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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1377699
審判番号 不服2019-16550  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-06 
確定日 2021-09-08 
事件の表示 特願2017- 2748「ビームスキャニングによる上皮性管腔器官の光学的撮像方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月30日出願公開、特開2017- 60887〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年(平成19年)1月19日(パリ条約による優先権主張 2006年1月19日 米国(US))を国際出願日とする特願2008-551555号の一部を平成25年2月7日に特願2013-022740号として新たな特許出願としたものを、その一部を平成26年9月8日に特願2014-181866号として新たな特許出願としたものを、さらにその一部を平成29年1月11日に特願2017-002748号として新たな特許出願としたものであって、平成29年11月8日付けで拒絶理由が通知され、平成30年5月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月10日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成31年3月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和元年7月26日付けで補正の却下の決定がなされるとともに同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、令和元年12月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。その後当審において令和2年6月17日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月21日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?29に係る発明は、令和2年12月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?29に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(下線は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部の少なくとも一つの部分のデータを取得する装置であって、
前記少なくとも一つの部分に少なくとも一つの電磁放射を送受するように構成された光学的第1の構成部と、
前記第1の構成部を少なくとも部分的に囲繞して、ガイド構成部を挿入することができる少なくとも一つの部分を含む、第2の構成部と、
バルーンを含む第3の構成部であって、前記データの生成を容易とするために、前記第1の構成部が前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングされるように作動するように構成された第3の構成部と、
前記データを取得するように構成されたコンピュータ構成部と、を備え、
前記第3の構成部が作動したときに、前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニングを提供するために、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対して、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転し、
前記コンピュータ構成部は、前記少なくとも一回のスキャニングの間に、前記第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む、前記データを取得する、装置」

第3 当審拒絶理由の概要
令和2年6月17日付けの当審拒絶理由は、概略以下のとおりのものである。

理由1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



●理由1について
・請求項 1-30
1.請求項1,10,20,22-24,26には、「前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む前記データ」と記載されており、これは第1の構成部を管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングするための、何らかの位置データを意味するものと認められるが、具体的にどのようなデータを指すのか明確に把握することができない。

2.請求項1,10,20,22-24には、「前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対する軸方向の動きを提供するために、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転し、」と記載されているが、「軸周りに、且つ該軸に沿って回転」という記載は日本語として適切でなく、どのような回転であるのか明確に把握することができない。
また、「軸方向の動きを提供するために、・・・回転し、」という記載も日本語として適切でなく、軸方向の動きを提供するための回転とは何であるのか把握することができない。

3.請求項1,10,20,22-24には、「第1?4の構成部」が記載されているが、用語が統一されておらず、それぞれの構成部が具体的に指し示すものを明確に把握することができない。
特に、請求項20,22,23に記載された「第2の構成部」は、それぞれ発明の詳細な説明における「バルーン」に対応する構成であると認められるが、請求項1には、「バルーン」に対応する構成は、「第3の構成部」と記載されているものと認められ、それぞれの請求項における「第2の構成部」「第3の構成部」が示すものを明確に把握することができない。
また、請求項10に記載された「第2の構成部」や、請求項24に記載された「第2?4の構成部」は、「バルーン」に対応する構成であるのか、または、他の構成であるのか把握することができない。

したがって、請求項1-30に係る発明は、不明りょうである。

●理由2について
・請求項 1-30
1.請求項1,10,20,22-24,26には、「前記コンピュータ構成部は、前記軸方向の動きの間に、前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む前記データを取得する」と記載されているが、「前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む前記データを取得する」ことについて、発明の詳細な説明に何ら記載されていない。
なお、請求人は審判請求書において、「・・・これらの記載によれば、本願発明は、通常、プローブから組織表面までの、ある距離範囲で収束した状態にある収束光のスポットが、サンプル表面(例えばバルーン表面)の位置1210に位置するように、光プローブのセンタリングを行うために、「自動照準」を用いていることが明らかです。」等主張しているが、請求項1,10,20,22-24,26には、「第1の構成部」「の」「センタリングのための位置データ」と記載されている。
これは、第1の構成部(発明の詳細な説明における内部コア125に相当するものと認められる。)を管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングするための位置データ、すなわち、第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データを意味するものと認められる。
他方、請求人が主張する、発明の詳細な説明の段落【0035】に示される「自動照準」に関する事項は、「基準アーム遅延1220」を調節することにより撮像領域の再位置決めを行うものであって、請求項1,10,20,22-24,26の「前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む前記データ」は、上記のように第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データであると把握されるから、これを上記「基準アーム遅延1220」を調節するための「データ」と解することはできない。
また、仮に、請求項1,10,20,22-24,26の「前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む前記データ」を、「基準アーム遅延1220」を調節するための「データ」と解したとしても、これを「前記軸方向の動きの間に」取得することについて、発明の詳細な説明には何ら記載されていない。

