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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B29B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29B
管理番号 1376767
異議申立番号 異議2020-700249  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-08 
確定日 2021-07-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6588173号発明「粘稠材料発泡装置及び粘稠材料を発泡させる方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6588173号の請求項1ないし5及び7ないし12に係る特許を取り消す。 特許第6588173号の請求項6に係る特許を維持する。 
理由 第1 主な手続の経緯等

特許第6588173号(請求項の数は12。以下「本件特許」という。)は、2017年(平成29年)6月28日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2016年(平成28年)8月11日 ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする特許出願に係るものであって、令和1年9月20日にその特許権の設定登録がされた(特許掲載公報発行日 同年10月9日)。
その後、令和2年4月8日に特許異議申立人 簑さくら(以下,単に「異議申立人」という。)より本件特許の請求項1?12に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てがされ、令和2年8月4日付けで取消理由が通知され、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは指定期間内に応答はなかった。

第2 本件特許発明

本件特許の請求項1?12に係る発明(以下、請求項の番号順に、「本件特許発明1」?「本件特許発明12」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
粘稠材料(02)を発泡させるための装置(01,19,23)であって、
前記粘稠材料(2)が第1搬送手段(04)を用いて第1搬送圧力で第1コンベアパイプ(05)を介して搬送され、
ガス(07)が第2搬送圧力で第2コンベアパイプ(08)を介して搬送され、
前記第1コンベアパイプ(05)及び前記第2コンベアパイプ(08)が開口部(15)で連結され、
吐出装置(17)が粘稠材料(02)とガス(07)とからなる混合物(14)の圧力解放を許容するように前記開口部(15)の下流に設けられ、
ガス注入弁(09)が前記開口部(15)に配置され、前記ガス注入弁(09)は、粘稠材料(02)に気泡(25)を注入可能に構成され、
前記粘稠材料(02)と前記気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)を前記吐出装置(17)へ交互に搬送可能な2つのコンベアポンプ(16,24)が、前記開口部(15)の下流側における平行なパイプ部分に設けられ、
前記第1搬送手段(04)は、前記第1コンベアパイプ(05)を介して少なくとも50barの搬送圧力で前記粘稠材料を前記開口部(15)に搬送可能に構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記ガス(07)は、前記第2コンベアパイプ(08)を介して少なくとも55barの搬送圧力で前記ガス注入弁(09)に搬送されるよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
注入される前記気泡(25)の寸法は、前記ガス注入弁(09)のニードル弁のストロークを調整することにより変化可能に構成され、及び/又は、注入される前記気泡(25)の寸法は、粘稠材料(02)における前記第1搬送圧力と前記ガス(07)における前記第2搬送圧力との圧力差を変化させることにより変化可能に構成され、及び/又は、時間当たりの注入された前記気泡(25)の量は、前記ガス注入弁(09)のニードル弁の移動周波数を変更することにより変化可能に構成されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の装置において、
前記装置(01,19,23)は、前記開口部(15)の上流の前記粘稠材料(02)の圧力を測定するための第1圧力センサ(12)と、及び/又は、前記ガス注入弁(09)の上流の前記ガス(07)の圧力を測定するための第2圧力センサ(11)と、及び/又は、前記粘稠材料(02)と前記気泡(25)とからなる前記混合物(14)の圧力を測定するための第3圧力センサ(13)とを備えていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の装置において、
前記装置(01,19,23)には、制御装置(10)が設けられ、
該制御装置(10)は、センサ(11,12,13)を用いて測定された測定値の関数として前記ガス注入弁(09)を制御することにより、前記開口部(15)において前記粘稠材料(02)に流入する気泡(25)の流れを制御可能に構成されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の装置において、
前記吐出装置(17)は、粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項7】
粘稠材料(02)を発泡させる方法であって、
前記粘稠材料(02)は、第1搬送圧力で第1コンベアパイプ(05)を介して搬送され、
ガス(07)は、第2搬送圧力で第2コンベアパイプ(08)を介して開口部(15)に搬送され、
前記ガス(07)は、ガス注入弁(09)を用いて気泡(25)の形態で前記開口部(15)において前記粘稠材料(02)に注入され、
粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる混合物(14)は、前記開口部(15)の下流側の吐出装置(17)で吐出され、それ故に圧力が緩和して前記気泡の膨張により発泡し、
前記開口部(15)の下流側における平行なパイプ部分に設けられた2つのコンベアポンプ(16,24)が、前記粘稠材料(02)と前記気泡(25)とからなる前記混合物(14)を加圧しながら前記吐出装置(17)へ交互に搬送し、
粘稠材料(02)を、第1コンベアパイプ(05)を介して少なくとも50barの搬送圧力で開口部(15)に搬送することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる前記混合物(14)を吐出する前に均一化することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7から8のいずれか1つに記載の方法において、
前記ガスを、第2コンベアパイプ(08)を介して少なくとも55barの搬送圧力の搬送圧力でガス注入弁(09))に搬送することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1つに記載の方法において、
前記ガス(07)を、少なくとも1barを超過する圧力で粘稠材料(02)に注入することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1つに記載の方法において、
前記気泡(25)の寸法を、前記気泡(25)を注入しながら変化させ、及び/又は、時間当たりの気泡(25)の量を、前記気泡(25)を注入している間に変化させることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか1つに記載の方法において、
前記ガス注入弁(09)を用いた前記気泡(25)の注入を、粘稠材料(02)の測定圧力の関数とした、及び/又は、前記ガス(07)の測定圧力の関数とした、及び/又は、粘稠材料(02)と気泡(25)からなる前記混合物(14)の測定圧力の関数とした制御ループで制御することを特徴とする方法。」

