ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1377470 |
審判番号 | 不服2020-3479 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-03-13 |
確定日 | 2021-09-21 |
事件の表示 | 特願2018-500986「装置、方法、プログラム及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月31日国際公開、WO2017/145447、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年11月4日(優先権主張平成28年2月23日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和元年 6月 5日付け:拒絶理由通知書 令和元年 8月 9日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年 1月15日付け:拒絶査定 令和2年 3月13日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和2年11月26日付け:拒絶理由通知書 令和3年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 3月31日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和3年 4月12日 :手続補正書の提出 第2 原査定の理由の概要 原査定(令和2年1月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1-20に係る発明は、以下の引用文献1-7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2016-12233号公報 2.特表2012-510116号公報 3.特開2013-15902号公報 4.特開2013-73278号公報 5.特開2009-86940号公報 6.特開2012-108613号公報 7.特開2013-62720号公報 第3 当審拒絶理由の概要 1 令和2年11月26日付け拒絶理由の概要は次のとおりである。 この出願は、特許請求の範囲の請求項1-9の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 令和3年3月31日付け拒絶理由(最後)の概要は次のとおりである。 この出願は、特許請求の範囲の請求項1-9の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願発明 本願請求項1-20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明20」という。)は、令和3年4月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲1-20に記載された事項により特定される発明であり、そのうち「本願発明1」は、以下のとおりの発明である。 【請求項1】 旅行者のために少なくとも一人の通訳案内士を募集する通訳案内士募集支援装置であり、記憶部、制御部、出力部を含み、 前記記憶部は、 募集者の情報が記憶される募集者情報データベースと、応募者の情報が記憶される応募者情報データベースを含み、 前記募集者の情報は、前記募集者のリクエスト情報を含み、 前記応募者の情報は、前記応募者を特定する特定情報と、前記リクエスト情報に対応する前記応募者の対応情報を含み、 前記制御部は、 前記リクエスト情報と前記対応情報とを照合し、前記リスクエスト情報に適合する前記対応情報を有する前記応募者を選択し、 前記出力部は、 前記選択された前記応募者のリストを出力し、 前記募集者が、通訳案内士の紹介所、旅行会社、及び、前記両者に所属する人員の少なくとも一者であり、 前記応募者が、通訳案内士であり、 前記募集者情報データベースに、さらに、前記旅行者の情報が記憶され、 前記制御部は、 さらに、前記応募者の情報と前記旅行者の情報とを照合し、 前記出力部は、 前記応募者のリストに、前記応募者の情報と前記旅行者の情報との照合結果を含ませて出力する、ことを特徴とする装置。 なお、本願発明2-20の概要は、以下のとおりである。 