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審決分類 審判 査定不服 判示事項別分類コード:122 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1377278
審判番号 不服2020-14912  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-27 
確定日 2021-08-19 
事件の表示 特願2019- 87914「端末装置、情報処理方法、プログラム及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月12日出願公開、特開2019-154061〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月20日に出願した特願2014-127509号の一部を令和元年5月7日に新たな特許出願としたものであって、同年12月24日付けで拒絶理由が通知され、令和2年3月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年3月19日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年5月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同2年7月15日付けで、同年5月25日付けの手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 令和2年10月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年10月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「【請求項1】
ネットワークに対し検索要求を送出することで前記ネットワークから受ける検索結果に基づく操作者の操作により前記ネットワークを介して取得した、所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む前記サービスのためのプログラムを実行することで、前記識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御し、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否か判断し、前記識別情報の前記使用終了条件が満たされない場合に、前記所定域内における呼び出しに係る表示を含む前記サービスに係る表示に基づく操作者の操作により、前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行うよう制御し、前記識別情報の使用終了条件が満たされる場合に、前記サービスが前記所定域のみで提供されるために前記識別情報の使用を停止するよう制御する制御部、
を備え、
前記識別情報の使用終了条件が前記所定域に設けられた前記無線設備と通信可能な範囲内でないことである、端末装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和2年3月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
所定域で提供されるサービスのための識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御し、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否か判断し、前記識別情報の前記使用終了条件が満たされない場合に前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行うよう制御し、前記識別情報の使用終了条件が満たされる場合に前記識別情報の使用を停止するよう制御する制御部、
を備える、端末装置。」


2.補正の適否
上記補正は、以下の(ア)?(ウ)の限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(ア)「所定域で提供されるサービスのための識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御」が、「ネットワークに対し検索要求を送出することで前記ネットワークから受ける検索結果に基づく操作者の操作により前記ネットワークを介して取得した、所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む前記サービスのためのプログラムを実行すること」で行われること。
(イ)「前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行う」、「制御」が、「前記所定域内における呼び出しに係る表示を含む前記サービスに係る表示に基づく操作者の操作により」行われるものであること。
(ウ)「前記識別情報の使用を停止するよう制御する」ことが、「前記サービスが前記所定域のみで提供されるために」行われること。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)補正後発明
補正後発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献及び引用発明
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された国際公開第2013/047093号(国際公開日:平成25年4月4日)(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与。)。

(ア)「[0024] <1.ID管理システムの概略的な構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るID管理システム1の概略的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るID管理システム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図1を参照すると、ID管理システム1は、構内交換機100(以下、PBX(Private Branch eXchange)100)および利用者端末200を含む。本実施形態においてPBX100は、ID管理装置の一例である。

[0025] (PBX100)
PBX100は、所定の区域90(以下、区域90)内に位置する利用者端末200とネットワーク20を介して通信する交換機である。図1を参照すると、当該区域90は、例えば家電量販店の敷地であり、例えば店舗93と事務所95とを含む。また、店舗93および事務所95には、利用者端末200を有する利用者10が位置する。なお、ネットワーク20は、例えば、LAN(Local Area Network)であり、利用者端末200により、有線で接続され、または無線LANアクセスポイントを介して無線で接続される。」

(イ)「[0029] (利用者端末200)
利用者端末200は、利用者10により使用される通信装置である。利用者端末200は、ネットワーク20に有線または無線で接続することができる。利用者端末200は、一例として、スマートフォンである。利用者端末200は、スマートフォンである場合に、通信事業者のネットワークを介した通信で使用できる、電話番号、メールアドレス等の固定的な識別情報(以下、固定ID)を有してもよい。つまり、当該固定IDは、PSTNで使用される識別情報といえる。なお、利用者端末200は、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、表示装置、チップセット(Chipset)、ボタンデバイス、電源回路、電池、スピーカーデバイス、マイクデバイス、PSTN通信デバイス、無線LANデバイス、外部接続端子およびそれぞれをつなぐバス(bus)等で構成されてもよい。また、利用者端末200は、補助記憶装置で、OS(Operating System)やVM(virtual machine)等のさまざまな電子情報を記憶してもよい。さらに、利用者端末200は、カメラデバイスやSIM(Subscriber Identity Module)カードやSIMカードインタフェース等を有してもよい。」

(ウ)図1は、次のとおりである。



(エ)「[0040] <2.第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。本発明の第1の実施形態によれば、利用者10の匿名性を保ちつつ利用者端末200によるAPサービスのための通信が可能になる。より具体的には、区域90内で提供されるAPサービスの通信のための識別情報(以下、ワンタイムID)が利用者端末200に発行される。当該ワンタイムIDは、所定の条件下で一時的に使用することができ、利用者端末200は、当該ワンタイムIDを使用してAPサービスのための通信を行う。

[0041] 以下では、第1の実施形態を<2-1.PBXの構成>、<2-2.利用者端末の構成>、<2-3.処理の流れ>という順序で説明する。

[0042] <2-1.PBXの構成>
図2および図3を参照して、第1の実施形態に係るPBX100-1の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係るPBX100-1の構成の一例を示すブロック図である。図2を参照すると、PBX100-1は、APサービス管理部110、ID管理部120、APサービス提供部130および通信部140を備える。

[0043] (APサービス管理部110)
APサービス管理部110は、APサービス提供部による利用者端末200へのAPサービスの提供に関する各種制御を行う。当該APサービス管理部110は、アプリケーションデータベース111(以下、AP DB111)、配布部113、および判定部115を含む。

[0044] (AP DB111)
AP DB111は、区域90内で提供されるAPサービスのリストを記憶する。より具体的には、AP DB111は、例えば、上記スタッフ呼出しサービス、クーポン配布サービス、ポイント付与サービス等の各APサービスを示す情報のリストを記憶する。なお、AP DB111は、各APサービスを提供可能な利用者10の種類(顧客、店舗スタッフ、事務スタッフ等)を併せて記憶してもよい。より具体的には、AP DB111は、例えば、顧客、店舗スタッフおよび事務スタッフが利用可能なAPサービスをスタッフ呼出しサービス、顧客が利用可能なAPサービスをクーポン配布サービス、顧客および事務スタッフが利用可能なAPサービスをポイント付与サービスと記憶してもよい。

