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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1377416
審判番号 不服2020-3392  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-11 
確定日 2021-09-14 
事件の表示 特願2015-171160「入力装置、表示装置、入力装置の制御方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 49698、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続きの経緯

本願は、平成27年8月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 3月 7日付け:拒絶理由通知
令和 元年 5月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 8月28日付け:拒絶理由通知(最後)
令和 元年11月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年12月18日付け:令和元年11月5日の手続補正について
の補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)
令和 2年 3月11日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 2月16日付け:拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知
」という。)
令和 3年 4月23日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和元年12月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1-2、4-5
・引用文献等 A

●理由2(進歩性)について
・請求項 3
・引用文献等 A-C

<引用文献等一覧>
A.特開2013-242807号公報
B.特開2014-68170号公報
C.特開2015-64225号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



●理由1(サポート要件)、●理由2(明確性)について
・請求項 1-5
・備考
本願請求項1には、「操作受付部」について、「前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である間は、前記振動素子の駆動が禁止された状態で、前記入力操作を受け付けること」と記載されている(下線部は審判請求と同時に提出された補正書による補正箇所)。
しかしながら、上記下線部に係る事項は、本願明細書又は図面において、対応する記載が見当たらず、また、不明確な記載である。
また、請求項2-5についても同様の拒絶理由がある。

●理由3(進歩性)について
・請求項 1-5
・引用文献等 1-3

<引用文献等一覧>
1.特開2013-242807号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2014-68170号公報(拒絶査定時の引用文献B)
3.特開2015-64225号公報(拒絶査定時の引用文献C)

第4 本願発明

本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和3年4月23日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
操作面に対するユーザの接触位置を検出する検出部と、
前記操作面を振動させる少なくとも一つの振動素子と、
前記検出部の検出結果に基づく入力操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部によって受け付けられた前記入力操作に応じた振動状態となるように前記振動素子を制御する振動制御部と、
音声入力部が取得した音声データの音声入力を受け付ける音声受付部と、
前記音声入力部と前記音声受付部との間に設けられ、前記音声データから前記振動素子の振動によって生じるノイズ成分を減衰する減衰部と、
を備え、
前記振動制御部は、
前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である場合に前記操作受付部によって前記入力操作を受け付けたときには、前記振動素子による振動を停止すること
を特徴とする入力装置。」

また、本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明4、5は、それぞれ本願発明1に対応する方法、及びプログラムの発明であり、本願発明1と実質的にカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1.当審拒絶理由に引用された引用文献

(1)引用文献1、引用発明について
令和3年2月16日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のために当審が付与した。以下同様。)

「【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子機器の実施形態について、図を参照して説明する。本発明に係る電子機器は、タッチパネルを備えた携帯電話やスマートフォン、タブレット型PC等とすることができる。しかしながら、本発明はこれらの携帯型の機器に限定されるものではなく、タッチパネルを備えた家電製品、産業用機器(FA機器)、専用端末等、種々の電子機器とすることができる。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る電子機器1は、パネル10、表示部20、第1圧電素子31、第2圧電素子32、入力部40、制御部50、および近接センサ80を備えている。」

「【0022】
このパネル10は、タッチパネルのような部材で構成する場合、ユーザの指やスタイラスペンなどのタッチ面に対する接触を検出し、当該接触の位置の情報を出力する。この出力により、制御部50は、パネル10によって検出された接触の位置を取得することができる。
【0023】
表示部20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、または無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示部20は、画面上に各種の情報や画像およびキーやボタン等のオブジェクトを表示することができる。表示部20は、パネル10の背面に設けられる。表示部20は、接合部材(例えば接着剤)によりパネル10の背面に配設される。表示部20は、パネル10と離間して配設され、電子機器1の筐体により支持されてもよい。なお、パネル10をタッチパネルのような部材で構成する場合、パネル10を例えば透明の部材などで構成して、その背面側に表示部20を配置するのが好適である。この場合、表示部20にキーやボタン等のオブジェクトを描画して表示し、当該オブジェクトに対してユーザが押圧する操作をパネル10上で検出することができる。」

