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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B |
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管理番号 | 1376357 |
審判番号 | 不服2020-11815 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-08-25 |
確定日 | 2021-08-13 |
事件の表示 | 特願2015-111438「両面粘着剤層付偏光フィルムおよび画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-224307、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続等の経緯 特願2015-111438号(以下「本件出願」という。)は、平成27年6月1日の出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 平成31年 2月28日付け:拒絶理由通知書 令和 元年 5月 9日提出:意見書 令和 元年10月25日付け:拒絶理由通知書 令和 元年12月23日提出:意見書 令和 2年 5月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和 2年 8月25日提出:審判請求書 令和 2年 8月25日提出:手続補正書 令和 3年 2月10日付け:拒絶理由通知書 令和 3年 4月 5日提出:意見書 令和 3年 4月 5日提出:手続補正書 第2 本件発明 本件出願の請求項1?12に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明12」という。)は、令和3年4月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるところ、本件発明1は、以下のとおりのものである。 「 画像表示装置において最も視認側に設けられる偏光フィルム並びに当該偏光フィルムの視認側に配置される粘着剤層Aおよび前記粘着剤層Aの反対側に配置される粘着剤層Bを有し、前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている両面粘着剤層付偏光フィルムであって、 前記偏光フィルムは、厚み15μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであり、前記透明保護フィルムの側に粘着剤層Bが配置されており、 前記粘着剤層Aの厚みは25μm以上であり、 前記粘着剤層Bの厚みは25μm以下であり、 前記セパレータSAは、厚みが40μm以上であり、かつ、セパレータ剥離力が0.1N/50mm以上であり、 前記セパレータSAの剥離力が、前記セパレータSBの剥離力より高いことを特徴とする両面粘着剤層付偏光フィルム。」 なお、本件発明2?10は、本件発明1に対してさらに他の発明特定事項を付加したものであり、本件発明11?12は、本件発明1の「両面粘着剤層付偏光フィルム」を有する「画像表示装置」の発明である。 第3 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明 1 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2014-115468号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 前面透明板またはタッチパネルと画像表示セルとの間に配置して用いられる粘着剤付き光学フィルムであって、 偏光板を含む光学フィルム;前記光学フィルムの画像表示セルと貼り合せられる側の面に設けられた第一粘着剤層;および前記光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側の面に設けられた第二粘着剤層、を備え、 さらに前記第一粘着剤層および前記第二の粘着剤層のそれぞれには、保護シートが剥離可能に貼着されており、 前記第二粘着剤層の厚みが30μm以上である、両面粘着剤付き光学フィルム。 【請求項2】 前記第一粘着剤層の厚みが3?30μmである、請求項1に記載の両面粘着剤付き光学フィルム。」 (2)「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、画像表示パネルの前面に透明板またはタッチパネルを備える画像表示装置の形成に用いられる粘着剤付き光学フィルムに関する。さらに、本発明は当該粘着剤付き光学フィルムを用いた画像表示装置の製造方法に関する。 ・・・省略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 層間充填剤として、液状の光硬化性樹脂を用いる方法では、液状樹脂のはみ出しに伴う汚染が生じる等の問題がある。一方、粘着シートを用いる方法では、貼り合せの前に粘着シートを画像表示装置のサイズと合致するようにカットする必要があることに加えて、所望位置に精度よく貼り合せることが容易でなく、作業性が良好とはいえない。 【0010】 前面透明板の画像表示パネル側の面の周縁部には、装飾や光遮蔽を目的とした印刷が施されることが多い。周縁部に印刷が施されると、印刷部分の境界に、10μm?数十μm程度の段差が生じるが、層間充填剤としてシート状粘着剤を用いた際は、この印刷段差部に気泡が生じ易いとの問題も生じ得る。 