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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1377520
審判番号 不服2020-14664  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-21 
確定日 2021-09-02 
事件の表示 特願2019- 58043号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月 8日出願公開、特開2019-130346号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月24日に出願した特願2014-217794号の一部を平成31年3月26日に新たな特許出願(特願2019-58043号)としたものであって、令和2年2月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月20日付け(送達日:令和2年8月25日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和2年10月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 補正の適否
令和2年10月21日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の請求項2を従属形式から独立形式へと記載を変更するとともに、本件補正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものであり、新規事項を追加するものではない。
したがって、本件補正は適法になされたものである。

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、その請求項1に係る発明は、次のとおりである(以下、「本願発明」という。なお、AないしFの符号は、分説のために審決で付したものである。)。

「【請求項1】
A メダルを貯留可能なバケットを有するホッパ装置と、
B 前記ホッパ装置を収容する筐体と、
C 前記筐体に収容され、前記ホッパ装置から溢れたメダルを収納可能な補助収納庫と、を備え、
D 前記筐体の背板には、前記ホッパ装置の外部にメダルが落下するのを防止するためのメダルこぼれ防止部が設けられ、
E 前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出し、前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ、前記背板から前記ホッパ装置に架けて設けられた第1メダルこぼれ防止部と、前記補助収納庫から前記ホッパ装置に架けて設けられた第2メダルこぼれ防止部と、を有している、
F ことを特徴とする遊技機。」

第4 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
という理由を含むものであり、請求項1、2に係る発明に対して、以下の引用文献1が引用されている。

引用文献1.特開2013-128806号公報


第5 引用文献及び引用発明
1 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-128806号公報(平成25年7月4日出願公開、以下「引用文献」という。)には、遊技機に関し、第1変形例に係る遊技機1Aとして、次の事項が図面とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために審決で付した。以下同じ。)。
特に、【0138】には、
「第1及び第2変形例に係る遊技機1A,1Bにおいて特に説明されない点については、前記実施形態についての説明が適宜適用される」
と記載されているところ、以下の(2)及び(3)における、
ア 「第1取付部81は、第1開口部82と、第1カバー部83と、を備えて構成されている。第1開口部82は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成されている」(【0036】)、
イ 「第2取付部84は、第2開口部85と、第2カバー部86と、を備えて構成されている。第2開口部85は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成されている」(【0037】)、
ウ 「キャビネット2bの床面には、ホッパ40が配設されている。ホッパ40は、開放部42と、ホッパータンク43と、メダル排出機構(図示せず)と、を備えて構成されている」(【0056】)
エ 「ホッパータンク43は、開放部42と連続しており、開放部42に投入されたメダルを貯留する」(【0056】)
との事項は、「第1変形例に係る遊技機1A」について記載された【0138】?【0170】及び図19?26において、特に説明されていない事項であるから、「第1変形例に係る遊技機1A」においても、適用されるものであると認められる。

(1)「【0017】
本発明に係る遊技機1は、コイン、メダル、遊技球又はトークンなどの他、遊技者に付与された、又は付与される遊技価値の情報を記憶したカードなどの遊技媒体を用いて遊技する遊技機1である。以下の実施形態においては、本発明に係る遊技機1は、遊技媒体としてメダルを用いて遊技を行う遊技機、いわゆるパチスロ機を用いて説明する。」

(2)「【0036】
メダル補給口80の一方側R1には、スピーカボックス(スピーカユニット)を取り付け可能な第1取付部81が設けられている。第1取付部81は、第1開口部82と、第1カバー部83と、を備えて構成されている。第1開口部82は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成されている。第1カバー部83は、第1開口部82を覆うようにキャビネット2bの背板2cに取り付けられている。本実施形態においては、第1取付部81には、後述のスピーカボックス100がキャビネット2bの内部側から取り付けられている。
【0037】
一方、メダル補給口80の他方側L1には、スピーカボックス(スピーカユニット)を取り付け可能な第2取付部84が設けられている。第2取付部84は、第2開口部85と、第2カバー部86と、を備えて構成されている。第2開口部85は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成されている。第2カバー部86は、第2開口部85を覆うようにキャビネット2bの背板2cに取り付けられている。」

(3)「【0056】
キャビネット2bの床面には、ホッパ40が配設されている。ホッパ40は、開放部42と、ホッパータンク43と、メダル排出機構(図示せず)と、を備えて構成されている。開放部42は、ホッパ40の上部側Tに設けられており、略矩形状に形成されている。開放部42には、前述の案内部53から流通されるメダル若しくは管理者により補給されるメダルが投入される。ホッパータンク43は、開放部42と連続しており、開放部42に投入されたメダルを貯留する。メダル排出機構は、ホッパータンク43に貯留されたメダルを遊技結果に応じて排出する。具体的には、メダル排出機構は、遊技結果に応じて払い出されるメダルを排出部46に排出する(前述の図3参照)。排出部46は、キャンセルシュート52の下部に連結されており、排出部46に排出されたメダルは、キャンセルシュート52の下部から前面扉2aの下部側Bに開口したメダル払出口14を介して、メダル受け部15に払い出される。」

(4)「【0138】
次に、図19から図28を参照して、本実施形態の第1変形例に係る遊技機1A及び第2変形例に係る遊技機1Bについて説明する。なお、第1及び第2変形例に係る遊技機1A,1Bにおいては、主として、前記実施形態との相違点を説明し、前記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。つまり、第1及び第2変形例に係る遊技機1A,1Bにおいて特に説明されない点については、前記実施形態についての説明が適宜適用される。また、前記実施形態と同様の構成については、前記実施形態と同様の効果が奏される。」