第3 異議申立人の主張に係る申立理由の概要

異議申立人の主張は、概略、次のとおりである。

1 本件発明1?12は、甲第1号証に記載された発明を主たる引用発明とし、引用発明及び甲第2ないし4号証に記載の技術事項に基づいてその優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項1?12に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。(以下「申立理由1」という。)。

2 本件発明1、7及び8は、甲第2号証に記載された発明で、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない発明であり、また、本件発明1ないし10及び12は、甲第2号証に記載された発明を主たる引用発明とし、引用発明及び甲第1、3及び4号証に記載の技術事項に基づいて優先日前に当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項1?10及び12に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである(以下「申立理由2」という。)。

3 本件発明1ないし12は、甲第3号証に記載された発明を主たる引用発明とし、引用発明及び甲第1、2及び4号証に記載の技術事項に基づいて優先日前に当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項1ないし12に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。(以下「申立理由3」という。)。

4 本件特許の請求項1?12に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定される要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。(以下「申立理由4」という。)。

5 また、証拠方法として書証を申出、以下の文書(甲第1号証ないし甲第4号証)を提出する。

・甲第1号証: 特開2006-289276号公報
・甲第2号証: 特開平10-272344号公報
・甲第3号証: セラコン社の製品CeraPURの英文カタログ
・甲第3号証の2: 甲第3号証の部分翻訳
・甲第3号証の3: 甲第3号証の最後のページの拡大画像
・甲第4号証: 特開昭63-264327号公報
記載については、特許異議申立書の記載に従った。以下、各甲号証について、甲1のようにいう。

第4 取消理由の概要

当審が令和2年8月4日付けの取消理由通知にて特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

1.(甲3を主引用文献とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし5及び7ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった(甲3の最後の頁の左下に記載の「04/2016」参照。)下記の甲3に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

・・・
・甲3: セラコン社の製品CeraPURの英文カタログ

第5 当審の判断

1 本件特許発明1ないし5及び7ないし12について
上記第4のとおり、本件特許発明1ないし5及び7ないし12に係る特許について、令和2年8月4日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
そして、令和2年8月4日付けで通知した取消理由は妥当なものと認められるので、本件特許発明1ないし5及び7ないし12に係る特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
本件特許発明6に対して、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、申立理由1の甲1に基づく進歩性、申立理由2の甲2に基づく進歩性、申立理由3の甲3に基づく進歩性及び申立理由4のサポート要件違反である。
ここで、当審から通知した取消理由が甲3に基づく進歩性であったことから、申立理由3から検討する。

(1)申立理由3(甲3に基づく進歩性)について
ア 甲3の記載事項
甲3には、以下の記載がある。なお、原文の摘記は一部省略し、翻訳文のみ記載する。

(ア) 「クローズドセル
原料の内部には、発砲工程時に生成されたガス孔があります。PU発泡セルです。クローズドセルの割合が高くなるほど、湿度が低くなります。CeraConのCeraPUR材料の機械的発泡工程により、主にクローズドセル発泡体の生成が保証されます。この優れた特性によって吸収率は最低限となります。これは、独自のシステム開発および豊富な経験と原料の革新的な組み合わせによって達成されます。
CeraConのCeraPURシール材料は、無溶媒の、急速に熱的に活性化する単一成分エラストマーです。発泡体への機械的変換は室温および大気条件で行われ、そのため、経済的で、エコで、かつ信頼性のある発砲ガスケットの使用が保証されます。」(2頁)

