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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60R |
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管理番号 | 1377062 |
審判番号 | 不服2020-14972 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-28 |
確定日 | 2021-08-12 |
事件の表示 | 特願2016- 64073号「車載用表示制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-177873号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年3月28日の出願であって、令和1年9月10日付けで拒絶理由が通知され、同年11月11日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年4月6日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年6月10日に意見書が提出され、同年7月16日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年10月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和2年10月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年10月28日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 令和2年10月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。 (1)補正前の請求項1 「【請求項1】 画面を備えた表示部と、 前記画面に複数のアイコンスイッチを表示するように前記表示部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、前記アイコンスイッチを任意の方向に移動させるための移動方向選択スイッチを前記画面の移動対象とされた前記アイコンスイッチ上に表示させるとともに、移動対象とされた前記アイコンスイッチを他の前記アイコンスイッチに対して相対的に大きく前記画面に表示させ、 前記移動方向選択スイッチが操作された場合、移動する方向に位置する前記アイコンスイッチの位置と移動対象とされた前記アイコンスイッチの位置とを並び替えて前記画面に表示させる車載用表示制御装置。」 (2)補正後の請求項1 「【請求項1】 画面を備えた表示部と、 前記画面に複数のアイコンスイッチを横一列表示するように前記表示部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、前記アイコンスイッチを横方向に移動させるための移動方向選択スイッチを前記画面の移動対象とされた前記アイコンスイッチ上に表示させるとともに、移動対象とされた前記アイコンスイッチを他の前記アイコンスイッチに対して上下幅を相対的に大きく前記画面に表示させ、 前記移動方向選択スイッチが操作された場合、横方向に位置する前記アイコンスイッチの位置と移動対象とされた前記アイコンスイッチの位置とを並び替えて前記画面に表示させる車載用表示制御装置。」 2 補正の適否 2-1 補正の目的 本件補正に係る請求項1の補正は、補正前の請求項1に記載された「複数のアイコンスイッチ」の「表示」について、「横一列表示」であることの限定を付し、また、「アイコンスイッチ」における「移動」の「方向」について、「横方向」であることの限定を付し、さらに、「移動対象とされた前記アイコンスイッチを他の前記アイコンスイッチに対して相対的に大きく前記画面に表示させ」ることについて、その表示が「上下幅」を相対的に大きくすることの限定を付すものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 2-2 独立特許要件 (1)引用文献の記載事項等 (1-1)引用文献1の記載事項等 (1-1-1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2015/151619号(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (1a) 「[0001] 本発明は、タッチパネルを備えた車載情報装置に関する。 ・・・ [0010] 以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。 図1において、符号1は、本実施の形態に係るカーナビゲーション装置(車載情報装置)を示している。このカーナビゲーション装置1は、例えば、運転席2及び助手席3の間の車内空間の前方部4に搭載されている。 [0011] 図2は、本実施形態に係るカーナビゲーション装置1の機能ブロック図である。 カーナビゲーション装置1は、制御部100と、記憶部110と、タッチ操作ユニット120とを備えている。 制御部100は、カーナビゲーション装置1の全体を制御するもので、各種のプログラムを実行することによって各機能を実現するCPUなどの演算装置を備えている。 記憶部110は、例えばフラッシュメモリなどの電気的に書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、制御部100が、例えばナビ機能、オーディオ機能などの各機能を実現するためのプログラムを格納している。また、この記憶部110は、後述する液晶表示装置122の画面に表示するアイテムのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)用画像データも格納している。 [0012] タッチ操作ユニット120は、タッチパネル121と、液晶表示装置122とを備えており、タッチパネル121の下に液晶表示装置122を設けている。このタッチ操作ユニット120は、ユーザが直感的に操作できるように、液晶表示装置122に各種の情報を表示し、タッチパネル121によって表示された情報を操作できるようにユーザのタッチ操作を受け付ける。 ・・・ [0014] 液晶表示装置122は、液晶ディスプレイなどの平面状で薄型の視覚表示装置であり、制御部100の制御の下、制御部100から出力される表示画面信号に基づき、画面に各種の情報を表示する。 [0015] 図3は、カーナビゲーション装置1を編集モードで操作する過程を示した図である。 本実施の形態では、ユーザが、タッチ操作ユニット120のタッチパネル121から、編集モードへの移行指令を与えると、制御部100を介して、液晶表示装置122に、図3(A)に示すように、第1の編集画面10が表示される。