と、に大別される。
・・・
【0170】
追加復活煽り演出は、演出ボタン121を押下する操作(以下、ボタン操作という)に応じて実行される演出であり、ボタン操作が無い場合には、実行されない。即ち、変動演出パターンHEp_a16又はHEp_a26によるリーチハズレ示唆演出の後、復活失敗演出又は復活成功演出が行なわれる前において、ボタン操作が無い場合には基本復活煽り演出のみが行われ、ボタン操作が有る場合には基本復活煽り演出と追加復活煽り演出が行なわれる。ボタン操作が無いとは、演出ボタン121に対してボタン操作が入力されていないことを意味し、ボタン操作が有るとは、演出ボタン121に対してボタン操作が入力されていることを意味する。
・・・
【0172】
図25を参照し、追加復活煽り演出は、ボタン操作の入力に応じ盤可動役物130を基準位置P0及び中途位置P1間で移動させる演出(以下、盤可動役物130の部分作動演出という)を含む。部分作動演出は、例えば、盤可動役物130を基準位置P0から中途位置P1に移動させた後に速やかに基準位置P0に戻す演出である。この場合、追加復活煽り演出において、ボタン操作が1回入力されるごとに1回の部分作動演出が行なわれる。【0173】
復活成功演出は、盤可動役物130を作動位置P2にまで移動させる演出を含む(図21参照)。盤可動役物130を作動位置P2まで移動させた後、所定時間(例えば2秒)が経過すると、盤可動役物130が基準位置P0まで戻されて復活成功演出を終える。特に図示しないが、主人公キャラクタZRが立ち上がって敵キャラクタを倒す様子を示した動画像の表示が、復活成功演出に含まれていても良い。
【0174】
復活失敗演出は、主人公キャラクタZRが立ち上がることができない様子を示した動画像の表示を含む(図20参照)。復活失敗演出が行なわれるとき、盤可動役物130は基準位置P0に固定される。」

ス 「【0201】
[実施例EX2_4]
図31を参照し、実施例EX2_4を説明する。復活煽り演出を含む変動演出1200において、リーチ演出(弱リーチ演出又は強リーチ演出)を経て第1?第3装飾図柄が仮停止される期間は、第1仮停止期間とその後の第2仮停止期間に大別される。第2停止期間の後、第1?第3装飾図柄が本停止される期間である本停止期間が訪れる。第1?第3装飾図柄の本停止とは、第1?第3装飾図柄の仮停止とは異なり、第1?第3装飾図柄が完全に停止表示されている状態を指す。
・・・
【0204】
変動演出パターンHEp_16又はHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出とそれに続く復活失敗演出又は復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われても良いし、第2仮停止期間中にのみ行われても良いし(即ち例えば背景画像が第2背景画像から第1背景画像に変更されてから行われても良いし)、第1仮停止期間及び第2仮停止期間中に(即ち第1仮停止期間及び第2仮停止期間を跨いで)行われても良い。」

セ 「【0221】
[実施例EX4_4]実施例EX4_4を説明する。基本復活煽り演出は、判定対象TTとしての特図判定用情報1100が大当たりである場合にもハズレである場合にも実行され得るようにしつつ、追加復活煽り演出は、判定対象TTとしての特図判定用情報1100が大当たりである場合にのみ実行されるようにしても良い。これを第1実施形態に適用するには、変動演出パターンHEp_a16による変動演出(図20参照)の復活煽り演出では基本復活煽り演出のみを行うようにしてボタン操作があっても追加復活煽り演出を行わないようにすると良く、且つ、変動演出パターンHEp_a26による変動演出(図21参照)の復活煽り演出では第1実施形態で述べたように基本復活煽り演出を行いつつボタン操作に応じて追加復活煽り演出を追加実行すれば良い。」

