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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1377331
審判番号 不服2019-13203  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-02 
確定日 2021-09-14 
事件の表示 特願2016-110508「視線誘導のためのコンピュータ・プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月23日出願公開、特開2017- 59212、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月14日の出願である特願2015-181073号の一部を平成28年6月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成30年 7月25日 :手続補正書の提出
平成31年 4月18日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 6月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 6月28日付け:拒絶査定
令和 元年10月 2日 :拒絶査定不服審判の請求
令和 2年10月13日付け:拒絶理由(当審拒絶理由1)通知書
令和 2年12月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 2月16日付け:拒絶理由(最後、当審拒絶理由2)通知書
令和 3年 4月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 5月25日付け:拒絶理由(最後、当審拒絶理由3)通知書
令和 3年 6月 3日 :手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年6月28日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
この出願の請求項1,4,11,12に係る発明は、以下の引用文献A,Bに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A:国際公開第2014/162823号
引用文献B:特開2013-38668号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由1
当審が令和2年10月13日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)の概要は、次のとおりである。

(1)理由1
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

ア 請求項1には、「・・・特定手段と、・・・視界決定手段と、・・・配置手段と、前記3次元仮想空間の視界画像を生成して表示する表示手段として前記ヘッドマウント・ディスプレイに接続されるコンピュータを機能させ」る旨が記載されているが、当該記載は、「コンピュータ」をどのように機能させることを特定しているのか、不明である。また、「ヘッドマウント・ディスプレイ」が当然に備える「ディスプレイ」部分(すなわち「表示手段」)と、請求項1に記載されている「表示手段」との関係も不明である。

イ 請求項1には、「前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度が所与の第1角以内となった場合に、前記誘導オブジェクトを前記ターゲット・オブジェクトの周囲の所定方向に配置する」と記載されているが、「周囲の所定方向に配置する」との記載では、「所与の第1角」に対する大小関係が変化したときに、「誘導オブジェクト」の「ターゲット・オブジェクト」に対する相対的な位置関係を変更することを特定しているのか否か不明であり、それを特定しているのではないとすれば、何を変更することを特定しているのか不明である。
また、請求項1において、「所与の第1角以内となった場合」以外のケース、すなわち、「所与の第1角よりも大となった場合」について言及されていないから、この点からも、「所与の第1角以内となった場合」に、「誘導オブジェクト」の「ターゲット・オブジェクト」に対する相対的な位置関係を変更することを特定しているのか否か不明である。

ウ 請求項11、12にも上記イと同様の記載がある。

(2)理由2
この出願の請求項1?12に係る発明は、以下の引用文献1?3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2005-174021号公報
引用文献2:特開2000-140416号公報
引用文献3:国際公開第2014/162823号(原査定の引用文献A)

2 当審拒絶理由2
当審が令和3年2月16日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は次のとおりである。

(1)理由1
この出願の請求項1,3?12に係る発明は、以下の引用文献1?3に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2005-174021号公報
引用文献2:特開2000-140416号公報
引用文献3:国際公開第2014/162823号(原査定の引用文献A)

(2)理由2
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項5に「前記仮想カメラの位置に関し、前記視線の方向から前記ターゲット・オブジェクトの方向に向けて所与の第2角を成す位置に前記誘導オブジェクトを配置する」と記載されているが、ここで、「配置」が「所与の第2角を成す位置」であることが、請求項5が引用する請求項1に記載されている、「前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間に配置」すること及び「前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置に配置する」ことの、両方について特定しているのか、いずれか一方について特定しているのか、不明であり、また、後者であるとすればどちらを特定しているのか不明である。

3 当審拒絶理由3
当審が令和3年2月16日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由3」という。)の概要は次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1,10,11にそれぞれ記載されている「前記仮想カメラからの前記視線における注視点までの距離」が、「仮想カメラ」からどのような点までの距離であるのか不明である。

第4 本願発明
本願請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」という。)は、令和3年6月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。