[0045] また、AP DB111は、上記APサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェアを記憶する。当該ソフトウェアは、例えばアプリケーションソフトウェアである。一例として、APサービスが上記スタッフ呼出しサービスである場合に、当該ソフトウェア(スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェア)は、顧客である利用者10aの現在位置と店舗スタッフである利用者10b、10cの現在位置とが示された店舗93のフロアマップを、利用者端末200aのディスプレイ上に表示する。そして、当該ソフトウェアは、フロアマップ上に示されたいずれかの店舗スタッフが選択されると、当該店舗スタッフである利用者10bまたは10cの利用者端末200bまたは200cを呼び出す。」

(オ)「[0061] (判定部115)
判定部115は、ID管理部120により発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否かを継続的に判定する。より具体的に、判定部115は、利用者端末200(AP管理部220)から上記使用終了の条件に関連する情報を随時または定期的に取得し、またAPサービス提供部130からのサービス提供停止の通知を随時取得する。そして、判定部115は、取得結果に基づいて、上記使用終了の条件が満たされるか否かを随時または定期的に判定する。」

[0062] このような継続的な使用終了の条件の判定により、当該使用終了条件が満たされたことを素早く知ることができる。その結果、不要なまたは不当なAPサービスの提供を素早く停止することが可能になる。また、未使用であるにも関わらず、ID管理部120により発行されたワンタイムIDが使用中の状態が継続することを、回避することができる。

[0063] なお、ここでのID管理部120により発行されるワンタイムIDおよび当該ワンタイムIDの使用終了の条件については、ID管理部120に関連して後に説明する。

[0064] また、判定部115は、例えば、ID管理部120により発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる場合に、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを削除するように、当該ワンタイムIDを発行された利用者端末200を制御する。より具体的には、判定部115は、上記使用終了の条件が満たされた場合に、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアの停止および削除を要求するAP削除要求を、通信部140を介して利用者端末200に送信する。」

(カ)[0072] (ID DB121)
ID DB121は、ワンタイムIDの使用状況を記憶する。当該使用状況は、ワンタイムIDが使用中であるか未使用であるかの判断を可能にする情報である。このようなワンタイムIDの使用状況が記憶されることで、どのワンタイムIDを発行してもよいかを知ることができる。

[0073] また、ID DB121は、例えば、ワンタイムIDの属性も併せて記憶する。当該ワンタイムIDの属性は、例えば、ワンタイムIDの使用期限、ワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(以下、使用範囲)、またはワンタイムIDを発行される利用者端末200の利用者10の種類を含む。ここで、ワンタイムIDの属性とは、ワンタイムIDの利用条件を定める情報要素である。ワンタイムIDは、所定の条件下で一時的に使用できるものであって、所定の条件は、使用期限、使用範囲および利用者の種類の属性の組み合わせで決定される。

[0074] 使用範囲は、店舗、事務所等の、ワンタイムIDが使用可能である位置であってもよい。または、使用範囲は、ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)であってもよい。また、使用範囲は、不特定の者が存在する区域(例えば顧客の利用者10a、店舗スタッフの利用者10b、10cが存在する店舗93)や特定の者が存在する区域(例えば事務スタッフである利用者10dが存在する事務所95)であってもよい。」

(キ)「[0125] (ID更新部125)
ID更新部125は、未使用のワンタイムIDが発行されると、当該ワンタイムIDが使用中であることを示すように、ID DB121に記憶されるワンタイムIDの使用状況を更新する。より具体的には、ID更新部125は、例えば、ID発行部123が発行したワンタイムIDについて、ID DB121のID管理テーブル122の使用可否フラグを「未使用」から「使用中」に更新する。

[0126] また、ID更新部125は、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされると、当該ワンタイムIDが未使用であることを示すように、ID DB121に記憶されるワンタイムIDの使用状況を更新する。より具体的には、例えば、判定部115が、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされると判定すると、ID更新部125は、判定部115から、当該ワンタイムIDについての更新を要求される。そして、ID更新部125は、当該ワンタイムIDについて、ID DB121のID管理テーブル122の使用可否フラグを「使用中」から「未使用」に更新する。

[0127] このように、ワンタイムIDが発行されると、当該ワンタイムIDが使用中であることを示し、ワンタイムIDが未だ発行されず、または使用終了の条件が満たされてワンタイムIDが使用されなくなると、当該ワンタイムIDが未使用であることを示すように、ワンタイムIDの使用状況が更新される。その結果、当該ワンタイムIDの使用状況から、未使用であるワンタイムIDを正確に特定することが可能となり、既に発行された使用中のワンタイムIDがID発行部123により重複して発行されることを回避できる。すなわち、ID発行部123によるワンタイムIDの発行の有効性を担保できる。

[0128] 上記使用終了の条件は、例えば、発行されたワンタイムIDの使用期限が経過している(第1終了条件)こと、または、発行されたワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(使用範囲)に当該ワンタイムIDを使用する利用者端末200が位置しない(第2終了条件)ことを含む。判定部115は、例えば、ID DB121のID管理テーブル122を参照すれば、各ワンタイムIDの使用期限または使用範囲を知ることができ、当該使用期限または使用範囲に基づき判定できる。

[0129] このような使用終了条件によれば、使用期限が経過し、またはワンタイムIDが使用範囲で使用されない場合(店舗を離れた場合、電源が切れた場合、等)に、ワンタイムIDの使用が停止される。そして、使用が停止されたワンタイムIDの使用状況が未使用に更新される。すなわち、第1終了条件および第2終了条件によって、特定の期限または特定の場所でのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。」

(ク)「[0132] なお、上記使用終了の条件は、ワンタイムIDの使用の停止が要求されることを含んでもよい。例えば、利用者端末またはAPサービス管理部120のうちのいずれか一方から他方にワンタイムIDの使用の停止が要求される。」

(ケ)「[0169] <2-2.利用者端末の構成>
次に、図4を参照して、第1の実施形態に係る利用者端末200の構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る利用者端末200の構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、利用者端末200は、アプリケーション部210(以下、AP部210)、アプリケーション管理部220(以下、AP管理部220)、および通信部230を備える。

