• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1377516
審判番号 不服2020-10260  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-21 
確定日 2021-09-02 
事件の表示 特願2018-216882「情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月 4日出願公開、特開2020- 86675〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年11月19日の出願であって、令和元年6月6日付で拒絶理由通知がなされ、同年8月13日に手続補正がなされたが、同年11月1日付で拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、令和2年7月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和2年7月21日の手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)
<本件補正後の請求項1>
「【請求項1】
電子商店街に出店している店舗によって取り扱われる商品に関する商品情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された商品情報に基づいて、前記電子商店街における前記商品の需要に関する情報が所定の条件を満たす場合に、前記商品の商品管理を行う上で前記店舗に対して推奨され得る行動である推奨行動に関する推奨情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された推奨情報を、前記店舗に対して提供する提供部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

本件補正前の、令和元年8月13日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
<本件補正前の請求項1>
「【請求項1】
電子商店街に出店している店舗によって取り扱われる商品に関する商品情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された商品情報に基づいて、前記電子商店街として、前記商品の商品管理を行う上で前記店舗に対して推奨され得る行動である推奨行動に関する推奨情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された推奨情報を、前記店舗に対して提供する提供部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

本件補正後の「前記電子商店街における前記商品の需要に関する情報が所定の条件を満たす場合に」という事項は、当初明細書の段落【0039】、【0040】に記載されているから、新規事項を追加するものではない。
そして、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された「前記取得部によって取得された商品情報に基づいて、前記電子商店街として、前記商品の商品管理を行う上で前記店舗に対して推奨され得る行動である推奨行動に関する推奨情報を生成する生成部」について、「前記電子商店街における前記商品の需要に関する情報が所定の条件を満たす場合に」という限定事項を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項で準用する第126条第7項の規定を満たすかを検討する。

2 引用文献1(国際公開第2017/002204号)
(1)原査定において引用された国際公開第2017/002204号(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
「【技術分野】
[0001] 本発明は、販売者の販売ページを充実させるための管理装置、管理方法、プログラム、及び記録媒体に関する。」

「発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004] しかしながら、これらの処理は、商品を購入するユーザが、入力する商品に関する情報を充実させる処理であり、商品を販売する販売者が、入力する商品に関する情報を充実させる処理は含まれていない。電子市場において、管理者の利便性の向上、販売者の売上向上のため、販売者が入力して作成する販売ページを充実させる管理装置が要望されている。
[0005] 本発明は、上記のような課題を解決するもので、販売ページを作成した販売者に対して、販売ページをより充実させるように促すことができる管理装置、管理方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。」

「[0022] (実施形態1)
図1に、本実施形態に係る管理システム1の概要構成を示す。図1に示すように、管理システム1は、管理装置100と、複数の販売者端末200と、複数のユーザ端末300と、商品データベース400と、から構成され、各装置は、インターネット500を介して互いに通信可能に接続されている。
[0023] 管理装置100は、電子市場において、電子市場を運営する運営者が管理するサーバ装置である。管理装置100は、販売者端末200から送信された販売ページに関する情報を受信し、インターネット500を介して、当該販売ページをユーザ端末300に提供する。そして、所定の条件を満たした場合、ユーザ端末300から送信されるユーザの反応度に応じて、販売ページを充実すべきメッセージを販売者端末200に出力する。」