本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明10-18は、本願発明1-9に対応する方法の発明であり、それぞれ、本願発明1-9とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 本願発明19は、本願発明10-18のいずれかの発明を実行するプログラムの発明であり、本願発明20は、本願発明19のプログラムを記憶する記録媒体の発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1の記載事項と引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2016-12233号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下、同様。)。 「【0007】 そこで、本発明の目的は、人材派遣会社に自社の顧客である派遣先企業の企業情報や求人情報を登録させ、求職者への企業紹介を円滑に行い、人材の流動化を促進することができる人材派遣業務管理装置を提供する。」 「【0019】 図1は、本発明の実施例1における人材派遣業務管理装置100の構成を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施例に係る人材派遣業務管理装置100は、システムサーバ1と、データベース2と、管理者端末3と、派遣会社端末4と、外部ネットワーク110によって構成されている。 【0020】 システムサーバ1は、例えばメインフレーム等の大型コンピュータから構成され、制御部11、求職者情報処理部12、顧客情報処理部13、検索部14、オファー処理部15、インセンティブ付与部16、マッチング情報登録部17、勤怠処理部18、経理処理部19によって構成されている。また、図1には図示しないが、外部ネットワーク110を介して各端末と通信するための通信制御手段を備えている。 【0021】 制御部11は、CPU(中央処理装置)、RAM、ROMから構成されている。制御部11は、HDDやメモリ等の記憶手段に格納された制御プログラムやデータを用いて、求職者情報処理部12、顧客情報処理部13、検索部14、オファー処理部15、インセンティブ付与部16、マッチング情報登録部17、勤怠処理部18、経理処理部19等の処理を行う。 また、求職者情報処理部12は、人材派遣会社を通じて応募した求職者の情報をデータベース2の求職者情報記憶部21に記憶させる機能を備えている。 また、顧客情報処理部13は、人材派遣会社を通じて求人を行う顧客の情報をデータベース2の顧客情報記憶部22に記憶させる機能を備えている。 【0022】 また、検索部14は、データベース2の求職者情報記憶部21から求職者情報を読み出し、顧客情報記憶部22から顧客情報を読み出し、互いに照合することにより、求職者と顧客との間で条件が合致するか否かを判断する。」 「【0028】 データベース2は、通常のデータベースサーバと同様に、DBMS(Data Base Management System)といったデータベース管理システムを備えている。また、データベース2は、求職者情報記憶部21、顧客情報記憶部22、オファー情報記憶部23、インセンティブ情報記憶部24、マッチング情報記憶部25、勤怠情報記憶部26、経理情報記憶部27から構成されている。(以下、略)」 「【0032】 次に、顧客情報登録機能について説明する。システムサーバ1は、トップ画面上の顧客情報登録機能を実行するためのリンクがクリックされた場合には、制御部11の制御により、図2に示すような顧客情報入力画面を派遣会社端末4の表示部に表示させる。例えば、人材派遣会社Aの従業員が、自社の派遣会社端末4の表示部に表示された顧客情報入力画面上で必要事項を入力する。この顧客情報入力画面には、それぞれの人材派遣会社が派遣先企業である顧客を特定できる顧客識別情報、顧客が要望する要望条件情報を入力するボックスが設けられている。 【0033】 顧客識別情報とは、それぞれの人材派遣会社が自社の顧客に付与する「顧客ID」、業務内容を識別する「ジョブ番号」等から構成されている。顧客識別情報は、企業を特定する情報は含まれていない。なぜなら顧客識別情報は、人材派遣業務管理装置100内で共有化されるため、企業を特定する情報が開示されてしまうと、他の人材派遣会社が自社の顧客に対して営業活動をする恐れがあるからである。つまり、「企業名」、「住所」、「電話番号」、「メールアドレス」等は、派遣先企業である顧客を特定する情報であるので本顧客情報入力画面において入力されない。 【0034】 また、要望条件情報とは、顧客が求職者に要望する条件であり、「要望年齢」、「要望職種」、「要望勤務地」、「要望給与」、「要望勤務曜日」、「要望勤務時間」等から構成されている。 【0035】 また、顧客優先順位情報とは、顧客がどの要望条件情報を優先するかという情報である。図2に示す例では、要望条件は、6項目あり、「要望職種」、「要望勤務地」、「要望給与」、「要望勤務曜日」、「要望勤務時間」、「要望年齢」の順で優先順位が付与されている。 【0036】 図2の顧客情報入力画面上で入力された顧客情報は、派遣会社端末4から外部ネットワーク110を通じてシステムサーバ1に送信される。