【課題を解決するための手段】 【0011】 層間充填構造を採用する画像表示装置において、画像表示パネルと前面部材との貼り合せに関わる上記の諸問題は、偏光板の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着剤付きの偏光板を用いることによって解決される。 【0012】 すなわち、本発明は、前面透明板またはタッチパネルと画像表示セルとの間に配置して用いられる両面粘着剤付き光学フィルムに関する。本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、偏光板を含む光学フィルムの画像表示セルと貼り合せられる側の面に設けられた第一粘着剤層を備え、当該光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側の面に第二粘着剤層を備える。第一粘着剤層および第二の粘着剤層のそれぞれには、保護シートが剥離可能に貼着されている。第一粘着剤層の厚みは3?30μmであることが好ましく、第二粘着剤層の厚みは30μm以上であることが好ましい。 ・・・省略・・・ 【発明の効果】 【0018】 本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、画像表示セルとの貼り合せのための第一粘着剤層に加えて、前面透明板やタッチパネル等の前面透明部材と貼り合せるための第二の粘着剤層を備える。このような構成によれば、画像表示パネルと前面透明部材とを貼り合せて層間充填構造とする際に、別途の液状接着剤や粘着シートを設ける必要がない。そのため、液状樹脂や粘着シートのはみ出しによる汚染が防止されることに加えて、製造プロセスが簡略化される。 【0019】 また、第二粘着剤層の貯蔵弾性率に所定の温度依存性を持たせることで、前面透明部材の貼り合せの際の80℃付近での貯蔵弾性率を小さくして、粘着剤に段差追従性を持たせ、気泡の発生を抑制することができる。また、画像表示装置の使用環境温度における貯蔵弾性率を大きくして、実使用時の部材の位置ズレや粘着剤のはみ出し等の不具合を抑制することができる。 【0020】 さらに、第二粘着剤層として光硬化性粘着剤を用い、前面透明部材との貼り合せ後に光硬化を行うことで貯蔵弾性率を大きくすれば、画像表示装置が高温環境に晒された場合も粘着剤の流動が抑制される。そのため、段差付近での気泡の発生や剥離を抑制することが可能となる。」 (3)「【発明を実施するための形態】 【0022】 本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、偏光板を含む光学フィルムの一方の面に第一粘着剤層を備え、他方の面に第二粘着剤層を備える。第一粘着剤層は、画像表示セルと光学フィルムとの貼り合せに用いられる粘着剤層であり、第二粘着剤層は、前面透明部材(前面透明板またはタッチパネル)と光学フィルムとの貼り合せに用いられる粘着剤層である。 【0023】 以下では、適宜図面を参照しながら、本発明の詳細を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる両面粘着剤付き光学フィルム50を模式的に表す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100を模式的に表す断面図である。 【0024】 図1に示す両面粘着剤付き光学フィルム50は、光学フィルム10として偏光板11を備える。両面粘着剤付き光学フィルム50は、光学フィルム10の一方の面に第一粘着剤層21を備え、他方の面に第二粘着剤層22を備える。第一粘着剤層21上には、第一保護シート31が剥離可能に貼着されており、第二粘着剤層22上には、第二保護シート32が剥離可能に貼着されている。 【0025】 図3に示す画像表示装置100では、光学フィルム10の一方の面が、第一粘着剤層21を介して画像表示セル60と貼り合せられており、光学フィルム10の他方の面が第二粘着剤層22を介して前面透明部材70と貼り合せられている。 【0026】 [光学フィルム] 光学フィルム10を構成する偏光板11としては、偏光子の片面または両面に、必要に応じて適宜の透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般に用いられる。偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。 【0027】 偏光子の保護フィルムとしての透明保護フィルムには、セルロース系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フェニルマレイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性および光学等方性に優れるものが好ましく用いられる。なお、偏光子の両面に透明保護フィルムが設けられる場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムが用いられてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムが用いられてもよい。また、液晶セルの光学補償や視野角拡大等を目的として、位相差板(延伸フィルム)等の光学異方性フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いることもできる。 ・・・省略・・・ 【0033】 [第一粘着剤層] 光学フィルム10の一方の面には、画像表示セル60との貼り合せに用いるための第一粘着剤層21が設けられる。第一粘着剤層21の厚さは、使用目的や接着力等に応じて適宜に決定できるが、本発明においては、3μm?30μmが好ましく、5μm?27μmがより好ましく、10μm?25μmがさらに好ましい。