「【0025】
第1圧電素子31および第2圧電素子32は、パネル10の背面(電子機器1の内部側の面)に配置されるようにするのが好適である。」

「【0026】
本実施形態において、第1圧電素子31は、主として触感を呈示するために用いられる圧電素子とする。したがって、第1圧電素子31は、制御部50からの電気信号に基づいて、所定の触感を呈示するのに好適な周波数特性を有するように設計されたものを採用するのが望ましい。一方、本実施形態において、第2圧電素子32は、主として音を伝達するために用いられる圧電素子とする。したがって、第2圧電素子32は、制御部50からの電気信号に基づいて、所定の音を伝達するのに好適な周波数特性を有するように設計されたものを採用するのが望ましい。このように、本実施形態では、第1圧電素子と、第2圧電素子とは、異なる圧電素子として、パネル10に配設する。
【0027】
入力部40は、ユーザの入力操作を検出するものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。入力部40が検出したユーザの入力操作は、電気信号として制御部50に送られる。なお、パネル10がタッチパネルである場合には、パネル10も、利用者からの接触を検出することができる。
【0028】
制御部50は、電子機器1を制御するプロセッサである。制御部50は、第1圧電素子31および第2圧電素子32に所定の電気信号を印加する。制御部50は、パネル10が接触を検出すると、第1圧電素子31に電気信号を印加し、第1圧電素子31を駆動する。
【0029】
また、制御部50は、第2圧電素子32に電気信号を印加し、第2圧電素子32を駆動し音出力を制御する。このように、制御部50は、第2圧電素子32を駆動することにより音出力を制御する場合、所定のアプリケーション等からの音出力のトリガに基づいて(音声信号(音信号)等に基づいて)第2圧電素子32を駆動するように制御することができる。」

「【0034】
さらに、本実施形態において、制御部50が通話機能を実行する(働かせる)ことによって、電子機器1のユーザは他の電子機器等のユーザと通話を行うことができる。電子機器1において通信機能が実行される場合、後述する通信部95が、有線または無線により、基地局または他の通信機器などとの通信を行う。この際、電子機器1においては、音を出力する第2圧電素子およびマイク90など、通信に係る各機能部が適宜用いられる。また、制御部50は、電子機器1において通話機能を実行していることを検出することができる。ここで、制御部50が通話機能の実行を検出する態様は、種々想定することができる。典型的には、例えば、制御部50は、通話を行うためのアプリケーションが実行(起動)している場合に、通話機能が実行(起動)していることを検出することができる。または、通話に際して、制御部50が音を伝えるための第2圧電素子32を駆動していること検出した際に、制御部50は、通話機能の実行を検出することができる。さらに、通話に際して、マイク90によりユーザなどの声が検出されている際に、制御部50は、通話機能の実行を検出してもよい。」

「【0037】
マイク90は、ユーザの発話等の周囲の音を集音する。マイク90が集音した音は、電気信号として制御部50に送られる。」

「【0051】
本実施形態による処理が開始すると、まず、制御部50は、音を出力するトリガが発生したか否かを判定する(ステップS11)。ここで、音を出力するトリガとは、例えば電話の着信があった際に通話アプリケーションにより着信音を鳴らす指示としたり、または通話アプリケーションにより通話の音声などを出力する指示としたり、各種の態様を想定することができる。要するに、ここでは、音を出力するトリガとは、電子機器1において音出力用の第2圧電素子32を駆動することにより、パネル10を振動させて音を出力するきっかけとなる各種の指示とすることができる。
【0052】
ステップS11において音を出力するトリガが発生した場合、制御部50は、第2圧電素子32を駆動することにより、音を出力するように制御する(ステップS12)。
【0053】
ステップS12において第2圧電素子が駆動されたら、制御部50は、パネル10がユーザの指などによる接触を検出しているか否かを判定する(ステップS13)。なお、ステップS11において音を出力するトリガが発生していない場合、制御部50は、第2圧電素子32を駆動せずに、ステップS13に進む。
【0054】
ステップS13においてパネル10が接触を検出していない場合、制御部50は、ステップS11に戻って処理を続行する。一方、ステップS13においてパネル10が接触を検出している場合、制御部50は、通話機能が実行中であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0055】
ステップS14において通話機能が実行中でないと判断されたら、この時点で触感を呈示するための振動を発生させてもノイズの問題は生じないため、制御部50は、第1圧電素子31を駆動させて触感を呈示するように制御する(ステップS15)。すなわち、ステップS13においてパネル10に接触があり、かつステップS14において通話機能が実行中でない場合には、当該接触に基づいて触感が呈示される。したがって、ユーザは、パネル10にタッチした自らの操作が電子機器1に正しく検出されていることを、触感によって確かめることができる。
【0056】
ステップS15において第1圧電素子が駆動されたら、制御部50は、ステップS13において検出された接触の位置に基づいて、当該位置に関連付けられた所定の処理を行うように制御するのが好適である(ステップS16)。ここで、所定の処理とは、例えば、ステップS13でパネル10において検出された接触の位置が、表示部20において電話帳アプリケーションを起動するアイコンが表示された位置に対応する場合、当該電話帳アプリケーションを起動する処理とすることができる。また、例えば、所定の処理とは、ステップS13でパネル10において検出された接触の位置が、表示部20において文字のキーが表示された位置に対応する場合、当該文字のキーを表示部20に表示する処理とすることができる。」

