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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G01G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01G 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G01G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01G 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G01G 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01G |
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管理番号 | 1377521 |
審判番号 | 不服2020-14877 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-26 |
確定日 | 2021-09-02 |
事件の表示 | 特願2017- 18834「生体活動による変動測定装置および生体活動による変動表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日出願公開、特開2018-124242〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年2月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年 3月 9日付け:拒絶理由通知書 令和 2年 5月14日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 7月13日付け:拒絶査定(同年7月28日送達、以下「原査定」という。) 令和 2年10月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 2年12月10日 :手続補正書(方式)の提出 第2 令和2年10月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年10月26日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和2年10月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、以下に示すとおり、本件補正前の請求項1?8から、本件補正後の請求項1?6に補正された。 <本件補正前> 「 【請求項1】 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する重量計測部と、 前記重量計測部によって経時的に取得された前記重量データを記憶する重量データ記憶部と、 前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部と、 前記制御部により取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示する表示部とを備え、 前記制御部は、前記基準点からの変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、前記フィッティングの結果から得られた重量変動の変化率を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、生体活動による変動測定装置。 【請求項2】 前記表示部は、前記1つの所定の生体活動としての1つの運動の開始時から終了時までの間において、測定された重量の減少量に基づいて、前記変動量を前記表示部に表示するように構成されている、請求項1に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記フィッティングにより取得される前記近似直線または前記近似曲線に基づいて、複数の前記重量データの経過時間に伴う変動をグラフとして前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項4】 前記制御部は、前記重量データが所望の前記変動量に達するまでにかかる時間を、前記フィッティングにより取得された前記近似直線または前記近似曲線に基づいて推定して、前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項3に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項5】 前記制御部は、単位時間あたりに換算した前記重量データの前記変動量を、前記フィッティングにより取得された前記近似直線または前記近似曲線に基づいて、前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項3または4に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項6】 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する重量計測部と、 前記重量計測部によって経時的に取得された前記重量データを記憶する重量データ記憶部と、 前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部と、 前記制御部により取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示する表示部とを備え、 前記制御部は、前記基準点からの前記変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似直線と、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似曲線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似曲線との少なくともいずれかを前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、生体活動による変動測定装置。 