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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1377078
審判番号 不服2020-1928  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-12 
確定日 2021-08-31 
事件の表示 特願2018-559883「マルチファンクションセンシングシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日国際公開、WO2017/196279、令和 1年 9月12日国内公表、特表2019-526089、請求項の数(51)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)4月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年5月13日 トルコ)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年 5月29日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 9月 3日 :意見書の提出
令和 元年10月 7日付け:拒絶査定
令和 2年 2月12日 :拒絶査定不服審判の請求
令和 3年 2月16日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 3年 5月14日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年10月7日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
この出願の請求項1?4,6?12,23?29,31?37,48?51に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、請求項5,19,20,30,44,45に係る発明は、以下の引用文献1?3に記載された発明に基いて、請求項13?18,38?43に係る発明は、以下の引用文献1,3,4に記載された発明に基いて、請求項21,46に係る発明は、以下の引用文献1?4に記載された発明に基いて、請求項22,47に係る発明は、以下の引用文献1?6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特表2015-515621号公報
引用文献2:特開2008-8746号公報
引用文献3:特表2011-525284号公報
引用文献4:特開2003-5129号公報
引用文献5:特開2000-338264号公報
引用文献6:特開平6-99111号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和3年2月16日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

1 請求項1の記載について、以下の点が不明である。
「一端が画像センサ(7)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤ(1)から受け取ったまたは周囲環境から受け取った像を画像センサ(7)に伝える少なくとも第2の光ファイバー束」と記載されているが、請求項1には、「上面(2)が遮光性である」ことも記載されているところ、「上面(2)が遮光性である」場合、「第2の光ファイバー束」は、「周囲環境から受け取った像を画像センサ(7)に伝える」ことは不可能であるといえる。
そうすると、「他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された」「第2の光ファイバー束」が、「周囲環境から受け取った像を画像センサ(7)に伝える」ことが、技術的にどのようなことを意味するのか不明である。
上記の記載に加え、請求項1には「画像センサ(7)によって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する」とも記載されているが、「第2の光ファイバー束」が「周囲環境から受け取った像を画像センサ(7)に伝える」ことは不可能であるとすると、「周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する」とは、技術的にどのようなことを意味するのか不明である。

また、「弾性レイヤ(1)が、周囲環境に対向する少なくとも1つの上面(2)と、第1の光ファイバー束(6a)と第2の光ファイバー束(6b)とが接続される少なくとも1つの下面(3)を有し」と記載されているが、この記載には、「弾性レイヤ(1)」が有する「上面(2)」及び「下面(3)」のそれぞれについて、複数である場合が含まれるものと解される。
しかしながら、「弾性レイヤ(1)」が複数の「上面(2)」や複数の「下面(3)」を有することが、「弾性レイヤ(1)」において、どのような状態で複数の面が構成されていることを意味するのか、不明であり、また、「第1の光ファイバー束(6a)」及び「第2の光ファイバー束(6b)」が、それぞれ、複数の「下面(3)」に対してどのように「接続される」ことを意味するのか、不明である。

2 請求項27の記載について、以下の点が不明である。
「弾性レイヤ(1)が、周囲環境に対向する少なくとも1つの上面(2)と、第1の光ファイバー束(6a)と第2の光ファイバー束(6b)とが接続される少なくとも1つの下面(3)を有し」と記載されているが、請求項1と同様の点が不明である。

「弾性レイヤ(1)に印加された力および圧力が、上側レイヤ(2)の下側レイヤ(3)への接近の程度、へこんだ領域の面積、および弾性レイヤ(1)の弾性率に基づいて算出される」と記載されているが、「上側レイヤ(2)」、「下側レイヤ(3)」とは、それぞれ、何におけるどの範囲の部分を指しているのか不明であり、請求項27に別途記載されており括弧書きの番号が一致する、「上面(2)」、「下面(3)」との関係も不明である。