「【0058】
一方、ステップS14において通話機能が実行中であると判断されたら、制御部50は、ユーザの耳などの物体がパネル10に所定の距離まで近接したか否かを近接センサ80が判定するように制御する(ステップS17)。ステップS17において近接センサ80が物体の近接を検出していないと判定されたら、制御部50は、第1圧電素子31を駆動させて触感を呈示するように制御する(ステップS15)。
【0059】
一方、ステップS17において近接センサ80が物体の近接を検出していると判定されたら、この時点で触感を呈示するための振動を発生させるとノイズの問題が生じるため、制御部50は、第1圧電素子31を駆動しないように制御する(ステップS18)。すなわち、ステップS13においてパネル10に接触があり、かつステップS14において通話機能が実行中であり、ステップS17において近接センサにユーザの耳などが近接している場合には、当該接触に基づく触感は呈示されない。したがって、本実施形態において、第2圧電素子が駆動中で音が出力されている最中に、触感を呈示する第1圧電素子が駆動されることにより、双方の圧電素子の振動によるノイズの問題が発生することはない。なお、ステップS18の後、制御部50は、触感は呈示せずに、ステップS13において検出された接触の位置に基づいて、当該位置に対応する所定の処理を行うように制御するのが好適である(ステップS16)。」

「【0087】
また、上述した第1実施形態では、パネル10に対する接触が検出された際に、通話機能が実行中であって近接センサ80に所定の物体が近接していると、第1圧電素子31を駆動せず、所定の処理を行った。しかしながら、本願発明は、これに限定されず、電子機器は、パネル10に対する接触が検出された際に、近接センサ80が所定の物体の近接を検出しているか否かにかかわらず、通話機能が実行中であると、第1圧電素子31を駆動せず、所定の処理を行ってもよい。」

