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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1376633 |
審判番号 | 不服2020-7488 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-02 |
確定日 | 2021-08-05 |
事件の表示 | 特願2019- 28103号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月16日出願公開、特開2019- 72592号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成31年2月20日の出願であって、令和1年12月10日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年2月12日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月10日付け(送達日:同年同月17日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、当審において、令和3年1月19日付けで拒絶の理由が通知(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)され、同年3月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年3月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、符号A等は、分説するため当審が付した。分説された本願発明の発明特定事項を、符号に基づき以下「発明特定事項A」等という。)。 「A 複数の表示演出を実行可能な表示手段を備え、前記複数の表示演出を含む複数の演出を実行可能な遊技機であって、 B 複数の演出のうちの一つの演出として、第1の表示演出をおこなう場合があり、 C 複数の演出のうちの一つの演出として、第2の演出をおこなう場合があり、 D 複数の演出のうちの一つの演出として、第3の表示演出をおこなう場合があり、 E 複数の演出のうちの一つの演出として、第4の表示演出をおこなう場合があり、 F 前記第1の表示演出は、複数の第1の態様の保留アイコンを表示する演出であり、 G 前記第2の演出は、可動役物を表示手段の前方に可動させる役物可動演出をおこなう演出であり、 H 前記第3の表示演出は、第1の態様の保留アイコンを第2の態様の保留アイコンに変化させる演出であり、 I 前記第4の表示演出は、第1の画像と第2の画像を表示する演出であり、 J 前記第1の表示演出と前記第2の演出と前記第3の表示演出と前記第4の表示演出とを含む組み合わせ演出がおこなわれる場合があり、 K 前記組み合わせ演出では、 K1 前記第1の表示演出がおこなわれ、 K2 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の演出がおこなわれ、 K3 前記第2の演出がおこなわれることによって、前記第4の表示演出がおこなわれ、 K4 前記第4の表示演出がおこなわれる場合、 K41 前記第1の画像は、前記表示手段の前方に可動させた前記可動役物と、前記複数の第1の態様の保留アイコンのうちの1つの保留アイコンとを連結するように表示され、 K42 前記第2の画像は、前記可動役物および前記複数の第1の態様の保留アイコンと連結されることなく表示され、 K5 前記第4の表示演出がおこなわれることによって、前記第3の表示演出がおこなわれ、 K6 当該第3の表示演出では、前記第1の画像と連結された前記第1の態様の保留アイコンを対象として前記第2の態様の保留アイコンに変化させる L ことを特徴とする遊技機。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項1 ・引用文献等 引用例1.特開2017-42244号公報 引用例2.特開2015-92974号公報(周知技術を示す文献) 引用例3.特開2016-154714号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用例の記載、引用発明、周知技術 1 当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-42244号公報(平成29年3月2日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。 (1)「【0013】 ……図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。…… …… 【0021】 この遊技領域3aの略中央部には、……液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。 【0022】 また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。…… …… 【0024】 ……またセンター飾り48には、適所に、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(後述の時計盤部81、花型役物90、ギミック役物(人物ギミック)93など)が設けられている。」 (2)「【0178】 この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている。……本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1?d1(特別図柄1側に対応)、a2?d2(特別図柄2側に対応)が設けられている。…… 【0179】 これらの保留表示部a1?d1、a2?d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1?d1、a2?d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。 …… 【0181】 先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1?d1、a2?d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色(通常保留色)から、予告表示の青色、黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留表示(専用保留表示態様)の保留色(専用保留色)に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青、黄、緑、赤、虹色の表示は、この色の順に、当り当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。……このように、保留表示態様を利用した予告演出を「保留変化予告」と称する。また上記のような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球の発生を契機としてなされることから「入賞時変化系」の先読み予告演出とも称される。」 (3)「【0377】 (7-2.ギミック連動ボタン予告演出:図54?図58) 次に、図54?図58を参照しながら、可動体役物による演出を利用した「ギミック連動ボタン予告」について詳細に説明する。 【0378】 ここで、ギミック連動ボタン予告の理解を容易なものとするために、先ず、「ギミック連動ボタン予告」の概要について説明しておく。この「ギミック連動ボタン予告」は、遊技者参加型演出である「ボタン予告演出」および「保留変化予告」に属する演出態様となっている。本実施形態の場合、ギミック連動ボタン予告が開始されると、その演出シナリオの一環として、まず人物ギミック93(第4の可動体役物)が所定の動作パターンで動作し、これを前兆演出ないし予兆演出として、枠演出用ボタン13の操作を促すボタン予告演出(ボタン表示演出)が所定の演出時間現出される。ボタン予告演出が現出してからの所定時間は、枠演出用ボタン13の入力受付有効期間(たとえば、3秒)として設定されており、この入力受付有効期間内に遊技者による操作が行われたか否かが監視される。…… 【0379】 上記入力受付有効期間中に遊技者が枠演出用ボタン13を操作した場合、人物ギミック93の動作に伴う画像表示演出(アクション演出)が現出され、その演出結果として、保留表示態様がボタン操作前の表示態様とは異なる表示態様に変化しうる(演出結果の導出)。この変化後の保留表示態様を以って、特殊遊技情報(当り当選期待度に関する情報やリーチ種別に関する情報などの所定の遊技情報)が遊技者に報知されるようになっている。…… …… 【0382】 この図54?58は、ギミック連動ボタン予告の演出態様として、人物ギミック93の動作と液晶画面36中の動画画像とを関連付け、この人物ギミック93の動作に伴って動画画像を変化させることによって、あたかも液晶画面中に保留アイコン画像として表示されている保留表示態様が、人物ギミック93の動作で変更されるが如き様子を現出させるようにした「保留変化予告」の一態様を例示したものである。 【0383】 (第1のギミック連動ボタン予告演出態様:図54) まず図54を参照して、ギミック連動ボタン予告の第1ギミック演出例について説明する。図54は、ギミック連動ボタン予告の第1ギミック演出例の説明に供する説明図である。またこの第1ギミック演出例は、液晶表示装置36の液晶画面(液晶画面36)中の保留表示について、その保留アイコンの表示態様が、人物ギミック93の動作に伴う動画画像(投体N3)の動きによって変更されるケースを例示したものである。 …… 【0386】 以下に図54を参照しながら、ギミック連動ボタン予告の第1ギミック演出例について説明する。なお本例では、ギミック連動ボタン予告開始前の液晶表示装置36の表示状態として、図柄変動表示ゲームである液晶表示装置36(液晶画面36)中に、保留表示領域76内の保留表示部a1?c1にそれぞれ白丸印(通常保留色)の保留アイコンが表示され、さらに受座Jのアイコン上に白丸印のゲーム実行中保留Kが表示されている…… 【0387】 まず図54(A)では、図柄変動表示動作中である液晶画面36中に、画像として、台座J、その上のゲーム実行中保留K、および待機中の3つの保留アイコンが表示されていて、ギミック連動ボタン予告が開始されると、画面右側に位置する人物ギミック93がその可動部位の一つである「腕94」を上下に連続的に振る腕振り動作状態(前兆(予兆)動作状態)にある。…… 【0388】 次いで(B)に移り、演出シナリオが進行すると、人物ギミック93が腕を振るのを止め、その後、ボタン予告演出が開始され、その一環として、枠演出用ボタン13を模したボタン画像Yが現出する「ボタン表示演出」が実行される。…… 【0389】 次いで(C)では、上記ボタン予告演出(ボタン表示演出)中の入力受付有効期間内に、遊技者が枠演出用ボタン13を押した場合を示しており、遊技者が枠演出用ボタン13を押すことでまたは押す度に、人物ギミック93が腕94(手96)を1回または複数回上下に振る「腕振り動作」を行う。この腕振り動作による腕94(手96)の動きとうまく連係するように、人物ギミック93の腕94(手96)の近傍において、液晶画面36内に火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)が出現し、この投体N3が保留アイコンに向けて、放物軌道を描きながら移動していく。これにより、人物ギミック93が火炎弾を保留アイコン(ターゲット)に目掛けて投擲する様を表現したアクション演出(操作時ギミック連動演出)が現出される。 …… 【0392】 次いで(D)では、放り投げた投体N3(火炎弾)が、ターゲットの保留アイコンに命中(着弾)し、保留アイコンの近傍領域を覆う煙幕(煙幕画像)Rが発生する。…… …… 【0394】 次いで(E)では、煙幕Rが消え去り、保留アイコンが秘匿状態から開示状態とされて、保留アイコンが再表示される(開示演出)。このとき、投体N3(火炎弾)が命中した当該保留アイコンの保留表示態様が、色彩および模様の少なくとも一方または形状が変化しうる。ここでは、保留表示部b1の保留アイコンの表示色が、通常の白色(通常保留色)から専用保留色(たとえば、緑色)に変化したケースを示している。