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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  H02S
管理番号 1376363
審判番号 無効2020-800067  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-07-09 
確定日 2021-07-16 
事件の表示 上記当事者間の特許第5868471号発明「太陽光発電装置の施工方法、太陽光発電装置、太陽光発電パネル載置架台の施工方法、太陽光発電パネル載置架台」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第5868471号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲の請求項3及び6に係る発明の特許を無効とすることを求める事件であって、手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 2年 7月 9日:審判請求書提出
令和 2年10月 4日:審判事件答弁書提出
令和 2年11月30日:審理事項通知書(起案日)
令和 2年12月11日:口頭審理陳述要領書(請求人)(差出日)
令和 2年12月25日:口頭審理陳述要領書(被請求人)
令和 3年 1月21日:第1回口頭審尋

第2 本件特許発明について
1 本件特許発明
本件特許の請求項3及び6に係る発明(以下、「本件特許発明3」及び「本件特許発明6」といい、合わせて「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項3及び6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項3】
太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置であって、
前記太陽光発電パネル載置架台は、
足場パイプにより形成される柱部材、
足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材と、からなる基礎部材、
を有する太陽光発電装置。」

「【請求項6】
太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台であって、
足場パイプにより形成される柱部材、
足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材と、からなる基礎部材、
を有する太陽光発電パネル載置架台。」

第3 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人は、本件特許の特許請求の範囲の請求項3及び6に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、概ね以下のとおり主張し(審判請求書、口頭審理陳述要領書、第1回口頭審尋調書参照。)、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。

【無効理由】
本件特許の請求項3及び6に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2 証拠方法
提出された証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証:特開2014-31627号公報
甲第2号証:特開2013-147899号公報
甲第3号証:特開2005-110584号公報
甲第4号証:実公昭47-10123号公報
甲第5号証:特開平11-187773号公報

3 請求人の具体的な主張
(1)本件特許発明について
本件特許発明3及び6の構成要件は、分説すると以下のとおりとなる。
(本件特許発明3)
「A.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置であって、
B.前記太陽光発電パネル載置架台は、足場パイプにより形成される柱部材、
C.足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、
D.前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材と、からなる基礎部材、
E.を有する太陽光発電装置。」

(本件特許発明6)
「F.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台であって、
G.足場パイプにより形成される柱部材、
H.足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、
I.前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材と、からなる基礎部材、
J.を有する太陽光発電パネル載置架台。」(審判請求書第7頁第9?29行)(審判請求書の表紙を含めた7枚目を「7頁」という。以下同様。)

(2)証拠について
ア 甲第1号証
(ア)甲1発明
甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「A.太陽光発電パネル載置面P103を有する太陽光発電パネル載置架台103、及び太陽光発電パネル101を有する太陽光発電装置100。
B.足場パイプである単管を組み合わせて形成される柱部材103b。
C.単管により形成され、隣接する柱部材103bを接続する接続部材103c。
D’.コンクリート製の基礎部材103aは、柱部材103bと接続部材103cとの接続部を包含する固定領域に形成されること。
E.太陽光発電装置100。」(審判請求書第9頁第14?23行)

(イ)甲1発明の課題
甲第1号証の【0010】には、「施工が容易で高い強度を有する太陽光発電装置を提供すること」と記載され、【0019】には、「これにより、基礎部材と柱部材とを強固に一体にできる。よって、太陽光発電パネル載置装置に太陽光発電パネルを載置した際の強度、特に風荷重に対する強度を上げることができる。」と記載されている。
したがって、甲1発明の課題は、「施工が容易で高い強度、特に風荷重に対する強度を上げた太陽光発電装置を提供すること」である。(口頭審理陳述要領書第2頁第7?15行)

(ウ)甲1発明の作用・機能
甲1の【0019】には、「これにより、基礎部材と柱部材とを強固に一体にできる。よって、太陽光発電パネル載置装置に太陽光発電パネルを載置した際の強度、特に風荷重に対する強度を上げることができる。」、そして、【0032】には、「設置が容易で設置時間が短くできる」作用、機能が記載されている。(口頭審理陳述要領書第5頁第16?29行)

(エ)本件特許発明3の固定領域も甲第1号証の「基礎形成用溝」も共に固定部材を形成するための領域(空間)の意味であり、同一の概念である。本件特許発明3の「固定領域」とは、本件特許公報図5、図6Aに「R105」と示されるように、互いに対向する1組の第1形成部材105aとこれと直行し互いに対向する1組の第2形成部材及び基礎形成用溝D内の砕石層によって形成された空間であって、図6Bに示すようにこの「固定領域」内部にコンクリートを流し込むことによって、固定部材103aが形成されるのである(段落【0038】?【0040】)。
本件特許発明3は、物の発明であるから、その発明の要旨は、その物の構造、特性によって認定すべきである。本件特許発明3においては、発明の要旨は、柱部材、接続部材、その接続部毎に形成された固定部材によって特定することができるのであるから、「固定領域」という概念を用いる必要はない。すなわち、固定部材が存在する空間が「固定領域」であり、物としては固定部材が存在すれば足りるのである。(口頭審理陳述要領書第9頁下から5行?第10頁14行)

イ 甲第2号証
(ア)甲2発明ないし甲2記載事項
甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)ないし以下の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されている。
(甲2発明)
「D.接続部毎に固定領域を設ける点」
(甲2記載事項)
「支柱50と棒状部材(鉄板30は鉄パイプでも良いことが明記されている)を接続部毎にそれぞれ固定領域として包含するコンクリート製のブロック1(ブロック本体10)」(審判請求書第11頁第16?18行、第18頁第5?8行)
甲第2号証から引用したい事項は甲2記載事項であるが、当該引用したい事項を本件特許発明の文言に対応させると甲2発明である。(口頭審理陳述要領書第18頁下から3?1行)

(イ)甲2発明の課題
甲第2号証には、「外力(衝撃、風圧)に対して転倒を防止する支持力を向上させた支柱基礎を提供すること」も実質的に課題として記載されており、示唆されている。(口頭審理陳述要領書第第3頁第18?20行)

(ウ)甲2発明の作用・機能
甲第2号証の【0021】(「このため、この支柱基礎5は、複数の支柱基礎用ブロック1を前後方向91に挟むように配置された鉄板30により、複数の支柱基礎用ブロック1を地中81で左右方向92に一体に連結でき、支持力を向上させやすい。したがって、支柱50および/またはフェンス部材51への外力(衝撃、風圧)に起因してそれぞれの支柱基礎用ブロック1に作用する前後方向91の転倒モーメントに対して、左右方向92に連結された支柱基礎5の全体で対抗する抵抗モーメントを増加させやすく、前後方向91の転倒に対して抵抗力のある支柱基礎5およびフェンス100を提供できる。」)に、作用及び機能が記載されている。(口頭審理陳述要領書第5頁第30行?第6頁第6行)

ウ 甲第3号証
(ア)甲3発明ないし甲3記載事項
甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)ないし以下の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されている。
(甲3発明)
「D.接続部毎に固定領域を設ける点」
(甲3記載事項)
「鋼製の支柱5と鋼製の地中梁4を接続部毎に固定するコンクリート製の支柱基礎2」(審判請求書第13頁第1?3行、第18頁第26?28行)
甲第3号証から引用したい事項は甲3記載事項であるが、当該引用したい事項を本件特許発明の文言に対応させると甲3発明である。(口頭審理陳述要領書第18頁下から3?1行)

(イ)甲3発明の課題
甲第3号証には、課題として、「支柱及び基礎構造の構築のための材料費と施行コストの低減化を図ることができ、風荷重に対する強度を有する防風壁を提供すること」が記載されている。(口頭審理陳述要領書第3頁第21行?第4頁第5行)

(ウ)甲3発明の作用・機能
甲第3号証には、作用及び機能として、【0010】に「本発明の構成により、防風壁面が受ける風荷重の大部分は風上側の2本の引張材を経由し、風上側のアンカー基礎への引抜力と水平力として作用するが、アンカー基礎重量とアンカー基礎底面の摩擦力にて抵抗できるため、根入れ深さは浅くとも良く、支柱も風荷重の負担が少なくなるため細くすることができる。また、支柱基礎と各アンカー基礎とを地中梁で連結し、隣り合う支柱同士でアンカー基礎を兼用することにより、水平力は地中梁を経由して、全てのアンカー基礎底面の摩擦力で負担することが可能となるため、防風材を設置するための支柱及び基礎構造の強度をそれ程大きなものとする必要がなく、支柱及び基礎構造の構築のための材料費と施工コストの低減化を図ることができる。」と記載されている。(口頭審理陳述要領書第6頁第7?19行)

エ 甲第4号証
(ア)甲4発明ないし甲4記載事項
甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)ないし以下の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されている。
(甲4発明)
「D.接続部毎に固定領域を設ける点」
(甲4記載事項)
「支柱2と排水パイプGを接続部毎に固定するコンクリートF」(審判請求書第14頁第1?3行、第19頁第9?11行)
甲第4号証から引用したい事項は甲4記載事項であるが、当該引用したい事項を本件特許発明の文言に対応させると甲4発明である。(口頭審理陳述要領書第18頁下から3?1行)

(イ)甲4発明の課題
甲第4号証には、「上屋を、一ツの定型パネルを多数組み合せて一本の支柱の上端に漏斗状に取り付けることにより、製作、組立、使用上その経済効果を高めんとする」課題が記載されている。(口頭審理陳述要領書第4頁第6?9行)

(ウ)甲4発明の作用・機能
甲第4号証には、作用、機能として「一ツの定型に成形されたパネルを多数使用することによって、生産面での量産化を、需要の面では組立ての軽便と連結の自由化が期待され、漏斗状の屋根(勾配1.5/10)は風圧抵抗を減じ、同一面積の上屋に較べ柱の数は少なくてすむ。」と記載されている。(口頭審理陳述要領書第6頁第20?25行)

オ 甲第5号証
(ア)甲5発明ないし甲5記載事項
甲第5号証には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)ないし以下の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されている。
(甲5発明)
「D’’.柱部材下端毎に固定領域を設ける点」
(甲5記載事項)
「柱体2の両端下部および妻柱の柱体5の下端を、掘削孔11に直立状態で配設し、この掘削孔11から直立された柱体2,5の周囲にセメント系固化材と土壌とを混合した混合物の基礎材12を充填固化して、柱体2,5の下部を地面10に基礎材12にて埋設した状態で固定すること」(審判請求書第17頁第1?3行、第20頁第15?19行)
甲第5号証から引用したい事項は甲5記載事項であるが、当該引用したい事項を本件特許発明の文言に対応させると甲5発明である。(口頭審理陳述要領書第18頁下から3?1行)

(イ)甲5発明の課題
甲第5号証には、課題として「本発明は、・・・、農業および園芸用施設の柱基礎の施工が容易で、柱体の耐風荷重、耐雪荷重、耐震性能が高められる農業、園芸施設の柱基礎施行方法および農業、園芸用施設を提供するものである」(【0009】)と記載されている。(口頭審理陳述要領書第4頁第10?14行)

