ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65G |
---|---|
管理番号 | 1377370 |
審判番号 | 不服2020-7576 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-03 |
確定日 | 2021-09-14 |
事件の表示 | 特願2015-170606「非接触型物品識別機構、情報集計装置及び物流管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月9日出願公開、特開2017-47986、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年8月31日の出願であって、令和1年5月15日付けで拒絶理由通知がされ、令和1年9月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和2年2月25日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年6月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和3年2月26日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和3年5月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の拒絶理由の概要は次のとおりである。 本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献Aに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、また、請求項2?7に係る発明は、以下の引用文献A及びBに基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2009-155108号公報 B.特開2012-69028号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 本願の請求項1係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、当業者が容易に発明できたものであり、また、請求項2?6に係る発明は、以下の引用文献1?3に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2009-155108号公報(拒絶査定時の引用文献A) 2.特開2004-94556号公報(当審において新たに引用した文献) 3.特開2012-69028(拒絶査定時の引用文献B) 第4 本願発明 本願の請求項1?6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、令和3年5月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 非接触型情報記録媒体が貼付又は添付された単数或いは複数の個品が収容された梱包品又は容器に貼付或いは添付された非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体の情報を識別可能な非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体識別手段と、 前記梱包品又は容器が載置された状態で移動可能な移動手段と、 前記移動手段を内部に備え、前記単数或いは複数の個品に貼付或いは添付された前記非接触型情報記録媒体の識別の弊害を防止する金属製或いは識別の弊害を防止する物質又は構造の遮蔽体と、 前記単数或いは複数の個品に貼付又は添付された非接触型情報記録媒体の情報を識別可能な誘導電磁界又は電波を送受信する第1のアンテナを前記遮蔽体に備えた第1の非接触型情報記録媒体識別手段と、 前記非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報と、前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報とを照合する照合手段と、 前記照合手段による照合結果に不整合が検出された場合に、前記非接触型情報記録媒体の情報を識別可能な誘導電磁界又は電波を送受信する、追加された第2のアンテナを前記遮蔽体内であって前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段の下流に備えた第2の非接触型情報記録媒体識別手段を用いて前記非接触型情報記録媒体の情報を再読取りする再読取り手段であって、前記第2のアンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置は前記第1のアンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置から変更され、前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段によって前記非接触型情報記録媒体の情報が識別される際と前記第2の非接触型情報記録媒体識別手段によって前記非接触型情報記録媒体の情報が識別される際とで前記遮蔽体内の前記移動手段と前記非接触型情報記録媒体との相対位置に変動がない、再読取り手段と、 を具備することを特徴とする非接触型物品識別機構。 【請求項2】 前記再読取り手段は、前記第2の非接触型情報記録媒体識別手段による識別時間を、前記照合手段で不整合が検出される前の前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段における識別時間から変更したものとすることを特徴とする請求項1に記載の非接触型物品識別機構。 