ソ 引用発明
上記ア?セの記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?gは、本件補正発明のA?Gに対応させて当審判合議体にて付与した。)。
「a 遊技の進行を制御する主制御部401と、演出内容を制御する演出制御部403とを備えている遊技機100(【0041】)において、
主制御部401のCPU411は、第1始動条件又は第2始動条件の成立に基づいて、大当たり又は小当たりに当選したか否かの特図当たり判定を行い(【0029】、【0042】、【0056】、【0058】、【0063】)、

b メインCPU411は、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定から成る特図判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示部201a又は第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示部201bにおいて、特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で特別図柄を停止させ(【0027】、【0055】)、

c メインCPU411は、特図判定の結果が大当たりの当選を示しているときに、大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させ、大当たりの種類に応じた大入賞口開放パターンを用いて大入賞口111を開閉動作させる大入賞口処理を行い(【0033】、【0081】)、

d 遊技盤101の略中央部分には、液晶ディスプレイパネル等から成る画像表示部104が配置される(【0016】)と共に、遊技盤101上には盤可動役物130が設けられ(【0025】)、

e 演出制御部403のCPU431は、
変動演出パターンHEp_a16及びHEp_a26による変動演出1200では、強リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示を含むリーチハズレ示唆演出を画像表示部104において行い(【0096】、【0154】、【0156】、【0160】)、
変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行い、続いて復活成功演出を行い(【0161】)、
変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行い、続いて復活失敗演出を行い(【0157】)、
リーチハズレ示唆演出の後であって、復活失敗演出又は復活成功演出の前に行なわれる復活煽り演出は、演出ボタン121を押下する操作の有無に関係なく実行される基本復活煽り演出と、演出ボタン121を押下する操作に応じて実行される追加復活煽り演出と、に大別され(【0167】、【0170】)
復活成功演出は、盤可動役物130を作動位置P2にまで移動させる演出と、主人公キャラクタZRが立ち上がって敵キャラクタを倒す様子を示した動画像の表示を含み(【0173】)、
また、復活失敗演出は、主人公キャラクタZRが立ち上がることができない様子を示した動画像の表示を含むが、復活失敗演出が行なわれるとき、盤可動役物130は基準位置P0に固定され(【0174】)、
追加復活煽り演出は、ボタン操作の入力に応じ盤可動役物130を基準位置P0及び中途位置P1間で移動させる部分作動演出を含み(【0172】)、

f 復活煽り演出を含む変動演出1200において、リーチ演出を経て第1?第3装飾図柄が仮停止される期間は、第1仮停止期間とその後の第2仮停止期間に大別され(【0201】)、
変動演出パターンHEp_16又はHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出とそれに続く復活失敗演出又は復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われ(【0204】)、
変動演出パターンHEp_a16による変動演出の復活煽り演出では基本復活煽り演出のみを行うようにしてボタン操作があっても追加復活煽り演出を行わず、且つ、変動演出パターンHEp_a26による変動演出の復活煽り演出では基本復活煽り演出を行いつつボタン操作に応じて追加復活煽り演出を追加実行する【0221】)

g 遊技機100。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明の「第1始動条件又は第2始動条件の成立」は、本件補正発明の「始動条件の成立」に相当する。
また、引用発明の「特図当たり判定」は、「大当たり又は小当たりに当選したか否かの」判定であるから、本件補正発明の「大当たりに当選したか否かを判定する」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成aの「主制御部401のCPU411」は、本件補正発明の構成Aの「判定手段」としての機能を有する。

(b)
引用発明の「特図当たり判定」を含む「特図判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示部201a又は第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示部201bにおいて、特別図柄の変動表示を行った後」は、本件補正発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に」に相当する。
また、引用発明の「特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で特別図柄を停止させ」ることは、本件補正発明の「前記判定結果を示す図柄を停止表示させる」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成bの「メインCPU411」は、本件補正発明の構成Bの「図柄表示制御手段」としての機能を有する。