2.?4.:省略

なお、上記のように、請求項1-30に係る発明は、不明りょうであり、発明の詳細な説明に記載されていない事項が含まれているが、請求人の主張等を参酌して、下記の事項について以下のように解釈した上で、進歩性の要件について検討を行った。

(1)請求項1,10,20,22-24,26記載の、「前記コンピュータ構成部は、前記軸方向の動きの間に、前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む前記データを取得する」については、発明の詳細な説明の段落【0035】に記載された「サンプル表面(例えばバルーン表面)の位置1210を(図16Bに示すように)その大きな反射信号により決定し、基準アーム遅延1220を調節して撮像領域の再位置決めを行うこと」と解することとする。

(2)請求項1,10,20,22-24記載の、「前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対する軸方向の動きを提供するために、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転し、」については、発明の詳細な説明の段落【0022】-【0026】、第7A,B図に記載された「第1の構成部は、第2の構成部を貫通する軸周りに回転し、かつ軸方向に並進する」と解することとする。

(3),(4):省略

●理由3(進歩性)について
・請求項1-5,7-15,17-30に対して:引用文献1-3
・請求項6,16に対して:引用文献1-5

<引用文献等一覧>
1.特表2000-503237号公報
2.特開2000-321034号公報
3.特開2004-321696号公報
4.特開平11-56786号公報
5.特開2004-223269号公報

第4 当審の判断
以下、本願発明に対して判断を行う。

1 理由1(明確性)について
(1)理由1の1.について
令和2年12月21日に提出された手続補正書により、補正前の請求項1の「前記第1の構成部のセンタリングのための位置データ」という記載は、本願発明の「前記第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む前記第1の構成部のセンタリングのための位置データ」という記載に補正され、「位置データ」がどのようなデータを指すのかが明確となったため、理由1の1.は解消した。

(2)理由1の2.について
令和2年12月21日に提出された手続補正書により、補正前の請求項1の「前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対する軸方向の動きを提供するために、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転し、」という記載は、本願発明の「前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニングを提供するために、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対して、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転し、」という記載に補正され、「第1の構成部の少なくとも一つの部分」がどのような回転をするのかが明確となったため、理由1の2.は解消した。

(3)理由1の3.について
令和2年12月21日に提出された手続補正書により、補正前の請求項1に係る発明の「第3の構成部」は、本願発明において「バルーンを含む」ものであることが特定され、また、同日に提出された意見書の「ご指摘に係る各独立請求項においては、『構成部』について、『第1、第2、・・・』等の記載がありますが、これは、各独立請求項内において整合性を担保するために便宜的に用いたものであり、仮に、バルーンを含む構成部表す数値表現が、各独立請求項間で異なっていたとしても、この点が、不明りょうな記載であることの原因とはならないものと確信します。」という主張から、理由1の3.は解消した。

(4)理由1についてのまとめ
令和2年12月21日に提出された手続補正書及び意見書により、補正前の請求項1に係る発明に対する理由1の1.?3.は解消し、本願発明は明確なものとなった。

2 理由2(サポート要件)について、
(1)当審の判断
当審拒絶理由の理由2の1.では、補正前の請求項1における「第1の構成部のセンタリングのための位置データ」という記載は、第1の構成部(発明の詳細な説明における内部コア125に相当するものと認められる。)を管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングするための位置データ、すなわち、第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データを意味するものと認められるが、発明の詳細な説明には第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データについて記載がない、ということを指摘している。
これに対し、請求人は令和2年12月21日に提出された意見書において、「補正後の請求項1において、『前記第2の構成部が作動したときに、少なくとも前記第1の構成部は、回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニングを提供するために、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対して、軸周りに、且つ該軸に沿って回転し』、『前記コンピュータ構成部は、前記少なくとも一回のスキャニングの間に、前記第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む前記第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む、前記データを取得する』と補正しました。」と主張している。
しかし、令和2年12月21日に提出された手続補正書により補正された本願発明にも「第1の構成部のセンタリングのための位置データ」という記載が存在するところ、この第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データを意味するものと認められ、発明の詳細な説明には第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データについて記載がない、という点に変わりはない。この点は、「第1の構成部のセンタリングのための位置データ」が「第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む」ものであることが特定されたことによっても変わるところではない。
さらに、令和2年12月21日に提出された意見書では、上記の「補正後の請求項1において、・・・と補正しました。」という主張以外に、「第1の構成部のセンタリングのための位置データ」が発明の詳細な説明に記載されたものといえる旨の主張はなされていない。
よって、本願発明の「第1の構成部のセンタリングのための位置データを含む、前記データを取得する」ことは、発明の詳細な説明に記載されていない。

3 理由3(進歩性について)
(1)本願発明
ア 上記「2」にて述べたように、本願発明の「第1の構成部のセンタリングのための位置データ」という記載は、第1の構成部を空間的に移動させるために用いられる位置データを意味するものと解せるがそのような構成は、発明の詳細な説明に記載されていない。