「[0038] 図3は、管理装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように、管理装置100は、公開部120と、測定部121と、算定部122と、出力部123と、を備える。
[0039] 公開部120は、電子市場において第1販売条件により商品を販売する第1販売者が作成した販売ページと、第1販売者が販売する商品と同一商品を、第2販売条件により販売する第2販売者が作成した第2販売ページと、を公開する。
[0040] 具体的には、公開部120は、電子市場における複数の販売者が所定の販売条件を設定して作成した複数の販売ページを、電子市場の複数のユーザに対して公開する。
[0041] 販売条件とは、販売者が、販売を希望する商品について、販売をするにあたり設定した条件であり、例えば、商品の販売価格、送料の有無、購入に付随するポイント数などをいう。
[0042] 販売者とは、電子市場において、店舗を構えて商品を販売する、いわゆるショップの他、個人で商品を電子市場に出品する販売者も含む。
[0043] 販売ページとは、販売される商品に関する情報が入力されたページである。商品に関する情報には、商品自体の情報である商品ID、商品の説明等の他に、商品の販売条件の情報である価格、送料無料などの情報を含む。
[0044] 図5に、販売ページ501の一例を示す。販売ページ501には、例えば、「○○の天然水」という商品名、価格、商品の発送日、販売者名、送料の有無、商品コード、商品の説明等が表示される。ユーザは、ユーザ端末300で販売ページ501を閲覧し、お気入りに登録したり、インターネット500、管理装置100を介して、販売者端末200の販売者に購入の申し込みをする。
[0045] 販売ページは、特定の販売者の商品毎に作成されるとともに、同一商品を販売する販売者が複数いるときには、販売者毎に作成される。
[0046] 作成された複数の販売ページの商品に関する情報は、商品データベース400に記憶される。ユーザがユーザ端末300により特定の商品を検索したとき、管理装置100は、商品データベース400を検索する。管理装置100により検索された結果は、検索結果ページとしてユーザ端末300の表示部に表示される。
[0047] 図6に、検索結果ページ601の一例を示す。検索結果ページ601には、ユーザが検索した、例えば「天然水」というキーワードに基づく検索結果が表示される。具体的には、商品の説明、商品の価格、商品の写真などが表示される。
[0048] 商品の写真は、商品データベース400の画像欄400fを参照して商品毎に表示される。具体的には、検索結果ページ601の、写真602aは販売者S001の商品の写真、写真602bは販売者S002の商品の写真、写真602cは販売者S003の商品の写真、写真602dは販売者S004の商品の写真である。検索結果ページ601には、商品の画像データが商品データベース400に記憶されている場合には、商品の写真が表示され、商品データベース400に記憶されていない場合には、「NO IMAGE」と表示される。同様な写真が、それぞれの販売者の販売ページにも表示される。
[0049] 検索結果ページ601に表示された商品の写真等は、販売ページにリンクされており、ユーザは商品の写真等を選択することにより、当該商品のさらに詳細な情報を記載した例えば販売ページ501を閲覧することができる。
[0050] 本実施形態において、制御部101及び表示部104が共働して、公開部120として機能する。なお、以下の実施形態2?5においても同様である。
[0051] 測定部121は、第1販売ページを閲覧した第1ユーザ群による商品に対する第1反応度と、第2販売ページを閲覧した第2ユーザ群による商品に対する第2反応度と、を測定する。
[0052] 具体的には、測定部121は、同一商品について複数の販売ページがあった場合に、それぞれの販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度を測定する。
[0053] ユーザ群とは、所定期間内において、特定の商品を販売する販売者の販売ページを閲覧したユーザの集合体であり、所定期間内に販売ページを閲覧したユーザの総数として特定される。
[0054] 商品に対する反応度とは、特定の商品を閲覧したユーザのその商品に対する反応の度合いをいい、図6の検索結果ページ601の上部に表示される「お気に入り」「商品の感想」などの選択肢をユーザが選択したか否か、又は商品を購入したか否か等の商品に対する反応を基に、測定される。
[0055] 測定部121は、例えば、ユーザ端末300から送信された、お気入りとして登録したか否かを示す情報、商品を購入したか否かを示す情報を受信し、その情報を管理装置100のRAM 103に格納する。管理装置100のRAM 103には、図7に示す反応テーブル701が格納されているとする。図7に示す反応テーブル701は、販売者S001が販売する「天然水」に対するユーザ群の反応テーブルである。反応テーブル701は、販売者S001の「天然水」の販売ページ501について、そのページを閲覧したユーザのユーザID701a、お気入り登録の有無701b、商品の購入数701cが、登録されている。このような反応テーブル701が、同一商品の販売者毎に作成される。なお、ここで「天然水」とは、商品コードで天然水として特定される商品であるとする。
[0056] ユーザの商品に対する反応は、反応テーブル701の項目に限定されず、例えば、販売ページの商品をカート(買い物かご)に投入したか否か、販売ページの商品に関するメールマガジンを申し込んだか否か等、ユーザの商品に対する種々の反応を含む。
[0057] 次に、測定部121は、反応テーブル701に登録された情報を参照して、図8に示す反応度テーブル801を作成し、管理装置100のRAM 103に格納する。反応度テーブル801は、「天然水」を販売する販売者毎のユーザの反応度を示すテーブルである。反応度テーブル801には、販売者ID801a、販売者毎のお気入り登録数801b、販売者毎の購入数801cが登録される。お気入り登録数は、反応テーブル701のお気入りの登録有無701bの欄から測定され、商品の購入数は、同じく購入数701cの欄から測定される。
[0058] 商品に対する反応度は、販売者毎のお気入り登録数、商品の購入数等を測定して、それぞれを反応度としてもよいし、これらの項目を総合的に判断して反応度としてもよい。」

