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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1376422
審判番号 不服2020-11918  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-26 
確定日 2021-07-28 
事件の表示 特願2016-518753「光信号をカップリングおよび/又はデカップリングするための装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月 2日国際公開、WO2015/043599、平成28年11月24日国内公表、特表2016-536629〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、2014年9月30日(パリ条約による優先権主張 2013年9月30日、2014年3月22日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、その後の主な手続きの経緯は、以下のとおりである。

平成28年 5月30日 :国際出願翻訳文の提出
平成29年 9月26日 :出願審査請求書・手続補正書の提出
平成30年 6月11日付け:拒絶理由通知(同年6月19日発送)
同年 9月19日 :期間延長請求書の提出
同年11月19日 :期間延長請求書の提出
同年12月19日 :意見書・手続補正書の提出
平成31年 4月18日付け:拒絶理由通知(同年4月23日発送)
令和元年 7月23日 :意見書・手続補正書の提出
同年 9月 2日付け:拒絶理由通知(同年9月10日発送)
同年12月10日 :期間延長請求書の提出
令和2年 2月 7日 :期間延長請求書の提出
同年 3月 4日 :意見書の提出
同年 4月23日付け:拒絶査定(同年4月28日送達)
同年 8月26日 :審判請求書・手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和2年8月26日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の請求項2を引用する請求項7を独立形式に書き直した、次のとおりのものである。

「【請求項2】
光信号を少なくとも1つの導波管(10)の軸の又はコア(12)の方向から受信する少なくとも1つの光-電気コンバータ(68)を備える、前記導波管(10)から前記光信号をデカップリングするための装置(140f)であって、
前記光-電気コンバータ(68)は、少なくとも1つの受信側光サブアセンブリ(80)内に配置され、
前記受信側光サブアセンブリ(80)は、前記導波管(10)を、前記光-電気コンバータ(68)に対してアラインメントするための少なくとも1つの案内通路(86)を備え、
前記導波管(10)が前記案内通路(86)に挿入される時に、閉じ込められ且つ/又は圧縮された空気を排出することが出来る少なくとも1つの排気口(88f)を備え、
前記排気口(88f)は、前記案内通路(86)の全長に渡って延在し、且つ、前記案内通路(86)の全長に渡って前記案内通路(86)に対して開口する開口部と、前記開口部に対向する底部と、を有する形状に設計されており、
前記案内通路(86)は、前記コンバータ(68)の出力/入力ポート又はアクティブ表面(70)が前記導波管(10)の前記コア(12)から距離(72)を置いて位置決めされるように構成されることを特徴とする装置。」(なお、下線は、請求人が手続補正書に付したものである。)

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。

【理由】(進歩性)
この出願の請求項1ないし10に係る発明は、下記の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2005/0191012号明細書
2.特開昭63-56617号公報
3.特開2004-13106号公報(周知技術を示す文献)
4.米国特許出願公開第2013/0084043号明細書(周知技術を示す文献)

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「

」(フロントページ)
(日本語訳
光学デバイスに対する光導波路の接続)

イ 「

」(フロントページ)
(日本語訳
要約
光学アセンブリは、ファイバ終端フェルールを受け止めるソケットを有する。PINダイオードは、透明な本体内に封入されたリードフレーム上にある。ファイバフェルールがソケットに押し込まれると、ダイオードからの電子出力が監視され、最適な挿入距離が決定される。)

ウ 「

」(第3頁)
(日本語訳
1.ファイバ終端に対して接続するための光学アセンブリであって、前記アセンブリは、本体と、ファイバ終端を受け止める前記本体内のソケットと、前記ソケットに対して固定された位置で前記本体によって支持される光学デバイスとを備える光学アセンブリ。
2.請求項1に記載の光学アセンブリであって、前記ソケットはファイバ終端の摩擦嵌めに合わせて形作られる光学アセンブリ。
3.請求項1に記載の光学アセンブリであって、前記本体は、ファイバ挿入時の余分なファイバ接着用エポキシのためのベントを備える光学アセンブリ。)