イ 請求人は、審判請求書において、平成30年10月10日付け拒絶理由通知の理由1及び2(「位置データ」についての拒絶理由)に対する反論として、発明の詳細な説明の【0035】等を挙げ、「本願発明は、通常、プローブから組織表面までの、ある距離範囲で収束した状態にある収束光のスポットが、サンプル表面(例えばバルーン表面)の位置1210に位置するように、光プローブのセンタリングを行うために、『自動照準』を用いていることが明らかです。」と主張している。そこで、本願の発明の詳細な説明を参酌すると、以下の記載がある(下線は当審にて付した。)。
「【0035】
図16Aは、システムの撮像領域における組織を保持するために測定したバルーン位置に対する基準アームの応答遅延を調節するように構成された、本発明の代表的な一実施の形態のシステム(例えばOCTシステム)のブロック図である。この代表的なOCT撮像システムは、自動照準合わせを実行することができる。例えば、OCT、OFDIまたはSD-OCTシステムでは、限定された深度領域にわたり反射率を測定できる。もし、サンプルがこの深度領域内に存在しなければ、このサンプルは通常、測定することができない。バルーンカテーテルはその管腔内でこの光プローブのセンタリングを行うことができるため、器官の管腔表面をプローブから概ね一定の深度(バルーン半径)に保持することができる。しかしながら、もしバルーンの形状が歪みその圧力のため上述の一定の深度を保持することが不完全であるならば、その器官は撮像する領域の外に外すことができる。図16Aに示す代表的な実施の形態では、管腔器官の位置を追跡するために撮像深度領域を調節する自動照準を用いることができる。これは、サンプル表面(例えばバルーン表面)の位置1210を(図16Bに示すように)その大きな反射信号により決定し、基準アーム遅延1220を調節して撮像領域の再位置決めを行うことにより実現できる。この基準アーム調節は、基準アーム光路遅延の修正を含むことができる。」
この記載からすると、本願発明における「光プローブのセンタリング」(「第1の構成部のセンタリング」)は、「基準アーム遅延」を「調節して撮像領域の再位置決めを行うことにより実現」されるものと認められる。

ウ 上記「ア」及び「イ」を踏まえると、本願発明の「第1の構成部のセンタリングのための位置データ」とは、その文言自体から解せる構成は本願発明の詳細な説明に記載されていないものの、本願発明の詳細な説明に記載の「基準アーム遅延」を「調節して撮像領域の再位置決めを行う」ための「位置データ」を意図した記載であると解し、仮に本願発明を以下のとおり認定した。
「少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部の少なくとも一つの部分のデータを取得する装置であって、
前記少なくとも一つの部分に少なくとも一つの電磁放射を送受するように構成された光学的第1の構成部と、
前記第1の構成部を少なくとも部分的に囲繞して、ガイド構成部を挿入することができる少なくとも一つの部分を含む、第2の構成部と、
バルーンを含む第3の構成部であって、前記データの生成を容易とするために、前記第1の構成部が前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングされるように作動するように構成された第3の構成部と、
前記データを取得するように構成されたコンピュータ構成部と、を備え、
前記第3の構成部が作動したときに、前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニングを提供するために、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対して、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転し、
前記コンピュータ構成部は、前記少なくとも一回のスキャニングの間に、前記第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む位置データを含む、前記データを取得し、前記位置データを用いて、基準アーム遅延を調節して撮像領域の再位置決めを行う、装置」
(なお、下線部は、当審が仮に認定した構成である。以下、この「3 理由3(進歩性について)」においては「本願発明」という。)

(2)引用文献の記載事項、引用発明
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに次の記載がある(下線は当審にて付した。)。

(引1a)
「参照反射器12から反射される放射、および構造体14から反射される放射は次にビーム分割器6によって再び組み合わされ、検出器16に伝播される。得られる組み合わされた放射は検出器16で干渉パターンを生成する。検出器は、典型的には、組み合わされた放射を表す電気信号を生成し、これらの信号を信号処理、制御電子装置および表示ユニット18に伝送し、ここで構造体の画像が得られ分析される。」(第10頁第12-18行)

(引1b)
「図6は、回転走査機構35に接続される内視鏡ユニット34の実施形態を示す。内視鏡ユニット34は、人体内の天然のまたは外科的に創成されたオリフィスに挿入されて、医療従事者が動脈などの構造体をそのままの状態で観察することを可能にするように適合される。観察は、侵襲性処置を行っている間に、または診断目的で行われ、処置をアクティブに制御するために用いられ得る。回転走査機構35は、図8にさらに示すように光ファイバ44か、または図10にさらに示すように光学系54の構成要素を移動させて、撮像を行う。
本実施形態に示すように、内視鏡ユニット34は、一般に、近位端45と遠位端47とを有する細長い孔43を形成する空洞ハウジング42を含む。遠位端には、光放射を問題の構造体に向かわせ、またこれから回収する光学系54が配備される。ハウジング42は、遠位端47にのこぎり状エッジ(図示せず)などの侵襲性部材を含み得る。ハウジング42の孔43内には光ファイバ44が配備される。この光ファイバは、1つの実施形態では、標準ファイバ、偏光維持ファイバ、もしくは偏光ファイバを有する柔軟な単一モード光ファイバまたは単一モード光ファイバ束であり、これにより良好な偏光モードの一致が確実となる。光ファイバ44は、好ましくは、空洞の柔軟なシャフト46内に納められる。内視鏡ユニット34は光の照射および逆反射光の回収の両方を行うため、光ファイバ44は好ましくは単一モード光ファイバである。」(第15頁第12行-第16頁第1行)