(イ) 「

」(5 RELIABLE FOAM.の説明部分の図面)

(ウ) 「

」(5頁 RELIABLE FOAM.の説明部分の図面)

(エ) 「発砲ディスペンペンシング技術
クリームを泡立てるかのように簡単。化学的反応を用いない単一コンポネント工程により実現した、CeraPUR材料を処理するCeraConシステムも同じように動作します。ポリウレタンと圧縮空気を均質化し、せん断力により非常に微細で均一なクローズドセル発泡構造を達成します。発泡体の柔らかさは、同伴空気の量によって連続的に調製できます。Oリングの交換といったガスケットのマイクロディスペンシングから、スイッチキャビネットのドアに大量に発泡体を使用すること、またプラスチック射出成形金型に発泡体を直接注入することまで、幅広いお客様の要件に対応する複数の標準システムがあります。」(5頁)

(オ)「

」(最終頁左下部拡大図)

イ 甲3に記載された発明
甲3の上記ア(イ)及び(ウ)について、図面中の構成要素を示す符号を下記のように特定する。

甲3の上記ア(イ)に記載された装置は、上記ア(ア)を合わせ見れば、ポリウレタン材料と圧縮空気とを均質化すなわち混合し、せん断力により微細で均一なクローズドセル発泡構造の発泡体を作り、該発泡体を対象物に分配(ディスペンシング)する装置であるといえる。
そして、上記ア(イ)の構成要素2k、7kのうちのいずれか一方は、ポリウレタン材料源(例えばポリウレタン材料タンク)、他方は圧縮空気源(例えば空気タンク)に対応するものといえる。さらに、当該図面では、構成要素2kから構成要素4kを介してパイプ5kが延在しており、パイプ5kには、構成要素7kからのパイプ8kが15kにおいて交差している。ここで、交差部分15kから以降のパイプ部分において、多数の泡25kが記載されているため、構成要素7kが圧縮空気源であり、泡25kは、ポリウレタン材料に混入された空気の気泡といえる。
したがって、他方の構成要素2kがポリウレタン材料原であり、ポリウレタン材料は、構成要素4kによってパイプ5kへと搬送されているといえる。
構成要素4kは、上記ア(イ)に示された形状から、ピストンとシリンダーとを備えるピストンポンプといえ、シリンダー内でピストンを往復動することにより、ある圧力でポリウレタン材料がパイプ5kを通って搬送されることは明らかである。
パイプ5kを通って搬送されるポリウレタン材料に、パイプ8kからの圧縮空気を混入させるためには、パイプ5k、8kの連結部15kには、開口部が形成されていなければならない。また、パイプ8kと開口部15kとの間には構成要素9kが設けられていて、当該構成要素9kは、開口部15kから多数の気泡25kが出ていることから、ポリウレタン材料に気泡を注入可能に構成されているといえるし、当該構成要素9kが、圧縮空気側のパイプ8kにポリウレタン材料が流入しないようにする何らかの弁であることも自明であるから、弁が開口部に配置され、弁は、ポリウレタンに気泡を注入可能に構成されているといえる。
上記ア(イ)では、構成要素20kは、軸21kと、該軸21kに対して横方向に延在する複数の羽25kを備えるものとして記載されており、構成要素20k内で、泡25kのサイズが大きいものからより細かなものへと帰られていることが示されている。よって、構成要素20kは、軸21kの周りに羽根25kを回転させることによって、圧縮空気の気泡をせん断力でポリウレタン材料内に細かく分散させて攪拌する、ミキサであるといえる。
ミキサ20k下流側のパイプは、2つの平行部分26k、27kに分岐しており、平行部分26k、27kには、ピストンポンプ4kと同様に、ピストンとシリンダーとを備えるピストンポンプ16k、24kが各々設けられていることが記載されている。平行部分26k、27kは、先端部18kを備えている。構成要素17kには、ポリウレタン材料と空気との混合物14kが供給されるものといえる。
ここで、上記ア(ウ)を参照すると、マニピュレータ19kに取り付けられた構成要素17kの先端部18kから吐出した構成要素20kを成形品21kの演舞に塗布している状態が記載されている。そうすると、構成要素17kは、発泡体の吐出装置であり、先端部18kは、吐出装置のノズルといえ、構成部材20kは、発泡体のガスケットであるといえる。
上記ア(イ)に記載のピストンポンプ16k、24kは、その配置及び構成から見て、交互に動かして混合物14kを吐出装置17kに搬送するものであることは明らかである。
以上のことから、甲3には、以下の発明(以下、「甲3装置発明」という。)が記載されていると認める。