第1の編集画面10には、横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18が配置される。第1の編集画面10が開かれた場合、初期状態として編集画面10の左上のアイコン11が編集可能に選択されている。 ・・・ [0017] 図3(A)では、左上のアイコン11が編集可能に選択されている。 選択アイコン(選択オブジェクト)11は、視覚で理解できるように、その周囲枠24が発色されている。 [0018] 周囲枠24の周囲には、オブジェクトの移動可能な方向を示すマーク(入れ替えマーク)20(20a、20b、20c)が表示されている。アイコン(オブジェクト)が選択されると、選択アイコンを潜在的に入れ替え可能な配置先がある場合には、選択アイコンの周囲に入れ替えマーク20が表示される。例えば、図3(A)を参照すると、アイコン11は、アイコン11より上側には移動できない仕組みとなっているため、アイコン11の上側には潜在的に入れ替えが不可能であり、アイコン11の上側には入れ替えマーク20も表示されない。他方で、アイコン11は、左右及び下側には移動可能な仕組みがとられているため、アイコン11の左右及び下側には、入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示される。 ・・・ [0021] 次に、オブジェクト配置位置の入れ替えについて説明する。 図4(A)を参照すると、選択アイコン11の周囲には、移動可能な方向を示す入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示される。入れ替えマーク20(20a、20b、20c)の枠部21(21a、21b、21c)は発色している。 本実施の形態では、ユーザが、入れ替えマーク20aに触れた場合、図4(B)に示すように、選択アイコン11と、入れ替えマーク20aが示す方向に位置する対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示される。 入れ替えマーク20bに触れた場合、図示は省略したが、選択アイコン11と、下方に位置する対象アイコン15とが、表示位置を入れ替わって表示される。入れ替えマーク20cに触れた場合、選択アイコン11の左方に位置する対象アイコンと表示位置を入れ替わって表示される。ただし、左方に位置する対象アイコンは、図4(A)において存在せず、この場合、選択アイコン11と、図3(B)に示す第2の編集画面30中の対象アイコン19とが表示位置を入れ替わって表示される。すなわち図4では、一個の選択アイコン11と、この選択アイコン11と略均等の表示形態を有する一個の対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示される。 ・・・ [0023] 第1の編集画面10において、選択したいアイコンがアイコン11ではなく、例えば、アイコン12である場合、アイコン12をタッチする。 すると、アイコン12が選択されて、図示は省略したが、選択アイコン12の周囲に入れ替えマーク20が表示される。上記実施の形態と同様に、選択アイコン12の移動先を指定するように、移動の方向を示す入れ替えマーク20に触れると、当該移動先の対象アイコンと入れ替わって表示される。 [0024] 図5は、別の実施の形態を示す。 図5では、アイコンより大きいウィジェットが、例えば編集画面10中でどのように配置位置の入れ替えが行われるかを示した図である。 第1の編集画面10には、図5(A)参照のように、左半分にウィジェット31、右半分にアイコン32、33、34、35が配置されている。 ウィジェット31にはアプリケーションAが、アイコン32にはアプリケーションBが、アイコン33にはアプリケーションDが、アイコン34にはアプリケーションCが、アイコン35にはアプリケーションEが、それぞれセッティングされている。 ・・・ [0030] 図7は、別の実施の形態を示す。 図7において、第1の編集画面10には、画面の上半分にウィジェット51、下半分にアイコン52、53、54、55が配置されている。 ウィジェット51にはアプリケーションAが、アイコン52にはアプリケーションBが、アイコン53にはアプリケーションCが、アイコン54にはアプリケーションDが、アイコン55にはアプリケーションEが、それぞれセッティングされている。 ・・・ [0033] 図8では、第1の編集画面10に、画面の左半分にウィジェット61、右半分の上側にアイコン62、63、右半分の下側にウィジェット64が配置されている。 ウィジェット61にはアプリケーションAが、アイコン62にはアプリケーションBが、アイコン63にはアプリケーションCが、アイコン64にはアプリケーションDが、それぞれセッティングされている。 ・・・ [0036] 図9では、第1の編集画面10に、画面の上半分にアイコン71、72、73、74が、画面の下半分にウィジェット75が、配置されている。 アイコン71にはアプリAが、アイコン72にはアプリBが、アイコン73にはアプリCが、アイコン74にはアプリDが、ウィジェット75にはアプリEが、それぞれセッティングされている。 ・・・ [0042] 以上説明したように、本実施の形態によれば次の効果を奏する。 すなわち、本実施の形態によれば、ユーザが、タッチ操作ユニット120のタッチパネル121から、編集モードへの移行指令を与えると、制御部100を介して、液晶表示装置122に、例えば図3(A)に示すように、第1の編集画面10が表示される。そして、オブジェクトの移動可能な方向を示すマークのうち、所望のマークへのタッチ操作により、選択オブジェクトと、この選択オブジェクトと隣り合う、所望の対象オブジェクトとを入れ替えることができる。 したがって、従来のようにドラッグ操作を必要とせず、タッチパネル121に一度触れるのみで操作を行うことを可能とする。マークへのタッチ操作で切り替えを可能としたため、例えば車内において、シートベルトで体が固定され、かつ、運転時の揺れが生じる状況においても、切換え時の誤操作を防止できる。 ・・・ [0046] 以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、及び応用が可能である。 例えば、本実施の形態では、車内に固定のカーナビゲーション装置1を例示したが、図12に示すように、車内に例えばドッキングステーション6を配置してもよい。ドッキングステーション6には、車載情報装置として、携帯用のスマートフォン5やタブレットPCを運転時にドッキングし、スマートフォン5やタブレットPCに表示されるオブジェクトの入れ替えを可能にしてもよい。」 (1b)引用文献1には、以下の図が示されている。 ![]() (1-1-2)認定事項 引用文献1の摘示(1a)(1b)より、「ナビゲーション装置1」について以下の事項を認定することができる。 