(引1c)
「図6を参照して、本実施形態では、内視鏡ユニット34が内視鏡ユニット34の先端部に窓160を有する場合は、超音波構成要素61およびビーム方向器のプリズムまたはミラー要素を除去することによって、高解像度の撮像が可能である。本実施形態では、光学系は、レンズ156であるビーム方向器を含み、光ファイバ44が回転すると、図7Bの走査で示すように、光を円形光路で伝播する。これを実現し得る多くの方法のうちの1つとしては、光ファイバ44をレンズ156が配置される軸から僅かにずらして配置することがある。」(第19頁第12-19行)

(引1d)
「図11Aを参照して、本発明の内視鏡ユニット34の別の実施形態は、ハウジング(図示せず)に隣接して配置される複数の膨張可能なバルーン80を含む。バルーンは、内視鏡ユニット34のルーメン81を通る空気または液体などの流体によって膨張される。そのようなバルーン80は、プラークを破壊するまたは動脈内の領域を分離するためにしばしば用いられる。この図に示されるように、1つの実施形態では、少なくとも1つのバルーン80が、透明であることが可能であり、透明な窓64の上に配置されることが可能である。バルーン80が透明であるため、単一モード光ファイバ44からの照射は、光学系54およびバルーン80を通して、構造体に透過される。そのような構成により、血管形成が起こっているときに、バルーン80がプラークに与える影響が撮像され得る。図7Cの角度Φを変えるためにマイクロメータまたはその他の適切な手段が取り付けられると、バルーンの軸方向の画像を、回転マッピングを用いてマッピングすることができ、これにより、3D画像が作られる。また、この図に示されるように、ガイドワイヤ82は、内視鏡ユニット34のハウジング内42に含まれ得る。ガイドワイヤ82は、体内の所望の場所への内視鏡ユニット34の配置を促進する。
この血管形成術用内視鏡ユニット34内からの撮像により、バルーンの膨張の前後およびその最中に血管または組織の壁のリアルタイムで評価することが可能となる。これにより、所望の結果が達成されるまで、バルーン80の膨張圧力を調整することが可能となる。現在、圧力は、処置前に全体的な基準に基づいて推定されており、この圧力は、血管造影の後処置が実質的な改善を示唆しない場合には変えられる。血管造影は低解像度(500μmよりも大きい)であり、血管または組織を断面的にではなく軸方向に評価するものである。血流が、より低質の撮像を引き起こす応用では、光学撮像フィールドを明瞭にするために、上流のバルーンを膨張させるおよび/または生理食塩水を注入することができる。光学撮像ポートに最も近いバルーンの膨張を利用して、撮像フィールドを安定化させることも可能である。
図11Bを参照して、図11Aの内視鏡ユニット34が断面図で示される。示されるように、ファイバ44は、可撓性のあるトルクケーブル45およびボディ47によって囲まれるハウジングの中心を通って走る。ボディ47内には膨張ポート81が形成され、この膨張ポート81を通して、バルーン80が膨張される。さらに、ボディ47には、ガイドワイヤ82が通過するポート49が規定される。好ましくは、ボディ47の外面には、生体適合性シース84が配置される。さらに、ルーメン89を用いて、生理食塩水などの流体を注入するまたは押し出すことができる。」(第21頁第21行?第22頁第27行)

(引1e)第1図


(引1f)第6図


(引1g)第7図


(引1h)第11図


イ 引用発明
(ア)上記(引1h)の第11A図から、バルーン80は、光ファイバ44の軸方向に対して直交する方向に均等な大きさで膨張されることが見て取れる。

(イ)上記「ア」及び「イ」の(ア)から、引用文献1には、以下の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用発明」という。)。
「人体内の天然のまたは外科的に創成されたオリフィスに挿入される内視鏡ユニット34であって、
光の照射および逆反射光の回収の両方を行う光ファイバ44と、
光ファイバ44が配備される孔43、及び、ガイドワイヤ82が通過するポート49が規定されたボディ47を備えたハウジング42と、
ハウジング42に隣接して配置され、光ファイバ44の軸方向に対して直交する方向に均等な大きさで膨張され、撮像フィールドを安定化させる複数の膨張可能なバルーン80と、
参照反射器12から反射される放射、および構造体14から反射される放射が組み合わされた放射を表す電気信号を生成する検出器16と、検出器16で生成した電気信号が伝送され、構造体の画像を得ることができる、信号処理、制御電子装置および表示ユニット18と、を備え、
光ファイバ44が内視鏡ユニット34の軸周りに回転することで回転走査を行う、内視鏡ユニット34」

