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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1376647 |
審判番号 | 不服2020-15224 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-11-02 |
確定日 | 2021-08-24 |
事件の表示 | 特願2019-150150「プログラム、情報処理方法、端末、システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月11日出願公開、特開2020- 91833、請求項の数(23)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年12月3日の出願である特願2018-226442号の一部を平成31年1月31日に新たな特許出願としたものである、特願2019-16333号の更にその一部を、令和元年8月20日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 2年 4月 9日 :手続補正書の提出 令和 2年 6月16日付け:拒絶理由通知書 令和 2年 7月17日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 8月12日付け:拒絶査定 令和 2年11月 2日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提 出 令和 2年12月25日付け:拒絶理由(当審拒絶理由1)通知書 令和 3年 3月 5日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年 3月31日付け:拒絶理由(当審拒絶理由2)通知書 令和 3年 6月 4日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和2年8月12日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。 この出願の請求項1?20に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献A:特開2014-96096号公報 第3 当審拒絶理由の概要 1 当審拒絶理由1 当審が令和2年12月25日付けで通知した拒絶理由(当審拒絶理由1)の概要は、次のとおりである。 (1)理由1 請求項1に「第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれるユーザの端末」と記載されているが、当該「グループ」は、少なくとも「第1ユーザと第2ユーザ」を含む(つまり、「グループ」内に「第3のユーザ」が存在する場合を排除していない)ということであるのか、「第1ユーザと第2ユーザ」のみを含むということであるのか、いずれか不明である。 また、請求項1の上記記載中の「グループに含まれるユーザ」に関し、請求項1の全体の記載により、請求項1は、「グループに含まれるユーザ」が、「第1ユーザ」である場合と、「第2ユーザ」である場合との両方(「グループ」内に「第3のユーザ」が存在する場合を排除していないのならば、「第3のユーザ」である場合を加えて、それらの全部)を含むのか、それらのうちの特定の場合を排除しているのか、いずれか不明である。そして、特定の場合を排除しているのならば、どの場合を排除しているのか、不明である。 請求項18,19にも請求項1と同様の記載がある。 (2)理由2 この出願の請求項1?20に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2014-96096号公報(原査定の引用文献A) 2 当審拒絶理由2 当審が令和3年3月31日付けで通知した拒絶理由(当審拒絶理由2)の概要は次のとおりである。 (1)理由1 この出願の請求項1?21に係る発明は、以下の引用文献1?3に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2014-96096号公報(原査定の引用文献A) 引用文献2:特開2015-106337号公報 引用文献3:特開2015-201100号公報 (2)理由2 請求項1に「前記第1ユーザに対して送信され」との記載があるが、送信先が「第1ユーザ」に限られるのか否か、不明である。 また、当該記載と、請求項1に別途記載されている「前記グループに対して送信された」との記載との概念的な関係が不明である。 請求項19,20にも請求項1と同様の記載がある。 第4 本願発明 本願請求項1?23に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明23」という。)は、令和3年6月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?23に記載された事項により特定されるものであって、請求項1,21,22に係る発明は、それぞれ次のとおりである(下線は補正箇所を示す。)。 