第4 本願発明
本願請求項1?51に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明51」という。)は、令和3年5月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?51に記載された事項により特定される発明であり、それらのうちの本願発明1,27は、以下のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
少なくとも1つの弾性レイヤ(1)と、
弾性レイヤ(1)の下に配置され、少なくとも1つの像(P)を生成する少なくとも1つの画像源(5)と、
弾性レイヤ(1)の下に配置された少なくとも1つの画像センサ(7)と、
一端が画像源(5)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、画像源(5)で生成された像(P)を弾性レイヤ(1)に伝える少なくとも第1の光ファイバー束(6a)と、
一端が画像センサ(7)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤ(1)から受け取った像を画像センサ(7)に伝える少なくとも第2の光ファイバー束(6b)と、
画像源(5)によって生成される像(P)を制御し、画像センサ(7)によって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する少なくとも1つの制御ユニットと、
画像源(5)と制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第1のデータリンク(8)と、
画像センサ(7)と制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第2のデータリンク(9)と、を有し、
弾性レイヤ(1)が、周囲環境に対向する1つの上面(2)と、第1の光ファイバー束(6a)と第2の光ファイバー束(6b)とが接続される1つの下面(3)を有し、
上面(2)が遮光性であり、
周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出することは、画像源(5)により
上面(2)に発生したパターンの変形に基づくものである、センシングシステム(S)。」

「【請求項27】
少なくとも1つの弾性レイヤ(1)と、
弾性レイヤ(1)の下に配置され、少なくとも1つの像(P)を生成する少なくとも1つの画像源(5)と、
弾性レイヤ(1)の下に配置された少なくとも1つの画像センサ(7)と、
一端が画像源(5)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、画像源(5)で生成された像(P)を弾性レイヤ(1)に伝える少なくとも第1の光ファイバー束(6a)と、
一端が画像センサ(7)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤ(1)から受け取ったまたは周囲環境から受け取った像を画像センサ(7)に伝える少なくとも第2の光ファイバー束(6b)と、
画像源(5)によって生成される像(P)を制御し、画像センサ(7)によって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する少なくとも1つの制御ユニットと、
画像源(5)と制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第1のデータリンク(8)と、
画像センサ(7)と制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第2のデータリンク(9)と、を有し、
弾性レイヤ(1)が、周囲環境に対向する1つの上面(2)と、第1の光ファイバー束(6a)と第2の光ファイバー束(6b)とが接続される1つの下面(3)を有し、
上面(2)が透明であり、
制御ユニットが、弾性レイヤ(1)に載置された物体の下面(3)への接近の程度を決定し、
弾性レイヤ(1)に印加された力および圧力が、上面(2)の下面(3)への接近の程度、へこんだ領域の面積、および弾性レイヤ(1)の弾性率に基づいて算出される、センシングシステム(S)。」

また、本願発明2?26、本願発明28?51は、それぞれ本願発明1、本願発明27を減縮した発明である。

第5 当審拒絶理由について
令和3年5月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲では、請求項1の記載において、「像」を「周囲環境から受け取」る旨の記載が削除され、「上面(2)」及び「下面(3)」について「少なくとも」との記載が削除され、末尾に、「周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出することは、画像源(5)により上面(2)に発生したパターンの変形に基づくものである」旨の記載が追加された。
また、同じく請求項27の記載において、「上面(2)」及び「下面(3)」について「少なくとも」との記載が削除され、「上側レイヤ(2)」、「下側レイヤ(3)」が、それぞれ「上面(2)」、「下面(3)」に変更された。
以上のことから、当審拒絶理由は解消した。