ウ 引用文献2
(ア)引用文献2
引用文献2には、図面とともに次の記載がある(下線は当審にて付した。)。

(引2a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低干渉性の光を用いて生体組織の光断層像を得る光イメージング装置に関する。
・・・
【0047】また、3次元スキャン或いはスパイラルスキャンモードを指示した場合には、コンピュータ25を介して回転/進退制御装置13は回転用モータ33を駆動すると共に、これに連動して進退移動用モータ40を駆動して図5(C)のように3次元スキャンモードでの光イメージング像を得ることができる。
【0048】この場合、回転走査がリニア走査に対し十分早くなるように走査すると、2次元の円周像を積み重ねる形で3次元構築像を得ることができる。3次元データが構築できれば、そのデータに対し、自在な断面を構築することができる。
【0049】つまり、この3次元スキャンモードでの光イメージング像を得た場合には、そのモードでの光イメージング像の画像データがコンピュータ25内のメモリ或いはハードディスク等の画像データ記憶装置に記憶されるので、術者は3次元スキャンモードでの光イメージング像を得た場合には、3次元スキャンモードでの光イメージング像を立体的に表示させたり、所望とする断面での光イメージング像を表示させたりすることもできる。
【0050】従って、本実施の形態によれば、光走査プローブ8Aにより、その先端の光学ユニット36を回転駆動及び進退移動可能にして、低干渉性光を3次元的に走査できるようにしているので、3次元的に走査による3次元的なイメージング画像を得ることができ、3次元的に表示させることにより、術者はその画像から2次元画像しか得られない場合よりもはるかに診断し易い。また、3次元的なイメージング画像を表示させることにより、患部等の3次元的な大きさも定量的に把握し易い。
【0051】さらに、任意の方向からの断層像も表示できるので、術者は注目する部位に対し、的確な診断を行い易い。つまり、術者に対し、診断に易い3次元像及び任意の方向での断層像を提供できる。」

(引2b)
【図5】


(イ)引用文献2の記載事項
引用文献2の記載から、「生体組織の光断層像を得る装置において、光走査プローブの先端の光学ユニットを回転駆動及び進退移動させ、3次元的なスパイラルスキャンをすること」は、本願の優先権主張の日前に周知の事項であったと認められる。