システムサーバ1は、制御部11の制御により、顧客情報登録機能を実行させ、顧客情報をシステムにより付与された人材派遣会社Aの派遣会社IDと関連づけてデータベース2内の顧客情報記憶部22に格納する。 【0037】 次に、求職者情報登録機能について説明する。システムサーバ1は、トップ画面上の求職者情報登録機能を実行するためのリンクがクリックされた場合には、制御部11の制御により、図3に示すような求職者情報入力画面を派遣会社端末4の表示部に表示させる。例えば、人材派遣会社Bの従業員が、自社の派遣会社端末4の表示部に表示された求職者情報入力画面上で必要事項を入力する。この求職者情報入力画面には、それぞれの人材派遣会社が求職者を特定できる求職者識別情報、求職者が希望する希望条件情報、求職者優先順位情報を入力するボックスが設けられている。 【0038】 求職者識別情報とは、それぞれの人材派遣会社が自社で登録した求職者に付与する「求職者ID」、「性別」、「年齢」、「保有資格」等から構成されている。求職者識別情報は、個人を特定する情報は含まれていない。なぜなら求職者識別情報は、人材派遣業務管理装置100内で複数の人材派遣会社で共有化されるため、求職者の個人情報を保護する観点と、他の人材派遣会社からの引き抜きを防止する観点からである。つまり、「氏名」、「住所」、「生年月日」、「電話番号」、「メールアドレス」等は、個人を特定する個人情報であるので本求職者情報入力画面において入力されない。 【0039】 また、希望条件情報とは、求職者が希望する条件であり、「希望職種」、「希望勤務地」、「希望給与」、「希望勤務曜日」、「希望勤務時間」等から構成されている。 【0040】 また、求職者優先順位情報とは、求職者がどの希望条件情報を優先するかという情報である。図3に示す例では、希望条件は、5項目あり、希望条件は、「希望給与」、「希望勤務曜日」、「希望職種」、「希望勤務地」、「希望勤務時間」の順で優先順位が付与されている。 【0041】 図3の求職者情報入力画面上で入力された求職者情報は、派遣会社端末4から外部ネットワーク110を通じてシステムサーバ1に送信される。システムサーバ1は、制御部11の制御により、求職者情報登録機能を実行させ、求職者情報をシステムで付与された人材派遣会社Bの派遣会社IDと関連づけてデータベース2内の求職者情報記憶部21に格納する。 【0042】 続いて、検索機能について説明する。ここで、検索機能には、求職者検索機能および顧客検索機能がある。 求職者検索機能とは、人材派遣会社が自社の顧客に対して顧客の要望条件に合致した求職者を検索するものである。具体的には、システムサーバ1は、トップ画面上の求職者検索機能を実行するためのリンクがクリックされた場合には、制御部11の制御により、図4に示すような求職者検索入力画面を派遣会社端末4の表示部に表示させる。例えば、人材派遣会社Aの従業員が、自社の派遣会社端末4の表示部に表示された求職者検索入力画面上の顧客ID入力ボックス41に顧客IDをジョブ番号入力ボックス42にジョブ番号を入力する。すると、入力された顧客IDおよびジョブ番号は、派遣会社端末4から外部ネットワーク110を通じてシステムサーバ1に送信される。システムサーバ1は、制御部11の制御により、入力された顧客IDおよびジョブ番号で特定された顧客情報を顧客情報記憶部22から読み込み、外部ネットワーク110を介して派遣会社端末4の表示部に表示された求職者検索入力画面上に表示する。 【0043】 次に、人材派遣会社Aの従業員が表示された内容を確認し、図4に示す検索ボタン43をクリックした場合には、制御部11の制御により、検索部14が求職者情報記憶部21に登録されているデータを参照し、入力された顧客IDの要望条件情報と登録されている求職者の希望条件情報とを照合する。そして、条件が合致した場合、図5に示すように、求職者のリストが一覧表示された求職者検索結果を派遣会社端末4の表示部に表示する。 【0044】 顧客検索機能とは、人材派遣会社が自社に登録した求職者に対して求職者の希望条件に合致した顧客を検索するものである。具体的には、システムサーバ1は、トップ画面上の顧客検索機能を実行するためのリンクがクリックされた場合には、制御部11の制御により、図6に示すような顧客検索入力画面を派遣会社端末4の表示部に表示させる。例えば、人材派遣会社Bの従業員が、自社の派遣会社端末4の表示部に表示された顧客検索入力画面上の求職者ID入力ボックス61に求職者IDを入力する。すると、入力された求職者IDは、派遣会社端末4から外部ネットワーク110を通じてシステムサーバ1に送信される。システムサーバ1は、制御部11の制御により、入力された求職者IDの求職者情報を求職者情報記憶部21から読み込み、外部ネットワーク110を介して派遣会社端末4の表示部に表示された顧客検索入力画面上に表示する。 