…… …… 【0398】 また「操作時ギミック連動演出」として、可動体役物(たとえば、人物ギミック93の腕94、口95、手96など)の動作と、液晶画面36中の特定画像(たとえば、投体(火炎弾)N3、テロップP、オーラZなどの動画像または静止画像)とを関連付け、その可動部位の動作に伴って特定画像が連動(連係して動作)することにより、一つ意味をなす意匠を形成ないし遊技者に対しある物事を連想させたり一体感を抱かせたり、あるいはそれらが混然一体となって、あたかも特定画像が可動体役物の一部のように、その逆に、あたかも可動体役物が特定画像と連動した画像表示演出のように振る舞う、といった演出を現出させることができる。たとえば、図54(CF)では、手96の周縁部近傍領域に特定の画像表示演出(オーラZ(オーラ画像Z))表示させて、手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ、腕94の腕振り動作に伴ってオーラZが手96に追動する様を表現することにより、手96から投体N3が投擲される際に人物ギミック93が力一杯放り投げていることを連想させたり、投体N3が勢いを付けてターゲット(保留表示部b1の保留アイコン)に向かうことを連想させたりすることができるようになっている。このように、人物ギミック93による特定の動作と液晶表示装置36による特定の画像表示演出とを合わせて実行することで、ギミック連動ボタン予告に対する注目を集めることができる。……」 (4)「【図54】 」 (5)上記(4)の図54(特にCFを参照。)を見ると、オーラZは保留アイコンと連結されることなく表示されることが見て取れる。 (6)上記(1)ないし(5)からみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、符号a等は本願発明の発明特定事項A等に概ね対応させて付し、引用箇所の段落番号を併記した。 「a 木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム内に遊技盤3を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有し(【0013】)、遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置36が設けられており、この液晶表示装置36は、演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示し(【0021】)、また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられており(【0022】)、センター飾り48には、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(人物ギミック93など)が設けられている(【0024】)パチンコ遊技機1(【0013】)であって、 b?k 液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1?d1(特別図柄1側に対応)、a2?d2(特別図柄2側に対応)が設けられており(【0178】)、 先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1?d1、a2?d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し(【0179】)、 先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1?d1、a2?d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色(通常保留色)から、予告表示の青色、黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留表示(専用保留表示態様)の保留色(専用保留色)に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出(このように、保留表示態様を利用した予告演出を「保留変化予告」と称する。)が行われ(【0181】)、 ギミック連動ボタン予告の演出態様として、人物ギミック93の動作と液晶画面36中の動画画像とを関連付け、この人物ギミック93の動作に伴って動画画像を変化させることによって、あたかも液晶画面中に保留アイコン画像として表示されている保留表示態様が、人物ギミック93の動作で変更されるが如き様子を現出させるようにした「保留変化予告」が行われ(【0382】)、 ギミック連動ボタン予告開始前の液晶表示装置36の表示状態として、図柄変動表示ゲームである液晶表示装置36(液晶画面36)中に、保留表示領域76内の保留表示部a1?c1にそれぞれ白丸印(通常保留色)の保留アイコンが表示されているとき(【0386】)、 ギミック連動ボタン予告が開始されると(【0387】)、 ボタン予告演出が開始され(【0388】)、 遊技者が枠演出用ボタン13を押すことでまたは押す度に、人物ギミック93が腕94(手96)を1回または複数回上下に振る「腕振り動作」を行い、この腕振り動作による腕94(手96)の動きとうまく連係するように、人物ギミック93の腕94(手96)の近傍において、液晶画面36内に火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)が出現し、この投体N3が保留アイコンに向けて、放物軌道を描きながら移動し、これにより、人物ギミック93が火炎弾を保留アイコン(ターゲット)に目掛けて投擲する様を表現したアクション演出(操作時ギミック連動演出)が現出され(【0389】)、 放り投げた投体N3(火炎弾)が、ターゲットの保留アイコンに命中(着弾)し、保留アイコンの近傍領域を覆う煙幕(煙幕画像)Rが発生し(【0392】)、 煙幕Rが消え去り、保留アイコンが秘匿状態から開示状態とされて、保留アイコンが再表示され(開示演出)、このとき、投体N3(火炎弾)が命中した当該保留アイコンの保留表示態様が、通常の白色(通常保留色)から専用保留色(たとえば、緑色)に変化し(【0394】)、 