ア ナビゲーション装置1は、運転席2及び助手席3の間の車内空間の前方部4に搭載されるものであって([0010]、図1)、制御部100と、記憶部110と、タッチ操作ユニット120とを備えていること([0011]、図2) イ 制御部100は、カーナビゲーション装置1の全体を制御するものであること([0011]) ウ タッチ操作ユニット120は、タッチパネル121と、液晶表示装置122とを備えており([0012]、図2)、液晶表示装置122は、視覚表示装置であり、制御部100の制御の下、制御部100から出力される表示画面信号に基づき、画面に各種の情報を表示すること([0014]) エ ユーザが、タッチ操作ユニット120のタッチパネル121から、編集モードへの移行指令を与えると、制御部100を介して、液晶表示装置122に、第1の編集画面10が表示され、第1の編集画面10には、横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18が配置されること([0015]、図3) オ 第1の編集画面10が開かれた場合、初期状態として編集画面10の左上のアイコン11が編集可能に選択されるが([0015])、選択したいアイコンがアイコン11ではなく、他のアイコンである場合、他のアイコンをタッチすることで他のアイコンが選択されること([0023]) カ 選択された選択アイコン11は、視覚で理解できるように、その周囲枠24が発色され([0017])、周囲枠24の周囲には、オブジェクトの移動可能な方向を示す入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され、アイコン11は、左右及び下側には移動可能な仕組みがとられているため、アイコン11の左右及び下側には、入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示されること([0018]、図3) キ ユーザが、右側の入れ替えマーク20aに触れた場合、選択アイコン11と、入れ替えマーク20aが示す方向に位置する対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示され、下側の入れ替えマーク20bに触れた場合、選択アイコン11と、下方に位置する対象アイコン15とが、表示位置を入れ替わって表示され、左側の入れ替えマーク20cに触れた場合、選択アイコン11の左方に位置する対象アイコンと表示位置を入れ替わって表示されること([0021]、図3) (1-1-3)引用文献1に記載された発明 以上によれば、引用文献1には、 「運転席2及び助手席3の間の車内空間の前方部4に搭載されるナビゲーション装置1であって、 制御部100と、記憶部110と、タッチ操作ユニット120とを備え、 制御部100は、カーナビゲーション装置1の全体を制御するものであり、 タッチ操作ユニット120は、タッチパネル121と、液晶表示装置122とを備えており、液晶表示装置122は、視覚表示装置であり、制御部100の制御の下、制御部100から出力される表示画面信号に基づき、画面に各種の情報を表示し、 ユーザが、タッチ操作ユニット120のタッチパネル121から、編集モードへの移行指令を与えると、制御部100を介して、液晶表示装置122に、第1の編集画面10が表示され、第1の編集画面10には、横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18が配置され、 第1の編集画面10が開かれた場合、初期状態として編集画面10の左上のアイコン11が編集可能に選択されるが、選択したいアイコンがアイコン11ではなく、他のアイコンである場合、他のアイコンをタッチすることで他のアイコンが選択され、 選択された選択アイコン11は、視覚で理解できるように、その周囲枠24が発色され、周囲枠24の周囲には、オブジェクトの移動可能な方向を示す入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され、アイコン11は、左右及び下側には移動可能な仕組みがとられているため、アイコン11の左右及び下側には、入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され、 ユーザが、右側の入れ替えマーク20aに触れた場合、選択アイコン11と、入れ替えマーク20aが示す方向に位置する対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示され、下側の入れ替えマーク20bに触れた場合、選択アイコン11と、下方に位置する対象アイコン15とが、表示位置を入れ替わって表示され、左側の入れ替えマーク20cに触れた場合、選択アイコン11の左方に位置する対象アイコンと表示位置を入れ替わって表示される、 ナビゲーション装置1」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (1-2)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、本願の出願日前に頒布された特開2016-24645号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【0001】 この明細書に記載の実施形態は、画像処理装置の操作入力部におけるユーザビリティーを向上させるためのソフトウエア技術に関する。 ・・・ 【0046】 この実施形態では、装置の機能を示すアイコン(オブジェクト)が、タッチパネルディスプレイ40に4(横)×2(縦)=合計8つ配列された場合を例示するが、表示されるアイコンの数や縦横の数は、これに限定されない。 ・・・ 【0048】 図5及び図6に示す例では、タッチパネルディスプレイ40に表示されたアイコンは、装置の機能が定義されたものと未定義のものとの2種類に大別される。 ・・・ 【0052】 一方、装置の機能が定義されている定義済みアイコン(この例では「1」、「2」、「5」、「6」、「7」の5つのアイコン)は、図6に示すように、アイコン配置編集モード中は、定義された機能を解除するための指標(この例ではアイコン右上側の記号「×」のボタン)と、2つのアイコン間での配置位置の変更(交換)を行うための指標となる指示ボタン(アローヘッドのボタン)が表示される。これら各指標は、ソフトウェアボタン(スイッチ)としての機能を有するものであり、以下、この記号「×」によるボタンを「定義解除ボタン」とも称し、また、アローヘッドのボタンを「位置移動ボタン」とも称する。 ・・・ 【0056】 次に、2つのアイコン間での配置位置の変更(交換)を行うための位置移動ボタンについて説明する。本実施形態では、位置移動ボタン(アローヘッド)は、表示位置の移動(配置交換)が可能な1ペアのアイコンで各一つ表示される。 【0057】 例えば、図6の例での「2」のアイコンは、左側に隣接する「1」のアイコンとの間で配置交換が可能であり、かつ、下側に隣接する「6」のアイコンとの間でも配置交換が可能である。