(c)
引用発明の「特図判定の結果が大当たりの当選を示しているときに、大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させ」ることは、本件補正発明の「前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させ」ることに相当する。
また、引用発明の「大当たりの種類に応じた大入賞口開放パターンを用いて大入賞口111を開閉動作させる」ことは、本件補正発明の「当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成cの「メインCPU411」は、本件補正発明の構成Cの「特別遊技実行手段」としての機能を有する。

(d)
引用発明の「液晶ディスプレイパネル等から成る画像表示部104」、「盤可動役物130」は、それぞれ、本件補正発明の「画像表示手段」、「可動役物」に相当する。
そして、引用発明の「液晶ディスプレイパネル等から成る画像表示部104」と「盤可動役物130」を併せたものは、本件補正発明の「演出手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当する。

(e)
上記(b)より、引用発明におけ「特図当たり判定」を含む「特図判定によ」ることは、本件補正発明の「判定手段の判定結果に基づ」くことに相当する。

ここで、本件補正発明の「画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出」がどのような技術的事項を示すものであるのかについて検討する。
本件補正発明の「ハズレリーチ演出」は、構成Fによると、「当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において第1の割合よりも高い第2の割合により特定予告演出が実行されることを可能と」するものであるから、「ハズレ態様で停止させる」ことは、当業者の技術常識からみて、最終的な停止でないことは明らかである。
一方、本願明細書の【0410】に、「テーブルのこのような構成により、演出制御基板120は、図柄の変動表示中の演出として、ハズレリーチ演出(リーチ演出→ハズレ態様で仮停止という一連の演出)及び救済演出であるチャレンジ演出を実行する場合に、ハズレリーチ演出の実行後(図61(b)のテーブルの時刻t_(RCC‐CLA)又は時刻t_(CLA‐CLB))にチャレンジ特定予告演出が実行されることを可能とし、ハズレリーチ演出の終了後に、チャレンジ特定予告演出及びチャレンジ演出を一連で実行する。」ことが記載されている。
そうすると、本件補正発明において、「ハズレ態様で停止させる」とは、「ハズレ態様で仮停止」させることを意味するものと解される。
したがって、引用発明の「強リーチ演出」、「画像表示部104」、「非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示」は、それぞれ、本件補正発明の「リーチ態様で停止」する演出、「画像表示手段」、「ハズレ態様で停止させる」表示に相当する。
したがって、引用発明の「画像表示部104において行」われる「強リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示を含むリーチハズレ示唆演出」は、本件補正発明の「前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出」に相当する。

そして、引用発明における「リーチハズレ示唆演出」における「非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示」は、本件補正発明の「前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態」に相当する。
また、引用発明の「復活成功演出」は、復活に成功したことを報知する演出であるから、本件補正発明の「救済されたことを報知する」「救済成功演出」に相当する。
さらに、引用発明の「復活成功演出」に含まれる「盤可動役物130を作動位置P2にまで移動させる演出」は、本件補正発明の「可動役物の動作をともなう」演出に相当する。
したがって、引用発明の「リーチハズレ示唆演出の後」「行なわれ」る「復活成功演出」は、本件補正発明の「複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されたことを報知する可動役物の動作をともなう救済済成功演出」に相当する。

また、引用発明の「復活失敗演出」は、復活に失敗したことを報知する演出であるから、本件補正発明の「救済されなかったことを報知する」「救済失敗演出」に相当する。
したがって、引用発明の「復活失敗演出」は、本件補正発明の「複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されなかったことを報知する救済失敗演出」に相当する。

さらに、引用発明において、「追加復活煽り演出」を含む「復活煽り演出」が行われると、「続いて」「復活失敗演出又は復活成功演出」が行われることから、引用発明の「追加復活煽り演出」は、本件補正発明の「救済成功演出の実行の可能性を示唆する」演出に相当する。
したがって、引用発明の「追加復活煽り演出」は、本件補正発明の「前記救済成功演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出」に相当する。