【請求項3】 前記再読取り手段は、前記照合手段で不整合が検出される前の前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段における識別時間を1とすると、前記照合手段で不整合が検出される後の前記第2の非接触型情報記録媒体識別手段における識別時間を略1.5?略3.0に変更することを特徴とする請求項2に記載の非接触型物品識別機構。 【請求項4】 前記再読取り手段は、前記照合手段で不整合が検出される前の前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段における前記非接触型情報記録媒体と前記第1のアンテナとの相対的位置関係を0°とすると、前記照合手段で不整合が検出される後の前記第2の非接触型情報記録媒体識別手段における前記非接触型情報記録媒体と前記第2のアンテナとの相対的位置関係を略±15°?略±90°に変更することを特徴とする請求項2乃至3のいずれか一つに記載の非接触型物品識別機構。 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の非接触型物品識別機構を備えたことを特徴とする、情報集計装置。 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の非接触型物品識別機構を備えたことを特徴とする、物流管理システム。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 当審拒絶理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。 「【0001】 本発明は、コンベアやフォークリフトなどの搬送手段により荷物を搬送しながら当該荷物が有するRFIDタグと通信して検品する構成の検品システムに関する。」 「【0003】 上記のように搬送車での荷物の運搬途中でRFIDタグを利用して検品する場合、通信距離の長いUHF帯のRFIDタグシステムが使用される。UHF帯のRFIDタグシステムは、通信距離が長い半面、電波が遠くまで到達するので、反射波の影響が大きくなってくる。具体的には、アンテナから直接到達した電波の位相と、反射波の位相が180度ずれていた場合には、その空間の位置では、電波が打ち消されて読み取りができないボイド領域となる。UHF帯のRFIDタグシステムに用いられる電波の周波数は960MHzで、その波長は32cm程度である。従って、単純な反射を考えると、30cm程度置きに電波のボイド領域が生ずることになる。 【0004】 このボイド領域にあるRFIDタグは、環境が変わらない限り何度リトライしても読み取りをすることができない。このような場合には、RFIDタグを移動させてボイド領域から離脱させることで読み取りが可能となる。フォークリフトによる搬送では、フォークリフトが走行途中で読取装置のアンテナの前を通過するので、通常は、RFIDタグが必ず読み取り可能領域を通ることとなって読み取り不能となることはない。しかしながら、ボイド領域が大きい場合には、RFIDタグの書き込み情報を読み取るために必要な通信時間の間、読み取り可能領域に止まることができず、フォークリフトが通過してしまうため、このような場合には、読み取り不能となる確率が高くなる。 【0005】 このような読み取り不能となる場合が生ずることは、フォークリフトで搬送する場合に限られず、コンベアで搬送する場合、台車で搬送する場合など、搬送手段によって搬送する場合に生ずる共通の問題である。 【0006】 本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、搬送手段に積載された全ての荷物のRFIDタグと通信できる検品システムを提供することにある。」 「【0061】 <第6の実施形態> 図16?図25は、本発明の第6の実施形態を示す。この実形態は、例えば製造工場における入荷管理と出荷管理に適用したものである。図16は製造工場における入荷物と出荷物の搬送経路を概略的に示しており、入荷物は、例えばローラコンベアからなる搬入側コンベア45により矢印G方向に搬送されて自動倉庫に納められる。工場からの出荷物は、自動倉庫から例えばローラコンベアからなる搬出側コンベア46により矢印H方向に搬送されて外部に送り出される。 【0062】 図17は上記入荷物を示す。この入荷物は、工場での製造のための原材料や部品或いは半組立製品などの物品47が収納された包装容器48を梱包容器49内に複数個収納したものである。包装容器48は荷物50として扱われ、この包装容器48には、内部に収納した物品47の種類(品名)、製造会社名、製造年月日などの物品情報(荷物情報)を記録したRFIDタグ51が貼り付けられている。また、梱包容器49には、内部に収納した荷物50の種類、収納個数、出荷日、出荷元名称などの出荷情報を記録した二次元コードとしてのバーコード(記録媒体)52が貼り付けられている。」 「【0064】 上記搬入側コンベア45および搬出側コンベア46の途中には、搬入側検品ステーション53および搬出側検品ステーション54が設置されている。搬入側検品ステーション53は、入荷物が注文した通りであるか否かを検品するためのものであり、搬出側検品ステーション54は、出荷物が受注した通りであるか否かを検品するためのもので、検品装置を兼用する読取装置55(図20参照)および読取装置56(図23参照)を主体として構成されている。 【0065】 搬入側検品ステーション53の読取装置55も、第1の実施例の読取装置10と同様の構成で、図20に示すように、制御部57、記憶部(記憶手段)58、送信部59、受信部60およびアンテナ装置61を備えている。アンテナ装置61は、入荷物のRFIDタグ51に電波を送信する送受信兼用のアンテナ62?64を備えている。 【0066】 上記アンテナ62?64は、図18(a)にも示すように、搬入側検品ステーション53に搬入側コンベア45を跨ぐように設置されたトンネル状胴体66の内面に設置されている。