(5)「【0141】
図19に示すように、第1変形例に係るスピーカボックス300は、第1ボックス310と、第2ボックス320と、連通部330と、を備えて構成されている。第1ボックス310には、スピーカユニット101が取り付けられており、第2ボックス320には、第2ボックス320の内部とスピーカボックス300の外部とを連通させる放音パイプ350が内蔵されている。また、第1ボックス310と第2ボックス320とは並列に配置されており、連通部330は、第1ボックス310と第2ボックス320とを連通させている。
【0142】
第1変形例に係るスピーカボックス300は、第1ボックス310及び第2ボックス320がスピーカユニット101の背面側から出力された音に対する音響空間を構成し、放音パイプ350と連通部330とがバスレフポートを構成する、いわゆるダブルバスレフ型のスピーカボックスを構成する。以下、ダブルバスレフ型のスピーカボックス300において、スピーカユニット101が取り付けられる側を正面側S1(図19に示す「S1-S2方向」における「S1」側)とし、正面側S1と反対側を背面側S2(図19に示す「S1-S2方向」における「S2」側)として説明する。
【0143】
第1ボックス310は、略円筒形に形成されている。第1ボックス310の長手方向における一端側(スピーカユニット101の正面側)には、開放された開放端部311が設けられている。開放端部311には、周縁に複数の取付部317が設けられている。取付部317は、第1ボックス310をキャビネット2bの内部側から第1取付部81に取り付ける際に用いられる。つまり、第1取付部81には、第1ボックス310の開放端部311側が配設される。なお、第1ボックスを取り付ける際には、キャビネット2bの背板2cに取り付けられた第1カバー部83は取り外される。」

(6)「【0146】
また、第1ボックス310の底部には、底面部315が形成されている。底面部315は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、一方側R1の上部側縁44cの上部側Tに配置されるように設けられている。なお、スピーカボックス300は、底面部315と上部側縁44cとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置される。
【0147】
第2ボックス320は、略円筒形に形成されている。第2ボックス320の長手方向における一端側(スピーカユニット101の正面側S1)には、密封された第1端部321が設けられている。第1端部321には、周縁に複数の取付部327が設けられている。取付部327は、第2ボックス320をキャビネット2bの内部側から第2取付部84に取り付ける際に用いられる。第2取付部84には、第2ボックス320の第1端部321側が配設される。」

(7)「【0150】
また、第2ボックス320の底部には、底面部325が形成されている。底面部325は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、他方側L1の上部側縁44aの上部側Tに配置されるように設けられている。なお、スピーカボックス100は、底面部315と上部側縁44aとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置される。
【0151】
図23に示すように、連通部330は、第1ボックス310と第2ボックス320の間に配置され、スピーカユニット101の背面側から第1ボックス310の内部に出力された音をバスレフポートとして第2ボックス320の内部に流通させる。連通部330は、第1パイプ331と、第2パイプ332と、連結部333と、を備えて構成されている。なお、連結部333は、スピーカボックス300の正面側S1に配置されている。」

(審決注:【0150】の
「なお、スピーカボックス100は、底面部315と上部側縁44aとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置される。」
との記載について、「スピーカボックス」は、【0137】までに記載されている「本発明の実施形態」においては、「スピーカボックス100」と記載され、【0138】-【0170】に記載の「本実施形態の第1変形例」においては、「スピーカボックス300」と記載されていることから、上記記載における「スピーカボックス100」は、「スピーカボックス300」と記載されるべきところの誤記であると認められる。
また、【0146】の「第1ボックス310の底部には、底面部315が形成され」との記載から、「第1ボックス310」の底面部は、「底面部315」であり、【0150】の「第2ボックス320の底部には、底面部325が形成され」との記載から「第2ボックス320」の底面部は、「底面部325」であって、【0150】の上記記載は、「第2ボックス320」の底面部に関する記載であるから、【0150】の上記記載における「底面部315」は、「底面部325」と記載されるべきところの誤記であると認められる。
したがって、【0150】の上記記載は、
「なお、スピーカボックス300は、底面部325と上部側縁44aとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置される。」
と記載されるべきところの誤記であると認められる。)

(8)「【0154】
図22及び図23に示すように、連結部333は、第1ボックス310と第2ボックス320との間に配置されている。また、連結部333には、スピーカボックス300の正面側S1から背面側S2に向かって下り傾斜する傾斜部333aが形成されている(図19参照)。傾斜部333aは、キャビネット2bの背面側Rにおいて、メダル補給口80の下部側Bに配置されている。傾斜部333aは、メダル補給口80から補給されるメダル、案内部53から案内されたメダル又は管理者により補給されるメダル等をキャビネット2bの床面に零すことなくホッパ40に案内する。
【0155】
また、連結部333の下部側Bには、底面部335が形成されている。底面部335は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの上部側縁44bの上部側Tに配置されるように設けられている。また、スピーカボックス300は、底面部335と上部側縁44bとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置されている。」