「操作時ギミック連動演出」として、可動体役物(たとえば、人物ギミック93の腕94、手96など)の動作と、液晶画面36中の特定画像(たとえば、投体(火炎弾)N3、オーラZなどの動画像または静止画像)とを関連付け、その可動部位の動作に伴って特定画像が連動(連係して動作)することにより、一つ意味をなす意匠を形成ないし遊技者に対しある物事を連想させたり一体感を抱かせたり、あるいはそれらが混然一体となって、あたかも特定画像が可動体役物の一部のように、その逆に、あたかも可動体役物が特定画像と連動した画像表示演出のように振る舞う、といった演出を現出させることができ、たとえば、手96の周縁部近傍領域にオーラZを表示させて、手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ、腕94の腕振り動作に伴ってオーラZが手96に追動する様を表現することにより、手96から投体N3が投擲される際に人物ギミック93が力一杯放り投げていることを連想させたり、投体N3が勢いを付けてターゲット(保留表示部b1の保留アイコン)に向かうことを連想させたりすることができ、このように、人物ギミック93による特定の動作と液晶表示装置36によるオーラZとを合わせて実行することで、ギミック連動ボタン予告に対する注目を集めることができ(【0398】)、オーラZは保留アイコンと連結されることなく表示される(【図54】、上記(5)) l パチンコ遊技機1(【0013】)。」(以下「引用発明」という。) 2 当審拒絶理由で周知技術を示す文献である引用例2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-92974号公報(平成27年5月15日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (1)「【0326】 初めに、図22(a)および図24を参照して、ノーマルリーチの実行中に先読み予告演出として実行される演出パターン1を説明する。 【0327】 図22(a)に示すノーマルリーチは、図24の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に対応している。このようなノーマルリーチでは、画像表示装置5の始動入賞記憶表示エリア5Hに表示される保留記憶画像50が1つ消費されることによって、図24(a)に示すように、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rで飾り図柄の一斉変動が開始する。このときの背景は通常背景5X(図24(a))である。その後、「左」の飾り表示図柄5Lに「7」を示す飾り図柄52が停止し、さらに「右」の飾り表示図柄5Rに「7」を示す飾り図柄53が停止する(図22(a)、図24(b))。この状態がいわゆる「リーチ状態」であり、リーチ表示58(図24(b))が表示されることで、遊技者はリーチ状態を的確に捉えることができる。 【0328】 リーチとなった後、しばらくすると、中図柄に特殊図柄であるシャッター図柄54が停止する(図22(a)、図24(c))。その後、シャッター図柄54のシャッターが開き、その中からは、演出パターン1に対応するビーム演出キャラクタ1(図22(a))としての女の子のキャラクタ561が登場する(図24(d))。その後、キャラクタ561がビーム58を出すことで(図22(a)のビーム演出)、直近に生じた保留記憶を示す保留記憶画像50が通常の表示から色が変化(たとえば、青色から金色や銀色など)した保留予告記憶画像51へと変更される(図24(e))。ノーマルリーチの場合の背景は、変動期間を通して通常背景5Xのまま変化しない。このような演出が先読み予告として、ターゲットの変動の前に行なわれる。」 (2)「【図24】 」 (3)上記(2)の図24(e)を見ると、ビーム58をキャラクタ561と保留予告記憶画像51とを連結するように表示することが見て取れる。 3 当審拒絶理由で周知技術を示す文献である引用例3として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-154714号公報(平成28年9月1日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (1)「【0275】 図30は、変化演出Aが実行される場合であって、図13に示すステップS309の処理により表示変化パターンがYHP1-3に決定され、ステップS310の処理により表示変化タイミングパターンがTPA3に決定された場合における変化演出の実行例を示している。この実行例では、図30(A)に示すように、第1保留表示部5HLにおいて保留番号が「1」?「3」に対応した白色の保留表示が行われ、アクティブ表示部AHAにおいて今回の可変表示に対応する白色のアクティブ表示が行われている。 【0276】 次に、図30(B)に示すように、表示変化パターンがYHP1-3、表示変化タイミングパターンがTPA3であることに対応して、キャラクタCHαが、保留番号「3」に対応する保留表示に対して青色のビームBM1を照射する態様となる。その後、図30(C)、図30(D1)に示すように、保留番号「3」に対応する保留表示において白色の領域が徐々に変化後の候補の態様の領域である青色の領域に変化する。 【0277】 更に、図30(E1)に示すように、保留番号「3」に対応する保留表示において領域全体が青色になるとともに、保留番号「3」に対応する保留表示において2回目の色の変化が生じることを示唆する「もう1回」の文字TXが表示される。続いて、図30(F1)に示すように、キャラクタCHαが、保留番号「3」に対応する保留表示に対して緑色のビームBM2を照射し、保留番号「3」に対応する保留表示において青色の領域が徐々に変化後の候補の態様の領域である緑色の領域に変化し、図30(G1)に示すように、保留番号「3」に対応する保留表示において領域全体が緑色になる。」 (2)「【図30】 」 (3)上記イの図30(B)ないし(D1)を見ると、青色のビームBM1をキャラクタCHαと第1保留表示部5HLとを連結するように表示することが見て取れる。 4 本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018-789号公報(平成30年1月11日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (1)「【0012】 …… また、遊技盤110は、前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。 【0013】 そして、本実施の形態の可動役物115は、図1に示すように、第1演出部7および第2演出部8を有している。また、可動役物115は、前後方向において、遊技くぎ等が取り付けられて遊技領域111を形成する遊技板111dの後側であって、画像表示部114の前側に配置される。