「[0059] 所定の期間が経過した後には、反応テーブル701、反応度テーブル801は、更新される。
[0060] 本実施形態において、制御部101及びRAM 103が共働して、測定部121として機能する。なお、以下の実施形態2?5においても同様である。
[0061] 算定部122は、第1販売ページの第1充実度と、第2販売ページの第2充実度と、を算定する。
[0062] 具体的には、算定部122は、特定の商品を販売する販売者の販売ページ毎に、その販売ページが充実している度合いを算定する。
[0063] 充実度とは、販売者により作成された販売ページが、必要な情報を満足しているか否かの度合いを示すものである。例えば、商品IDを示す商品コードが記入されているか否か、商品の写真が含まれているか否か、商品の写真の品質が良いか否か、の度合いを示すものである。
[0064] 本実施形態では、制御部101及びRAM 103が、算定部122として共働して機能する。なお、以下の実施形態2?5においても同様である。
[0065] 出力部123は、第2販売ページの第2充実度が第1販売ページの第1充実度より勝っており、第1販売ページの販売条件が第2販売ページの販売条件と同等もしくは有利であり、ユーザの第2販売ページの商品に対する第2反応度が第1販売ページの商品に対する第1反応度より勝っていれば、第1販売ページを充実すべき旨のメッセージを第1販売ページを作成した販売者に出力する。
[0066] 具体的には、出力部123は、他の販売ページの充実度がある販売ページの充実度より勝っており、ある販売者の販売条件が他の販売者の販売条件と同等または有利であり、かつ、他の販売者の商品に対するユーザの反応度が、ある販売者の商品に対するユーザの反応度より勝っていれば、ある販売者に販売ページを充実させるようなメッセージを出力する。
[0067] ここで、他の販売ページの充実度がある販売ページの充実度より勝っているとは、例えば、同一商品における、他の販売ページの写真の品質が、ある販売ページの写真の品質より勝っているような場合をいう。また、ある販売者の販売条件が他の販売者の販売条件と同等または有利とは、例えば、同一商品における、ある販売ページに記載された商品価格が、他の販売ページに記載された商品価格と同額か、高い場合をいう。
[0068] さらに、他の販売者の商品に対するユーザの反応度が、ある販売者の商品に対するユーザの反応度より勝っているとは、例えば、同一商品における、他の販売者の販売ページを閲覧していたユーザのお気入り登録数が、ある販売者の販売ページを閲覧していたユーザのお気入り登録数より勝っている場合である。また、ある販売者に販売ページを充実させるようなメッセージを出力するとは、例えば、販売ページの写真の品質を向上させる旨のメッセージを、当該販売ページを作成した販売者の端末に表示することである。
[0069] 本実施形態では、制御部101、通信部105、及びRAM 103が、出力部123として共働して機能する。なお、以下の実施形態2?5においても同様である。
[0070] 次に、本実施形態に係る管理装置100の動作について説明する。
[0071] 図9は、管理処理のフローチャートの一例である。図9に示す管理処理は、管理装置100の制御部101により実行され、例えば、販売者端末200に販売ページ作成のための情報が入力されたことを契機として開始される。また、この処理は、制御部101がROM 102に記憶されたプログラムを読み込むことにより実行される。
[0072] 管理装置100は、販売者端末200に入力された複数の販売ページに関する情報を受け付け、受け付けられた情報をもとに、商品データベース400を作成する。そして、公開部120は、作成された複数の販売ページ(例えば、第1販売ページと第2販売ページ)を、ユーザの要求に応じてユーザ端末300の表示部に公開する(ステップS901)。
[0073] 例えば、複数の販売者により作成された販売ページの商品に関する情報が、各販売者端末200から管理装置100に送信される。
[0074] 次に、測定部121は、特定の商品の複数の販売ページ(例えば、第1販売ページと第2販売ページ)について、それぞれの販売ページを閲覧したユーザ群を特定し、ユーザ群ごとに商品に対する反応度を測定する(ステップS902)。
[0075] 例えば、測定部121は、特定の商品「天然水」を販売する販売者S001の販売ページを閲覧したユーザ群(例えば、図7のユーザU001、U002、U003、U004、…)を特定し、特定されたユーザ群の反応、例えばお気入り登録の有無を基に、反応度を測定する。同様に、販売者S002、S003、S004…毎に、ユーザ群を特定して、反応度を測定する。
[0076] 次に、算定部122は、特定の商品の複数の販売ページ(例えば、第1販売ページと第2販売ページ)について、それぞれの販売ページの充実度を算定する(ステップS903)。
[0077] 例えば、算定部122は、特定の商品「天然水」を販売する複数の販売者の販売ページについて、販売ページ毎に充実度を算定する。充実度は、販売ページに商品コードがあるか否か、写真があるか否か等に基づき、算定される。
[0078] 次に、出力部123は、第2販売ページの充実度が、第1販売ページの充実度より勝っているか否かを判断する(ステップS904)。」