このため、「2」のアイコンの左側の領域に「<」の位置移動ボタンが表示されるとともに、「1」のアイコンの右側の領域にも「>」の位置移動ボタンが表示される。 ・・・ 【0069】 図7及び図8は、位置移動ボタンをタッチ操作することにより、2つのアイコンの位置を移動する場合の操作例を示す。図示のように、「2」のアイコンの下側に表示されている下向きのアローヘッドによる位置移動ボタンを選択(指でタッチ)すると、その下に位置している「6」のアイコンと位置が入れ替わる。かかる編集モードを終了させた場合の表示画面を図9に示す。 【0070】 このように、本実施形態の位置移動ボタンのアローヘッドの向きは、アイコンの移動方向を示しているので、視覚的にも分かり易いものである。 【0071】 以上のような構成を備えた本実施形態では、ドラッグ&ドロップの操作と異なり、ワンタッチでアイコンの移動(すなわち隣接アイコン同士の配置交換)を行うことができるので、アイコン配置換えを簡易迅速に実現することが可能となる。 ・・・ 【0076】 また、上述の実施形態では、配置交換可能な一対のアイコンのそれぞれに、位置移動ボタンを表示する構成としたが、いずれか一方のアイコンのみに位置移動ボタンを表示する構成とすることもできる。さらには、図11に示すように、アイコン間にまたがって、位置移動ボタンを表示させることもできる。このように、位置移動ボタンはアイコンの一部に設けられる構成であればよい。」 (2b)引用文献2には、以下の図が示されている。 ![]() (1-3)引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献5として引用され、本願の出願日前に頒布された特開2014-102660号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (3a)「【0001】 本発明は、タッチ操作による車両内の機器の操作を支援する操作支援システム、操作支援方法及びコンピュータプログラムに関する。 ・・・ 【0051】 ここで、図6及び図7はHUD4によってフロントガラス36の表示対象領域37に表示される画像の一例を示した図である。先ず、ACCがオンされた直後の状態では表示対象領域37において図6に示すメイン画面40が表示される。メイン画面40には、操作支援システム1において操作対象となる操作対象機器(ナビゲーション装置、オーディオ、エアコン、パワーウィンドウ、ドア等)に対応する複数のメニューアイコン41が表示される。そして、メイン画面40においていずれかのメニューアイコン41が選択されると、図7に示すように選択されたメニューアイコン41(図7に示す例では『エアコン』のメニューアイコン41)に対応したパラメータ設定画面42が表示される。パラメータ設定画面42では、操作対象機器の現在のパラメータ(項目の状態)がパラメータアイコン43?45内にそれぞれ表示され、更にそのパラメータの変更操作が可能となる。 ・・・ 【0056】 先ず、操作支援処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU31は、選択されたメニューアイコン41に対応したパラメータ設定画面42をHUD4によりフロントガラス36の表示対象領域37に表示する(図2参照)。ここで、パラメータ設定画面42は、図7に示すように操作対象機器(図7に示す例ではエアコン)の現在のパラメータが、パラメータアイコン43?45内にそれぞれ表示される。ここで、図7に示す例では、『風向』、『風量』、『設定温度』の3つのエアコンのパラメータが表示されており、ユーザはパラメータ設定画面42を視認することによって、エアコンの風向が“水平”、風量が“4(5段階設定)”、設定温度が“26℃”に設定されていることを把握できる。尚、パラメータ設定画面42において表示対象となるパラメータの数は3つに限られることなく、1つや2つでも良い。但し、4つ以上のパラメータを表示すると操作性が低下する要因となることから、操作対象機器において設定されているパラメータが4以上ある場合であっても、パラメータ設定画面42において表示し、変更操作の対象とするパラメータの数は最大3個とすることが望ましい。 【0057】 次に、S2においてCPU31は、フロントガラス36の表示対象領域37に表示されたパラメータ毎に、パラメータに対応付けた選択領域を右操作入力装置3のタッチパッド11の操作面に設定する。具体的には、表示画面に対するパラメータの表示位置の関係と対応させて、選択領域を右操作入力装置3のタッチパッド11の操作面に設定する。例えば、表示画面において図7に示すように3つのパラメータが左右方向に並んで表示されている場合には、図10に示すように3つの選択領域51?53を左右方向に並べて右操作入力装置3のタッチパッド11の操作面に対して設定する。また、選択領域は、各選択領域内にピン21を突出させる貫通孔25を少なくとも一以上含むように設定する。ここで、選択領域51は『風向』のパラメータに対応付けられた選択領域であり、中央の段の左側に位置するピン21の貫通孔25Aを含む領域に設定される。また、選択領域52は『風量』のパラメータに対応付けられた選択領域であり、中央の段の真ん中に位置するピン21の貫通孔25Bを含む領域に設定される。また、選択領域53は『設定温度』のパラメータに対応付けられた選択領域であり、中央の段の右側に位置するピン21の貫通孔25Cを含む領域に設定される。 ・・・ 【0067】 S9においてCPU31は、前記S8でユーザによって選択されたと判定された選択領域(以下、対象選択領域という)に対応するパラメータを、ユーザによる変更操作対象となるパラメータ(以下、選択パラメータという)として仮に特定する。そして、フロントガラス36に表示されたパラメータ設定画面42において選択パラメータを他のパラメータよりも強調(他のパラメータと識別)して表示する。例えば、図7に示すパラメータ設定画面42がフロントガラス36に表示されており、図10に示す選択領域51?53が右操作入力装置3のタッチパッド11の操作面に設定されている場合には、選択領域51がユーザによってタッチされると、エアコンの『風向』が選択パラメータとして特定される。また、選択領域52がユーザによってタッチされると、エアコンの『風量』が選択パラメータとして特定される。また、選択領域53がユーザによってタッチされると、エアコンの『設定温度』が選択パラメータとして特定される。 ・・・ 【0069】 また、図11は選択領域51?53の内、特にエアコンの『風量』に対応する選択領域52が選択された場合のパラメータ設定画面42の表示例を示した図である。図11に示す例では、『風量』のパラメータを示すパラメータアイコン44が他のパラメータアイコン43、45よりも大きいサイズで表示され、ユーザは『風量』のパラメータが現在変更対象として仮に選択されていることを容易に把握することが可能となる。尚、選択パラメータを強調して表示する手段としては、拡大して表示する以外に、表示色を変えたり、線の太さを太くしても良い。 ・・・ 【0097】 以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る操作支援システム1、操作支援システム1による操作支援方法及び操作支援システム1で実行されるコンピュータプログラムによれば、操作対象機器において設定されている複数のパラメータをフロントガラス36に表示し(S1)、表示された複数のパラメータ毎に、パラメータに対応付けた選択領域をタッチパッド11の操作面に設定し(S2)、操作面に設定されたいずれかの選択領域をユーザがタッチした状態で、該選択領域内のピン21を押下する選択操作を受け付けた場合に、選択された選択領域(対象選択領域)に対応するパラメータ(選択パラメータ)を変更する操作を行う為の操作領域をタッチパッド11の操作面に新たに設定し(S15)、操作領域内でユーザがドラッグする操作を、選択パラメータを変更する操作として受け付け(S17?S24)、受け付けたユーザの操作に基づいて選択パラメータを変更するように操作対象機器を制御するので、複数のパラメータが表示画面に表示されていたとしてもパラメータの変更操作をより少ない操作回数で行わせることが可能である。また、パラメータが表示されたとしても、パラメータが変更操作対象として選択されなければ操作領域が設定されない。即ち、ユーザがタッチパッド11の操作面に対して誤った操作を行ったとしても、選択されていないパラメータは変更されることはないので、誤操作を防止することができる。従って、車両に搭載された各操作対象機器において設定されているパラメータの詳細な変更操作を操作面へのタッチ操作によって正確に行わせることが可能となる。 また、選択パラメータを他のパラメータと識別可能に表示するので、表示画面をユーザが視認することによって、現在変更操作の対象となっているパラメータを容易に識別することが可能となる。・・・」 」 (3b)引用文献3には、以下の図が示されている。 ![]() (1-4)引用文献4の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献6として引用され、本願の出願日前に頒布された特開2015-146082号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。 (4a)「【0001】 本発明は、入力装置、入力方法、および入力プログラムに関する。 ・・・ 【0030】 <画像形成装置1> 図1は、画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。また、図2は、画像形成装置の機能構成例を示すブロック図である。 ・・・ 【0032】 画像形成装置1は、印刷機能、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の少なくともいずれかを有するMFP(Multi-Function Peripheral)である。ただし、本発明をMFPに適用する代わりに、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末や、車載用のナビゲーション装置に適用してもよい。」 (1-5)引用文献5の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献7として引用され、本願の出願日前に頒布された特開2015-184755号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。 (5a)「【0001】 本発明は、画像形成装置、携帯情報端末装置、車載用情報端末装置等の各種電子機器に使用される操作パネル装置に関する。 ・・・ 【0179】 (5-6)上記実施の形態では、本発明に係る操作パネル装置を多機能複合機の操作部3に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。例えば、プリンターや複写機などの画像形成装置、スキャナーなどの画像読取装置、これらを含む概念である画像処理装置、パーソナルコンピューター、携帯情報端末装置、車載用情報端末装置等の各種電子機器において使用される操作パネル装置に適用することができる。また、上記の処理がソフトウェアにより行われる構成であっても良いし、ハードウェア回路を用いて行われる構成であっても良い。」 (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「液晶表示装置122」は、「視覚表示装置であり、制御部100の制御の下、制御部100から出力される表示画面信号に基づき、画面に各種の情報を表示」するものであって、画面を備えることは明らかであるから、本願補正発明の「画面を備えた表示部」に相当する。 イ 引用発明の「合計8つのアイコン11、12、13、…18」は、本願補正発明の「複数のアイコンスイッチ」に相当する。 ウ 引用発明の「制御部100」は、「カーナビゲーション装置1の全体を制御するものであり」、「ユーザが、タッチ操作ユニット120のタッチパネル121から、編集モードへの移行指令を与えると、制御部100を介して、液晶表示装置122に、第1の編集画面10が表示され、第1の編集画面10には、横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18が配置され」るものであるから、上記「制御部100」が、画面に合計8つのアイコン11、12、13、…18を表示するように液晶表示装置122を制御することは明らかである。 してみると、引用発明の上記「制御部100」と、本願補正発明の「前記画面に複数のアイコンスイッチを横一列表示するように前記表示部を制御する制御部」とは、上記ア、イをも踏まえると、「前記画面に複数のアイコンスイッチを表示するように前記表示部を制御する制御部」の点で共通するものといえる。 エ 引用発明の「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」は、「オブジェクトの移動可能な方向を示す」ものであって、「アイコン11は、左右及び下側には移動可能な仕組みがとられているため、アイコン11の左右及び下側には、入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され」、「ユーザが、右側の入れ替えマーク20aに触れた場合、選択アイコン11と、入れ替えマーク20aが示す方向に位置する対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示され、下側の入れ替えマーク20bに触れた場合、選択アイコン11と、下方に位置する対象アイコン15とが、表示位置を入れ替わって表示され、左側の入れ替えマーク20cに触れた場合、選択アイコン11の左方に位置する対象アイコンと表示位置を入れ替わって表示される」ものであるから、上記「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」は、アイコン11、12、13、…18を移動させるための移動方向選択スイッチと位置づけ得るものである。 