本実施の形態において、第1演出部7は、パチンコ遊技機100の左側中央部に配置される。また、第2演出部8は、パチンコ遊技機100の右側かつ下側に配置される。」 (2)「【0240】 続いて、本実施の形態の可動役物115について詳細に説明する。 図34は、本実施の形態の可動役物115の動作時の配置の説明図である。 図34に示すように、可動役物115は、所定のタイミングにて、図1に示す位置(待機位置)から移動し、パチンコ遊技機100の中央部側である登場位置に位置する。」 (3)「【0340】 〔可動役物115の演出例2〕 図55は、可動役物115を用いた演出例2の説明図である。 演出例2においては、図55(a)に示すように、画像表示部114に表示される変動オブジェクト51および保留オブジェクト52を表示させる。そして、演出例2では、これら変動オブジェクト51および保留オブジェクト52と、可動役物115とを組み合わせた演出を行う。 …… 【0342】 画像表示部114の画面には、特別図柄の図柄変動に基づいて、装飾図柄41の変動表示による変動演出が行われる。そして、画面の下側には、特別図柄が変動中(装飾図柄41の変動表示中)となっていることを示す変動オブジェクト51が表示される。 また、RAM303における保留球に対応する記憶領域の情報に基づいて、画像表示部114の画面には、保留オブジェクト52が表示される。保留オブジェクト52は、大当たり判定の権利が保留されていることを示すオブジェクトである。また、本実施の形態では、画面における保留オブジェクト52の表示態様は、事前判定処理による事前判定結果に基づいて決定される。 【0343】 そして、演出例2では、例えば保留オブジェクト52の表示態様を変化させて、事前判定結果の内容を示唆または報知する演出を行う。すなわち、保留オブジェクト52の表示態様を、事前判定結果の内容を示唆または報知しない場合の表示態様とは異ならせる。表示態様の変化は、例えば、形状を異ならせたり、表示色を異ならせたりすることができる。そして、表示態様を異ならせることで、遊技者に対して、大当たりを期待させるようにする。また、保留オブジェクト52の表示態様について、複数の表示態様が設けられている。さらに、複数の表示態様は、大当たりの期待度に応じて複数段階に設定されている。 …… 【0344】 そして、演出例2では、図55(a)に示すように、第2演出部8を登場位置に位置させる。さらに、発光部83を光らせる。そして、画像表示部114においては、エフェクト画像44を用いて、第2演出部8から保留オブジェクト52に向けて、衝撃波が発射されているかのような演出を行う。 その後、図55(b)に示すように、保留オブジェクト52の表示態様を変化させる。これによって、可動役物115が保留オブジェクト52の表示態様を変化させたかのような演出を遊技者に見せることができる。」 (4)「【図1】 」 (5)「【図34】 」 (6)「【図55】 」 (7)上記(6)の図55(a)ないし(b)を見ると、エフェクト画像44を第2演出部8と保留オブジェクト52とを連結するように表示することが見て取れる。 5 上記2ないし4からみて、以下の事項が周知であると認められる。 「先読み予告演出を行う遊技機において、キャラクタ等の移動に連係したアイテム画像によって保留アイコンの表示態様を変化させる際に、上記アイテム画像をキャラクタ等と保留アイコンとを連結するように表示すること。」(以下「周知技術」という。) 第5 対比 本願発明と引用発明を対比する。なお、見出し(a)等は、本願発明の発明特定事項A等に概ね対応させている。 (a)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 また、引用発明は、「種々の演出を画像により表示」する「演出表示装置36」が設けられているから、本願発明と同様に「複数の表示演出を実行可能な表示手段を備え」るといえる。 さらに、引用発明は、「その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(人物ギミック93)」が設けられているから、本願発明と同様に「前記複数の表示演出を含む複数の演出を実行可能」であるといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項aは、本願発明の発明特定事項Aに相当する。 (b、f)引用発明の「保留アイコン」は、本願発明の「保留アイコン」に相当し、引用発明における「保留アイコン」の「通常の保留表示(通常保留表示態様)」及び「白色(通常保留色)」は、本願発明における「保留アイコン」の「第1の態様」に相当する。 また、引用発明において「保留表示領域76内の保留表示部a1?c1にそれぞれ白丸印(通常保留色)の保留アイコンが表示され」ることは、本願発明の「複数の第1の態様の保留アイコンを表示する演出」に相当し、その結果、「複数の表示演出のうちの一つの演出」としての「第1の表示演出」にも相当する。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項B、Fに相当する事項を含む。 (c、g)引用発明の「可動体役物」並びに「人物ギミック93」の「腕94」及び「手96」は、本願発明の「可動役物」に相当する。 また、引用発明における「人物ギミック93が腕94(手96)を1回または複数回上下に振る「腕振り動作」を行」うことは、本願発明の「可動役物を表示手段の前方に可動させる役物可動演出をおこなう演出」に相当し、その結果、「複数の表示演出のうちの一つの演出」としての「第2の演出」にも相当する。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項C、Gに相当する事項を含む。 (d、h)引用発明における「保留アイコン」の「予告表示の青色、黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留表示(専用保留表示態様)の保留色(専用保留色)」は、本願発明における「保留アイコン」の「第2の態様」に相当する。 また、引用発明の「投体N3(火炎弾)が命中した当該保留アイコンの保留表示態様が、通常の白色(通常保留色)から専用保留色(たとえば、緑色)に変化」することは、本願発明の「第1の態様の保留アイコンを第2の態様の保留アイコンに変化させる演出」に相当し、その結果、「複数の演出のうちの一つの演出」としての「第3の表示演出」にも相当する。