エ 引用文献3
(ア)引用文献3
引用文献3には、図面とともに次の記載がある(下線は当審にて付した。)。

(引3a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光束を走査して被検部の断層像を得る光イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光イメージング装置は、医療用分野において広く用いられている。光イメージング装置は、被検部の生体組織に光源からの光束を照射し、その被検部からの戻り光の情報から被検部の断層像を構築するものである。
【0003】
このような光イメージング装置は、例えば、低干渉光(低コヒーレンス光)を発生する光源を用いるOCT(Optical Coherence Tomography )と呼ばれるものが知られている。OCTは、光源からの低干渉光を被検部の生体組織に対して走査して対物光学系からその焦点で集光する光走査プローブ(以下、単に光プローブと略記)を備えている。そして、OCTは、光プローブで上記対物光学系を経て得た被検部の生体組織から反射光及び散乱光である戻り光を干渉させて受光手段で受光し生体組織のOCT断層像(光イメージング像)を得るものである。
・・・
【0043】
光イメージング装置1は、光プローブ2の3次元スキャナ16により、光源からの観測光を被検部に対して3次元で走査されて集光照射し、その観測用戻り光の情報から被検部の3次元断層画像を構築する。
【0044】
ここで、光イメージング装置1は、垂直スキャナ16bによる深部方向(深さ方向)の垂直方向走査において、観測用光路長可変機構20(の移動装置23)を制御駆動され、観測用参照光と観測光との光路長が一致するように(コヒーレンスゲートとしての)ミラー22を調整される。
・・・
【0049】
つまり、光イメージング装置1は、観測用集光光学系17の被写界深度と可干渉範囲とが互いの距離範囲内の程度で一致しないと、対象物からの信号を観測用光検出素子18で受光することができず、被検部の低干渉画像を得ることができない。
【0050】
本実施の形態では、光イメージング装置1は、上述のように観測用集光光学系17の焦点位置Pf付近と被検部までの距離Lと、観測用集光光学系17の被写界深度とコヒーレンス長と、が互いの距離範囲内の程度で精度良く一致するようにコンピュータ24により制御駆動される。
【0051】
次に、図5のフローチャートを用いてコンピュータ24の制御による光イメージング装置1の動作を説明する。図5は、焦点位置調整制御のフローチャートにである。コンピュータ24は、先ず、シャッタ27を観測用光路長可変機構20の光路内に挿入し、このシャッタ27を閉じたまま焦点位置調整制御を行う。コンピュータ24は、距離計測用低可干渉光源31からの低干渉光を距離計測光学系で伝達させ、光プローブ2の距離計測用集光光学系37を経て被検部側に集光照射させる。
【0052】
同時に、コンピュータ24は、距離計測用光路長可変機構40(の移動装置43)を高速でスキャンニングし、距離計測用光検出素子38で距離計測用戻り光量を検出し(ステップSI)、この距離計測用戻り光の強度が最大となる被検部の位置を推定する(ステップS2)。
【0053】
ここで、図6はプローブ先端側の光学系と距離計測用光検出素子で検出される戻り光量との関係を示し、図6(A)はプローブ先端側の光学系を示し、図6(B)は同図(A)における距離計測用光検出素子で検出される戻り光量のグラフを示す。尚、図6(A),(B)は、カバーガラス54を設けた場合を示す。
【0054】
図6(A),(B)に示すように距離計測用光検出素子38は、距離計測用戻り光量として、プローブ先端のカバーガラス54での反射戻り光の後、被検部正面での強い反射を検出し、次に被検部の散乱・反射光による戻り光を検出する。この被検部表面の反射は、図6(B)に示すように急激に変化が起こる。このため、コンピュータ24は、この位置を被検部の位置として検出する。コンピュータ24は、検出した被検部の位置と観測用集光光学系17の焦点位置との差分を算出する。
【0055】
次に、コンピュータ24は、算出した距離に応じた焦点距離となるように観測用集光光学系17の焦点位置を設定し、位置指令信号として駆動信号を生成する(ステップS3)。そして、コンピュータ24は、駆動信号を垂直スキャナ16bの圧電素子55に出力して駆動させる(ステップS4)。すると、垂直スキャナ16bの圧電素子55は、駆動して観測用集光光学系17の焦点位置をその光軸上で観測用集光光学系17側に移動させる。
【0056】
この状態で、コンピュータ24は、シャッタ27を開け観測光の光路長が観測用参照光の光路長に対して可干渉距離内で一致するようにコヒーレンスゲートであるミラー22の位置を設定する。そして、コンピュータ24は、設定したミラー22の位置となるように観測用光路長可変機構20(の移動装置23)に駆動信号を送り、ミラー22の位置の調整(設定)を行って観測用参照光の光路長を可変設定する。
【0057】
ここで、観測用光路長可変機構20側の光路長を変化させると、光イメージング装置1は、光プローブ2側による観測光の往路及び復路の光路長と、光路長変機構20側でミラー22で反射されて戻る観測用参照光の往路及び復路の光路長とが低可干渉性の光で干渉する距離(コヒーレンス長)の範囲内になると干渉光となり、この干渉光が観測用光検出素子18で受光されるようになる。
【0058】
つまり、コンピュータ24は、観測用光路長可変機構20側による観測用参照光の光路長を、光プローブ2の観測用集光光学系17が焦点位置Pfの状態での光路長と一致して干渉光として受光できるように観測用参照光の光路長を決定するミラー位置の設定を行う(光プローブ2側の光路長と一致させる)。」

(引3b)
【図5】

【図6】

(イ)引用文献3の記載事項
引用文献3の記載から、「被検部の生体組織の光断層像を得る装置において、被検部表面からの反射を検出することにより、被検部の位置を検出し、被検部の位置と集光光学系の焦点位置を合わせるとともに、該焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行うこと」は、本願の優先権主張の日前に周知の事項であったと認められる。

(3)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。

ア 引用発明の「人体内の天然のまたは外科的に創成されたオリフィスに挿入される内視鏡ユニット34」は、本願発明の「少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部の少なくとも一つの部分のデータを取得する装置」に相当する。

イ 引用発明の「光の照射および逆反射光の回収の両方を行う光ファイバ44」は、本願発明の「前記少なくとも一つの部分に少なくとも一つの電磁放射を送受するように構成された光学的第1の構成部」に相当する。

ウ 引用発明の「光ファイバ44が配備される孔43、及び、ガイドワイヤ82が通過するポート49が規定されたボディ47を備えたハウジング42」について
(ア)引用発明の「ハウジング42」は「光ファイバ44」の周囲に設けられているから、本願発明の「前記第1の構成部を少なくとも部分的に囲繞」する「第2の構成部」に相当する。
(イ)引用発明の「ガイドワイヤ82」が、本願発明の「ガイド構成部」に相当する。
(ウ)引用発明の「ガイドワイヤ82が通過するポート49」が、本願発明の「ガイド構成部を挿入することができる少なくとも一つの部分」に相当する。
(エ)したがって、引用発明の「光ファイバ44が配備される孔43、及び、ガイドワイヤ82が通過するポート49が規定されたボディ47を備えたハウジング42」は、本願発明の「前記第1の構成部を少なくとも部分的に囲繞して、ガイド構成部を挿入することができる少なくとも一つの部分を含む、第2の構成部」に相当する。