第一粘着剤層の厚みが前記範囲であれば、耐久性に優れると共に、気泡の混入等の不具合を抑制することができる。 【0034】 第一粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。 ・・・省略・・・ 【0039】 [第二粘着剤層] 光学フィルム10の他方の面には、前面透明部材70との貼り合せに用いるための第二粘着剤層22が設けられる。このように、画像表示セルとの貼り合せに用いられる第一粘着剤層21の反対面に、前面透明部材との貼り合せのための第二粘着剤層22が設けられた両面粘着剤付き光学フィルムを用いれば、層間充填構造とする際に、光学フィルム10上に、液状接着剤や別途のシート状粘着剤層を付設する工程を設ける必要がない。そのため、画像表示装置の製造工程を簡略化できると共に、接着剤(粘着剤)のはみ出しによる汚染が防止される。 【0040】 <厚み> 第二粘着剤層22の厚さは、30μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。第二粘着剤層の厚みが前記範囲より小さいと、光学フィルムと前面透明部材との貼り合せの際に、気泡が混入し易くなる傾向がある。 【0041】 特に、図3に模式的に示すように、前面透明部材70の画像表示パネル60側の面の周縁部に印刷部70aが設けられている場合は、第二粘着剤層の厚みが小さいと、粘着剤層が印刷段差に追従できず、印刷部70a付近に気泡が混入し易くなる傾向がある。そのため、光学フィルム10と貼り合せられる面に印刷部70aのような非平坦部を有する前面透明部材70が用いられる場合、第二粘着剤層の厚みは、非平坦部(印刷部)70aの厚みd_(a)の1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2.0倍以上がさらに好ましい。 【0042】 第二粘着剤層22の厚さの上限は特に限定されないが、画像表示装置の軽量化・薄型化の観点や、粘着剤層形成の容易性、ハンドリング性等を勘案すると、300μm以下が好ましく、250μm以下がさらに好ましい。 ・・・省略・・・ 【0085】 [保護シート] 第一粘着剤層21および第二粘着剤層22のそれぞれには、保護シート31,32が剥離可能に貼着される。保護シート31,32は、粘着剤付き光学フィルム55が実用に供され、画像表示セル60や前面透明部材70と貼り合せられるまでの間、粘着剤層21,22の露出面を保護する目的で用いられる。 【0086】 保護シート31,32の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等が挙げられるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。 【0087】 プラスチックフィルムとしては、粘着剤層の表面を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。 【0088】 保護シート31,32の厚みは、通常5?200μm、好ましくは10?150μm程度である。保護シートは、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、保護シートの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、実用に供する際に、粘着剤層21,22からの剥離性をより高めることができる。 ・・・省略・・・ 【0098】 [画像表示装置] 本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、図3に模式的に示すように、偏光板を含む光学フィルム10の一方の面に液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60を備え、他方の面(視認側)にタッチパネルや前面透明板等の前面透明部材70を備える画像表示装置100の形成に好適に用いられる。当該画像表示装置において、画像表示セル60は、第一粘着剤層21を介して光学フィルム10と貼り合せられ、前面透明部材70は、第二粘着剤層22を介して光学フィルム10と貼り合せられる。 【0099】 前面透明部材70としては、前面透明板(ウインドウ層)やタッチパネル等が挙げられる。前面透明板としては、適宜の機械強度および厚みを有する透明板が用いられる。このような透明板としては、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が用いられる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等、任意の方式のタッチパネルが用いられる。 ・・・省略・・・ 【0102】 貼り合せの順序は特に限定されず、画像表示セル60と両面粘着剤付き光学フィルム55の第一粘着剤層21との貼り合せが先に行われてもよく、前面透明部材70と両面粘着剤付き光学フィルム55の第二粘着剤層22との貼り合せが先に行われてもよい。また、両者の貼り合せを同時に行うこともできる。貼り合せの作業性や、光学フィルムの軸精度を高める観点からは、第一粘着剤層21の表面から保護シート31が剥離された後、光学フィルム10と画像表示セル60とが第一粘着剤層を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、第二粘着剤層22の表面から保護シート32が剥離され、光学フィルム10と前面透明部材70とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われることが好ましい。」 (4)「【実施例】 【0108】 以下に実施例および比較例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。 