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項D、Hに相当する事項を含む。 (e、i)引用発明の「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」は、本願発明の「第1の画像」に相当し、引用発明の「液晶画面36内に火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)が出現し、この投体N3が保留アイコンに向けて、放物軌道を描きながら移動」することは、本願発明の「第1の画像を表示する演出」に相当する。 また、引用発明の「オーラZ」は、本願発明の「第2の画像」に相当し、引用発明の「手96の周縁部近傍領域にオーラZを表示させて、手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ」ることは、本願発明の「第2の画像を表示する演出」に相当する。 ここで、引用発明は、「可動体役物(たとえば、人物ギミック93の腕94、手96など)の動作と、液晶画面36中の特定画像(たとえば、投体(火炎弾)N3、オーラZなどの動画像または静止画像)とを関連付け」るものであり、また、「腕94の腕振り動作に伴ってオーラZが手96に追動する様を表現することにより、手96から投体N3が投擲される際に人物ギミック93が力一杯放り投げていることを連想させたり、投体N3が勢いを付けてターゲット(保留表示部b1の保留アイコン)に向かうことを連想させたりすることができ」るものであるから、腕94の腕振り動作に伴って「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」と「オーラZ」を表示すると認められる。そうすると、引用発明は、本願発明と同様に「第1の画像と第2の画像を表示する演出」をおこなうといえ、その結果、「複数の表示演出のうちの一つの演出」としての「第4の表示演出」をおこなうともいえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項E、Iに相当する事項を含む。 (j)上記(b、f)から(e、i)で述べたように、引用発明では、本願発明の「第1の表示演出」に相当する演出、「第2の演出」に相当する演出、「第3の表示演出」に相当する演出及び「第4の表示演出」に相当する演出が行われるところ、これらの演出は連続して行われる。そうすると、引用発明は、本願発明と同様に「前記第1の表示演出と前記第2の演出と前記第3の表示演出と前記第4の表示演出とを含む組み合わせ演出がおこなわれる場合があ」るといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項Jに相当する事項を含む。 (k?k1)上記(j)で述べたように、引用発明は、本願発明の「前記第1の表示演出と前記第2の演出と前記第3の表示演出と前記第4の表示演出とを含む組み合わせ演出がおこなわれる場合があ」るといえるから、引用発明は、本願発明と同様に「組み合わせ演出では、前記第1の表示演出がおこなわれ」るといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項K、K1に相当する事項を含む。 (k2)引用発明では人物ギミック93が腕94を振る「腕振り動作」を行うときに「白丸印(通常保留色)の保留アイコンが表示され」ていることは明らかであるから、引用発明は、本願発明と同様に「前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の演出がおこなわれ」るといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項K2に相当する事項を含む。 (k3)上記(e、i)で述べたように、引用発明は、腕94の腕振り動作に伴って「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」と「オーラZ」を表示すると認められるから、引用発明は、本願発明と同様に「前記第2の演出がおこなわれることによって、前記第4の表示演出がおこなわれ」るといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項K3に相当する事項を含む。 (k4、k42)引用発明の「オーラZ」は、「保留アイコンと連結されることなく表示される」から、本願発明の「前記第2の画像」と同様に「前記複数の第1の態様の保留アイコンと連結されることなく表示され」るといえる。また、引用発明において、このように「オーラZ」が表示されるときは、上記(e、i)で述べたように、本願発明の「前記第4の表示演出がおこなわれる場合、」であるといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項K4、K42と、「前記第4の表示演出がおこなわれる場合、」「前記第2の画像は、」「前記複数の第1の態様の保留アイコンと連結されることなく表示され」る事項を含む点で共通する。 (k5)引用発明において、「投体N3(火炎弾)が命中した当該保留アイコンの保留表示態様が、通常の白色(通常保留色)から専用保留色(たとえば、緑色)に変化」すること(本願発明の「第3の表示演出」に相当する。)は、「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」が出現されること(本願発明の「第4の表示演出」の一部に相当する。)の後である。そうすると、引用発明は、本願発明と同様に「前記第4の表示演出がおこなわれることによって、前記第3の表示演出がおこなわれ」るといえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項K5に相当する事項を含む。 (k6)引用発明は、「投体N3(火炎弾)が命中した当該保留アイコンの保留表示態様が、通常の白色(通常保留色)から専用保留色(たとえば、緑色)に変化」するものである。そうすると、引用発明は、本願発明と同様に「前記第1の画像と連結された前記第1の態様の保留アイコンを対象として前記第2の態様の保留アイコンに変化させる」といえる。 したがって、引用発明の発明特定事項b?kは、本願発明の発明特定事項K6に相当する事項を含む。 (l)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 したがって、引用発明の発明特定事項lは、本願発明の発明特定事項Lに相当する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、 「A 複数の表示演出を実行可能な表示手段を備え、前記複数の表示演出を含む複数の演出を実行可能な遊技機であって、 B 複数の演出のうちの一つの演出として、第1の表示演出をおこなう場合があり、 C 複数の演出のうちの一つの演出として、第2の演出をおこなう場合があり、 D 複数の演出のうちの一つの演出として、第3の表示演出をおこなう場合があり、 E 複数の演出のうちの一つの演出として、第4の表示演出をおこなう場合があり、 F 前記第1の表示演出は、複数の第1の態様の保留アイコンを表示する演出であり、 G 前記第2の演出は、可動役物を表示手段の前方に可動させる役物可動演出をおこなう演出であり、 H 前記第3の表示演出は、第1の態様の保留アイコンを第2の態様の保留アイコンに変化させる演出であり、 I 前記第4の表示演出は、第1の画像と第2の画像を表示する演出であり、 J 前記第1の表示演出と前記第2の演出と前記第3の表示演出と前記第4の表示演出とを含む組み合わせ演出がおこなわれる場合があり、 K 前記組み合わせ演出では、 K1 前記第1の表示演出がおこなわれ、 K2 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の演出がおこなわれ、 K3 前記第2の演出がおこなわれることによって、前記第4の表示演出がおこなわれ、 K4 前記第4の表示演出がおこなわれる場合、 K42’ 前記第2の画像は、前記複数の第1の態様の保留アイコンと連結されることなく表示され、 K5 前記第4の表示演出がおこなわれることによって、前記第3の表示演出がおこなわれ、 K6 当該第3の表示演出では、前記第1の画像と連結された前記第1の態様の保留アイコンを対象として前記第2の態様の保留アイコンに変化させる L 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1(発明特定事項K41)> 「前記第1の画像」に関し、 本願発明では、「前記第1の画像」は、「前記表示手段の前方に可動させた前記可動役物と、前記複数の第1の態様の保留アイコンのうちの1つの保留アイコンとを連結するように表示され」るのに対し、 引用発明では、本願発明の「前記第1の画像」に相当する「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」は、「人物ギミック93の腕94(手96)の近傍において」「出現し」、「保留アイコンに向けて、放物軌道を描きながら移動」するものであって、本願発明の「前記可動役物」に相当する「人物ギミック93の腕94(手96)」と、「1つの保留アイコン」とを連結するように表示するものではない点。 <相違点2(発明特定事項K42)> 「前記第2の画像」に関し、 本願発明では、「前記第2の画像」は、「前記可動役物」「と連結されることなく表示され」るのに対し、 引用発明では、本願発明の「前記第2の画像」に相当する「オーラZ」は、本願発明の「可動役物」に相当する「手96」「と連結されることなく表示され」るものでない点。 第6 判断 1 相違点1について 上記第4の5で示したように、先読み予告演出を行う遊技機において、キャラクタ等の移動に連係したアイテム画像によって保留アイコンの表示態様を変化させる際に、上記アイテム画像をキャラクタ等と保留アイコンとを連結するように表示することは、周知技術である。 ここで、引用発明における「ギミック連動ボタン予告」は「保留変化予告」に属する演出態様であり(【0378】を参照。)、「保留変化予告」は「先読み予告演出」であること(【0181】を参照。)、及び、引用発明における「人物ギミック93」は「キャラクタ」であることを踏まえると、結局のところ、引用発明と周知技術とは、先読み予告演出を行う遊技機において、キャラクタ等の移動に連係したアイテム画像によって保留アイコンの表示態様を変化させる点で作用、機能が共通する。 したがって、引用発明において、「人物ギミック93の腕94(手96)の近傍において」「出現し」、「保留アイコンに向けて、放物軌道を描きながら移動」する「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」を、上記周知技術に基づき、「人物ギミック93の腕94(手96)」と「1つの保留アイコン」とを連結するように表示する「アイテム画像」に転換することで、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項K41をなすことは、当業者が容易になし得たことである。 2 相違点2について 引用発明は、「手96の周縁部近傍領域」に「オーラZ」を表示させるところ、その目的は、「手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ」ることであるから、「手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ」る限度で「手96の周縁部近傍領域」のどこに「オーラZ」を表示させるかは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。ここで、「手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ」ることが可能な「手96の周縁部近傍領域」には、「手96」と連結しない程度に「手96」から離れた領域が含まれることは明らかである。 したがって、引用発明において、「手96の周辺をあたかもオーラが纏うが如き様子を現出させ」る限度で「オーラZ」を「手96」と連結しない程度に「手96」から離れた領域に表示されるようにして、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項K42をなすことは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。 3 本願発明の奏する効果について 本願発明の効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。