「【図3】



したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「パネル10、表示部20、第1圧電素子31、第2圧電素子32、入力部40、制御部50、および近接センサ80を備えた電子機器1であって、
このパネル10は、タッチパネルのような部材で構成する場合、ユーザの指やスタイラスペンなどのタッチ面に対する接触を検出し、当該接触の位置の情報を出力し、この出力により、制御部50は、パネル10によって検出された接触の位置を取得することができ、
表示部20は、画面上に各種の情報や画像およびキーやボタン等のオブジェクトを表示することができ、パネル10をタッチパネルのような部材で構成する場合、パネル10を例えば透明の部材などで構成して、その背面側に表示部20を配置し、表示部20にキーやボタン等のオブジェクトを描画して表示し、当該オブジェクトに対してユーザが押圧する操作をパネル10上で検出することができ、
第1圧電素子31および第2圧電素子32は、パネル10の背面に配置され、第1圧電素子31は、主として触感を呈示するために用いられる圧電素子とし、制御部50からの電気信号に基づいて、所定の触感を呈示するのに好適な周波数特性を有するように設計され、
第2圧電素子32は、主として音を伝達するために用いられる圧電素子とし、制御部50からの電気信号に基づいて、所定の音を伝達するのに好適な周波数特性を有するように設計され、
入力部40は、ユーザの入力操作を検出するものであり、入力部40が検出したユーザの入力操作は、電気信号として制御部50に送られ、パネル10がタッチパネルである場合には、パネル10も、利用者からの接触を検出することができ、
制御部50は、電子機器1を制御するプロセッサであり、第1圧電素子31および第2圧電素子32に所定の電気信号を印加し、パネル10が接触を検出すると、第1圧電素子31に電気信号を印加し、第1圧電素子31を駆動し、
また、制御部50は、第2圧電素子32に電気信号を印加し、第2圧電素子32を駆動し音出力を制御し、
制御部50が通話機能を実行することによって、電子機器1のユーザは他の電子機器等のユーザと通話を行うことができ、この際、電子機器1においては、音を出力する第2圧電素子およびマイク90など、通信に係る各機能部が適宜用いられ、制御部50は、電子機器1において通話機能を実行していることを検出することができ、通話に際して、マイク90によりユーザなどの声が検出されている際に、制御部50は、通話機能の実行を検出してもよく、
マイク90は、ユーザの発話等の周囲の音を集音し、マイク90が集音した音は、電気信号として制御部50に送られ、
制御部50は、音を出力するトリガが発生したか否かを判定し、音を出力するトリガとは、電子機器1において音出力用の第2圧電素子32を駆動することにより、パネル10を振動させて音を出力するきっかけとなる各種の指示とし、音を出力するトリガが発生した場合、制御部50は、第2圧電素子32を駆動することにより、音を出力するように制御し、第2圧電素子が駆動されたら、制御部50は、パネル10がユーザの指などによる接触を検出しているか否かを判定し、
なお、音を出力するトリガが発生していない場合、制御部50は、第2圧電素子32を駆動せずに、ステップS13に進み、
ステップS13においてパネル10が接触を検出している場合、制御部50は、通話機能が実行中であるか否かを判定し、
通話機能が実行中でないと判断されたら、制御部50は、第1圧電素子31を駆動させて触感を呈示するように制御し、したがって、ユーザは、パネル10にタッチした自らの操作が電子機器1に正しく検出されていることを、触感によって確かめることができ、
第1圧電素子が駆動されたら、制御部50は、検出された接触の位置に基づいて、当該位置に関連付けられた所定の処理を行うように制御し、ここで、所定の処理とは、例えば、パネル10において検出された接触の位置が、表示部20において電話帳アプリケーションを起動するアイコンが表示された位置に対応する場合、当該電話帳アプリケーションを起動する処理とすることができ、また、例えば、所定の処理とは、パネル10において検出された接触の位置が、表示部20において文字のキーが表示された位置に対応する場合、当該文字のキーを表示部20に表示する処理とすることができ、
一方、通話機能が実行中であると判断されたら、制御部50は、ユーザの耳などの物体がパネル10に所定の距離まで近接したか否かを近接センサ80が判定するように制御し、近接センサ80が物体の近接を検出していると判定されたら、制御部50は、第1圧電素子31を駆動しないように制御し(ステップS18)、すなわち、パネル10に接触があり、かつ通話機能が実行中であり、近接センサにユーザの耳などが近接している場合には、当該接触に基づく触感は呈示されないものであり、
なお、ステップS18の後、制御部50は、触感は呈示せずに、ステップS13において検出された接触の位置に基づいて、当該位置に対応する所定の処理を行うように制御し、
これに限定されず、電子機器は、パネル10に対する接触が検出された際に、近接センサ80が所定の物体の近接を検出しているか否かにかかわらず、通話機能が実行中であると、第1圧電素子31を駆動せず、所定の処理を行ってもよい、
電子機器1。」

(2)引用文献2、引用文献3、周知技術について

ア 令和3年2月16日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0034】
たとえば、ユーザは、ディスプレイ14に表示されたダイヤルキーに対して、タッチパネル16によってタッチ操作を行うことで電話番号を入力でき、通話キー22aを操作して音声通話を開始することが出来る。ユーザは終話キー22bを操作すれば、音声通話を終了することが出来る。なお、ユーザは、終話キー22bを長押しすることによって、携帯電話機10の電源をオン/オフすることが出来る。
【0035】
また、メニューキー22cを操作すれば、ディスプレイ14にメニュー画面が表示され、その状態でディスプレイ14に表示されているソフトキーやメニューアイコンなどに対して、タッチパネル16によるタッチ操作を行うことによって所望の機能を実行することが出来る。」

「【0050】
また、携帯電話機10は、マイク20に入力された音声を認識する音声認識機能および合成音声のデータベースに基づいて音声メッセージを出力する発話機能と、これらの機能を利用する音声操作機能とを有している。そして、本実施例の音声操作機能は、自然言語の音声入力に対応している。
【0051】
たとえば、音声操作機能が実行されている携帯電話機10に対して、ユーザが「自宅に電話をかける。」と携帯電話機10に音声を入力すれば、音声認識機能によってユーザの音声が認識される。また、認識された音声に基づいて、携帯電話機10は、発話機能によって「自宅に発信しますか。」と応答メッセージを出力する。このとき、ユーザが「発信する」と応答すれば、携帯電話機10は、アドレス帳から自宅として登録されている電話番号を読み出し、その電話番号に対して発呼する。このように、音声操作機能が実行されていれば、ユーザはタッチパネル16に対するタッチ操作を行うことなく、携帯電話機10を操作できる。そして、ユーザは、音声ガイダンス(応答メッセージ)の内容を聞くことで、携帯電話機10の状態を把握しやすくなる。」

