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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C23C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C23C
管理番号 1376759
異議申立番号 異議2021-700443  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-10 
確定日 2021-08-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第6791313号発明「ニッケル合金スパッタリングターゲット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6791313号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6791313号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?3に係る特許についての出願は、令和元年7月12日に出願され、令和2年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年11月25日に特許掲載公報が発行され、その後、全請求項に係る特許に対して、令和3年5月10日付けで、特許異議申立人 藤松 正雄(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明3」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するニッケル合金からなり、
Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされており、
平均結晶粒径が100μm以下であることを特徴とするニッケル合金スパッタリングターゲット。
【請求項2】
Niの含有量が99.5mass%以上である高純度Ni相の面積率が5%以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のニッケル合金スパッタリングターゲット。
【請求項3】
ニッケルのキュリー温度を低下させる元素として、Si及びAlの一方又は両方を含み、SiとAlの合計含有量が3mass%以上10mass%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のニッケル合金スパッタリングターゲット。」

第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、以下の甲第1号証及び甲第2号証を提出し、本件発明1?3に係る特許は、以下の理由により、取り消すべきものである旨を主張する。
1 特許法第29条第2項(進歩性欠如)について
本件発明1、2は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明1?3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
本件発明の課題は、本件特許明細書の【0007】に記載されたとおり、「磁性が弱められて漏れ磁場が大きく、かつ、結晶粒の粗大化が抑制されており、均一な膜厚のニッケル合金薄膜を安定して成膜することができるとともに、スパッタが進行した際に広いエロージョン部が形成され、使用効率を向上させることが可能なニッケル合金スパッタリングターゲットを提供すること」であると認められる。
そして、本件発明1?3のニッケル合金スパッタリングターゲットを構成するニッケル合金は、ニッケルのキュリー温度を上昇させる元素(例えばFe、Co等)を含み得るものであるのに対して、本件特許明細書の実施例においては、ニッケル合金として前記元素を含まないもののみが記載されており、前記元素を含むものについては何ら説明されていない。
また、前記元素を含む場合について、本件発明の課題を解決できるか否かが明らかでないので、本件発明1?3は本件発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲を超えているから、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。

3 各甲号証
甲第1号証:特開2003-213405号公報
甲第2号証:特開平10-251848号公報

第4 特許異議申立理由についての当審の判断
1 特許法第29条第2項(進歩性欠如)について
(1)甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には以下(1a)?(1e)の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。
(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜のユニフォーミティ(膜厚の均一性)及びプラズマのイグニッション(点弧)性に優れたニッケル又はニッケル合金スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。」

(1b)「【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題または欠点に鑑みてなされたもので、300mmウエハを用いた製造プロセスにおいても、膜のユニフォーミティ(膜厚の均一性)を良好にすることができ、かつプラズマのイグニッション(点弧)性に優れたマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット及びその製造方法を提供することにある。」

(1c)「【0010】
【発明の実施の形態】高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲットの製造に際しては、まず高純度ニッケル又はニッケル合金を溶製し、これをブロック(インゴット)に鋳造する。次に、これを熱間鍛造し、さらに30%以上の圧延率で冷間圧延し、これを200?300°C(未満)の温度で熱処理する。本発明においては前記冷間圧延と熱処理を少なくとも2回以上繰り返す。そして、最終的に、平板状その他のマグネトロンスパッタリング装置にセットできるターゲット形状に加工する。この高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲットの透磁率が100未満、好ましくは70未満であることが重要であり、本発明の大きな特徴の一つである。上記の製造工程によってこれを達成する。透磁率が高いとプラズマが起ち難くなりスパッタリングが難しくなることは既に述べた通りであり、本発明は透磁率を低下させてスパッタリング効率を高めることが目的であるが、さらに加工と熱処理の組み合わせにより、スパッタ膜のユニフォーミティを改善するものである。
・・・
【0012】このような、異常な粒成長を起こさない均一組織のニッケル又はニッケル合金ターゲットにするためには、上記の通り凝固組織を破壊したインゴットを30%以上の圧延率での冷間圧延と200?300°C(未満)での熱処理を2回以上、繰り返して平板状に形成していくことが重要である。また、このような加工の繰り返しにより、ターゲット板に平坦性を持たせることができるという特徴を有する。30%未満の圧延率では、異常粒成長した粗大組織を十分破壊(分断)できず、また200°C未満では熱処理の効果がなく、また300°C以上では透磁率を100を超える可能性があり、また再結晶によって結晶が粗大化する虞があり、本発明の目的を達成することができない。また、一回の30%以上の圧延率での冷間圧延と200?300°Cの温度での熱処理(たとえ80%程度の強加工をしても)では、異常粒成長した粗大組織を十分に消失させることができない。したがって、この工程は少なくとも2回以上、繰り返すことが必要である。なお、この冷間圧延と熱処理は必ずしも同1条件とする必要はない。以上の工程によって、膜のユニフォーミティ及びプラズマのイグニッション(点弧)性に優れたマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲットを製造することができる。」