エ 「


(日本語訳
実施形態の説明
[0039] 図1?8を参照すると、光学サブアセンブリ1は、ファイバ終端に対する永続的な接続およびその他のトランシーバに対する解除可能な電気接続を目的とする。サブアセンブリ1は、透明な熱硬化性エポキシ材料から成形された塑性本体2を備え、その内部には均一な円形断面を有するソケット3があり、ソケット3の直径はファイバ終端フェルールと一致するため、ファイバ終端フェルールはソケット3に嵌合する。本体2は、ソケット3の長さに沿って延伸するスロット4を有している。
[0040] サブアセンブリ1はさらに、本体2内に封入されたリードフレーム5を備える。リードフレーム5は、剛構造のCu合金端子10を複数備える。この構造によって、セラミック絶縁プレート13上に取り付けられたPINフォトダイオード11と、トランスインピーダンスアンプ(TIA)12とが支持される。減結合用のコンデンサ14および15が、角部に取り付けられている。
[0041] リードフレーム5は、ピンダイオード11がソケット3の中心軸と一直線になるように、(透明な)本体2内に封入される。リードフレーム5の封入によって、PINダイオード11とソケット3の一端との間に透明な本体材料による間隔が形成されている。
[0042] 図3に示すように、ファイバ終端フェルールFをサブアセンブリ1に接続するのは非常に簡単である。フェルールFの外面にはエポキシが塗布される。フェルールFは、手動で、またはロボットによってソケット3内に徐々に押し込まれる。この嵌合はタイトな摩擦嵌めであり、径方向の変化に対する空間はほとんど、または全く残されていない。エポキシ21によって、フェルールFの外面の少なくとも一部を囲む薄膜が形成される。
[0043] フェルールFがソケット3内に挿入されると、試験用光信号がファイバを通ってこの終端まで導かれる。対応する電子TIA出力は、フェルールが挿入されると継続的に監視される。TIA出力の振幅は、PINダイオード11の位置とフェルール端の位置との間の関係によって、ファイバが一定距離だけ挿入されると、ピークに達する。図9に示す通り、放射光は、本体2を通って延在し、PINダイオード11を包含する円錐形の「視野」を備える。同様に、光学デバイスがトランスミッタである場合は、同一原理がこの図に示すのとは逆に適用される。
[0044] ピンダイオード11は、ファイバの中心軸から数ミクロンずれてもよいことが理解されよう。ただし、ピンダイオード11はまだ円錐内に存在し、フェルールFの一端とソケット3の一端との間の距離が一定になると、光強度が最大になる。図10は、ファイバの中心からの相対的な位置ずれに関する3つの値について、結合効率とファイバ挿入距離とを比較したプロットを示している。同図によれば、いずれの位置ずれ値についても、フェルールの特定の最適挿入距離が存在する。この距離は、フェルールを押し込むときに、TIA出力を監視するだけで決定できる。この距離の決定は、アセンブリ1の外側のトランシーバ回路に含まれるポスト制限増幅器(PLA)のモニタピン上のDCバイアス電圧を計測することにより行われてもよい。
[0045] 最適な位置に到達したら、紫外線を照射してエポキシを硬化させ、フェルールを所定の場所に事実上「固定」させる。
[0046] 図9に、サブアセンブリがトランスミッタを備える実施形態に相当する円錐形の「視野」を示す。この実施形態では、ファイバが押し込まれると、遠端の光出力が監視されて最適位置が決定される。
[0047] ファイバ端と光学デバイスとの間の最適な間隔は、光学デバイスごとに固有のパラメータである。送信デバイスの場合は、デバイスの位置付けと光ビームの発散角度とに依存する。受信デバイスの場合は、デバイスの位置付けとファイバの開口数とに依存する。
[0048] 本体2から離れたリードフレームの一端には、側方の端部材がある。この端部材には、製造時にリードフレームをまとめて保持するという目的がある。この端部材は製造工程の適切な段階において切り離されて、個々の端子ピンが残る。)