【0109】 [実施例1] <偏光板> ヨウ素が含浸された厚み25μmの延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に透明保護フィルムが貼り合せられた偏光板(偏光度99.995%)を用いた。偏光子の一方の面(画像表示セル側)の透明保護フィルムは、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる位相差フィルムであり、他方の面(視認側)の透明保護フィルムは、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムであった。 【0110】 <セル側粘着剤層(第一粘着剤層)の形成> (ベースポリマーの調製) 温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、ブチルアクリレート97部、アクリル酸3部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部および酢酸エチル233部投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて、重量平均分子量(Mw)が110万のアクリル系ポリマーを得た。 【0111】 (粘着剤組成物の調製) 上記アクリル系ポリマー溶液(固形分を100重量部とする)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL」)0.8重量部、シランカップリング剤(信越化学(株)製「KBM-403」)0.1部を加えて粘着剤組成物(溶液)を調製した。 【0112】 (粘着剤層の形成および架橋) セパレータ(表面が離型処理された厚み38μmのポリエチレンテレフタレート系フィルム)上に、上記の粘着剤組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去して、粘着剤層を得た。その後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行った。(以下、この粘着剤層を「粘着剤層A」と称する) 【0113】 <視認側粘着剤層(第二粘着剤層)の形成> (ベースポリマーの調製) ベースポリマーとして、ブチルアクリレート(BA)とメチルメタクリレート(MMA)のブロック共重合体(BA/MMA=2/1、重量平均分子量10万)が用いられた。(以下、このベースポリマーを「ポリマー1」と称する) 【0114】 (粘着剤組成物の調製) 上記のポリマー1を80重量部、および可塑剤を20重量部、120重量部のトルエンに溶解して、粘着剤組成物(溶液)を調製した。可塑剤としては、重量分子量約3000のアクリルオリゴマー(東亜合成(株)製「ARUFON UP-1000」)が用いられた。 【0115】 (粘着剤層の形成) セパレータ上に、上記の粘着剤組成物溶液を、乾燥後の厚みが150μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去して、粘着剤層を得た。(以下、この粘着剤層を「粘着剤層B1」と称する) 【0116】 <両面粘着剤付き光学フィルムの作製> 上記偏光板の一方の面にセル側粘着剤層として上記の粘着剤層Aを貼り合せた。その後、偏光板の他方の面に視認側粘着剤層として上記の粘着剤層B1を貼り合せた後、セパレータを剥離し、その上に粘着剤層B1を貼り合せて、粘着剤層B1が2層(合計厚み300μm)の粘着剤層とした。 【0117】 このようにして、偏光板(光学フィルム)の一方の面に、厚み20μmの粘着剤層、他方の面に、厚み300μmの粘着剤層が貼り合せられ、各粘着剤層上にセパレータが剥離可能に貼着された両面粘着剤付き光学フィルムを得た。 【0118】 <カッティング> 上記の両面粘着剤付き光学フィルムを、48mm×98mmのサイズにトムソン刃で打ち抜いた。同一サイズに打ち抜かれた両面粘着剤付き光学フィルムを50枚積み重ね、その上下から万力状の治具にてフィルムを保持し、光学フィルムの端面から粘着剤層がはみ出るように加圧した。この状態で、光学フィルムの端面から0.5mm内側を、回転刃を用いて光学フィルムおよびセパレータと共に粘着剤層ごと切削した。その後、上記圧力を解放し、製品サイズにカットされた両面粘着剤付き偏光板を得た。 【0119】 <評価用疑似画像表示装置の作製> 両面粘着剤付き偏光板の一方の面(粘着剤層A側)に平坦なガラス板(0.7mm×50mm×100mm)が貼り合せられ、他方の面(粘着剤層B側)には、黒色インク(厚み10μm)が周縁部に枠状に印刷されたガラス板(0.7mm×50mm×100mm、インク印刷幅:端部から10mm)が貼り合せられ、評価用疑似画像表示装置が作製された。 【0120】 まず、両面粘着剤付き偏光板の粘着剤層A側のセパレータを剥離した後、平坦なガラス板の一面に、粘着剤層がガラス面に接するように載置して貼り合せた。その後、粘着剤層B側の離型フィルムを剥離し、印刷されたガラス板の印刷面と粘着剤層が接するよう載置した後、真空熱圧着装置で熱圧着して貼り合せを行った(温度80℃、圧力0.1MPa、圧力保持時間5秒)。その後、オートクレーブ処理を行った(50℃、0.5MPa、30分)。 【0121】 [実施例2,3] 視認側の粘着剤層Bとして、表1に示す組成の粘着剤組成物(溶液)を調製した。粘着付与剤として、実施例2ではスチレンオリゴマー(ヤスハラケミカル(株)製「YSレジン SX-85」、軟化点85℃)が用いられ、実施例3では核水添テルペンフェノール(ヤスハラケミカル(株)製 「YSポリスターNH」、軟化点130℃)が用いられた。