[0170] (AP部210)
AP部210は、APサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェアを実行する。より具体的には、AP部210は、例えば、APサービスに関する利用者端末200側での処理を実行し、当該APサービスを利用するために、通信部230を介してPBX100-1と通信する。ここで、AP部210は、PBX100-1(発行部123)からワンタイムIDを発行されるので、発行される当該ワンタイムIDを使用してAPサービスの通信を行う。すなわち、AP部210は、PBX100-1または別の利用者端末にデータを送信する場合に、当該データの送信元として発行されたワンタイムIDも併せて送信する。また、AP部210は、別の利用者端末200にデータを送信する場合に、PBX100-1のゲートキーパ機能に、ワンタイムIDからIPアドレスへの変換を依頼し、当該別の利用者端末200のIPアドレスを取得する。そして、AP部210は、取得したIPアドレスを宛先として上記別の利用者端末200にデータを送信する。また、AP部210は、別の利用者端末200からデータを受信する場合に、当該別の利用者端末200のワンタイムIDを受信し、当該データの送信元を当該ワンタイムIDにより識別する。

[0171]AP部210の処理の具体例は、(APサービス提供部130)において説明された利用者端末10側の処理として説明されたとおりである。

[0172] また、AP部210は、例えば、PBX100-1からAPサービスの提供の停止が要求される場合に、APサービスの利用を停止する。また、AP部210は、例えば、利用者10による操作に応じてAPサービスの提供の停止をPBX100-1に要求し、APサービスの利用を停止する。なお、AP部210は、これらの要求があったことをAP管理部220に通知してもよい。

[0173] (AP管理部220)
AP管理部220は、利用者端末200が区域90内に入る場合に、当該区域90内で提供されるAPサービスの検索をPBX100-1に要求し、APサービスの検索結果を取得する。より具体的には、利用者端末200が区域90内に入ると、通信部230はネットワーク20への接続を確立する。通信部230は、例えば、公衆無線LANへの接続と同様の手法により接続を確立する。接続確立後に、AP管理部220は、利用者端末200のディスプレイ(図示せず)上にAPサービスの検索を行うか否かを選択するための画面を表示する。そして、APサービスの検索を行うことが選択されれば、AP管理部220は、通信部230を介して、APサービス検索要求をPBX100-1に送信する。その後、AP管理部220は、APサービスの検索結果を受信する。

[0174] また、AP管理部220は、APサービスの利用の開始をPBX100-1に要求する。より具体的には、AP管理部220は、APサービスの検索結果を受信すると、APサービスに関する情報を利用者端末200のディスプレイ上に表示する。ここで、利用者10により、APサービスを利用することが選択され、または複数のAPサービスのうちのいずれかのAPサービスが選択されると、AP管理部220は、選択結果に応じたサービス利用開始要求をPBX100-1に送信する。

[0175] ここでのサービス利用開始要求の送信において、AP管理部220は、位置情報、行動情報等の利用者端末200に関連する情報のAPサービスでの利用可否を示す情報を併せて送信してもよい。また、AP管理部220は、利用者端末200の利用者10の種類、発行されるワンタイムIDの使用期限、発行されるワンタイムIDの使用範囲等の、ワンタイムIDの属性を示す情報を併せて送信してもよい。

[0176] また、AP管理部220は、例えば、APサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェアを配布され、当該ソフトウェアを起動する。より具体的には、例えば、APサービスにおいて利用者端末200で動作させる利用者端末用のソフトウェアが、PBX100-1から利用者端末200に送信される。AP管理部220は、利用者端末用のソフトウェアを受信すると、AP管理部220内あるいは利用者端末200内の記憶領域(主記憶装置または補助記憶装置)に当該ソフトウェアを記憶し、そして当該ソフトウェアを起動させる。例えば、当該ソフトウェアがスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアである場合、AP管理部220は、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアをAP部210に実行させ起動させる。」

(コ)「[0179] また、AP管理部220は、例えば、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件に関連する情報をPBX100-1(判定部115)に随時または定期的に提供する。ここで、位置情報、行動情報等の利用者端末200に関連する情報がAPサービスで利用可能である場合に、AP管理部220は、当該情報をPBX100-1(判定部115)に併せて提供する。なお、利用者端末200が上記使用終了の条件を自ら判定する場合には、AP管理部220は、PBX100-1(判定部115)から使用終了の条件に関連する情報を取得してもよい。

[0180] また、AP管理部220は、例えば、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる場合に、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを削除する。より具体的には、例えば、AP管理部220は、上記利用者端末用のソフトウェアの停止および削除を要求するAP削除要求をPBX100-1(判定部115)から受信すると、当該利用者端末用のソフトウェアを停止し、利用者端末200から削除する。なお、AP管理部220は、AP部210に当該利用者端末用のソフトウェアの実行を止めさせることで停止する。なお、AP管理部220は、AP管理部220内あるいは利用者端末200内の記憶領域に記憶した当該利用者端末用のソフトウェアを削除する。また、AP管理部220は、使用終了の条件が満たされるか否かを自ら判定し、当該判定結果に応じて上記利用者端末用のソフトウェアを停止し、利用者端末200から削除してもよい。」

(サ)「[0186] より具体的には、例えば、利用者端末用のソフトウェアがスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアである場合、まず、AP管理部220は、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアをAP部210に実行させ起動させる。つづいて、AP部210(スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェア)は、PBX100-1(発行部123)からワンタイムIDを発行される。ここで、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが、主記憶装置内に動的メモリ確保した記憶領域にワンタイムIDを記憶させる。あるいはスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが、補助記憶装置内に一時ファイルを生成しワンタイムIDを記憶させる。その後、AP管理部220が、利用者端末用のソフトウェアを停止し、削除する際、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが動的メモリ確保した記憶領域や一時ファイルも削除する。このようにすることで、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアおよびスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが確保した記憶領域に格納されたワンタイムIDが削除できる。
[0187] さらに、AP管理部220は、起動した利用者端末用のソフトウェアが確保した記憶領域を削除する際、APサービス提供部130に問合せて削除方法を取得し、取得した削除方法で利用者端末用のソフトウェアを削除してもよい。」

(シ)図4は、次のとおりである。



(ス)「[0190] <2-3.処理の流れ>
次に、図5および図6を参照して、第1の実施形態に係るID管理処理の第1の例および第2の例について説明する。

[0191] (ID管理処理の第1の例)
図5は、第1の実施形態に係るにおけるID管理処理の概略的な流れの第1の例を示すフローチャートである。当該第1の例は、利用者端末200から受信した情報に基づき、使用終了の条件が満たされると判定される例である。