(1d)「【0020】(実施例6?10)純度99、995%のニッケルを原料として電子ビーム溶解した。別に純度99.995%のチタンを原料として電子ビーム溶解し、このニッケルにチタンを5at%添加して、コールドウォールタイプの真空誘導炉で溶解してニッケル-チタン合金とし、これを鋳造してインゴット(120φ×70h)とした。このインゴットを均熱化処理(750?1150°Cで2時間保持)した後、熱間鍛造を行った。熱間鍛造の開始温度は750°C?1150°Cであり、真歪み約5で行った。750°C未満の熱間鍛造では割れが入ることが多く、1150°Cを超える温度では材料の酸化が著しいので、上記の範囲の温度とした。これを圧延率30?60%で冷間圧延し、200°C?300°C(未満)で1時間熱処理し、再結晶させた。次に、これをさらに圧延率30?60%で冷間圧延し、200?300°C(未満)で1時間熱処理し、再結晶させた。
【0021】これによって得た圧延板から試料を切り出し、厚さ3mm、直径440mmの円盤状ニッケル合金ターゲット試料とした。ターゲット試料の平均粒径は表2に示す通り13?42μmにあり、異常結晶粒が見られない組織のターゲットが得られた。また、このニッケル合金ターゲットの透磁率は52?88であり、良好な平坦性を有していた。次に、このニッケル合金ターゲットを用いてマグネトロンスパッタリングを実施し、膜のユニフォーミティ(%、3σ)及びプラズマのイグニッション(点弧)性を測定及び観察した。なお、膜のユニフォーミティは間接的に4端子法による抵抗値から計算した。膜のユニフォーミティの測定結果は、いずれも10%以下であり、しかもターゲットライフ40kwh(スパッタパワー1kw)まで持続し、優れた膜のユニフォーミティを示した。その詳細を、同様に表2に示す。なお、表2には、プラズマのイグニッション(点弧)性を表示していないが、いずれも良好であった。
【0022】
【表2】



(1e)「【0030】
【発明の効果】本発明のマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット及びその製造方法は、透磁率が低くスパッタリング効率が高く、また結晶粒径が均一で粗大化した異常結晶粒がなく、300mmウエハを用いた成膜プロセスにおいても、膜のユニフォーミティ(膜厚の均一性)とプラズマのイグニッション(点弧)性を良好にすることができるという優れた効果を有する。」

イ 甲第1号証に記載された発明
前記ア(1d)の実施例7に注目すると、甲第1号証には、
「チタンを含有するニッケル合金からなり、
平均結晶粒径が17μmであるニッケル合金スパッタリングターゲット。」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
なお、甲第1号証の実施例8?10のいずれかに注目して、甲第1号証に記載された発明を認定した場合にも、上記実施例7に注目して認定した甲1発明に対する判断と同じ判断が成立するので、後記(3)では、実施例7に注目して認定した甲1発明について検討する。

(2)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には以下(2a)?(2d)の記載がある。
(2a)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マグネトロンスパッタリングにおいても効率的なスパッタリングが可能であり、かつ成膜中にパ-テイクルの発生が少ないニッケル合金またはコバルト合金スパッタリング用タ-ゲットに関する。」