(ウ)甲5発明の作用・機能
甲第5号証には、「土壌とセメント系固化材を混合して形成した基礎材の固化により柱体の基礎部の強度が高められ、柱体に対する風荷重、雪荷重、地震などの耐震性能が高められ、柱体の引き抜き、圧縮、横倒し強度が向上し、軟弱地盤、砂地、土盛り後の地盤に柱体を効果的に直立状態に保持でき、構築物の骨格構造の柱体に適用することによりブレース、筋交いを施す必要がなく、或いはブレース筋交いを少なくでき、さらに、柱体の埋め込み深さを浅くでき、柱体の長さを短くでき、資材費などが安価となり、施工も容易となり省力化を図ることができるとともに経済的に施工ができる。」と記載されている。(口頭審理陳述要領書第6頁第26行?第7頁第1行)

(3)無効理由(甲第1号証を主引用例、甲第2号証ないし甲第5号証を副引用例)
ア 本件特許発明3について
(ア)対比
本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。
一致点
「A.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置であって、
B.前記太陽光発電パネル載置架台は、足場パイプにより形成される柱部材、
C.足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、
D’.前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって、前記固定領域に所定のコンクリートにより形成される固定部材と、からなる基礎部材、
E.を有する太陽光発電装置。」

相違点1
「固定領域D(基礎部材103a)」について、本件特許発明3は「接続部毎の個別」であるが、甲1発明は「複数の接続部を一括して包含するものである」である点。(審判請求書第17頁第6行?第18頁4行)

(イ)相違点1についての判断
a 甲第2号証を副引用例として
(a)甲2記載事項は、支柱の基礎コンクリートに関する技術であり、本件特許発明3及び甲1発明と技術分野を同一にし、適用を阻害するような要因も何ら存在せず適用に際して技術的矛盾も何ら生じないのであるから、甲2記載事項を甲1発明に適用することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に推考しうるものである。(審判請求書第18頁第5?13行)

(b)甲1発明と甲2発明は、「施工が容易で風等に対する外力に対して高い強度を有する上部構造物の支柱基礎」である点で課題が共通する。(口頭審理陳述要領書第4頁第16?24行)
また、甲第1号証と甲第2号証に記載された作用及び機能から、甲1発明と甲2発明は、「柱部材と接続部材(鉄板)を強固に一体として連結し、風荷重に対する高い強度を有する点」で作用、機能を共通としている。(口頭審理陳述要領書第7頁第3?18行)

(c)甲第2号証の【0020】,図1を参酌すれば、甲第2号証では、柱部材と鉄板(板状部材)が柱部材と鉄板との交差部分において基礎用コンクリートブロック(固定部材)で固定されている。よって、甲第2号証の鉄板(板状部材)が本件特許発明3の接続部材に相当することは明らかである。(口頭審理陳述要領書第10頁第20?29行)

(d)本件特許発明3や甲第1号証の上部構造物に設置される太陽光パネルは、その面が水平でなくやや斜め上向きに設置されるのであり、野外のほぼ平坦な場所に設置される場合には、地表の水平方向に吹く風により甲第2号証と同じく「地面に対して垂直位置面に対する水平方向に作用する力」も受けるのである。また、甲2発明においても斜め下から衝撃力が加われば鉛直方向の力(基礎を引き抜く力)も加わるのである。したがって、支柱を支える基礎に働く外力の点では両発明の作用効果は同一である。(口頭審理陳述要領書第11頁第9?16行)

b 甲第3号証を副引用例として
(a)甲3記載事項は、支柱の基礎コンクリートに関する技術であり、本件特許発明3及び甲1発明と技術分野を同一にし、適用を阻害するような要因も何ら存在せず技術的矛盾も生じないのであるから、甲3記載事項を甲1発明に適用して本件特許発明3を導出することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に推考しうるものである。(審判請求書第18頁第26?32行)

(b)甲1発明と甲3発明は、「施工が容易で高い強度、特に風荷重に対する強度を上げた上部構造物の支柱基礎」である点で課題が共通する。(口頭審理陳述要領書第4頁第26?32行)
また、甲第1号証と甲第3号証に記載された作用及び機能から、甲1発明と甲3発明は、「柱部材の基礎をアンカー基礎(接続部材)に連結することにより風に対する高い抵抗力を有する」との点で作用、機能が共通している。(口頭審理陳述要領書第7頁第20行?第8頁第3行)

(c)甲第3号証には、隣接する「支柱5」を接続する「地中梁4とアンカー基礎3と他の地中梁4」が開示されているものであり、支柱5は柱部材に、「地中梁4とアンカー基礎3と他の地中梁4」はまとめて接続部材に相当する。(口頭審理陳述要領書第11頁24?26行)

c 甲第4号証を副引用例として
(a)甲4記載事項は、支柱の基礎コンクリートに関する技術であり、本件特許発明3及び甲1発明と技術分野を同一にし、適用を阻害するような要因も何ら存在せず技術的矛盾も生じないのであるから、甲4記載事項を甲1発明に適用して本件特許発明3を導出することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に推考しうるものである。
なお、甲第4号証の「排水パイプG」が本件特許発明3の「足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材」に対応するものである。排水パイプGは単管パイプで構成されることは技術常識であって、甲第4号証の上屋を複数連結した場合(甲第4号証第6図乃至第9図)においては、排水の特性機能上、排水パイプG同士が直接または間接に互いに連結・連通されることは自明である。すなわち、排水パイプGは、柱部材であるところの支柱2間を直接または間接に接続している構成態様となることは明白であるので、接続部材であるといえる。
甲第4号証においては、排水パイプの出口がどのようになっているか明示されていないが、同一種類のユニット式上屋を多数連結することが示されており、多数の雨トイを兼ねる支柱に連結された排水パイプも他の排水パイプと互いに連結されることが示唆されている。そうすると、排水パイプGが本件特許発明3の接続部材に、支柱2が同柱部材にそれぞれ相当するので、甲第4号証の発明には、接続部毎に形成される固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材が示唆ないし開示されているものといえる。(審判請求書第19頁第9?34行)

(b)甲1発明と甲4発明は、「施工が容易な構造物」である点で課題が共通する。(口頭審理陳述要領書第4頁第34行?第5頁第6行)
また、甲第1号証と甲第4号証に記載された作用及び機能から、甲1発明と甲4発明は、「設置が容易で設置時間を短くできる」との点で作用、機能が共通する。(口頭審理陳述要領書第8頁第5?13行)

(c)排水パイプGは雨トイを兼用する支柱2(本件特許発明3の「柱部材」に相当)を接続するものであるから、本件特許発明3の「接続部材」に相当する。(口頭審理陳述要領書第11頁下から3行?2行)

d 甲第5号証を副引用例として
(a)甲5記載事項は、農業・園芸用施設の柱基礎施行方法等(甲第5号証【0001】等)に関する技術であり、本件特許発明3及び甲1発明と技術分野を同一にし、適用を阻害するような要因も何ら存在せず技術的矛盾も生じない。さらには、甲5記載事項を甲1発明に適用して本件特許発明3を導出することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に推考し得るものである。(審判請求書第20頁第15?27行)

(b)甲1発明と甲5発明は、「施工が容易で風荷重等に対する強度を上げた上部構造物の柱基礎」である点で課題が共通する。(口頭審理陳述要領書第5頁第8?14行)
また、甲第1号証と甲第5号証に記載された作用及び機能から、甲1発明と甲5発明は、「柱部材の基礎の強度を高めることにより風荷重等の強度が高められ、施工が容易となる」との点で、作用、機能が共通する。(口頭審理陳述要領書第8頁第15?30行)

(c)甲第5号証には、接続部材が開示されておらず接続部が存在しないため、一見すると、接続部毎に形成される固定領域が開示されないとも考えられるが、接続部材は甲第1号証に開示されているのであるから、これに甲第5号証記載の「柱体2の下端毎に基礎材12でそれぞれ地面10内で充填固化する」態様を適用すれば、自動的かつ当然に本件特許発明3の「接続部毎に形成される固定領域」の態様が導出されるものであるから、甲1発明と甲5発明により本件特許発明3が容易推考となる。(口頭審理陳述要領書第12頁5?11行)

(d)甲第5号証には、個別の柱部材毎に固定部材が形成されており、甲第1号証には、柱部材と接続部材とを接続(交差)させておいて固定部材を形成することが開示されている。したがって、甲第5号証に甲第1号証の接続部材を追加すれば本件特許発明3が容易に想到しうる。(口頭審理陳述要領書第17頁18?22行)

(e)甲第1号証に接した当業者が、甲第5号証に記載された「柱部材毎に固定部が形成されていること」を見た場合、固定部材の材料を節約すべきとの技術常識を基に、甲第1号証の固定部材に変えて、柱部材と接続部材の接続部毎に固定部材を設けることに容易に想到しうるのである。(口頭審理陳述要領書第17頁29?32行)

e 本件特許発明3により得られる作用効果も、甲1発明及び、甲2記載事項ないし甲4記載事項から当業者が予測しうる範囲内、あるいは甲第5号証に記載される作用効果と同視できる範囲内のものであり、当業者が予測し得ないような格別な効果を奏するものとはいえない。(審判請求書第18頁第20?22行、第19頁第6?8行、第20頁第8?10行、第20頁下から2行?第21頁第1行)

(ウ)本件特許発明3の課題及び作用機能について
本件特許発明3は、主引例発明(甲1発明)の課題に加えて、「本発明は、どのような条件の土地にも適用できる太陽光発電装置を提供すること」を課題として挙げ、作用、機能として「なお、固定部材103a2を形成する固定領域R105の大きさを調整することによって、パネル載置架台103に必要とされる強度、風荷重に対する強度等の性能を調整できる。さらに、固定部材103a2を形成するための固定領域R105の大きさを調整することによって、一続きの基礎部材を形成することが法令等によって規制されている農地等、土地に応じたパネル載置架台103を形成することができる。」(本件特許公報【0043】)と記載されている。
しかしながら、上記作用、機能は、固定部材を一体ではなく、柱部材と接続部材の接続部毎に設けることから通常生じうるものであり、本件特許発明3特有の作用、機能とはいえない。上記作用、機能は、固定部材を接続部毎に個別に設けた場合に、その固定部材の大きさを適宜変更することによって生じるものである。そして、個別の固定部材の大きさを変更することは、当業者が適宜成し得る設計事項に過ぎない。(口頭審理陳述要領書第8頁下から3行?第9頁第13行)

イ 本件特許発明6について
(ア)本件特許発明6と甲1発明との対比、相違点の検討
甲第1号証には、請求項6に記載の「F.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台」についても記載されていることから、本件特許発明6も、甲1発明に甲2記載事項、甲3記載事項、甲4記載事項または甲5記載事項を適用したものに相当するが、この点がその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって容易である点は、本件特許発明3について述べたところと同様である。本件特許発明3についての事項は、本件特許発明6についても何ら変わるものではなく同様である。(審判請求書第18頁第14?19行、第18頁第33行?第19頁第8行、第19頁第35行?第20頁第11行、第20頁第28行?第21頁第1行、口頭審理陳述要領書第19頁第1?3行)