したがって、引用発明の上記「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」と本願補正発明の「前記アイコンスイッチを横方向に移動させるための移動方向選択スイッチ」とは、上記イをも踏まえると、「前記アイコンスイッチを移動方向に移動させるための移動方向選択スイッチ」の点で共通するものといえる。 オ 引用発明の「制御部100」は、「カーナビゲーション装置1の全体を制御するもの」であって、「ユーザが、タッチ操作ユニット120のタッチパネル121から、編集モードへの移行指令を与えると、制御部100を介して、液晶表示装置122に、第1の編集画面10が表示され、第1の編集画面10には、横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18が配置され」るものであるから、上記「アイコン11、12、13、…18」は、上記「制御部100」の制御によって画面に表示されることが明らかである。 さらに、引用発明は、「第1の編集画面10が開かれた場合、初期状態として編集画面10の左上のアイコン11が編集可能に選択されるが、選択したいアイコンがアイコン11ではなく、他のアイコンである場合、他のアイコンをタッチすることで他のアイコンが選択され、選択された選択アイコン11は、視覚で理解できるように、その周囲枠24が発色され、周囲枠24の周囲には、オブジェクトの移動可能な方向を示す入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され」るものであるから、上記「制御部100」の制御によって「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」が表示されることも明らかである。 したがって、引用発明の上記「制御部100」による「アイコン11、12、13、…18」及び「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」を表示させる構成と、本願補正発明の「制御部」による「前記アイコンスイッチを横方向に移動させるための移動方向選択スイッチを前記画面の移動対象とされた前記アイコンスイッチ上に表示させるとともに、移動対象とされた前記アイコンスイッチを他の前記アイコンスイッチに対して上下幅を相対的に大きく前記画面に表示させ」る構成とは、上記イ?エをも踏まえると、「前記制御部は、前記アイコンスイッチを移動方向に移動させるための移動方向選択スイッチを表示させるとともに、移動対象とされた前記アイコンスイッチを前記画面に表示させ」る点で共通し、 さらに、引用発明の「ユーザが、右側の入れ替えマーク20aに触れた場合、選択アイコン11と、入れ替えマーク20aが示す方向に位置する対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示され、下側の入れ替えマーク20bに触れた場合、選択アイコン11と、下方に位置する対象アイコン15とが、表示位置を入れ替わって表示され、左側の入れ替えマーク20cに触れた場合、選択アイコン11の左方に位置する対象アイコンと表示位置を入れ替わって表示される」ことと、本願補正発明の「前記移動方向選択スイッチが操作された場合、横方向に位置する前記アイコンスイッチの位置と移動対象とされた前記アイコンスイッチの位置とを並び替えて前記画面に表示させる」こととは、「前記移動方向選択スイッチが操作された場合、移動方向に位置する前記アイコンスイッチの位置と移動対象とされた前記アイコンスイッチの位置とを並び替えて前記画面に表示させる」点で共通するものといえる。 カ 引用発明の「ナビゲーション装置1」は、「運転席2及び助手席3の間の車内空間の前方部4に搭載される」ものであって、「制御部100と、記憶部110と、タッチ操作ユニット120とを備え」るものであるから、その技術的意義において、本願補正発明の「車載用表示制御装置」に相当するものといえる。 以上によれば、本願補正発明と引用発明とは、 「画面を備えた表示部と、 前記画面に複数のアイコンスイッチを表示するように前記表示部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、前記アイコンスイッチを移動方向に移動させるための移動方向選択スイッチを表示させるとともに、移動対象とされた前記アイコンスイッチを前記画面に表示させ、 前記移動方向選択スイッチが操作された場合、移動方向に位置する前記アイコンスイッチの位置と移動対象とされた前記アイコンスイッチの位置とを並び替えて前記画面に表示させる車載用表示制御装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点1> 複数のアイコンスイッチの「表示」の態様、及び、アイコンスイッチの「移動方向」に関し、 本願補正発明は、複数のアイコンスイッチが「横一列表示」されるとともに、移動方向選択スイッチが、アイコンスイッチを「横方向」に移動させるためのものとされ、「横方向」に位置するアイコンスイッチの位置と移動対象とされたアイコンスイッチの位置とを並び替えて画面に表示させるものであるのに対し、 引用発明は、複数のアイコンスイッチ(アイコン11、12、13、…18)が「横に4列、縦に2行の合計8つ」表示されるとともに、移動方向選択スイッチ(入れ替えマーク20(20a、20b、20c))が、「オブジェクトの移動可能な方向」に移動させるためのものとされ、「左右及び下側には移動可能な仕組みがとられているため、アイコン11の左右及び下側には、入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され、ユーザが、右側の入れ替えマーク20aに触れた場合、選択アイコン11と、入れ替えマーク20aが示す方向に位置する対象アイコン12とが、表示位置を入れ替わって表示され、下側の入れ替えマーク20bに触れた場合、選択アイコン11と、下方に位置する対象アイコン15とが、表示位置を入れ替わって表示され、左側の入れ替えマーク20cに触れた場合、選択アイコン11の左方に位置する対象アイコンと表示位置を入れ替わって表示される」点。 <相違点2> 移動方向選択スイッチの「表示」の態様について、 本願補正発明は、「前記画面の移動対象とされた前記アイコンスイッチ上に」表示させるように構成されているのに対し、引用発明は、「選択された選択アイコン11」に対する「周囲枠24の周囲には、オブジェクトの移動可能な方向を示す入れ替えマーク20(20a、20b、20c)が表示され」るように構成されている点。 <相違点3> 移動対象とされたアイコンスイッチの「表示」の態様について、 本願補正発明は、「他の前記アイコンスイッチに対して上下幅を相対的に大きく」表示させるように構成されているのに対し、引用発明は、「選択された選択アイコン11は、視覚で理解できるように、その周囲枠24が発色され」るように構成されている点。 (3)判断 ア 相違点1について (ア)引用発明は、「第1の編集画面10には、横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18が配置され」るものであるところ、引用文献1(摘示(1a)(摘示1b))には、第1の編集画面10に、左半分にウィジェット31、右半分にアイコン32、33、34、35が配置されている実施の形態([0024]、図5)、画面の上半分にウィジェット51、下半分にアイコン52、53、54、55が配置されている実施の形態([0030]、図7)、画面の左半分にウィジェット61、右半分の上側にアイコン62、63、右半分の下側にウィジェット64が配置されている実施の形態([0033]、図8)、画面の上半分にアイコン71、72、73、74、下半分にウィジェット75が配置されている実施の形態([0036]、図9)等が記載されているように、引用発明の「第1の編集画面10」に配置されるアイコンは、多様な配置態様が想定されるものである。この点は、引用文献1の「本発明は、この実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、及び応用が可能である。」([0046])という記載からも裏付けられるものであり、さらに、このような画面に表示されるアイコンの数や縦横の数といった配置の態様が適宜設計変更されることは、例えば、引用文献2(摘示(2a))に「この実施形態では、装置の機能を示すアイコン(オブジェクト)が、タッチパネルディスプレイ40に4(横)×2(縦)=合計8つ配列された場合を例示するが、表示されるアイコンの数や縦横の数は、これに限定されない。」(【0046】)と記載され、引用文献3(摘示(3a))に「パラメータ設定画面42において表示対象となるパラメータの数は3つに限られることなく、1つや2つでも良い。」と記載されているように、当業者が通常の創作能力の発揮において行い得ることいえる。 そして、例えば引用文献3(摘示(3a)(3b))には、横列及び縦列に複数のメニューアイコン41が表示されたメイン画面40の例(図6)や、横一列に複数のパラメータが表示されたパラメータ設定画面42の例(図7)が示されているように、複数のアイコンを横列及び縦列に配置して表示することも、あるいは、横一列に配置して表示することも、複数のアイコンを画面に配置する上での周知技術というべきものであるから、引用発明の「第1の編集画面10」に配置される「アイコン11、12、13、…18」を「横に4列、縦に2行」で配置することに代えて、「横一列」で配置すること、さらに、かかる「横一列」の配置に伴って、「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」を、アイコン11、12、13、…18を「横方向」に移動させるためのものとして構成するとともに、「横方向」に位置するアイコン11、12、13、…18の位置と移動対象とされたアイコンの位置とを並び替えて画面に表示させることは、上記周知技術に接した当業者が適宜設定する設計事項というべきであり、格別困難なことではない。 したがって、上記相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易になし得たものといえる。 イ 相違点2について 引用発明の「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」は、「オブジェクトの移動可能な方向を示す」ものであるから、ユーザにとって、その示す方向を視覚的に分かりやすく構成すべきことが明らかである。 ここで、引用文献2(摘示(2a)(2b))には、画像処理装置の操作入力部におけるユーザビリティーを向上させるためのソフトウエア技術に関し(【0001】)アイコンの移動方向を示すものであって、視覚的にも分かり易い「位置移動ボタン」の構成として(【0070】)、移動対象とされたアイコンの領域に位置移動ボタンを表示することが記載されている(【0057】、図6)。さらに、上記「位置移動ボタン」は、2つのアイコン間での配置位置の変更(交換)を行うための指示ボタンとして機能することから(【0052】、【0069】?【0071】、図7,8)、引用発明の「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」とは、その機能・構成において多分に共通したものということができる。なお、画像処理装置の操作入力部の技術が、引用発明の「ナビゲーション装置」に適用可能であることは技術常識である(必要ならば、引用文献4の摘示(4a)、引用文献5の摘示(5a)、など参照。)。 また、引用文献2には、「上述の実施形態では、配置交換可能な一対のアイコンのそれぞれに、位置移動ボタンを表示する構成としたが、いずれか一方のアイコンのみに位置移動ボタンを表示する構成とすることもできる。さらには、図11に示すように、アイコン間にまたがって、位置移動ボタンを表示させることもできる。」(【0076】)とも記載されているように、この種の「位置移動ボタン」は、ユーザの視認性や操作性等をも考慮してその表示の態様を適宜選択的に設計し得ることが技術的に明らかであるから、引用発明の「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」の表示の態様として、視覚的にも分かり易く構成された上記「位置移動ボタン」の表示の態様を参考とする動機付けは十分存在する。 してみると、引用発明の「アイコン11、12、13、…18」を「横一列」で配置するとともに、かかる配置に伴って、「入れ替えマーク20(20a、20b、20c)」を、アイコン11、12、13、…18を「横方向」に移動させるためのものとして構成するに際し(上記ア)、引用文献2に記載された上記「位置移動ボタン」の表示の態様を参考として、上記「入れ替えマーク20」をアイコン11上に表示させるように構成することは、当業者にとって格別困難なことではない。 したがって、上記相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び上記引用文献2に記載された技術事項に基いて当業者が容易になし得たものといえる。 ウ 相違点3について 引用発明の「選択された選択アイコン11」は、「視覚で理解できるように、その周囲枠24が発色され」るものであるから、そのような選択アイコン11は、他のアイコンと視覚的に識別できるように強調して表示されるように構成されたものということができる。 ここで、例えば、引用文献3(摘示(3a)(3b))には、タッチ操作による車両内の機器の操作を支援する操作支援システムに関し(【0001】)、パラメータ設定画面42上で、ユーザが選択した選択パラメータを他のパラメータと視覚的に容易に識別できるように構成するために、選択されたパラメータアイコン44を他のパラメータアイコン43、45よりも大きいサイズで強調して表示することが記載され(【0067】?