【0045】 次に、人材派遣会社Bの従業員が表示された内容を確認し、図6に示す検索ボタン62をクリックした場合には、制御部11の制御により、顧客情報記憶部22に登録されているデータを参照し、入力された求職者IDの希望条件情報と登録されている顧客の要望条件情報とを照合する。そして、条件が合致した場合、図7に示すように、顧客のリストが一覧表示された顧客検索結果を派遣会社端末4の表示部に表示する。」 「【図4】 ![]() 」 以上の事項からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「システムサーバ1、データベース2、派遣会社端末4を含む人材派遣業務管理装置100であって(【0007】、【0019】)、 システムサーバ1は、 制御部11、求職者情報処理部12、顧客情報処理部13、検索部14を含み(【0020】)、 制御部11は制御プログラムやデータを用いて、求職者情報処理部12、顧客情報処理部13、検索部14の処理を行い(【0021】)、 データベース2は、 制御部11の制御により顧客情報処理部13を機能させることで、派遣会社端末4から入力されたそれぞれの人材派遣会社が自社の顧客に付与する「顧客ID」を含む顧客識別情報と、顧客が求職者に要望する条件であり、「要望年齢」、「要望職種」、「要望勤務地」、「要望給与」、「要望勤務曜日」、「要望勤務時間」等から構成される要望条件情報とが格納される顧客情報記憶部22(【0021】、【0028】、【0032】-【0036】)、 制御部11の制御により求職者情報処理部12を機能させることで、派遣会社端末4から入力された、それぞれの人材派遣会社が求職者を特定できる「求職者ID」、「性別」、「年齢」、「保有資格」等から構成される求職者識別情報と、求職者が希望する条件である「希望職種」、「希望勤務地」、「希望給与」、「希望勤務曜日」、「希望勤務時間」等から構成される希望条件情報とが格納された求職者情報記憶部21(【0021】、【0028】、【0037】-【0041】)、 を含み、 システムサーバ1の検索部14は、 求職者を検索する場合には、派遣会社端末4から入力された顧客IDおよびジョブ番号で特定された顧客情報を顧客情報記憶部22から読み込み、派遣会社端末4の表示部に表示された求職者検索入力画面上に表示させ、制御部11の制御により、求職者情報記憶部21に登録されているデータを参照し、入力された顧客IDの要望条件情報と登録されている求職者の希望条件情報とを照合して、条件が合致した場合、求職者のリストが一覧表示された求職者検索結果を派遣会社端末4の表示部に表示する(【0022】、【0042】、【0043】、【図4】)、 人材派遣業務管理装置100。」 2 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶理由で引用された引用文献2(特表2012-510116号公報)には、以下の記載がある。 「【0007】 詳細な説明 [0011] 本発明の実施形態は、従業員を必要とする組織と応募者をマッチングするためのシステムおよび方法に関する。例えば、図1Aを参照すると、仕事-応募者マッチングシステム100aのデータフロー図が、本発明の一実施形態に従って示されている。図2を参照すると、本発明の一実施形態による図1Aのシステム100aによって実行される方法200の流れ図が示されている。本発明のこれらや他の実施形態は、例えばホスト型オンラインシステムとして実現し、ワールドワイドウェブを介してユーザがアクセスできるようにしてもよい。本発明の実施形態は、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、携帯情報端末、または携帯電話などの様々な計算装置を用いて実現してもよいが、かかるハードウェアは、図解を簡略化するために図1Aには示していない。」 「【0060】 [0064] 本明細書に開示する技法は、仕事プロファイルを応募者プロファイルと自動的および繰り返しマッチングし、応募者が仕事プロファイルにどれほど密接に適合するかに基づいた順序で並べられた、能力がある適切な応募者のリストを雇用者に提供することができる。これによって、雇用者は、全体的な最新のデータベースから適切な応募者のリストを効果的および迅速に構築および分類することができる。」 3 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶理由で引用された引用文献3(特開2013-15902号公報)には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、撮影画像から、当該撮影画像と類似した検索対象画像を検索する画像検索装置、画像検索システム、画像検索方法、及び画像検索プログラムに関する。」 「【0015】 本発明の画像検索装置では、前記結果表示手段は、前記表示された検索対象画像に対するユーザーの選択操作がない場合に、当該検索対象画像を表示から除外することが好ましい。 