「【0062】
たとえば、図7(B)に示すように、ユーザが「カメラを使いたい」と音声入力を行った場合、音声認識の認識結果には「カメラ」が含まれるため、「カメラ」が検索語として抽出される。検索語が抽出されると、その検索語がアプリケーションテーブルに含まれるか検索される。ここでは、検索語がカテゴリである「カメラ」と一致するため、「カメラ」の内容、つまり「標準カメラ」および「ARカメラ」の2つが検索結果(特定情報)として取得される。
【0063】
そして、検索結果が複数の場合、各アプリケーションに対応する利用頻度に基づいて、検索結果が絞り込まれる。ここでは、「標準カメラ」の利用頻度が「7」であり、「ARカメラ」の利用頻度が「1」であるため、「標準カメラ」だけに絞り込まれる。したがって、携帯電話機10は、「カメラを起動します」の音声メッセージを出力した後に、「標準カメラ」を起動する。
【0064】
図7(C)を参照して、「標準カメラ」が起動すると、ディスプレイ14にはスルー画像表示される。また、撮影操作を行うための撮影キーSKが表示される。そして、撮影キーSKに対してタッチ操作がされると、撮影処理が行われる。なお、撮影キーSKが表示されている状態で、ユーザが「撮影する」と音声入力を行っても、撮影処理が行われる。
【0065】
このように、ユーザの利用履歴に基づいて検索結果を絞り込むことで、音声操作の利便性を向上させることが出来る。」

「【図7】



イ 令和3年2月16日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0026】
[2.処理]
次に、ナビゲーションECU20(具体的にはCPU21)がプログラムに従い実行する表示処理について、図2、図3及び図4のフローチャートを用いて説明する。なお、表示処理は、自車両のアクセサリスイッチがオン状態となることにより開始される。
【0027】
まず、ナビゲーションECU20は、センタディスプレイ11に表示させるべき画面(以下「センタ画面」という。)を、センタディスプレイ11に表示させる処理を行う(S101)。具体的には、表示処理の開始時には、ナビゲーション機能やオーディオ機能等、乗員(ユーザ)の操作により利用される機能についての複数の項目が配置されたメニュー画面(初期画面)が、センタ画面として表示される。その後は、乗員の操作に応じた画面がセンタ画面として表示される。例えば、ナビゲーション機能を利用するための項目が乗員の操作により選択された場合には、ナビゲーション機能に関する画面(地図画面や目的地設定画面等)が表示される。センタディスプレイ11を用いた操作は、タッチパネル操作、音声操作及びステアリングスイッチ32による操作のうち少なくとも1つの操作で行われる。」

ウ したがって、特に下線で強調した記載に着目すると、上記引用文献2及び引用文献3には次の周知技術が記載されていると認められる。

<周知技術>
「タッチパネル等のタッチ入力操作と音声入力操作の両方により、画像等のオブジェクト等が表示されたメニュー等の操作を行うこと。」

2.平成31年3月7日付けの拒絶理由通知に引用された引用文献4
平成31年3月7日付けの拒絶理由通知に引用された引用文献4(特開2013-30881号公報)(以下、「引用文献X」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、補聴機能を有する携帯電子機器に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の携帯電話装置では、第1モードにおいて動作している場合に、携帯電話装置が操作されたり、着信時に振動モータが駆動したりすることによって発生した振動を、集音部が筐体の外部の音以外の音として集音する場合がある。携帯電話装置の操作及び振動モータの駆動により発生する振動起因の音は、補聴機能が動作している場合には不要な音である。また、携帯電話装置の操作及び振動モータの駆動により発生する振動起因の音は、振動によるエネルギーが音波に比べて格段に大きいため、筐体外部の音に比べて大きい音として集音される場合があり、補聴時の音声品質を劣化させるおそれがある。
【0005】
本発明は、補聴機能が動作している場合の音声品質が劣化することを抑制することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。」

「【0027】
また、携帯電話装置1は、通常モードと、通話モードと、補聴モードとの3つの動作モード有しており、制御部22は、通常モードと、通話モードと、補聴モードとを切り替える。
【0028】
通常モードは、携帯電話装置1が通話モードと補聴モードとのいずれでもない状態を示す動作モードである。
通話モードは、携帯電話装置1の通話時に係る状態を示す動作モードである。制御部22は、通話モードにおいて、通信部16を介した通話における通話相手の音声をスピーカ14から出力する。
補聴モードは、携帯電話装置1の補聴機能動作時に係る状態を示す動作モードである。制御部22は、補聴部として機能し、補聴モードにおいて、マイク13により受け付けられた音声(マイク13により集音された音)を、スピーカ14に出力する。また、制御部22は、出力端子18にイヤホン又はヘッドホン等の外部機器30が接続されている場合、マイク13により受け付けられた音声を、イヤホン又はヘッドホン等の外部機器30に出力する。以下に、補聴モードにおける制御部22の処理の詳細について説明する。」

