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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1377578 |
審判番号 | 不服2020-17182 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-12-15 |
確定日 | 2021-09-09 |
事件の表示 | 特願2016-187604「コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018- 55851〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成28年9月26日の出願であって、令和2年4月7日付けで拒絶理由が通知され、同年6月15日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月25日付け(発送日:9月29日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)され、これに対して同年12月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和2年12月15日にした手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年12月15日にした手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 複数のコンタクトと、 前記複数のコンタクトを一方向に並んだ状態で保持するハウジングと、 前記複数のコンタクトのうちの2以上のコンタクトに接合される電子部品とを備えたコネクタであって、 前記複数のコンタクトは、前記電子部品が接合される2以上の第1コンタクトと、前記電子部品が接合されない第2コンタクトとを含み、 前記電子部品は、前記コネクタが基板に接合されていない状態において、前記第1コンタクトのうちの前記ハウジングから露出する一端に接合されていることを特徴とするコネクタ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は、令和2年6月15日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数のコンタクトと、 前記複数のコンタクトを一方向に並んだ状態で保持するハウジングと、 前記複数のコンタクトのうちの2以上のコンタクトに接合される電子部品とを備えたコネクタであって、 前記複数のコンタクトは、前記電子部品が接合される第1コンタクトと、前記電子部品が接合されない第2コンタクトとを含み、 前記電子部品は、前記コネクタが基板に接合されていない状態において、前記第1コンタクトのうちの前記ハウジングから露出する一端に接合されていることを特徴とするコネクタ。」 (3)本件補正の適否 本件補正は、請求項1の「前記電子部品が接合される第1コンタクトと、」との発明特定事項を、「前記電子部品が接合される2以上の第1コンタクトと、」とするものである。 当該発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に「そして、3つの電子部品3が、それぞれ3対の第1コンタクト11の一端に接合されている。」(段落【0026】)と記載されているから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 また、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「第1コンタクト」について、「2以上の」という発明特定事項を付加するものであって、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 上記のとおり、本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(本件補正後の請求項に係る発明が特許出願の際独立して特許をうけることができるものであるか)について、以下、検討する。 2.独立特許要件について (1)本件補正発明 補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」いう。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記1.(1)のとおりのものである。 (2)引用文献に記載された事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2009-187809号公報(平成21年8月20日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) ア「【0028】 次に、本発明の第2の実施形態を図9?図15を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態とは同じ部材を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。 本実施形態のFPC用コネクタ100の特徴はシグナルコンタクト30S、グランドコンタクト30G、及びフィルタ60を単一のインシュレータ110で支持した点である。 インシュレータ110は絶縁性の合成樹脂料を射出成形したものである。