このトンネル状胴体66の天井面に設置されたアンテナ62は天井面に直角な方向に移動可能に支持され、トンネル状胴体66の左右の各内面に設置されたアンテナ663,64は左右各内面に直角な方向に移動可能に支持されている。 【0067】 このようにアンテナ62?64を内側に配設したトンネル状胴体66の内部は、RFIDタグ51との通信エリアとなる。そして、この通信エリア内にであるトンネル状胴体66内を通過するRFIDタグ51以外のRFIDタグタグと通信することを防止するために、トンネル状胴体66は、例えばアルミ材、鉄材などの電波シールド材、電波吸収材などによって構成されている。また、トンネル状胴体66の入口および出口には、同じく電波シールド材、電波吸収材などによって構成されたシールドカーテン65(出口側のもののみ図示)が設けられている。 【0068】 上記各アンテナ62?64は、電動によって移動されるようになっている。つまり、トンネル状胴体66の天井面および左右両内面には、図19に示すラック67とアンテナ移動用モータ68が設けられており、各アンテナ62?64はラック67に取着され、このラック67にアンテナ移動用モータ68によって回転されるピニオン69が噛合されている。したがって、アンテナ移動用モータ68が起動すると、アンテナ62?64がラック67とピニオン69によって直線的に移動される。 【0069】 搬入側検品ステーション53内のコンベアは、回転コンベア(可動積載部)70によって構成されている。この回転コンベア70は、図18(b)に示すように、固定台71上にローラコンベア(テーブル)72を回転可能に配設して構成され、図21に示すターン用モータ73によって回転駆動される(以上、回転機構)。図21は搬入側コンベア45および回転コンベア70の制御構成を示すもので、その制御部(可動積載部制御手段)74は、搬入側コンベア45のローラ45aをチェーン伝動機構(図示せず)を介して回転させるローラ用モータ75、ターン用モータ73、回転コンベア70のローラ72aをチェーン伝動によって回転させるローラ用モータ76を制御する。また、制御部74は、前記搬入側の読取装置55の制御部57に接続されている。」 「【0074】 上記搬入側検品ステーション53および搬出側検品ステーション54のトンネル状胴体66および86には、検品結果を報知するための報知器(報知手段)94および95が作業者から見得るように取り付けられている。この報知器94,95は、検品の正常終了を示す青ランプ94a,95aと検品の異常終了を報知する赤ランプ94b,95bを備えており、図20および図23に示すように搬入側の読取装置55および搬出側の読取装置56に接続されている。 【0075】 また、上記搬入側検品ステーション53の上流側および搬出側検品ステーション54の下流側には、図20および図22に示すように、入荷物の梱包容器49に貼り付けられたバーコード52を光学的に読み取るバーコードリーダ96およびバーコードを印刷して出荷物の梱包容器5に貼り付けるバーコード印刷貼付装置97が設置されている。これらバーコードリーダ96およびバーコード印刷貼付装置97は、搬入側の読取装置55および搬出側の読取装置56に接続されている。更に、搬入側および搬出側の両読取装置55および56は、工場のデータベースサーバ98に接続されている。 【0076】 上記構成において、工場への入荷管理を図24のフローチャートをも参照しながら説明する。工場に梱包容器49が運送されてくると、その梱包容器49は、搬入側コンベア45に載せられ、回転するローラ45aによって矢印G方向に搬送される。そして、梱包容器49がトンネル状胴体66内に搬入される手前の位置で、バーコードリーダ96が梱包容器49に貼り付けられているバーコード52を読み取り、読み取った情報を読取装置55へ送信する(ステップH1)。 【0077】 読取装置55は、バーコード52の記録情報(出荷情報)を受けると、データベースサーバ98にアクセスして当該データベースサーバ98に予め登録されている入荷情報、つまり本日の入荷予定データを取得する(ステップH2)。次いで、制御装置55は、データベースサーバ98の入荷予定データの中に、バーコード52から読み取った内容と一致する入荷物が存在するか否かを判断し(ステップH3)、存在していない場合(ステップH3で「NO」)には、報知器94の赤ランプ94bを点灯させると共に、データベースサーバ98にバーコード52に記録された情報の入荷物を返品する旨を登録する(ステップH15)。そして、返品すべき梱包容器49は、トンネル状胴体66をそのまま通過して搬入側コンベア45により返品ステーションへと搬出される。 【0078】 データベースサーバ98の入荷予定データの中に、バーコード52から読み取った内容と一致する入荷物が存在する場合(ステップH3で「YES」)には、制御装置55は、一括読取りの回数カウンタNをゼロクリアする(ステップH4)。 そして、梱包容器49がトンネル状胴体66内の回転コンベア70のローラコンベア72上に搬入されると、この搬入が光センサなどの搬入検出センサ(図示せず)により検出される。すると、制御装置55は、コマンドを生成し(コマンド生成手段)当該コマンドをコンベアの制御部74に送信して回転コンベア70のローラ用モータ76を停止させ、梱包容器49をトンネル状胴体66内に一時停止させる。 【0079】 次いで、制御装置55は、アンテナ62?64から一括読取信号を送信し、各荷物50のRFIDタグ51から送信されてくる応答信号を受信して当該RFIDタグ51に記録された荷物情報を読み取る。そして、制御装置55は、荷物情報を読み取ったRFIDタグ51の個数が梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と一致しているか否かを判断する(ステップH6:判断手段)。 