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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1377708
審判番号 不服2020-4543  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-03 
確定日 2021-09-08 
事件の表示 特願2017-504043「インビボ・イメージングおよび診断のための機器、デバイスならびに方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月28日国際公開、WO2016/015052、平成29年 9月 7日国内公表、特表2017-525435〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)7月27日(パリ条約による優先権主張 2014年7月25日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和元年5月9日付けで拒絶理由が通知され、同年8月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年11月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)されたところ、令和2年4月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において同年8月31日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和3年1月26日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1-12に係る発明は、令和3年1月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(下線は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
機器であって、
血管中へ挿入されるように構成かつ構築されたカテーテルと、
少なくとも1つの第1の光放射を600nmと900nmとの間にある少なくとも1つの第1の波長で前記カテーテルを通して前記血管へ供給するように構成されたエネルギー・ソース装置と、
少なくとも1つの第2の光放射を前記少なくとも1つの第1の波長とは異なる640nmと1000nmとの間にある少なくとも1つの第2の波長で前記カテーテルを通して検出するように構成された検出器装置であって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射による衝突を受けた前記血管の少なくとも1つの部分の自己蛍光に基づいている、前記検出器装置と、
前記血管の少なくとも1つの炎症のタイプを診断またはキャラクタライズするために、前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルのスペクトル形状又はスペクトル間の相対強度に基づいて、前記血管における少なくとも1つの炎症のタイプを識別するように構成されたコンピュータ装置と、を備え、
前記炎症のタイプは、酸化ストレスによって生じたバイオマーカーが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、カルシウムが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、プラーク内出血を示すバイオマーカーが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、蛋白質修飾体が前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、リポ蛋白修飾体が前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、脂質修飾体が前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、機器。」


第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりのものである。

理由3.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



●理由3(新規性)、理由4(進歩性)について
・請求項 1-2,5-7に対して:引用文献1
・請求項 1-2,5-7に対して:引用文献2

●理由4(進歩性)について
・請求項 1-15に対して:引用文献等 1-4

<引用文献等一覧>
1.特開2006-81619号公報
2.国際公開第2013/152395号
3.米国特許出願公開第2007/0078348号明細書
4.特開2000-325295号公報


第4 当審の拒絶の理由
令和2年8月31日付けの当審拒絶理由は、概略以下のとおりのものである。

理由1.(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(実施可能要件)本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。



●理由1について
・請求項1-12
(請求項1-11について)
本願の請求項1には、「前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルの数学的な操作に基づいて、酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを含む炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性を決定する」と記載されているが、日本語として適切でなく、「酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを含む」は、「炎症」、「炎症を示す前記血管」、「前記血管の少なくとも1つの特性」のいずれの事項に係るものであるのか明確に把握することができない。

(請求項1-12について)
1 本願の請求項1には、「酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性」とあるが、「蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾」とは、何を意味するのか不明である。一般に、蛋白質修飾とは、遺伝子情報に基づいて蛋白質が生成された後に、蛋白質へ付加される化学的な修飾のことを指すものと認められるが、単に化学的な修飾のことを意味するものである「蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾」が、「炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性」であるとは、何を意味するものであるのか把握することができない。

2 本願の請求項1には、「前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルの数学的な操作に基づいて、酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを含む炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性を決定する」と記載されているが、「前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルの数学的な操作」とは、具体的に如何なる操作であるのか不明であり、請求項7-10に記載された「前記少なくとも第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップ」、「前記スペクトル形状または相対強度データを参照データセットと比較するステップ」を意味するものであるのか、またはそれ以外のことを意味するものであるのか把握することができない。
また、「前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルの数学的な操作」が、請求項7-10に記載された「前記少なくとも第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップ」、「前記スペクトル形状または相対強度データを参照データセットと比較するステップ」を意味するものであったとしても、このような操作に基づいて、なぜ「酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを含む炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性」を決定することができるのか、把握することができない。

(請求項3について)
請求項3には、「前記蛋白質修飾は、ジチロシンまたはニトロチロシンである」、「前記リポ蛋白修飾は、酸化LDLである」、と記載されているが、上記のように単に化学的な修飾のことを意味するものである「蛋白質修飾」、「リポ蛋白修飾」が、化学物質である「ジチロシンまたはニトロチロシン」や、「酸化LDL」であるとする上記記載は日本語として適切でなく、意味するところが不明である。
同様に、「前記プラーク内出血は、内因性ポルフィリンを含む」も日本語として適切でなく、意味するところが不明である。