さらに、引用発明において、「演出制御部403のCPU431」は、「変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行い、続いて復活成功演出を行」い、「変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行い、続いて復活失敗演出を行」うものであり、「復活煽り演出」には、本件補正発明の「特定予告演出」に対応する「追加復活煽り演出」が含まれるものであるから、引用発明は、本件補正発明の「ハズレリーチ演出と、」「救済成功演出と、」「救済失敗演出と、」「特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を演出手段に実行させる」構成を備えるものである。

よって、引用発明の構成eの「演出制御部403のCPU431」は、本件補正発明の構成Eの「演出制御手段」としての機能を有するものである。

(f)
引用発明の「復活煽り演出を含む変動演出1200において、リーチ演出を経て第1?第3装飾図柄が仮停止される期間」である「第1仮停止期間中」は、本件補正発明の「第1の時期」に相当する。
また、引用発明において、構成eより、「演出制御部403のCPU431」は、「変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行い、続いて復活成功演出を行な」うものである。
そうすると、引用発明の「変動演出パターンHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出とそれに続く」「復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われ」ることと、本件補正発明の「図柄の変動表示中において、ハズレリーチ演出及び救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において前記第1の割合よりも高い第2の割合により特定予告演出が実行されることを可能と」することとは、図柄の変動表示中において、ハズレリーチ演出及び救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において特定予告演出が実行されることを可能とする」ことで共通する。

そして、引用発明において、構成eより、「演出制御部403のCPU431」は、「変動演出パターンHEp_a26」及び「変動演出パターンHEp_a16」「による変動演出1200では」「リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行」うものであるから、「リーチハズレ示唆演出」の終了前に「復活煽り演出」に含まれる「追加復活煽り演出」が行われることはなく、本件補正発明の「ハズレリーチ演出の終了前」「に特定予告演出が実行されることを規制する規制手段」としての機能を備えるものである。
また、引用発明の「復活失敗演出」が行われる「変動演出パターンHEp_a16による変動演出の復活煽り演出では基本復活煽り演出のみを行うようにしてボタン操作があっても追加復活煽り演出を行わ」ないことは、構成eより、「変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出を行い、続いて復活失敗演出を行」うことから、本件補正発明の「救済失敗演出を実行させる場合に特定予告演出が実行されることを規制する」ことに相当する。

したがって、引用発明の構成fと本件補正発明の構成Fとは、「演出制御手段が、図柄の変動表示中において、ハズレリーチ演出及び救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において特定予告演出が実行されることを可能とし、当該ハズレリーチ演出の終了前、および、救済失敗演出を実行させる場合に特定予告演出が実行されることを規制する規制手段」を備えることで共通する。

(g)
引用発明の構成gの「遊技機100」は、本件補正発明の構成Gの「遊技機」に相当する。

上記(a)?(g)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、
C 前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 画像表示手段と可動役物とを含む演出手段と、
E 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されたことを報知する前記可動役物の動作をともなう救済成功演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されなかったことを報知する救済失敗演出と、前記救済成功演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段と、
F´前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において前記特定予告演出が実行されることを可能とし、当該ハズレリーチ演出の終了前、および、前記救済失敗演出を実行させる場合に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段と
G を具備する遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点」(構成F)
ハズレリーチ演出の終了後に実行可能とされる特定予告演出の実行時期及び実行割合に関して、本件補正発明は、第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において前記第1の割合よりも高い第2の割合により特定予告演出が実行されるのに対して、引用発明は、「追加復活煽り演出」が、第1仮停止期間中にのみ行われる点。