「[0080] 出力部123は、第2販売ページの充実度が、第1販売ページの充実度より勝っていると判断された場合には(ステップS904;YES)、第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利かを判断する(ステップS905)。第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利ではない(ステップS905;NO)と判断されたら、処理を終了する。
[0081] 出力部123は、第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利である(ステップS905;YES)と判断されたら、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度と、第2販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度とを比較する(ステップS906)。
[0082] 例えば、出力部123は、販売者S001の「天然水」の販売ページの充実度が、販売者S002の「天然水」の販売ページの充実度より勝っていると判断した場合には、販売者S002の販売価格が販売者S001の販売価格と同額か安いかを判断する。商品データベース400を参照すると、販売者S002の「天然水」の販売価格(100円)は、販売者S001の「天然水」の販売価格(140円)より安いので、それぞれの販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度を比較する。
[0083] 出力部123は、第2販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度が、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度より勝っていない(ステップS906;NO)と判断した場合には、処理を終了する。
[0084] 出力部123は、第2販売ページを閲覧したユーザの反応度が、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度より勝っている(ステップS906;YES)と判断した場合には、第1販売ページを作成した販売者に対して、販売ページを充実させるようにメッセージを出力する(ステップS907)。」

(2)上記(1)によれば、引用文献1には、次の事項が記載されている。
ア [0022]、[0023]の記載によると、引用文献1には、
「複数の販売者端末200と、複数のユーザ端末300と、商品データベース400とがインターネットを介して互いに通信可能に接続される管理システムにおける、
電子市場において、販売者端末200から送信された販売ページに関する情報を受信し、インターネット500を介して、当該販売ページをユーザ端末300に提供する管理装置100」が記載されている。
イ [0038]の記載によると、上記アの「管理装置100」は、「公開部120と、測定部121と、算定部122と、出力部123とを備え」ている。
ウ [0042]、[0073]の記載によると、上記アの「管理装置100」は、「電子市場において店舗を構えて商品を販売する複数の販売者により作成された販売ページの商品に関する情報を、各販売者端末200から受信」するものである。
エ [0072]、[0044]の記載によると、引用文献1には「公開部120は、複数の販売ページを、ユーザの要求に応じてユーザ端末300の表示部に公開し、ユーザは、ユーザ端末300で販売ページを閲覧し、お気入りに登録したり、インターネットを介して、販売者端末200の販売者に購入を申し込む」ことが記載されている。
オ [0043]、[0045]の記載によると、引用文献1には、「販売ページは、販売される商品に関する情報が入力されたページであり、商品に関する情報には、商品自体の情報と商品の販売条件の情報とが含まれ、特定の販売者の商品毎に作成されるとともに、同一商品を販売する販売者が複数いるときには販売者毎に作成され」ることが記載されている。
カ [0074]、[0058]の記載によると、引用文献1には「測定部121は、特定の商品の第1販売ページと第2販売ページについて、それぞれの販売ページを閲覧したユーザ群を特定し、ユーザ群ごとに商品に対する反応度を測定し、当該商品に対する反応度は、販売者毎のお気入り登録数、商品の購入数を測定して、それぞれを反応度としてもよく、また、これらの項目を総合的に判断して反応度としてもよ」いことが記載されている。
キ [0076]、[0063]の記載によれば、引用文献1には「算定部122は、特定の商品の第1販売ページと第2販売ページについて、それぞれの販売ページが必要な情報を満足しているか否かの度合いを示す充実度を算定し、当該充実度は、商品IDを示す商品コードが記入されているか否か、商品の写真が含まれているか否か、商品の写真の品質が良いか否かの度合いを示すものであ」ることが記載されている。
ク [0076]?[0078]の記載によると、引用文献1には「算定部122による充実度が算定された次に、出力部123は、第2販売ページの充実度が、第1販売ページの充実度より勝っているか否かを判断」することが記載されている。
ケ [0080]、[0041]の記載によると、引用文献1には、「出力部123は、第2販売ページの充実度が、第1販売ページの充実度より勝っていると判断された場合には、第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利かを判断し、当該販売条件は、商品の販売価格、送料の有無、購入に付随するポイント数などであ」ることが記載されている。
コ [0081]の記載によると、引用文献1には「出力部123は、第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利であると判断されたら、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度と、第2販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度とを比較」することが記載されている。
サ [0084]の記載によると、引用文献1には「出力部123は、第2販売ページを閲覧したユーザの反応度が、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度より勝っていると判断した場合には、第1販売ページを作成した販売者に対して、販売ページを充実させるようにメッセージを出力する」ことが記載されている。