「【請求項1】 第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれる、前記第1ユーザと前記第2ユーザとは異なるユーザの端末によって実行されるプログラムであって、 前記グループに対して送信された複数のコンテンツのうちの第1コンテンツを前記端末の表示部に表示することと、 前記表示部に表示された前記第1コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記ユーザがコンテンツを入力可能な第1領域を前記表示部に表示し、前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含む第3コンテンツを、前記第1領域と異なる、前記ユーザによるコンテンツの入力が可能ではない前記表示部の第2領域に表示することと、 前記ユーザによる前記第1領域への第2コンテンツの入力に基づいて、前記第2コンテンツと、前記第3コンテンツとが前記第1ユーザのみに対して送信され、前記第1ユーザのみに対して送信された前記第2コンテンツと前記第3コンテンツとを前記表示部に表示することと、 前記第1コンテンツの少なくとも一部と第1コンテンツの送信者に関する情報とを含み、前記表示部に表示された前記第3コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記複数のコンテンツのうちの前記第1コンテンツを取得し、取得された前記第1コンテンツを表示する制御を前記端末の制御部によって行うこととが前記端末によって実行される。」 「【請求項21】 第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれる、前記第1ユーザと前記第2ユーザとは異なるユーザの端末の情報処理方法であって、 前記グループに対して送信された複数のコンテンツのうちの第1コンテンツを前記端末の表示部に表示することと、 前記表示部に表示された前記第1コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記ユーザがコンテンツを入力可能な第1領域を前記表示部に表示し、前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含む第3コンテンツを、前記第1領域と異なる、前記ユーザによるコンテンツの入力が可能ではない前記表示部の第2領域に表示することと、 前記ユーザによる前記第1領域への第2コンテンツの入力に基づいて、前記第2コンテンツと、前記第3コンテンツとが前記第1ユーザのみに対して送信され、前記第1ユーザのみに対して送信された前記第2コンテンツと前記第3コンテンツとを前記表示部に表示することと、 前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含み、前記表示部に表示された前記第3コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記複数のコンテンツのうちの前記第1コンテンツを取得し、取得された前記第1コンテンツを表示する制御を前記端末の制御部によって行うこととを含む。」 「【請求項22】 第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれる、前記第1ユーザと前記第2ユーザとは異なるユーザの端末であって、 前記グループに対して送信された複数のコンテンツのうちの第1コンテンツを表示し、表示された前記第1コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記ユーザがコンテンツを入力可能な第1領域を前記表示部に表示し、前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含む第3コンテンツを、前記第1領域と異なる、前記ユーザによるコンテンツの入力が可能ではない前記表示部の第2領域に表示し、前記ユーザによる前記第1領域への第2コンテンツの入力に基づいて、前記第2コンテンツと、前記第3コンテンツとが前記第1ユーザのみに対して送信され、前記第1ユーザのみに対して送信された前記第2コンテンツと前記第3コンテンツとを表示する表示部と、 前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含み、前記表示部に表示された前記第3コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記複数のコンテンツのうちの前記第1コンテンツを取得し、取得された前記第1コンテンツを表示する制御を行う制御部とを備える。」 また、本願発明2?20は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明23は、本願発明22を減縮した発明である。 第5 引用文献の記載及び引用発明、並びに周知技術 1 引用文献1、引用発明 (1)当審拒絶理由1で引用され、当審拒絶理由2でも引用された引用文献1(特開2014-96096号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 ア 「【0027】 次に、図3を参照して、グループチャットのメッセージ画面の表示例を説明する。ここで、以下に説明するグループチャットの例は、ユーザAとユーザBとユーザCとユーザDとの4人が属するグループのグループチャットとした例である。自ユーザがユーザAであり、他ユーザ(チャット相手)がユーザB、ユーザC、及びユーザDである。図3は、本実施形態によるユーザ端末100が表示するメッセージ画面の表示例を示す図であって、ユーザAのユーザ端末100-1が表示するグループチャットのメッセージ画面の例を示している。 【0028】 符号110aは、表示部110が表示する領域の全体を示している。また、符号110bは、この表示部110がグループチャットのメッセージ画面を表示する領域を示している。ここでは、符号110aの領域のほぼ全体に、グループチャットのメッセージ画面が表示されている。