ここで、結果表示手段が、確信度算出手段により更新された確信度に基づいて、表示ランキングを更新する場合、確信度算出手段により、除外対象の検索対象画像の確信度を例えば「0」等の最低値に設定すればよい。また、結果表手段が、確信度に関わらず、直接表示ランキングを更新する場合では、除外対象の検索対象画像を表示上から削除し、その他の検索対象画像の表示ランキングを繰り上げて表示すればよい。 本発明では、ユーザーの選択操作がない検索対象画像を、即座に表示から除外する。この場合、より迅速に表示する検索対象画像を切り替えることができるため、目的画像が早期に表示される確率を高めることができる。」 4 引用文献4の記載事項 原査定の拒絶理由で引用された引用文献4(特開2013-73278号公報)には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、通信ネットワークを介して接続された端末を利用して、求職者と、求人事業者とのマッチングを行うことを目的とするシステム及びその方法に関する。」 「【0030】 図4に基づいて、エントリー型サービスにおける処理の流れをより具体的に説明する。 あらかじめ求職者の氏名およびEメールアドレス、求人事業者の担当者の氏名およびEメールアドレスを本システムのDB105に記憶させておく。 また、正社員に関しては、エントリー情報として、基本属性情報、アピール情報、職歴情報およびスキル・実績を本システムのDB105に記憶させておく。 「基本属性情報」とは、求職者の氏名、年齢、住所、電話番号などを意味する。 「アピール情報」とは、求職者が求人事業者に対してアピールしたいポイント、例えば人柄、特技などを意味する。 「スキル・実績」とは、例えば求職者が有する資格や求職者が作った料理の写真である。」 5 引用文献5の記載事項 原査定の拒絶理由で引用された引用文献5(特開2009-86940号公報)には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、ネットオークションシステムに関し、さらに詳しくは、インターネットを介して労働力を提供する側と受け入れる側が提示した応札条件に基づいてオークションを行い、労働力をシェアするネットオークションシステムに関するものである。」 「【0030】 図4(c)は、オークションDB14の内、求人情報に対するオークションの情報例であり、例えば項目として、求人企業NO.40、求人企業名41、希望職種42、希望人材評価43等がある。この中で、希望人材評価43は更に、評価値43a、経験値43b、資格43c、総合評価43dにより構成されている。一例として、求人情報として、求人企業NO.40「0001」の場合は、求人企業名41は「○○○社」、その時の希望職種42が「秘書」、希望人材評価43の評価値43aは「7」、経験値43bは「5」、資格43cは「秘書検定1級」、総合評価43dは「14以上」として登録されている。」 6 引用文献6の記載事項 原査定の拒絶理由で引用された引用文献6(特開2012-108613号公報)には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、支援者によって予め登録された求職者及び求人者間のマッチング支援を、求職者端末から音声ネットワークを介して入力された音声データを録音し、該録音された音声データを求人者端末において再生することにより行う求人・求職支援システム及び求人・求職支援方法の技術分野に関する。」 「【0026】 支援者は求人者に対して求職者についての個人データ(例えば図2に示す内容)を開示し、求人者は第2のデータベース6に格納されている複数の求職者の音声データのうち、音声データの再生を希望する求職者を選択する。このような求職者の選択は、例えば図4に示すリスト形式で支援者に示される。図4は、求人者がどの求職者の音声データの再生を希望するかを示す選択リストの一例である。」 7 引用文献7の記載事項 原査定の拒絶理由で引用された引用文献7(特開2013-62720号公報)には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、通訳サービス支援装置、通訳サービス支援方法およびプログラムに関し、特に、ネットワークを介した音声対話を用いて行う通訳サービスを支援するための通訳サービス支援装置、通訳サービス支援方法およびプログラムに関する。」 「【0011】 この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、利用者が通訳サービスを利用したい任意のタイミングおいて、通訳作業を行うことのできる通訳者を容易に見つけ出すことができるように支援し得る、通訳サービス支援装置、通訳サービス支援方法およびプログラムを提供することである。」 