【請求項7】 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得するステップと、 経時的に取得された前記重量データを記憶するステップと、 記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得するステップと、 取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示するステップと、 前記基準点からの変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、前記フィッティングの結果から得られた重量変動の変化率を表示するステップとを備える、生体活動による変動表示方法。 【請求項8】 前記変動量を表示するステップは、前記1つの所定の生体活動としての1つの運動の開始時から終了時までの間において、測定された前記重量の減少量に基づいて前記変動量を表示するステップを含む、請求項7に記載の生体活動による変動表示方法。」 <本件補正後> 「 【請求項1】 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する重量計測部と、 前記重量計測部によって経時的に取得された前記重量データを記憶する重量データ記憶部と、 前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部と、 前記制御部により取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示する表示部とを備え、 前記制御部は、前記基準点からの前記変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似直線と、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似曲線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似曲線との少なくともいずれかを、前記基準点が揃うように前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、生体活動による変動測定装置。 【請求項2】 前記表示部は、前記1つの所定の生体活動としての1つの運動の開始時から終了時までの間において、測定された重量の減少量に基づいて、前記変動量を前記表示部に表示するように構成されている、請求項1に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記重量データが所望の前記変動量に達するまでにかかる時間を、前記フィッティングにより取得された前記近似直線または前記近似曲線に基づいて推定して、前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項4】 前記制御部は、単位時間あたりに換算した前記重量データの前記変動量を、前記フィッティングにより取得された前記近似直線または前記近似曲線に基づいて、前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の生体活動による変動測定装置。 【請求項5】 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得するステップと、 経時的に取得された前記重量データを記憶するステップと、 記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得するステップと、 取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示するステップと、 前記基準点からの変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似直線と、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似曲線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似曲線との少なくともいずれかを、前記基準点が揃うように前記表示部に表示するステップとを備える、生体活動による変動表示方法。 【請求項6】 前記変動量を表示するステップは、前記1つの所定の生体活動としての1つの運動の開始時から終了時までの間において、測定された前記重量の減少量に基づいて前記変動量を表示するステップを含む、請求項5に記載の生体活動による変動表示方法。」(下線は、補正箇所を示す。) 2 補正の目的 (1) 本件補正後の請求項1に係る補正 本件補正のうち本件補正後の請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項6の「・・・との少なくともいずれかを前記表示部に表示する制御」を、「・・・との少なくともいずれかを、前記基準点が揃うように前記表示部に表示する制御」として、表示部の表示の形態を限定するものであり、かつ本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものであるから、本件補正後の請求項1に係る補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。 (2) 本件補正後の請求項2?4に係る補正 本件補正のうち本件補正後の請求項2?4に係る補正は、本件補正前の請求項6に対して従属請求項を追加するものであるところ、本件補正前の請求項6には従属請求項が存在していなかったから、当該補正は、請求項の数を増加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。また、当該補正が、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。 したがって、本件補正後の請求項2?4に係る補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない補正である。 (3) 本件補正後の請求項5、6に係る補正 本件補正のうち本件補正後の請求項5、6に係る補正は、本件補正前の請求項7、8から「前記フィッティングの結果から得られた重量変動の変化率を前記表示部に表示する」という事項を削除する補正を含むものであるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。また、当該補正が、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。 