【0069】、【0097】)、さらに、選択パラメータを強調して表示する手段として、拡大して表示する以外に、表示色を変えたり、線の太さを太くしても良いことも記載されているように(【0069】)、選択したアイコンを他のアイコンに対して強調して表示するために、拡大して表示すること、表示色を変えて表示すること、あるいは線の太さを太くして表示することは、かかる技術分野における周知技術ということができ、また、それら強調表示の態様は当業者が適宜選択的に採用し得るものといえる。 そして、一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更は、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないから、引用発明の「選択アイコン11」を強調表示するために、上記「選択アイコン11」を「その周囲枠24が発色され」るように構成することに代えて、他のアイコンに対して上下幅を相対的に大きく表示するように構成することは、上記周知技術に接した当業者が通常の創作能力の発揮において行い得ることというべきである。 したがって、上記相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易になし得たものといえる。 エ そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。 オ 請求人の主張について 請求人は、令和2年10月28日付けの審判請求書(「3.(c)」の項)で、 「本願発明は、『前記画面に複数のアイコンスイッチを横一列表示するように前記表示部を制御する制御部』により、・・・上下方向においてはアイコンスイッチの表示スペースを十分に確保することができます。さらに、・・・移動させたいアイコンスイッチの上下幅を相対的に大きく画面に表示させることによって、・・・移動させたいアイコンスイッチを一つだけ大きく目立たせて、視覚的に分かりやすく強調して表示することができます。・・・視覚的により分かり易く強調して表示することができる、という格別の効果を得ることができます。それに対して引用文献1に記載の発明には、特徴構成については記載も示唆もされておりません。さらに、引用文献1に記載の車載情報装置は、複数のアイコンが横二列に亘って表示されており、上下方向における表示スペースの制約が大きく、本願発明のように移動させたいアイコンの上下幅を他のアイコンに対して十分に大きく強調して表示させることはそもそもできません。」旨主張する。 しかし、上記アで述べたとおり、例えば、引用文献3(摘示(3b))にも記載されているように、複数のアイコンを画面に横列及び縦列で表示することも(図6)、また、横一列で表示することも(図7)、複数のアイコンを画面に配置する上での周知技術というべきものであるから、引用発明の「横に4列、縦に2行の合計8つのアイコン11、12、13、…18」を横一列で配置するように構成することは、上記周知技術に接した当業者が適宜選択的に採用することができる設計事項といえ、また、そのようにアイコンを横一列で配置すれば、上下方向における表示スペースを十分に確保し得ることも、例えば引用文献3の図7に示されているとおり自明の事項ともいえ予測の範囲内である。 さらに、上記ウで述べたとおり、例えば、引用文献3(摘示(3a))にも記載されているように、設定画面におけるユーザの視認性等を考慮して、選択されたアイコンを他のアイコンよりも大きいサイズで強調して表示すること、また、拡大して表示する以外に、表示色を変えたり、線の太さを太くして強調表示することは(【0069】)、対象となるアイコンを強調表示する上での周知技術というべきものであるから、引用発明の「選択アイコン11」を「その周囲枠24が発色され」るような表示色を利用して強調表示する構成に代えて、他のアイコンに対して上下幅を相対的に大きく表示するように拡大して強調表示させるように構成することは、当業者が技術の具体的適用に伴う設計変更にすぎないものといえる。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易になし得たものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和1年11月11日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1(1)補正前の請求項1」に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。 本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1、4に記載された発明及び周知技術(引用文献6、7)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・引用文献1:国際公開第2015/151619号 ・引用文献4:特開2016-24645号公報 ・引用文献6:特開2015-146082号公報 ・引用文献7:特開2015-184755号公報 なお、上記引用文献1、4、6及び7は、それぞれ、上記「第2 2 2-2 (1)」に示す引用文献1、2、4及び5である。 3 当審の判断 本願発明は、上記「第2 1(1)補正前の請求項1」に示すとおりのものであり、実質的には、上記「第2 1(2)補正後の請求項1」に示す本願補正発明の発明を特定するために必要な事項から、上記「第2 2 2-1 補正の目的」で述べた限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2 2-2(3)(4)」で述べたとおり、当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により(ただし、上記限定事項に係る判断は除く)、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、上記「第2 2 2-2(3)」で述べた引用発明及び引用文献2、4、5に記載された技術事項(技術常識を含む)に基いて当業者が容易になし得たものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-06-03 |
結審通知日 | 2021-06-08 |
審決日 | 2021-06-22 |
出願番号 | 特願2016-64073(P2016-64073) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B60R)
P 1 8・ 121- Z (B60R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中屋 裕一郎、梶本 直樹 |
特許庁審判長 |
一ノ瀬 覚 |
特許庁審判官 |
畔津 圭介 氏原 康宏 |
発明の名称 | 車載用表示制御装置 |
代理人 | 本多 章悟 |
代理人 | 工藤 修一 |