なお、実施例2,3の粘着剤は、光重合性のアクリル系モノマーとしてフェニルグリシジルエーテルアクリレート(第一工業製薬(株)製 「ニューフロンティア PGA」)、光ラジカル発生剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ製 「イルガキュア184」)を含有する光硬化性粘着剤である。 【0122】 視認側の粘着剤層Bとして、表1に示す組成および厚みを有する光硬化性の粘着剤層が用いられたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着剤付き偏光板が作製され、実施例1と同様にカッティングおよびガラス板との貼り合せが行われた。 【0123】 [実施例4?6] (ベースポリマーの調製) 温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)75重量部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)25重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部および酢酸エチル233重量部を投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、70℃にフラスコを加熱し、5時間反応させて重量平均分子量(Mw)70万のアクリル系ポリマーを得た(以下、このベースポリマーを「ポリマー2」と称する)。 【0124】 <両面粘着剤付き光学フィルムの作製および評価用疑似画像表示装置の作製> 上記ポリマー2を用いて、表1に示す組成の粘着剤組成物(溶液)が調製された。粘着剤層Bとして、表1に示す組成および厚みを有する粘着剤層が用いられたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着剤付き偏光板が作製された。なお、実施例4においては、粘着剤溶液をセパレータ上に塗布し、乾燥した後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行った。 【0125】 その後、実施例1と同様に、両面粘着剤付き光学フィルムのカッティングおよびガラス板との貼り合せが行われた。 【0126】 [実施例2a,3a,5aおよび6a] それぞれ、上記実施例2,3,5および6と同様の両面粘着剤付き光学フィルムを用いて、カッティングおよびガラス板との貼り合せを行った。オートクレーブ処理後に、視認側のガラス板を介して、高圧水銀ランプ(10mW/cm^(2))で紫外線を照射し、光硬化性粘着剤の硬化を行った(積算光量:3000mJ/cm^(2))。 【0127】 [実施例7?14] 上記実施例1において、表1に示すように、粘着剤B1に粘着付与剤が添加され、粘着剤層の厚みが変更された。それ以外は実施例1と同様にして、両面粘着剤付き偏光板が作製され、カッティングおよびガラス板との貼り合せが行われた。実施例11では、粘着付与剤として、スチレンオリゴマー(ヤスハラケミカル(株)製「YSレジン SX-100」、軟化点100℃)が用いられ、実施例12では、水素化ロジンエステル(荒川化学工業(株)製 「パインクリスタル KE-311」、軟化点95℃)が用いられた。」 (5)図1 (6)図3 2 引用発明 引用文献1の上記1の記載に基づけば、引用文献1には、請求項1を引用する請求項2に記載された両面粘着剤付き光学フィルムとして、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 前面透明板またはタッチパネルと画像表示セルとの間に配置して用いられる粘着剤付き光学フィルムであって、 偏光板を含む光学フィルム;前記光学フィルムの画像表示セルと貼り合せられる側の面に設けられた第一粘着剤層;および前記光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側の面に設けられた第二粘着剤層、を備え、 さらに前記第一粘着剤層および前記第二の粘着剤層のそれぞれには、保護シートが剥離可能に貼着されており、 前記第二粘着剤層の厚みが30μm以上であり、 前記第一粘着剤層の厚みが3?30μmである、両面粘着剤付き光学フィルム。」 第4 対比・判断 1 本件発明1 (1)対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 ア 偏光フィルム 引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、「前面透明板またはタッチパネルと画像表示セルとの間に配置して用いられ」、「偏光板を含む光学フィルム;前記光学フィルムの画像表示セルと貼り合せられる側の面に設けられた第一粘着剤層;および前記光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側の面に設けられた第二粘着剤層、を備え」、「さらに前記第一粘着剤層および前記第二の粘着剤層のそれぞれには、保護シートが剥離可能に貼着されて」いる。 上記構成からみて、引用発明の「偏光板を含む光学フィルム」は、本件発明1の「偏光フィルム」に相当する。 また、上記構成からみて、引用発明の「偏光板を含む光学フィルム」は、画像表示装置において最も視認側に設けられるといえる(当合議体注:このことは、引用文献1の図3からも確認できる。)。そうしてみると、引用発明の「偏光板を含む光学フィルム」は、本件発明1の「偏光フィルム」の「画像表示装置において最も視認側に設けられる」との要件を満たす。 