「ポリウレタン材料を発泡させるための装置であって、
前記ポリウレタン材料が、ピストンポンプ4kを用いて、ある圧力でパイプ5kを介して搬送され、
圧縮空気7kがある圧力でパイプ8kを介して搬送され、
前記パイプ5k及び前記パイプ8kが開口部15kで弁を介して連結され、
吐出装置17kがポリウレタン材料と圧縮空気とからなる混合物14kの圧力開放を許容するように前記開口部15kの下流に設けられ、
弁が開口部に15kに配置され、弁は、ポリウレタン材料に気泡を注入可能に構成され、
前記ポリウレタン材料と前記気泡とからなる加圧された前記混合物14kを前記吐出装置17kへ交互に搬送可能な2つのピストンポンプ16k、24kが、前記開口部15kの下流側における平行なパイプ部分26k、27kに設けられている、装置。」

ウ 対比
本件特許発明6は、請求項1ないし5を引用するものであるところ、請求項1を引用する本件特許発明6と甲3装置発明とを対比する。
甲3装置発明の「ポリウレタン材料」、「圧縮空気」は、それぞれ、本件特許発明6における「粘稠材料(02)」、「ガス(07)」に相当する。
甲3装置発明の「ピストンポンプ4k」、「パイプ5k」、「パイプ8k」は、それぞれ、本件特許発明6における「第1搬送手段(04)」、「第1コンベアパイプ(5)」、「第2コンベアパイプ(08)」に相当する。
甲3装置発明のポリウレタン材料はピストンポンプ4kによって搬送されているが、そのときの「ある圧力」は、本件特許発明6における「第1搬送圧力」といえるし、甲3装置発明の圧縮空気がパイプ8kで搬送されている「ある圧力」は、本件特許発明6における「第2搬送圧力」といえる。
甲3装置発明の「弁」は、そこからポリウレタン材料に圧縮空気が注入されるものであるから、本件特許発明6における「ガス注入弁」に相当する。

そうすると、本件特許発明6と甲3装置発明との一致点及び相違点は、それぞれ次のとおりであると認める。

・ 一致点

粘稠材料(02)を発泡させるための装置(01,19,23)であって、
前記粘稠材料(2)が第1搬送手段(04)を用いて第1搬送圧力で第1コンベアパイプ(05)を介して搬送され、
ガス(07)が第2搬送圧力で第2コンベアパイプ(08)を介して搬送され、
前記第1コンベアパイプ(05)及び前記第2コンベアパイプ(08)が開口部(15)で連結され、
吐出装置(17)が粘稠材料(02)とガス(07)とからなる混合物(14)の圧力解放を許容するように前記開口部(15)の下流に設けられ、
ガス注入弁(09)が前記開口部(15)に配置され、前記ガス注入弁(09)は、粘稠材料(02)に気泡(25)を注入可能に構成され、
前記粘稠材料(02)と前記気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)を前記吐出装置(17)へ交互に搬送可能な2つのコンベアポンプ(16,24)が、前記開口部(15)の下流側における平行なパイプ部分に設けられている、
装置。

・ 相違点3-1

本件特許発明6は、「前記第1搬送手段(04)は、前記第1コンベアパイプ(05)を介して少なくとも50barの搬送圧力で前記粘稠材料を前記開口部(15)に搬送可能に構成されている」と特定するのに対し、甲3装置発明は、この点を特定しない点。

・ 相違点3-2

本件特許発明6は、「前記吐出装置(17)は、粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えていること」を特定するのに対し、甲3装置発明は、この点を特定しない点。

エ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点3-2から検討する。
甲3には、上記摘示ア(イ)及び(ウ)の図面に吐出装置に相当する構成の記載があるとはいえるが、その吐出装置の具体的な中身については不明であって、空気圧で駆動されるニードル弁ノズルが記載されているとはいえないし、甲3には吐出装置に関する記述は一切ない。
そして、異議申立人が提出したその他の証拠(甲1、甲2、甲4)のいずれにも、「粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」「吐出装置」は、記載されていない。
また、吐出装置であれば、「粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」ことが当業者の技術常識であったとも認められない。
そうすると、甲3装置発明における吐出装置を相違点3-2に係る構成とすることは当業者が容易に想到することができたものとはいえない。