したがって、本件補正後の請求項5、6に係る補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない補正である。 (4) 補正の目的についてのまとめ 以上検討のとおり、本件補正のうち本件補正後の請求項2?6に係る補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない補正である。 よって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 なお、本件補正のうち本件補正後の請求項1に係る補正は、前記(1)で検討したとおり、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、仮に、本件補正のうち本件補正後の請求項2?6に係る補正が特許法17条の2第5項各号のいずれかを目的とするものであるとすると、本件補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討することとなる。 そこで、以下では、念のため、本件補正のうち本件補正後の請求項2?6に係る補正が特許法17条の2第5項各号のいずれかを目的とするものであると仮定して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて検討する。 3 独立特許要件の判断 (1) 本願補正発明 本願補正発明は、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2) 引用文献に記載された発明の認定等 ア 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前の平成28年10月6日に頒布された刊行物である特開2016-176797号公報(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審が付したもので、以下同様である。 「【0015】 (構成) 図1は、第1実施形態に係る体重管理装置を模式的に示す。体重管理装置1は、測定、管理の対象者(以下、単に「対象者」と呼ぶ。)としてのユーザの体重を測定するものである。図示のように、体重管理装置1は、センサシート20と、センサシート20に接続された端末装置30とを備える。センサシート20は、例えばフィットネスクラブのエクササイズルームのフロアなどに設置され、その上で複数のユーザがエクササイズなどの運動を行う。 【0016】 通常、センサシート20が設置されるフロアは平坦であり、センサシート20はその上に設置される平坦なシートである。対象者であるユーザはセンサシート20上で運動する。センサシート20は、TFTを利用した圧力センサを備える。 【0017】 図2は、体重管理装置1の機能構成を示す。体重管理装置1は、センサシート20と端末装置30とに加えて、表示装置40を備える。 【0018】 端末装置30は、例えばPCなどのコンピュータ装置であり、入力部31と、制御部32と、記憶部33と、通信部34とを備える。入力部31は、例えばタッチパネルなどにより構成され、エクササイズを行うユーザが事前に自分の識別情報や目標の体重減量などを入力するために使用される。 【0019】 制御部32は、CPUなどのコンピュータにより実現される。記憶部33は、ハードディスク、ROM、RAMなどの記憶装置により構成され、ユーザの足型に関する情報を予め記憶している。通信部34は、外部の表示装置40と通信し、表示装置40に各ユーザの体重の変化などを表示する。 【0020】 表示装置40は、液晶ディスプレイなどにより構成され、例えばエクササイズルームの壁などに取り付けられる。表示装置40には、各ユーザの体重の変化が表示されるが、その詳細は後述する。 【0021】 上記の構成において、入力部31は本発明の入力手段の一例であり、制御部32は本発明の識別手段及び算出手段の一例であり、表示装置40は本発明の表示手段の一例である。」 「【0028】 (体重の測定方法) 次に、体重管理装置1による体重の計測方法について説明する。まず、制御部32は、センサシート20上にいるユーザを識別する。センサシート20上では、複数のユーザが同時に運動することができる。図1の例では、ユーザA?Dが同時にエクササイズを行っている。センサシート20は、シート全面にわたる圧力分布データを一定時間にわたって計測し、端末装置30へ出力する。 【0029】 端末装置30の制御部32は、まず、複数のユーザの足型から、各ユーザの足型を判別する。即ち、制御部32は、圧力分布データから複数の足型を検出し、記憶部33に記憶された登録情報に基づいて、各足型がどのユーザのものであるかを判定する。具体的には、制御部32は、圧力分布データから得られた足型と、登録情報に含まれる足の面積、足のサイズなどとを比較することにより、各足型がどのユーザのものであるかを判定する。 【0030】 こうして、ユーザの足型が判別できると、制御部32はそのユーザの足型に基づいて体重を算出する。好ましくは、制御部32は、一定時間内に得られた各時刻の圧力分布データにおける足型のうち、ユーザの片足のみがセンサシート20に接地(着地)しているタイミングにおける足型を利用して体重を算出する。片足のみが接地しているタイミングでは、ユーザの全体重がその足にかかっている。よって、片足のみが接地しているタイミングで、その接地している足の足型の圧力に基づいて重量を算出することにより、ユーザの体重を正しく測定することができる。 【0031】 このように、制御部32は、片足のみが接地しているタイミングにおける足型を取得し、その足型の圧力分布に基づいて、体重を算出する。具体的には、制御部32は、足型内に属する全ての点(1つの点の面積を1cm2とする)における圧力値の総和を算出し、以下の式により体重を算出する。 【0032】 体重[kg]=圧力値の総和[N=kg・m/s^(2)]/9.8[m/s^(2)] (1) こうして、制御部32は、センサシート20上で動いているユーザの体重を測定することができる。」 「【0033】 (体重管理処理) 体重管理処理は、端末装置30の制御部32がセンサシート20を制御することにより実施される。体重管理処理は、複数のユーザについて、各々の体重の減少を管理する処理である。各ユーザは、その日の目標の体重減少量(減らしたい体重)を目標値として設定し、センサシート20上でエクササイズを行う。