(9)「【図19】



(10)「【図20】



(11)「【図21】



(12)「【図22】



(13)「【図24】



(14)「【図25】



(15)「【図26】



(16)【0143】及び【0147】には、第1ボックス310及び第2ボックス320が、キャビネット2bの第1取付け部81及び第2取付け部84に取り付けられることが記載されており、【0036】及び【0037】によれば、第1取付け部81及び第2取付け部84が、キャビネット2bの背板2cに形成されていることから、第1ボックス310及び第2ボックス320は、キャビネット2bの背板2cに取り付けられることが理解できる。
そして、図19-図22、図24-図26から、「第1ボックス310」及び「第2ボックス320」のうち、キャビネット2bの背板2cに取り付けられる面は、「第1ボックス310」及び「第2ボックス320」の背面であると認められる。
さらに、図22及び図24において、「連結部333」は、「第1ボックス310」及び「第2ボックス320」の背面よりもわずかに突出していることがみてとれる。
したがって、「連結部333」は、「第1ボックス310」及び「第2ボックス320」のキャビネット2bの背板2cに取り付けられる面よりも、わずかに突出していると認められる(以下、「認定事項1」という。)。

(17)図25から、ホッパ40の右側方(R1側)の空間の上方にはスピーカボックス300の第1ボックス300が設けられていることが見てとれる(以下、「認定事項2」という。)。

(18)図26から、傾斜部333aが、キャビネット2bの背板2cに近接して設けられることがみてとれること、【0154】によれば、傾斜部333aは、連結部333に形成されていることから、傾斜部333aが形成されている連結部333は、キャビネット2bの背板2cに近接して設けられていると認められる(以下、「認定事項3」という。)。

2 引用発明
上記1(1)乃至(18)から、引用文献には、次の発明が記載されているものと認められる。なお、aないしfについては、「第3 本願発明」において本願発明に付した符号A乃至Fに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「ab キャビネット2bの床面には、ホッパ40が配設され、ホッパ40は、開放部42と、ホッパータンク43と、メダル排出機構とを備えて構成され、ホッパータンク43は、開放部42と連続しており、開放部42に投入されたメダルを貯留し(【0056】)、
de-1 第1ボックス310と、第2ボックス320と、連通部330と、を備えて構成されているスピーカボックス300を備え、第1ボックス310には、スピーカユニット101が取り付けられており、第2ボックス320には、第2ボックス320の内部とスピーカボックス300の外部とを連通させる放音パイプ350が内蔵され、第1ボックス310と第2ボックス320とは並列に配置されており、連通部330は、第1ボックス310と第2ボックス320とを連通させており(【0141】)、スピーカボックス300は、第1ボックス310及び第2ボックス320がスピーカユニット101の背面側から出力された音に対する音響空間を構成し、放音パイプ350と連通部330とがバスレフポートを構成する、いわゆるダブルバスレフ型のスピーカボックスを構成し(【0142】)、
de-2-1 第1取付部81は、第1開口部82と、第1カバー部83と、を備えて構成され、第1開口部82は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成され(【0036】)、第1ボックス310の長手方向における一端側(スピーカユニット101の正面側)には、開放された開放端部311が設けられ、開放端部311には、周縁に複数の取付部317が設けられ、取付部317は、第1ボックス310をキャビネット2bの内部側から第1取付部81に取り付ける際に用いられ(【0143】)、第1ボックス310の底部には、底面部315が形成され、底面部315は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、一方側R1の上部側縁44cの上部側Tに配置されるように設けられ、スピーカボックス300は、底面部315と上部側縁44cとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され(【0146】)、
de-2-2 第2取付部84は、第2開口部85と、第2カバー部86と、を備えて構成され、第2開口部85は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成され(【0037】)、第2ボックス320の長手方向における一端側(スピーカユニット101の正面側S1)には、密封された第1端部321が設けられ、第1端部321には、周縁に複数の取付部327が設けられ、取付部327は、第2ボックス320をキャビネット2bの内部側から第2取付部84に取り付ける際に用いられ(【0147】)、第2ボックス320の底部には、底面部325が形成され、底面部325は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、他方側L1の上部側縁44aの上部側Tに配置されるように設けられ、スピーカボックス300は、底面部325と上部側縁44aとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され(【0150】)、
de-2-3 第2開口部85は、取り付け可能なスピーカボックス(スピーカユニット)の口径と略同形状の略円形に形成されており、キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成され(【0037】)、連通部330は、第1ボックス310と第2ボックス320の間に配置され、スピーカユニット101の背面側から第1ボックス310の内部に出力された音をバスレフポートとして第2ボックス320の内部に流通させ、連通部330は、第1パイプ331と、第2パイプ332と、連結部333と、を備えて構成され(【0151】)、連結部333は、第1ボックス310と第2ボックス320との間に配置され、連結部333には、スピーカボックス300の正面側S1から背面側S2に向かって下り傾斜する傾斜部333aが形成され、傾斜部333aは、メダル補給口80から補給されるメダル、案内部53から案内されたメダル又は管理者により補給されるメダル等をキャビネット2bの床面に零すことなくホッパ40に案内し(【0154】)、連結部333の下部側Bには、底面部335が形成され、底面部335は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの上部側縁44bの上部側Tに配置されるように設けられ、スピーカボックス300は、底面部335と上部側縁44bとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され(【0155】)、
de-3 連結部333は、第1ボックス310及び第2ボックス320のキャビネット2bの背板2cに取り付けられる面よりも、わずかに突出しており(図22、図24、認定事項1)
de-4 ホッパ40の右側方(R1側)の空間の上方には、スピーカボックス300の第1ボックス310が設けられ(図25、認定事項2)、
de-5 連結部333は、キャビネット2bの背板2cに近接して設けられ(図26、認定事項3)、
f 遊技媒体としてメダルを用いて遊技を行うパチスロ機である遊技機1A(【0017】、【0138】)。」