図示するようにインシュレータ110の前半部には挿入用凹部111が凹設してあり、インシュレータ110の後部にはインシュレータ110を上下方向に貫通する貫通長孔112が設けてある。インシュレータ110の後部壁(貫通長孔112の直後に位置する部分)の下面には4つの嵌合凹部(支持部)113が左右方向に並べて形成してある。さらに、インシュレータ110の中央壁(貫通長孔112の直前に位置する部分)及び挿入用凹部111の底面には前後方向に延びる多数のコンタクト取付溝114が形成してある。さらに、インシュレータ110の左右両側部には、共にインシュレータ110を上下方向に貫通する嵌合孔115とテール部挿通孔116が前後に並べて形成してある。 金属製のシールド部材120の左右両側部には、嵌合片121とテール部122が共に一対として突設してある。 【0029】 本実施形態のインシュレータ110は、インシュレータ110の各コンタクト取付溝114にシグナルコンタクト30Sとグランドコンタクト30Gを取り付け、各嵌合凹部113にフィルタ60を嵌合固定し、かつ、左右のアクチュエータ支持用凹部23に回転式アクチュエータ40の左右の回転支持軸41を回転可能に嵌合し、かつ左右の金具用凹部25に金具45の挿入片46を挿入し、さらにシールド部材120をインシュレータ110の上面に被せて、嵌合片121を嵌合孔115に嵌合し、かつテール部122をテール部挿通孔116に挿入することに組み立てる。 そして、このようにして組み立てたFPC用コネクタ100を回路基板CB(図示略)の上面に載置すると、第1の実施形態と同様に、各フィルタ60の前側に位置する信号端子62の下端部が対応する回路パターンSP1の後半部に載り、各フィルタ60の後側に位置する信号端子61の下端部が対応する回路パターンSP2に載り、かつ、各フィルタ60の左右両側部に位置するグランド端子63の下端部が接地パターンGP(左右方向に延びている部分)に載り、シールド部材120の左右のテール部122の下端部が接地パターンGPの左右両端部(L字形の部分)に載る。従って、この状態で各シグナルコンタクト30Sのテール部33と対応する回路パターンSP1との半田付け、各グランドコンタクト30Gのテール部33と対応する接地パターンGPとの半田付け、及び、左右のテール部122の下端部と接地パターンGPの左右両端部との半田付けを同時に行えば、シグナルコンタクト30S、グランドコンタクト30G、及びシールド部材120が回路基板CBに実装され、さらにインシュレータ110によって保持された各フィルタ60の信号端子62と回路パターンSP1との接続状態、信号端子61と回路パターンSP2との接続状態、及びグランド端子63と接地パターンGPとの接続状態が保持される。 【0030】 以上説明した第2の実施形態のFPC用コネクタ100では、単一のインシュレータ110によってシグナルコンタクト30S、グランドコンタクト30Gのみならずフィルタ60をも支持しているので、第1の実施形態に比べて部品点数を少なくすることが可能になる。 【0031】 以上、本発明を第1及び第2の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。 例えば、接続対象物はFPC以外のケーブル、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)であってもよい。さらに、回転式アクチュエータ40の代わりにスライド式アクチュエータを採用したり、あるいはアクチュエータを省略して実施しても良い。 さらにケーブルとして電線(一端をコンタクトに接続する)を採用してもよい(この場合はアクチュエータは不要となる)。 また、各フィルタ60の信号端子62と回路パターンSP1、信号端子61と回路パターンSP2、グランド端子63と接地パターンGPをそれぞれ半田付けしてもよい。 さらに、シグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62の下端部を共通のパターン(回路パターンSP1)に接続せず、その代わりにシグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62を直接接触させて両者を導通させてもよい。このようにすると、シグナルコンタクト30Sのテール部33からフィルタ60へ電気信号が流れる間に外部ノイズが侵入したり、あるいは外部へノイズが漏れるおそれが殆どなくなるので、フィルタ60から出力された電気信号は安定度が極めて高く、かつその電気的特性は意図したものになる。 また、電気信号の電気特性を調整するための電子部品としては、フィルタ60以外にもコンデンサやダイオードや抵抗などを利用可能である。」 イ 【図9】 ![]() ウ 【図10】 ![]() エ 【図11】 ![]() オ 【図12】 ![]() カ 【図13】 ![]() キ 引用文献1の段落【0029】には、「本実施形態のインシュレータ110は、インシュレータ110の各コンタクト取付溝114にシグナルコンタクト30Sとグランドコンタクト30Gを取り付け、各嵌合凹部113にフィルタ60を嵌合固定し、 (中略) そして、このようにして組み立てたFPC用コネクタ100を回路基板CB(図示略)の上面に載置すると、 (中略) 従って、この状態で各シグナルコンタクト30Sのテール部33と対応する回路パターンSP1との半田付け、各グランドコンタクト30Gのテール部33と対応する接地パターンGPとの半田付け、及び、左右のテール部122の下端部と接地パターンGPの左右両端部との半田付けを同時に行えば、(省略)」と記載されているから、引用文献1には、FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態において、「インシュレータ110の各コンタクト取付溝114にシグナルコンタクト30Sとグランドコンタクト30Gを取り付け、各嵌合凹部113にフィルタ60を嵌合固定インシュレータ110の嵌合凹部113に嵌合固定」することが記載されているといえる。 