オ 図1ないし図4は、以下のものである。

1…光学サブアセンブリ
2…本体
3…ソケット
4…スロット
5…リードフレーム
11…PINフォトダイオード
F…ファイバ終端フェルール

(2)引用文献1に記載された発明
ア 上記(1)ア及びイの記載からして、引用文献には、
「光学アセンブリであって、
本体と、ファイバ終端フェルールを受け止めるソケットと、光学デバイスとを備え(請求項1)、
前記本体は、ファイバ挿入時の余分なファイバ接着用エポキシのためのベントを備える(請求項3)、光学アセンブリ。」が記載されていると認められる。

イ 上記(1)ウの記載を踏まえて、図1ないし図4を見ると、上記アの技術事項に関して、以下のことが理解できる。
(ア)上記アの「本体」は、透明材料から成形されていること。
(イ)上記アの「ソケット」は、本体内部に形成された均一な円形断面を有すること。
(ウ)上記アの「光学デバイス」は、フォトダイオードであること。
(エ)上記アの「ベント」は、挿入時の余分な接着剤を外部に排出するための開口部であること。
(オ)本体側面には、挿入時の余分な接着剤を外部に排出するために、ソケットの全長に渡って延伸するスロットが形成されていること。
(カ)フォトダイオードは、ソケットの中心軸と一直線になるように本体内に封入されていること。
(キ)フォトダイオードとソケットの底部との間には、本体を形成する透明材料による間隔が形成されていること。

ウ 上記ア及びイからして、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「光学アセンブリであって、
透明材料から形成された本体と、
ファイバ終端フェルールを受け止める前記本体内部に形成された均一な円形断面を有するソケットと、
フォトダイオードと、を備え、
前記フォトダイオードは、前記ソケットの中心軸と一直線になるように前記本体内に封入されれ、
前記本体側面には、挿入時の余分な接着剤を外部に排出するために、前記ソケットの全長に渡って延伸するスロットが形成され、
前記フォトダイオードと前記ソケットの底部との間には、前記本体を形成する前記透明材料による間隔が形成されている、光学アセンブリ。」

2 引用文献2に記載された技術事項
(1) 引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「産業上の利用分野
本発明は、光ファイバコネクタに関するものであり、更に詳述するならば、平凸レンズを用いた光ファイバコネクタに関するものである。
また、レンズ、ホルダ及びスリーブを一体化して部品点数を少なくすると、光ファイバとスリーブの孔の断面積がほぼ同じであるため、接着剤の逃げがなく、光ファイバをスリーブの孔へ挿入することが困難であった。」(第2頁左上欄)

イ 「作用
以上のように構成された光ファイバコネクタにおいては、光ファイバを挿入保持するスリーブと平凸レンズが一体成形されている。したがって、部品点数が少なく、安価で組立て作業が容易となる。
また、光ファイバを挿入保持するスリーブの孔は、光ファイバに少なくとも3箇所で外接するような形状を有し、その断面積は、光ファイバの断面積より大きい。従って、光ファイバをスリーブの孔に挿入した際、スリーブの孔と光フーアイバとの間に空隙ができる。その空隙は、光ファイバとスリーブとを接着するために充填される接着剤の逃げを構成するので、光ファイバをスリーブの孔へ挿入して、光ファイバの端面と平凸レンズの平面側とを接着剤で容易に固定することができる。
加えて、スリーブの孔と光ファイバとの間にできる空隙により、光ファイバの側面とスリーブの孔との接着が可能となる。」(第2頁右下欄ないし第3頁左上欄)

ウ 第1図及び第2図は、以下のものである。

(2)引用文献2に記載された技術事項
ア 上記(1)ア及びイの記載を踏まえて、第1図及び第2図を見ると、以下のことが理解できる。
(ア)「光ファイバコネクタは、光ファイバを挿入保持するスリーブを有すること。」