オ 異議申立人の主張について
特許異議申立書では、「ニードル弁ノズルは周知技術であり(例えば甲第2号証)・・・当業者が必要に応じて適宜なし得る事項である」旨主張する。(第53頁第10行?末行)
しかし、ニードル弁ノズル自体は周知技術であっても、「吐出装置(17)は、粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えていること」については、甲2には記載されていないし、記載がなくとも当業者において自明な事項とも認められない。
なお、甲2にはニードル弁は記載されているが、シリンダー部材の流路にガス又は高粘度材料を供給するためのニードル弁とシリンダー部材から吐出する時に利用するニードル弁であり、しかも、その駆動方式についての記載はない。
よって、異議申立人の主張は失当であって採用できない。

カ 小括
以上によれば、相違点3-1について検討するまでもなく、請求項1を引用する本件特許発明6は、甲3に記載された発明、及び、甲1、2及び4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、請求項2ないし5のいずれか一つを引用する本件特許発明6は、請求項1を引用する本件特許発明6を更に限定するものであるから、同様に容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、異議申立人が主張する申立理由3には理由がない。

(2)申立理由1(甲1に基づく進歩性)について
ア 甲1の記載事項及び甲1装置発明
甲1の図1及び対応する詳細な説明の記載から、甲1には、以下の発明(以下、「甲1装置発明」という。)が記載されていると認める。

「高粘度材料を発泡させるための装置であって、
前記高粘度材料が材料供給ポンプ1を用いて所定圧力で材料供給管路2を介して搬送され、
ガスが所定圧力でガス供給管路3を介して搬送され、
前記材料供給管路2及び前記ガス供給管路3が所定位置で連結され、
吐出弁18が高粘度材料とガスとからなる混合物の圧力解法を許容するように前記所定位置の下流に設けられ、
前記高粘度材料と前記気泡とからなる加圧された前記混合物を前記吐出弁18へ搬送可能な材料吐出管路8が設けられている、
装置。」

イ 対比
本件特許発明6は、請求項1ないし5を引用するものであるところ、請求項1を引用する本件特許発明6と甲1装置発明とを対比すると、本件特許発明6と甲1装置発明との一致点及び相違点は、それぞれ次のとおりであると認める。

・ 一致点

粘稠材料(02)を発泡させるための装置(01,19,23)であって、
前記粘稠材料(2)が第1搬送手段(04)を用いて第1搬送圧力で第1コンベアパイプ(05)を介して搬送され、
ガス(07)が第2搬送圧力で第2コンベアパイプ(08)を介して搬送され、
前記第1コンベアパイプ(05)及び前記第2コンベアパイプ(08)が開口部(15)で連結され、
吐出装置(17)が粘稠材料(02)とガス(07)とからなる混合物(14)の圧力解放を許容するように前記開口部(15)の下流に設けられている、
装置。

・ 相違点1-1

本件特許発明6は、「ガス注入弁(09)が前記開口部(15)に配置され、前記ガス注入弁(09)は、粘稠材料(02)に気泡(25)を注入可能に構成され」と特定するのに対し、甲1装置発明は、この点を特定しない点。

・ 相違点1-2
本件特許発明6は、「前記粘稠材料(02)と前記気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)を前記吐出装置(17)へ交互に搬送可能な2つのコンベアポンプ(16,24)が、前記開口部(15)の下流側における平行なパイプ部分に設けられ」と特定するのに対し、甲1装置発明は、この点を特定しない点。

・ 相違点1-3
本件特許発明は、「前記第1搬送手段(04)は、前記第1コンベアパイプ(05)を介して少なくとも50barの搬送圧力で前記粘稠材料を前記開口部(15)に搬送可能に構成されている」と特定するのに対し、甲1装置発明は、この点を特定しない点。

・ 相違点1-4
本件特許発明6は、「前記吐出装置(17)は、粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」と特定するのに対し、甲1装置発明は、この点を特定しない点。

ウ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点1-4から検討する。
甲1には、吐出弁18(吐出装置)が記載されているが、その吐出弁の具体的な中身については不明であって、空気圧で駆動されるニードル弁ノズルが記載されているとはいえないし、甲1には吐出弁18の駆動装置に関する記述はない。
そして、異議申立人が提出したその他の証拠(甲2ないし4)のいずれにも、「粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」「吐出装置」は、記載されていない。
また、吐出装置であれば、「粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」ことが当業者の技術常識であったとも認められない。
そうすると、甲1装置発明における吐出弁18(吐出装置)を相違点1-4に係る構成とすることは当業者が容易に想到することができたものとはいえない。