第4 被請求人の主張
1 被請求人の主張の概要
被請求人は、審判事件答弁書において、「本件特許無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、請求人の主張する無効理由にはいずれも理由がない旨主張している。(審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書、口頭審尋調書参照。)

2 被請求人の具体的な主張
(1)本件特許発明について
本件特許発明3及び本件特許発明6については、以下のように構成要件を分説することが適当である。
(本件特許発明3)
「A.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置であって、
B.前記太陽光発電パネル載置架台は、足場パイプにより形成される柱部材、
C.足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材、
D.前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材、
DD.(前記接続部材と前記固定部材と)からなる基礎部材、
E.を有する太陽光発電装置。」

(本件特許発明6)
「F.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台であって、
G.足場パイプにより形成される柱部材、
H.足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材、
I.前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材、
II.(前記接続部材と前記固定部材と)からなる基礎部材、
J.を有する太陽光発電パネル載置架台。」(答弁書第6頁末行?第7頁第24行)

(2)証拠について
ア 甲第1号証
(ア)本件特許発明3において「固定領域」は、接続部毎に形成されている概念である。一方、甲第1号証における基礎部材103aは、本件特許発明3における「固定領域」とは、全く異なる概念である「基礎形成用溝」に形成されている。
また、請求人は、本件特許発明3における「固定領域」なる概念が、あたかも甲第1号証に開示されているかのように、甲第1号証の認定において「固定領域」なる用語を用いているが、甲第1号証には、そもそも「固定領域」なる概念は開示されておらず、請求人の主張は明らかに失当である。
甲第1号証には、
「D1.柱部材103bと接続部材103cの接続部を包含する基礎形成用溝に所定のコンクリートにより形成される基礎部材103a」が開示されていると解することが相当である。
また、「固定領域D」の使用は、混乱が生じるので適当でない。(答弁書第8頁第4行?第9頁第27行)

(イ)本件特許発明3における「固定領域」は、請求項3において、「前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される」ものであることが規定されており、請求人が主張するような,単なる「固定部材を形成するための空間(領域)」ではなく、「接続部を包含」し、及び「接続部毎に形成される」ものである。一方、甲第1号証における「基礎形成用溝」は、「接続部毎に形成される」ものではない。
本件特許発明3は、プロダクト・バイ・プロセスが記載されたものではない。「固定領域」は、「固定部材」の存在範囲を示す記載であり、物である特許請求の範囲の構成要素を特定するために用いられている記述であって、製造方法を記述するものではないことは明らかである。(口頭審理陳述要領書第5頁第16行?第6頁第12行)

イ 甲第2号証
(ア)甲第2号証の【0036】【0037】には、「支柱50」は、基礎用ブロック1と接続され、鉄板(板状部材)30は、隣接する基礎用ブロック1と接続されることが、開示されている。板状部材は棒状部材でも代替できることが甲第2号証に記載されていることを勘案すると、甲第2号証には、「隣接する柱部材を接続する接続部材」は開示されておらず、「隣接する基礎用ブロック1を接続する棒状部材」が開示されていると解することが相当である。
つまり、甲第2号証には、そもそも「接続部材」が開示されていないため「柱部材と接続部材との接続部」、及び「接続部を包含する固定領域」についても開示されていない、と解することが相当である。また、「固定領域」のそれぞれに形成される「固定部材」、ひいては「接続部材」と「固定部材」とからなる「基礎部材」についても、開示されていないと解することが相当である。(答弁書第10頁第10行?第11頁第20行)

(イ)鉄板(板状部材)30と支柱50との接続部が存在しない以上、支柱基礎用ブロック1は、接続部を包含しようがない。(口頭審理陳述要領書第7頁5?9行)

(ウ)甲第2号証の【0021】の記載をみると、「基礎用ブロック1」に「棒状部材を入れ込んだ状態」で生ずる「支持力」は、「支柱50および/またはフェンス部材51への外力(衝撃、風圧)に起因してそれぞれの支柱基礎用ブロック1に作用する前後方向91の転倒に対する抵抗力」である。これは、フェンス等の地面に対する垂直面に外力を受けやすい構築物を前提としていることと整合する。一方、本件特許発明3では、太陽電池パネルが、鉛直方向の風荷重のうち特に下からの荷重により、基礎から抜けないように耐えるよう「風荷重」に対する強度の改善効果を奏するものである。これは、「太陽電池パネル」は、一般的に傾斜する場合はあるものの、地面に対して垂直ではなく、地面に対して水平に近い状態で配置されることに起因する。
このように、本件特許発明3および甲第2号証の作用効果は、「支持力」といった包括的な概念で判断できるものではなく、構造物の構造、その構造に起因する外力に基づき具体的に判断することが相当である。本件特許発明3及び甲第2号証は、それぞれ、構造物の構造、その構造に起因する外力が全く異なることから、両者において、同一の作用効果が生ずるとする請求人の主張は、明らかに失当であり、本件特許発明3は甲第2号証とは異なる作用効果を奏するものと解することが相当である。(答弁書第11頁第24行?第13頁第15行)

ウ 甲第3号証
甲第3号証の【0011】をみると、地中梁4は支柱基礎2、アンカー基礎3といった基礎同士を接続することが開示されている。また、アンカー基礎3には、そもそも支柱が配置されていない。したがって、甲第3号証には、「隣接する柱部材を接続する接続部材」は開示されておらず、「隣接する支柱基礎2とアンカー基礎3とを接続する地中梁4」が開示されていると解することが相当である。つまり、甲第3号証には、そもそも「接続部材」が開示されていないため、「柱部材と接続部材との接合部」及び「接合部を包含する固定領域」についても開示されていないと解することが相当である。また、「固定領域」のそれぞれに形成される「固定部材」、ひいては「接続部材」と「固定部材」とからなる「基礎部材」についても、開示されていないと解することが相当である。したがって、甲第3号証について「D.接続部毎に固定領域を設ける点」が開示されているとの請求人の主張は、明らかに失当である。(答弁書第13頁第17行?第14頁第13行)

エ 甲第4号証
(ア)甲第4号証における支柱2は、雨トイを兼ね、ジョイント3を介して排水パイプGに接続されるものである。つまり、支柱2は、支柱としての機能と雨トイとしての機能を有し、雨トイとしての支柱2が、排水管Gに接続されている。よって、甲第4号証における排水管Gは、雨トイを接続するものであって、柱部材を接続するものではない、と解することが相当であり、甲第4号証には、本件特許発明3における「接続部材」は開示されていないと解することが相当である。
甲第4号証には「接続部材」が開示されていない以上、「柱部材と接続部材との接続部」も開示されておらず、ひいては、「接続部を包含する固定領域」についても開示されていない、と解することが相当である。したがって、甲第4号証について「D.接続部毎に固定領域を設ける点」が開示されているとの請求人の主張は、明らかに失当である。(答弁書第14頁第15行?第15頁第2行)

(イ)甲第4号証においては、支柱2と排水パイプGとの接続部、つまりジョイント3はコンクリートで固められていないから、甲第4号証には、「支柱2と排水パイプGとの各接続部毎にそれぞれコンクリートで固めること」が開示されているとする請求人の主張は失当である。(口頭審理陳述要領書第14頁11?15行)

オ 甲第5号証
本件特許発明3の構成要件Dから、「固定領域」は「柱部材と接続部材との接続部を包含する」領域である。
甲第5号証の【0036】の記載をみると、柱体2、5の下端に形成される基礎材12は、柱体2、5のみを固定するものである。また、甲第5号証には、接続部材については開示されていない。
甲第5号証には「接続部材」が開示されていない以上、「柱部材と接続部材との接続部」も開示されておらず、ひいては、「接続部を包含する固定領域」についても開示されていない、と解することが相当である。したがって、甲第5号証について「D.接続部毎に固定領域を設ける点」が開示されているとの請求人の主張は、明らかに失当である。(答弁書第15頁第4行?第16頁第3行)

(3)無効理由(甲第1号証を主引用例、甲第2号証ないし甲第5号証を副引用例)
ア 本件特許発明3について
(ア)対比
本件特許発明3と甲第1号証とを対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。
一致点
「A.太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置であって、
B.前記太陽光発電パネル載置架台は、足場パイプにより形成される柱部材、
C.足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、
E.を有する太陽光発電装置。」(答弁書第16頁第9?19行)

相違点
「本件特許発明3では、固定部材は、柱部材と接続部材との接続部を包含する固定領域であって接続部毎に形成される固定領域のそれぞれに形成される一方、甲第1号証では、基礎部材103aは、柱部材103bと接続部材103cの接続部を包含する基礎形成用溝に形成される点」(答弁書第17頁第11?17行)

(イ)相違点についての判断
a 甲第2号証を副引用例として
(a)甲第1号証には、「固定領域」なる概念は開示されておらず示唆もない。また、甲第2号証においても「固定領域」なる概念は開示されておらず、示唆もない。したがって、甲第1号証と甲第2号証とを組み合わせたとしても、本件特許発明3の特徴的構成(構成要件D.)には想到し得ない。「固定領域」の認識が本件特許発明の出発点であり「固定領域」の認識なく、本件特許発明に至ることはない。
また、構造物の構造上、甲第1号証においては、地面に対して水平に位置する面に対する鉛直方向に作用する外力が問題となる一方、甲第2号証においては、地面に対して垂直に位置する面に対する水平方向に作用する外力が問題となる。このため、それぞれの基礎に求められる要件も異なり、また、達成すべき効果も異なることから、両者は異なる分野に属すると考えることが相当である。実際、甲第1号証に甲第2号証を組み合わせたとしても、「地面に対して水平に位置する面に対する鉛直に作用する外力が問題」に対する解決には何ら資することはない。つまり、そもそも、両者を組み合わせる理由がない、と解するのが相当である。
本件特許明細書の【0013】の記載のとおり、本件特許発明3は、甲第1号証、甲第2号証にはない特有の効果を有している。(答弁書第17頁第18行?第19頁第10行、第20頁第16行?第21頁第2行)