なお、このメッセージ画面は、送受信された複数のメッセージのうちの一部分が表示されている。ユーザ端末100は、例えばタッチパネルである画面の任意の箇所において行われるスクロール操作に応じて、メッセージを上下にスクロール表示させることによって、この一画面内に表示しきれていないメッセージを表示可能である。 【0029】 符号110cの領域には、グループの名称と、チャットの種類を示す情報とが表示される。ここでは、ユーザAとユーザBとユーザCとユーザDとの4人が属するグループの名称として「テニスサークル」が設定されているものとして、この設定されたグループの名称が表示されている例を示している。また、チャットの種類を示す情報とは、グループチャットであることを示す情報であって、ここではグループチャットであることを示す情報として「グループチャット」が表示されている例を示している。また、1対1チャットである場合には、このチャットの種類を示す情報が表示されない(チャットの種類を示す情報が表示されていないことが、1対1チャットであることを示す)。なお、1対1チャットである場合に、1対1チャットであることを示す情報が表示されるようにしてもよい。ユーザは、この符号110cの領域に表示される情報によって、いずれのグループのメッセージ画面が表示されているか、グループチャットであるか1対1チャットであるか、等を判別できる。 【0030】 なお、1対1チャットである場合には、チャット相手のユーザ名がグループ名として表示される。例えば、ユーザAとユーザBとが1対1チャットを行う場合、ユーザAのユーザ端末100-1が表示するメッセージ画面には、グループ名としてユーザBのユーザ名が表示される。一方、ユーザBのユーザ端末100-2が表示するメッセージ画面には、グループ名としてユーザAのユーザ名が表示される。なお、これらのグループ名は、事後的に自ユーザのユーザ端末100で修正できる。 【0031】 符号110dの領域には、そのグループにおいてユーザから送信されたメッセージが、そのメッセージが送信された日時に基づいて昇順(新しいメッセージが符号110dの領域の下側)に表示されるように表示コンポーネントが配置される。アイコンE1は、他ユーザを示すアイコンである。このアイコンE1は、例えば他ユーザによって予め登録された画像(例えば、プロフィール画像)でもよいし、チャットシステム1が予め用意した画像でもよい。ここでは、アイコンE1は、ユーザBを示すプロフィール画像である。吹き出しE2には、他ユーザ(ここではユーザB)から送信されたメッセージが表示される。なお、アイコンE1に対応するユーザのユーザ名、吹き出しE2に表示されたメッセージの送信日時(送信時間)、等がこの符号110dの領域に表示されてもよい。また、アイコンE3は、ユーザCを示すアイコンであって、ここではユーザCを示すプロフィール画像である。また、吹き出しE4には、ユーザCから送信されたメッセージが表示される。」 イ 「【0035】 以下、本実施形態によるチャットシステム1の構成について詳しく説明する。 まず、図4を参照して、ユーザ端末100の構成について説明する。図4は、本実施形態によるユーザ端末100の構成を示す概略ブロック図である。ユーザ端末100は、表示部110と、操作受付部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150とを備えている。なお、図1に示す複数のユーザ端末100-Nは、同様の各部を備えるものとする。 【0036】 表示部110は、画像や文字等の情報を表示する表示デバイスである。表示部110の情報を表示する領域を画面といい、表示部110の画面に表示される情報を画面情報という。なお、この画面情報には一画面では表示しきれない情報も含まれる。例えば、表示部110は、チャットアプリケーションにおいて、グループ内のユーザ間で送受信したメッセージを時系列に並べて表示するメッセージ画面を表示する。ここで、表示部110が表示するこれらの画面は、ユーザからの操作に応じて制御部150によって制御される。」 ウ 「【0058】 ここで、グループチャットの実行中にダイレクトチャットを開始(実行)した場合に表示部110に表示されるメッセージ画面の表示例について、図10を参照して説明する。図10は、グループチャットの実行中にダイレクトチャットを開始した場合のメッセージ画面の表示例を示す図である。この図10では、図3に示すグループチャットのメッセージ画面(第1画面)において、ユーザBを示すアイコンE1に対するタップ操作(符号K1参照)、又は吹き出しE2に対するタップ操作(符号K2参照)がされ、ユーザAとユーザBとがダイレクトチャットによるメッセージを送受信したときのメッセージ画面を示している。 【0059】 表示部110が表示する領域の全体を示す符号110aの領域には、グループチャットのメッセージ画面(第1画面)と、ダイレクトチャットのメッセージ画面(第2画面)とが上下に並べて表示される。ここでは、符号110fの領域(上側の領域)にはグループチャットのメッセージ画面が表示され、符号110mの領域(下側の領域)にはダイレクトチャットのメッセージ画面が表示される。 【0060】 ここで、符号110fの領域に表示されるグループチャットのメッセージ画面は、図3に示す符号110bの領域のメッセージ画面に対応する。この図10に示す符号110hの領域は、図3に示す符号110dの領域とは大きさ(上限方向の長さ)が相違するが、同様にグループチャットにより送受信するメッセージが時系列に並べて表示される。また、この図10に示す符号110gの領域と、符号110kの領域とのそれぞれは、図3に示す符号110cの領域と符号110eの領域とにそれぞれ対応する。 