●理由2について
・請求項1-12
本願の発明の詳細な説明には、アテローム動脈硬化性病理から得られた自己蛍光スペクトルに基づいて、内膜過形成(IH)、石灰化(CA)、病理学的内膜肥厚(PIT)、壊死性コア(NC)のようなプラーク・タイプを識別する手法について記載されているものの、請求項1,12に記載された「酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを含む炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性」を決定する具体的な手法について記載されているとは認められない。
本願の明細書には、
「高スペクトル強度の領域が壊死性コア・プラークの壊死性領域に割り当てられ、バルク組織測定から観測された自己蛍光が壊死性領域で発生し、この領域には蛋白質および脂質の修飾のような、炎症および酸化ストレスに反応する確立した分子レベルの過程があることを確認する。」(段落【0055】)
「IHは、プラークの内膜/中膜より若干低い。考えられる理由としてありうるのは、NCおよびPITに存在する炎症活性が内膜および中膜で蛋白質およびリポ蛋白を修飾するかもしれないということである。」(段落【0057】)
「飽和酢酸マンガン(III)溶液中でインキュベートされた試料は、著しくより強いスペクトルの赤色シフトを示す。これは、NIRAFスペクトル特性が酸化生成物、例えば、蛋白質修飾体の存在に対して高感度でありうることを実証する。」(段落【0059】)
などの記載はあるものの、上記記載は、プラーク・タイプにより自己蛍光強度が異なる原因として、酸化ストレス、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾等の過程があることが推測されることについて言及しているにすぎず、「酸化ストレス、カルシウム、プラーク内出血、蛋白質修飾、リポ蛋白修飾、脂質修飾、または酵素活性のうちの少なくとも1つを含む炎症を示す前記血管の少なくとも1つの特性」を決定する具体的な手法については、本願の明細書に何ら記載されていない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-12に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

また、当審拒絶理由では「上記のように、本願の請求項1-12に係る発明は著しく不明りょうであり、また、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-12に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないので、原査定における拒絶の理由(新規性進歩性(引用文献1または2に基づくもの))の判断については留保する。」と記載し、新規性進歩性(引用文献1または2に基づくもの)の判断を留保している。


第5 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献2の記載事項
原査定にて引用された引用文献2には、図面とともに次の記載がある(下線は当審にて付した。また、和訳として引用文献2のファミリー文献である特表2015-516847号の記載を用いた。)。

(引1a)
「[0001] The present invention relates to a method and apparatus for use in detecting atherosclerotic plaques using fluorescence spectroscopy, and in one example to detecting and/or quantifying the vulnerability of atherosclerotic plaques.」
(和訳)
「[0001]本発明は蛍光分光光度法を用いるアテローム斑の検出に使用するための方法と器械に関し、一例では、アテローム斑の脆弱性の検出および/または定量に関する。」

(引1b)
「[0061] An example of an apparatus for use iri detecting atherosclerotic plaques will now be described with reference to Figures 1 A and IB.
[0062] In this example, the apparatus 100 includes a processing system 110 including an electronic processing device, such as a processor 111, that determines a level of fluorescence sensed by a sensing device at a second infrared wavelength in response to exposure of at least part of an artery to radiation at a first infrared wavelength and determines a fluorescence indicator using the level of fluorescence, the fluorescence indicator being indicative of the presence, absence or degree of an atherosclerotic plaque.
・・・
[0066] In one example, for use in-vivo, for example on the coronary artery, the apparatus 100 can further include a catheter 120 including two optical fibres 123, 124 extending between distal and proximal ends 121, 122. A radiation source 131, such as a laser or laser diode, is coupled to the proximal end 122, and in particular is optically coupled to the optical fibre 123. A sensing device 132, such as a photodetector, photomultiplier, infrared camera, or the like, is coupled to the proximal end 122, and in particular is optically coupled to the optical fibre 124. The catheter 120 may also include optics provided at the distal end 121, allowing radiation to be emitted from, or received by the optical fibres 123, 124, as required.」
(和訳)
「[0061] 次に、図1Aおよび1Bを参照してアテローム斑の検出に使用するための器械の例を説明する。
[0062] この例では、器械100は、第1赤外波長の照射光への動脈の少なくとも一部の曝露に応答した、第2赤外波長で検出装置によって感知される蛍光のレベルを測定し、且つ、その蛍光レベルを用いてアテローム斑の存在、不在、または程度を表す蛍光指標を決定する電子処理装置、例えばプロセッサ111を含む処理システム110を含む。
・・・
[0066] 一例では、インビボでの使用、例えば冠動脈での使用のために器械100は遠位末端と近位末端121、122の間に延びる2本の光ファイバー123、124を含むカテーテル120をさらに含み得る。照射光源131、例えばレーザーまたはレーザーダイオードは近位末端122に接続されており、とりわけ、光ファイバー123に光学的に接続されている。検出装置132、例えば光検出器、光電子増倍管、赤外線カメラなどが近位末端122に接続されており、とりわけ、光ファイバー124に光学的に接続されている。カテーテル120は遠位末端121に設置される光学素子を含んでもよく、それにより照射光が必要に応じて光ファイバー123、124から放出される、または光ファイバー123、124によって受信されることが可能になる。」