「【0019】 図1に示すように、通訳サービス支援装置100は、インターネット等のネットワーク20を介して、利用者が使用する端末(以下、「利用者端末」と表記する)30と通訳者が使用する端末(以下、「通訳者端末」と表記する)40とが接続されている。利用者端末30および通訳者端末40は、ネットワーク20を介した音声対話を相互に可能にするためのアプリケーションプログラムを搭載している。このアプリケーションプログラムは、たとえば、利用者間において無料で音声または映像の送受信を可能にするスカイプなどのクライアントプログラムである。 【0020】 利用者端末30は、利用者ID格納部31と、マイク32と、カメラ33と、スピーカ34と、ディスプレイ35と、を備えている。また、通訳者端末40は、通訳者ID格納部41と、マイク42と、カメラ43と、スピーカ44と、ディスプレイ45と、を備えている。なお、各端末において、マイク、カメラ、スピーカ、ディスプレイは、後付けの機器であっても良く、その場合は、これらは各端末に接続される。 【0021】 また、ネットワーク20には、図示しない複数の利用者端末および通訳者端末が接続されていても良い。また、利用者端末30および通訳者端末40は、たとえば、パソコンまたはスマートフォンなどで実現されている。 【0022】 [通訳サービス支援装置の構成] 図1に示すように、通訳サービス支援装置100は、申込み受付部1と、公開部2と、応募受付部3と、制御部4と、を備えている。 【0023】 申込み受付部1は、利用者端末30から、通訳作業の申込み情報であって、少なくとも通訳作業の開始日時および終了日時の情報が含まれる情報の入力を事前に受け付ける。公開部2は、申込み受付部1に入力された申込み情報を公開する。 【0024】 応募受付部3は、利用者端末30とネットワーク20を介した音声対話を可能とする通訳者端末40から、公開された申込み情報に対して通訳者として応募するための入力を受け付ける。制御部4は、開始日時または終了日時に基づいて、利用者端末30と通訳者端末40とのネットワーク20を介した音声対話を制御する。 【0025】 すなわち、通訳サービス支援装置100では、利用者によって事前に入力された通訳作業の申込み情報を、通訳者が閲覧し、開始日時および終了日時等を考慮して通訳者自身が通訳を行うことのできる通訳作業に対して応募する。このため、通訳サービス支援装置100によれば、利用者が通訳サービスを利用したい任意のタイミングおいて、通訳作業を行うことのできる通訳者を容易に見つけ出すことができるように支援することができる。以下、本実施の形態に係る通訳サービス支援装置100の構成を、図2を用いて更に具体的に説明する。」 上記記載からみて、引用文献7には、 「申込み受付部1、公開部2、応募受付部3、制御部4を有する通訳サービス支援装置100において、 申込み受付部1は、利用者端末30から、通訳作業の申込み情報であって、少なくとも通訳作業の開始日時および終了日時の情報が含まれる情報の入力を事前に受け付け、 応募受付部3は、利用者端末30とネットワーク20を介した音声対話を可能とする通訳者端末40から、公開された申込み情報に対して通訳者として応募するための入力を受け付け、 利用者が通訳サービスを利用したい任意のタイミングおいて、通訳作業を行うことのできる通訳者を容易に見つけ出すことができるように支援する、 通訳サービス支援装置100。」 が記載されているといえる。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「顧客」は、以下の相違点2を除いて、本願発明1の「募集者」に相当する。そして、引用発明の「要望条件情報」は、顧客が求職者に要望する条件であることから、本願発明1の「募集者の情報」に相当する。また、引用発明の「要望条件情報」は、「要望年齢」、「要望職種」、「要望勤務地」、「要望給与」、「要望勤務曜日」、「要望勤務時間」等であり、これらの情報は、本願発明1の「募集者のリクエスト情報」に相当する。よって、引用発明の「顧客」の「要望条件情報」を格納する「顧客情報記憶部22」は、以下の相違点4を除いて、本願発明1における「募集者情報データベース」に相当する。 イ 引用発明の「求職者」は、以下の相違点3を除いて、本願発明1の「応募者」に相当する。そして、引用発明の「求職者識別情報」は、「求職者ID」、「性別」、「年齢」、「保有資格」等から構成され、求職者を特定するための情報であるから、引用発明の「求職者識別情報」は、本願発明1における「応募者を特定する特定情報」に相当する。また、引用発明の「希望条件情報」は、「希望職種」、「希望勤務地」、「希望給与」、「希望勤務曜日」、「希望勤務時間」等であり、それぞれ、顧客が求職者に要望する職種、勤務地、給与、勤務曜日、勤務時間に対応しており、引用発明の「希望条件情報」は、本願発明1における「前記リクエスト情報に対応する前記応募者の対応情報」に相当する。