「【請求項1】
ヘッドマウント・ディスプレイに接続されるコンピュータを、
3次元仮想空間内のターゲット・オブジェクトの位置を特定する特定手段、
ヘッドマウント・ディスプレイの動きに従って、仮想カメラからの視線に基づく視界を決定する視界決定手段、
前記3次元仮想空間において、3次元の誘導オブジェクトを、前記仮想カメラの位置と前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの位置とに基づいて決定される、前記視界内の位置に配置する配置手段、
前記3次元仮想空間の視界画像を生成して前記ヘッドマウント・ディスプレイに表示させる表示制御手段、
として機能させ、
前記配置手段が、更に、
前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度が所与の第1角の範囲外にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間に配置し、前記第1角の範囲内にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置に配置し、
前記仮想カメラから前記誘導オブジェクトまでの距離に応じて前記誘導オブジェクトの大きさを動的に変化させる、視線誘導のためのコンピュータ・プログラム。
【請求項2】
前記配置手段が、更に、
前記3次元仮想空間において、前記誘導オブジェクトを、前記仮想カメラの位置を中心とし、且つ前記仮想カメラから前記ターゲット・オブジェクトまでを半径とする円周であって、前記視線と交差する円周上に配置する、請求項1記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項3】
前記配置手段が、更に、
前記第1角の範囲内にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置で、且つ前記3次元仮想空間における垂直方向に配置する請求項1記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項4】
前記第1角が10度から30度までの角度範囲から設定される、請求項1から3のいずれか一項記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項5】
前記配置手段が、更に、
前記仮想カメラの位置に関し、前記誘導オブジェクトが前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間にある場合に、前記視線の方向から前記ターゲット・オブジェクトの方向に向けて所与の第2角を成す位置に前記誘導オブジェクトを配置することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項6】
前記誘導オブジェクトが、前記ターゲット・オブジェクトへの3次元の指向性を有する、請求項1から5のいずれか一項記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項7】
前記誘導オブジェクトが、前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度に応じた第1特性を有する、請求項1から6のいずれか一項記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項8】
前記誘導オブジェクトが所定のモーションを有する、請求項1から7のいずれか一項記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
前記誘導オブジェクトのモーションが、前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度に応じた第2特性を有する、請求項8記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
ヘッドマウント・ディスプレイに接続されるコンピュータであって、
3次元仮想空間内のターゲット・オブジェクトの位置を特定する特定手段と、
前記ヘッドマウント・ディスプレイの動きに従って、仮想カメラからの視線に基づく視界を決定する視界決定手段と、
前記3次元仮想空間において、3次元の誘導オブジェクトを、前記仮想カメラの位置と前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの位置とに基づいて決定される、前記視界内の位置に配置する配置手段と、
前記3次元仮想空間の視界画像を生成して前記ヘッドマウント・ディスプレイに表示させる表示制御手段と、を備え、
前記配置手段が、更に、
前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度が所与の第1角の範囲外にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間に配置し、前記第1角の範囲内にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置に配置し、
前記仮想カメラから前記誘導オブジェクトまでの距離に応じて前記誘導オブジェクトの大きさを動的に変化させる、コンピュータ。
【請求項11】
3次元仮想空間内のターゲット・オブジェクトの位置を特定するステップと、
ヘッドマウント・ディスプレイの動きに従って、仮想カメラからの視線に基づく視界を決定する視界決定ステップと、
前記3次元仮想空間において、3次元の誘導オブジェクトを、前記仮想カメラの位置と前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの位置とに基づいて決定される、前記視界内の位置に配置する配置ステップと、
前記3次元仮想空間の視界画像を生成して前記ヘッドマウント・ディスプレイに表示させる表示制御ステップと、を含み、
前記配置ステップが、更に、
前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度が所与の第1角の範囲外にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間に配置し、前記第1角の範囲内にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置に配置し、
前記仮想カメラから前記誘導オブジェクトまでの距離に応じて前記誘導オブジェクトの大きさを動的に変化させる、方法。」

第5 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)当審拒絶理由1で引用され、当審拒絶理由2でも引用された引用文献1(特開2005-174021号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0009】
<第1実施形態>
第1実施形態では、現実の風景に仮想空間を重畳したMR空間を複数人で共有するMRシステムの例が示される。例えば、ユーザがHMDを装着して眺めると、ユーザの位置・姿勢に応じて富士山の噴火による災害の様子を表すコンピュータグラフィックス(CG:Computer Graphics)を現実の風景(他のユーザ)に重ね合わせて見ることができる。このMRシステムでは、表示装置として、位置・姿勢計測可能なビデオシースルーHMDを用いる。なお、第1実施形態ではビデオシースルーHMDを用いているが、光学シースルーHMD、更には、携帯型シースルーディスプレイでも実現可能である。HMDには位置・姿勢計測センサおよびカメラが内蔵されており、ユーザの視点位置からの映像が位置・姿勢情報とともに取得可能である。」