【0080】 読み取ったRFIDタグ51の個数が梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と一致している場合(ステップH6で「YES」)、制御装置55は、RFIDタグ51の荷物情報と、データベースサーバ98から取得した入荷予定データ中の該当する荷物情報と一致することを判断(検品)した上で報知器94の青ランプ94aを点灯させて正常終了を報知し、且つデータベースサーバ98に入荷登録を行う(ステップH7)。そして、制御装置55は、コンベアの制御部74を介して回転コンベア70のローラ用モータ76を回転させて梱包容器49をトンネル状胴体66内から搬出させる。トンネル状胴体66内から搬出された梱包容器49は、搬入側コンベア45によって工場内の自動倉庫へと搬送される。 【0081】 読み取ったRFIDタグ51の個数が梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と一致していなかった場合(ステップH6で「NO」)、制御装置55は、再読取りを行う。この再読取りは合計3回行われる。即ち、再読み取りを行う前に、制御装置55は、読取り回数カウンタNをインクリメントする。1回目の再読取りでは(N=1)、制御装置55は、コンベアの制御部74にコマンドを送り、ターン用モータ73を起動させてローラコンベア72を固定台71上で回転させる(ステップH9で「NO」、ステップH10で「YES」、ステップH11)。これにより、荷物50のRFIDタグ51の位置や向きが変化する。この状態で制御装置55は、アンテナ62?64から一括読取信号を送信して梱包容器49内のRFIDタグ51と通信する(ステップH5)。 【0082】 この1回目の再読取りで残りのRFIDタグ51の全部と通信できなかった場合(ステップH6で「NO」)、2回目の再読取りが行われる。この2回目の再読取りでは、制御装置55は、アンテナ移動用モータ68を正逆回転させてアンテナ62?64を梱包容器49に接近および離間させながら行う(ステップH8、ステップH9で「NO」、ステップH10で「NO」、ステップH12で「YES」、ステップH13、ステップH5)。 【0083】 2回目の再読取りで残りのRFIDタグ51の全部と通信できなかった場合(ステップH6で「NO」)、3回目の再読取りを行う。3回目の再読取りでは、制御装置55は、コンベアの制御部74にコマンドを送り、ターン用モータ73を起動させてローラコンベア72を回転させ、且つアンテナ移動用モータ68を正逆回転させてアンテナ62?64を梱包容器49に接近および離間させながら行う(ステップH8、ステップH9で「NO」、ステップH10で「NO」、ステップH12で「NO」、ステップH14、ステップH5)。 【0084】 各回の再読み取りで、梱包容器49内の全てのRFIDタグ51と通信できた場合、制御装置55は、前述のように、報知器94の青ランプ94aを点灯させて正常終了を報知し、且つデータベースサーバ98に入荷登録を行う(ステップH7)。その後、梱包容器49はトンネル状胴体66内から搬出され、搬入側コンベア45によって工場内の自動倉庫へと搬送される。 【0085】 再読取りを3回実行しても全RFIDタグ51と通信できなかった場合、制御装置55は、報知器94の赤ランプ94bを点灯させると共に、データベースサーバ98にバーコード52に記録された情報の入荷物を返品する旨を登録する(ステップH9で「YES」、ステップH15)。そして、返品すべき梱包容器49は、トンネル状胴体66から搬出され、搬入側コンベア45により返品ステーションへと搬送される。」 【図17】 「 」 【図18】 「 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「RFIDタグ51が貼付されている包装容器48(荷物50)を複数内部に収納した梱包容器49に貼付された出荷情報を記録したバーコード52を読み取るバーコードリーダ96と、 梱包容器49が載置された状態で、回転するローラ45aによって梱包容器49を搬送する搬入側コンベア45と、 回転コンベア70を内部に備え、電波シールド材、電波吸収材などによって構成されているトンネル状胴体66と、 RFIDタグ51へ電波を送信し、又、RFIDタグからの電波を受信する送受信兼用のアンテナ62?64をトンネル状胴体66に備え、荷物情報を読み取る制御装置55と、 また、制御装置55は、梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と、読み取られた荷物情報(RFIDタグ51の個数)とが一致しているか否かを判断する判断手段を備え、 さらに、制御装置55は、読み取ったRFIDタグ51の個数が梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と一致していなかった場合、回転コンベア70により荷物50のRFIDタグ51の位置や向きを変化させ、アンテナ62?64で再読取りを行うものである、 検品システム。」 2.引用文献2及び3について (1)引用文献2 当審拒絶理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、物品を検品する検品装置に関し、特に、物品に貼付された非接触型ICラベル等のRFIDメディアから情報を読み出し、この読み出した情報を用いて検品を行う検品装置に関する。」 「【0016】 しかしがら、上述したような従来の検品装置においては、物品等の搬送経路上に設置されるゲートには、リーダ/ライタのアンテナが予め決められた方向に対向するように取り付けられているため、非接触型ICラベルの物品に対する貼付面によっては、物品がゲートを通過した場合であっても非接触型ICラベルに書き込まれた情報が読み出されなくなってしまう虞れがある。 【0017】 また、物品に貼付された非接触型ICラベルとリーダ/ライタのアンテナとの間に金属が介在した場合、非接触型ICラベルとリーダ/ライタのアンテナとが対向していたとしても、非接触型ICラベルに書き込まれた情報がリーダ/ライタによって読み出すことができないという問題点がある。 