エ 小括
以上によれば、相違点1-1ないし1-3について検討するまでもなく、請求項1を引用する本件特許発明6は、甲1に記載された発明、及び、甲2ないし4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、請求項2ないし5のいずれか一つを引用する本件特許発明6は、請求項1を引用する本件特許発明6を更に限定するものであるから、同様に容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、異議申立人が主張する申立理由1には理由がない。

(3)申立理由2(甲2に基づく進歩性)について
ア 甲2に記載された発明
甲2の【図1】、【図2】及び【図4】とそれに対応する詳細な説明の記載から、甲2には、以下の発明(以下、「甲2装置発明」という。)が記載されていると認める。

「高粘度材料を発泡させるための装置であって、
前記高粘度材料が、高粘度材料供給装置11を用いて所定の高圧力で管路39Aを介して搬送され、
ガスが設定された圧力で管路39Bを介して搬送され、
前記管路39A及び前記管路39Bがピストンポンプ45A、45Bで連結され、
吐出装置15が高粘度材料と気泡とからなる混合物の圧力開放を許容するように前記ピストンポンプ45A、45Bのニードル弁の開口部454の下流に設けられ、
ニードル弁NV1が前記ピストンポンプ45A、45Bのニードル弁の開口部454に設けられ、前記ニードル弁NV1は、高粘度材料に気泡を注入可能に構成され、
前記高粘度材料と前記気泡とからなる加圧された前記混合物を前記吐出装置15へ交互に搬送可能な2つのピストンポンプ51A、51Bが、管路44Aの下流側における平行なパイプ部分に設けられている、
装置。」

イ 対比
本件特許発明6は、請求項1ないし5を引用するものであるところ、請求項1を引用する本件特許発明6と甲2装置発明とを対比すると、本件特許発明6と甲2装置発明との一致点及び相違点は、それぞれ次のとおりであると認める。

・ 一致点

粘稠材料(02)を発泡させるための装置(01,19,23)であって、
前記粘稠材料(2)が第1搬送手段(04)を用いて第1搬送圧力で第1コンベアパイプ(05)を介して搬送され、
ガス(07)が第2搬送圧力で第2コンベアパイプ(08)を介して搬送され、
吐出装置(17)が粘稠材料(02)とガス(07)とからなる混合物(14)の圧力解放を許容するように下流に設けられ、
前記ガス注入弁(09)は、粘稠材料(02)に気泡(25)を注入可能に構成され、
前記粘稠材料(02)と前記気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)を前記吐出装置(17)へ交互に搬送可能な2つのコンベアポンプ(16,24)が、前記開口部(15)の下流側における平行なパイプ部分に設けられている、
装置。

・ 相違点2-1
ガスと粘稠材料の混合が行われる開口部及びガス注入弁に関して、本件特許発明6は、「前記第1コンベアパイプ(05)及び前記第2コンベアパイプ(08)が開口部(15)で連結され、」「ガス注入弁(09)が前記開口部(15)に配置され」と特定するのに対し、甲2発明は、シリンダー部にガス注入弁と粘稠材料の注入弁が設けられていて、当該シリンダー部で混合が行われるものである点。

・ 相違点2-2
本件特許発明6は、「前記吐出装置(17)は、粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」と特定するのに対し、甲2装置発明は、この点を特定しない点。

ウ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2-2から検討する。
甲2には、ニードル弁についての記載があるが、当該ニードル弁はシリンダー装置に設けられたニードル弁であって、吐出装置に設けられたニードル弁ではない。また、ニードル弁の駆動装置は不明であって、空気圧で駆動されるニードル弁ノズルが記載されているとはいえないし、甲2には吐出装置に関する記述は一切ない。
そして、異議申立人が提出したその他の証拠(甲1、甲3及び甲4)のいずれにも、「粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」「吐出装置」は、記載されていない。
また、吐出装置であれば、「粘稠材料(02)と気泡(25)とからなる加圧された前記混合物(14)が制御された方法で投与可能に構成された空気圧駆動されるニードル弁ノズル(18)を備えている」ことが当業者の技術常識であったとも認められない。
そうすると、甲2装置発明における吐出装置を相違点2-2に係る構成とすることは当業者が容易に想到することができたものとはいえない。