(2b)「【0010】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、本発明は、マグネトロンスパッタリングにおいても効率的なスパッタリングができ、スパッタリング時におけるパ-テイクルの発生を抑えようとするものである。」

(2c)「【0028】ニッケル合金においてシリコンが固溶できる範囲は15.8at.%が上限であり、単相の固溶体を形成する。本発明においては、シリコン含有量を22.8at.%までを許容範囲とする。固溶しない範囲のシリコンはニッケルとの金属間化合物を形成し混相となり、これに伴ってパーティクルの発生が若干増すが、溶解品であるので焼結品に比べてパーティクルは著しく減少する。そして、シリコンを添加することによりニッケル合金の磁気モーメントおよびキュリー温度は直線的かつ急激に減少し、10at.%で常磁性またはそれに近い弱磁性のニッケル合金ターゲットが得られる。シリコン含有量が多い程、安定した常磁性体が得られる。僅かなシリコン含有量でも磁性の低下が認められるので、シリコン含有量を22.8at.%以下とするが、磁性の低下の効果およびパーティクルの発生量を考慮すると、好ましい範囲は0.001?22.8at.%、より好ましい範囲は0.001?15.8at.%である。また、シリコン含有量が22.8at.%を超えると、金属間化合物単相となり熱間圧延や熱間鍛造などの加工が難しくなるので、この意味からも上限を22.8at.%とする必要がある。」

(2d)「【0032】ニッケル合金またはコバルト合金の製造に際しては、まず所定の合金組成となる材料を真空誘導溶解する。冷却後取り出したインゴットは磁性にバラツキを生ずることがあるので、1000°C?1200°Cに加熱して均質化熱処理を行うことが望ましい。得られたインゴットは熱間圧延または熱間鍛造を施して板状体とする。ニッケル合金の場合、例えば1100°C前後の圧延または鍛造で容易に塑性変形し割れを生ずることはない。得られた熱間圧延板または熱間鍛造板から円盤形や矩形のタ-ゲット形状に切り出す。
・・・
【0035】前記溶解後、冷却しインゴット(φ127x51mm厚)として取り出した。このインゴットに永久磁石を近づけてみたところ、Ni-10at%Si合金については弱いながらも磁気による引力があった。また、インゴットの上部の方が下部に比較して引力が強かったため均質化熱処理を行った。均質化熱処理はシリコンの固溶限が最も広い1100°Cに2時間保持し、その後、15mm厚まで1ヒート1パスで熱間圧延した。この圧延の後、再び永久磁石を近づけてみたところ圧延板のいずれの部分においても、引力を感じることはなかった。すなわち、均質化熱処理は十分に行われたとみることができる。
【0036】Ni-10at%Siのニッケル合金の熱間圧延板から試料を切り出し、磁気特性測定および顕微鏡組織観察を行った。磁気特性はB-Hメータで4πIコイルを用い、磁化方向を板厚方向として最大磁界1000Oeで測定した。組織観察は断面を研磨し、希硝酸でエッチングした後、光学顕微鏡を用いて行った。この顕微鏡組織の写真(×50)を図1に示す。
【0037】図1の顕微鏡組織の写真から明らかなように、光学顕微鏡レベルの観察で単相になっていることが分かる。また、4πI-Hループでは最大磁界1000Oe程度では殆ど磁化していない。室温でキュリー温度を超えており、常磁性体になっていると考えられる。」