(イ)「光ファイバを挿入保持するスリーブの孔の形状を、光ファイバに3箇所で外接する3個の凸部と、隣接する凸部間を接続する4つの円弧からなる形状とすることで、前記スリーブの孔と前記光フーアイバとの間に形成された3個の空隙を前記光ファイバと前記スリーブとを接着するために充填される接着剤の逃げ道とすること。」

(ウ)「スリーブの孔と光フーアイバとの間に形成された3個の空隙のそれぞれは、隣接する凸部と1つの円弧から形成され、スリーブの孔の全長に渡って延在していること。」

イ 上記アからして、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「光ファイバを挿入保持するスリーブを有する光ファイバコネクタにおいて、
前記光ファイバを挿入保持するスリーブの孔の形状を、前記光ファイバに3箇所で外接する3個の凸部と、隣接する凸部間を接続する4つの円弧からなる形状とし、
前記スリーブの孔と前記光フーアイバとの間に形成された3個の空隙のそれぞれは、前記隣接する凸部と前記1つの円弧から形成され、前記スリーブの孔の全長に渡って延在することで、
前記空隙を前記光ファイバと前記スリーブとを接着するために充填される接着剤の逃げ道にすること。」

第5 当審の判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア(ア)引用発明の「ファイバ」は、本願発明の「導波管」に相当する。

(イ)引用発明の「フォトダイオード」は、「ファイバ」のコアの方向からの光信号を受信し、電気信号に変換するものであるから、本願発明の「光-電気コンバータ」に相当する。

(ウ)引用発明の「『フォトダイオード』が封入された『透明材料から形成された本体』」及び「ファイバ終端フェルールを受け止める本体内部に形成された均一な円形断面を有するソケット」は、それぞれ、本願発明の「受信側光サブアセンブリ」及び「案内通路」に相当する。

(エ)本願発明の「導波管から光信号をデカップリングする」における「デカップリング」とは、英語で「分離」・「切り離し」を意味することから、導波管から光信号を分離することを意味するものと解される。

(オ)よって、本願発明と引用発明とは、「光信号を少なくとも1つの導波管の軸の又はコアの方向から受信する少なくとも1つの光-電気コンバータを備える、前記導波管から前記光信号をデカップリングするための装置であって、
前記光-電気コンバータは、少なくとも1つの受信側光サブアセンブリ内に配置されている」点で一致する。

イ(ア)本願明細書には、本願発明の「アラインメント」に関して、以下の記載がある。
a 「【0006】
従来技術から知られる前記解決構成の欠点は、導波管(=光ファイバ)と光コンバータとの間の光軸のアラインメントが、繰り返しアクティブに実行されなければならないことにある。」

b 「【0025】
従って、本発明に依れば、光サブアセンブリ(OSA)は、適切な製造方法において、特に少なくとも1つの光学的透明媒体又は光学的半透明媒体から、例えば、ポリマーから製造され、且つ、好ましくは光学的透明材料に1つ以上の光コンバータを排他的に内蔵し、且つ、フェルール、剥き出しファイバ、又はレンズがなくても、光ファイバの光軸との光コンバータの光軸の正確な直接的なアラインメントが保証されるような構造を有する。」

c 「【0036】
本発明の好適変形例に依れば、前記導波管は、前記基板の平面において前記端子接点に固定可能な周辺ケーブル又は周辺接点に同軸にアラインメントされる。これは、光アクティブケーブルの取り付けのために特に重要である。」

(イ)上記(ア)の記載盛らして、本願発明における「アラインメント」とは、光ファイバの光軸との電気コンバータの光軸を一致させることであると解される。

(ウ)一方、引用発明の「フォトダイオード」は、「ソケットの中心軸と一直線になるように本体内に封入されており」、引用文献1の[0042]の記載によれば、「ファイバ終端フェルール」を「ソケット」に挿入した際に、径方向の変化に対する空間はほとんど、または全く残されていないことから、光ファイバの光軸とフォトダイオードの光軸は一致していることは、当業者にとって明らかである(なお、引用文献の第9図において、光軸に沿って(左右に)位置調整しているのは、すでに、光軸が一致していることを裏付けている。)。