エ 小括
以上によれば、相違点2-1について検討するまでもなく、請求項1を引用する本件特許発明6は、甲2に記載された発明、及び、甲1及び甲3ないし4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、請求項2ないし5のいずれか一つを引用する本件特許発明6は、請求項1を引用する本件特許発明6を更に限定するものであるから、同様に容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、異議申立人が主張する申立理由2には理由がない。

(4)申立理由4(サポート要件)について
ア サポート要件についての検討
本件特許明細書【0003】、【0005】等の記載からみて、本件特許発明6が解決しようとする課題は、発泡体を製造する際にプロセスの信頼性が向上する、粘稠材料を発泡させる新しい装置を提案することであると認められる。
そして、本件特許明細書には、「本発明による装置は、粘稠材料に注入されるガスがガス注入弁によって粘稠材料に注入されるという基本的な考え方に基づく。ガス注入弁を用いた場合、気泡の注入により、気泡の質や量を確実に制御することができる。ガス注入弁を用いた目標とするガスの注入によって気泡の寸法や分布のばらつきが非常に狭い範囲にあり、非常に均一な材料特性を有する高品質の発泡体を製造することができる。」(【0006】)とされていて、「本発明による装置の基本形状よれば、ガス注入弁の数及び気泡が注入される際に粘稠材料が流れる第1コンベアパイプの断面に依存して、粘稠材料内に気泡がガス注入によってのみ分布するようにする。」(【0007】)、「最適化されたプロセスの信頼性に関して、センサを用いて測定された測定値の関数としてガス注入弁を制御することによる開口部で粘稠材料に流入する気泡流を制御するための制御ループが装置上に設けられると、特に有利である。」(【0014】)、「本発明による方法は、搬送圧力で加圧されたガスが、ガス注入弁による搬送圧力で加圧されて粘稠材料に注入されることを特徴とする。」(【0018】)、「注入処理の確実な制御に関して、気泡が注入されている間に気泡の寸法を変更可能であることが特に有利である。これは、例えば、ガス注入弁におけるニードル弁のストロークを変更することによって達成することができる。」(【0023】)、「さらに、気泡の注入中に時間当たりの気泡の量を変えることができるのが特に有利である。これは、例えば、ガス注入弁におけるニードル弁のストローク周波数を変更することによって達成され得る。所望の発泡体を製造する際の最高レベルのプロセス信頼性は、ガス注入弁を使用する気泡の注入が、センサを用いて測定された少なくとも1つの測定値の関数とした制御ループ内で変更されるときに達成される。」(【0024】、【0025】)との記載があり、発明を実施するための形態として、図1ないし3に、ガス注入弁を備えた粘稠材料を発泡させる装置が記載されている。
これらの記載に照らせば、粘稠材料を発泡させる装置において、「粘稠材料に注入されるガスがガス注入弁によって粘稠材料に注入される」構成を有することで、発泡体を製造する際にプロセスの信頼性が向上する、粘稠材料を発泡させる新しい装置が得られることを当業者は理解できるといえる。
そして、本件特許発明6は、当該構成を有しているから、上記の課題を解決できると当業者は認識する。