[0192] まず、ステップS401では、利用者端末200のAP管理部220は、区域90内で提供されるAPサービスの検索をPBX100-1に要求する。これに応じて、ステップS403で、PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)は、区域90内で提供されるAPサービスを検索し、検索結果を利用者端末200に送信する。

[0193] 次に、ステップS405では、利用者端末200のAP管理部220は、APサービスの利用の開始をPBX100-1に要求する。これに応じて、ステップS407で、PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)は、区域90内で提供されるAPサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェアを利用者端末200に配布する。そして、ステップS409で、利用者端末200のAP管理部220は、当該ソフトウェアを起動する。

[0194] 次に、ステップS411では、PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)は、PBX100-1のID管理部120にワンタイムIDの発行を要求する。これに応じて、ステップS413で、PBX100-1のID管理部120(ID発行部123)は、APサービスを提供される利用者端末200に未使用のワンタイムIDを発行する。そして、ステップS415で、PBX100-1のID管理部120(ID更新部125)は、当該ワンタイムIDが使用中であることを示すように、ID DB121に記憶されるワンタイムIDの使用状況を更新する。

[0195] 次に、ステップS417では、PBX100-1のAPサービス提供部130は、区域90内でAPサービスを提供し、利用者端末200のAP部は、APサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェアを実行する。一方で、ステップS419では、PBX100-1のAP管理部220(判定部115)(当審注:「PBX100-1のAPサービス管理部110(判定部115)」の誤記と認める。以下、同様。)は、利用者端末200のAP管理部220から使用終了の条件に関連する情報を随時または定期的に取得する。そして、ステップS421で、PBX100-1のAP管理部220(判定部115)は、ID管理部120により発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否かを判定する。なお、ステップS419およびS421は、繰り返し行われる。

[0196] ここで、上記判定において、使用終了の条件が満たされると判定されたとする。すると、ステップS423で、PBX100-1のAP管理部220(判定部115)は、当該ワンタイムIDを使用する利用者端末200へのAPサービスの提供の停止を、PBX100-1のAPサービス提供部130に要求する。これに応じて、ステップS425で、PBX100-1のAPサービス提供部130は、当該APサービスの提供を停止する。

[0197] また、ステップS427で、PBX100-1のAP管理部220(判定部115)は、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアの停止および削除を利用者端末200に要求する。これに応じて、ステップS429で、利用者端末200のAP管理部220は、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを停止し、削除する。

[0198] また、ステップS431で、PBX100-1のAP管理部220(判定部115)は、ワンタイムIDの使用状況を更新するようにPBX100-1のID管理部120に要求する。これに応じて、ステップS433で、PBX100-1のID管理部120(ID更新部125)は、当該ワンタイムIDが未使用であることを示すように、ID DB121に記憶されるワンタイムIDの使用状況を更新する。」

(セ)図5は、次のとおりである。



上記記載事項及び技術常識によれば、以下a及びbのとおりである。

a 「ワンタイムID」及び「使用終了の条件」について
上記(エ)によれば、「利用者端末200に発行される」「ワンタイムID」は、「区域90内で提供されるAPサービスの通信のための識別情報」([0040])であり、上記(ス)の[0194]の記載及び(セ)図5によれば、「ステップS413」で、「APサービスを提供される利用者端末200」に『送信される』ことが認められる。
また、上記(エ)、(カ)によれば、「当該ワンタイムIDは、所定の条件下で一時的に使用することができ、利用者端末200は、当該ワンタイムIDを使用してAPサービスのための通信を行う」([0040])ものであり、「ID DB121」には、「ワンタイムIDの使用状況」([0072])とともに「ワンタイムIDの利用条件を定める情報要素である」「ワンタイムIDの属性」が「記憶」される([0073])。
そして、当該「ワンタイムIDの属性」は、「ワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(以下、使用範囲)」を含み([0073])、「使用範囲は、ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)であってもよい」([0074])から、『当該ワンタイムIDは、所定の条件下で一時的に使用することができ、利用者端末200は、当該ワンタイムIDを使用してAPサービスのための通信を行うものであって、ワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(以下、使用範囲)は、ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)であってもよ』いといえる。


b 「使用終了の条件」の判定について
上記(エ)、(オ)、(ス)及び(セ)によれば、「PBX100-1」の「判定部115」([0042]、[0043])は、「ステップS421」で「ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否かを継続的に判定」([0061]、[0195]、図5)し、「ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる場合に、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを削除するように、当該ワンタイムIDを発行された利用者端末200を制御する」([0064])。
ここで、上記(キ)によれば、「判定部115」は、「ID DB121のID管理テーブル122を参照」して「各ワンタイムID」の「使用範囲」を知ることができ、当該「使用範囲に基づき判定」([0128])するものであるところ、上記(カ)によれば、「PBX100-1」の「ID DB121」には、「ワンタイムIDの利用条件を定める情報要素」である「使用範囲」(ワンタイムIDの属性)として、「ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)」が「記憶」されている([0073]、[0074])。
よって、『当該ワンタイムIDを発行された利用者端末200は、PBX100-1の判定部115が、ID DB121のID管理テーブル122に記憶されたワンタイムIDの利用条件を定める情報要素である使用範囲を参照し、当該使用範囲に基づいて、ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否かを継続的に判定することによって(ステップ421)、ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる場合に、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを削除するように制御され』ることが認められる。


また、上記(コ)によれば、「利用者端末200が上記使用終了の条件を自ら判定する場合には、AP管理部220は、PBX100-1(判定部115)から使用終了の条件に関連する情報を取得してもよ」く([0179])、「AP管理部220は、使用終了の条件が満たされるか否かを自ら判定し、当該判定結果に応じて上記利用者端末用のソフトウェアを停止し、利用者端末200から削除してもよい」([0180])ことが記載されている。