第6 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1(特表2015-515621号公報)
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0010】
オプトカプラは、エンコーダ回路や他の種類の電気的回路において電気的絶縁を形成するために使用されることの多いコンポーネントの1つである。オプトカプラは、通常又は赤外線の光源1と、光レセプタ2とを備える(図1)。オプトカプラには様々な種類がある。例えば、真又は偽の出力を意味する1/0タイプや、反射光の強度に比例した出力を行う別のタイプなどもある。後者のタイプのオプトカプラは、本発明で使用される。光源1によって照射されるビーム/レイ状の光3は障害物5で反射され、レセプタ2に達する。障害物とレセプタの間の距離4に応じて、それぞれ電圧が生じる。これより、電圧の変化を測定することで、距離4を測定することが可能となる。個々の光源とセンサのそれぞれの直径は数ミリメートルあるため、複数のオプトカプラを使用する場合、従来の設計では多くのスペースが必要になる。本発明の第1の目的は、オプトカプラを移動させる(move away)ことにより、少ない面積で多くのレセプタを配置できるようにすることである。直径が10マイクロメートルより小さい赤外線伝導性の光ファイバケーブル7は、光源1からの光を伝達する一方で、同じ特徴を持つ同等の光ファイバケーブル8は、反射光3をレセプタ2へ伝達する(図2)。光ファイバケーブルは、互いに平行に使用される場合でもノイズや摂動の効果がなく、また、ケーブルが屈曲又は捩れている場合でも効率的な光伝導性を有するといった特徴があるため、移動中の/移動可能なフィールドでの使用が容易である。現在の技術では、標準的な赤外線伝導性の光ファイバケーブルは、9マイクロメートルの直径を有する。計算によれば(円と円の間の損失領域の影響を考慮しても)1平方センチメートルあたり1.572.327個の光ファイバケーブルを配置することができる。光センサ/レセプタのそれぞれ1つあたりに1つの光源が必要である。図6の配列デザインにおいては、センサに光を伝達する光ファイバケーブル8のそれぞれは、光源からの光を届ける3つの光ファイバケーブル7に接する。これより、光を伝達する光ファイバケーブル7の数は、その他のケーブル8の数の4分の1である。互いに隣接している円の面積の損失と、光を伝達する光ファイバケーブル7の損失を考慮した場合、1平方センチメートル当たり約1.000.000個のレセプタが存在することになる。言い換えれば、変位を測定する点/ピクセルが1.000.000個存在することになる。
【0011】
必ずしも全てのレセプタ1が対応する光源11を必要とするわけではないが、測定点のそれぞれにおいて対応するレセプタ2が必要である。光ファイバケーブル7、8が受光エリアにおける寸法の問題を解決するにもかかわらず、システム全体の寸法が巨大であるという問題が生じる。しかし、本当の問題は寸法の問題よりもむしろ、数百万のデータの処理および取得にある。チャネルが1つである電圧計は1つのデータのみ読むことができ、チャネルが2つのオシロスコープは2つのデータを読むことができ、32アナログ入力データ取得カードは32のデータを読むことができる。このように、これらのオプションのいずれもコスト効率の良いものではなく、また、全てのデータを読み取る必要性に対する利便性のある答えに近いものではない。本発明によれば、上述の問題を克服するために、従来のウェブカメラや、類似のビデオカメラやデジタルカメラに用いられるCMOS又はCCDのセンサが利用される。このような種類のセンサ9の主な利点は、商品の解像度に応じて、数百万個の感知ピクセル10を含むことの特徴である(図3)。それぞれの感覚ピクセル10は、標準的な使用において1640万色を検出することができる。したがって、光の変化によって変位を正確に測定することができる。図4において、光源1とセンサ9の接続ロジックが簡単に説明される。これらの画像センサ9は、従来のウェブカメラを分解することにより容易に得ることができる。任意の高解像度Webカメラから分解された画像センサ(HD-1920*1080解像度=2.073.600ピクセル)は、ユニバーサルシリアルバス(USB)を通じて任意のコンピュータに接続可能であり、200万以上のインパルスをデジタルデータに変換することができる。センサ9の各ピクセル10を、対応する光ファイバケーブル8とペアリングさせることにより、画像処理技術によって座標と変位のレベルを正確に検出可能な単一のフォトフレーム上において、全ての光ビームをプロセッサに伝送することが保証される。今までの説明によれば、何百万のレセプタを小さな受信エリア内に低コストかつデータを正確に取得しながら配置することが保証される。また、これらの取得したデータを、メイン処理ユニットに1サイクルで送ることができる。しかし、これはまだ触覚センシングとしては十分でない。この時点では、発散および収束している対象物を高い解像度および感度により検知できるに過ぎず、システムは、外力およびその結果として生じる触覚的感覚を検知することはできない。さらに、接触が生じたときには、光源7とレセプタ8のビューはブロックされ、何も検出することができない。この問題を解決するために、弾性係数(ヤング率)の現象を用いる。弾性とは、バネと異なる対象物のバネ特性係数のようなものとして考えることもできる。対象物に力が付与されると、伸張(形状変形)が生じる。この変形は、対象物の構造が不可逆的に損傷されていない場合、付与された力に比例する。したがって、実行時のあるポイントで付与される力は(対象物の弾性係数が既知であれば)そのポイントでの形状変形量により計算することができる。当該システムでは、人間の触覚を模倣するために、光ファイバケーブルの先端を弾性領域と合体するように配置した剛体領域(rigid area)が存在しており、不必要なレベルの貫入を防ぐようにされている。人間の肉と同じ弾性を有する弾性材料12は層5により覆われている。層5は人間の皮膚を刺激し、周囲の環境を分離し、光の反射(図5)を保証する。したがって、図7に示すような貫入が生じると、弾性材12の厚みはこれらのポイント14で減少するため、その領域における反射光の強度は増加する(17)。その領域における対応するそれぞれの感覚ピクセル10は、光の強度を検出して、任意の画像処理技術を用いて貫入のレベルを取得する。貫入のレベルと材料12の弾性係数から、付与された力が算出される。トリガ済みのピクセルの数が計算された後、変形の面積が計算され、変形領域に加えられた力をその面積で割ることにより、圧力の値が得られる。ソフトウェアは、コンピュータ内に既に保存されている閾値と当該圧力レベルを比較することにより、ロボット又はデバイスの反応動作を決定する。」