【0018】 本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、物品に貼付された非接触型ICラベルに書き込まれた物品に関する情報を読み出し、この読み出した情報を用いて物品の検品を行う検品装置であって、非接触型ICラベルが物品のどの面に貼付されている場合であっても正確に検品を行うことができる検品装置を提供することを目的とする。」 「【0034】 本形態は図1及び図2に示すように、非接触型ICラベル1が貼付された物品2をトレイ3に搭載した状態で搬送するコンベヤー40a?40iと、コンベヤー40a上を搬送されてきた物品2の重量を計測するための重量計測器20と、物品2の搬送経路上に設けられ、重量計測器20にて重量が計測された物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報を読み出す情報読出手段であるリーダ/ライタ11a-1?11a-3が取り付けられた第1のゲート10aと、重量計測器20における計測結果及びリーダ/ライタ11a-1?11a-3における読み出し結果に基づいて物品2の搬送経路を切り換える第1の切換手段である切換器30aと、コンベヤー40f上を搬送されてきた物品2が搭載された場合に回転する回転テーブル50と、回転テーブル50を囲むように設けられ、回転テーブル50上に搭載された物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報を読み出す情報読出手段であるリーダ/ライタ11b-1?11b-8が取り付けられた第2のゲート10bと、重量計測器20における計測結果及びリーダ/ライタ11b-1?11b-8における読み出し結果に基づいて物品2の搬送経路を切り換える第2の切換手段である切換器30bと、重量計測器20における計測結果及びリーダ/ライタ11a-1?11a-3における読み出し結果に基づいて切換器30aを制御するとともに、重量計測器20における計測結果及びリーダ/ライタ11b-1?11b-8における読み出し結果に基づいて切換器30bを制御する制御部60とから構成されている。」 「【0037】 まず、非接触型ICラベル1が貼付された物品2をトレイ3に搭載し、コンベヤー40a上に搭載すると、物品2がトレイ3に搭載された状態でコンベヤー40a上を搬送されていく。ここで、非接触型ICラベル1には、物品2毎に異なる物品IDと、物品2の重量情報とが予め書き込まれている。また、トレイ3には、トレイ3毎に異なるトレイIDと、トレイ3の重量情報が書き込まれた非接触型ICラベル3aが貼付されている。 【0038】 物品2がトレイ3に搭載された状態でコンベヤー40a上を搬送されていき、重量計測器20上に搭載されると、重量計測器20において、トレイ3に搭載された物品2の総重量が計測され、制御部60に通知される(ステップS1)。この際、重量計測器20にて計測される重量には、トレイ3の重量も当然含まれる。 【0039】 また、ゲート10aに取り付けられたリーダ/ライタ11a-1?11a-3において、物品2に貼付された非接触型ICラベル1及びトレイ3に貼付された非接触型ICラベル3aに書き込まれた情報が読み出され、制御部60に通知される(ステップS2)。ここで、ゲート10aには、図1に示すような3方向にリーダ/ライタ11a-1?11a-3が取り付けられており、これらのリーダ/ライタ11a-1?11a-3のうち少なくとも1つにて情報が読み出された場合、その情報が制御部60に通知される。また、トレイ3に貼付された非接触型ICラベル3aは、リーダ/ライタ11a-1?11a-3のうち少なくとも1つに対向するように貼付されており、そのため、トレイ3に貼付された非接触型ICラベル3aに書き込まれた情報は、ゲート10aにて必ず読み出されることになる。一方、物品2に貼付された非接触型ICラベル1においては、物品2に対する貼付面や物品2のトレイ3上における搭載状態等から、ゲート10aにて必ず読み出されるとは限らない。 【0040】 そこで、制御部60において、重量計測器20における計測結果とゲート10aにおける読み出し結果とに基づいて、トレイ3に搭載された物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報がゲート10aにて全て読み出されたかどうかが判断される(ステップS3)。」 「【0046】 ステップS11にて算出された物品2の総重量と、ステップS12にて算出された総重量とが一致している場合は、トレイ3上に搭載された全ての物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報が読み出されたと判断され、物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報に基づいて検品が行われるとともに、制御部60の制御によって切換器30aが、コンベヤー40b上を搬送されてきた物品2がコンベヤー40c上に搬送されるように切り換えられ(ステップS4)、それにより、コンベヤー40b上を搬送されてきた物品2が、コンベヤー40c,40d,40e,40hによって搬送されていく。 【0047】 また、ステップS11にて算出された物品2の総重量と、ステップS12にて算出された総重量とが一致していない場合は、トレイ3上に搭載された物品2のうち少なくとも1つの物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報が読み出されていないと判断され、制御部60の制御によって切換器30aが、コンベヤー40b上を搬送されてきた物品2がコンベヤー40f上に搬送されるように切り換えられ(ステップS5)、それにより、コンベヤー40b上を搬送されてきた物品2が、コンベヤー40f上を搬送され、回転テーブル50上に搭載される(ステップS6)。 