以上を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)及び技術事項(以下、「技術事項1」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「所定の区域90内に位置する利用者端末200とネットワーク20を介して通信する交換機であるPBX100及び利用者端末200を含むID管理システム1において、利用者10により使用される通信装置である利用者端末200であって、([0024]、[0025]、[0029])
前記利用者端末200は、アプリケーション部210(以下、AP部210)、アプリケーション管理部220(以下、AP管理部220)、および通信部230を備え、([0169])
ネットワーク20と無線LANアクセスポイントを介して無線で接続され、([0025])
前記AP管理部220は、区域90内で提供されるAPサービスの検索をPBX100-1に要求し(ステップS401)、([0192])
前記AP管理部220は、ステップS403で、PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)から区域90内で提供されるAPサービスの検索結果を受信すると、APサービスに関する情報を利用者端末200のディスプレイ上に表示し、ここで、利用者10により、APサービスを利用することが選択され、または複数のAPサービスのうちのいずれかのAPサービスが選択されると、選択結果に応じたサービス利用開始要求をPBX100-1に送信し(ステップS405)、これに応じて、PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)から配布される、区域90内で提供されるAPサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェアを受信し(ステップS407)、([0174]、[0176]、[0192]、[0193])
前記利用者端末用のソフトウェアがスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアである場合、まず、AP管理部220は、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアをAP部210に実行させ起動させ、つづいて、AP部210(スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェア)は、PBX100-1(発行部123)から発行されたワンタイムIDを主記憶装置内に動的メモリ確保した記憶領域に記憶させるか、あるいは、補助記憶装置内に一時ファイルを生成し記憶させ、([0186])
前記スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアは、顧客である利用者10aの現在位置と店舗スタッフである利用者10b、10cの現在位置とが示された店舗93のフロアマップを、利用者端末200aのディスプレイ上に表示し、フロアマップ上に示されたいずれかの店舗スタッフが選択されると、当該店舗スタッフである利用者10bまたは10cの利用者端末200bまたは200cを呼び出すアプリケーションソフトウェアであり、([0045])
前記ワンタイムIDは、区域90内で提供されるAPサービスの通信のための識別情報であり、ステップS413で、APサービスを提供される利用者端末200に送信され、([0040]、[0194]、図5)
当該ワンタイムIDは、所定の条件下で一時的に使用することができ、利用者端末200は、当該ワンタイムIDを使用してAPサービスのための通信を行うものであって、ワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(以下、使用範囲)は、ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)であってもよく、([0040]、[0072]-[0074])
使用終了の条件は、発行されたワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(使用範囲)に当該ワンタイムIDを使用する利用者端末200が位置しない(第2終了条件)ことを含み、ワンタイムIDが使用範囲で使用されない場合(店舗を離れた場合、電源が切れた場合、等)に、ワンタイムIDの使用が停止され、([0128]、[0129])
当該ワンタイムIDを発行された利用者端末200は、PBX100-1の判定部115が、ID DB121のID管理テーブル122に記憶されたワンタイムIDの利用条件を定める情報要素である使用範囲を参照し、当該使用範囲に基づいて、ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否かを継続的に判定することによって(ステップ421)、ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる場合に、APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを削除するように制御され、([0042]-[0043]、[0061]、[0064]、[0073]-[0074]、[0128]、[0195]、図5)
前記AP管理部220が、利用者端末用のソフトウェアを停止し、削除する際、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが動的メモリ確保した記憶領域や一時ファイルも削除し、このようにすることで、スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアおよびスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが確保した記憶領域に格納されたワンタイムIDが削除できる、([0186])
利用者端末200。」


(技術事項1)
「利用者端末200が上記使用終了の条件を自ら判定する場合には、AP管理部220は、PBX100-1(判定部115)から使用終了の条件に関連する情報を取得してもよく、AP管理部220は、使用終了の条件が満たされるか否かを自ら判定し、当該判定結果に応じて上記利用者端末用のソフトウェアを停止し、利用者端末200から削除してもよい」。


イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された特開2014?17811号公報(公開日:平成26年1月30日)(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与。)。

(ア)「【0024】
[1-1.IP電話システムの基本構成]
以下では、まず、このような本発明の実施形態による交換機10を含むIP電話システム(通信システム)の基本構成について図1を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態によるIP電話システムの構成を示す説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態によるIP電話システムは、交換機10、通信網12、利用者端末20、商品22、自動取引装置24、および店員端末30を有する。
【0026】
交換機10は、IP電話システムに接続した利用者端末20と店員端末30との間の通信を制御する装置である。詳細については後に説明するが、例えば、利用者がある商品22に関して店員に問合せを希望する場合、交換機10は、この利用者が所持する利用者端末20からの呼を、当該商品22の担当者が所持する店員端末30に接続させる。
【0027】
通信網12は、店舗14とコールセンター18とを接続するネットワークであり、IP(Internet Protocal)ネットワークなどにより構成される。また、店舗14およびコールセンター18の施設内にはそれぞれLAN(Local Area Network)などのネットワークが設置されており、これらのネットワークは通信網12と接続される。
【0028】
店舗14は、商品群ごとに区分けされた複数の売り場16から構成されており、各売り場16には、複数の商品22が陳列されている。利用者は、このような店舗14内を自由に移動して、商品22を手に取り、購入することができる。また、各商品22には、商品IDを含む商品IDタグ220が付けられている。この商品IDタグ220には、例えばバーコードタグや電子タグなどが用いられる。
【0029】
利用者端末20は、店舗14を訪れる利用者により利用される端末である。この利用者端末20は、商品IDの読み取り機能と通話機能とを有する携帯型の端末であり、例えば市販の携帯電話が用いられる。また、利用者端末20は、無線通信により通信網12に接続できる。なお、利用者端末20は、利用者が個人所有する端末であってもよいし、店舗14で貸し出される端末であってもよい。
【0030】
店員端末30は、店舗14またはコールセンター18で勤務する従業員により利用される端末である。図1に示したように、店員端末30は携帯型端末30aであってもよいし、固定端末30b、30cであってもよい。また、店員端末30は、店舗14から従業員に貸し出される端末であってもよいし、従業員が個人所有する端末であってもよい。
【0031】
自動取引装置24は、IP電話システムに接続するためのアプリケーションを、利用者が利用者端末20にダウンロードするために使用される端末である。
利用者は、自動取引装置24を通してダウンロードしたアプリケーションを起動させることにより、店舗14やコールセンター18の従業員と通話することができる。また、自動取引装置24は、利用者が利用者端末20にダウンロードしたアプリケーションを停止(削除)するためにも使用される端末である。利用者は、自動取引装置24を通してダウンロードしたアプリケーションを停止(削除)させることにより、店舗14やコールセンター18の従業員と通話することができなくなる。