「【図2】



「【図5】



上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、段落【0011】の「弾性材12」は「弾性材料12」の誤記と認められるので、その点を考慮している。

「必ずしも全てのレセプタ1が対応する光源11を必要とするわけではないが、測定点のそれぞれにおいて対応するレセプタ2が必要であり、光ファイバケーブル7、8が受光エリアにおける寸法の問題を解決するにもかかわらず、システム全体の寸法が巨大であるという問題が生じ、この問題を克服するために、CMOS又はCCDのセンサが利用され、このような種類のセンサ9は数百万個の感知ピクセル10を含み、センサ9の各ピクセル10を、対応する光ファイバケーブル8とペアリングさせることにより、画像処理技術によって座標と変位のレベルを正確に検出可能な単一のフォトフレーム上において、全ての光ビームをプロセッサに伝送し、対象物を高い解像度および感度により検知できるシステムであって、
弾性材料12は層5により覆われており、層5は光の反射を保証し、したがって、貫入が生じると、弾性材料12の厚みはこれらのポイント14で減少するため、その領域における反射光の強度は増加し、その領域における対応するそれぞれの感覚ピクセル10は、光の強度を検出して、任意の画像処理技術を用いて貫入のレベルを取得し、貫入のレベルと材料12の弾性係数から、付与された力が算出され、トリガ済みのピクセルの数が計算された後、変形の面積が計算され、変形領域に加えられた力をその面積で割ることにより、圧力の値が得られる、システム。」

2 引用文献2(特開2008-8746号公報)
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0027】
[A]本発明の構成
図1に本発明の触覚センサの一つの実施形態を示す。本発明に係る触覚センサは、透明弾性体1、実像としての画像パターン2、カメラ3から成る。センサ面となる透明弾性体の表面と空気との間の界面の屈折率分布に基づいて、透明弾性体の表面が柔軟な反射面(鏡面)4を構成する。柔軟な反射面4に対象物5が接触して変形を与えることで、反射面4が歪む。反射面4に映る像をカメラ3から観測することにより反射面4の変形を計測する。本発明の触覚センサは、光てこの原理と柔軟な反射面を組み合わせて用いるものである。光てことは、反射の特性を利用することにより、変位を拡大する手法のことである。本発明では、光てこを用いることにより反射面の変形を精度よく検出し、カメラの解像度を十分に活かすことができる触覚センサを構成した。
【0028】
触覚センサの構成をより具体的に説明する。図1では、触覚センサの本体は、透明弾性体1から構成されており、透明弾性体1は、第1面10、第2面11、第3面12の3つの面を備えたプリズムを形成している。第1面10、第2面11、第3面12は、透明弾性体1に外力が作用しない状態では、平面を形成している。第2面11と第3面12は、第2面11の一端縁と第3面12の一端縁とが直角に交わるように延出しており、第1面10は、第2面11の他端縁と第3面12の他端縁とを連結するように延出している。第2面11を通して透明弾性体1に入射される入射光は、反射面4を形成する第1面10で全反射されて、反射光として、第3面12から出射するように構成されている。第2面11に近接して画像パターン2が配設されている。画像パターン2は、第2面11に接触していてもよく、あるいは、画像パターン2は、間隔を存して第2面11に対向していてもよい。第3面12に対向してカメラ3が配設されている。」
「【0053】
[E?6]動的パターンによるフィードバック計測
画像パターンは静的な画像パターンに限定されるものではなく、動的な可変の画像パターンでもよい。例えば、画像パターンを液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)を用いて生成することで、フィードバックを用いた計測が可能になる。すなわち、反射面の変形に伴う画像パターンの虚像の歪みをなくすようにもとの画像パターンを表示させることで零位法を用いた計測を可能にする。」