「【0013】
なお、位置姿勢計測装置をユーザの視点位置に設置することは一般的に困難であるため、ユーザ視点位置姿勢計測部102は、位置姿勢計測装置の出力結果をもとに、ユーザの視点の位置姿勢を算出する機能を持つ。本実施形態においても、位置姿勢計測装置はHMDに内蔵されており、ユーザの頭部にHMDが固定されることにより、ユーザの視点の位置姿勢が位置姿勢計測装置の出力から算出できる。また、ユーザ視点映像入力部101によって現実世界の映像を取り込み、これを画像処理することにより位置姿勢計測装置の出力結果の誤差を補正するようにしてもよい。この画像処理は、例えば、現実空間上で三次元座標が既知である複数の特徴点について画像上での位置を検出し、位置姿勢計測装置の出力結果から計算される特徴点の画像上の位置との比較を行うことで、位置姿勢計測装置の誤差を算出し、その誤差を打ち消すように位置姿勢計測装置の出力結果を補正する処理である。また、この画像処理のみからユーザの視点の位置姿勢を算出してもよい。
【0014】
103はユーザ操作入力部であり、本実施形態ではポインティング対象物を指示するスイッチ付きスタイラスである。本実施形態ではポインティング対象物を、スタイラスの指示する方向で、最も手前にある仮想物体または現実物体と定義する。これによりユーザは、ポインティング対象物の方向をスタイラスで指し示し、スイッチをONにすることで、他のユーザにポインティング対象物/位置を指示することができる。ユーザ操作入力部103は、ユーザが操作する操作内容に応じた制御情報をCG生成部104へ送る。なお、本実施形態では、スタイラスで指示された方向の、仮想物体或いは現実物体の面上の位置をポインティング位置とし、このポインティング位置を示すポインティングアノテーションの表示制御を説明する。ここで、現実物体の面については現実世界モデルデータをデータ部105に保持しておき、これを参照することにより取得することができる。
【0015】
なお、ユーザ操作入力部103は、マウス、ジョイスティックなど他の入力装置を用いたり、ユーザ視点映像入力部101からの映像を画像処理することでユーザのジェスチャ認識するなど他の手法でも実現可能である。また、更に、様々なユーザ操作、例えば、仮想物体の移動・削除などを行う操作や、空間中の対象物に関する情報の表示を要求する操作などを設定することも可能である。
【0016】
104はCG生成部であり、例えばコンピュータのCPUやMPU等で実現される。CG生成部104はユーザ視点位置姿勢計測部102から得られるユーザの視点の位置姿勢情報に基づき、仮想世界におけるユーザの視野を求め、データ部105からユーザの視野に入る部分のCGデータを取り出し、ユーザの視野に重なるCGを生成する。
【0017】
また、CG生成部104は伝送路200に共有データを送信する機能および伝送路200から共有データを受信する機能を持つ。これらの機能により、伝送路200を通じて、他の情報提示装置100のCG生成部104と相互に接続し、必要な情報の交換を行うことができる。図2は複数のユーザが情報提示装置100を利用する場合の構成を示した図である。このように複数のユーザがそれぞれの情報提示装置100を利用することにより、複数人が同一のMR空間を共有することが可能である。この共有データには、各ユーザのポインティング対象物が判別できる情報(以下、ポインティング情報と呼ぶ)を含む。ポインティング情報としては、例えば、(1)ユーザを判別する情報(以下、ユーザID)、仮想空間におけるポインティング位置座標、或いは、(2)ユーザID、スタイラス位置姿勢情報などが考えられる。
【0018】
CG生成部104は、伝送路200から送信されたポインティング情報から、ポインティングアノテーションを生成する。本実施形態では、ポインティングアノテーションを始点・終点をもつ矢印(線分)で表示する。例えば、矢印の始点はユーザ視野平面の定位置(例えば、左右中心・下方辺り)とし、矢印の終点はユーザ視野平面に投影された他ユーザのポインティング位置とする。或いは、ポインティングアノテーションを図8で後述するように、仮想空間中に生成し、これを表示するようにしてもよい。」