(イ)「【0172】
[2-4.第4の実施形態]
以上、第3の実施形態について説明した。第3の実施形態では、利用者端末20は通信事業者などから付与される固定の端末IDを用いて、交換機10または店員端末30と通信を行う。次に説明するように、第4の実施形態によれば、利用者端末20は固定の端末IDを用いずに、交換機10または店員端末30と通信を行うことができる。
【0173】
(2-4-1.構成)
図21は、第4の実施形態による交換機10、利用者端末20、商品22、および店員端末30の構成を示す機能ブロック図である。図21に示したように、第4の実施形態による交換機10は、第3の実施形態に含まれる構成要素に加えて、一時ID生成部108を含む。なお、本明細書では以後、一時ID生成部108は、交換機10に組み込まれる例について説明するが、IP電話システムに接続される他のサーバなどの情報処理装置に組み込まれてもよい。
【0174】
一時ID生成部108は、利用者端末20または店員端末30から端末ID発行依頼メッセージが受信されると、この端末ID発行依頼メッセージに含まれる固定の端末IDに対して、所定の規則に従って未使用の一時的な端末IDを生成する。なお、一時ID生成部108が生成した一時的な端末IDは、通信部100によって利用者端末20に送信される。ここで、未使用の一時的な端末IDは、一時ID生成部108が一度も生成していない端末IDであってもよい。また、未使用の一時的な端末IDは、一時ID生成部108が一度も生成しておらず、かつ、交換機10が一度も使用していない端末IDであってもよい。

(ウ)「【0179】
(2-4-2.動作)
以上、第4の実施形態による構成について説明した。続いて、第4の実施形態による動作について説明する。図22は、第4の実施形態による動作を示すシーケンス図である。図22に示したように、まず、利用者による操作により、利用者端末20は、アプリケーションを起動する(S500)。次に、利用者端末20に対する所定の操作により、メッセージ生成部204は、端末ID発行依頼メッセージを生成する(S502)。そして、通信部206は、生成した端末ID発行依頼メッセージを交換機10に送信する(S504)。
【0180】
交換機10が端末ID発行依頼メッセージを受信すると、一時ID生成部108は、受信した端末ID発行依頼メッセージに含まれる固定の端末IDに対して、未使用の一時的な端末ID(第1端末用一時ID)を生成する(S506)。そして、通信部100は生成した一時的な端末IDを利用者端末20に送信する(S508)。
【0181】
続いて、利用者端末20は、受信した一時的な端末IDを端末ID記憶部202に記憶させる。そして、利用者端末20は、受信した一時的な端末IDを固定の端末IDの代わりに、自己の端末IDとして設定する(S510)。」

(エ)「【0188】
(2-4-2-1.一時的な端末IDの使用終了の条件)
次に、S520において利用者端末20が一時的な端末IDを削除するための、使用終了の条件について説明する。なお、利用者端末20は、例えば以下で述べる第1終了条件?第9終了条件のうち1以上の条件を含む、使用終了の条件が満たされると判定した場合には、一時的な端末IDを削除する。」

(オ)「【0193】
‐第2終了条件‐
また、上記使用終了の条件は、一時的な端末IDが使用可能である領域の範囲(使用範囲)に当該一時的な端末IDを使用する利用者端末20が位置しない(第2終了条件)ことを含む。より具体的には、使用範囲内に位置する場合には、利用者端末20は、使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、一時的な端末IDを使用し続けるように制御する。また、使用範囲外に位置する場合には、利用者端末20は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、一時的な端末IDを削除する。
【0194】
なお、上記の使用範囲を示す情報(使用範囲情報)は、例えば、利用者端末20に予め設定されていてもよいし、起動したアプリケーション(S500)に予め設定されていてもよい。または、上記の使用範囲情報は、交換機10が利用者端末20へ送信してもよい。または、上記の使用範囲情報は、一時ID生成部108が一時的な端末IDと共に生成し、そして交換機10が利用者端末20へ通知してもよい。
【0195】
また、上記の使用範囲情報が示す使用範囲は、例えば、店舗14に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲として定められてもよい。例えば、利用者端末20は、通信中の無線アクセスポイントから受信される無線アクセスポイントのIDを確認することにより、店舗14内に位置するか否かを確認する。
【0196】
この第2終了条件によれば、例えば使用範囲が店舗14内として設定されている場合に利用者が店舗14から退出した場合など、使用範囲内で使用されない場合には、一時的な端末IDの使用が停止される。このため、特定の範囲内でのみ使用可能である一時的な端末IDを実現できる。」


上記(ア)の記載によれば、引用文献2には、
交換機10、通信網12、利用者端末20、商品22、自動取引装置24、および店員端末30を有し、(【0025】)
店舗14およびコールセンター18の施設内にはそれぞれLANなどのネットワークが設置されており、これらのネットワークは通信網12と接続され、(【0027】)
交換機10は、利用者がある商品22に関して店員に問合せを希望する場合、この利用者が所持する利用者端末20からの呼を、当該商品22の担当者が所持する店員端末30に接続させ、(【0026】)
利用者端末20は、店舗14を訪れる利用者により利用される市販の携帯電話であり、無線通信により通信網12に接続できる、IP電話システムにおける、(【0025】、【0029】)
利用者が、自動取引装置24を通してダウンロードして起動させることにより、店舗14やコールセンター18の従業員と通話するためのアプリケーション(【0031】)、
が記載(下線は、当審が付与。以下、同様。)されているところ、「店舗14およびコールセンター18の施設内」で「利用者がある商品22に関して店員に問合せを希望する場合」に利用する「店舗14やコールセンター18の従業員と通話するためのアプリケーション」は、「所定域で提供されるサービスのためのプログラム」といえる。