エ 引用発明の「ハウジング42に隣接して配置され、光ファイバ44の軸方向に対して直交する方向に均等な大きさで膨張され、複数の膨張可能なバルーン80」は、本願発明の「バルーンを含む第3の構成部」に相当する。

オ 引用発明の「参照反射器12から反射される放射、および構造体14から反射される放射が組み合わされた放射を表す電気信号を生成する検出器16と、検出器16で生成した電気信号が伝送され、構造体の画像を得ることができる、信号処理、制御電子装置および表示ユニット18」は、本願発明の「前記データを取得するように構成されたコンピュータ構成部」に相当する。

カ 引用発明の「光ファイバ44が内視鏡ユニット34の軸周りに回転することで回転走査を行う」ことは、本願発明の「前記第2の構成部を貫通する軸周りに、」「回転」することに相当する。

キ 上記「ア」?「カ」より、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
「少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部の少なくとも一つの部分のデータを取得する装置であって、
前記少なくとも一つの部分に少なくとも一つの電磁放射を送受するように構成された光学的第1の構成部と、
前記第1の構成部を少なくとも部分的に囲繞して、ガイド構成部を挿入することができる少なくとも一つの部分を含む、第2の構成部と、
バルーンを含む第3の構成部と、
前記データを取得するように構成されたコンピュータ構成部と、を備え、
前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、回転する、装置」

(相違点1)
本願発明の「第3の構成部」は、「前記データの生成を容易とするために、前記第1の構成部が前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングされるように作動するように構成された」ものであるのに対して、引用発明の「バルーン80」は、上記の事項について特定されていない点。

(相違点2)
本願発明が、「前記第3の構成部が作動したときに、前記第1の構成部の少なくとも一つの部分は、回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニングを提供するために、前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルに対して、前記第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転」するのに対して、引用発明は、「光ファイバ44」が「内視鏡ユニット34」の軸周りに回転走査するものの、「回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニングを提供するために」、「軸に沿って回転」することについて特定されていない点。

(相違点3)
本願発明が、「前記コンピュータ構成部は、前記少なくとも一回のスキャニングの間に、前記第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む位置データを含む、前記データを取得し、前記位置データを用いて、基準アーム遅延を調節して撮像領域の再位置決めを行う」のに対して、引用発明では、上記構成について特定されていない点。

(4)判断
ア 相違点1について
請求項1に記載された、「前記第1の構成部が前記少なくとも一つの管腔又は中空サンプルの内部においてセンタリングされる」とは、「第1の構成部」が「管腔又は中空サンプルの内部において」、センタリング、すなわち、中心位置に位置決めされることを意味するものと認められる。
また、引用発明の内視鏡ユニット34においても、上記(引1h)第11図Aにおいて、バルーン80は、光ファイバ44の軸方向に対して直交する方向に均等な大きさで膨張される旨の図が開示されており、「撮像フィールドを安定化させる」「バルーン80」は通常、管腔内においてそれぞれ均等に膨張させるものと認められる。
そして、これらのバルーン80が均等に膨張された場合、内視鏡ユニット34のおおよそ中心に配置された光ファイバ44は、オリフィスの中心位置に位置決めされるものと認められる。
したがって、相違点1に係る構成は、実質的な相違点ではない。

イ 相違点2について
上記「3」(2)「ウ」(イ)で述べたように、「生体組織の光断層像を得る装置において、光走査プローブの先端の光学ユニットを回転駆動及び進退移動させ、3次元的なスパイラルスキャンをすること」は、本願の優先権主張の日前に周知の事項であり、引用発明において上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。
この時、引用発明の「光ファイバ44」は「回転駆動及び進退移動」し、「3次元的なスパイラルスキャン」をするところ、「回転駆動」によるスキャンが本願発明の「回転スキャニング」に、「進退移動」によるスキャンが本願発明の「軸方向スキャニング」にそれぞれ相当し、また、「回転駆動及び進退移動」をすることが、本願発明の「第2の構成部を貫通する軸周りに、且つ該軸に沿って回転」することに相当する。
また、「撮像フィールドを安定化させる複数の膨張可能なバルーン80」を備えた引用発明は、バルーン80を作動させたときに、撮像を行うものであるから、上記スパイラルスキャンも、バルーン80が作動したときに、行われるものである。
よって、引用発明において引用文献2に記載の周知技術を適用し、相違点2に係る構成をなすことは、当業者が容易に想到しうることである。

ウ 相違点3について
(ア)上記「3」(2)「エ」(イ)で述べたように、「被検部の生体組織の光断層像を得る装置において、被検部表面からの反射を検出することにより、被検部の位置を検出し、被検部の位置と集光光学系の焦点位置を合わせるとともに、該焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行うこと」は、本願の優先権主張の日前に周知の事項であり、引用発明において上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。