(b)甲第2号証では、鉄板(板状部材)30は、支柱50に接続されておらず、したがって、鉄板(板状部材)30と支柱50との接続部が存在しない以上、支柱基礎用ブロック1は、本件特許発明3の「固定部材」に相当し得ず、甲第2号証には「固定部材」は開示されていない。したがって、甲第1号証と甲第2号証を組み合わせて本件特許発明3に容易に想到しうるという主張は、明らかに失当である。(口頭審理陳述要領書第11頁第2?9行)

b 甲第3号証を副引用例として
(a)甲第3号証には、「隣接する柱部材を接続する接続部材」は開示されておらず、「隣接する支柱基礎2とアンカー基礎3とを接続する地中梁4」のみが開示されている。つまり、甲第3号証には、そもそも「接続部材」が開示されていないため、「柱部材と接続部材との接続部」及び「接続部を包含する固定領域」についても開示されていない。また、甲第1号証には「固定領域」なる概念は開示されておらず、また、示唆もない。したがって、甲第1号証と甲第3号証とを組み合わせたとしても、本件特許発明3の特徴的構成(構成要件D.)には想到し得ない、と解することが相当である。
また、構造物の構造上、甲第1号証においては、地面に対して水平に位置する面に対する鉛直方向に作用する外力が問題となる一方、甲第3号証においては、地面に対して垂直に位置する面に対する水平方向に作用する外力が問題となる。このため、それぞれの基礎に求められる要件も異なり、また、達成すべき効果も異なることから、両者は異なる分野に属すると考えることが相当である。実際、甲第1号証に甲第3号証を組み合わせたとしても、「地面に対して水平に位置する面に対する鉛直に作用する外力が問題」に対する解決には何ら資することはない。つまり、そもそも、両者を組み合わせる理由がない、と解するのが相当である。(答弁書第21頁第13行?第22頁第20行)

(b)「地中梁4」及び「アンカー基礎3」を結合した1つの部材(3部材接続態様)が甲第3号証に開示されているとの主張は明らかに無理があり、甲第3号証には、「接続部材」は開示されていない。(口頭審理陳述要領書第12頁第11?17行)

c 甲第4号証を副引用例として
甲第4号証には、「隣接する柱部材を接続する接続部材」は開示されていない。つまり、甲第4号証には、そもそも「接続部材」が開示されていないため、「柱部材と接続部材との接続部」及び「接続部を包含する固定領域」についても開示されていない。また、甲第1号証には「固定領域」なる概念は開示されておらず、また、示唆もない。したがって、甲第1号証と甲第4号証とを組み合わせたとしても、本件特許発明3の特徴的構成(構成要件D.)には想到し得ない、と解することが相当である。
また、甲第4号証には、甲第1号証において必要としない技術が開示されている。したがって、甲第1号証と甲第4号証とを組み合わせる理由は存在しない。
また、甲第1号証には、太陽光発電装置に関する構造及び施工に関する技術が開示されており、甲第4号証には、自転車置場等の上屋に関する構造及び施工に関する技術が開示されている。施工する構造物によって、求められる条件、達成すべき効果は異なることから、甲第1号証と甲第4号証とは,異なる技術に属すると解することが相当である。
本件特許明細書の【0013】の記載のとおり、本件特許発明3は、甲第1号証、甲第4号証にはない特有の効果を有している。(答弁書第23頁第16行?第25頁第10行、第26頁第4行?第26頁第28行)

d 甲第5号証を副引用例として
本件特許発明3は、太陽光発電装置に関する構造に関する技術であり、甲第5号証とは異なる技術分野に属すると解することが相当である。
また、本件特許発明3は、構造体としての「太陽光発電装置等」の強度を高めることができることを作用効果とし、「柱体」の強度を高めることを高めることを作用効果としないことは明らかである。
また、甲第5号証には、「隣接する柱部材を接続する接続部材」は開示されていないため、「柱部材と接続部材との接続部」及び「接続部を包含する固定領域」についても開示されていない。また、甲第1号証には「固定領域」なる概念は開示されておらず、また、示唆もない。したがって、甲第1号証と甲第5号証とを組み合わせたとしても、本件特許発明3の特徴的構成(構成要件D.)には想到し得ない、と解することが相当である。
また、甲第5号証で用いるセメント系固化材を用いて土壌改良された土壌の強度は、コンクリートの強度より、はるかに低いことは、当業者であれば常識であるため、甲第5号証のように、もともと地面に直接的に立設していた柱体を、土壌改良した地面に立設するのであれば、強度改善につながると考えられなくはないが、甲第1号証のように、もともとコンクリートで形成されていた基礎部材103aを、セメント系固化材を用いて土壌改良された土壌で形成することは、事実上、強度を低下させることになる。よって、強度向上を目的とする甲第1号証に、甲第5号証を組み合わせる理由は存在しない。
本件特許明細書の【0013】の記載のとおり、本件特許発明3は、甲第1号証、甲第5号証にはない特有の効果を有している。(答弁書第27頁第9行?第29頁第27行、第30頁第20行?第31頁第13行)

イ 本件特許発明6について
本件特許発明6は、本件特許発明3の構成要件Dと同様の特徴的構成
「I.前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに所定のコンクリートにより形成される固定部材」
を有している。
よって、本件特許発明3と同様に、本件特許発明6についても、甲第1号証に対して、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第5号証のいずれを組み合わせたとしても、当業者は想到し得ないと解することが相当である。
また、本件特許発明3と同様に、本件特許発明6についても、本件特許明細書の【0013】の記載のとおり、特有の効果を有している。(答弁書第19頁第18行?第21頁第2行、第22頁第22行?第23頁第11行、第25頁第12行?第27頁第6行、第30頁第1行?第31頁第13行)

第5 証拠の記載
1 甲第1号証
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同様。)
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関し、特に、基礎部材を有するものに関する。」

(2)「【0008】
前述の太陽電池パネル架台ユニット10には、以下に示すような改善すべき点がある。基礎ブロック1は、支柱2に対して個別に形成される。また、基礎ブロック1と支柱2とは、アンカー8で固定される。アンカー8によって基礎ブロック1と支柱2とを固定しただけでは、場合によっては、太陽電池パネル架台ユニット10に取り付けられた太陽電池パネル5が受ける風荷重に耐えられない、という改善すべき点がある。
【0009】
また、基礎ブロック1が支柱2に対して個別に形成されるため、太陽電池パネル架台ユニット10の施工が煩雑になる、という改善すべき点がある。
【0010】
そこで、本発明は、施工が容易で高い強度有する太陽光発電装置を提供することを目的とする。」

(3)「【0011】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0012】
本発明に係る太陽光発電装置は、太陽光発電パネル及び前記太陽光発電パネルを載置するパネル載置部材を有する太陽光発電装置であって、前記パネル載置部材は、基礎部材、複数の柱部材、隣接する前記柱部材を接続し、前記基礎部材に内包される接続部材、を有する。
【0013】
これにより、基礎部材と柱部材とを強固に一体にできる。よって、太陽光発電装置の強度、特に風荷重に対する強度を上げることができる。
【0014】
本発明に係る太陽光発電装置では、前記柱部材は、足場パイプであること、を特徴とする。
【0015】
これにより、低コストな太陽光発電装置を提供することができる。
【0016】
本発明に係る太陽光発電装置において、前記接続部材は、足場パイプであること、を特徴とする。
【0017】
これにより、低コストな太陽光発電装置を提供することができる。
【0018】
本発明に係る太陽光発電パネル載置装置は、太陽光発電パネルを載置する太陽光パネル載置装置であって、基礎部材、複数の柱部材、隣接する前記柱部材を接続し、前記基礎部材に内包される接続部材、を有する。
【0019】
これにより、基礎部材と柱部材とを強固に一体にできる。よって、太陽光発電パネル載置装置に太陽光発電パネルを載置した際の強度、特に風荷重に対する強度を上げることができる。
【0020】
本発明に係る太陽光発電装置の施工方法は、太陽光発電パネル及び前記太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置架台であって、基礎部材、柱部材及び接続部材を有する太陽光発電パネル載置架台を有する太陽光発電装置を生成する太陽光発電装置の施工方法であって、前記基礎部材を形成するために地面に形成された基礎形成用溝に沿って前記柱部材を配置し、前記基礎形成用溝の内部において、隣接する前記柱部材を前記接続部材で接続し、前記基礎形成用溝に所定のコンクリートを流し込んで前記パネル載置架台を生成し、生成した前記太陽光発電パネル載置架台に前記太陽光発電パネルを載置すること、によって前記太陽光発電装置を施工する。
【0021】
これにより、基礎部材と柱部材とを強固に一体にできる。よって、高い強度、特に風荷重に対する高い強度を有する太陽光発電装置を簡単な作業で容易に設置することができる。
【0022】
本発明に係る太陽光発電パネル載置架台の施工方法は、太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置架台であって、基礎部材、柱部材及び接続部材を有する太陽光発電パネル載置架台を施工する太陽光発電パネル載置架台の施工方法であって、前記基礎部材を形成するために地面に形成された基礎形成用溝に沿って前記柱部材を配置し、前記基礎形成用溝の内部において、隣接する前記柱部材を前記接続部材で接続し、前記基礎形成用溝に所定のコンクリートを流し込むこと、によって前記太陽光発電パネル載置架台を施工する。
【0023】
これにより、基礎部材と柱部材とを強固に一体にできる。よって、太陽光発電パネルを載置した際に、高い強度、特に風荷重に対する強度を有するパネル載置架台を簡単な作業で容易に設置することができる。」

(4)「【0026】
第1 構成
本発明の一実施例に係る太陽光発電装置100の構成について図1を用いて説明する。太陽光発電装置100は、太陽光発電パネル101及びパネル載置架台103を有している。太陽光発電パネル101は、複数の太陽電池を並べて相互接続し、パネル状にしたものである。太陽光発電パネル101に用いられる太陽電池としては、シリコンを用いるもの(シリコン系)であっても、化合物を用いるもの(化合物系)であってもよい。また、シリコン系の太陽電池としては、結晶シリコンを用いるもの(結晶系)であっても、アモルファスシリコンを用いるもの(アモルファス系)であってもよい。さらに、結晶系の太陽電池としては、単結晶シリコンを用いるものであっても、多結晶シリコンを用いるものであってもよい。さらに、化合物系の太陽電池としては、GaAS等の単結晶を用いるもの(単結晶系)であっても、CdS、CdTe、CulnGaSe2等を用いるもの(多結晶系)であってもよい。
【0027】
パネル載置架台103は、足場パイプである単管を組み合わせて形成されている。パネル載置架台103は、単管の組合せにより形成される太陽光発電パネル載置面P103に沿って、太陽光発電パネル101を載置する。なお、図1においては、太陽光発電パネル載置面P103の一部に太陽光発電パネル101が載置されている状態を示している。
【0028】
また、パネル載置架台103は、基礎部材103a、柱部材103b、及び接続部材103cを有している。基礎部材103aは、コンクリートにより形成されている。基礎部材103aは、地面に形成する基礎形成用溝(後述)にコンクリートを流し込むことによって形成される。したがって、基礎部材103aは、地中に位置する。なお、図1においては、基礎部材103aの内部構造を明らかにするために、基礎部材103aのコンクリートを透過状態として記載している。
【0029】
柱部材103bは、断面環状の単管により形成されている。柱部材103bは、基礎部材103aに固定されている。柱部材103bは、所定間隔で、複数、配置される。
【0030】
接続部材103cは、単管により形成されている。接続部材103cは、隣接する柱部材103bを接続している。また、接続部材103cは、基礎部材103aに内包されている。つまり、接続部材103cは、基礎形成用溝の内部で、柱部材103bの下部を接続する。
【0031】
このように、隣接する柱部材103bを接続する接続部材103cを基礎部材103aに内包させることによって、柱部材103bと基礎部材103aとを強固に一体とできる。これにより、パネル載置架台103に太陽光発電パネル101を載置した際の強度、特に風荷重に対する強度を上げることができる。
【0032】
また、隣接する柱部材103bを接続部材103cによって接続するので、柱部材103bを精度よく直線状に配置できる。さらに、隣接する柱部材103bを、精度よく予め定めた所定の間隔で配置できる。これにより、柱部材103bの上部に単管を組み合わせてパネル載置面P103を形成する際に発生する調整作業を少なくできるので、太陽光発電装置100の設置作業を簡単にできるとともに、設置時間を短縮することができる。
・・・・
【0035】
第2 太陽光発電装置100の設置方法
次に、太陽光発電装置100の設置方法について図2?図4を用いて説明する。図2Aに示すように、太陽光発電装置100を設置する施工者は、地面に基礎部材103aを形成するコンクリートを流し込むための基礎形成用溝Dを形成する。ここで、施工者は、一の太陽光発電装置100に対して基礎形成用溝Dを、2本、平行に形成する。なお、基礎形成用溝Dの形状については、特に限定されないが、一般的には、断面がほぼ矩形状である。」