そして、引用文献1には、第2の実施形態に関して、「シグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62を直接接触させて両者を導通させてもよい。」(段落【0031】参照。)と記載されているから、「インシュレータ110の各コンタクト取付溝114にシグナルコンタクト30Sとグランドコンタクト30Gを取り付け、各嵌合凹部113にフィルタ60を嵌合固定」した際に、半田付けする前にシグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62を直接接触させることを示唆している。 してみると、引用文献1において、フィルタ60は、FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態において、複数のシグナルコンタクト30Gのテール部33に直接接触して導通すると認められる。 ク 【図11】には、FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態であって、「インシュレータ110の各コンタクト取付溝114にシグナルコンタクト30Sとグランドコンタクト30Gを取り付け、各嵌合凹部113にフィルタ60を嵌合固定インシュレータ110の嵌合凹部113に嵌合固定」(段落【0029】参照。)した後のFPC用コネクタ100と同じ状態FPC用コネクタ100が記載されている。 そして、【図11】に記載された符号33は「複数のシグナルコンタクト30Sのテール部33」であるから、【図11】からは、実質的に、FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態において、テール部33は、FPC用コネクタ100のインシュレータ110の下側に露出することが看取できる。 ケ 【図10】において、インシュレータ110の後方にある、左右に長い貫通孔は貫通長孔112であることが看取できる。そして、【図9】からは、シグナルコンタクト30Sの後ろ側の端の上面、後端面及び側面が、貫通長孔112から外側に露出していることが看取できる。また、【図13】から、シグナルコンタクト30Sの後ろ側の端であるテール部33の下側が、貫通長孔112から露出していることが看取できる。 コ 上記ク及びケから、シグナルコンタクト30Sのテール部33は、FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態において、インシュレータ110から露出する構成であるといえる。 サ 【図9】及び【図12】から、複数のシグナルコンタクト30S及びグランドコンタクト30Gを、左右方向に並んだ状態でインシュレータ110で支持する構成が看取できる。 シ 【図12】からは、グランドコンタクト30Gが、フィルタ60から離れた位置にある構成が看取できる。 上記記載事項ア?カ及び認定事項キ?シから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「複数のシグナルコンタクト30S及びグランドコンタクト30Gと、 前記複数のシグナルコンタクト30S及びグランドコンタクト30Gを左右方向に並んだ状態で支持するインシュレータ110と、 複数のシグナルコンタクト30S及びグランドコンタクト30Gのうちの複数のシグナルコンタクト30Sに直接接触して導通するフィルタ60とを備えたFPC用コネクタ100であって、 前記複数のシグナルコンタクト30S及びグランドコンタクト30Gは、前記フィルタ60に直接接触して導通する複数のシグナルコンタクト30Sと、前記フィルタ60から離れた位置にあるグランドコンタクト30Gとを含み、 前記フィルタ60は、前記FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態において、前記複数のシグナルコンタクト30Sのうちの前記インシュレータ110から露出するテール部33に直接接触して導通するFPC用コネクタ100。」 (3) 対比・判断 ア 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「複数のシグナルコンタクト30S及びグランドコンタクト30G」は、本件補正発明の「複数のコンタクト」に相当し、以下同様に 「左右方向に並んだ状態で支持する」ことは「一方向に並んだ状態で保持する」ことに、 「インシュレータ110」は「ハウジング」に、 「複数のシグナルコンタクト30S」は「2以上のコンタクト」及び「2以上の第1コンタクト」に、 「直接接触して導通する」ことは「接合される」ことに、 「フィルタ60」は「電子部品」に、 「FPC用コネクタ100」は「コネクタ」に、 「離れた位置にある」ことは「接合されない」ことに、 「グランドコンタクト30G」は「第2コンタクト」に、 「FPC用コネクタ100を回路基板CBの上面に載置し半田付けする前の状態」は「コネクタが基板に接合されていない状態」に、 「複数のシグナルコンタクト30Sのうちの前記インシュレータ110から露出するテール部33」は「前記第1コンタクトのうちの前記ハウジングから露出する一端」に、それぞれ相当する。 