「【0021】
図5(b)について説明する。ユーザAが山501をポインティングしており、ユーザAのポインティング位置はユーザDの視界の内側にあり視察可能であるため、ユーザAのポインティングアノテーションは矢印511で示されている。また、ユーザBが建物502をポインティングしているがこれはユーザDの視野の外である。すなわち、ユーザBのポインティング対象物がユーザDの視野の外側にあるため、ユーザBのポインティングアノテーションは線分513で示されている。この表示によりユーザDは、ユーザBのポインティング対象物を見るために、左方向を向けばよいことが分かる。」

「【0023】
図5の(c)は、ユーザDがユーザBのアノテーション対象物を見ようと、視野を図5の(b)の状態から左方向に移した場合である。ユーザDの視野の変化により、各ユーザのポインティングアノテーションが変化する。即ち、ユーザAのポインティング位置(山501の部分)がユーザDの視野の外側に移ったため、ユーザAのポインティングアノテーションは線分521で示されている。また、ユーザBのポインティング対象物(建物502)におけるポインティング位置がユーザDの視野の内側に移ったため、ユーザBのポインティングアノテーションは矢印522で示されている。ユーザCのポインティング対象物(ポインティング位置)はユーザDの視野の外側であり、かつ、裏側で見えないため、ユーザCのポインティングアノテーションは途中から点線となる線分523で示されている。」

「【0026】
なお、ポインティングアノテーションとしての矢印や線分に対して、ユーザ毎の色づけを行なって表示するようにしてもよい。ユーザ毎の色づけは、アノテーション情報に付随するユーザIDによりユーザを識別し、色を割り当てていけばよい。このようにすれば、どのユーザによるポインティングアノテーションであるかが一目瞭然となる。或いは、ユーザを基準とした色分けではなく、ポインティングの状態を基準としてポインティングアノテーションを色分けすることも可能である。色分けするポインティングの状態としては、例えば、ポインティング位置が視野内にあって観察可能である状態(図5(b)の矢印511)、視野内であるが観察できない状態(図5(b)の矢印512)、視野外にあるが視線を変更すれば観察できる状態(図5(b)の線分513)、視野外であって当該位置からは観察できない状態(図5(c)の線分523)が挙げられる。また、ポインティング位置を当該視点位置から観察できるかできないかは、空間中の各オブジェクトとの前後関係等により判断できる。
【0027】
また、矢印の始点の定位置を、図6に示すようにユーザごとに変えたり、図7に示すようにユーザの位置によって変えたりすることも可能である。図7(a)では、視界平面にの4角に設定した始点のうち、ユーザの位置に一番近い点をそのユーザに対応した矢印の始点としている。ただし図7(b)のように、始点を視界平面の境界上に設定すると、ポインティングアノテーションが描画されない場合が生じる(図7(b)のユーザB)ため、視界平面の境界上には設定しないことが望ましい。さらに、ポインティングアノテーションを矢印や線分で表現しているが、始点・終点を結ぶ他の仮想物体(2次元または3次元)で描画してもよい。また、その描画方法も他物体との隠蔽や奥行きを表現するために、半透明やグラデーションにより描画してもよい。」

「【0030】
図1に戻り、CG生成部104は、生成したCG(仮想物体、ポインティングアノテーション、アノテーションなどすべて)を映像表示部106に出力する。105はデータ部であり、例えばハードディスクやCD?ROM等の補助記憶装置または媒体を具備する。データ部105は仮想世界をCGで描画するために必要な仮想世界モデルデータと、現実世界と仮想世界とを正しく合成するために必要な現実世界モデルデータと、仮想世界映像を生成するために必要なデータおよび関連情報を保持する。」

「【0033】
106は映像表示部であり、ここではビデオシースルーHMDである。映像表示部106はユーザ視点映像入力部101によって獲得されたユーザが見る現実世界の映像と、CG生成部104によって生成されたCGとを合成して、その合成映像をユーザの目の前に表示する。画像表示装置に光学シースルー型のHMDを用いる場合においては、CG生成部104によって生成されたCGをユーザの視野の現実世界に重畳して表示する。」