【0048】 回転テーブル50は、トレイ3上に搭載された物品2の搬送面を回転面として回転しており、また、その回転テーブル50を取り囲むように、トレイ3上に搭載された物品2の搬送方向と垂直方向を径方向とする環状のゲート10bが設けられている。また、このゲート10bには、その円周上に、複数のリーダ/ライタ11b-1?11b-8がそれぞれ回転テーブル50に対向する向きで取り付けられている。なお、ゲート10bの形状及びゲート10bに取り付けられるリーダ/ライタの数は、これに限らず、リーダ/ライタが回転テーブル50に対向するように取り付けられていればよく、さらには、物品2の搬送面に対向する領域と、物品2の搬送面上にて物品2の搬送方向に対して垂直方向となる領域との3つの領域にリーダ/ライタが取り付けられていることが好ましい。さらには、図1に示したように、ゲート10bの円周上にて等間隔に8方向から回転テーブル50に対向するようにリーダ/ライタ11b-1?11b-8を設けることが好ましい。 【0049】 トレイ3上に搭載された物品2が回転テーブル50上に搭載されると、トレイ3上に搭載された物品2が回転テーブル50の回転動作に伴って回転する。この状態にて、ゲート10bに取り付けられたリーダ/ライタ11b-1?11b-8において、物品2に貼付された非接触型ICラベル1及びトレイ3に貼付された非接触型ICラベル3aに書き込まれた情報が読み出され、制御部60に通知される(ステップS7)。ここで、ステップS7における情報の読み出し処理においては、リーダ/ライタ11b-1?11b-8がそれぞれ回転テーブル50に対向する向きで取り付けられているとともに、トレイ3及びこのトレイ3上に搭載された物品2が回転テーブル50の回転動作に伴って回転するため、物品2がどのような向きでトレイ3上に搭載されていても、物品2に貼付された非接触型ICラベル1は、回転テーブル50が1周する間にいずれかのリーダ/ライタ11b-1?11b-8と対向するようになり、少なくとも対向したリーダ/ライタ11b-1?11b-8にて情報が確実に読み出されることになる。 【0050】 制御部60においては、重量計測器20における計測結果とゲート10bにおける読み出し結果とに基づいて、トレイ3に搭載された物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報がゲート10bにて全て読み出されたかどうかが判断される(ステップS8)。ここで、制御部60においては、上述したように、重量計測器20における計測結果が、トレイIDと対応づけて管理されている。そのため、トレイ3に貼付された非接触型ICラベル3aに書き込まれたトレイIDがリーダ/ライタ11b?1?11b?8にて読み出されると、このトレイIDと対応づけられた重量情報が検出され、この重量情報と、物品2に貼付された非接触型ICラベル1からゲート10bにて読み出された物品の重量に関する情報によって算出される総重量とに基づいて、トレイ3に搭載された物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報がゲート10bにて全て読み出されたかどうかが判断されることになる。 【0051】 トレイ3に搭載された物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報がゲート10bにて全て読み出されたと判断された場合は、物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報に基づいて検品が行われるとともに、制御部60の制御によって切換器30bが、コンベヤー40g上を搬送されてきた物品2がコンベヤー40h上に搬送されるように切り換えられ(ステップS9)、それにより、コンベヤー40g上を搬送されてきた物品2が、コンベヤー40hによって搬送されていく。 【0052】 また、トレイ3上に搭載された物品2のうち少なくとも1つの物品2に貼付された非接触型ICラベル1に書き込まれた情報が読み出されていないと判断された場合は、検品エラーとされ、制御部60の制御によって切換器30bが、コンベヤー40g上を搬送されてきた物品2がコンベヤー40i上に搬送されるように切り換えられ(ステップS10)、それにより、コンベヤー40g上を搬送されてきた物品2が、コンベヤー40i上を搬送されていく。」 【図1】 「 」 したがって、上記引用文献2には次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 [引用文献2に記載の技術的事項] 「非接触型ICラベル1(本願発明1の「非接触型情報記録媒体」に相当する。以下、かっこ内は同様である。)が貼付され、トレイ3に搭載された複数の物品2について、第1段目であるゲート10aに取り付けられたリーダ/ライタ11a-1?11a-3(第1の非接触型情報記録媒体識別手段)において、物品の非接触型ICラベル1の全てを読み取ることができなかったと判断された場合、ゲート10aの下流のゲート10bに取り付けられたリーダ/ライタ11b-1?11b-8(第2の非接触型上記記録媒体識別手段)によって、リーダ/ライタ11b-1?11b-8と非接触型ICラベル1との相対的位置を変更して再読取りを行う手段を設けた検品装置(非接触型物品識別機構)。」 (3)引用文献3 引用文献3の段落【0077】?【0088】及び【図9】の記載から、引用文献3には、無線ICタグを読み取るリーダ・ライタの読取り時間を段階的に長くしていくことにより、無線ICタグを読み取る感度が調整できることが示唆されているといえる。 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「RFIDタグ51」は、本願発明1の「非接触型情報記録媒体」に相当する。 