してみると、本件補正発明と引用発明とは、 「複数のコンタクトと、 前記複数のコンタクトを一方向に並んだ状態で保持するハウジングと、 前記複数のコンタクトのうちの2以上のコンタクトに接合される電子部品とを備えたコネクタであって、 前記複数のコンタクトは、前記電子部品が接合される2以上の第1コンタクトと、前記電子部品が接合されない第2コンタクトとを含み、 前記電子部品は、前記コネクタが基板に接合されていない状態において、前記第1コンタクトのうちの前記ハウジングから露出する一端に接合されているコネクタ。」 である点で一致し、相違する点はない。 イ 判断 以上のとおり相違する点はないから、本件補正発明は、引用発明である。 ウ 審判請求人の主張 審判請求人は、審判請求書の第4ページ第6?16行において、 「また、フィルタ60の信号端子62に対しては、段落[0029]に、テール部33が回路パターンSP2にはんだ付けされると同時に、信号端子62は回路パターンSP1に接続することができることが記載されていることから、信号端子61とグランド端子63と同様に、信号端子62も、テール部33と実装前に接合されてなくとも回路パターンに接続できる。 このように信号端子61,62とグランド端子63は、実装前にコネクタの端子と接合しなくとも実装後に回路パターンに接続できるにも関わらず、信号端子62のみをテール部33と実装前に接合するということは、引例1の生産性に優れるという目的とは相反する。 したがって、フィルタ60の信号端子62は、実装前にテール部33(露出する一端)に接合されていない。」と主張している。 しかしながら、上記(2)アのとおり、引用文献1の段落【0031】には、 「シグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62の下端部を共通のパターン(回路パターンSP1)に接続せず、その代わりにシグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62を直接接触させて両者を導通させてもよい。 (中略) また、電気信号の電気特性を調整するための電子部品としては、フィルタ60以外にもコンデンサやダイオードや抵抗などを利用可能である。」と記載されており、この記載は、少なくとも実装前に接合することを示唆する記載であるといえる。 また、上記(2)キのとおり、シグナルコンタクト30Sのテール部33と信号端子62を直接接触させて両者を導通する状態とすることは、インシュレータ110の各コンタクト取付溝114にシグナルコンタクト30Sとグランドコンタクト30Gを取り付け、各嵌合凹部113にフィルタ60を嵌合固定した際に達成されると認められ、生産性を低下させるものではない。 したがって、審判請求人の主張は、採用できない。 (4) 小括 以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。 3.本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件に係る出願の請求項1-16に係る発明は、令和2年6月15日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-3、7-8、10、12-13、16に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 また、この出願の請求項4-10に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、この出願の請求項11-14、16に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2009-187809号公報 引用文献2:特開2011-100718号公報 引用文献3:特開平6-96815号公報 3.引用文献に記載された事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「第1コンタクト」の数について「2以上」に限定する発明特定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.(3)に記載したとおり、引用発明であるといえるから、本願発明も、引用発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない発明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-07-02 |
結審通知日 | 2021-07-06 |
審決日 | 2021-07-21 |
出願番号 | 特願2016-187604(P2016-187604) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01R)
P 1 8・ 113- Z (H01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 裕一 |
特許庁審判長 |
間中 耕治 |
特許庁審判官 |
内田 博之 尾崎 和寛 |
発明の名称 | コネクタ |
代理人 | 特許業務法人北斗特許事務所 |