(5)図面
a 図1






b 図4






上記図4から、接続部材103c及び柱部材103bと接続部材103cとの接続部分が、基礎部材103aに内包されている点が看て取れる。

上記(4)の【0028】の「基礎部材103aは、コンクリートにより形成されている。基礎部材103aは、地面に形成する基礎形成用溝(後述)にコンクリートを流し込むことによって形成される。」との記載によれば、基礎部材103aは、コンクリートにより形成され、基礎形成用溝Dにコンクリートを流し込むことによって形成されるから、これを踏まえると、上記図1から、基礎部材103aの形状は、基礎形成用溝Dの形状と同じであることが看て取れる。

(6)上記(1)ないし(5)からみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」、「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「太陽光発電パネル101及びパネル載置架台103を有する太陽光発電装置100であり、
パネル載置架台103は、単管の組合せにより形成される太陽光発電パネル載置面P103に沿って、太陽光発電パネル101を載置し、
パネル載置架台103は、足場パイプである単管を組み合わせて形成されており、基礎部材103a、足場パイプである柱部材103b、及び足場パイプである接続部材103cを有し、基礎部材103aは、コンクリートにより形成され、基礎部材103aの形状は、基礎形成用溝Dの形状と同じであり、柱部材103bは、基礎部材103aに固定されており、
前記接続部材103cは、隣接する柱部材103bを接続し、前記基礎部材103aに内包され、基礎形成用溝Dの内部で、柱部材103bの下部を接続する、
太陽光発電装置100。」

(甲1-1発明)
「単管の組合せにより形成される太陽光発電パネル載置面P103に沿って、太陽光発電パネル101を載置するパネル載置架台103であり、
基礎部材103a、足場パイプである柱部材103b、及び足場パイプである接続部材103cを有し、基礎部材103aは、コンクリートにより形成され、基礎部材103aの形状は、基礎形成用溝Dの形状と同じであり、柱部材103bは、基礎部材103aに固定されており、
前記接続部材103cは、隣接する柱部材103bを接続し、前記基礎部材103aに内包され、基礎形成用溝Dの内部で、柱部材103bの下部を接続する、
パネル載置架台103。」

2 甲第2号証
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製の支柱基礎用ブロックおよび支柱基礎に関するものである。」

(2)「【0006】
フェンスや標識などの支柱を支持する支柱基礎用ブロックであって、把握および運搬がしやすい支柱基礎用ブロックが要望されている。従来の支柱基礎用ブロックでは、特許文献2のように、両側面に切込み部(窪み)が設けられており、窪みは、手指を引っ掛けてブロックを持ち運べるように両側面の下部の中央に設けられていた。」

(3)「【0017】
図1に、本発明に係る支柱基礎用ブロックを用いたフェンスの概要を斜視図により示している。図1では、地面(路面)80よりも上に表れた部分を実線で、地面80よりも下、すなわち地中81に埋設された部分を破線で表している。
【0018】
フェンス(境界構造物)100は、複数の支柱基礎用ブロック1を一列に並べて施工した支柱基礎5と、支柱基礎5の複数の支柱基礎用ブロック1により支持された複数の支柱(ポール)50と、複数の支柱50の間にセットされたフェンス部材51とを有する。
【0019】
それぞれの支柱基礎用ブロック1は、上面15を含む上部10xを除く下部(埋設部)10yが地中81に埋設されたコンクリート製のブロック本体10を有する。ブロック本体10は、全体が四角柱状(直方体状)であり、前後方向91の両側面、すなわち前側面(正面、第1の側面)11および後側面(背面、第2の側面)12に形成された一組の溝20を有する。一組の溝20は、前側面11に形成された第1の溝21と、後側面12に第1の溝21と前後対称に形成された第2の溝22とを含む。第1の溝21および第2の溝22は、前後方向(第1の方向)91に直交する左右方向(第2の方向)92にストレートに延びており、地中81に埋設されている。
【0020】
この支柱基礎5は、それぞれの支柱基礎用ブロック1が左右方向92にほぼ等間隔に並ぶように施工されており、それぞれの第1の溝21および第2の溝22も左右方向92に平行に配列されている。支柱基礎5は、左右方向92に平行に配列された複数の第1の溝21および第2の溝22に入れ込まれた(挿入された、収容された)鉄板(板状部材)30を有する。
【0021】
このため、この支柱基礎5は、複数の支柱基礎用ブロック1を前後方向91に挟むように配置された鉄板30により、複数の支柱基礎用ブロック1を地中81で左右方向92に一体に連結でき、支持力を向上させやすい。したがって、支柱50および/またはフェンス部材51への外力(衝撃、風圧)に起因してそれぞれの支柱基礎用ブロック1に作用する前後方向91の転倒モーメントに対して、左右方向92に連結された支柱基礎5の全体で対抗する抵抗モーメントを増加させやすく、前後方向91の転倒に対して抵抗力のある支柱基礎5およびフェンス100を提供できる。」

(4)図1





(5)図9





(6)上記(1)ないし(5)からみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「複数の支柱基礎用ブロック1を一列に並べて施工した支柱基礎5と、支柱基礎5の複数の支柱基礎用ブロック1により支持された複数の支柱(ポール)50と、複数の支柱50の間にセットされたフェンス部材51とを有するフェンス(境界構造物)100において、
それぞれの支柱基礎用ブロック1は、上面15を含む上部10xを除く下部(埋設部)10yが地中81に埋設されたコンクリート製のブロック本体10を有し、前記ブロック本体10は、全体が四角柱状(直方体状)であり、前側面11および後側面12に形成された一組の溝20を有しており、一組の溝20は、前側面11に形成された第1の溝21と、後側面12に第1の溝21と前後対称に形成された第2の溝22とを含み、
この支柱基礎5は、それぞれの支柱基礎用ブロック1が左右方向92にほぼ等間隔に並ぶように施工されており、それぞれの第1の溝21および第2の溝22も左右方向92に平行に配列されているとともに、左右方向92に平行に配列された複数の第1の溝21および第2の溝22に入れ込まれた(挿入された、収容された)鉄板(板状部材)30を有する、
フェンス(境界構造物)100。」

3 甲第3号証
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、防風、防塵、防砂等のため、地盤に固定された複数の支柱間に鋼板製折板、樹脂ネット等の防風、防塵、防砂等のための防風材を取付けて防風壁面を形成する防風壁の構造に関する。」

(2)「【0004】
また、特許文献1に示す防風壁構造では、高さ20m程度の大規模な支柱構造に適用するためには、防風壁面が受ける風荷重が大きくなることによって増大するワイヤーの引張力に抵抗するため、支柱に取付ける水平突出材の根入れ深さを深くする必要があるばかりでなく、大きな転倒モーメントに抵抗するために水平突出材及び支柱との接合部分を強固にしなければならず、支柱を構築するための材料費と施工コストが高価になるという問題を有するものであった。
本発明は、支柱及び基礎構造の構築のための材料費と施工コストの低減化を図ることができる防風壁を提供することを目的とする。」

(3)「【0010】
本発明の構成により、防風壁面が受ける風荷重の大部分は風上側の2本の引張材を経由し、風上側のアンカー基礎への引抜力と水平力として作用するが、アンカー基礎重量とアンカー基礎底面の摩擦力にて抵抗できるため、根入れ深さは浅くとも良く、支柱も風荷重の負担が少なくなるため細くすることができる。また、支柱基礎と各アンカー基礎とを地中梁で連結し、隣り合う支柱同士でアンカー基礎を兼用することにより、水平力は地中梁を経由して、全てのアンカー基礎底面の摩擦力で負担することが可能となるため、防風材を設置するための支柱及び基礎構造の強度をそれ程大きなものとする必要がなく、支柱及び基礎構造の構築のための材料費と施工コストの低減化を図ることができる。
引張材の設置位置を支柱最上部よりも低くすることにより、支柱の座屈長さを低減し、部材耐力を大きく評価することができ、特に引張材の設置位置を支柱の上部1/3の範囲とすることにより、曲げモーメントが卓越する引張材より上の部分と圧縮力が卓越する下の部分での応力度比がほぼ等しくなるため、他の範囲に設置する場合に比べて支柱を細くすることができる。
引張材に初期張力を導入することにより、支柱自身の変形を抑制するとともに、風下側引張材のたわみをも抑制できるため、荷重作用時の挙動を安定させることができる。
また、引張材をタイロッドとすることにより、クリープ等による引張材の延びを抑制できるため、荷重作用時の挙動を安定させることができる。
防風材を昇降可能な防風ネットとすることにより、例えば台風接近時などの強風時には防風材を降ろすことで負担する風荷重を低減し、構造体の過荷重による破壊・損傷を回避できる。その結果として、構造体の設計を簡素化可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態を図により説明する。
本発明の支線タイプ防風壁1は、10mから20m程度の所定間隔毎(一定間隔毎)に地盤に構築されたコンクリート製の支柱基礎2,コンクリート製のアンカー基礎3、支柱基礎2とアンカー基礎3とを連結するコンクリートまたは鋼製の地中梁4、支柱基礎2に立設される高さ20m程度、太さ400mm程度の鋼製の支柱5、アンカー基礎3と支柱5上部とを連結する太さ30mmから50mm程度の引張材6を有する。
【0012】
さらに説明すると、前記コンクリート製の各支柱基礎2の中心は、同じ直線上に位置するように地盤に構築され、各支柱基礎2により直線状配置の支柱基礎列が構成され、支柱基礎列の両側に支柱基礎2と同一の間隔で、しかも直線状配置の基礎列から横方向に離れていると共に隣り合う支柱基礎2から等距離に離れた位置にそれぞれアンカー基礎3が設けられ、各アンカー基礎3とこれに最も近接している支柱基礎2とは地中梁4により一体に連結され、各支柱5の上部から各アンカー基礎3に向けて、各支柱5から4方向に支柱上部とアンカー基礎3とは引張材6により連結されている。」