【0061】 符号110mの領域に表示されるダイレクトチャットのメッセージ画面において、符号110nの領域には、そのダイレクトチャットのグループ名が表示される。ここでは、複数のダイレクトチャットが実行された場合を例にしており、それぞれのダイレクトチャットのメッセージ画面を符号110mの領域に切替えて表示するための操作子としての機能を有するタブが並べて表示される例を示している。タブF1は、このユーザA(自ユーザ)とユーザB(チャット相手)とによるダイレクトチャットに対応し、チャット相手となるユーザBのユーザ名がグループ名として表示される。タブG1及びタブH1は、他のダイレクトチャット(例えば、ユーザAとユーザCとのダイレクトチャット、又はユーザAとユーザDとのダイレクトチャット)に対応する。」 エ 「【0065】 符号110rの領域には、このダイレクトチャットにおいてユーザ端末100から送信するメッセージとしてのテキストを入力するための表示コンポーネントが配置される。テキストボックスF11は、図3に示すテキストボックスE11がグループチャットのメッセージ画面におけるメッセージ入力部であるのに対して、このダイレクトチャットのメッセージ画面におけるメッセージ入力部である。即ち、このテキストボックスF11は、自ユーザ(第1ユーザ)が送信するダイレクトチャットによるメッセージ(第2メッセージ)を入力するメッセージ入力部である。テキストボックスF11には、ユーザから入力されるメッセージが表示される。送信ボタンF12は、テキストボックスF11に入力されたメッセージをユーザ端末100から送信するための操作子である。なお、この符号110rの領域には、表示されているダイレクトチャットのメッセージ画面を終了する操作子である終了ボタンF13が表示される。この終了ボタンF13に対してタップ操作がされると、ユーザ端末100は、符号110mの領域に表示されているメッセージ画面のダイレクトチャットを終了して、実行中のグループチャットのメッセージ画面が、符号110aの領域のほぼ全体(図3の符号110bの領域)に表示される。 なお、終了ボタンF13に対してタップ操作がされた場合、タブF1に対応するダイレクトチャットのメッセージ画面が閉じ、他のタブ(タブG1)が表示されているときには、当該タブに対応するダイレクトチャットのメッセージ画面が表示されるようにし、他のタブが表示されていないときには、実行中のグループチャットのメッセージ画面が、符号110aの領域のほぼ全体に表示されるようにしてもよい。」 オ 「【0067】 なお、第2表示制御部155は、グループチャットの実行中にグループチャットのメッセージ画面(第1画面)において操作された他ユーザを示すアイコン又は吹き出し(第1操作子)に対応するメッセージ(第2メッセージ)を引用する形式のテキストが入力されたテキストボックスF11を表示部110に表示させてもよい。例えば、図3に示すアイコンE1又は吹き出しE2に対するタップ操作に応じてダイレクトチャットが開始される場合、第2表示制御部155は、吹き出しE2に表示されているメッセージ(ここでは、「明日飲みに行かない」)を引用する形式のテキスト(ここでは、「>明日飲みに行かない」)が入力されたテキストボックスF11を、ダイレクトチャットのメッセージ画面において表示させてもよい。この引用する形式のテキストが入力されたテキストボックスF11に、メッセージが追加入力されて送信されると、例えば、図10に示す吹き出しF2にその送信されたメッセージ(引用する形式のテキストが含まれるメッセージ)が表示される。さらに、アイコンE1に対するタップ操作の場合には吹き出しE2に表示されているメッセージを引用せず、吹き出しE2に対するタップ操作の場合には当該メッセージを引用するように、タップ操作の対象によって、引用するか否かを選択できるようにしてもよい。」 カ 「【0159】 なお、上述の制御部150の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の制御部150の処理を行ってもよい。・・・(後略)」 キ 「【図3】 ![]() 」 ク 「【図10】 ![]() 」 (2)上記(1)の記載について、以下のことがいえる。 「ユーザ端末100」の「制御部150」によって「制御される」、「表示部110」の「画面」(上記(1)イ)の内容は、具体的には、上記(1)ア、ウ?オに記載されているとおりのものであり、その表示は、同カによれば、プログラムが実行されることにより行われる。 (3)上記(1)、(2)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ユーザAのユーザ端末100-1の制御部150によって実行されるプログラムであって、 表示部110が、ユーザAとユーザBとユーザCとユーザDとの4人が属するグループのグループチャットのメッセージ画面を表示し、 そのグループにおいてユーザから送信されたメッセージが表示されるように表示コンポーネントが配置され、アイコンE1は、他ユーザを示すアイコンであり、ここでは、ユーザBを示すプロフィール画像であり、吹き出しE2には、他ユーザ(ここではユーザB)から送信されたメッセージが表示され、また、アイコンE3は、ユーザCを示すアイコンであって、ここではユーザCを示すプロフィール画像であり、吹き出しE4には、ユーザCから送信されたメッセージが表示され、 