第6 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の構成abの
・「メダル」
・「メダルを貯留」する「ホッパータンク43」
・「メダルを貯留」する「ホッパータンク43」を備える「ホッパ40」
は、それぞれ本願発明の構成Aの
・「メダル」
・「メダルを貯留可能なバケット」
・「メダルを貯留可能なバケットを有するホッパ装置」
に相当する。
したがって、引用発明の構成abは、本願発明の構成Aを備える。

(b)引用発明の構成abの「ホッパ40」が配設される「キャビネット2b」は、本願発明の構成Bの「前記ホッパ装置を収容する筐体」に相当する。
したがって、引用発明の構成abは、本願発明の構成Bを備える。

(d)引用発明の構成de-2-1及び構成de-2-2の「キャビネット2bの背板2c」は、本願発明の「前記筐体の背板」に相当する。
引用発明の構成de-1の「スピーカボックス300」は、
(構成de-2-1より)ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、一方側R1の「上部側縁44cとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され」る「底面部315」が形成される「第1ボックス310」と、
(構成de-2-2より)ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、他方側L1の「上部側縁44aとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され」る「底面部325」が形成される「第2ボックス320」と、
(構成de-2-3より)「メダル補給口80から補給されるメダル、案内部53から案内されたメダル又は管理者により補給されるメダル等をキャビネット2bの床面に零すことなくホッパ40に案内」する「傾斜部333a」が形成される「連結部333」、
を備えているから、本願発明の「前記ホッパ装置の外部にメダルが落下するのを防止するためのメダルこぼれ防止部」に相当する。
そして、引用発明の「スピーカボックス300」は、
(構成de-2-1より)「キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成され」た「第1開口部82」を備えて構成された「第1取付部81に取り付け」られる「第1ボックス310」と、
(構成de-2-2より)「キャビネット2bの背板2cを貫通するように形成され」た「第2開口部85」を備えて構成された「第2取付部84に取り付け」られる「第2ボックス320」
を備えて構成されていることから、「キャビネット2bの背板2c」に取り付けられるものであって、このことは、本願発明の「前記筐体の背板には、前記ホッパ装置の外部にメダルが落下するのを防止するためのメダルこぼれ防止部が設けられ」ることに相当する。
したがって、引用発明の構成de-1、de-2-1、de-2-2、de-2-3は、本願発明の構成Dを備える。

(e-1)まず、本願発明の構成E
「前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出し、前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ、前記背板から前記ホッパ装置に架けて設けられた第1メダルこぼれ防止部と、前記補助収納庫から前記ホッパ装置に架けて設けられた第2メダルこぼれ防止部と、を有している」
における
「前記背板から前面側に突出し、前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ」
との事項が、「前記メダルこぼれ防止部」を限定するものであるのか、「第1メダルこぼれ防止部」を限定するものであるのかを検討する。
上記事項は、本件補正前の請求項1が、
「【請求項1】
メダルを貯留可能なバケットを有するホッパ装置と、
前記ホッパ装置を収容する筐体と、を備え、
前記筐体の背板には、前記ホッパ装置の外部にメダルが落下するのを防止するためのメダルこぼれ防止部が設けられ、
前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出し、前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられている、
ことを特徴とする遊技機。」
であったことから、「前記メダルこぼれ防止部」を限定するものであり、本件補正前の請求項1を引用する請求項2においても同様である。そして、審判請求書の「(2)補正の根拠の明示」において、「補正前請求項2を従属形式から独立形式へと記載を変更するとともに、補正前の請求項1を削除する補正を行いました。」、「この補正は、請求項の削除を目的とするものであり、特許法第17条の2第5項第1号の要件を充足します」と記載されていることから、本願発明は、本件補正前の請求項2と発明として同一のものであり、本願発明においても、上記事項は「前記メダルこぼれ防止部」を限定するものであると認められる。

(e-2)引用発明において、「キャビネット2bの内部側」は、「キャビネット2bの背板2c」よりも前面側となることは明らかであるから、上記(d)で検討したように、「キャビネット2bの内部側から」「キャビネット2bの背板2c」に取り付けられる「スピーカボックス300」は、「キャビネット2bの背板2c」から前面側に突出することとなり、このことは、本願発明の構成Eの「前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出」することに相当する。

(e-3)引用発明の構成de-2-3の「ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの上部側縁44b」は、本願発明の「前記バケットの後端縁」に相当する。

(e-4)引用発明において、(構成de-2-3より)「連結部333の下部側Bに」形成された「底面部335と」「ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの」「上部側縁44bとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され」ていること、及び(構成de-5より)「連結部333は、キャビネット2bの背板2cに近接して設けられ」ることから、「連結部333」は、「上部側縁44b」と、「キャビネット2bの背板2c」の間の隙間をふさぐものである。
そうすると、(構成de-1より)「スピーカボックス300」は「連通部330」を備え、(構成de-2-3より)「連通部330」は、「連結部333」を備えることから、「連結部333」を備える「連通部330」を備える「スピーカボックス300」は、「ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの」「上部側縁44b」と、「キャビネット2bの背板2c」の間の隙間をふさぐものであり、このことは、本願発明の構成Eの「前記メダルこぼれ防止部は」、「前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ」ていることに相当する。