(4)図1





(5)上記(1)ないし(4)からみて、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
「所定間隔毎(一定間隔毎)に地盤に構築されたコンクリート製の支柱基礎2,コンクリート製のアンカー基礎3、支柱基礎2とアンカー基礎3とを連結するコンクリートまたは鋼製の地中梁4、支柱基礎2に立設される鋼製の支柱5、アンカー基礎3と支柱5上部とを連結する引張材6を有し、
前記コンクリート製の各支柱基礎2の中心は、同じ直線上に位置するように地盤に構築され、各支柱基礎2により直線状配置の支柱基礎列が構成され、支柱基礎列の両側に支柱基礎2と同一の間隔で、しかも直線状配置の基礎列から横方向に離れていると共に隣り合う支柱基礎2から等距離に離れた位置にそれぞれアンカー基礎3が設けられ、各アンカー基礎3とこれに最も近接している支柱基礎2とは地中梁4により一体に連結され、各支柱5の上部から各アンカー基礎3に向けて、各支柱5から4方向に支柱上部とアンカー基礎3とは引張材6により連結されている、支線タイプ防風壁1。」

4 甲第4号証
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
(1)「本案は、自転車置場、公園のベンチ、子供遊園地、簡易待合所、荷揚場等に使用可能な上屋を、一ツの定型パネルを多数組み合せて一本の支柱の上端に漏斗状に取りつけることにより、製作、組立、使用上その経済効果を高めんとするものである。」(第1頁左欄第29?34行)

(2)「こうして出来上つた屋根部分を支える支柱2は中空とし、雨トイを兼ねさせ、ジヨイント3にねじこみ、その末端はL字型に曲げられ排水パイプGに接続される。またこの接地部分EはコンクリートF及びボルトニによつて動揺のないよう据えつけられる。」(第1頁右欄第15?20行)

(3)「図面Bは同一種類のユニツト式上屋を多数連結できる各種の組み合せを図示したものである。
この場合は僅かの補助材、(ジヨイントパネル4とジヨイントカバー5)を使用し、必要に応じ自由に連結させることができる。
本案は上記の通りであるから、一ツの定型に成形されたパネルを多数使用することによつて、生産面での量産化を、需要の面では組立ての軽便と連結の自由化が期待され、漏斗状の屋根(勾配1.5/10)は風圧抵抗を減じ、同一面積の上屋に較べ柱の数は少なくてすむ。」(第1頁右欄第21?31行)

(4)図面
ア 第1図?第5図





イ 第6図?第7図




上記第6図から、平面視12角形の上屋を3つ連結した点が看て取れる。

(5)上記(1)ないし(4)からみて、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲4発明)
「自転車置場、公園のベンチ、子供遊園地、簡易待合所、荷揚場等に使用可能な上屋において、
屋根部分を支える支柱2は中空とし、雨トイを兼ねさせ、ジヨイント3にねじこみ、その末端はL字型に曲げられ排水パイプGに接続されるとともに、接地部分EはコンクリートF及びボルトニによって動揺のないよう据えつけられ、多数連結することができる、上屋。」

5 甲第5号証
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業および家庭園芸用施設、例えば、各種の育苗、野菜、果実、花卉などを栽培するビニールハウス、ガラス温室、アクリル温室などの構築物の骨格柱の基礎、または、植物を吊すワイヤーを固定する支柱、或いは、果実棚などの支柱の基礎部分に用いられる農業、園芸用施設の柱基礎施工方法および農業、園芸用施設に関する。」

(2)「【0009】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、農業および園芸用施設の柱基礎の施工が容易で、柱体の耐風過重、耐雪過重、耐震性能が高められる農業、園芸用施設の柱基礎施工方法および農業、園芸用施設を提供するものである。」

(3)「【0035】図2は農業および園芸用施設の斜視図で、図2において、1は農業用施設としての農業用ハウスで、この農業用ハウス1は、複数のアーチ状に湾曲したアーチパイプなどにて形成される柱体2をそれぞれ平行に棟方向に並設して両側下部を地面に固定し、この並設された各柱体2と棟方向に配設した複数のストレートパイプなどの棟木体3および肩直管4との交差部をそれぞれ連結金具で固着し、さらに、この両端の柱体2にてそれぞれ形成される妻面部分に複数の妻柱の柱体5の下部を地面に固定し、この各妻柱の柱体5の上部とアーチパイプの柱体2との交差部を連結金具にて固着し、この妻面に扉レール6に沿って開閉移動する扉体7を有する出入口部8を形成して農業用施設の構築物の骨格構造9を構成する。
【0036】図1は柱基礎部の説明図で、図1に示すように、前記柱体2の両端下部および妻柱の柱体5の下端は、地面10を掘削した直径100mm程度の掘削孔11に直立状態で配設し、この掘削孔11から直立された前記柱体2,5の周囲にセメント系固化材と土壌とを混合した混合物の基礎材12を充填固化して、前記柱体2,5の下部を地面10に前記基礎材12にて埋設した状態で固定する。この柱体2,5の下部の埋め込み深さは農業用ハウス1の柱体2,5の大きさにもよるが、300mm?350mm程度とする。」

(4)図1





(5)上記(1)ないし(4)からみて、甲第5号証には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲5発明)
「複数のアーチ状に湾曲したアーチパイプなどにて形成される柱体2をそれぞれ平行に棟方向に並設して両側下部を地面に固定し、この並設された各柱体2と棟方向に配設した複数のストレートパイプなどの棟木体3および肩直管4との交差部をそれぞれ連結金具で固着し、さらに、この両端の柱体2にてそれぞれ形成される妻面部分に複数の妻柱の柱体5の下部を地面に固定し、この各妻柱の柱体5の上部とアーチパイプの柱体2との交差部を連結金具にて固着し、この妻面に扉レール6に沿って開閉移動する扉体7を有する出入口部8を形成して農業用施設の構築物の骨格構造9を構成する農業用ハウス1であって、
柱体2の両端下部および妻柱の柱体5の下端は、地面10を掘削した掘削孔11に直立状態で配設し、この掘削孔11から直立された前記柱体2,5の周囲にセメント系固化材と土壌とを混合した混合物の基礎材12を充填固化して、前記柱体2,5の下部を地面10に前記基礎材12にて埋設した状態で固定され、
柱基礎の施工が容易で、柱体の耐風過重、耐雪過重、耐震性能が高められる、
農業用ハウス1。」

第6 当審の判断
1 本件特許発明3について
(1)対比
本件特許発明3と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「太陽光発電パネル101」、「太陽光発電パネル載置面P103」、「パネル載置架台103」及び「太陽光発電装置100」は、本件特許発明3の「太陽光発電パネル」、「太陽光発電パネル載置面」、「太陽光発電パネル載置架台」及び「太陽光発電装置」に、それぞれ相当する。
したがって、甲1発明の「太陽光発電パネル101」を載置する「太陽光発電パネル載置面P103」を有する「パネル載置架台103」、及び、前記「太陽光発電パネル101」を有する「太陽光発電装置100」は、本件特許発明3の「太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置」に相当する。

イ 甲1発明の「足場パイプである柱部材103b」は、本件特許発明3の「足場パイプにより形成される柱部材」に相当する。
また、甲1発明の「足場パイプである接続部材103c」であって、「隣接する柱部材103bを接続」する「接続部材103c」は、本件特許発明3の「足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材」に相当する。

ウ 甲1発明では、「柱部材103bは、基礎部材103aに固定されて」いるから、甲1発明の「基礎部材103a」は、柱部材103bを固定する「固定部材」といえる。
そして、甲1発明では、「基礎部材103aは、コンクリートにより形成され」ているところ、甲第1号証の【0020】には、コンクリートにより形成するにあたり、「所定の」コンクリートを流し込むことが記載されているから、甲1発明の「基礎部材103a」は、「所定のコンクリートにより形成される固定部材」といえる。
さらに、甲1発明は、「接続部材103cは、隣接する柱部材103bを接続し、前記基礎部材103aに内包され、基礎形成用溝Dの内部で、柱部材103bの下部を接続」しているから、甲第1号証の図4(上記第5の1(5)b)からも明らかなとおり、「基礎部材103a」は、「前記柱部材103bと前記接続部材103cとの接続部分」を内包している。
以上によれば、甲1発明の「基礎部材103a」と、本件特許発明3の「固定部材」とは、「前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含」し、「所定のコンクリートにより形成される固定部材」である点で共通する。

エ 上記イのとおり、甲1発明の「接続部材103c」は、本件特許発明3の「足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材」に相当する。
また、上記ウのとおり、甲1発明の「基礎部材103a」は、本件特許発明3の「固定部材」とは、「前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含」し、「所定のコンクリートにより形成される固定部材」である点で共通する。
そして、甲1発明の「接続部材103c」は、「基礎部材103a」に内包され、「接続部材103cと基礎部材103aからなる部材」は、一体となって「基礎部材」として機能することは明らかであるから、甲1発明における「接続部材103cと基礎部材103aからなる部材」と、本件特許発明3の「基礎部材」とは、「『足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材』と、『前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含』し、『所定のコンクリートにより形成される固定部材』と、からなる基礎部材」である点で共通する。

オ 甲1発明の「パネル載置架台103」は、基礎部材103a、柱部材103b及び接続部材103cを有するから、「柱部材103b」、及び、上記「接続部材103cと基礎部材103aからなる部材」を有するものであり、そうすると、甲1発明の「パネル載置架台103」と、本件特許発明3の「太陽光発電パネル載置架台」とは、「柱部材」と「『足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材』と、『前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含』し、『所定のコンクリートにより形成される固定部材』と、からなる基礎部材」、を有する点で共通する。

カ 以上によれば、本件特許発明3と甲1発明の一致点、相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置面を有する太陽光発電パネル載置架台、及び、前記太陽光発電パネルを有する太陽光発電装置であって、
前記太陽光発電パネル載置架台は、
足場パイプにより形成される柱部材、
足場パイプにより形成される接続部材であって、隣接する前記柱部材を接続する接続部材と、前記柱部材と前記接続部材との接続部を包含し、所定のコンクリートにより形成される固定部材と、からなる基礎部材、
を有する太陽光発電装置。」

<相違点>
「固定部材」が、本件特許発明3では、「接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」形成されるのに対して、甲1発明では「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」って、「接続部を包含する固定領域であって前記接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」形成されるものではない点。