グループチャットの実行中にダイレクトチャットを開始(実行)した場合に表示部110に表示されるメッセージ画面であって、グループチャットのメッセージ画面(第1画面)において、吹き出しE2に対するタップ操作がされ、ユーザAとユーザBとがダイレクトチャットによるメッセージを送受信したときのメッセージ画面には、グループチャットのメッセージ画面(第1画面)と、ダイレクトチャットのメッセージ画面(第2画面)とが上下に並べて表示され、グループチャットのメッセージ画面には、同様にグループチャットにより送受信するメッセージが時系列に並べて表示され、 ダイレクトチャットのメッセージ画面において、ユーザ端末100から送信するメッセージとしてのテキストを入力するための表示コンポーネントが配置され、テキストボックスF11は、このダイレクトチャットのメッセージ画面におけるメッセージ入力部であり、 表示されているダイレクトチャットのメッセージ画面を終了する操作子である終了ボタンF13が表示され、この終了ボタンF13に対してタップ操作がされると、ダイレクトチャットを終了して、実行中のグループチャットのメッセージ画面が、符号110aの領域のほぼ全体に表示され、 吹き出しE2に対するタップ操作に応じてダイレクトチャットが開始される場合、吹き出しE2に表示されているメッセージを引用する形式のテキストが入力されたテキストボックスF11を、ダイレクトチャットのメッセージ画面において表示させてもよく、この引用する形式のテキストが入力されたテキストボックスF11に、メッセージが追加入力されて送信されると、吹き出しF2にその送信されたメッセージ(引用する形式のテキストが含まれるメッセージ)が表示される。」 2 周知技術 (1)当審拒絶理由2で引用された引用文献2(特開2015-106337号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0005】 あるメールに返信を行う場合、メールソフトが返信元メールの本文の各行頭に引用記号を付加したものが返信メールの初期状態となる。メール作成者は、その初期状態のメールに返信文を作成していくことになる。例えば、メール最上部に平文だけで返信文を記載することもあれば(図22)、引用文の一部をメール上部にコピーし、この直後の行にその引用文に対する返信文を記載することもあれば(図23)、メール下部の引用文の間に直接返信文を記載する場合もある(図24)。なお、図22?図24などのメール文を含む図面において、枠内の文はメール文を示し、枠外左側に記した数字はメール文の行数を示す。」 イ 「【図22】 ![]() 」 (2)上記(1)の記載について、次のことがいえる。 図22は、メール作成者がメール最上部に平文だけで返信文を記載した、勅使河原氏への返信メールを示しており、勅使河原氏が送信した返信元メールに対して、引用記号が付加された部分が引用されるとともに、その送信者名を示す「勅使河原さんが書きました。」との文字列が付加されて返信されるものであって、引用記号や「・・・書きました。」との部分は、引用されていることを明示するものと理解することができる。 (3)当審拒絶理由2で引用された引用文献3(特開2015-201100号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0014】 実施例1は、ユーザが受信したメールにおいて、引用された領域を既読領域と判断した上で、メールがメールを受信したユーザに読まれたか否かを判断する例を示す。引用された領域が引用部分の一例である。図1は、メール本文を、引用記号の有無により、既読領域と未読領域に分類した例を示す図である。図1において、「未読領域」という文字列の矩形が付された最初の領域は、行頭に引用記号がなく通常の文章(図中直線で示される)が記載されており、既読判断装置10は、受信者であるユーザが初めて読む文章のまとまりとして、未読領域であると判断する。図1の未読領域が非引用部分の一例である。また、「既読領域」という文字列の矩形が付された2番目の領域は、各行頭に引用記号「>」が表示されており、既読判断装置10は、受信者が過去に読んだ文章のまとまりとして、既読領域であると判断する。図1の既読領域も、引用部分の一例である。「>」のような引用記号は、メールでは過去に作成した文章を示すことが多く、引用記号が各行頭に存在する領域は、過去に読んだことがある文章として既読領域と判断することができる。なお、引用記号は「>」に限らず、他の記号であってもよい。また、既読判断装置10は、例えば、各行に付された引用記号の代わりに、領域の先頭行に、引用された部分であることを示す表現、例えば、Mr.NNN wrote:のような表現があるとき、当該行から文の末尾または次のMr.MMM wrote:のような表現までの部分を既読領域と判断してもよい。ここで、NNN、MMM等はメールの送信者名の例である。」 イ 「【図1】 ![]() 」 (4)上記(3)の記載について、次のことがいえる。 図1は、Alice氏が受信したメールを示しており、Alice氏にとって既読である、Alice氏が送信したメールにおける引用記号「>」が付加された部分が引用されるとともに、その送信者名を示す「Sender: Alice」との文字列が付加されて返信されたものであって、引用記号や「Sender:」との部分は、引用されていることを明示するものと理解することができる。 (5)上記(1)?(4)によれば、「電子メールにおいて、返信を行う場合に引用するメッセージに、その送信者に関する情報と、引用されていることを明示する文字列とを付加すること」は、周知技術であると認められる。 第6 当審拒絶理由2の理由1について 1 本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)引用発明の「ユーザAとユーザBとユーザCとユーザDとの4人が属するグループ」は、換言すれば、「ユーザB」と「ユーザC」とを「含む」「グループ」である。