(e-5)引用発明の「連結部333」は、上記で検討したように、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの「上部側縁44b」と、「キャビネット2bの背板2c」の間に設けられたものということができるから、本願発明の構成Eの「前記背板から前記ホッパ装置に架けて設けられた第1メダルこぼれ防止部」に相当する。
したがって、引用発明の「スピーカボックス300」は「連通部330」を備え、「連通部330」は、「連結部333」を備えることは、本願発明の「前記メダルこぼれ防止部は」、「前記背板から前記ホッパ装置に架けて設けられた第1メダルこぼれ防止部」「を有している」ことに相当する。

(e-6)上記(e-2)?(e-5)から、引用発明の構成de-1、de-2-1、de-2-2、de-2-3、de-3、de-4、de-5は、本願発明の構成Eと、
「前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出し、前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ、前記背板から前記ホッパ装置に架けて設けられた第1メダルこぼれ防止部を有している」
点で共通する。

(f)引用発明の「遊技機1A」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)?(f)より、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「A メダルを貯留可能なバケットを有するホッパ装置と、
B 前記ホッパ装置を収容する筐体と、
D 前記筐体の背板には、前記ホッパ装置の外部にメダルが落下するのを防止するためのメダルこぼれ防止部が設けられ、
E’ 前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出し、前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ、前記背板から前記ホッパ装置に架けて設けられた第1メダルこぼれ防止部を有している、
F 遊技機。」

[相違点](構成C、E)
本願発明は、「前記筐体に収容され、前記ホッパ装置から溢れたメダルを収納可能な補助収納庫」を備え、「メダルこぼれ防止部」が、「前記補助収納庫から前記ホッパ装置に架けて設けられた第2メダルこぼれ防止部」を有しているのに対して、引用発明は、補助収納庫に相当する構成を有しない点。

2 判断
上記相違点について検討する。

引用文献1の図4は、「本実施形態に係る遊技機1」を示すものであって、引用発明に係る「本実施形態の第1変形例に係る遊技機1A」を示すものではないが、「ホッパ40」の右側に符号が付されていない部材が図示されている。

引用文献1の図4:


また、遊技を行うための遊技媒体としてメダルを用いるパチスロにおいて、ホッパー装置の側方に、ホッパー装置から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫を設けることは、例えば、特開2013-188388号公報、特開2014-161529号公報に、以下の事項が記載されているように、技術常識である(下線は、当審で付した。)。

特開2013-188388号公報における記載:
「【0014】
本実施の形態のパチスロでは、遊技を行うための遊技媒体としてメダルを用いる。なお、遊技媒体としては、メダル以外にも、コイン、遊技球、遊技用のポイントデータ又はトークン等を適用することもできる。」

「【0051】
キャビネット2aの内部の下側には、メダル払出装置(以下、ホッパー装置)51と、メダル補助収納庫52と、電源装置53が配設されている。
【0052】
ホッパー装置51は、キャビネット2aにおける底面板20bの中央部に取り付けられている。このホッパー装置51は、多量のメダルを収容可能で、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有する。ホッパー装置51は、貯留されたメダルが例えば50枚を超えたとき、又は精算ボタンが押圧されてメダルの精算を行うときに、メダルを払い出す。ホッパー装置51によって払い出されたメダルは、メダル払出口32(図2参照)から排出される。
【0053】
メダル補助収納庫52は、ホッパー装置51から溢れ出たメダルを収納する。このメダル補助収納庫52は、キャビネット2a内部を正面から見て、ホッパー装置51の右側に配置されている。メダル補助収納庫52は、キャビネット2aの底面板20bに係合されており、底面板20bに対して着脱可能に構成されている。」

「【図3】



「【図4】



「【図5】



特開2014-161529号公報における記載:
「【0050】
また、キャビネット2a内における、ホッパー装置43の右側方(キャビネット2a内部を正面から見て右側)には、メダル補助収納庫45が設けられている。このメダル補助収納庫45は、ホッパー装置43から溢れ出たメダルを収納する。メダル補助収納庫45は、キャビネット2aの底面に係合されており、キャビネット2aに対して着脱可能に構成されている。」

「【図3】



上記技術常識を参酌すると、引用文献1の図4において、「ホッパ40」の右側に示されている符号が付されていない構成は、ホッパ40から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫であると認められることから、引用文献1の図4には、ホッパ40の側方に、ホッパ40から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫を設けること(以下、「引用文献1記載事項」という。)が記載されていると認められる。