「【図1】



(2)上記(1)から、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「透明弾性体1、実像としての画像パターン2、カメラ3から成る触覚センサであって、
センサ面となる透明弾性体の表面と空気との間の界面の屈折率分布に基づいて、透明弾性体の表面が柔軟な反射面(鏡面)4を構成し、柔軟な反射面4に対象物5が接触して変形を与えることで、反射面4が歪み、反射面4に映る像をカメラ3から観測することにより反射面4の変形を計測し、
透明弾性体1は、第1面10、第2面11、第3面12の3つの面を備えたプリズムを形成しており、
第2面11を通して透明弾性体1に入射される入射光は、反射面4を形成する第1面10で全反射されて、反射光として、第3面12から出射するように構成され、第2面11に近接して画像パターン2が配設されており、第3面12に対向してカメラ3が配設されており、
画像パターンは、動的な可変の画像パターンでもよく、画像パターンを液晶ディスプレイを用いて生成する、触覚センサ。」

第7 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「システム」は「センサ9」を含むシステムであるから、後述する相違点を除き、引用発明と本願発明の「センシングシステム(S)」とは、「センシングシステム」である点で共通している。

(イ)引用発明の「少なくとも1つの弾性レイヤ」と「弾性材料12」とは、「1つの弾性レイヤ」である点で一致している。

(ウ)引用発明は図5に対応しており、同図の上下を逆に見た場合、引用発明の「光源11」は「弾性材料12」の「下に配置され」ているといえる。
一方、画像は光であるから、本願発明1の「画像源(5)」は光の発生源である。
したがって、引用発明の「光源11」と、本願発明1の
「弾性レイヤ(1)の下に配置され、少なくとも1つの像(P)を生成する少なくとも1つの画像源(5)」
とは、上記(ア)も踏まえると、
「弾性レイヤの下に配置された、光源」
である点で共通している。

(エ)引用発明の「センサ9」は「各ピクセル10」から構成されるものであるから、複数であり、「CMOS又はCCDのセンサが利用され」るから、本願発明1の「少なくとも1つの画像センサ(7)」と、「複数の画像センサ」である点で一致している。
また、引用発明の「センサ9」は、上記(ウ)の「光源11」と同様に、「弾性材料12」の「下に配置され」ているといえる。

(オ)上記(イ)?(エ)から、引用発明と本願発明1とは、
「1つの弾性レイヤと、
弾性レイヤの下に配置された、光源と、
弾性レイヤの下に配置された複数の画像センサと、」
を有する点で共通している。

(カ)図5において、一端が「光ファイバケーブル7」き、他端が「弾性材料12」に向いているものとして示されている、引用発明の「光ファイバケーブル7」は、「光源11」と「ペア」をなしているといえる。
また、引用発明の「弾性材料12は層5により覆われており、層5は光の反射を保証」するとの構成は、「光ファイバケーブル7」が「光源11」からの光を「弾性材料12」に伝えることで、「弾性材料12」を覆う「層5」における「光の反射」が発生するというものであることが明らかである。
また、ここで、「光ファイバケーブル7」と、本願発明1の「第1の光ファイバー束(6a)」とは、「第1の光ファイバー」である点で共通している。
したがって、上記(イ)、(ウ)も踏まえると、本願発明1の
「一端が画像源(5)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、画像源(5)で生成された像(P)を弾性レイヤ(1)に伝える少なくとも第1の光ファイバー束(6a)」
との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、
「一端が光源とペアをなして他端が弾性レイヤに向くように配置され、光源で生成された光を弾性レイヤに伝える少なくとも第1の光ファイバー」
を有する点で共通している。