また、引用発明の「ユーザAのユーザ端末100-1」は、当該「グループ」に「含まれる」、「ユーザB」と「ユーザC」とは「異なる」「ユーザの端末」である。 そして、引用発明の「ユーザB」、「ユーザC」は、それぞれ、本願発明1の「第1ユーザ」、「第2ユーザ」に相当する。 したがって、引用発明の「ユーザAのユーザ端末100-1の制御部150によって実行されるプログラム」は、本願発明1の 「第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれる、前記第1ユーザと前記第2ユーザとは異なるユーザの端末によって実行されるプログラム」 に相当する。 (イ)引用発明の「吹き出しE2」及び「吹き出しE4」は、「ユーザAのユーザ端末100-1」が備える「表示部110」が表示する、「ユーザAとユーザBとユーザCとユーザDとの4人が属するグループのループチャットのメッセージ画面」において表示されるものであって、それらは、当該「4人が属するグループ」の各「ユーザ端末」間で送受信された「複数のコンテンツ」、すなわち、当該「4人が属するグループ」に「対して送信された」、「複数のコンテンツ」であるといえる。また、「吹き出しE2」は、当該「複数のコンテンツ」の「うちの」コンテンツ部分であるといえる。 そして、引用発明の「吹き出しE2」及び「表示部110」は、それぞれ、本願発明1の「前記グループに対して送信された複数のコンテンツのうちの第1コンテンツ」及び「表示部」に相当する。 以上の点について上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の 「前記グループに対して送信された複数のコンテンツのうちの第1コンテンツを前記端末の表示部に表示すること」 が「前記端末によって実行される」ことに相当する構成を備えている。 (ウ)引用発明は、 「グループチャットの実行中にダイレクトチャットを開始(実行)した場合に表示部110に表示されるメッセージ画面であって、グループチャットのメッセージ画面(第1画面)において、吹き出しE2に対するタップ操作がされ、ユーザAとユーザBとがダイレクトチャットによるメッセージを送受信したときのメッセージ画面には、グループチャットのメッセージ画面(第1画面)と、ダイレクトチャットのメッセージ画面(第2画面)とが上下に並べて表示され、グループチャットのメッセージ画面には、同様にグループチャットにより送受信するメッセージが時系列に並べて表示され、 ダイレクトチャットのメッセージ画面において、ユーザ端末100から送信するメッセージとしてのテキストを入力するための表示コンポーネントが配置され、テキストボックスF11は、このダイレクトチャットのメッセージ画面におけるメッセージ入力部であり、」 との構成を備えるものである。 ここで、「吹き出しE2」は、上記(イ)で述べたように「ユーザAのユーザ端末100-1」が備える「表示部110」が表示するものであるから、「吹き出しE2に対するタップ操作」は「ユーザA」によるものであり、当該「タップ操作」に「基づいて」、「ユーザA」が「ユーザ端末100から送信するメッセージとしてのテキストを入力するため」の「テキストボックスF11」を含む「ダイレクトチャットのメッセージ画面(第2画面)」と、「同様にグループチャットにより送受信するメッセージが時系列に並べて表示され」る、「グループチャットのメッセージ画面(第1画面)」とを、「ユーザAのユーザ端末100-1」の「表示部110」に「表示」するといえる。 そして、引用発明の「タップ操作」は、本願発明1の「入力」に相当し、また、「ユーザ端末100から送信するメッセージとしてのテキストを入力するため」の「テキストボックスF11」は、本願発明1の「コンテンツを入力可能な第1領域」に相当する。 (エ)引用発明は、 「そのグループにおいてユーザから送信されたメッセージが表示されるように表示コンポーネントが配置され、アイコンE1は、他ユーザを示すアイコンであり、ここでは、ユーザBを示すプロフィール画像であり、吹き出しE2には、他ユーザ(ここではユーザB)から送信されたメッセージが表示され、また、アイコンE3は、ユーザCを示すアイコンであって、ここではユーザCを示すプロフィール画像であり、吹き出しE4には、ユーザCから送信されたメッセージが表示され、」 との構成を備えるものである。 そして、上記(ウ)で述べた、「同様にグループチャットにより送受信するメッセージが時系列に並べて表示され」るとは、上記構成における「表示」と「同様に」表示されるということであって、その表示内容は「ユーザB」から「送信されたメッセージ」である「吹き出しE2」及び「ユーザBを示すプロフィール画像」である「アイコンE1」を含むものである。 ここで、本願発明1の「前記第1コンテンツの少なくとも一部」とは、択一的記載である「前記第1コンテンツの全部又は一部」を意味するものと解され、前者の選択肢との対比では、上記(イ)も踏まえると、引用発明の「吹き出しE2」と本願発明1の「前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの少なくとも一部」とは、「前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの全部」という点で共通している。 また、引用発明の「アイコンE1」は、「ユーザBを示すプロフィール画像」であって、「吹き出しE2」の送信者に関する情報であるといえ、本願発明1の「前記第1コンテンツの送信者に関する情報」に相当し、「吹き出しE2」と併せて、本願発明1の「第3コンテンツ」に相当する。 