以下同様に、 「包装容器48」又は「荷物50」は、「個品」に、 「梱包容器49」は、「梱包品又は容器」に、 「バーコード52」は、「非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体」に、 「バーコードリーダ96」は、「非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体識別手段」に相当する。 引用発明の「搬入側コンベア45」と「回転コンベア70」は、それぞれ梱包容器49を載置された状態で搬送(移動可能に)するものであるから、両者で本願発明1の「移動手段」に相当する。 引用発明の「電波シールド材、電波吸収体など」及び「トンネル状胴体66」は、それぞれ、本願発明1の「非接触型情報記録媒体の識別の弊害を防止する金属製或いは識別の弊害を防止する物質又は構造」及び「遮蔽体」に相当する。 引用発明の「アンテナ62?64」は、本願発明1の「第1のアンテナ」との対比において「アンテナ」の限度で共通する。 引用発明の「アンテナ62?64」を備えた「トンネル状胴体66」は、RFIDタグ51との間で送受信を行うものなので、本願発明1の「第1の非接触型情報記録媒体識別手段」との対比において、「非接触型情報記録媒体識別手段」の限度で共通する。 引用発明の「梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数」は、本願発明1の「前記非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報」に相当する。 引用発明の「読み取られた荷物情報(RFIDタグ51の個数)」は、本願発明1の「前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報」との対比において、「前記非接触型情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報」との限度で共通する。 引用発明の「制御装置55」の「判断手段」は、その機能からみて、本願発明1の「照合手段」に相当する。 引用発明の「読み取ったRFIDタグ51の個数が梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と一致していなかった場合」は、本願発明1の「前記照合手段による照合結果に不整合が検出された場合」に相当する。 引用発明の「アンテナ62?64」は、RFIDタグ51の再読取りを行うものでもあるから、本願発明1の「追加された第2のアンテナ」との対比において、「アンテナ」との限度で共通する。 引用発明は、「読み取ったRFIDタグ51の個数が梱包容器49のバーコード52に記録された梱包容器49の収納個数と一致していなかった場合、荷物50のRFIDタグ51の位置や向きを変化させ、アンテナ62?64で再読取りを行うものである」ところ、上記引用発明の「アンテナ62?64」と本願発明1の「第1のアンテナ」及び「追加された第2のアンテナ」との関係をふまえると、引用発明の「荷物50のRFIDタグ51の位置や向きを変化させ」ることは、本願発明1の「前記第2のアンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置は前記第1のアンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置から変更される」こととの対比において、「前記アンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置が変更される」との限度で共通する。 引用発明の「アンテナ62?64で再読取りを行う」ことは、本願発明1の「追加された第2のアンテナを前記遮蔽体内であって前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段の下流に備えた第2の非接触型情報記録媒体識別手段を用いて前記非接触型情報記録媒体の情報を再読取りする」こととの対比において、「非接触型情報記録媒体識別手段を用いて前記非接触型情報記録媒体の情報を再読取りする」との限度で共通する。 引用発明の「制御手段55は」、「再読取りを行う」ことは、本願発明1の「再読取り手段と」「を具備する」ことに相当する。 最後に、引用発明の「検品システム」は、本願発明1の「非接触型物品識別機構」に相当する。 以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「非接触型情報記録媒体が貼付又は添付された単数或いは複数の個品が収容された梱包品又は容器に貼付或いは添付された非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体の情報を識別可能な非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体識別手段と、 前記梱包品又は容器が載置された状態で移動可能な移動手段と、 前記移動手段を内部に備え、前記単数或いは複数の個品に貼付或いは添付された前記非接触型情報記録媒体の識別の弊害を防止する金属製或いは識別の弊害を防止する物質又は構造の遮蔽体と、 前記単数或いは複数の個品に貼付又は添付された非接触型情報記録媒体の情報を識別可能な誘導電磁界又は電波を送受信するアンテナを前記遮蔽体に備えた非接触型情報記録媒体識別手段と、 前記非接触情報記録媒体又は印刷情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報と、前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段によって集計された識別情報とを照合する照合手段と、 前記照合手段による照合結果に不整合が検出された場合に、前記非接触型情報記録媒体識別手段を用いて前記非接触型情報記録媒体の情報を再読取りする再読取り手段であって、前記アンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置が変更されて再読取りを行う、再読取り手段と、 を具備する非接触型物品識別機構。」 [相違点] 本願発明1は、「前記照合手段による照合結果に不整合が検出された場合に」、「前記非接触型情報記録媒体の情報を識別可能な誘導電磁界又は電波を送受信する、追加された第2のアンテナを前記遮蔽体内であって前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段の下流に備えた第2の非接触型情報記録媒体識別手段」を備え、当該第2の非接触型情報記録媒体識別手段を用いて「前記第2のアンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置は前記第1のアンテナと前記非接触型情報記録媒体との相対的位置から変更され」、「前記非接触型情報記録媒体の情報を再読取りする」ものの「前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段によって前記非接触型情報記録媒体の情報が識別される際と前記第2の非接触型情報記録媒体識別手段によって前記非接触型情報記録媒体の情報が識別される際とで前記遮蔽体内の前記移動手段と前記非接触型情報記録媒体との相対位置に変動がない」とするものであるのに対し、引用発明は、「回転コンベア70により荷物50のRFIDタグ51の位置や向きを変化させ、アンテナ62?64で再読取りを行うものである」、すなわち、再読取りを行う際、アンテナ62?64とRFIDタグ51との相対的位置が変更されるものの、再読取りを追加されたアンテナを用いずに同じアンテナ62?64で再読取りを行うものである点。 (2)相違点についての判断 相違点について検討する。 引用文献2に記載の技術的事項の「ゲート10aの下流のゲート10bに取り付けられたリーダ/ライタ11b-1?11b-8と非接触型ICラベル1との相対的位置を変更」するとの事項は、具体的には、ゲート10bによって取り囲まれる設けられた回転テーブル50を回転させて、リーダ/ライタ11b-1?11b-8と非接触ICラベル1との相対的位置を変更し、再読取りを行うものであるから(引用文献2の段落【0034】、【0047】?【0049】を参照。)、相違点に係る本願発明1の構成のうちの「前記第1の非接触型情報記録媒体識別手段によって前記非接触型情報記録媒体の情報が識別される際と前記第2の非接触型情報記録媒体識別手段によって前記非接触型情報記録媒体の情報が識別される際とで前記遮蔽体内の前記移動手段と前記非接触型情報記録媒体との相対位置に変動がない」という構成を示唆するものではなく、引用発明に引用文献2に記載の技術的事項を適用したとしても、相違点に係る本願発明1の構成に至らない。 しかも、引用文献2に記載の技術的事項の「リーダ/ライタ11b-1?11b-8」は、「ゲート10aの下流のゲート10bに取り付けられ」ているものであり、ゲート10aに取り付けられたリーダ/ライタ11a-1?11a-3で非接触型ICラベル1に書き込まれた情報が正常に読み取れた場合には、リーダ/ライタ11b-1?11b-8が取り付けられたゲート10bを通すことなく以降の処理を行うものであるから、リーダ/ライタ11a-1?11a-3とリーダ/ライタ11b-1?11b-8を一つのゲートに取り付けるものとすることは想定されてない。 また、引用文献3は、上記第5 2.(3)で述べた事項を示唆するものであり、相違点に係る本願発明1の構成を示唆するものではない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び3に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2.本願発明2?6について 本願発明2?6は、本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものである。 本願発明2?6と引用発明とを対比すると、少なくとも上記1.で述べた相違点と同様の相違点を有することとなる。 したがって、本願発明2?6は、上記1.の検討と同様の理由により、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び3に記載の技術的事項項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第7 原査定についての判断 原査定の引用文献A及びBは、当審拒絶理由における引用文献1及び3である。 上記第6 1.で検討したとおり、本願発明1?6と引用文献Aに記載された発明、すなわち引用発明とを対比すると、少なくとも上記第6 1.で述べた相違点で相違する。そして、上記第6 2.で述べたとおり、引用文献B、すなわち引用文献3は相違点に係る構成を示唆するものではない。また、相違点に係る構成が本願優先日前における周知技術であるとの証拠もない。 よって、本願発明1?6は、当業者であっても、原査定における引用文献A及びBに基いて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の拒絶理由及び当審で通知した拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-08-25 |
出願番号 | 特願2015-170606(P2015-170606) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B65G)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 板澤 敏明 |
特許庁審判長 |
平田 信勝 |
特許庁審判官 |
杉山 健一 尾崎 和寛 |
発明の名称 | 非接触型物品識別機構、情報集計装置及び物流管理システム |
代理人 | 友野 英三 |