(キ)引用発明は、
「センサ9は数百万個の感知ピクセル10を含み、センサ9の各ピクセル10を、対応する光ファイバケーブル8とペアリングさせることにより、画像処理技術によって座標と変位のレベルを正確に検出可能な単一のフォトフレーム上において、全ての光ビームをプロセッサに伝送し、対象物を高い解像度および感度により検知できる」
との構成及び
「弾性材料12は層5により覆われており、層5は光の反射を保証し、したがって、貫入が生じると、弾性材12の厚みはこれらのポイント14で減少するため、その領域における反射光の強度は増加し、その領域における対応するそれぞれの感覚ピクセル10は、光の強度を検出」する
との構成を含み、また、図5において、「光ファイバケーブル8」は、一端が「センサ9」に向き、他端が「弾性材料12」に向いているものとして示されている。
ここで、「光ファイバケーブル8」は、「弾性材料12」から「反射光」を「像」として受け取って、「感覚ピクセル10」が「光の強度を検出」するために「センサ9」に伝えることが明らかであり、また、「数百万個の感知ピクセル10」の「各ピクセル10」と「ペアリングさせ」ているから、「光ファイバケーブル8」は、複数であるといえ、本願発明1の「複数の光ファイバーケーブル」を「有」する「第2の光ファイバー束(6b)」に相当する。
また、「数百万個の感知ピクセル10」と、本願発明1の「少なくとも1つの画素」とは、「複数の画素」という点で一致している。
以上の点について上記(イ)、(エ)も踏まえると、本願発明1の
「一端が画像センサ(7)の少なくとも1つの画素とペアをなして他端が弾性レイヤ(1)に向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤ(1)から受け取った像を画像センサ(7)に伝える少なくとも第2の光ファイバー束(6b)」
との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、
「一端が画像センサの複数の画素とペアをなして他端が弾性レイヤに向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤから受け取った像を画像センサに伝える少なくとも第2の光ファイバー束」
を有する点で一致している。

(ク)上記(キ)で述べた引用発明の構成において、「反射光」は、「センサ9」によって「像」として「捕捉」されるといえる。
また、「画像処理技術によって座標と変位のレベルを正確に検出可能な単一のフォトフレーム上において、全ての光ビームをプロセッサに伝送し、対象物を高い解像度および感度により検知できる」ことは、「対象物」が「弾性材料12」の「貫入」を生じさせた状態で、上記「像」を、「プロセッサ」が「画像処理技術」を用いて「解析」することにより行われること、及び、「センサ9」と「プロセッサ」との間に、データ通信を行うための「データリンク」が存在すること、がそれぞれ明らかである。
ここで、「対象物」は、引用発明の「システム」の外部の「周囲環境」中のものであって、「プロセッサ」は、それについての「少なくとも1つのデータを検出する」といえ、本願発明1の「少なくとも1つの制御ユニット」と、「制御ユニット」である点で一致している。
以上の点について上記(エ)も踏まえると、本願発明1の
「画像源(5)によって生成される像(P)を制御し、画像センサ(7)によって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する少なくとも1つの制御ユニット」
との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、
「画像センサによって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する制御ユニット」
を有する点で共通しており、また、引用発明と本願発明1とは、
「画像センサと制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第2のデータリンク」
を有する点で一致している。

(ケ)上記(ウ)、(エ)で検討した引用発明の配置の関係、及び上記(カ)、(キ)で述べた図5が示す内容から、「弾性材料12」は「1つの上面」と、「光ファイバケーブル7」と「光ファイバケーブル8」とが「接続」される「1つの下面」を有するといえる。また、ここで、「1つの上面」は、上記(ク)で述べた「周囲環境」に「対向する」といえる。
以上の点について上記(イ)、(カ)、(キ)も踏まえると、本願発明1の
「弾性レイヤ(1)が、周囲環境に対向する1つの上面(2)と、第1の光ファイバー束(6a)と第2の光ファイバー束(6b)とが接続される1つの下面(3)を有」する
との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、
「弾性レイヤが、周囲環境に対向する1つの上面と、第1の光ファイバーと第2の光ファイバー束とが接続される1つの下面を有」する
点で共通している。

イ したがって、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。
(一致点)
「1つの弾性レイヤと、
弾性レイヤの下に配置された、光源と、
弾性レイヤの下に配置された複数の画像センサと、
一端が光源とペアをなして他端が弾性レイヤに向くように配置され、光源で生成された光を弾性レイヤに伝える少なくとも第1の光ファイバーと、
一端が画像センサの複数の画素とペアをなして他端が弾性レイヤに向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤから受け取った像を画像センサに伝える少なくとも第2の光ファイバー束と、
画像センサによって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する制御ユニットと、
画像センサと制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第2のデータリンクと、を有し、
弾性レイヤが、周囲環境に対向する1つの上面と、第1の光ファイバーと第2の光ファイバー束とが接続される1つの下面を有する、
センシングシステム。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「少なくとも1つの像(P)を生成する少なくとも1つの画像源(5)」を有するのに対し、引用発明は「光源11」を有するものの、それは「少なくとも1つの像(P)を生成する」ものとは特定されない点。
また、それに伴い、本願発明1では、「第1の光ファイバー束(6a)」が有する「複数の光ファイバーケーブル」の「一端」が「画像源(5)の少なくとも1つの画素」と「ペアをなして」いるのに対し、引用発明では、「光ファイバケーブル7」が「光源11」とペアをなしている点。