(エ)よって、本願発明と引用発明とは、「受信側光サブアセンブリは、導波管を、光-電気コンバータに対してアラインメントするための少なくとも1つの案内通路を備える」点で一致する。

ウ(ア)本願明細書には、本願発明の「排気口」に関して、図面とともに、以下の記載がある。
a 「【0035】
その代わりに、又はそれに加えて、前記排気口は、溝又は通路の形状に設計されてもよく、および/又は、前記案内通路に沿って、具体的には前記案内通路の全長に渡って延在することが出来る。」

b 「【0065】
この理由から、更に、光サブアセンブリ40又は80においてコンバータ28又は68に最も近い案内通路46又は86の端部上に例えば横方向に配置された少なくとも1つの排気口48d又は88dであって、排気口48d又は88dの軸方向が、導波管10の軸心又はコア12の方向に対して横断方向に、特に略垂直に延在する排気口48d又は88d(図8による第4の実施例を参照)、横方向に又は側面上に配置され、特に、光サブアセンブリ40又は80の全長に渡って、例えば案内通路46又は86の全長に渡って延在する少なくとも1つの排気溝48e又は88e(図9による第5の実施例を参照)、又は特に、光サブアセンブリ40又は80の全長に渡って、例えば案内通路46又は86の全長に渡って特に延在する少なくとも1つの排気通路48f又は88fであって、一例として4つの排気通路48f又は88fが示され、等距離に且つ円筒形の案内通路46又は86に関して対称的に配置されることが出来る排気通路48f又は88f(図10による第6の実施例を参照)が、導波管10が案内通路46又は86に挿入される時に閉じ込められて圧縮される空気の均等な、確実且つ完全な排出を確実にするために設けられてもよい。」

c 図9は、以下のものである。

48e、88e…排気溝

d 図10は、以下のものである。

48f、88f…排気通路

(イ)上記(ア)の記載からして、「排気口」とは、案内通路の全長に渡って延在する排気溝又は排気通路であることが理解できる。

(ウ)一方、引用発明の「スロット」は、「『本体側面に』成された『ソケットの全長に渡って延伸する』」形状であるから、ソケット(案内通路)の全長に渡って延在する排気溝であるといえる。
また、該「スロット」は、ソケットの全長に渡ってソケットに対して開口する開口部を備えているといえる。

(エ)よって、本願発明と引用発明とは、「排気口は、前記案内通路の全長に渡って延在し、且つ、前記案内通路の全長に渡って前記案内通路に対して開口する開口部を有する形状に設計されている」点で一致する。

エ(ア)本願明細書には、本願発明の「前記案内通路(86)は、前記コンバータ(68)の出力/入力ポート又はアクティブ表面(70)が前記導波管(10)の前記コア(12)から距離(72)を置いて位置決めされるように構成される」に関して、図面とともに、以下の記載がある。

a 「【0032】
本発明の更に有利な発展構成において、前記案内通路の構造の結果、前記導波管コアを、前記電気‐光コンバータの出力ポート又はアクティブ表面上に、又は前記電気‐光コンバータの入口ポート又はアクティブ表面上に、又は、その上方に、僅かに数マイクロメートル、恐らく、20マイクロメートルの距離を置いて、直接据え付けることが出来る。」

b 「【0056】
本発明に依れば、透明ポリマーから製造された光サブアセンブリにおける、即ち、光サブアセンブリ40および80における部材の配置は、光ファイバ10のコア表面12が、レーザ28の出口ポート30上およびフォトダイオード68のアクティブ表面70上に直接据え付けられるか、その上方に僅かに数マイクロメートル、恐らく20マイクロメートルの距離32を置いて据え付けられるように構成されている(図5Aおよび図5Bによる第1の実施例を参照)。」