イ 粘着剤層A、粘着剤層B 上記アに記載した引用発明の構成からみて、引用発明の「光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側」は、「光学フィルム」の視認側といえるので、引用発明の「第二粘着剤層」は、「光学フィルム」の視認側に配置されるといえる。また、引用発明の「第一粘着剤層」は、「第二粘着剤層」の反対側に配置されるといえる。 これに対して、本件発明1においては、「偏光フィルムの視認側に配置される粘着剤層」を「粘着剤層A」とし、「粘着剤層Aの反対側に配置される粘着剤層」を「粘着剤層B」としている。 そうしてみると、引用発明の「第二粘着剤層」及び「第一粘着剤層」は、それぞれ、本件発明1の「粘着剤層A」及び「粘着剤層B」に相当する。また、引用発明の「第二粘着剤層」は、本件発明1の「粘着剤層A」の「偏光フィルムの視認側に配置される」との要件を満たし、引用発明の「第一粘着剤層」は、本件発明の「粘着剤層B」の「粘着剤層Aの反対側に配置される」との要件を満たす。 ウ セパレータSA、セパレータSB 上記アに記載した引用発明の構成からみて、引用発明において、「第一粘着剤層」に「剥離可能に貼着されて」いる「保護シート」と、「第二粘着剤層」に「剥離可能に貼着されて」いる「保護シート」が備えられている。 これに対して、本件発明1においては、「粘着剤層A」に備えられた「セパレータ」を「セパレータSA」とし、「粘着剤層B」に備えられた「セパレータ」を「セパレータSB」としている。 そうしてみると、引用発明の「第二粘着剤層」に「剥離可能に貼着されて」いる「保護シート」及び「第一粘着剤層」に「剥離可能に貼着されて」いる「保護シート」は、それぞれ、本件発明1の「セパレータSA」及び「セパレータSB」に相当する(以下、引用発明において、「第一粘着剤層」に「剥離可能に貼着されて」いる「保護シート」を「(第一)保護シート」、「第二粘着剤層」に「剥離可能に貼着されて」いる「保護シート」を「(第二)保護シート」という。)。 エ 粘着剤層Aの厚み 引用発明の「第二粘着剤層」は、「厚みが30μm以上であ」る。 そうしてみると、引用発明の「第二粘着剤層」は、本件発明1の「粘着剤層A」の「厚みは25μm以上であり」との要件を満たす。 オ 両面粘着剤層付偏光フィルム 上記ア?エを総合すると、引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、本件発明1の「両面粘着剤層付偏光フィルム」に相当する。 また、引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、本件発明1の「両面粘着剤層付偏光フィルム」の「偏光フィルム並びに」「粘着剤層Aおよび」「粘着剤層Bを有し、前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている」との要件を満たす。 (2)一致点及び相違点 以上より、本件発明1と引用発明とは、 「 画像表示装置において最も視認側に設けられる偏光フィルム並びに当該偏光フィルムの視認側に配置される粘着剤層Aおよび前記粘着剤層Aの反対側に配置される粘着剤層Bを有し、前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている両面粘着剤層付偏光フィルムであって、 前記粘着剤層Aの厚みは25μm以上である、両面粘着剤層付偏光フィルム。」 (相違点1) 「偏光フィルム」が、本件発明1は、「厚み15μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであり、前記透明保護フィルムの側に粘着剤層Bが配置されて」いるのに対して、引用発明の「偏光板を含む光学フィルム」は、このように特定されていない点。 (相違点2) 「粘着剤層B」が、本件発明1は、「厚みは25μm以下であ」るのに対して、引用発明の「第一粘着剤層」は、「厚みが3?30μmである」点。 (相違点3) 「セパレータSA」が、本件発明1は、「厚みが40μm以上であり、かつ、セパレータ剥離力が0.1N/50mm以上であ」るのに対して、引用発明の「「(第二)保護シート」は、厚み及び剥離力が明らかでない点。 (相違点4) 本件発明1は、「前記セパレータSAの剥離力が、前記セパレータSBの剥離力より高い」のに対して、引用発明は、そもそも「(第一)保護シート」及び「(第二)保護シート」の剥離力が明らかでなく、両者の関係も明らかでない点。 (3)判断 事案に鑑み、上記相違点1、3及び4について検討する。 まず、引用文献1の【0026】には、「光学フィルム10を構成する偏光板11としては、偏光子の片面または両面に、必要に応じて適宜の透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般に用いられる。」と記載されていて、上記記載においては、片保護偏光フィルムが選択肢として示唆されていることにとどまる。また、実施例の偏光子は、【0109】に「ヨウ素が含浸された厚み25μmの延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子」と記載されていることにとどまり、引用文献1には、偏光子の厚みを15μm以下とすることは、記載されていない。 次に、引用文献1の【0088】には、「保護シート31,32の厚みは、通常5?200μm、好ましくは10?150μm程度である。」と記載されている。また、実施例のセパレータは、【0112】に「セパレータ(表面が離型処理された厚み38μmのポリエチレンテレフタレート系フィルム)」と記載されていることにとどまり、引用文献1には、保護シートの厚みの下限を40μmとすることは、記載されていない。 さらに、引用文献1には、保護シートの剥離力について記載も示唆もない。 