なお、効果に関する請求人の主張については、後記5で詳述する。 4 小括 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 5 請求人の主張について (1)請求人は、令和3年3月16日提出の意見書における(1-2)で、以下のとおり主張する。 「また、本願発明は、「第1の画像は、表示手段の前方に可動させた可動役物と、複数の第1の態様の保留アイコンのうちの1つの保留アイコンとを連結するように表示され、第2の画像は、前記可動役物および前記複数の第1の態様の保留アイコンと連結されることなく表示され、第1の画像と連結された前記第1の態様の保留アイコンを対象として前記第2の態様の保留アイコンに変化させることにより、「3次元」的な可動役物と「2次元」的な保留アイコンとを第1の画像によって連結することができるので、「アクロバティックなコンビネーション」によって、保留変化する保留アイコンを遊技者に強調することができる」という技術思想を有しております。 …… すなわち、引用文献1?3では、「アクロバティックなコンビネーション」によって、保留変化する保留アイコンを遊技者に強調するという上記本願発明の技術思想については開示も示唆もされておりません。 したがって、引用文献1と引用文献2、3とを組み合わせても本願発明の上記技術思想に想到することができず、本願発明に容易に想到できないと思料致します。」 しかしながら、引用発明は、「人物ギミック93が腕94(手96)を1回または複数回上下に振る「腕振り動作」を行い、この腕振り動作による腕94(手96)の動きとうまく連係するように、人物ギミック93の腕94(手96)の近傍において、液晶画面36内に火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)が出現し、この投体N3が保留アイコンに向けて、放物軌道を描きながら移動し、これにより、人物ギミック93が火炎弾を保留アイコン(ターゲット)に目掛けて投擲する様を表現したアクション演出(操作時ギミック連動演出)が現出され」るものであり(発明特定事項b?k第6段落を参照。)、その後、「投体N3(火炎弾)が命中した当該保留アイコンの保留表示態様が、通常の白色(通常保留色)から専用保留色(たとえば、緑色)に変化」するものである(発明特定事項b?kの第8段落を参照。)。すなわち、引用発明において、投体N3は、人物ギミック93の腕94(手96)の近傍において出現し、保留アイコンに向けて移動し、保留アイコン(ターゲット)に命中するものである。したがって、引用発明は、投体N3を用いて3次元的な人物ギミック93と2次元的な保留アイコンとのコンビネーションを表示するものと認められる。 また、引用発明は、「液晶表示装置36の液晶画面(液晶画面36)中の保留表示について、その保留アイコンの表示態様が、人物ギミック93の動作に伴う動画画像(投体N3)の動きによって変更される」という作用効果を奏する(【0383】を参照。)。すなわち、投体N3の動きによって、保留アイコンの表示態様が変更される。したがって、引用発明は、投体N3を用いて保留変化する保留アイコンを遊技者に強調するものと認められる。 以上のとおり、引用発明は、投体N3を用いて3次元的な人物ギミック93と2次元的な保留アイコンとのコンビネーションを表示することによって、保留変化する保留アイコンを遊技者に強調するものと認められる。したがって、引用発明は本願発明と実質的に同様の作用効果を奏するものと認められる。 請求人は、「「アクロバティックなコンビネーション」によって、保留変化する保留アイコンを遊技者に強調することができる」と主張するが、本願発明のコンビネーションがどのような点で「アクロバティック」であるか不明である点に加えて、仮に「アクロバティックなコンビネーション」の作用効果が請求人の主張のとおりだとしても、上記のとおり、引用発明は本願発明と同様の作用効果を奏するものと認められる。 (2)また、請求人は、令和3年3月16日提出の意見書における(1-2)で、以下のとおり主張する。 「……さらには、第2の演出をトリガとして、可動役物および複数の第1の態様の保留アイコンと連結されることなく表示される第2の画像が表示されるので、保留変化前の一連の演出をさらに盛り上げることができます。 その結果、遊技の興趣を向上させることができます。 引用文献1?3では、このような構成、作用・効果(技術思想)は、開示も示唆もされておらず、引用文献1?3を組み合わせても、本願発明には想到することができません。」 しかしながら、上記第5の(e、i)で述べたように、引用発明は、「可動体役物(たとえば、人物ギミック93の腕94、手96など)の動作と、液晶画面36中の特定画像(たとえば、投体(火炎弾)N3、オーラZなどの動画像または静止画像)とを関連付け」るものであり、また、「腕94の腕振り動作に伴ってオーラZが手96に追動する様を表現することにより、手96から投体N3が投擲される際に人物ギミック93が力一杯放り投げていることを連想させたり、投体N3が勢いを付けてターゲット(保留表示部b1の保留アイコン)に向かうことを連想させたりすることができ」るものであるから、腕94の腕振り動作に伴って「火炎弾(誘導弾)を模したアイテム画像(投体N3)」と「オーラZ」を表示すると認められる。すなわち、引用発明は、人物ギミック93が腕94(手96)を1回または複数回上下に振る「腕振り動作」をトリガとして、保留アイコンと連結されることなく表示されるオーラZが表示されるので、保留変化前の一連の演出をさらに盛り上げることができるものであると認められる。 したがって、本願発明が格別の効果を奏するものとは認められない。 (3)以上のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-05-26 |
結審通知日 | 2021-06-01 |
審決日 | 2021-06-16 |
出願番号 | 特願2019-28103(P2019-28103) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小河 俊弥 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
太田 恒明 千本 潤介 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 田邊 淳也 |