一方、引用文献1の【0164】には、
「図25及び図26に示すように、第1変形例においては、遊技機1Aは、ホッパ40に設けられる開放部42の少なくとも一部を覆うように、スピーカボックス300をホッパ40の上方側に配置している。そのため、遊技機1Aは、案内部53から、若しくは管理者によりメダルが開放部42に投入された時に、例えば、ホッパータンク43内におけるメダルの偏った堆積やメダルの落下速度等により、ホッパータンク43からメダルが跳ね返った場合においても、スピーカボックス300の底部(例えば、第1及び第2ボックスの底面部315,325)に衝突させることが可能になる。これにより、遊技機1Aは、メダルがホッパータンク43の外部に飛散することを防止することが可能になる。更に、遊技機1Aは、メダルがホッパータンク43の外部に飛散することを防止することにより、キャビネット2bの床面等にメダルが散点することを防止することが可能になる。これにより、遊技機1Aの保守作業が容易になる。」
と記載されているように(下線は、当審で付した。)、引用発明は、メダルがホッパータンク43の外部に飛散することを防止することにより、キャビネット2bの床面等にメダルが散点することを防止することを課題とするものであり、引用文献1記載事項のメダル補助収納庫も、ホッパー装置から溢れ出たメダルを収納するものであり、キャビネットの床面等にメダルが散点することを防止することを課題としていることは明らかである。
したがって、引用発明において、ホッパ40から溢れ出たメダルがキャビネット2bの床面等に散点することを防止するために、上記引用文献1記載事項を適用して、ホッパ40の側方に、ホッパ40から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫を設けることは、当業者が容易に想到できたことであり、このように設けたメダル補助収納庫は、相違点における「前記筐体に収容され、前記ホッパ装置から溢れたメダルを収納可能な補助収納庫」に相当する。
また、引用発明は、
(構成de-3より)「ホッパ40の右側方(R1側)の空間の上方には、スピーカボックス300の第1ボックス310が設けられ」、
(構成de-2-1より)「第1ボックス310の底部には、底面部315が形成され、底面部315は、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、一方側R1の上部側縁44cの上部側Tに配置されるように設けられ、スピーカボックス300は、底面部315と上部側縁44cとの隙間がメダルの厚さよりも小さくなるようにホッパ40の上方に配置され」
ているものであるから、「第1ボックス310」は、メダルがホッパ40からこぼれるのを防止するものである。
また、上記のように、引用発明において、上記引用文献1記載事項を適用して、ホッパ40の右側方(R1側)の空間に、ホッパ40から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫を設ける場合、メダル補助収納庫とホッパ40の間の空間の上方には、「第1ボックス310」が設けられることとなり、「第1ボックス310」は、相違点に係る本願発明の構成のうち、「前記補助収納庫から前記ホッパ装置に架けて設けられた第2メダルこぼれ防止部」に相当するものとなる。
そして、引用発明の「スピーカボックス300」が、「第1ボックス310」を有することは、相違点に係る本願発明の構成のうち、「前記メダルこぼれ防止部は」、「前記補助収納庫から前記ホッパ装置に架けて設けられた第2メダルこぼれ防止部」を「有している」ことに相当する。
したがって、引用発明に、上記引用文献1記載事項を適用して、ホッパ40の右側方(R1側)に、ホッパ40から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫を設け、相違点に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願発明により奏される効果は、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて当業者が予測できる効果の範囲内のものである。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「(4)本願発明と引用発明との対比」において、以下の旨主張する。

(主張1)「上述させて戴きましたように、本願発明によりますと、メダルこぼれ防止部(例えば、コインガードHP30)は、背板(例えば、背面壁G3)から前面側に突出し、ホッパ装置(例えば、ホッパ機構HP)のバケット(例えば、バケットHP1)の後端縁と背板(例えば、背面壁G3)との間の隙間を埋めるように設けられています。「背板(例えば、背面壁G3)から前面側に突出」していることから、メダルこぼれ防止部(例えば、コインガードHP30)の背面側は、背板(例えば、背面壁G3)と当接していると言えます。これにより、ホッパ装置(例えば、ホッパ機構HP)の後方からメダルがこぼれるのを効果的に防止することが可能となっています。これに対し、引用文献1において、連結部333がキャビネット2bの背板2cとホッパ40との間を埋めていること(とりわけ、連結部333が背板2cと当接していること)は開示されていません。
この点、引用文献1の[0154]には、スピーカボックス300の連結部333に傾斜部333aが形成されており、傾斜部333aは、メダル補給口80から補給されるメダル等をキャビネット2bの床面に零すことなくホッパ40に案内する旨、記載されています。しかしながら、当該記載は、「傾斜部333aに落下したメダルについて、(傾斜を利用して)当該メダルを零さないようにホッパ40に案内する」ということを意味するにとどまり、「メダル補給口80から補給されるメダル等の全てが傾斜部333aに落下する」ということまで意味するものではありません。連結部333は、スピーカボックス300の構成要素として([0142])、スピーカの機能を最大限発揮することが可能な形状を有していると考えられますところ、このような連結部333を用いる限り、キャビネット2bの背板2cとホッパ40との間を(厳密に)埋めるのは困難であり、連結部333と背板2cとの間には僅かばかり隙間が生じ、当該隙間からメダルが落下してしまう蓋然性が高いものと思料致します。そして、仮に、引用文献1において、連結部333を背板2cから前面側に突出させ、背板2cとホッパ40との間が完全に埋められる(連結部333が背板2cと当接する)ような形態を採用すると、連結部333が背板2cに接続されることに起因して、スピーカユニット101から出力される音に異常を来してしまうことが懸念されます。」