(3)上記(2)によると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「複数の販売者端末200と、複数のユーザ端末300と、商品データベース400とがインターネットを介して互いに通信可能に接続される管理システムにおける、
電子市場において、販売者端末200から送信された販売ページに関する情報を受信し、インターネット500を介して、当該販売ページをユーザ端末300に提供する管理装置100であって、
公開部120と、測定部121と、算定部122と、出力部123とを備え、
電子市場において店舗を構えて商品を販売する複数の販売者により作成された販売ページの商品に関する情報を、各販売者端末200から受信し、
公開部120は、複数の販売ページを、ユーザの要求に応じてユーザ端末300の表示部に公開し、ユーザは、ユーザ端末300で販売ページを閲覧し、お気入りに登録したり、インターネットを介して、販売者端末200の販売者に購入を申し込むものであり、
販売ページは、販売される商品に関する情報が入力されたページであり、商品に関する情報には、商品自体の情報と商品の販売条件の情報とが含まれ、特定の販売者の商品毎に作成されるとともに、同一商品を販売する販売者が複数いるときには販売者毎に作成され、
測定部121は、特定の商品の第1販売ページと第2販売ページについて、それぞれの販売ページを閲覧したユーザ群を特定し、ユーザ群ごとに商品に対する反応度を測定し、当該商品に対する反応度は、販売者毎のお気入り登録数、商品の購入数を測定して、それぞれを反応度としてもよく、また、これらの項目を総合的に判断して反応度としてもよいものであり、
算定部122は、特定の商品の第1販売ページと第2販売ページについて、それぞれの販売ページが必要な情報を満足しているか否かの度合いを示す充実度を算定し、当該充実度は、商品IDを示す商品コードが記入されているか否か、商品の写真が含まれているか否か、商品の写真の品質が良いか否かの度合いを示すものであり、
算定部122による充実度が算定された次に、出力部123は、第2販売ページの充実度が、第1販売ページの充実度より勝っているか否かを判断し、
出力部123は、第2販売ページの充実度が、第1販売ページの充実度より勝っていると判断された場合には、第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利かを判断し、当該販売条件は、商品の販売価格、送料の有無、購入に付随するポイント数であり、
出力部123は、第1販売ページの販売条件が、第2販売ページの販売条件と同等または有利であると判断されたら、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度と、第2販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度とを比較し、
出力部123は、第2販売ページを閲覧したユーザの反応度が、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度より勝っていると判断した場合には、第1販売ページを作成した販売者に対して、販売ページを充実させるようにメッセージを出力する、
管理装置100。」