そして、上記(イ)?(エ)の記載によれば、
利用者端末20でアプリケーションを起動することにより(S500)、端末ID発行依頼メッセージを生成し(S502)、交換機10に送信し(S504)、(【0179】)
交換機10から受信した一時的な端末IDを端末ID記憶部202に記憶させ、受信した一時的な端末IDを固定の端末IDの代わりに、自己の端末IDとして設定し(S510)、(【0181】)
固定の端末IDを用いずに、交換機10または店員端末30と通信を行うことができ、(【0172】)
一時的な端末IDを削除するための、使用終了の条件が満たされると判定した場合には、一時的な端末IDを削除する(S520)、(【0188】)。
よって、上記「一時的な端末ID」は、「所定域で提供されるサービス」のための「識別情報」といえ、上記「アプリケーション」は、「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含むプログラム」といえる。そして、当該「プログラム」をダウンロードして実行することにより、利用者端末が、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否かを自ら判断するといえる。

ここで、上記(オ)の記載によれば、
使用終了の条件は、一時的な端末IDが使用可能である領域の範囲(使用範囲)に当該一時的な端末IDを使用する利用者端末20が位置しない(第2終了条件)ことであり、(【0193】)
上記の使用範囲を示す情報(使用範囲情報)は、起動したアプリケーション(S500)に予め設定されていてもよく、(【0194】)
上記の使用範囲情報が示す使用範囲は、店舗14に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲として定められてもよく、(【0195】)
使用範囲が店舗14内として設定されている場合に利用者が店舗14から退出した場合など、使用範囲内で使用されない場合には、一時的な端末IDの使用が停止される【0196】)。
よって、上記「プログラム」には、「使用範囲情報」(実際の店舗に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲を示す情報)が予め設定されていてもよいことも記載されている。


以上より、引用文献2には、以下の技術事項(以下、「技術事項2」という。)が記載されていると認められる。

「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含むプログラムをダウンロードして実行することにより、利用者端末が、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否かを自ら判断すること、加えて、上記プログラムには、「使用範囲情報」(実際の店舗に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲を示す情報)が予め設定されていてもよいこと」。


(3)対比

補正後発明と引用発明とを対比する。

ア 「ネットワークに対し検索要求を送出することで前記ネットワークから受ける検索結果に基づく操作者の操作により前記ネットワークを介して取得した、所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む前記サービスのためのプログラム」について

引用発明は、「所定の区域90内に位置する利用者端末200とネットワーク20を介して通信する交換機であるPBX100及び利用者端末200を含むID管理システム1において、利用者10により使用される通信装置である利用者端末200」であるから、引用発明の「ネットワーク20」は、補正後発明の「ネットワーク」に相当する。
そして、引用発明の「スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェア」は、「AP管理部220」が、「区域90内で提供されるAPサービスの検索をPBX100-1に要求し(ステップS401)」、「ステップS403で、PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)から区域90内で提供されるAPサービスの検索結果を受信」し、「APサービスに関する情報を利用者端末200のディスプレイ上に表示し」、「利用者10」による「選択結果に応じたサービス利用開始要求をPBX100-1に送信」することに応じて、「PBX100-1のAPサービス管理部110(配布部113)」から「配布され(ステップS407)」る、「区域90内で提供されるAPサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェア」である。
そうすると、補正後発明の「プログラム」と引用発明の当該「ソフトウェア」とは、「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む」か否かは別として、「ネットワークに対し検索要求を送出することで前記ネットワークから受ける検索結果に基づく操作者の操作により前記ネットワークを介して取得した、所定域で提供されるサービスのためのプログラム」である点で共通する。


イ 「制御部」が、「プログラムを実行することで、前記識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御」することについて

引用発明の「AP管理部220」は、「スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアをAP部210に実行させ起動させ、つづいて、AP部210(スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェア)は、PBX100-1(発行部123)から発行されたワンタイムIDを主記憶装置内に動的メモリ確保した記憶領域に記憶させるか、あるいは、補助記憶装置内に一時ファイルを生成し記憶させ」る。
そして、「PBX100-1」は、「所定の区域90内に位置する利用者端末200とネットワーク20を介して通信する交換機」であり、「利用者端末200」は「ネットワーク20と無線LANアクセスポイントを介して無線で接続され」るところ、当該「無線LANアクセスポイント」が、「ワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(以下、使用範囲)」にある「ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)」であることは明らかであるから、引用発明の「無線LANアクセスポイント」は、補正後発明の「所定域に設けられた無線設備」に相当する。
よって、引用発明の「AP管理部220」及び「AP部210」は、補正後発明の「制御部」に対応し、「プログラムを実行することで、前記識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御」する点で一致する。


ウ 「制御部」が、「前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否か判断し、前記識別情報の前記使用終了条件が満たされない場合に、前記所定域内における呼び出しに係る表示を含む前記サービスに係る表示に基づく操作者の操作により、前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行うよう制御」することについて

引用発明の「利用者端末200」は、「ワンタイムID」の送信(ステップS413)の後の「ステップS421」において、「PBX100-1の判定部115」が「ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否か」を「判定」することによって、「制御され」るものであるものの、「使用終了の条件」を満たしていない場合には、「ワンタイムIDが使用可能」であり、「AP管理部220」が「スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアをAP部210に実行させ」ることにより、「顧客である利用者10aの現在位置と店舗スタッフである利用者10b、10cの現在位置とが示された店舗93のフロアマップを、利用者端末200aのディスプレイ上に表示し、フロアマップ上に示されたいずれかの店舗スタッフが選択されると、当該店舗スタッフである利用者10bまたは10cの利用者端末200bまたは200cを呼び出す」といえる。
よって、補正後発明と引用発明とは、「判断」の主体が相違するものの、「制御部」が「前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否かの判断結果が、前記識別情報の前記使用終了条件が満たされない場合に、前記所定域内における呼び出しに係る表示を含む前記サービスに係る表示に基づく操作者の操作により、前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行うよう制御」する点で一致する。


エ 「制御部」が、「前記識別情報の使用終了条件が満たされる場合に、前記サービスが前記所定域のみで提供されるために前記識別情報の使用を停止するよう制御する」ことについて

引用発明は、「ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる」と「PBX100-1の判定部115」が「判定」した場合に、「APサービスの提供のために配布された利用者端末用のソフトウェアを削除するように」「制御」されるものであり、この場合、「利用者端末200」の「AP管理部220」は、「スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアおよびスタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェアが確保した記憶領域に格納されたワンタイムID」を「削除」するから、「ワインタイムID」の「使用」が「停止」されることは明らかである。
よって、補正後発明と引用発明とは、「制御部」が、「前記識別情報の使用終了条件が満たされる場合に、前記サービスが前記所定域のみで提供されるために前記識別情報の使用を停止するよう制御する」点で一致する。