たしかに、原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された2015-52765号公報(以下、同じく「引用文献3」という。)の【0022】には、「厚みが10μm以下の薄型のヨウ素系偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため、耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点から好ましい。」と記載されていて、厚み15μm以下の偏光子が記載されている。また、引用文献1の【0102】には、「貼り合せの作業性や、光学フィルムの軸精度を高める観点からは、第一粘着剤層21の表面から保護シート31が剥離された後、光学フィルム10と画像表示セル60とが第一粘着剤層を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、第二粘着剤層22の表面から保護シート32が剥離され、光学フィルム10と前面透明部材70とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われることが好ましい。」と記載されている。上記記載から、後で剥離される保護シート32の剥離力が先に剥離される保護シート31の剥離力よりも大きいものである可能性があることが窺える。 しかしながら、引用文献1及び引用文献3においては、偏光子の厚みと保護シートの剥離力とを関連づける記載はなく、引用発明において、「偏光板」における偏光子の厚みを15μm以下とするとともに、「(第二)保護シート」の剥離力を「(第一)保護シート」の剥離力よりも大きくする動機付けはない。また、引用文献1及び引用文献3のいずれにも、保護シートの剥離力についての記載はなく、保護シートの厚みについても下限を40μmとすることは記載されていない。 そうしてみると、引用文献1及び引用文献3においては、偏光子を薄くし、また、偏光板を片保護にして、偏光板を薄型にしつつも、保護フィルムを第一粘着剤層側とし、かつ第一粘着剤層及び第二粘着剤層の剥離力を相違点3及び相違点4に係る本件発明1の関係を満たすものとするという技術思想は、記載されているとはいえない。 以上勘案すると、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であっても、引用発明に引用文献1及び引用文献3に記載された事項を採用する動機付けはなく、仮に、引用発明に引用文献1及び引用文献3に記載された事項を採用したとしても、上記相違点1、3及び4に係る本件発明1の構成には至らない。さらに、引用発明において上記相違点1、3及び4に係る本件発明1の構成を採用することが、周知技術であるともいえない。 したがって、たとえ当業者であっても、引用発明並びに引用文献1及び引用文献3等に記載された発明に基づいて上記相違点1、3及び4に係る本件発明1の構成とすることが、容易になし得たということはできない。 (4)小括 以上のとおりであるから、上記相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても、引用文献1及び引用文献3等に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない。 2 本件発明2?12について 本件発明2?12は、本件発明1の構成を全て具備するものであるから、本件発明2?12も、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1及び引用文献3等に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 1 原査定の拒絶の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1?14に係る発明(願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載されたもの)は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 引用文献1:特開2014-115468号公報 引用文献3:特開2015-52765号公報 (当合議体注:引用文献1は主引例であり、引用文献3は副引例である。) 2 原査定についての判断 上記第4で述べたように、本件発明1?12は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び引用文献3等に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたということができない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第6 当合議体が通知した拒絶の理由について 令和3年4月5日に提出された手続補正書により補正されたので、当合議体が通知した拒絶の理由は解消された。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-07-30 |
出願番号 | 特願2015-111438(P2015-111438) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G02B)
P 1 8・ 121- WY (G02B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤岡 善行 |
特許庁審判長 |
榎本 吉孝 |
特許庁審判官 |
井口 猶二 井亀 諭 |
発明の名称 | 両面粘着剤層付偏光フィルムおよび画像表示装置 |
代理人 | 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所 |