「【0047】
なお、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。」

「【図5】



(2)上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「表示装置として、位置・姿勢計測可能なビデオシースルーHMDを用いるMRシステムであって、
ユーザ視点位置姿勢計測部102は、位置姿勢計測装置の出力結果をもとに、ユーザの視点の位置姿勢を算出する機能を持ち、位置姿勢計測装置はHMDに内蔵されており、ユーザの頭部にHMDが固定されることにより、ユーザの視点の位置姿勢を位置姿勢計測装置の出力から算出でき、
仮想物体の面上の位置であるポインティング位置をポインティング位置とし、このポインティング位置を示すポインティングアノテーションの表示制御において、
CG生成部104は、コンピュータのCPUやMPU等で実現され、ユーザ視点位置姿勢計測部102から得られるユーザの視点の位置姿勢情報に基づき、仮想世界におけるユーザの視野を求め、ユーザの視野に入る部分のCGデータを取り出し、ユーザの視野に重なるCGを生成し、
CG生成部104は、各ユーザのポインティング対象物が判別できる情報であるポインティング情報から、ポインティングアノテーションを生成し、
ポインティングアノテーションを始点・終点をもつ矢印(線分)で表示し、例えば、矢印の始点はユーザ視野平面の定位置とし、矢印の終点はユーザ視野平面に投影された他ユーザのポインティング位置とし、
ユーザBのポインティング対象物がユーザDの視野の外側にあるため、ユーザBのポインティングアノテーションは線分513で示され(図5(b))、この表示によりユーザDが、ユーザBのポインティング対象物を見るために、左方向を向けばよいことが分かり、
ユーザDがユーザBのアノテーション対象物を見ようと、視野を左方向に移した場合、ユーザDの視野の変化により、各ユーザのポインティングアノテーションが変化して、ユーザBのポインティング対象物(建物502)におけるポインティング位置がユーザDの視野の内側に移ったため、ユーザBのポインティングアノテーションは矢印522で示され(図5(c))、
ポインティングの状態を基準としてポインティングアノテーションを色分けし、色分けするポインティングの状態としては、ポインティング位置が視野内にあって観察可能である状態(図5(b)の矢印511)、視野外にあるが視線を変更すれば観察できる状態(図5(b)の線分513)が挙げられ、
ポインティングアノテーションを始点・終点を結ぶ他の仮想物体(3次元)で描画してもよく、
CG生成部104は、生成したCG(仮想物体、ポインティングアノテーションなどすべて)を映像表示部106に出力し、
ビデオシースルーHMDである映像表示部106は、CG生成部104によって生成されたCGをユーザの目の前に表示し、
機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをシステムのコンピュータが読出し実行する、MRシステム。」

2 引用文献2
(1)当審拒絶理由1で引用され、当審拒絶理由2でも引用された引用文献2(特開2000-140416号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0052】以下、本発明の好適な実施の形態について戦闘機ゲームの場合を例にとり説明する。
【0053】本実施の形態では、3次元空間内の自機と敵機の位置関係をプレーヤが瞬時かつビジュアルに把握可能にするために以下のようにな手法でマーカーの表示を行っている。」

「【0068】図10(C)?図17(C)のゲーム画像に示すように、敵機を指示するための目印として三角形のマーカーが表示されているが、本実施の形態では、自機と敵機の位置関係に応じてこの三角形のマーカーの向きが変化し、長さが伸び縮みして表示されている。したがってプレーヤは、図10(C)?図13(C)のように表示画像中に敵機が表示されている場合はもちろん、図14(C)?図17(C)のように表示画像中に敵機が表示されていない場合でも、マーカーの向きと長さにより、敵機の3次元的な位置関係を把握することができる。」

「【0081】本実施の形態では、各フレーム毎に以下のような処理を行い、目印となるマーカーの向きと長さを決定している。
【0082】まず、敵機のワールド座標系における位置座標(X_(W)、Y_(W)、Z_(W))を自機を中心とした視点座標系における位置座標(X_(S)、Y_(S)、Z_(S))に変換する(ステップS10)。
【0083】次に視点座標系のX_(S)Y_(S) 平面における原点から敵機へのベクトルの向きをマーカーの向きとする(ステップS20)。なお、視点座標系における原点は自機の位置である。
【0084】そして、視点座標系における視線方向と的方向のベクトルのなす角(θ)を求め、θに応じてマーカーの長さを求める処理を行う(ステップS30)。」

(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。
「戦闘機ゲームであって、
3次元空間内の自機と敵機の位置関係をプレーヤが瞬時かつビジュアルに把握可能にするため、
ゲーム画像に敵機を指示するための目印として三角形のマーカーを表示し、ここで、自機と敵機の位置関係に応じてこの三角形のマーカーの向きが変化し、長さが伸び縮みして表示され、表示画像中に敵機が表示されていない場合でも、マーカーの向きと長さにより、敵機の3次元的な位置関係を把握することができ、
目印となるマーカーの向きと長さを決定する際、視点座標系の平面における原点から敵機へのベクトルの向きをマーカーの向きとし、視点座標系における視線方向と的方向のベクトルのなす角(θ)を求め、θに応じてマーカーの長さを求める処理を行う、戦闘機ゲーム。」