c 「【0061】
更に、光サブアセンブリ40又は80の構造により、光ファイバ10のコア表面12は、レーザ28の出口30ポート上及びフォトダイオード68のアクティブ面70上に直接据え付けられることが出来るようになり、又は、その上方に僅かに数マイクロメートル、恐らく20マイクロメートルの距離32を置いて据え付けられることが出来るようになる(図5Aおよび図5Bによる第1の実施例を参照)。」

d 図5Bは、以下のものである。

30、70…出力ポート(入力ポート)又はアクティブ表面
32、72…距離

(イ)上記(ア)の記載からして、「前記案内通路(86)は、…から距離(72)を置いて位置決めされるように構成される」とは、案内通路(86)は、導波路(10)を挿入すると、「コンバータ(68)の出力/入力ポート又はアクティブ表面(70)」と距離を置いて位置決めさせることができる形状に予め設計されている意味である解される。

(ウ)一方、引用発明においては、「フォトダイオードとソケットの底部との間には、本体を形成する透明材料による間隔が形成されている」ことから、「ファイバ終端フェルール」を「ソケット」内に位置決めした際に、フォトダイオードの表面と直接接触しない、つまり、フォトダイオードのアクティブ表面とファイバ(のコア)とは所定の距離を置いて位置決めされることになる。

(エ)よって、本願発明と引用発明とは、「コンバータの出力/入力ポート又はアクティブ表面が導波管のコアから距離を置いて位置決めされる」点で一致する。

(2)上記(1)の検討からして、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
ア 〈一致点〉
「光信号を少なくとも1つの導波管の軸の又はコアの方向から受信する少なくとも1つの光-電気コンバータを備える、前記導波管から前記光信号をデカップリングするための装置であって、
前記光-電気コンバータは、少なくとも1つの受信側光サブアセンブリ内に配置され、
前記受信側光サブアセンブリは、前記導波管を、前記光-電気コンバータに対してアラインメントするための少なくとも1つの案内通路を備え、
前記導波管が前記案内通路に挿入される時に、閉じ込められ且つ/又は圧縮された空気を排出することが出来る少なくとも1つの排気口を備え、
前記排気口は、前記案内通路の全長に渡って延在し、且つ、前記案内通路の全長に渡って前記案内通路に対して開口する開口部を有する形状に設計されており、
前記コンバータの出力/入力ポート又はアクティブ表面が前記導波管のコアから距離を置いて位置決めされる、装置。」

イ 一方、両者は、以下の点で相違する。
〈相違点1〉
排気口の形状に関して、
本願発明は、「開口部に対向する底部と、を有する形状に設計されて」いるのに対して、
引用発明は、「開口部に対向する底部」を有していないスロットである点。

〈相違点2〉
案内通路の形状に関して、
本願発明は、「コンバータの出力/入力ポート又はアクティブ表面が導波管のコアから距離を置いて位置決めされるように構成される」のに対して、
引用発明は、そのような形状に構成されているか否か不明である点。

2 判断
(1)上記〈相違点1〉について検討する。
ア 引用文献2には、上記「引用文献2に記載された技術事項」が記載されている。
引用発明と上記「引用文献2に記載された技術事項」とは、光ファイバを挿入孔(ソケット、スリーブ)に接着剤を用いて固定する際に、余分な接着剤を開口部から排出する点で共通することから、引用発明の「ソケット」の形状を「光ファイバに3箇所で外接する3個の凸部と、隣接する凸部間を接続する4つの円弧からなる形状」とすることは、当業者が容易になし得ることであり、そのことを妨げる特段の事情は認められない

イ 上記アのようにした引用発明は、「隣接する凸部間を接続する4つの円弧」を備え、該「円弧」は、本願発明の「開口部に対向する底部」に相当するから、上記〈相違点1〉に係る本願発明の構成を備えることになる。