(3)対比・判断
(3-1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「チタン」は、本件特許明細書【0015】の「ニッケルのキュリー温度を低下させる元素としては、例えば、Si,Al,Ti,Cr,V等が挙げられる。」との記載によると、本件発明1における「ニッケルのキュリー温度を低下させる元素」に相当し、甲1発明におけるニッケル合金スパッタリングターゲットの「平均結晶粒径が17μmである」ことは、本件発明1におけるニッケル合金スパッタリングターゲットの「平均結晶粒径が100μm以下である」ことに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、
「ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するニッケル合金からなり、平均結晶粒径が100μm以下であるニッケル合金スパッタリングターゲット。」である点で一致するが、以下の点で相違する。
<相違点>
本件発明1は、「Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下」であるのに対し、甲1発明は、前記Ni相の面積率が明らかでない点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
本件特許明細書の【0009】には、「本発明のニッケル合金スパッタリングターゲットによれば、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するとともに、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされているので、キュリー温度を低下させる元素がニッケル中に十分に固溶しており、磁性が弱められて漏れ磁場が大きくなり、マグネトロンスパッタリング装置を用いた場合でも、スパッタリングターゲットが装置に吸着することを抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。また、スパッタが進行した際でも、エロージョン部が比較的広く形成され、スパッタリングターゲットの使用効率を向上させることが可能となる。」との記載があり、ニッケル合金がニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有すること(以下、「条件1」と呼称する。)に加えて、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下であること(以下、「条件2」と呼称する。)により、キュリー温度を低下させる元素がニッケル中に十分に固溶した状態(以下、「状態1」と呼称する。)となるものと認められる。
そして、上記記載の後に続いて、【0009】には、「さらに、平均結晶粒径が100μm以下とされているので、結晶粒界に、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素が濃化することを抑制できる。これにより、異常放電の発生を抑制することができ、安定してスパッタ成膜を行うことが可能となる。また、スパッタ面におけるスパッタレートのばらつきが抑えられ、膜厚が均一なニッケル合金膜を成膜することが可能となる。また、平均結晶粒径を100μm以下とし、添加元素が粒界に濃化するのを抑制することで、添加元素をニッケル中に十分に固溶させることができ、より磁性を安定して弱められる。」と記載されていることから、「条件1」と「条件2」を満たすことで「状態1」となることに加えて、さらに、平均結晶粒径を100μm以下とすること(以下、「条件3」と呼称する。)により、結晶粒界に、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素が濃化することが抑制された状態(以下、「状態2」と呼称する。)となるものと認められる。
甲1発明では、ニッケル合金はニッケルのキュリー温度を低下させる元素であるチタンを含有し、かつ、ニッケル合金の平均結晶粒径が17μmであることから、上記「条件1」及び「条件3」については満たしていると認められるものの、上記「条件1」に加えて「条件2」を満たすことや上記「状態1」となることについては何ら特定されておらず、甲第1号証に示唆もないから、甲1発明のニッケル合金は上記「状態2」となっており、上記「条件2」を満たしているとまではいえず、また、上記「条件2」を満たすようにすることが設計事項であるという証拠も認められない。
また、甲第2号証には、前記(2)(2c)、(2d)によると、Ni-10at%Siのニッケル合金からなり、その金属組織が単相の固溶体からなるスパッタリングターゲットが記載されているものの、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率を13%以下とするという技術思想については何ら開示されていない。加えて、前記(1)ア(1c)、(1d)及び前記(2)(2c)、(2d)のとおり、甲第1号証及び甲第2号証に記載されたニッケル合金ターゲットの製造方法も大きく異なるものであるから、甲1発明に甲第2号証の記載事項を適用することには動機付けがない。
したがって、本件発明1を、甲1発明に基いて、あるいは、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3-2)本件発明2、3について
本件発明2及び3は、いずれも直接的又は間接的に本件発明1を引用するものであって、本件発明2及び3と甲1発明と対比した場合、いずれの場合であっても、少なくとも前記(3-1)アの相違点において相違する。 そして、甲1発明において、甲第2号証の記載事項を参酌しても、前記相違点に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることを当業者が容易になし得るものではないことは、前記(3-1)ウに記載したとおりである。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2を甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないし、本件発明2、3を甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)申立人の主張と当該主張が採用できない理由
ア 申立人は、本件特許明細書の【0009】において、「・・・さらに、平均結晶粒径が100μm以下とされているので、結晶粒界に、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素が濃化することを抑制できる。これにより、異常放電の発生を抑制することができ、安定してスパッタ成膜を行うことが可能となる。また、スパッタ面におけるスパッタレートのばらつきが抑えられ、膜厚が均一なニッケル合金膜を成膜することが可能となる。また、平均結晶粒径を100μm以下とし、添加元素が粒界に濃化するのを抑制することで、添加元素をニッケル中に十分に固溶させることができ、より磁性を安定して弱められる。」と記載されていることから、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素が濃化する原因は結晶粒の粗大化にあり、ニッケル合金の平均結晶粒径が100μm以下であれば、前記元素の濃化は抑制されていることを意味する旨、前記(1)ア(1e)によれば、甲1発明においては、ニッケル合金の平均結晶粒径が13?42μmであって、100μm以下を満たしていることから、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素であるチタンの濃化は抑制されているはずである旨、甲1発明では、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素であるチタンの濃化が抑制されているのであれば、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下であることは示唆されているといえ、前記面積率を13%以下に設定することは、当業者が容易になし得る設計事項である旨を主張する(特許異議申立書9頁2行目?27行目)。
イ また、申立人は、甲第2号証には、前記(2)(2c)、(2d)によれば、Ni-10at%Siのニッケル合金からなり、その金属組織が単相の固溶体であるスパッタリングターゲットが記載されており、その結晶粒内のNi含有率は99.0mass%未満である蓋然性が高く、実質的に「Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下」であることが記載されているといえ、また、前記(1)ア(1a)、(1b)及び前記(2)(2a)、(1b)によれば、甲第1号証及び甲第2号証に記載された技術分野には関連性があり、双方の課題にも共通性があるから、甲1発明に甲第2号証の記載事項を適用することには動機付けがあるといえることから、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証の記載事項に基いて当業者が容易に想到できたものであると主張する(特許異議申立書9頁28行目?10頁25行目)。
ウ しかしながら、申立人の主張アについては、上記(3)(3-1)イで検討したとおり、申立人が摘記した部分(「さらに、平均結晶粒径が100μm以下とされているので、・・・」)は、上記「条件1」、2及び「状態1」に関する記載の後に続くものであることから、甲1発明では、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下であることが示唆されているとはいえず、前記面積率を13%以下に設定することが当業者にとって容易になし得る設計事項であるともいえない。
また、申立人の主張イについても、上記(3)(3-1)イで検討したとおり、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率を13%以下とするという技術思想については何ら開示されていないことに加えて、甲第1号証及び甲第2号証に記載されたニッケル合金ターゲットの製造方法も大きく異なるものであるから、甲第1号証及び甲第2号証に記載された技術分野に一定の関連性があり、双方の課題の一部に共通性があったとしても、甲1発明に甲第2号証の記載事項を適用することには動機付けがない。
したがって、申立人の前記ア及びイの主張はいずれも採用できない。