(2)判断
相違点について検討する。

ア 各副引用例の適用について
以下、甲1発明に甲2発明ないし甲5発明を適用することについて検討する。

(ア)甲第2号証を副引用例として検討
a 甲第2号証には、上記第5の2(6)のとおりの甲2発明が記載されている。
甲2発明の「支柱50」が、本件特許発明3の「柱部材」に相当する。
また、甲2発明の「コンクリート製のブロック本体10」を有する「支柱基礎用ブロック1」及び「鉄板30」は、その配置状況からみて、一応、本件特許発明3の「所定のコンクリートにより形成される固定部材」及び「接続部材」にそれぞれ対応する。
しかしながら、甲2発明において、「支柱基礎用ブロック1により支持された」「支柱50」と、「(「支柱基礎用ブロック1」の)第1の溝21および第2の溝22に入れ込まれた(挿入された、収容された)鉄板(板状部材30)とは、直接接続されるものではないから、甲2発明には、本件特許発明3における「(前記柱部材と前記接続部材との)接続部」は存在しない。よって、甲2発明の「支柱基礎用ブロック1」は、「支柱50」毎に形成されるとしても、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではない。
したがって、甲2発明は、上記相違点に係る構成を備えていないから、甲1発明に、甲2発明を適用しても、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることはできない。

b 次に、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではないものの、(その「ブロック本体10」が、「四角柱状(直方体状)であ」る)甲2発明の「支柱基礎用ブロック1」のみに着目して、甲1発明に適用できるかどうかについて検討する。
甲第2号証の【0021】には、「この支柱基礎5は、複数の支柱基礎用ブロック1を前後方向91に挟むように配置された鉄板30により、複数の支柱基礎用ブロック1を地中81で左右方向92に一体に連結でき、支持力を向上させやすい。したがって、支柱50および/またはフェンス部材51への外力(衝撃、風圧)に起因してそれぞれの支柱基礎用ブロック1に作用する前後方向91の転倒モーメントに対して、左右方向92に連結された支柱基礎5の全体で対抗する抵抗モーメントを増加させやすく、前後方向91の転倒に対して抵抗力のある支柱基礎5およびフェンス100を提供できる。」(上記第5の2(3))と記載されており、支柱基礎用ブロック1を鉄板30により連結することにより、外力に起因する転倒モーメントに対して、支柱基礎5全体で対抗する抵抗モーメントを増加させやすくなって、逆に、鉄板30で連結されない支柱基礎用ブロック1では、上記抵抗モーメントを増加させることはできなくなるといえるから、甲2発明における「支柱基礎用ブロック1」は、鉄板30と連結することが課題解決のために必要と理解できる。
そうすると、甲2発明において、鉄板30と連結することを捨象して、支柱基礎用ブロック1の(「四角柱状(直方体状)」)との形状のみを甲1発明の「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」に適用しようとは、当業者は発想しないものと認められる。

また、上記第5の1(2)のとおり、従来の太陽光発電パネル載置装置について、甲第1号証には、「基礎ブロック1が支柱2に対して個別に形成されるため、太陽電池パネル架台ユニット10の施工が煩雑になる」との課題が記載され、「本発明は、施工が容易で高い強度有する太陽光発電装置を提供することを目的とする。」との記載がある。
甲1発明は、上記課題を解決し、上記目的を達成しようとするものであるから、甲1発明の「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」を、「柱部材103b」と「接続部材103c」とを「接続」した部位である接続部毎に個別に形成されるものとすることは、「施工が煩雑になる」という課題に反することとなるから、甲1発明の「基礎ブロック1」に代えて、接続部毎に甲2発明の「支柱基礎用ブロック1」を適用することには、阻害要因が存在する。

c そして、本件特許発明3は、上記相違点に係る構成を備えることにより、本件特許明細書の【0027】に記載の「固定部材103a2を形成することによって、接続部材103a1と柱部材103bとを強固に固定でき、ひいては、高い強度を有するパネル載置架台103を容易に形成できる。また、固定部材103a2と接続部材103a1とが一体となった基礎部材を地中に形成できる。さらに、固定部材103a2を形成する固定領域R105の大きさを調整することによって、パネル載置架台103に必要とされる強度、風荷重に対する強度等の性能を調整できる。さらに、固定部材103a2を形成するための固定領域R105の大きさを調整することによって、一続きの基礎部材を形成することが法令等によって規制されている農地等、土地に応じたパネル載置架台103を形成することができる。」との作用効果を奏するものである。

d 以上のとおりであるから、甲1発明において、甲2発明を適用することにより、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

e 請求人は、甲第2号証には、柱部材と鉄板(板状部材)が柱部材と鉄板との交差部分において基礎用コンクリートブロック(固定部材)で固定されているから、甲第2号証の「鉄板(板状部材)」が本件特許発明3の「接続部材」に相当することは明らかである旨主張する。(上記第3の3(3)ア(イ)a(c)参照)
しかしながら、上記aのとおり「鉄板30」は、「支柱50」と直接接続されるものではないから、本件特許発明3の「接続部材」に相当しない。

また、請求人は、甲1発明と甲2発明は、課題及び作用、機能が共通している旨主張する。(上記第3の3(3)ア(イ)a(b)参照)
甲1発明は、高い強度を有する太陽光発電装置を提供することを目的とし、甲2発明は、支持力を向上させることから、両者の課題は、構造物における強度を高くするという点で一応共通する。しかしながら、甲2発明は、「フェンス(境界構造物)」であって、甲1発明の「太陽光発電パネル」を載置する「太陽光発電装置」とは、技術分野が異なる。また、甲1発明は、太陽光発電パネルの面が概ね水平状であるのに対して、甲2発明は、フェンスの面が地面に対して垂直になっており、各構造体に働く風圧や衝撃などの外力の方向が異なっている。したがって、具体的にみると、両者は、構造物に働く外力の方向が異なることから、外力に抵抗する基礎構造への荷重のかかり方が異なるといえる。このようなことから両者の基礎構造における解決すべき課題や作用、機能が共通しているとはいえない。

したがって、請求人の主張を採用することはできない。

(イ)甲第3号証を副引用例として検討
a 甲第3号証には、上記第5の3(5)のとおりの甲3発明が記載されている。
甲3発明の「支柱5」が、本件特許発明3の「柱部材」に相当する。
また、甲3発明の「コンクリート製の支柱基礎2」、「地中梁4」は、その配置状況から、一応、本件特許発明3の「所定のコンクリートにより形成される固定部材」及び「接続部材」にそれぞれ対応する。
しかしながら、甲3発明において、「支柱5」は「支柱基礎2に立設され」、「支柱基礎2」と「アンカー基礎3」とを「地中梁4」が「連結」しており、「支柱5」と「地中梁4」とは、直接接続されるものではないから、本件特許発明3における「(前記柱部材と前記接続部材との)接続部」は存在しない。よって、甲3発明の「支柱基礎2」が、「支柱5」毎に形成されるとしても、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではない。
したがって、甲3発明は、上記相違点に係る構成を備えていないから、甲1発明に、甲3発明を適用しても、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることはできない。

b 次に、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではないものの、甲3発明の「支柱基礎2」または「アンカー基礎3」のみに着目して、甲1発明に適用できるかどうかについて検討する。
甲3発明は、「前記コンクリート製の各支柱基礎2の中心は、同じ直線上に位置するように地盤に構築され、各支柱基礎2により直線状配置の支柱基礎列が構成され、支柱基礎列の両側に支柱基礎2と同一の間隔で、しかも直線状配置の基礎列から横方向に離れていると共に隣り合う支柱基礎2から等距離に離れた位置にそれぞれアンカー基礎3が設けられ、各アンカー基礎3とこれに最も近接している支柱基礎2とは地中梁4により一体に連結され、各支柱5の上部から各アンカー基礎3に向けて、各支柱5から4方向に支柱上部とアンカー基礎3とは引張材6により連結されている」ことから、「防風壁面が受ける風荷重の大部分は風上側の2本の引張材を経由し、風上側のアンカー基礎への引抜力と水平力として作用するが、アンカー基礎重量とアンカー基礎底面の摩擦力にて抵抗できるため、根入れ深さは浅くとも良く、支柱も風荷重の負担が少なくなるため細くすることができる。また、支柱基礎と各アンカー基礎とを地中梁で連結し、隣り合う支柱同士でアンカー基礎を兼用することにより、水平力は地中梁を経由して、全てのアンカー基礎底面の摩擦力で負担することが可能となるため、防風材を設置するための支柱及び基礎構造の強度をそれ程大きなものとする必要がなく、支柱及び基礎構造の構築のための材料費と施工コストの低減化を図ることができる。」(上記第5の3(3)の【0010】)との作用・効果を備えているものである。
そうすると、甲3発明は、アンカー基礎3と支柱基礎2が地中梁4により一体に連結され、各支柱5から4方向に支柱上部とアンカー基礎3が引張材6により連結されていることが上記作用・効果を奏するためには必要であるといえるから、甲3発明において、アンカー基礎3、支柱基礎2、地中梁4、引張材6のうち、「所定間隔(一定間隔毎)に地盤に構築された」「支柱基礎2」、または、「アンカー基礎3」のみを、甲1発明に適用しようとは、当業者が思いつくものではない。
また、甲3発明の「アンカー基礎3」は、「鋼製の支柱5」を支持するものではないから、甲1発明の「基礎部材103a」とは、その位置が相違しており、甲3発明の「アンカー基礎3」の構成を、甲1発明の「基礎部材103a」に適用する動機付けは存在しない。

また、上記(ア)bで説示したように、甲1発明の「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」を、「柱部材103b」と「接続部材103c」とを「接続」した部位である接続部毎に個別に形成するものとすることは、「施工が煩雑になる」という課題に反することとなるから、甲1発明の「基礎ブロック1」に代えて、接続部毎に甲2発明の「支柱基礎2」または「アンカー基礎3」を適用することには、阻害要因が存在する。

c そして、上記(ア)cで説示したように、本件特許発明3は、上記作用効果を奏するものである。

d 以上のとおりであるから、甲1発明において、甲3発明を適用することにより、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

e 請求人は、甲第3号証には、隣接する「支柱5」を接続する「地中梁4とアンカー基礎3と他の地中梁4」が開示されているものであり、支柱5は柱部材に、「地中梁4とアンカー基礎3と他の地中梁4」はまとめて「接続部材」に相当する旨主張する。(上記第3の3(3)ア(イ)b(c)参照)
しかしながら、上記aのとおり、「支柱5」と「地中梁4」とは直接接続されていないから、「地中梁4」や「アンカー基礎3」は、本件特許発明3の「接続部材」に相当しない。

また、請求人は、甲1発明と甲3発明は、課題及び作用、機能が共通している旨主張する。(上記第3の3(3)ア(イ)b(b)参照)
甲1発明は、高い強度を有する太陽光発電装置を提供することを目的とし、甲3発明は、防風壁面が受ける風荷重の大部分が、アンカー基礎重量とアンカー基礎底面の摩擦力にて抵抗していることから、両者の課題は、構造物に働く外力に対して強度がある点で一応共通する。しかしながら、甲3発明は、「支線タイプ防風壁」であって、甲1発明の「太陽光発電パネル」を載置する「太陽光発電装置」とは、技術分野が異なる。また、甲1発明は、太陽光発電パネルの面が概ね水平状であるのに対して、甲3発明は、支線タイプ防風壁の面が地面に対して垂直になっており、各構造体に働く風圧や衝撃などの外力の方向が異なっている。したがって、具体的にみると、構造物に働く外力の方向が異なっていることから、外力に抵抗する基礎構造への荷重のかかり方も異なるといえる。このようなことから両者の基礎構造における解決すべき課題や作用、機能が共通しているとはいえない。