3 引用文献3
(1)当審拒絶理由1,2で引用され、原査定でも引用された引用文献3(国際公開第2014/162823号、原査定の引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0139] (応用例)
図31および図32は、本開示の一実施形態における視認可能範囲外にあるアノテーションの表示の応用例を示す図である。図示された例では、ウェアラブル端末200のユーザが見ている画像1200が画像1200aから画像1200b、さらに画像1200cへと変化する中で、アノテーションの表示が変化する。画像1200には、アノテーションとして、ポインタ1210と、方向表示1230と、コメント1220とが表示される。
[0140] なお、ポインタ1210は、上記のいくつかの例とは異なり、例えばユーザの注視領域を示すアイコンとして画像1200の中央付近に継続して表示される。ウェアラブル端末200のユーザは、例えばタブレット端末300のユーザによって入力されたアノテーションの対象(図示された例では鍋(PAN))がポインタ1210に入るように、方向表示1230によって誘導される。
[0141] 画像1200aおよび画像1200bでは、鍋(PAN)がユーザの視認可能範囲外にあるため、鍋のある方向を示す方向表示1230aおよび方向表示1230bが表示される。ユーザが方向表示1230に従って画像1200の表示範囲を移動させ、画像1200cで鍋を表示範囲に捉え、さらにポインタ1210の中に鍋を入れると、そこで初めてコメント1220が表示される。このときの画像1200cを、図32に別途示す。」

「[図31]



(2)上記(1)から、引用文献3(引用文献A)には、次の発明が記載されていると認められる。
「視認可能範囲外にあるアノテーションの表示において、ウェアラブル端末200のユーザが見ている画像1200が画像1200aから画像1200b、さらに画像1200cへと変化する中で、アノテーションの表示が変化し、画像1200には、アノテーションとして、ポインタ1210と、方向表示1230と、コメント1220とが表示され、
ポインタ1210は、ユーザの注視領域を示すアイコンとして画像1200の中央付近に継続して表示され、
画像1200aおよび画像1200bでは、鍋(PAN)がユーザの視認可能範囲外にあるため、鍋のある方向を示す方向表示1230aおよび方向表示1230bが表示され、ユーザが方向表示1230に従って画像1200の表示範囲を移動させ、画像1200cで鍋を表示範囲に捉え、さらにポインタ1210の中に鍋を入れると、そこで初めてコメント1220が表示される、
ウェアラブル端末200。」

第6 当審拒絶理由1の理由2及び当審拒絶理由2の理由1について
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明において、「CG生成部104」は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」るとともに、「生成したCG(仮想物体、ポインティングアノテーションなどすべて)を映像表示部106に出力し」、「ビデオシースルーHMDである映像表示部106は、CG生成部104によって生成されたCGをユーザの目の前に表示」するから、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」は、「ビデオシースルーHMD」に(電気的に)「接続される」ものであるといえる。
そして、引用発明の「ビデオシースルーHMD」に接続される「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」は、本願発明1の「ヘッドマウント・ディスプレイに接続されるコンピュータ」に相当する。

(イ)引用発明では、「ポインティングアノテーション」は、「仮想物体の面上の位置であるポインティング位置をポインティング位置とし、このポインティング位置を示す」ものであり、その一方で、引用発明の「CG生成部104」は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され、ユーザ視点位置姿勢計測部102から得られるユーザの視点の位置姿勢情報に基づき、仮想世界におけるユーザの視野を求め、ユーザの視野に入る部分のCGデータを取り出し、ユーザの視野に重なるCGを生成」するものであって、「生成したCG(仮想物体、ポインティングアノテーションなどすべて)を映像表示部106に出力」するから、「仮想物体」及び「ポインティングアノテーション」は、いずれも「仮想世界」の3次元空間内、すなわち「3次元仮想空間内」に配置された物体(「オブジェクト」)であり、また、「仮想物体」は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」により、「ポインティングアノテーション」の「ポインティング位置」を示す対象である「ターゲット・オブジェクト」として、それを配置する「位置」が「特定」されるといえる。
そうすると、引用発明は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」を、「3次元仮想空間内のターゲット・オブジェクトの位置を特定する特定手段」として「機能させ」るものである。