(主張2)「以上に加えまして、上述させて戴きましたように、本願発明によりますと、メダルこぼれ防止部(例えば、コインガードHP30)は、補助収納庫(例えば、オーバーフローバケットOF)からホッパ装置(例えば、ホッパ機構HP)に架けて設けられた第2メダルこぼれ防止部(例えば、第2ガード部HP302)を有しています。これに対し、拒絶査定におきまして、審査官殿は、引用文献1におけるスピーカボックス300の第1ボックス310(図19)が補正前請求項2に係る発明における「第2メダルこぼれ防止部」に相当する旨、ご認定になられています。しかしながら、引用文献1には、「補助収納庫」に関する具体的説明が一切存在せず(「補助収納庫」という言葉さえも登場せず)、第1ボックス310が補助収納庫からホッパ40に架けて設けられているようなことは、開示されておらず示唆もされていません。
この点に関し、審査官殿は、「引用文献1に記載の第1ボックスは図4から補助収納庫の上部に位置していることが開示されている」とご認定になられています。引用文献1の図4を見ますと、たしかに、「補助収納庫」と思える構成が図面上(キャビネット2bの右下あたりに)現れているようです。しかしながら、引用文献1において、当該図4がメインの実施形態(本実施形態)に関する図であるのに対し、第1ボックス310は、第1変形例に係る遊技機の構成要素です。メインの実施形態と変形例との関係性については、「第1及び第2変形例に係る遊技機1A,1Bにおいては、主として、前記実施形態との相違点を説明し、前記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。つまり、第1及び第2変形例に係る遊技機1A,1Bにおいて特に説明されない点については、前記実施形態についての説明が適宜適用される。」と記載されています([0138])。その上で、第1ボックス310の取付箇所に関して、[0143]には、「第1取付部81には、第1ボックス310の開放端部311側が配設される。」と記載されています。第1取付部81は、メインの実施形態においてスピーカボックス100が取り付けられる箇所であり([0036])、キャビネット2bにおける中央よりもやや左寄りに設けられています(図4)。このような第1取付部81に第1ボックス310を配設した場合、第1ボックス310は、補助収納庫よりもかなり左の方に配置されることになり、「補助収納庫からホッパ40に架けて」設けられたものとはなりません。
そもそも、第1ボックス310を「補助収納庫からホッパ40に架けて」設けるためには、第1ボックス310の右端が補助収納庫の左端に架かるとともに、第1ボックス310の左端がホッパ40の右端に架かる必要があり、かなり厳密な位置合わせが必要になりますが、引用文献1には、このような第1ボックス310と補助収納庫とホッパ40との配置関係に対する配慮が一切存在しません。また、仮に、第1ボックス310を「補助収納庫からホッパ40に架けて」設けるとすると、第1ボックス310には平坦状の第1凹状部312が形成されておりますところ([0145])、メダルが第1凹状部312に乗っかることに起因して、スピーカユニット101から出力される音にやはり異常を来してしまうことが懸念されます。この点につきましては、補正前請求項2に係る発明に関し、令和2年3月24日付意見書でも主張させて戴きました通りです。」

主張1について検討する。
上記「第6 対比・判断」「1 対比」(e)で検討したように、「スピーカボックス300」は、「キャビネット2bの内部側から」「キャビネット2bの背板2c」に取り付けられることから、「キャビネット2bの背板2c」から前面側に突出するものであり、このことは、本願発明の構成Eの「前記メダルこぼれ防止部は、前記背板から前面側に突出」することに相当する。
そして、「スピーカボックス300」は、「キャビネット2bの背板2c」に取り付けられるものであるから、「キャビネット2bの背板2c」に当接することは自明である。
また、本願の図78、図80、図81及び主張1を参酌すると、本願発明の「前記メダルこぼれ防止部は、…前記バケットの後端縁と前記背板との間の隙間を埋めるように設けられ」との事項が意味するのは、必ずしも「前記メダルこぼれ防止部」が、「前記バケットの後端縁と前記背板との間」の空間の全体に隙間なく設けられることではなく、ホッパ装置(例えば、ホッパ機構HP)の後方からメダルがこぼれるのを効果的に防止することが可能となるように、ホッパ装置のバケットの後端縁と背板との間の隙間の少なくとも上部をふさぐように設けられていることを意味すると認められる。そして、引用発明の「連結部333」を備える「連通部330」を備える「スピーカボックス300」が、ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの「上部側縁44b」と「キャビネット2bの背板2c」の間の隙間をふさぐものであることは、「第6 対比・判断」「1 対比」「(e-4)」で検討した通りである。

本願発明は、本件補正前の請求項2を従属形式から独立形式へと記載を変更したものであるから、検討の対象となる原査定の拒絶理由は、本件補正前の請求項2に対するものである。
しかしながら、原査定では、本件補正前の請求項1についての拒絶理由として、
「スピーカボックス300の連結部333が本願のメダルこぼれ防止部に相当する」
とされ、本件補正前の請求項2に対する拒絶理由として、
「スピーカボックス300は第1ボックスと第2ボックスが連結部333で連結されており、連結部が本願の第1メダルこぼれ防止部に、第1ボックスが本願の第2メダルこぼれ防止部に相当するものであると認める」
とされているところ、主張1では、引用発明の連結部333が背板2cと当接するかが論じられていることから、主張1は、原査定の拒絶理由のうち、本件補正前の請求項1について論じているものと認められる。
主張1で論じられている、連結部333が背板2cと当接するかについても検討すると、まず、「メダルこぼれ防止部(又は第1メダルこぼれ防止部)が背板と当接していること」は、本願発明において特定されていない事項である。
請求人は、主張1において、「連結部333がキャビネット2bの背板2cとホッパ40との間を埋めていること」をもって、「連結部333が背板2cと当接していること」としているところ、引用発明の「連結部333」が、「ホッパ40の開放部42を構成する上部側縁の内、背面側Rの」「上部側縁44b」と「キャビネット2bの背板2c」の間の隙間をふさぐものであることは、「第6 対比・判断」「1 対比」「(e-4)」で検討したとおりである。
そして、引用発明の構成de-4によれば、「連結部333は、キャビネット2bの背板2cに近接して設けられて」おり、引用発明の構成de-3によれば、「連結部333は、第1ボックス310及び第2ボックス320のキャビネット2bの背板2cに取り付けられる面よりも、わずかに突出して」いることから、「第1ボックス310」及び「第2ボックス320」がキャビネット2bの背板2cに取り付けられると、「連結部333」は、キャビネット2bの背板2cに当接するものと認められる。