「【0035】
また、制御部22は、振動に係るイベントが発生したことを検出した場合、マイク13により入力された音声の全帯域のゲイン又はスピーカ14により出力される音声の全帯域のゲインを第2の値(例えば、30デシベル)下げるように調整するようにしてもよい。なお、制御部22は、振動に係るイベントが発生したことを検出した場合、マイク13により入力された音声を遮断するようにしてもよい。また、制御部22は、振動に係るイベントが発生したことを検出した場合、振動音に対応する帯域のゲインを第2の値下げるように調整してもよい。」

「【0038】
続いて、携帯電話装置1が補聴モードである場合の制御部22の処理の流れについて説明する。図3は、本実施形態に係る携帯電話装置1の音声の抑制制御に係る処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートでは、タッチセンサ12、マイク13、加速度センサ17、振動検出部20は動作しているものとする。」

「【0045】
ステップS7において、制御部22は、振動検出部20から、検出情報が入力されたか否かを判定する。制御部22は、この判定がYESの場合、ステップS8に処理を移し、この判定がNOの場合、ステップS9に処理を移す。
【0046】
ステップS8において、制御部22は、振動に係るイベントが発生したものとして、マイク13により入力された音声の全帯域のゲイン又はスピーカ14により出力される音声の全帯域のゲインを一定時間下げる調整を行う。」

「【0049】
このようにすることで、携帯電話装置1は、筐体2の動きを伴うイベントの発生に起因する音声を抑制して、耳障りで通常音声より大きい振動起因のノイズを抑え、補聴機能が動作している場合の音声品質が劣化することを抑制することができる。」

したがって、上記引用文献Xには次の技術的事項(以下、「引用文献X技術事項」という。)が記載されていると認められる。

<引用文献X技術事項>
「補聴機能を有する携帯電子機器に関し、着信時に振動モータが駆動したりすることによって発生した振動を、集音部が筐体の外部の音以外の音として集音する場合、振動起因の音は、補聴機能が動作している場合には不要な音であり、補聴時の音声品質を劣化させるおそれがあるため、補聴機能が動作している場合の音声品質が劣化することを抑制することができる携帯電子機器を提供することを目的とし、
携帯電話装置1は、通常モードと、通話モードと、補聴モードとの3つの動作モード有しており、補聴モードは、携帯電話装置1の補聴機能動作時に係る状態を示す動作モードであり、制御部22は、補聴部として機能し、補聴モードにおいて、マイク13により受け付けられた音声(マイク13により集音された音)を、スピーカ14に出力し、制御部22は、振動に係るイベントが発生したことを検出した場合、マイク13により入力された音声の全帯域のゲイン又はスピーカ14により出力される音声の全帯域のゲインを第2の値(例えば、30デシベル)下げるように調整するようにしてもよく、振動音に対応する帯域のゲインを第2の値下げるように調整してもよく、
制御部22は、振動に係るイベントが発生したものとして、マイク13により入力された音声の全帯域のゲイン又はスピーカ14により出力される音声の全帯域のゲインを一定時間下げる調整を行い、このようにすることで、耳障りで通常音声より大きい振動起因のノイズを抑え、補聴機能が動作している場合の音声品質が劣化することを抑制する携帯電話装置1。」

第6 当審拒絶理由について

1 理由1(特許法第36条第6項第1号)及び理由2(特許法第36条第6項第2号)について

請求項1における「操作受付部」について、「前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である間は、前記振動素子の駆動が禁止された状態で、前記入力操作を受け付けること」と記載されている(下線部は審判請求と同時に提出された補正書による補正箇所)が、上記下線部に係る事項は、本願明細書又は図面において、対応する記載が見当たらず、また、不明確な記載であるとの通知に対し、令和3年4月23日に提出された手続補正書による補正後の請求項1において、「前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である場合に前記操作受付部によって前記入力操作を受け付けたときには、前記振動素子による振動を停止すること」と補正された結果、この拒絶理由(理由1及び理由2)は解消した。
また、補正後の請求項1を引用する請求項2及び3、並びに補正後の請求項4及び5においても同様の補正の結果、この拒絶理由(理由1及び理由2)は解消した。
以上のことから、請求項1-5に対して通知した当審拒絶理由の理由1及び理由2は解消した。