(相違点2)
本願発明1では、「第1の光ファイバー」が、「複数の光ファイバーケーブル」を有する「第1の光ファイバー束(6a)」であるのに対し、引用発明では、「光ファイバケーブル7」が「複数の光ファイバーケーブル」を有する「束」であるとは特定されない点。

(相違点3)
相違点1に関連して、本願発明1では、「制御ユニット」が「画像源(5)によって生成される像(P)を制御」するものであるとともに、本願発明1は「画像源(5)と制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第1のデータリンク(8)」を有するものであるのに対し、引用発明では、「プロセッサ」はそのような制御を行うものではなく、「光源11」との間にデータ通信用の手段を有するものでもない点。

(相違点4)
本願発明1の「弾性レイヤ(1)」は、その「上面(2)」が「遮光性」のものであるのに対し、引用発明の「弾性材料12」はそのような特性のものではない点。

(相違点5)
本願発明1では、「周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する」ことが、画像源(5)により上面(2)に発生したパターンの変形に基づくものである」のに対し、引用発明では、「対象物を高い解像度および感度により検知」することが、「貫入が生じると、弾性材12の厚みはこれらのポイント14で減少するため、その領域における反射光の強度は増加」することに基づくものである点。

(2)判断
相違点1,3,5は、いずれも「画像源(5)」に関するものである点で共通していることから、まとめて検討する。
引用文献2記載事項において、「液晶ディスプレイ」は、本願発明1の「画像源(5)」に相当し、これを用いて「動的な可変の画像パターン」を「生成する」ことは、本願発明1の「画像源(5)によって生成される像(P)を制御」することに相当するといえる。
また、引用文献2記載事項の「センサ面となる透明弾性体の表面と空気との間の界面の屈折率分布に基づいて、透透明弾性体の表面が柔軟な反射面(鏡面)4を構成し、柔軟な反射面4に対象物5が接触して変形を与えることで、反射面4が歪み、反射面4に映る像をカメラ3から観測することにより反射面4の変形を計測」するとの構成において、「反射面4に映る像」は、「反射面4が歪」むことに従って変形するものと解され、この変形は本願発明1の「上面(2)に発生したパターンの変形」に相当するといえる。
しかしながら、引用発明に引用文献2記載事項を適用することにつき、動機付けが存在するとは認められない。
引用文献2記載事項における、「柔軟な反射面4に対象物5が接触して変形を与えることで、反射面4が歪み、反射面4に映る像をカメラ3から観測することにより反射面4の変形を計測」することは、「透明弾性体1は、第1面10、第2面11、第3面12の3つの面を備えたプリズムを形成して」いることや、「第2面11を通して透明弾性体1に入射される入射光は、反射面4を形成する第1面10で全反射されて、反射光として、第3面12から出射するように構成され」ていることを利用したものと解され、引用文献2記載事項からそれらの構成を切り離して、「動的な可変の画像パターン」を「生成する」「液晶ディスプレイ」及び「反射面4の変形を計測」することを引用発明に適用することについて、引用文献1及び引用文献2に接した当業者が動機付けられるとはいえない。
また、仮に、引用発明に、「透明弾性体1は、第1面10、第2面11、第3面12の3つの面を備えたプリズムを形成して」いる等の構成を含めて引用文献2記載事項を適用する動機付けが存在するとしても、適用した場合、引用発明における、本願発明1の「第1の光ファイバー束(6a)と第2の光ファイバー束(6b)とが接続される1つの下面(3)を有」することに相当する構成が失われる(「1つの下面」を有しない)こととなり、本願発明1の構成には至らない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明27について
(1)対比
ア 本願発明27と引用発明とを対比すると、上記1(1)ア(ア)?(ケ)で述べたことが概ね本願発明27にも当てはまる。
また、引用発明における「貫入のレベルを取得」することは、本願発明27の「弾性レイヤ(1)に載置された物体の下面(3)への接近の程度を決定」することに相当し、引用発明における「貫入のレベルと材料12の弾性係数から、付与された力が算出され、トリガ済みのピクセルの数が計算された後、変形の面積が計算され、変形領域に加えられた力をその面積で割ることにより、圧力の値が得られる」ことは、本願発明27の「弾性レイヤ(1)に印加された力および圧力が、上面(2)の下面(3)への接近の程度、へこんだ領域の面積、および弾性レイヤ(1)の弾性率に基づいて算出される」することに相当する。