「【図22】




「【図24】




仮に、引用発明において、連結部333が、キャビネット2bの背板2cに当接するか明らかでないとしても、上記「第6 対比・判断」「2 判断」「(1)相違点1について」で検討したように、引用発明は、メダルがホッパータンク43の外部に飛散することを防止することにより、キャビネット2bの床面等にメダルが散点することを防止することを課題とするものであると認められることから、メダルが連結部333とキャビネット2bの背板2cの間から落ちることを防ぐために、連結部333とキャビネット2bの背板2cが当接するように設けることは、当業者が容易に想到できたことである。

主張1のうち、特に
「仮に、引用文献1において、連結部333を背板2cから前面側に突出させ、背板2cとホッパ40との間が完全に埋められる(連結部333が背板2cと当接する)ような形態を採用すると、連結部333が背板2cに接続されることに起因して、スピーカユニット101から出力される音に異常を来してしまうことが懸念されます。」
との主張については、引用文献1の図23を参照すると、連結部333のうち、「第1ボックス310の内部に出力された音をバスレフポートとして第2ボックス320の内部に流通させる」ためのパイプ形状の部分は、連結部333の全体ではなく、その一部であって、連結部333のうち、(構成de-4より)「キャビネット2bの背板2cに接して又はほぼ接して設けられている」箇所、又は上記で検討した「キャビネット2bの背板2cに当接」する箇所は、連結部333のパイプ形状の部分から延出する部材であると認められ、この連結部333のパイプ形状の部分から延出する部材は、「第1ボックス310の内部に出力された音をバスレフポートとして第2ボックス320の内部に流通させる」ための連結部333のパイプ形状の部分自体ではないから、「キャビネット2bの背板2cに当接」しても、スピーカユニット101から出力される音に大きな影響を及ぼすとは考えられず、主張1を採用することはできない。

「【図23】



主張2について検討する。上記「第6 対比・判断」「2 判断」「(2)相違点2について」で検討したように、引用発明において、上記引用文献1記載事項を適用して、キャビネットの内部の下側に、ホッパー装置から溢れ出たメダルを収納するメダル補助収納庫を、ホッパー装置の右側方(R1側)の空間に設けることとした場合、メダル補助収納庫とホッパ40の間の空間の上方には、「第1ボックス310」が設けられることとなって、「第1ボックス310」は、「補助収納庫からホッパ40に架けて」設けられたものとなる。
また、主張2の
「そもそも、第1ボックス310を「補助収納庫からホッパ40に架けて」設けるためには、第1ボックス310の右端が補助収納庫の左端に架かるとともに、第1ボックス310の左端がホッパ40の右端に架かる必要があり、かなり厳密な位置合わせが必要になりますが、引用文献1には、このような第1ボックス310と補助収納庫とホッパ40との配置関係に対する配慮が一切存在しません。」
との主張については、本願発明において、第2メダルこぼれ防止部の一方の端が補助収納庫の端に架かるとともに、第2メダルこぼれ防止部の他方の端がホッパ装置の端に架かる必要があることは限定されておらず、また、「ホッパー装置などからメダルが溢れ落ちるのを防止する」との課題(【0004】)を解決するには、第2メダルこぼれ防止部の一方の端が補助収納庫の端に架かるかそれ以上に長く、第2メダルこぼれ防止部の他方の端がホッパ装置の端に架かるかそれ以上に長ければよいのであるから、厳密な位置合わせが必要であるとも認められない。
そして、主張2の
「また、仮に、第1ボックス310を「補助収納庫からホッパ40に架けて」設けるとすると、第1ボックス310には平坦状の第1凹状部312が形成されておりますところ([0145])、メダルが第1凹状部312に乗っかることに起因して、スピーカユニット101から出力される音にやはり異常を来してしまうことが懸念されます。」
との主張については、引用文献1の【0145】に、
「第1凹状部312は、筐体2の前面扉2aを閉じた状態において、メインリールユニット30Aの背面側の一部を収容可能に形成されている。」
と記載されているように、第1凹状部312の上に、メインリールユニット30Aの背面側の一部が収容されることから、メダルが第1凹状部312に乗っかることは通常ないと考えられる。仮に、メダルが第1凹状部312に乗っかることに起因して、スピーカユニット101から出力される音に異常を来してしまうことがあるとしても、それは、補助収納庫を設けることとは関係なく発生する問題であって、補助収納庫を設けることを阻害するものではない。
したがって、主張2は採用することができない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-06-23 
結審通知日 2021-06-29 
審決日 2021-07-13 
出願番号 特願2019-58043(P2019-58043)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 北川 創
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人タス・マイスター  
代理人 特許業務法人タス・マイスター  
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