2 理由3(特許法第29条第2項)について

(1)本願発明1について(対比・判断)

上記本願発明1と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「タッチ面」、「ユーザ」及び「接触の位置」は、それぞれ本願発明1の「操作面」、「ユーザ」及び「接触位置」に相当する。そして、引用発明の「パネル10」は、「タッチパネルのような部材で構成」され、「ユーザの指やスタイラスペンなどのタッチ面に対する接触を検出し、当該接触の位置の情報を出力」することから、本願発明1の「操作面に対するユーザの接触位置を検出する検出部」に相当する。

イ 引用発明の「第1圧電素子31」は、「パネル10の背面に配置され、」「主として触感を呈示するために用いられる圧電素子」であり、「所定の触感を呈示するのに好適な周波数特性を有するように設計」されており、また、引用発明の「制御部50」は、「第1圧電素子31を駆動させて触感を呈示するように制御」することで、「ユーザは、パネル10にタッチした自らの操作が電子機器1に正しく検出されていることを、触感によって確かめることができ」ることから、当該「第1圧電素子31」は、「ユーザ」が「触感によって確かめることができ」るように、前記「タッチ面」を有する「パネル10」を「好適な周波数特性」で「駆動」させる、すなわち「振動」させるといえる。
したがって、引用発明の「第1圧電素子31」は、本願発明1の「前記操作面を振動させる少なくとも一つの振動素子」に相当するといえる。

ウ 引用発明の「パネル10」は、「入力部40」と同様に、「ユーザの入力操作を検出するものであり、」「検出したユーザの入力操作は、電気信号として制御部50に送られ」るものである。そして、当該「制御部50」は「検出された接触の位置に基づいて、当該位置に関連付けられた所定の処理を行うように制御し、ここで、所定の処理とは、例えば、パネル10において検出された接触の位置が、表示部20において電話帳アプリケーションを起動するアイコンが表示された位置に対応する場合、当該電話帳アプリケーションを起動する処理とすることができ、また、例えば、所定の処理とは、パネル10において検出された接触の位置が、表示部20において文字のキーが表示された位置に対応する場合、当該文字のキーを表示部20に表示する処理とする」ことから、本願発明1の「前記検出部の検出結果に基づく入力操作を受け付ける操作受付部」に相当するといえる。

エ また、引用発明の「制御部50」は、「第1圧電素子31を駆動させて触感を呈示するように制御」することで、「ユーザは、パネル10にタッチした自らの操作が電子機器1に正しく検出されていることを、触感によって確かめることができ」ることから、上述の「ユーザの操作入力」に応じた「触感」を「第1圧電素子31を駆動させて」「呈示するように制御」しているといえる。
したがって、当該「制御部50」は、本願発明1の「前記操作受付部によって受け付けられた前記入力操作に応じた振動状態となるように前記振動素子を制御する振動制御部」にも相当するといえる。

オ 引用発明の「マイク90」は、「ユーザの発話等の周囲の音を集音」することから、本願発明1の「音声入力部」に相当する。また、引用発明の「ユーザの発話」は、本願発明1の「音声データ」に相当する。そして、当該「マイク90が集音した音」は、「制御部50」に「電気信号」として送られることから、当該「電気信号」は、本願発明1の「音声入力」に相当する。
したがって、引用発明の「制御部50」は、本願発明1の「音声入力部が取得した音声データの音声入力を受け付ける音声受付部」にも相当するといえる。

カ 引用発明では、「制御部50は、電子機器1において通話機能を実行していることを検出することができ、通話に際して、マイク90によりユーザなどの声が検出されている際に、制御部50は、通話機能の実行を検出」するものである。そして、引用発明の「制御部50」は、「パネル10に接触があり、」かつ「通話機能が実行中であると判断されたら、」「近接センサ80が所定の物体の近接を検出しているか否かにかかわらず、」「第1圧電素子31を駆動せず、所定の処理を行ってもよい」ものであり、ここで、「所定の処理」とは、上述したように、例えば、「パネル10において検出された接触の位置が、表示部20において文字のキーが表示された位置に対応する場合、当該文字のキーを表示部20に表示する処理」として例示されていることから、引用発明の当該「制御部50」の機能として、本願発明1の「前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である場合に前記操作受付部によって前記入力操作を受け付けたときには、前記振動素子による振動を停止する」こととは、「前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である場合に前記操作受付部によって前記入力操作を受け付けたときには、前記振動素子による駆動をしない」点で共通している。