3 対比・判断
(1)本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の管理装置100の「電子市場において店舗を構えて商品を販売する複数の販売者により作成された販売ページの商品に関する情報を、各販売者端末200から受信し」に係る手段は、「商品に関する情報を受信」するものであり、また、引用発明の「販売者毎のお気入り登録数、商品の購入数を測定」する測定部121は、商品に対する反応すなわち商品情報をユーザ端末300から取得するといえるから、「電子市場において店舗を構えて商品を販売する複数の販売者により作成された販売ページの商品に関する情報を、各販売者端末200から受信し」に係る手段、及び、「販売者毎のお気入り登録数、商品の購入数を測定」する測定部121は、本願補正発明の「電子商店街に出店している店舗によって取り扱われる商品に関する商品情報を取得する取得部」に相当する。
イ 引用発明の出力部において、販売ページを充実させることは、商品の商品管理を行う上で店舗に対して推奨され得る行動である推奨行動といえる。また、引用発明の出力部は、そのメッセージを出力するから、「推奨行動に関する推奨情報を生成する」ことは明らかである。
引用発明の出力部は、第2販売ページの充実度が第1販売ページの充実度より勝っており、第1販売ページの販売条件が第2販売ページの販売条件と同等または有利であり、かつ、第2販売ページを閲覧したユーザの反応度が第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度より勝っているとメッセージを出力するが、これは、メッセージの出力が、商品コード、商品の写真、販売条件などの販売ページの商品に関する情報と、お気入り登録数、商品の購入数のような販売ページの商品に対する反応とに基づいているから、引用発明の出力部は、「前記取得部によって取得された商品情報に基づいて、推奨行動に関する推奨情報を生成する」といえる。
引用発明の「反応度」は、商品に対するお気入り登録数、商品の購入数、あるいは、これらの項目を総合的に判断して反応度としたものであるから、需要の高さを示すといえる。また、「反応度」を測定する対象となる商品は、電子市場すなわち電子商店街における商品である。よって、引用発明の「反応度」は、本願補正発明の「電子商店街における商品の需要に関する情報」に相当する。
引用発明の「反応度」が本願補正発明の「電子商店街における商品の需要に関する情報」に相当することを踏まえれば、引用発明の出力部における「第2販売ページを閲覧したユーザの反応度が、第1販売ページを閲覧したユーザの商品に対する反応度より勝っていると判断した場合」は、本願補正発明の「前記電子商店街における前記商品の需要に関する情報が所定の条件を満たす場合」に相当する。
以上によると、引用発明の出力部は、本願補正発明の「前記取得部によって取得された商品情報に基づいて、前記電子商店街における前記商品の需要に関する情報が所定の条件を満たす場合に、前記商品の商品管理を行う上で前記店舗に対して推奨され得る行動である推奨行動に関する推奨情報を生成する生成部」に相当する構成を有している。
ウ 引用発明の出力部は、「第1販売ページを作成した販売者に対して、販売ページを充実させるようにメッセージを出力する」ことは、メッセージを生成するだけでなく、生成したメッセージを販売者すなわち店舗に対して提供することでもある。
よって、引用発明の出力部は、本願補正発明の「前記生成部によって生成された推奨情報を、前記店舗に対して提供する提供部」に相当する構成を有している。
エ 引用発明の「管理装置」は、本願補正発明の「情報処理装置」に相当する。

(3)したがって、上記(2)のとおり、本願補正発明は引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定のむすび
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
令和2年7月21日の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,令和元年8月13日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1(前記「第2 1<本件補正前の請求項1>」)に記載された事項により特定されるものである。

第4 原査定について
原査定(令和元年11月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
請求項1、18、19に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、請求項1?4、12?19に係る発明は、引用文献1?6の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1:国際公開第2017/002204号
引用文献2:特開2002-163437号公報
引用文献3:特許第6351885号公報
引用文献4:特開2013-077107号公報
引用文献5:特開2012-014352号公報
引用文献6:特開2009-223456号公報

第5 引用文献
引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記「第2 2」に記載したとおりである。

第6 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から前記「第2 1」で検討した限定事項を除いたものである。また、本願発明の構成を全て具備し、さらに限定事項を付したものに相当する本願補正発明は前記「第2 3」で検討したとおり、引用発明と同一である。
そうしてみると、本願発明は引用発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-06-28 
結審通知日 2021-06-29 
審決日 2021-07-15 
出願番号 特願2018-216882(P2018-216882)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山内 裕史  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 高瀬 勤
上田 智志
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