(5)小括
よって、本件発明1?2は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないし、本件発明1?3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、前記第3の2の特許異議申立理由は理由がない。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
ア 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであるので、以下、この観点に基づいて検討する。

イ 本件特許明細書には、以下(a)?(c)の記載がある。
(a)「【0001】
本発明は、ニッケル合金薄膜を成膜する際に用いられるニッケル合金スパッタリングターゲットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述のニッケル合金薄膜を成膜する場合には、例えば、特許文献1に記載されているように、所定の組成のニッケル合金からなるスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法が適用される。 ここで、ニッケルは強磁性体であるため、マグネトロンスパッタリング装置によって成膜する場合、ニッケル合金からなるスパッタリングターゲットが磁力によって装置に吸着してしまい、安定して成膜を行うことができなかった。 また、スパッタが進行した際に、狭いエロージョン部が形成されてしまい、スパッタリングターゲットの使用効率が低下するといった問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1においては、ニッケルにシリコンを固溶させることによって、ニッケル合金の磁性を弱める技術が提案されている。ニッケル中にSi原子が固溶することにより、Ni原子のスピン方向が変化し、磁性を弱めることが可能となる。
・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1においては、ニッケル中にSi原子を十分に固溶させることを目的として、溶解鋳造して得られたインゴットを、1000?1200℃といった高温条件で加熱して均質化熱処理を実施し、その後、熱間圧延または熱間鍛造を実施することで、スパッタリングターゲットを製造している。
【0006】
特許文献1においては、上述のように高温条件で熱処理を実施しているため、結晶粒が粗大化することになる。ここで、結晶粒が粗大化した場合には、固溶しなかったSiが結晶粒界に濃化し、スパッタ成膜時に異常放電が発生しやすくなり、安定してスパッタ成膜を行うことができないおそれがあった。 また、結晶粒が粗大化したスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面におけるスパッタレートにばらつきが生じ、成膜されたニッケル合金薄膜の膜厚が不均一となるおそれがあった。
【0007】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、磁性が弱められて漏れ磁場が大きく、かつ、結晶粒の粗大化が抑制されており、均一な膜厚のニッケル合金薄膜を安定して成膜することができるとともに、スパッタが進行した際に広いエロージョン部が形成され、使用効率を向上させることが可能なニッケル合金スパッタリングターゲットを提供することを目的としている。」