キ 引用発明の「電子機器1」は、「パネル10」により「ユーザの入力操作を検出する」ものであるから、後述する相違点を除き、本願発明1の「入力装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「操作面に対するユーザの接触位置を検出する検出部と、
前記操作面を振動させる少なくとも一つの振動素子と、
前記検出部の検出結果に基づく入力操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部によって受け付けられた前記入力操作に応じた振動状態となるように前記振動素子を制御する振動制御部と、
音声入力部が取得した音声データの音声入力を受け付ける音声受付部と、
を備え、
前記振動制御部は、
前記音声受付部によって前記音声入力が受け付け中である場合に前記操作受付部によって前記入力操作を受け付けたときには、前記振動素子による振動をしないこと
を特徴とする入力装置。」

<相違点>
(相違点1)
本願発明1の入力装置は、「前記音声入力部と前記音声受付部との間に設けられ、前記音声データから前記振動素子の振動によって生じるノイズ成分を減衰する減衰部」を備えるのに対し、引用発明には、そのような構成が特定されていない点。

(相違点2)
音声受付部によって音声入力が受け付け中である場合に操作受付部によって入力操作を受け付けたときには、本願発明1では、「振動素子による振動を停止する」のに対し、引用発明では、「振動素子による振動をしない」点。

<相違点についての判断>
相違点1について検討する。
相違点1に係る本願発明1の「前記音声入力部と前記音声受付部との間に設けられ、前記音声データから前記振動素子の振動によって生じるノイズ成分を減衰する減衰部」という構成は、上記「第5 引用文献、引用発明等」の「1.(2)」で示した引用文献2、及び引用文献3のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願出願前に周知技術であるともいえない。
なお、上記「第5 引用文献、引用発明等」の「2.」で示した引用文献Xには、「着信時に振動モータが駆動したりすることによって発生した振動」により「補聴機能が動作している場合の音声品質が劣化することを抑制する携帯電話装置」として、「マイク13により入力された音声」の「振動音に対応する帯域のゲイン」を「下げるように調整」する技術的事項が記載されている。
しかしながら、引用発明は、「通話機能が実行中であると判断されたら、」「第1圧電素子31を駆動しないように制御」することで、通話機能実行中の振動によるノイズの問題を発生させないようにするもの(引用文献1の段落【0059】を参照)である。すなわち、引用発明では、通話機能が実行中である場合、「マイク90が集音した音」には「振動」が存在しないのであるから、存在しない「振動」を「減衰」する必要がなく、当該引用発明には、上記引用文献Xの「マイク13により入力された音声」の「振動音に対応する帯域のゲイン」を「下げるように調整」する技術的事項を組み合わせるのに阻害要因がある。よって、上記引用文献X技術事項を引用発明に組み合わせる起因や動機付けは見出し難い。
また、相違点1に係る本願発明1の「減衰部」は、「前記音声入力部と前記音声受付部の間に設けられ」る構成であって、「前記操作受付部によって受け付けられた前記入力操作に応じた振動状態」となるように、「前記操作面を振動させる」「前記振動素子の振動によって生じるノイズ成分を減衰する」ためのものである一方、上記引用文献X技術事項は、「マイク13により入力された音声」から「振動音に対応する帯域のゲイン」を減衰するものであるから、両者は上位概念としては類似するものの、引用文献X技術事項は、「補聴機能が動作している場合」の「着信時に振動モータ」による「振動音」を減衰するものであるから、本願発明1とは、「振動」の「発生」や「減衰」の条件が異なるものである。
よって、例え上記引用文献X技術事項を引用発明に組み合わせたとしても、相違点1に係る本願発明1の上記「減衰部」の構成を容易に想到することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2、3及び引用文献Xに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2-5について

本願発明2-5も、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2、3及び引用文献Xに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和3年4月23日になされた補正により、補正後の請求項1-5は、上記「前記音声入力部と前記音声受付部との間に設けられ、前記音声データから前記振動素子の振動によって生じるノイズ成分を減衰する減衰部」という構成を有するものとなったが、当該構成は、原査定における引用文献A-C(当審拒絶理由における引用文献1-3)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-5は、引用文献Aと同一ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。よって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-08-24 
出願番号 特願2015-171160(P2015-171160)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅本 章子田内 幸治  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 角田 慎治
稲葉 和生
発明の名称 入力装置、表示装置、入力装置の制御方法およびプログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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