オ 「前記識別情報の使用終了条件が前記所定域に設けられた前記無線設備と通信可能な範囲内でないこと」について

引用発明は、「ネットワーク20と無線LANアクセスポイントを介して無線で接続され」、「ワンタイムID」の「使用終了の条件」は、「発行されたワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(使用範囲)に当該ワンタイムIDを使用する利用者端末200が位置しない(第2終了条件)ことを含」むところ、「使用範囲は、ワンタイムIDを使用する場合に接続可能なアクセスポイントまたはステーション(以下、ST)」であるから、補正後発明と引用発明とは、「所定域で提供されるサービスのための識別情報」の「使用終了条件が前記所定域に設けられた前記無線設備と通信可能な範囲内でないこと」である点で一致する。


カ 「端末装置」について
引用発明の「利用者端末200」は、「端末装置」に含まれる。


上記ア?カより、補正後発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「ネットワークに対し検索要求を送出することで前記ネットワークから受ける検索結果に基づく操作者の操作により前記ネットワークを介して取得した、所定域で提供されるサービスのためのプログラムを実行することで、前記識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御し、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否かの判断結果が、前記識別情報の前記使用終了条件が満たされない場合に、前記所定域内における呼び出しに係る表示を含む前記サービスに係る表示に基づく操作者の操作により、前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行うよう制御し、前記識別情報の使用終了条件が満たされる場合に、前記サービスが前記所定域のみで提供されるために前記識別情報の使用を停止するよう制御する制御部、
を備え、
前記識別情報の使用終了条件が前記所定域に設けられた前記無線設備と通信可能な範囲内でないことである、端末装置。」


(相違点)
補正後発明は、「端末装置」の「制御部」が「識別情報の使用終了条件が満たされるか否か判断」するものであり、所定域で提供されるサービスのためのプログラムが、「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む」のに対し、引用発明は、「PBX100-1の判定部115」がワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否かを判定するものであって、利用者端末200が実行するソフトウェアが「ワンタイムIDについての使用終了の条件」を含むことについて特定がない点。


(4)判断
上記2(2)イによれば、引用文献2に記載された「技術事項2」は、次のとおりである。
「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含むプログラムをダウンロードして実行することにより、利用者端末が、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否かを自ら判断すること、加えて、上記プログラムには、「使用範囲情報」(実際の店舗に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲を示す情報)が予め設定されていてもよいこと」。

そして、引用文献1には、「利用者端末200が上記使用終了の条件を自ら判定する場合には、AP管理部220は、PBX100-1(判定部115)から使用終了の条件に関連する情報を取得してもよく、AP管理部220は、使用終了の条件が満たされるか否かを自ら判定し、当該判定結果に応じて上記利用者端末用のソフトウェアを停止し、利用者端末200から削除してもよい」こと(上記2(2)アの「技術事項1」)の示唆がある。

そうすると、引用発明において、「ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否か」を「利用者端末200」が「自ら判定」し、条件を満たす場合には、自ら「利用者端末用のソフトウェアを停止し、利用者端末200から削除」する動機があるといえるから、引用発明に上記引用文献2に記載された技術事項2を適用して、「区域90内で提供されるAPサービスの提供のための利用者端末用のソフトウェア」である「スタッフ呼出しサービスアプリケーションソフトウェア」を「ワンタイムIDについての使用終了の条件」を含むソフトウェアとし、「AP管理部220」が当該ソフトウェアを「AP部210に実行させ」ることで、「利用者端末200」が「ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされるか否か」を「自ら判定」すること(補正後発明の「所定域で提供されるサービスのためのプログラム」が「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む」プログラムであり、「端末装置」の「制御部」が「識別情報の使用終了条件が満たされるか否か判断」することに相当。)は当業者が容易に想到し得ることである。

さらに進めて、仮に、補正後発明の「所定域で提供されるサービスのための識別情報の使用終了条件を含む」プログラムが、「所定域」を具体的に特定するための「使用範囲を示す情報(使用範囲情報)」(本願明細書の【0170】)まで含むものと解したとしても、上記技術事項2によれば、「上記プログラムには、「使用範囲情報」(実際の店舗に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲を示す情報)が予め設定されていてもよい」から、補正後発明は、引用発明に上記引用文献2に記載された技術事項2を適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。


したがって、補正後発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項2に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するものであり、同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1.本願発明
令和2年10月27日にされた手続補正は上記「第2 令和2年10月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定」のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年3月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。(再掲)

「【請求項1】
所定域で提供されるサービスのための識別情報を前記所定域に設けられた無線設備から無線通信で取得するよう制御し、前記識別情報の取得後、前記識別情報の使用終了条件が満たされるか否か判断し、前記識別情報の前記使用終了条件が満たされない場合に前記識別情報を使用して前記サービスに係る無線通信を行うよう制御し、前記識別情報の使用終了条件が満たされる場合に前記識別情報の使用を停止するよう制御する制御部、
を備える、端末装置。」


2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概略は、以下のとおりである。

この出願の請求項1ないし5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2013/047093号
引用文献2:特開2014?17811号公報

当審注:令和2年6月29日付け応対記録によれば、同年3月19日付けの拒絶理由通知書(最後)の引用文献等一覧に記載した引用文献1と2は、番号が逆であり、出願人はその前提で対応することが、令和2年4月7日の電話応対によって確認されている。


3.引用文献及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2の記載事項、引用発明、技術事項1及び技術事項2は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。


4.対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した補正後発明から、本件補正による限定事項(前記第2の[理由]2(ア)?(ウ))を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正後発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用発明2に記載された技術事項2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用発明2に記載された技術事項2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-06-10 
結審通知日 2021-06-15 
審決日 2021-06-29 
出願番号 特願2019-87914(P2019-87914)
審決分類 P 1 8・ 122- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 玉木 宏治麻川 倫広  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 山中 実
佐藤 智康
発明の名称 端末装置、情報処理方法、プログラム及び通信システム  
代理人 大山 夏子  
代理人 風間 竜司  
代理人 伊藤 学  
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