エクササイズ中には、各ユーザについて体重の変化が表示装置40に表示される。そして、体重の減少量が目標値に達すると、表示装置40にそのことを示す表示がなされる。 【0034】 図5は本実施形態の体重管理処理のフローチャートである。なお、この処理を行う際の前提として、各ユーザについて図4に示すような登録情報が予め記憶部33に登録されているものとする。また、エクササイズの開始前に、準備作業として、各ユーザはその日の体重減少量の目標値を端末装置30の入力部31などを利用して入力し、記憶部33にはその目標値がユーザ毎に記憶されているものとする。また、図5に示す体重管理処理は、1人のユーザに関する処理を示したものである。 【0035】 上記の準備作業後、ユーザがセンサシート20上に移動すると、制御部32は、センサシート20の圧力分布データを取得する(ステップS10)。次に、制御部32は、取得した圧力分布データから複数の足型を検出し、記憶部33に記憶されている登録情報に基づいて各足型をユーザ毎に分類して、対象となるユーザ(以下、「対象ユーザ」と呼ぶ。)の足型を抽出する(ステップS11)。 【0036】 次に、制御部32は、対象ユーザの足型に基づいて、前述の方法により、エクササイズ開始時の体重を算出する(ステップS12)。 【0037】 その後、対象ユーザはエクササイズを開始し、センサシート20は所定時間毎に繰り返し圧力分布データを制御部32に送信し、制御部32は所定時間毎に繰り返し対象ユーザの体重を算出する(ステップS13)。そして、制御部32は、算出された体重を、エクササイズ開始時の体重から減算することにより、エクササイズによる体重の減少量を算出し、表示装置40に表示させる(ステップS14)。これにより、対象ユーザは、それまでのエクササイズによる体重の減少量を知ることができる。 【0038】 次に、制御部32は、対象ユーザの体重の減少量が、予め設定された目標値に達したか否かを判定する(ステップS15)。目標値に達していない場合(ステップS15;No)、処理はステップS13へ戻り、ステップS13?S15が繰り返される。一方、目標値に達した場合(ステップS15;Yes)、制御部32は、表示装置40にその旨を示す表示を行う(ステップS16)。これにより、エクササイズを行っている対象ユーザは、その日の目標に達したことを知ることができる。そして、処理は終了する。 【0039】 上記の体重管理処理は、センサシート20上でエクササイズを行っている対象ユーザ毎に並行して実行される。センサシート20は、一度に複数のユーザの足型を含む圧力分布データを制御部32に出力するので、制御部32は、同時にセンサシート20上でエクササイズを行っている複数の対象ユーザについて上記の体重管理処理を行うことができる。よって、複数のユーザは、それぞれが個別に設定した目標に到達するまで、同じ場所同時にエクササイズを行うことができる。また、エクササイズとして、対人競技や集団アクティビティを行うこともできる。よって、1人で黙々とエクササイズを行う場合と比較して、楽しく減量することができる。」 「【0040】 (表示例) 図6(A)は、表示装置40による体重の変化の表示例を示す。この例では、ユーザA?Dについて、目標値までの達成度がプログレスバー41により間接的に表示されている。プログレスバー41は、ユーザのエクササイズ開始時には全て消灯しており、体重が減少するにつれて点灯部分が長くなる。そして、体重の減少量が目標値に達すると、プログレスバー41の全体が点灯する。即ち、目標が達成されたことを示す表示として、プログレスバー41の全体が点灯する。 【0041】 図6(B)は、表示装置40による体重の変化の他の表示例を示す。この例では、ユーザA、Bがボクシングのようなエクササイズを行っており、それぞれの体重の減少量が数値で直接的に表示されている。体重の減少量が目標値に達すると、表示されている数値が目標値と一致する。この場合には、目標が達成されたことを示す表示として、数値を点滅させたり、何らかの文字メッセージを表示したりしてもよい。 【0042】 図6(A)、(B)では、各ユーザの体重の絶対値を表示するのではなく、減少量(相対値)のみをバー又は数値で示している。これは、他のユーザが見える場所に自分の体重の絶対値を表示されることを好まないユーザがいることを考慮したためである。このように体重の変化を相対値で示すことにより、プライバシーを考慮した表示が可能となる。」 「【図6】 ![]() 」 (イ) 引用発明の認定 上記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「エクササイズ開始時の体重を算出するとともに、前記エクササイズを開始した対象ユーザの体重を所定時間毎に繰り返し算出し、当該算出された体重を、エクササイズ開始時の体重から減算することにより、エクササイズによる体重の減少量を算出する制御部32と(【0036】、【0037】)、 エクササイズの開始前に入力された体重減少量の目標値が、ユーザ毎に記憶されている記憶部33と(【0034】)、 前記制御部32が算出したエクササイズによる体重の減少量が表示され、エクササイズ中の各ユーザについての体重の変化が表示される表示装置40(【0033】、【0037】)と、 前記制御部32は、前記表示装置40に、各ユーザの体重の減少量(相対値)のみをバー又は数値で表示させるとともに、当該体重の減少量が前記目標値に達すると目標が達成されたことを表示させる(【0037】、【0040】?【0042】、【図6】)、 体重管理装置1(【0017】、【0018】)。」 イ 引用文献4に記載された事項の認定 (ア) 引用文献4に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前の平成22年11月18日に頒布された刊行物である特開2010-260327号公報(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、総合的にダイエット行動を評価する方法であり、効果的なダイエット方法を抽出することやダイエットの進捗状況を確認することで、動機づけを高めることやダイエット指導の効果向上を目的とした体重等の管理に関するものである。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 以下、Excelによる場合の本発明の実施の形態を説明する。 (イ)体重管理表に、日付(1)ダイエット課題(2)体重変化(3)体重(4)備考 (5)の各欄を設ける。 (ロ)ダイエットコード表として、ダイエット課題(6)コード(7)を設ける。 (ハ)体重変化グラフの縦軸に体重(8)横軸に経過日数(9)をとり、散布図を作成する。 (ニ)これに基づき回帰直線(10)と回帰方程式(11)を求める。 本発明は以上のような構造である。 本発明を使用するときは、まず、Excelに体重管理表のフォームを作成しておき、これから取組むいくつかのダイエット方法を選定し記入しておく。方法は運動や食事制限など何でも分析対象となる。 ダイエットコード表を作成する。選定したダイエット方法の実施状況のコードを予め決めておく。たとえば、実施「1」、未実施「2」である。 1日の終わりに、体重管理表に当日の日付を日付欄(3)に入力し、ダイエット行動の状況をダイエット課題欄(4)入力する。翌朝、食事前、排便後に体重計測を行い前日の体重変化欄(5)体重欄(6)に入力するが、体重変化欄には前日の体重との差を入力する。 方程式Y=A+B+CのYに体重の減少数値、A、B、Cにダイエット課題の実施状況を代入比較することでA、B、Cのダイエット効果を計算していく。結果が得られた都度、体重管理表の備考欄(7)に記入していく。そして、ダイエット効果が大きい課題を中心にダイエットの方針の決定や変更を行っていく。 この作業と同時に、体重管理表に入力した経過日数と体重変化のデータをExcelのグラフウィザード機能により、回帰直線(10)と回帰方程式(11)を求める。この回帰方程式に目標体重を代入することにより、目標達成までの期間が算出できる。 ダイエットコード表(A)記入事例 ダイエットを実施するにあたって、ダイエットの課題(1)として、間食抑制、散歩、食事量抑制に取り組むことにして、コード(2)を、間食有を1、間食無を0、散歩有を1、散歩無を0、食事量小を1、食事量多を0とした。 体重管理表(A)記入事例(図1に記載例) 4/1、間食をして散歩をせず、食事量も多かったので、体重は変化がなく90kgだった。4/2、間食をして、食事量も変わらなかったが、散歩をしたので、体重は400g減少して89.6kgとなった。4/3、間食をして散歩もしなかったが、食事量を抑えたら体重は200g減少して89.4kgとなった。4/4、散歩をせず、食事量も抑えなかったが、間食をしなかったら体重は200g減少して89.2kgとなった。 体重変化グラフ(C)記入事例 この作業と同時に、体重管理表に入力した経過日数と体重変化のデータをExcelのグラフ機能により、縦軸を体重(8)横軸を経過日数(9)とした体重変化グラフを作成する。また、同グラフ機能により回帰直線(10)と回帰方程式(11)を求める。 この回帰方程式に目標体重を代入することにより、目標達成までの期間が算出できる。」 「【図3】 ![]() 」 (イ) 周知技術の認定 引用文献4の上記(ア)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める。 <周知技術> 「入力した経過日数と体重変化のデータから、縦軸を体重、横軸を経過日数とした体重変化グラフを作成することや、当該グラフから、回帰直線と回帰方程式を求め、当該回帰方程式に目標体重を代入して目標達成までの期間を算出すること(【0006】、【図3】)。」 (3) 対比 ア 本願補正発明と引用発明の対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 引用発明の「エクササイズ」の期間は、本願補正発明の「単一の重量計測期間」に相当するから、引用発明の「エクササイズを開始した対象ユーザの体重を所定時間毎に繰り返し算出」することは、本願補正発明の「単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する」ことに相当する。 また、引用発明の「算出された体重」、「エクササイズ開始時の体重」、「体重の減少量」は、それぞれ本願補正発明の「他の前記重量データ」、「基準点における前記重量データ」、「重量データの変動量」に相当するから、引用発明の「算出された体重を、エクササイズ開始時の体重から減算することにより、エクササイズによる体重の減少量を算出する」ことと本願補正発明の「前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する」ことは、「基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する」という点で共通する。 そして、引用発明の「制御部32」は、本願補正発明の「重量計測部」及び「制御部」に相当する。 よって、引用発明の「エクササイズ開始時の体重を算出するとともに、前記エクササイズを開始した対象ユーザの体重を所定時間毎に繰り返し算出し、当該算出された体重を、エクササイズ開始時の体重から減算することにより、エクササイズによる体重の減少量を算出する制御部32」は、本願補正発明の「単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する重量計測部」に相当するとともに、本願補正発明の「前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部」と、「基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部」という点で共通する。 (イ) 引用発明の「エクササイズの開始前に入力された体重減少量の目標値が、ユーザ毎に記憶されている記憶部33」と本願補正発明の「前記重量計測部によって経時的に取得された前記重量データを記憶する重量データ記憶部」は、「記憶部」という点で共通する。 (ウ) 引用発明の「エクササイズ」、「エクササイズによる体重の減少量」、「表示装置40」は、それぞれ本願補正発明の「1つの所定の生体活動」、「1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量」、「表示部」に相当する。 よって、引用発明の「前記制御部32が算出したエクササイズによる体重の減少量が表示され、エクササイズ中の各ユーザについての体重の変化が表示される表示装置40」は、本願補正発明の「前記制御部により取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示する表示部」に相当する。 (エ)引用発明の「体重の減少量(相対値)」は、本願補正発明の「基準点からの前記変動量」に相当する。 