(4)当審判合議体の判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、「特別遊技の示唆に関連する演出を通じて遊技の興趣向上に寄与する遊技機を提供する」(【0006】)ことを目的とするものである。
そして、引用文献1には、【0204】に「変動演出パターンHEp_16又はHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出とそれに続く復活失敗演出又は復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われても良いし、第2仮停止期間中にのみ行われても良いし(即ち例えば背景画像が第2背景画像から第1背景画像に変更されてから行われても良いし)、第1仮停止期間及び第2仮停止期間中に(即ち第1仮停止期間及び第2仮停止期間を跨いで)行われても良い。」ことが記載されている。
この記載によると、「追加復活煽り演出」を含む「復活煽り演出」を、「第1仮停止期間中にのみ行われても良いし、第2仮停止期間中にのみ行われても良」いものであるから、、遊技の興趣向上のために、「追加復活煽り演出」が実行されるタイミングの選択肢を増やすべく、引用発明における「追加復活煽り演出」を、「第1仮停止期間中」及び「第2仮停止期間中」のいずれの期間中においても実行可能とし、それにより演出の幅を広げることは当業者が容易になし得たことであり、その際に両者の実行割合をどのような値とするのかは、当業者が適宜決定し得た事項である。

したがって、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基づいて、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

よって、本件補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、令和2年7月27日付けの審判請求書において、審決で認定した上記相違点に係る本件補正発明が具備する構成について、引用発明が当該構成を具備しない点で両者は異なり、本件補正発明は、当該構成を具備することにより「特定予告演出を第1の時期では第1の割合により実行可能とし、第2の時期では第2の割合により実行可能としたことによって、遊技者の救済成功演出の実行期待度を高めるための演出効果を向上することができる」なる効果を奏するものである旨(「(2)拒絶理由について」)主張する。

しかしながら、上記(4)において検討したように、引用発明において、「特別遊技の示唆に関連する演出を通じて遊技の興趣向上に寄与する遊技機を提供する」(【0006】)ために、引用文献1の【0204】の「変動演出パターンHEp_16又はHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出とそれに続く復活失敗演出又は復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われても良いし、第2仮停止期間中にのみ行われても良いし(即ち例えば背景画像が第2背景画像から第1背景画像に変更されてから行われても良いし)、第1仮停止期間及び第2仮停止期間中に(即ち第1仮停止期間及び第2仮停止期間を跨いで)行われても良い。」と記載された技術事項を勘案して、上記相違点に係る本件補正発明の構成に到達することは、当業者が容易になし得たものである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)小括
上記(1)?(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和1年5月27日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「A 始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、
C 前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 画像表示手段と可動役物とを含む演出手段と、
E 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で停止させてからハズレ態様で停止させるハズレリーチ演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されたことを報知する前記可動役物の動作をともなう救済成功演出と、前記複数種類の演出図柄がハズレ態様で確定しそうな状態から救済されなかったことを報知する救済失敗演出と、前記救済成功演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段と、
F2 前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合、当該ハズレリーチ演出の終了後に前記特定予告演出が実行されることを可能とし、当該ハズレリーチ演出の終了前、および、前記救済失敗演出を実行させる場合に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段と
を具備することを特徴とする遊技機」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
1.(新規性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2016-209268号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2016-209268号公報の記載事項及び引用発明の認定については、前記「第2[理由] 2 2-2(2)引用文献1の記載事項及び引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明を特定するために必要な事項である「前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記ハズレリーチ演出及び前記救済成功演出を実行させる場合」の「前記特定予告演出」の「実行」に関して、「当該ハズレリーチ演出の終了後における第1の時期において第1の割合、または、第2の時期において前記第1の割合よりも高い第2の割合により前記特定予告演出が実行される」と限定されていたものを「当該ハズレリーチ演出の終了後に前記特定予告演出が実行される」とその限定を省くものである。

そうすると、前記「第2[理由] 2 2-2(3)対比」における検討内容からみて、本願発明は、引用発明に一致するものであって、相違する点はない。
したがって、本願発明は、引用発明である。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
よって、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2021-03-30 
結審通知日 2021-04-06 
審決日 2021-05-25 
出願番号 特願2017-32004(P2017-32004)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 55- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 俊彦  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 北川 創
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人iRify国際特許事務所  

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