引用発明におけるこれらの「求職者識別情報」と「希望条件情報」を合わせたものが、本願発明1における「応募者の情報」に相当する。よって、引用発明の「求職者」の「求職者識別情報」と「希望条件情報」を格納する「求職者情報記憶部21」は、本願発明1における「応募者情報データベース」に相当する。 ウ 上記ア、イから、引用発明の「顧客情報記憶部22」と「求職者情報記憶部21」を合わせたものが、本願発明1の「記憶部」に相当する。 エ 引用発明の「検索部14」は、顧客情報記憶部22に格納された要望条件情報と、求職者情報記憶部21に格納された希望条件情報を照合し、条件が合致した場合に求職者のリストを一覧表示させることから、引用発明の「検索部14」は、条件が一致した求職者を「選択」してリストを作成していると認められる。すると、引用発明の「検索部14」は、以下の相違点5を除いて、本願発明1の「制御部」に相当する。 オ 引用発明の「制御部11」は、顧客情報記憶部22に格納された要望条件情報と、求職者情報記憶部21に格納された希望条件情報を照合し、条件が合致した場合、求職者のリストが一覧表示された求職者検索結果を派遣会社端末4の「表示部に表示」していることから、引用発明の「制御部11」は、求職者のリストをシステムサーバ11から派遣会社端末4に「出力」すると認められる。よって、引用発明の「制御部11」は、以下の相違点6を除いて、本願発明1の「出力部」に相当する。 カ 引用発明の「人材派遣業務管理装置100」は、本願発明1の「通訳案内士募集支援装置」と、「人材の募集支援装置」という点で共通する。 上記アないしカより、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、また相違点1-6で相違する。 (一致点) 「人材の募集支援装置であり、 記憶部、制御部、出力部を含み、 前記記憶部は、 募集者の情報が記憶される募集者情報データベースと、応募者の情報が記憶される応募者情報データベースを含み、 前記募集者の情報は、前記募集者のリクエスト情報を含み、 前記応募者の情報は、前記応募者を特定する特定情報と、前記リクエスト情報に対応する前記応募者の対応情報を含み、 前記制御部は、 前記リクエスト情報と前記対応情報とを照合し、前記リスクエスト情報に適合する前記対応情報を有する前記応募者を選択し、 前記出力部は、 前記選択された前記応募者のリストを出力する、 人材の募集支援装置。」 (相違点1) 「人材の募集支援装置」が、本願発明1では「旅行者のために少なくとも一人の通訳案内士を募集する通訳案内士募集支援装置」であるのに対し、引用発明は、そのような特定事項を有していない点。 (相違点2) 「募集者」が、本願発明1では「通訳案内士の紹介所、旅行会社、及び、前記両者に所属する人員の少なくとも一者」であるのに対し、引用発明は、そのような特定事項を有していない点。 (相違点3) 「応募者」が、本願発明1では「通訳案内士」であるのに対し、引用発明は、そのような特定事項を有していない点。 (相違点4) 「募集者情報データベース」が、本願発明1では「さらに、前記旅行者の情報が記憶され」るものであるのに対し、引用発明では、そのような特定事項を有していない点。 (相違点5) 「制御部」が、本願発明1では「さらに、前記応募者の情報と前記旅行者の情報とを照合」するのに対し、引用発明では、そのような特定事項を有していない点。 (相違点6) 「出力部」が、本願発明1では「前記応募者のリストに、前記応募者の情報と前記旅行者の情報との照合結果を含ませて出力する」のに対し、引用発明では、そのような特定事項を有していない点。 (2)判断 相違点4-6は、関連する相違点であるため、まとめて検討する。 引用文献2-7には、募集者、応募者の情報が記憶され、さらに、旅行者の情報が記憶された装置とし、応募者の情報と旅行者の情報とを照合し、応募者のリストに、応募者の情報と旅行者の情報との照合結果を含ませて出力することは、記載も示唆もされていない。すると、引用発明に、引用文献2-7に記載された事項を組み合わせたとしても、募集者と応募者の情報に加えて、旅行者の情報を記憶して、応募者の情報と旅行者の情報とを照合し、応募者のリストに、応募者の情報と旅行者の情報との照合結果を含ませて出力する点は導き出せない。 これに対して、本願発明1は、募集者情報データベースに、募集者の情報を記憶し、さらに、旅行者の情報を記憶して、応募者の情報と旅行者の情報とを照合することにより、旅行者との年代が近い応募者や、旅行者と性別が同じ応募者等、旅行者によりふさわしい応募者を容易に探索可能となり、また、旅行者の情報を用いた応募者の採用実績を蓄積することで、募集者である通訳案内士の紹介所等が、旅行業者等に、旅行のモデルケースを提案することが可能になるという効果を奏するものである(段落【0035】を参照)。 よって、相違点4-6に係る本願発明1の構成について、引用発明と引用文献2-7に記載された技術に基づいて当業者が容易になしえたものということはできない。 (3)まとめ したがって、相違点1-3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明と引用文献2ないし7に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 2 本願発明2-9について 本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明であって、上記1(1)相違点4-6に係る構成を備えるから、上記1(2)で検討した理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2-7に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 3 本願発明10-18について 本願発明10-18は、本願発明1-9に対応する方法の発明であり、それぞれ、本願発明1-9とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、上記1(1)相違点4-6に係る構成に対応する構成を備えるから、上記1(2)で検討した理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2-7に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 4 本願発明19について 本願発明19は、本願発明10-18のいずれかの発明を実行するプログラムの発明であり、上記1(1)相違点4-6に係る構成に対応する構成を備えるから、上記1(2)で検討した理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2-7に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 5 本願発明20について 本願発明20は、本願発明19のプログラムを記憶する記録媒体の発明であり、上記1(1)相違点4-6に係る構成に対応する構成を備えるから、上記1(2)で検討した理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2-7に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 第7 原査定について 令和3年4月12日にされた手続補正により、本願発明1-9は「旅行者のために少なくとも一人の通訳案内士を募集する通訳案内士募集支援装置」、「前記募集者情報データベースに、さらに、前記旅行者の情報が記憶され」る構成を有するものとなっており、本願発明1-9は、当業者が拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本願発明10-20も、本願発明1-9の上記構成に対応する構成を有するものとなっており、本願発明10-20は、当業者が拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由について 令和2年11月26日付け拒絶理由通知書において、請求項1の「前記応募者データベースに、さらに、前記旅行者の情報が記憶され、」という記載と、発明の詳細な説明の記載とが対応していないという拒絶の理由を通知したところ、令和3年1月26日にされた手続補正により、請求項1の記載が「前記応募者情報データベースに、さらに、前記旅行者の情報が記憶され、」と補正され、拒絶の理由が解消しなかった。 そこで、令和3年3月31日付け拒絶理由通知書(最後)において、請求項1の記載と、発明の詳細な説明の記載とが対応していないという拒絶の理由を通知したところ、令和3年4月12日にされた手続補正により請求項1の記載が「前記募集者情報データベースに、さらに、前記旅行者の情報が記憶され、」と補正された結果、拒絶の理由は解消した。 第9 むすび 以上のとおり、本願発明1-20は、当業者が引用発明および引用文献2ないし7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由、および、当審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-09-02 |
出願番号 | 特願2018-500986(P2018-500986) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 竹下 翔平、山本 雅士 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
中野 浩昌 上田 智志 |
発明の名称 | 装置、方法、プログラム及び記録媒体 |
代理人 | 伊佐治 創 |
代理人 | 南野 研人 |
代理人 | 松縄 正登 |
代理人 | 辻丸 光一郎 |