(ウ)引用発明において、「ユーザ視点位置姿勢計測部102は、位置姿勢計測装置の出力結果をもとに、ユーザの視点の位置姿勢を算出する機能を持ち、位置姿勢計測装置はHMDに内蔵されており、ユーザの頭部にHMDが固定されることにより、ユーザの視点の位置姿勢を位置姿勢計測装置の出力から算出でき」、「CG生成部104は、コンピュータのCPUやMPU等で実現され、ユーザ視点位置姿勢計測部102から得られるユーザの視点の位置姿勢情報に基づき、仮想世界におけるユーザの視野を求め、ユーザの視野に入る部分のCGデータを取り出し、ユーザの視野に重なるCGを生成」することは、換言すれば、ユーザの視点の位置にユーザの視線の方向へ向けて「仮想カメラを」設置したときの、当該「仮想カメラからの視線に基づく視界」を「決定する」ことであるといえる。
そうすると、引用発明は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」を、「ヘッドマウント・ディスプレイの動きに従って、仮想カメラからの視線に基づく視界を決定する視界決定手段」として「機能させ」るものである。

(エ)引用発明では、「ポインティングアノテーション」は、「仮想物体の面上の位置であるポインティング位置をポインティング位置とし、このポインティング位置を示す」ものであり、「ポインティングアノテーション」の「矢印の終点はユーザ視野平面に投影された他ユーザのポインティング位置」とするものであって、「ユーザBのポインティング対象物がユーザDの視野の外側にある」場合、「ユーザBのポインティングアノテーションは線分513で表示され(図5(b))」、「ユーザBのポインティング対象物(建物502)におけるポインティング位置がユーザDの視野の内側に移った」場合、「ユーザBのポインティングアノテーションは矢印522で示され(図5(c))」るものである。
ここで、「ユーザDの視野の内側」は、上記(ウ)で述べた、ユーザの視点の位置にユーザの視線の方向へ向けて「仮想カメラを」設置したときの、当該「仮想カメラからの視線に基づく視界」における、その「内側」であり、「ユーザBのポインティングアノテーションは矢印522で示され」るとは、当該「仮想カメラからの視線」の「方向」が変化した結果として、当該「視界」内の位置に、「矢印522で示され」る「ユーザBのポインティングアノテーション」が「配置」されることであるといえる。
また、上記(イ)のとおり、「ポインティングアノテーション」は、「3次元仮想空間内」に配置された物体(「オブジェクト」)であり、その一方で、引用発明の「CG生成部104」は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」、「生成したCG(仮想物体、ポインティングアノテーションなどすべて)を映像表示部106に出力」するものである。
そして、引用発明の「ポインティングアノテーション」は、「(3次元)で描画してもよ」いものであり、その「表示によりユーザDが、ユーザBのポインティング対象物を見るために、左方向を向けばよいことが分か」る、すなわちユーザを「誘導」する機能を有するから、本願発明1の「3次元の誘導オブジェクト」に相当する。
そうすると、引用発明は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」を、「前記3次元仮想空間内において、3次元の誘導オブジェクトを、前記仮想カメラの位置と前記視線の方向とターゲット・オブジェクトの位置とに基づいて決定される、前記視界内の位置に配置する配置手段」として「機能させ」るものである。

(オ)引用発明の「CG」は、本願発明1の「視界画像」に相当する。
よって、上記(ア)、(イ)も踏まえると、引用発明は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」を、「前記3次元仮想空間の視界画像を生成して、前記ヘッドマウント・ディスプレイに表示させる表示制御手段」として「機能させ」るものである。

(カ)引用発明は、「機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをシステムのコンピュータが読出し実行する」ものであるところ、当該「プログラムコード」が「実現する」「機能」に、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」の「機能」が含まれることが明らかである。
そうすると、上記「プログラムコード」は、「コンピュータのCPUやMPU等で実現され」る「CG生成部104」を、上記(イ)?(オ)の各「手段」として「機能させ」るものである。
また、上記(エ)の「誘導」する機能を踏まえると、上記「プログラムコード」は、「視線誘導のためのコンピュータ・プログラム」に相当する。