(b)「【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のニッケル合金スパッタリングターゲットは、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するニッケル合金からなり、Ni含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされており、平均結晶粒径が100μm以下であることを特徴としている。
【0009】
本発明のニッケル合金スパッタリングターゲットによれば、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するとともに、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされているので、キュリー温度を低下させる元素がニッケル中に十分に固溶しており、磁性が弱められて漏れ磁場が大きくなり、マグネトロンスパッタリング装置を用いた場合でも、スパッタリングターゲットが装置に吸着することを抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。また、スパッタが進行した際でも、エロージョン部が比較的広く形成され、スパッタリングターゲットの使用効率を向上させることが可能となる。
さらに、平均結晶粒径が100μm以下とされているので、結晶粒界に、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素が濃化することを抑制できる。これにより、異常放電の発生を抑制することができ、安定してスパッタ成膜を行うことが可能となる。また、スパッタ面におけるスパッタレートのばらつきが抑えられ、膜厚が均一なニッケル合金膜を成膜することが可能となる。また、平均結晶粒径を100μm以下とし、添加元素が粒界に濃化するのを抑制することで、添加元素をニッケル中に十分に固溶させることができ、より磁性を安定して弱められる。
・・・
【0019】
(ニッケルのキュリー温度を低下させる元素)
ニッケルは、強磁性体であるため、容易に磁化することになる。ここで、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素(例えばSi原子、Al原子)を固溶させることにより、Ni原子のスピン方向が変化して磁性を弱めることが可能となる。
このため、本実施形態であるニッケル合金スパッタリングターゲットにおいては、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素がニッケル中に固溶した固溶体で構成されており、磁性が十分に弱められている。
・・・
【0023】
(平均結晶粒径)
ニッケル合金スパッタリングターゲットにおいて、結晶粒径が大きい場合には、固溶しなかったSi及びAl等の元素が、結晶粒界に濃化することにより、部分的に磁化しやすくなるため、スパッタ成膜時に異常放電が発生しやすくなる。また、結晶粒径が大きいと、スパッタ面におけるスパッタレートのばらつきが生じ、膜厚が不均一となるおそれがある。
このため、本実施形態であるニッケル合金スパッタリングターゲットにおいては、平均結晶粒径を100μm以下としている。」