また、引用発明の「アイコンE1」及び「吹き出しE2」は、「テキストボックスF11」とは異なる表示領域である一方、それ自体コンテンツの入力が可能な表示領域ではないことが明らかであって、当該表示領域は、本願発明1の「第2領域」に相当する。 (オ)上記(ウ)、(エ)で検討した点について上記(ア)、(イ)を踏まえると、本願発明1の 「前記表示部に表示された前記第1コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記ユーザがコンテンツを入力可能な第1領域を前記表示部に表示し、前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含む第3コンテンツを、前記第1領域と異なる、前記ユーザによるコンテンツの入力が可能ではない前記表示部の第2領域に表示すること」 が「前記端末によって実行される」との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、 「前記表示部に表示された前記第1コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記ユーザがコンテンツを入力可能な第1領域を前記表示部に表示し、前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの全部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含む第3コンテンツを、前記第1領域と異なる、前記ユーザによるコンテンツの入力が可能ではない前記表示部の第2領域に表示すること」 が「前記端末によって実行される」という点で共通している。 (カ)引用発明は、「グループチャットの実行中にダイレクトチャットを開始(実行)した場合に表示部110に表示されるメッセージ画面」である、「グループチャットのメッセージ画面(第1画面)において、吹き出しE2に対するタップ操作がされ、ユーザAとユーザBとがダイレクトチャットによるメッセージを送受信したときのメッセージ画面」が「表示され」るものであり、また、 「吹き出しE2に対するタップ操作に応じてダイレクトチャットが開始される場合、吹き出しE2に表示されているメッセージを引用する形式のテキストが入力されたテキストボックスF11を、ダイレクトチャットのメッセージ画面において表示させてもよく、この引用する形式のテキストが入力されたテキストボックスF11に、メッセージが追加入力されて送信されると、吹き出しF2にその送信されたメッセージ(引用する形式のテキストが含まれるメッセージ)が表示される」 ものである。 ここで、「テキストボックスF11」は、上記(ウ)で述べたように「ユーザA」が「ユーザ端末100から送信するメッセージとしてのテキストを入力するため」のものであるから、「メッセージ」は、「ユーザA」による「テキストボックスF11」への「メッセージ」が「追加入力される」ことに「基づいて」、「ユーザBのみ」に対して「送信」されるものである。 また、「表示部110」において、「その送信されたメッセージ」が「表示される」「吹き出しF2」には、「吹き出しE2に表示されているメッセージを引用する形式のテキスト」の部分と、「追加入力され」た部分とが含まれている。 そして、「送信」された「メッセージ」の「追加入力」された部分は、本願発明1の「第2コンテンツ」に相当し、「吹き出しE2に表示されているメッセージを引用する形式のテキスト」の部分と、本願発明1の「前記第3コンテンツ」とは、「特定のコンテンツ」という点で共通している。 以上の点について上記(ア)、(イ)を踏まえると、本願発明1の、 「前記ユーザによる前記第1領域への第2コンテンツの入力に基づいて、前記第2コンテンツと、前記第3コンテンツとが前記第1ユーザのみに対して送信され、前記第1ユーザのみに対して送信された前記第2コンテンツと前記第3コンテンツとを前記表示部に表示すること」 が「前記端末によって実行される」 との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、 「前記ユーザによる前記第1領域への第2コンテンツの入力に基づいて、前記第2コンテンツと、特定のコンテンツとが前記第1ユーザのみに対して送信され、前記第1ユーザのみに対して送信された前記第2コンテンツと前記特定のコンテンツとを前記表示部に表示すること」 が「前記端末によって実行される」 という点で共通している。 イ 上記ア(ア)、(イ)、(オ)、(カ)によれば、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。 (一致点) 「第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれる、前記第1ユーザと前記第2ユーザとは異なるユーザの端末によって実行されるプログラムであって、 前記グループに対して送信された複数のコンテンツのうちの第1コンテンツを前記端末の表示部に表示することと、 前記表示部に表示された前記第1コンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記ユーザがコンテンツを入力可能な第1領域を前記表示部に表示し、前記グループに対して送信された前記第1コンテンツの全部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含む第3コンテンツを、前記第1領域と異なる、前記ユーザによるコンテンツの入力が可能ではない前記表示部の第2領域に表示することと、 前記ユーザによる前記第1領域への第2コンテンツの入力に基づいて、前記第2コンテンツと、特定のコンテンツとが前記第1ユーザのみに対して送信され、前記第1ユーザのみに対して送信された前記第2コンテンツと前記特定のコンテンツとを前記表示部に表示することとが前記端末によって実行される。」 