(2)上記〈相違点2〉について検討する。
引用文献1の[0045]には、最適な位置に到達したら、紫外線を照射してエポキシを硬化させて所定場所で固定させる旨記載されているところ、引用発明において、当該最適な位置から「ソケットの底部」が排除されていないことは明らかであり、紫外線を照射してエポキシを硬化させて位置決めした完成品の中には、「ファイバ終端フェルール」の先端が「ソケットの底部」に位置するものが含まれること明らかである。そして、このようなものは、ソケットの形状に関して、フォトダイオードの表面がファイバのコアから距離を置いて位置決めされるように構成されているといえるから、上記〈相違点2〉は、実質的な相違点ではない。
仮に、実質的な相違点であるとしも、ソケットの形状を、該ソケットに光ファイバを挿入するたけで、検出(発光)素子と所定距離を置いて位置決めできる形状に設計することは、下記の文献に記載されているように、当該技術分野において、慣用されている技術であって、当業者が適宜なし得る設計事項である。

ア 特開2002-131572号公報(【0006】及び図2)
イ 特開2009-258365号公報(【0010】ないし【0018】、図1及び図9)
ウ 特開2010-250258号公報(【0022】及び図1)
ちなみに、特開2002-131572号公報の【0006】には、「精密スリーブの外面と精密スリーブを保持する保持部材の内面との境界部に、空気を給排気するための経路を形成して、光フェルールを挿入する場合に、光フェルール、光レセプタクル、光デバイスからなる閉じた空間の空気を、この給排気するための経路から空気を外部へ逃がすことが出来るので、光フェルールを奥深くまでスムーズに挿入することができる。」と記載されている。
また、特開2009-258365号公報の図1及び図9は、以下のものである。
図1

図9

12…光ファィバ
17…精密スリーブ
25…開口部

さらに、特開2010-250258号公報の【0022】には「精密スリーブ2は、筒状の形状を有している。精密スリーブ2の外径は、スリーブホルダ3の挿入孔4の内径よりもわずかに小さく形成されている。精密スリーブ2は、軸方向に貫通する貫通孔2aを有し、この貫通孔2aにプラグフェルール8が挿入される。精密スリーブ2はプラグフェルール8を所定位置に保持する機能を有する。」と記載されている。

(3)効果
本願発明の奏する効果は、当業者が引用発明の奏する効果及び上記「引用文献2に記載された技術事項」から予測し得る範囲内のものであり、格別顕著な効果であるとは認められない。

(3)まとめ
本願発明は、当業者が引用発明及び上記「引用文献2に記載された技術事項」から容易に発明をすることができたものである。

3 審判請求書における主張について
請求人は、引用文献1に係る発明では、フェルールFのアクティブアラインメントを要し、アクティブアラインメントを不要とすることについて、引用文献1では、その手段について記載も示唆もされていないのみならず、そのような課題自体も認識されていない旨主張する(「(3)本願発明1の引用文献1?4に対する進歩性」を参照。)。
当審注:引用文献1は、審決で引用する引用文献1である。

しかしながら、上記「1 対比(1)イ」で検討したように、本願発明の「アラインメント」とは、光軸のアラインメントであると解されるところ、引用発明の「フォトダイオード」は、「ソケットの中心軸と一直線になるように本体内に封入されており」、引用発明においても、光軸のアライメントは不要である。
よって、請求人の主張は、採用できない。

4 令和2年3月4日提出の意見書における主張について
請求人は、本願発明では、導波管を送信側光サブアセンブリに挿入する際に、排気口が案内路の外側に設けられた空間的余地として機能し、これによって、導波管を送信側光サブアセンブリに挿入する際に大きな力を要さないという有利な作用効果を奏する旨主張する(「(3)本願発明1の引用文献1?4に対する進歩性」を参照。)。
当審注:引用文献1は、審決で引用する引用文献1である。

しかしながら、上記効果は、本願明細書には記載されておらず、自明な効果であるとも認められず、請求人の主張は本願明細書の記載に基づくものではない。
よって、請求人の主張は、採用できない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-02-19 
結審通知日 2021-02-24 
審決日 2021-03-12 
出願番号 特願2016-518753(P2016-518753)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野口 晃一  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 近藤 幸浩
星野 浩一
発明の名称 光信号をカップリングおよび/又はデカップリングするための装置  
代理人 特許業務法人R&C  

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