(c)「【実施例】
【0035】
以下に、前述した本発明のニッケル合金スパッタリングターゲットについて評価した評価試験の結果について説明する。
【0036】
本実施形態に記載された製造方法に準じて、本発明例及び比較例のニッケル合金スパッタリングターゲットを製造した。
まず、純度99.9mass%以上のNi原料(Ni板)と、純度99.9mass%以上のSi原料(Si粒)と、純度99.9mass%以上のAl原料(Al粒)を準備した。そして、これらの原料を、表1に示す組成となるように秤量した。
秤量した各種原料を、真空溶解炉を用いて1500℃以上まで加熱して溶解し、得られた溶湯を鋳型に出湯して、鋳塊(幅155mm×厚さ40mm×長さ220mm)を得た。
そして、表1に示す条件で、熱間圧延、熱処理を実施し、矩形平板形状をなす本発明例及び比較例のニッケル合金スパッタリングターゲット(150mm×500mm×5mm厚さ)を製造した。
【0037】
上述のようにして得られたニッケル合金スパッタリングターゲットについて、成分組成、組成ばらつき、平均結晶粒径、Niの含有量99.0mass%以上のNi相の面積率、Niの含有量99.5mass%以上の高純度Ni相の面積率、漏れ磁場、比抵抗値を、以下のように評価した。評価結果を表2に示す。
また、得られたニッケル合金スパッタリングターゲットを用いて、以下のようにスパッタ成膜を行い、異常放電回数、得られたニッケル膜の膜厚ばらつき、について評価した。評価結果を表2に示す。
・・・
【0049】
ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有していない比較例1においては、Ni相及び高純度Ni相の面積率が100%となった。また、漏れ磁束が22%と低くなり、磁性を弱めることができなかった。さらに、膜厚差が大きくなり、膜の均一性が低下した。また、スパッタリングターゲットの使用効率が15%と低くなった。
【0050】
熱間圧延工程の熱間圧延温度及び熱処理工程の熱処理温度が1000℃とされた比較例2及び比較例5においては、平均結晶粒径が100μmを超えて粗大化した。特に、比較 例2では、364μmと著しく粗大化した。このため、スパッタ成膜時における異常放電 回数が多くなった。また、膜厚差が大きくなり、膜の均一性が低下した。
【0051】
熱間圧延工程の熱間圧延温度が450℃とされた比較例3及び比較例6においては、熱間圧延時に割れが生じた。このため、熱間加工後の工程及び評価を中止した。
熱間圧延工程の総加工率が20%とされた比較例4及び比較例7においては、Ni相の 面積率が13%を超えており、漏れ磁束が25%となった。また、膜厚差が大きくなり、膜の均一性が低下した。さらに、スパッタリングターゲットの使用効率が16%と低くなった。
【0052】
これに対して、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素であるSi及びAlを含有し、Ni含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされ、平均 結晶粒径が100μm以下とされた本発明例1-25においては、異常放電回数が少なく、かつ、膜厚差が小さく抑えられていた。また、スパッタリングターゲットの使用効率が 19%以上であった。
【0053】
以上のことから、本発明例によれば、磁性が弱められて漏れ磁場が大きく、かつ、結晶 粒の粗大化が抑制されており、均一な膜厚のニッケル合金薄膜を安定して成膜することが できるとともに、スパッタが進行した際に広いエロージョン部が形成され、使用効率を向 上させることが可能なニッケル合金スパッタリングターゲットを提供可能であることが確認された。」

ウ 本件発明の課題について
前記イ(a)によれば、本件発明の課題は、磁性が弱められて漏れ磁場が大きく、かつ、結晶粒の粗大化が抑制されており、均一な膜厚のニッケル合金薄膜を安定して成膜することができるとともに、スパッタが進行した際に広いエロージョン部が形成され、使用効率を向上させることが可能なニッケル合金スパッタリングターゲットを提供することであると認められる。

エ 本件発明の課題に関連する記載について
(ア)本件発明の課題に係る特性、すなわち、ニッケル合金の磁性や、結晶粒の大きさ、及び、キュリー温度を低下させる元素のニッケル合金における固溶・濃化に着目しながら、発明の詳細な説明をみると、まず、実施例以外の記載である前記イ(b)から、本件発明に係るニッケル合金スパッタリングターゲットは、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するとともに、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされているので、キュリー温度を低下させる元素がニッケル中に十分に固溶しており、磁性が弱められており、さらに、平均結晶粒径が100μm以下とされているので、結晶粒界に、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素が濃化することを抑制できる、との記載を認めることができる。

(イ)かかる記載から、本件発明が課題としている、磁性が弱められて漏れ磁場が大きく、かつ、結晶粒の粗大化が抑制されており、均一な膜厚のニッケル合金薄膜を安定して成膜することができるとともに、スパッタが進行した際に広いエロージョン部が形成され、使用効率を向上させることが可能なニッケル合金スパッタリングターゲットを得るためには、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するとともに、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされており、さらに、平均結晶粒径が100μm以下とされていることが重要であることを理解することができる。