イ したがって、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「ヘッドマウント・ディスプレイに接続されるコンピュータを、
3次元仮想空間内のターゲット・オブジェクトの位置を特定する特定手段、
ヘッドマウント・ディスプレイの動きに従って、仮想カメラからの視線に基づく視界を決定する視界決定手段、
前記3次元仮想空間において、3次元の誘導オブジェクトを、前記仮想カメラの位置と前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの位置とに基づいて決定される、前記視界内の位置に配置する配置手段、
前記3次元仮想空間の視界画像を生成して前記ヘッドマウント・ディスプレイに表示させる表示制御手段、
として機能させる、
視線誘導のためのコンピュータ・プログラム。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点)
本願発明1では、
「前記配置手段が、更に、
前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度が所与の第1角の範囲外にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間に配置し、前記第1角の範囲内にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置に配置し、
前記仮想カメラから前記誘導オブジェクトまでの距離に応じて前記誘導オブジェクトの大きさを動的に変化させる」
のに対し、引用発明では、「CG生成部104」が「生成」する「ポインティングアノテーション」が、「ユーザBのポインティング対象物がユーザDの視野の外側にある場合、ユーザBのポインティングアノテーションは線分513で示され」、「ユーザBのポインティング対象物(建物502)におけるポインティング位置がユーザDの視野の内側に移ったため、ユーザBのポインティングアノテーションは矢印522で示され」、「ポインティングの状態を基準としてポインティングアノテーションを色分けし、色分けするポインティングの状態としては、ポインティング位置が視野内にあって観察可能である状態(図5(b)の矢印511)、視野外にあるが視線を変更すれば観察できる状態(図5(b)の線分513)が挙げられ」る、というものである点。

(2)判断
そこで、相違点について検討する。
上記相違点における、仮想カメラから誘導オブジェクトまでの距離に応じて、誘導オブジェクトの大きさを動的に変化させることは、当審拒絶理由1,2で引用された引用文献1?3のいずれにも記載されておらず、本願の原出願日前において周知技術であったとも認められない。
引用発明の「ポインティングアノテーション」は、仮想カメラ(「仮想世界」における「ユーザの視点」の位置)からの距離に応じて大きさが変化させられるものではない。
また、引用文献2,3には、それぞれ上記第5の2(2),(3)の発明が記載されていると認められるが、それらの発明においても同様に、「アノテーション」、「マーカー」は、仮想カメラからの距離に応じて大きさが変化させられるものではない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?11について
本願発明2?9は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明10,11は、それぞれ本願発明1に対応する「コンピュータ」、「方法」の発明であり、いずれも上記相違点に対応する発明特定事項を含む。
そうすると、本願発明2?11も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由1の理由2及び当審拒絶理由2の理由1は解消した。

第7 当審拒絶理由1の理由1、当審拒絶理由2の理由2、及び当審拒絶理由3について
令和2年12月15日、令和3年4月21日及び令和3年6月4日にそれぞれ提出された手続補正書による補正を経て、請求項1は、「ヘッドマウント・ディスプレイに接続されるコンピュータを、・・・特定手段、・・・視界決定手段、・・・配置手段、表示制御手段として機能させ」るとの記載を含むものとなっている。
また、同じく請求項1は、「前記仮想カメラに関し、前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間の角度が所与の第1角の範囲外にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間に配置し、前記第1角の範囲内にある場合に、前記誘導オブジェクトを前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間から外れた位置に配置する」する旨の記載、及び「前記仮想カメラから前記誘導オブジェクトまでの距離に応じて前記誘導オブジェクトの大きさを動的に変化させる」との記載を含むものとなっており、請求項10,11も同様の記載を含むものとなっている。
更に、請求項5は、「前記仮想カメラの位置に関し、前記誘導オブジェクトが前記視線の方向と前記ターゲット・オブジェクトの方向との間にある場合に、前記視線の方向から前記ターゲット・オブジェクトの方向に向けて所与の第2角を成す位置に前記誘導オブジェクトを配置する」との記載を含むものとなっている。
以上のことから、当審拒絶理由1の理由1、当審拒絶理由2の理由2、及び当審拒絶理由3はいずれも解消した。

第8 原査定について
原査定における引用文献Aは、引用文献3に同じであり、本願発明1?11が引用文献1?3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは、上記第6のとおりであるから、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-08-24 
出願番号 特願2016-110508(P2016-110508)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 林 毅
富澤 哲生
発明の名称 視線誘導のためのコンピュータ・プログラム  
代理人 高木 貴子  
代理人 小田 直  
代理人 高岡 亮一  
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