よって、引用発明の「前記制御部32は、前記表示装置40に、各ユーザの体重の減少量(相対値)のみをバー又は数値で表示させるとともに、当該体重の減少量が前記目標値に達すると目標が達成されたことを表示させる」ことと、本願補正発明の「前記制御部は、前記基準点からの前記変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似直線と、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似曲線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似曲線との少なくともいずれかを、前記基準点が揃うように前記表示部に表示する制御を行うように構成されている」ことは、「前記制御部は、前記基準点からの前記変動量を、前記表示部に表示する制御を行うように構成されている」点で共通する。 (オ) 引用発明の「体重管理装置1」は、上記(ア)?(ウ)に示された「制御部32」、「記憶部33」及び「表示装置40」を備えており、本願補正発明の「生体活動」に相当する「エクササイズ」による体重の減少量を算出して表示するものであるから、本願補正発明の「生体活動による変動測定装置」に相当する。 イ 一致点及び相違点 上記アの検討を総合すると、本願補正発明と引用発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1、2において相違する。 <一致点> 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する重量計測部と、 記憶部と、 基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部と、 前記制御部により取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示する表示部とを備え、 前記制御部は、前記基準点からの前記変動量を、前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、 生体活動による変動測定装置、である点。 <相違点1> 本願補正発明は、「前記重量計測部によって経時的に取得された前記重量データを記憶する重量データ記憶部」を備えており、「前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得」しているのに対して、引用発明は、記憶部33が、エクササイズ開始時、及び前記エクササイズを開始した後、所定時間毎に繰り返し算出した体重を記憶しているか不明であり、前記エクササイズによる体重の減少量の算出に、当該記憶部33に記憶された体重を用いているのか不明な点。 <相違点2> 本願補正発明では、「制御部は、前記基準点からの前記変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似直線と、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似曲線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似曲線との少なくともいずれかを、前記基準点が揃うように前記表示部に表示する制御を行うように構成されている」のに対して、引用発明では、回帰分析のフィッティングにより得られた近似直線または近似曲線を表示しておらず、また各ユーザ(本願補正発明の「異なる複数の被測定者」に相当。)の体重の減少量(相対値)を表示しているものの、基準点が揃うように表示しているのか不明である点。 (4) 当審の判断 ア 相違点1についての判断 上記相違点1について検討する。 引用発明の制御部32は、所定時間毎に繰り返し算出した対象ユーザの体重を、エクササイズ開始時の体重から減算し、その減算した値を表示装置40に表示しており、これらの減算や表示を行うためには、その元となる所定時間毎に繰り返し算出した対象ユーザの体重をどこかに記憶しておく必要があることは明らかである。そうしてみると、引用発明の記憶部33は、ユーザ毎に体重減少量の目標値が記憶されているものであり、ユーザ毎に算出される体重についても、当該目標値と一緒に記憶するようにすることに格別の困難性は認められない。 イ 相違点2についての判断 上記相違点2について検討する。 前記第2の3(2)イの「(イ) 周知技術の認定」において認定したとおり、入力した経過日数と体重変化のデータから、縦軸を体重、横軸を経過日数とした体重変化グラフを作成することや、当該グラフから、回帰直線と回帰方程式を求め、当該回帰方程式に目標体重を代入して目標達成までの期間を算出することは、本願出願前の周知技術である。 ここで、引用発明と前記周知技術は、いずれも体重減少の進捗状況を確認するものであり、また引用文献4の【0001】に記載されている体重減少の進捗状況を確認して体重減少への動機付けを高めることは、引用発明においても当然存在する課題であり、さらに引用文献1の【0040】、【0041】、【図6】に記載されているように、引用発明において、表示装置40への表示の形態は一つのものに固定されるものではなく、バーや数値のようにいろいろ変えても良いことが示唆されているといえる。 したがって、当該課題を解決するために、引用発明における各ユーザの体重の減少量(相対値)を表示する形態として、前記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 その場合、引用文献1の【0042】の記載にあるように、引用発明は、プライバシーを考慮して、体重の変化を絶対値でなく相対値で示すものであるから、表示装置40に表示される体重変化グラフは、その縦軸がエクササイズ開始時からの減少量、横軸が経過時間となり、そうすると、各ユーザのエクササイズ開始時の減少量は全員が0となり一致するから、グラフとして、基準点が揃うように表示されることになることは明らかである。 よって、選択肢で表現された上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のうち、「制御部は、前記基準点からの前記変動量を、回帰分析により近似直線」「にフィッティングするとともに」、「異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線」「を、前記基準点が揃うように前記表示部に表示する制御を行うように構成されている」という発明特定事項を引用発明が備えるようにすることは、前記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 小括 したがって、上記相違点1、2に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願補正発明によって奏される効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張 請求人は、審判請求の理由において、次の主張をしている。 (令和2年12月10日に提出された手続補正書(方式)5頁22?30行) 「まず、引用文献1に開示されているのは、エクササイズを行う2人の被測定者の「ある時点での」体重変化であって、各被測定者の体重変化(基準点からの変動量)を経時的に表示することは開示も示唆もされていません。 また、引用文献4に開示されているのは、「1人の被測定者の体重の絶対値」の複数日にわたる変化であって、複数人(または複数日)の体重変化を経時的に表示することは開示も示唆もされていません。 従って、引用文献1、4に記載の発明を組み合わせても、相違点に係る本願発明の特徴を得ることはできません。」 (イ) 請求人の主張について 請求人が主張するように、引用文献1には、エクササイズを行う複数人の「ある時点での」体重変化を表示することが開示されており、経時的に表示することは記載されていない。また、引用文献4には、「1人の被測定者の体重の絶対値」の経時変化であって、複数人の経時変化を表示することは記載されていない。 しかしながら、前記イにおいて説示したとおり、引用発明における各ユーザの体重の減少量(相対値)を表示する形態として、前記引用文献4に示される体重変化を経時的に表示する周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その結果として得られる構成が、複数人の体重変化を経時的に表示する構成となることは明らかである。 したがって、当該主張は採用できない。 (5) 独立特許要件についてのまとめ 以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定についてのまとめ 前記2(4)で示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 また、仮に、本件補正のうち本件補正後の請求項2?6に係る補正が特許法17条の2第5項各号のいずれかを目的とするものであるとしても、前記3(5)で示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであるから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年5月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「 【請求項6】 単一の重量計測期間内の複数回毎に、重量データを取得する重量計測部と、 前記重量計測部によって経時的に取得された前記重量データを記憶する重量データ記憶部と、 前記重量データ記憶部に記憶された一の前記重量データに基づいて設定される基準点における前記重量データと、他の前記重量データとの差分により前記重量データの変動量を取得する制御部と、 前記制御部により取得された1つの所定の生体活動に応じて変動する被測定者の前記重量データの前記基準点からの前記変動量を表示する表示部とを備え、 前記制御部は、前記基準点からの前記変動量を、回帰分析により近似直線または近似曲線にフィッティングするとともに、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似直線と、同じ前記被測定者について複数の日で得られた前記近似曲線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似直線と、異なる複数の前記被測定者について得られた前記近似曲線との少なくともいずれかを前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、生体活動による変動測定装置。」 第4 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如に係る理由(理由1)は、次のとおりである。 本願発明は、下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献4に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1. 特開2016-176797号公報 引用文献4.特開2010-260327号公報(周知技術を示す文献) 第5 引用文献に記載された発明の認定等 引用文献1に記載された発明は、前記第2の3(2)アの「(イ) 引用発明の認定」において、引用発明として示したとおりであり、引用文献4に記載された周知技術は、前記第2の3(2)イの「(イ) 周知技術の認定」において認定したとおりである。 第6 対比・判断 本願発明は、本願補正発明(前記第2の3の「(1) 本願補正発明」参照。)の「・・・との少なくともいずれかを、前記基準点が揃うように前記表示部に表示する制御」において、「前記基準点が揃うように」という限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本願補正発明が、前記第2の3の「(4) 当審の判断」において説示したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-06-25 |
結審通知日 | 2021-06-29 |
審決日 | 2021-07-15 |
出願番号 | 特願2017-18834(P2017-18834) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G01G)
P 1 8・ 572- Z (G01G) P 1 8・ 121- Z (G01G) P 1 8・ 574- Z (G01G) P 1 8・ 573- Z (G01G) P 1 8・ 571- Z (G01G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 谷垣 圭二 |
特許庁審判長 |
居島 一仁 |
特許庁審判官 |
濱本 禎広 岸 智史 |
発明の名称 | 生体活動による変動測定装置および生体活動による変動表示方法 |
代理人 | 岸本 雅之 |
代理人 | 阿久津 好二 |
代理人 | 妹尾 明展 |
代理人 | 江口 裕之 |