イ したがって、本願発明27と引用発明とは以下の点で一致する。
(一致点)
「1つの弾性レイヤと、
弾性レイヤの下に配置された、光源と、
弾性レイヤの下に配置された複数の画像センサと、
一端が光源とペアをなして他端が弾性レイヤに向くように配置され、光源で生成された光を弾性レイヤに伝える少なくとも第1の光ファイバーと、
一端が画像センサの複数の画素とペアをなして他端が弾性レイヤに向くように配置された複数の光ファイバーケーブルを有し、弾性レイヤから受け取った像を画像センサに伝える少なくとも第2の光ファイバー束と、
画像センサによって捕捉された像を画像処理技術を用いて解析し、周囲環境についての少なくとも1つのデータを検出する制御ユニットと、
画像センサと制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第2のデータリンクと、を有し、
弾性レイヤが、周囲環境に対向する1つの上面と、第1の光ファイバーと第2の光ファイバー束とが接続される1つの下面を有し、
制御ユニットが、弾性レイヤに載置された物体の下面への接近の程度を決定し、
弾性レイヤに印加された力および圧力が、上面の下面への接近の程度、へこんだ領域の面積、および弾性レイヤの弾性率に基づいて算出される、センシングシステム。」

ウ また、本願発明27と引用発明とは以下の点で相違する。
(相違点6)
本願発明27は、「少なくとも1つの像(P)を生成する少なくとも1つの画像源(5)」を有するのに対し、引用発明は「光源11」を有するものの、それは「少なくとも1つの像(P)を生成する」ものとは特定されない点。
また、それに伴い、本願発明27では、「第1の光ファイバー束(6a)」が有する「複数の光ファイバーケーブル」の「一端」が「画像源(5)の少なくとも1つの画素」と「ペアをなして」いるのに対し、引用発明では、「光ファイバケーブル7」が「光源11」とペアをなしている点。

(相違点7)
本願発明27では、「第1の光ファイバー」が、「複数の光ファイバーケーブル」を有する「第1の光ファイバー束(6a)」であるのに対し、引用発明では、「光ファイバケーブル7」が「複数の光ファイバーケーブル」を有する「束」であるとは特定されない点。

(相違点8)
相違点6に関連して、本願発明27では、「制御ユニット」が「画像源(5)によって生成される像(P)を制御」するものであるとともに、本願発明1は「画像源(5)と制御ユニットとの間におけるデータ通信用の少なくとも第1のデータリンク(8)」を有するものであるのに対し、引用発明では、「プロセッサ」はそのような制御を行うものではなく、「光源11」との間にデータ通信用の手段を有するものでもない点。

(相違点9)
本願発明27の「弾性レイヤ(1)」は、その「上面(2)」が「透明」のものであるのに対し、引用発明の「弾性材料12」はそのような特性のものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点9について先に検討する。
本願明細書の「本発明の別例の実施の形態において、上側レイヤ(2)は透明である(光が通過する)。」(【0019】)との記載を参酌すると、本願発明27の「上面(2)が透明であ」るとは、上面(2)において光が通過することを意味するものと解される。
一方、引用発明は、「弾性材料12は層5により覆われており、層5は光の反射を保証」するとの構成を備えていることから、光が通過しないものであり、通過するものとした場合「光の反射を保証」することはできなくなるから、「弾性材料12」の「上面」を「透明」とすることには阻害要因があるといえる。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明27は、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明2?26,28?51について
本願発明2?26、本願発明28?51は、それぞれ本願発明1、本願発明27を減縮した発明であるから、本願発明1,27と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 小括
以上のとおりであるから、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-08-10 
出願番号 特願2018-559883(P2018-559883)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 林 毅
富澤 哲生
発明の名称 マルチファンクションセンシングシステム  
代理人 岡部 博史  
代理人 山尾 憲人  
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