ウ また、本願発明1と引用発明とは以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1では、「前記第2コンテンツ」とともに「前記第1ユーザのみに対して送信され」る対象が、「前記第3コンテンツ」、すなわち、「第2領域に表示する」コンテンツと同じコンテンツであるのに対し、引用発明では、「追加入力され」た部分とともに、「吹き出しE2に表示されているメッセージを引用する形式のテキスト」の部分が送信されるものであって、当該部分は「アイコンE1」及び「吹き出しE2」からなるコンテンツとは異なるコンテンツである点。 (相違点2) 本願発明1では、 「前記第1コンテンツの少なくとも一部と前記第1コンテンツの送信者に関する情報とを含み、前記表示部に表示されたコンテンツに対する前記ユーザによる入力に基づいて、前記複数のコンテンツのうちの前記第1コンテンツを取得し、取得された前記第1コンテンツを表示する制御を前記端末の制御部によって行うこと」 が「前記端末によって実行される」のに対し、引用発明では、そのような制御が実行されるものではない点。 (2)判断 そこで、まず相違点1について検討する。 メッセージ通信アプリ等において、送信者に関する情報とともに画面に表示されている送受信したメッセージ中のコンテンツを引用して、新たに送信する場合に、引用元の画面に表示されているコンテンツ及び送信者に関する情報と同じ内容をそのまま送信することは、当審拒絶理由2で引用された引用文献1?3のいずれにも記載されておらず、本願の原出願日前において周知技術であったとも認められない。 上記第5の2(5)のとおり、「電子メールにおいて、返信を行う場合に引用するメッセージに、その送信者に関する情報と、引用されていることを明示する文字列とを付加すること」は周知技術であると認められるが、ここで、「引用されていることを明示する文字列」は、引用発明の「吹き出しE2に表示されているメッセージを引用する形式のテキスト」に含まれる、「引用する形式」であることを示す文字列と同種のものであって、引用元のメッセージには含まれていない部分であるから、返信される内容には、引用元の画面に表示されているものとは異なるコンテンツが含まれるものである。 そうすると、引用発明に当該周知技術を適用しても、送信される内容に、引用元の画面に表示されているものと同じコンテンツが含まれることにはならないから、相違点1に係る構成には至らない。 よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2?23について 本願発明2?20は、本願発明1を減縮した発明である。 また、本願発明21,22は、それぞれ本願発明1に対応する「情報処理方法」、「端末」の発明であり、本願発明23は、本願発明22を減縮した発明であって、いずれも、相違点1に対応する発明特定事項を含む。 そうすると、本願発明2?23も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 小括 以上のとおりであるから、当審拒絶理由2の理由1は解消した。 なお、このことから、引用文献1を引用している点で共通する当審拒絶理由1の理由2も解消したといえる。 第7 当審拒絶理由2の理由2について 令和3年6月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1,21,22にはそれぞれ、「第1ユーザ」に関する「送信」が、「第1ユーザのみ」に対して行う旨が記載されており、送信先が明確化されるとともに、各請求項に別途記載されている「前記グループに対して送信された」と異なる概念であることも明確化された。 したがって、当審拒絶理由2の理由2は解消した。 第8 当審拒絶理由1の理由1について 令和3年3月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1,19,20には、それぞれ、「第1ユーザと第2ユーザとを含むグループに含まれる、前記第1ユーザと前記第2ユーザとは異なるユーザ」と記載されており、当該記載は、令和3年6月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1,21,22でも維持されている。 そして、上記記載では、「グループ」には、「第1ユーザと第2ユーザ」と異なる「ユーザ」が含まれることが明確化された。 したがって、当審拒絶理由1の理由1は解消した。 第9 原査定について 原査定における引用文献Aは、引用文献1に同じであり、本願発明1?23が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは、上記第6のとおりであるから、原査定を維持することはできない。 第10 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-07-27 |
出願番号 | 特願2019-150150(P2019-150150) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 雅也 |
特許庁審判長 |
角田 慎治 |
特許庁審判官 |
北川 純次 富澤 哲生 |
発明の名称 | プログラム、情報処理方法、端末、システム |
代理人 | 富崎 曜 |
代理人 | 加美山 豊 |
代理人 | 山田 勉 |
代理人 | 富崎 元成 |