(イ)この時、引用発明は「被検部の位置を検出」することとなるが、「撮像フィールドを安定化させる複数の膨張可能なバルーン80」を備えた引用発明は、バルーン80を作動させたときに撮像を行うものであり、またバルーン80は撮像フィールドを安定化させるのであるから、バルーン80は作動時に被検部に接触している。そのため、「被検部の位置を検出」することは「バルーン80」の「位置を検出」することと同じである。そして、この「バルーン80」の「位置」とは、「光の照射および逆反射光の回収の両方を行う光ファイバ44」からの深さ方向の位置である。
よって、引用発明が「被検部の位置を検出」することとなる時、「被検部の位置を検出」することは、本願発明の「第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む位置データ」を「取得」することに相当する。

(ウ)また、上記(ア)に記載の周知技術の「被検部の位置と集光光学系の焦点位置を合わせるとともに、該焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行う」ことについて、このことは「検出」した「被検部の位置」のデータを用いて行うものである。また、「焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行う」ことは、本願発明の「基準アーム遅延を調節」することに相当する。
よって、上記(ア)に記載の周知技術の「被検部の位置と集光光学系の焦点位置を合わせるとともに、該焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行う」ことは、本願発明の「位置データを用いて、基準アーム遅延を調節して撮像領域の再位置決めを行う」ことに相当する。

(エ)本願発明の「少なくとも一回のスキャニングの間に」「位置データを含む、前記データを取得する」という点について、上記(ア)に記載の周知技術は「被検部の生体組織の光断層像を得る」時、すなわちスキャニングの時に行うものであるから、引用発明において上記周知技術を適用した際に「被検部の生体組織の光断層像を得る装置において、被検部表面からの反射を検出することにより、被検部の位置を検出し、被検部の位置と集光光学系の焦点位置を合わせるとともに、該焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行うこと」は、当然に「回転スキャニング及び軸方向スキャニングを含む少なくとも一回のスキャニング」の間に行われるといえる。

(オ)よって、引用発明において引用文献3に記載の周知技術を適用し、相違点3に係る構成をなすことは、当業者が容易に想到しうることである。

エ 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2,3に記載された周知技術から、当業者が容易に想到しうるものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、令和2年12月21日に提出された意見書において「引用文献1に記載された発明には、ハウジングに隣接して配置される複数の膨張可能なバルーン80を含む、との構成を備えてはいるものの、バルーン80の表面の深度情報に関する開示はありません。」及び「引用文献3における、観測光に関連する箇所の記載は、焦点変更手段として観測用集光光学系17を光軸方向に移動させて観測光を深部方向(深さ方向)に走査する垂直スキャナ16bを備える旨の開示と、さらに、観測用集光光学系17の深部方向(深さ方向)の焦点位置を変更する必要があるため、焦点位置調整制御は、サーボ動作として繰り返してエンドレスで行われる旨の開示があるにとどまっています。」と主張している。そこで、請求人の主張について検討する。

ア 引用文献1に関する主張について
上記(4)「ウ」(イ)にて述べたように、引用発明において引用文献3に記載の周知技術を適用し、「被検部の位置を検出」することとなる時、「被検部の位置を検出」することが、本願発明の「第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む位置データ」を「取得」することに相当する。
すなわち、「第1の構成部に対するバルーン表面の深度情報を含む位置データ」を「取得」することは、引用発明及び周知技術から当業者が容易に想到しうるものであり、請求人の主張は採用できない。

イ 引用文献3に関する主張について
請求人の主張の「引用文献3における、観測光に関連する箇所の記載は、焦点変更手段として観測用集光光学系17を光軸方向に移動させて観測光を深部方向(深さ方向)に走査する垂直スキャナ16bを備える旨の開示と、さらに、観測用集光光学系17の深部方向(深さ方向)の焦点位置を変更する必要があるため、焦点位置調整制御は、サーボ動作として繰り返してエンドレスで行われる旨の開示があるにとどまっています。」という記載に鑑みると、上記主張は、本願発明の「基準アーム遅延を調節」するという構成が引用文献3には開示されていない、ということを述べていると考えられる。
しかし、上記(4)「ウ」(ウ)にて述べたように、引用文献3に記載の周知技術の「被検部の位置と集光光学系の焦点位置を合わせるとともに、該焦点位置における観測光の光路長と参照光の光路長が干渉する距離内になるように、参照光のミラー位置の設定を行う」ことは、本願発明の「位置データを用いて、基準アーム遅延を調節して撮像領域の再位置決めを行う」ことに相当する。
すなわち、「基準アーム遅延を調節」することは、引用発明及び周知技術から当業者が容易に想到しうるものであり、請求人の主張は採用できない。

ウ まとめ
上記「ア」、「イ」より、令和2年12月21日に提出された意見書における請求人の主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-03-30 
結審通知日 2021-04-06 
審決日 2021-04-23 
出願番号 特願2017-2748(P2017-2748)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61B)
P 1 8・ 537- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一奥田 雄介  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
磯野 光司
発明の名称 ビームスキャニングによる上皮性管腔器官の光学的撮像方法およびシステム  
代理人 林 一好  
代理人 正林 真之  
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