イ 異議申立人の主張の検討
異議申立人は、特許異議申立書において、下記の2点を主張する。
(主張1)
本件特許発明は、従来技術の欠点である「粘稠材料中の気泡の寸法及び分布が統計的分布に対応することであり、粘稠材料は微小気泡の他に比較的大きな気泡を含み得て、これは発泡体を製造する際に不規則性をもたらす可能性がある」を解決することを目的としてなされたものである。(本件特許公報の段落【0003】、【0004】)
しかし、本件特許発明6の構成要件1F(当審注:請求項1の「ガス注入弁(09)が前記開口部(15)に配置され、前記ガス注入弁(09)は、粘稠材料(02)に気泡(25)を注入可能に構成され」の構成)では、「ガス注入弁(09)が前記開口部(15)に配置され、前記ガス注入弁(09)は、粘稠材料(02)に気泡(25)を注入可能に構成され、」と記載するのみである。
係る構成要件1Fでは、粘稠材料(02)に比較的大量のガスを注入した場合、気泡(25)は極めて大きくなり、発泡体を製造する際に不規則性をもたらす可能性がある。
従って、本件特許発明6は、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超える場合を含んでいる。
(主張2)
本件特許発明6の構成要件1Gに関して、本件特許の出願人は、平成31年7月11日付け意見書において、「本願請求項1、7に係る発明では、第1及び第2コンベアパイプを連結する開口部と吐出装置との間に平行に延びる一対のパイプ部分が設けられています。そして、各パイプ部分にコンベアポンプが配設され、粘稠材料と気泡とからなる混合物を各コンベアポンプが加圧しながら交互に吐出装置へと搬送するようになっています。したがって、開口部において気泡が注入された粘稠材料からなる混合物を途切れることなく吐出装置に搬送できるようになっているのであります。」と主張している。
しかし、コンベアポンプ2台が設けられた平行なパイプ部分を、特に上下に配置した場合、次の問題が生じると思われる。
・ガスを混入した材料をコンベアパイプ中を搬送する際、コンベアパイプが上下に折曲がるような構成にすると、材料よりも軽いガスが配管中で分離して、重力の関係で上部に集まる傾向がある。
・上部に集まったガスは、上流側からの押し出し圧力で、下流側に押し出されようとするが、流れが止まった時にコンベアパイプに上下の屈曲があると押し出されかけたエアは軽いため屈曲の上部に戻り、材料は屈曲の下部方向に流れることになる。
・この工程が繰り返されることは、ガスが下流側へ押し出されなくなり、下流に送られた材料へのガスの混入量は少なくなる。
・さらに、この工程が繰り返され、ガスの量が多くなり、この屈曲部にガスが満たされ、この屈曲部よりも下流で平行もしくは上りのコンベアパイプがあるとガスが一気に流れていくことになる。
・この留まったガスが一気に吐出口から排出されると材料がなくガスだけが排出され混合物が途切れた吐出(ビードが吐出されない現象)になる。
・コンベアパイプ内に材料とガスが停止したとき、材料の粘度が低く及び/又はチクソトロピーの性質がない場合は特にガスが動く現象が現れる。
・ガスと材料の重さの違いと重力の関係で上下にガスが集まる。
・上記現象を解消するためには、コンベアピストンを設ける部分だけを平行や水平にしても効果はなく、システム全体のコンベアパイプを水平にすることが必要と考えられる。
従って、平行なパイプ部分の配置やその屈曲部の形状によっては、「気泡が注入された粘稠材料からなる混合物を途切れることなく吐出装置に搬送できる」という本件特許発明の作用効果を奏することが困難となる。
しかし、本件特許公報の発明の詳細な説明には、平行なパイプ部分の配置について何ら開示も示唆もない。従って、本件特許発明6は、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超える場合を含んでいる。

以下、上記主張について検討する。
(主張1について)
本件発明6は開口部に注入弁を備えたものであることから、本件発明6の課題を解決するものであると当業者が認識するのは上記アにおいて検討したとおりであるし、比較的大量のガスを注入した場合であっても、開口部にガス注入弁が存在しない場合と比べれば粘稠材料中の気泡の寸法及び分布が均一になると認められるから、請求人の主張は失当であって採用できない。
(主張2について)
コンベアパイプの2つの経路の条件が異なることに基づく問題点について主張しているが、2つの経路の条件がどうであれ、本件発明6は開口部に注入弁を備えたものであることから、本件発明6の課題を解決するものであると当業者が認識するのは上記アにおいて検討したとおりである。
また、本件発明6のような高圧での粘稠材料でのコンベアパイプにおいては、経路の条件の相違が混合材料の吐出に大きく影響を与えるものではないし、化学プラントにおいて複数の経路を設ける時にその条件を同等にすることは当業者の技術常識であるから、請求人が主張する問題が生じないともいえる。
よって、請求人の主張は失当であって採用できない。

ウ 小括
よって、本件特許発明6は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえ、本件特許出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を充足するものであり、異議申立人が主張する申立理由4には理由がない。

第6 むすび

上記第5のとおり、本件特許の請求項1ないし5及び7ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許の請求項6に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
さらに、他に本件特許の請求項6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

 
別掲
 
異議決定日 2021-02-26 
出願番号 特願2018-558125(P2018-558125)
審決分類 P 1 651・ 537- ZC (B29B)
P 1 651・ 121- ZC (B29B)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 ▲高▼橋 理絵  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 植前 充司
大島 祥吾
登録日 2019-09-20 
登録番号 特許第6588173号(P6588173)
権利者 セラコン ゲーエムベーハー
発明の名称 粘稠材料発泡装置及び粘稠材料を発泡させる方法  
代理人 井関 勝守  
代理人 金子 修平  
代理人 大西 渉  
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