したがって、請求人の主張を採用することはできない。

(ウ)甲第4号証を副引用例として検討
a 甲第4号証には、上記第5の4(5)のとおりの甲4発明が記載されている。
甲4発明の「支柱2」が、本件特許発明3の「柱部材」に相当する。
また、甲4発明の「コンクリートF」は、その配置状況から、一応、本件特許発明3の「所定のコンクリートにより形成される固定部材」に対応する。
しかしながら、甲4発明は、「屋根部分を支える支柱2は中空とし、雨トイを兼ねさせ、ジヨイント3にねじこみ、その末端はL字型に曲げられ排水パイプGに接続される」るものの、甲第4号証には、「排水パイプG」を隣接する「支柱2」に接続することは記載されておらず、自明でもないから「排水パイプG」は、本件特許発明3のように隣接する柱部材を接続するものかどうか不明である。また、甲4発明の「排水パイプ」はその名称のとおりの排水用のパイプであって、太陽光発電パネル載置架台の基礎部材を構成する接続部材といい得るような強度を有するかは明らかでないので、本件特許発明3の太陽光発電パネル載置架台の基礎部材を構成する接続部材に相当するものではない。よって、該「排水パイプG」は、本件特許発明3の(「隣接する前記柱部材を」「接続」する)「接続部材」に相当するとはいえず、また、甲4発明の「コンクリートF」は、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではない。よって、甲第4号証には、上記相違点に係る構成は記載されていない。
したがって、甲4発明を甲1発明に適用しても、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることはできない。

b 次に、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではないものの、甲4発明の「コンクリートF」のみに着目して、甲1発明に適用できるかどうかについて検討する。
甲4発明において、「支柱2」は、その下部が隣接する「支柱2」と「排水パイプG」により接続されるものであるか不明であるため、甲4発明の「コンクリートF」は、接続部を包含するものであるか不明であるといえる。
よって、甲4発明の接続部を包含するものであるか不明の「コンクリートF」の構成のみを、甲1発明の「柱部材103b」と「接続部材103c」とを接続した部位である接続部に加えて「接続部材103c」までも内包している「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」に対して適用する動機付けは存在しない。

また、上記(ア)bで説示したように、甲1発明の「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」を、「柱部材103b」と「接続部材103c」とを「接続」した部位である接続部毎に個別に形成するものとすることは、「施工が煩雑になる」という課題に反することとなるから、甲1発明の「基礎ブロック1」に代えて、接続部毎に甲3発明の「コンクリートF」を適用することには、阻害要因が存在する。

c そして、上記(ア)cで説示したように、本件特許発明3は、上記作用効果を奏するものである。

d 以上のとおりであるから、甲1発明において、甲4発明を適用することにより、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

e 請求人は、L字型に曲げられ排水パイプGは雨トイを兼用する支柱2を接続するものであるから、本件特許発明3の「接続部材」に相当する旨(上記第3の3(3)ア(イ)c(c)参照)、上屋を複数連結した場合は、排水の特性機能上、排水パイプG同士が互いに連結・連通されることは自明であるから、排水パイプGは、柱部材を直接又は間接に接続しており、接続部材である旨(上記第3の3(3)ア(イ)c(a))主張する。
しかしながら、上記aのとおり、甲4発明の「排水パイプG」は、隣接する「支柱2」を接続する接続部材であるとはいえない。
また、上屋を複数連結しても、上屋からの水を排水パイプGから、他の上屋からの水と合わせることなく、上屋毎に河川や排水溝などの排水処理施設へと排水させることも考えられるから、「排水パイプG」が柱部材同士を接続させる部材になるとは限らない。よって、請求人が主張するように、排水パイプG同士が互いに連結・連通させることが自明とはいえない。

さらに、請求人は、甲1発明と甲4発明は、課題及び作用、機能が共通する旨述べている。(上記第3の3(3)ア(イ)c(b)参照)
甲1発明は、施工を容易にするものであり、甲4発明は、製作、組立の経済効果を高めるものであることから、両者の課題は、施工を容易にする点で一応共通する、しかしながら、甲4発明は、「上屋」であって、甲1発明の「太陽光発電パネル」を載置する「太陽光発電装置」とは、技術分野が異なる。また、甲1発明において、「接続部材103c」は、隣接する「柱部材103b」を接続させるものであって、甲第1号証の【0031】の「隣接する柱部材103bを接続する接続部材103cを基礎部材103aに内包させることによって、柱部材103bと基礎部材103aとを強固に一体とできる。」との記載や、【0032】の「隣接する柱部材103bを接続部材103cによって接続するので、柱部材103bを精度よく直線状に配置できる。さらに、隣接する柱部材103bを、精度よく予め定めた所定の間隔で配置できる。」との記載からみて、「基礎部材」と「柱部材」とを強固に一体にでき、柱部材103bを精度よく直線状に、予め定めた所定の間隔で配置できるという作用、機能を有しているのに対して、甲4発明は、「排水パイプG」が「支柱2」に接続されているものの、甲1発明のような「接続部材」を有しているとはいえないので、甲1発明と同様の作用、機能を有しているとはいえない。また、甲4発明が「接続部材」を有しているとはいえないことから、甲1発明と同様の課題があるとはいえない。よって甲1発明と甲4発明は、課題、作用及び機能が共通しているとはいえない。
したがって、上記主張を採用することはできない。

(エ)甲第5号証を副引用例として検討
a 甲第5号証には、上記第5の4(5)のとおりの甲5発明が記載されている。
甲5発明の「柱体2,5」は、本件特許発明3の「柱部材」に相当する。
また、甲5発明の「基礎材12」は、「柱体2,5」を直立させる「掘削孔11」という所定の範囲において、「柱体2,5の周囲にセメント系固化剤と土壌とを混合した混合物の基礎材12を充填固化した」ものであるから、一応、本件特許発明3の「所定のコンクリートにより」「形成される固定部材」に対応する。
しかしながら、甲5発明は、隣接する「柱体2,5」を接続する部材を備えていないから、甲5発明には、本件特許発明3における「(前記柱部材と前記接続部材との)接続部」は存在しない。したがって甲5発明の「基礎材12」は、本件特許発明3の「固定部材」のように、「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではない。
よって、甲第5号証には、上記相違点に係る構成は記載されていないから、甲1発明に、甲5発明をそのまま適用しても、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とはならない。

b 次に、本件特許発明3の「固定部材」のように「接続部毎に形成される前記固定領域のそれぞれに」「形成される」ものではないものの、甲5発明の「基礎材12」のみに着目して、甲1発明に適用できるかどうかについて検討する。
甲5発明の「柱体2,5」は互いを接続する部材を備えていないから、「柱体2,5」と互いを接続する部材との接続部を有していないので、「基礎材12」は、接続部を包含していない。
よって、甲5発明の接続部を包含しない「基礎材12」のみを、甲1発明の「柱部材103b」と「接続部材103c」とを接続した部位である接続部に加えて「接続部材103c」までも内包した「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」に対して適用する動機付けは存在しない。

また、上記(ア)bで説示したように、甲1発明の「基礎形成用溝Dの形状と同じであ」る「基礎部材103a」を、「柱部材103b」と「接続部材103c」とを「接続」した部位である接続部毎に個別に形成するものとすることは、「施工が煩雑になる」という課題に反することとなるから、甲1発明の「基礎ブロック1」に代えて、接続部毎に甲4発明の「基礎材12」を適用することには、阻害要因が存在する。

c そして、上記(ア)cで説示したように、本件特許発明3は、上記作用効果を奏するものである。

d 以上のとおりであるから、甲1発明において、甲5発明を適用することにより、上記相違点に係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

e 請求人は、甲1発明と甲5発明は、課題及び作用、機能が共通している旨主張する。(上記第3の3(3)ア(イ)d(b)参照)
甲1発明は、施工が容易である高い強度を有する太陽光発電装置を提供するものであり、甲5発明は、施工が容易で柱体の耐風荷重、耐雪荷重、耐震性能が高められる農業ハウスであることから、両者の課題は、施工が容易で強度が高い点で一応共通する。しかしながら、甲5発明は、「農業用ハウス」であって、甲1発明の「太陽光発電パネル」を載置する「太陽光発電装置」とは、技術分野が異なる。また、甲1発明の「接続部材103c」は、隣接する「柱部材103b」を接続させるものであって、甲第1号証の【0031】の「隣接する柱部材103bを接続する接続部材103cを基礎部材103aに内包させることによって、柱部材103bと基礎部材103aとを強固に一体とできる。」との記載や、【0032】の「隣接する柱部材103bを接続部材103cによって接続するので、柱部材103bを精度よく直線状に配置できる。さらに、隣接する柱部材103bを、精度よく予め定めた所定の間隔で配置できる。」との記載からみて、「基礎部材」と「柱部材」とを強固に一体にでき、柱部材103bを精度よく直線状に、予め定めた所定の間隔で配置できるという作用、機能を有しているのに対して、甲5発明は、甲1発明における隣接する「柱体2、5」を接続する接続部材を有していないので、甲1発明と同様の作用、機能を有しているとはいえない。また、甲5発明が「接続部材」を有していないことから、甲1発明と同様の課題があるとはいえない。よって 甲1発明と甲5発明は、課題、作用及び機能が共通しているとはいえない。
したがって、上記主張を採用することはできない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明3は、甲1発明及び甲2発明ないし甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

2 本件特許発明6について
(1)対比
本件特許発明6は、本件特許発明3の「太陽光発電装置」から、「前記太陽光発電パネル」の構成を除いた発明であると解される。
そこで、本件特許発明6と甲1-1発明とを対比すると、「太陽光発電パネル」以外の点については、上記1(1)と同様であり、両者は上記1(1)と同様の相違点を有し、その余の点で一致する。

(2)判断
本件特許発明6と甲1-1発明との相違点について検討すると、上記1(2)アと同様のことがいえる。

(3)小括
上記(1)及び(2)のとおりであるから、本件特許発明6は、甲1-1発明及び甲2発明ないし甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第7 むすび
以上のとおり、本件特許発明3及び6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求人の主張する無効理由には理由がないから、その特許は無効とすべきものではない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-05-20 
結審通知日 2021-05-25 
審決日 2021-06-07 
出願番号 特願2014-207644(P2014-207644)
審決分類 P 1 123・ 121- Y (H02S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 真理子湊 和也  
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 西田 秀彦
森次 顕
登録日 2016-01-15 
登録番号 特許第5868471号(P5868471)
発明の名称 太陽光発電装置の施工方法、太陽光発電装置、太陽光発電パネル載置架台の施工方法、太陽光発電パネル載置架台  
代理人 冨永 博之  
代理人 佐々木 康  
代理人 鎌田 和弘  
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