(ウ)実際、前記イ(c)より、発明の詳細な説明の実施例をみると、本発明例1?25(表1、2)には、ニッケル合金スパッタリングターゲットとして、ニッケル以外に、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素としてSiのみを含有し、前記Ni相の面積率が9.5%であり、かつ、平均結晶粒径が79μmであるもの(本発明例1)、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素としてAlのみを含有し、前記Ni相の面積率が6.2%であり、かつ、平均結晶粒径が34μmであるもの(実施例12)、ニッケルのキュリー温度を低下させる元素としてSi及びAlのみを含有し、前記Ni相の面積率が9.6%であり、かつ、平均結晶粒径が66μmであるもの(本発明例21)等が、漏れ磁場が大きく、結晶粒の粗大化が抑制されており、均一な膜厚のニッケル合金薄膜を安定して成膜することができるとともに、スパッタが進行した際に広いエロージョン部が形成され、使用効率を向上させることが示されているから、これらの実施例により、当業者において、上記本発明例1?25に係るニッケル合金スパッタリングターゲット、すなわち、上記所定元素のみを含有するとともに、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされており、さらに、平均結晶粒径が100μm以下であるニッケル合金スパッタリングターゲットは、上記課題を解決できるものと認識することができる。

オ 「当業者において課題解決できると認識できる範囲」の認定
上記エ(ウ)のとおり、発明の詳細な説明の実施例の記載から、本発明例1?25に係るニッケル合金スパッタリングターゲットについて、当業者は、本件発明の課題を解決することができるものと認識できるといえる。
そして、上記エ(イ)に照らすと、本発明例1?25におけるニッケル合金スパッタリングターゲットのNiとニッケルのキュリー温度を低下させる元素以外に、FeやCoのような、ニッケルのキュリー温度を上昇させる元素を含むニッケル合金スパッタリングターゲットであっても、同様に、本件発明の課題を解決することができると解するのが相当であるとともに、ニッケルのキュリー温度を上昇させる元素を含有することによりニッケル合金のキュリー温度が上昇したとしても、キュリー温度が上昇したニッケル合金に対してキュリー温度を低下させる元素を含有せしめれば、相対的にニッケル合金のキュリー温度は低下すると考えられる以上、その特性が上記各実施例から遠くかけ離れたものとなるとは言い難い。
そうすると、上記実施例の記載や技術常識などに照らすと、上記実施例に記載された、ニッケルとニッケルのキュリー温度を低下させる元素のみを含有するニッケル合金スパッタリングターゲットと同等の特性を発現し、もって、当業者が本件発明の課題が解決できると認識できる範囲として、本件発明1が規定するような、「ニッケルのキュリー温度を低下させる元素を含有するニッケル合金からなり、Niの含有量が99.0mass%以上であるNi相の面積率が13%以下とされており、平均結晶粒径が100μm以下である」「ニッケル合金スパッタリングターゲット」を認めることができるから、結局、「当業者において課題解決できると認識できる範囲」は、本件発明1の範囲を包含するものと解するのが合理的である。

カ サポート要件適合性について
上記アの判断手法に照らして、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、上記オの「当業者において課題解決できると認識できる範囲」のものであるか否かを検討すると、上記オのとおり、本件発明1は、「当業者において課題解決できると認識できる範囲」のものであるし、本件発明2、3についても同様であるから、本件発明1?3は、特許法第36条第6項第1号のサポート要件の規定に適合するというべきである。
したがって、前記第3の3の特許異議申立理由は理由がない。

第5 むすび
以上のとおりであるので、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-07-27 
出願番号 特願2019-130518(P2019-130518)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (C23C)
P 1 651・ 121- Y (C23C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 神▲崎▼ 賢一  
特許庁審判長 宮澤 尚之
特許庁審判官 後藤 政博
末松 佳記
登録日 2020-11-09 
登録番号 特許第6791313号(P6791313)
権利者 三菱マテリアル株式会社
発明の名称 ニッケル合金スパッタリングターゲット  
代理人 大浪 一徳  
代理人 細川 文広  
代理人 寺本 光生  
代理人 松沼 泰史  

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