(引1c)
「[0081] Operation of the apparatus 100 for use in detecting atherosclerotic plaques will now be described with reference to Figure 2.
[0082] In this example, at step 200, part of an artery is exposed to radiation at a first infrared wavelength, the radiation being generated by the radiation source 131, and transmitted into the artery via the catheter 120. At step 210, the sensing device 132 operates to sense fluorescence radiation emitted from the part of the artery at a second infrared wavelength which is different to the first infrared wavelength, for example, the second infrared wavelength may be longer than the first infrared wavelength.
[0083] At step 220, the processing system 1 10 uses signals acquired from the sensing device 132 to determine a level of fluorescence, which is then used to determine a fluorescence indicator at step 230. The fluorescence indicator can be determined using any suitable tecluiique, and may therefore be based on an absolute, relative or normalised intensity of fluorescence. Alternatively, the fluorescence indicator can be detennined at least in part based on a comparison of the detected fluorescence to a threshold, such as one or more reference values, as will be described in more detail below.
[0084] At step 240, a representation of the fluorescence indicator may optionally be displayed allowing this to be used by a medical practitioner, for example in diagnosing the presence, absence, degree or vulnerability of atherosclerotic plaque.
[0085] The nature of the fluorescence indicator and, in particular- the manner in which it is displayed to an operator, will vary depending upon the preferred implementation. In one example, the fluorescence indicator is in the form of a numerical value, indicative of the absolute level of fluorescence. Alternatively however, a symbolic value, such as including letters or other symbols, or a graphical indicator can be displayed which is representative of the numerical value. Additionally, an indication of a tlireshold and optionally the result of a comparison thereto can be displayed allowing this to be used by a medical practitioner in order to assist in diagnosing the presence, absence or degree of vulnerability of an atherosclerotic plaque.
[0086] It will be appreciated that whilst the above described method and apparatus arrangements are described for use in-vivo, alternatively the apparatus and method could be performed in-vitro, on samples excised from a subject. In this example, the catheter is not required and the processing system 110, radiation source 131, and sensing device 132 can form part of an infrared imaging system, which can be used to acquire fluorescence information from section samples, as will be described in more detail below.
[0087] In any event, it has been discovered that if atherosclerotic plaques are exposed to infrared radiation, they can undergo auto-fluorescence, depending on the status, and in particular the stability or vulnerability of the plaque. In this regard, if plaques are stable, the level of auto-fluorescence is minimal. However, if plaques are unstable, commonly referred to as "vulnerable", then the degree of auto-fluorescence is significantly increased. As a result, by determining a fluorescence indicator, this can be indicative of the presence, absence or degree of an atherosclerotic plaque, for example, indicative of the vulnerability of the plaque, such as being at high risk of rupture or rupture prone.
・・・
[0098] In order to determine the fluorescence indicator, the processing system 110 may perform a partial assessment of the level of fluorescence, for example by comparing this to a threshold and detennining whether the level of fluorescence exceeds or falls below the threshold. This can be used to indicate a state or, in particular, a degree of vulnerability of an atherosclerotic plaque.
[0099] Additionally, and as will be described in more detail below, the processing system 110 may operate to compare the level of fluorescence detected at a healthy site to the level of fluorescence detected at a site where there is a suspected atherosclerotic plaque, which can in turn be used confirm whether an atherosclerotic plaque is present, and optionally the degree of vulnerability.」
(和訳)
「[0081] 次に、図2を参照してアテローム斑の検出に使用するための器械100の操作を説明する。
[0082] この例では、ステップ200において照射光源131が発生する第1赤外波長の照射光に動脈の一部が曝露され、カテーテル120を介してその動脈にその照射光が伝達される。ステップ210において検出装置132は、第1赤外波長と異なる第2赤外波長で動脈のその一部から放出される蛍光照射光を感知するように作動し、例えば、その第2赤外波長はその第1赤外波長よりも長いことがあり得る。
[0083] ステップ220において処理システム110は検出装置132から取得したシグナルを使用して蛍光のレベルを測定し、次にそれを使用してステップ230において蛍光指標を決定する。あらゆる適切な技法を用いて蛍光指標を決定することができ、したがって、蛍光指標は蛍光の絶対強度、相対強度、または正規化強度に基づき得る。あるいは、下でさらに詳しく説明するように、検出された蛍光を閾値、例えば1つ以上の基準値との比較に少なくとも部分的に基づいて蛍光指標を決定することができる。
[0084] ステップ240において蛍光指標の表示を任意により提示することができ、それにより医師が、例えば、アテローム斑の存在、不在、程度、または脆弱性の診断にこの蛍光指標を使用することが可能になる。
[0085] 蛍光指標の性質と、とりわけ、それが操作者に提示される方式は好ましい実行形態に応じて様々である。一例では、蛍光指標は数値の形態であり、蛍光の絶対レベルを表す。しかしながら、代わりに、その数値を表す、例えば文字または他の記号を含む符号値、または図解インジケーターが提示され得る。加えて、閾値、および任意によりその閾値との比較の結果の表示も提示することができ、それによりアテローム斑の存在、不在、または脆弱性の程度の診断を補助するために医師がこの蛍光指標を使用することが可能になる。
[0086] 上記の方法と器械構成はインビボでの使用について記載されているが、代わりにその器械と方法を対象から摘出された試料に対してインビトロで実施することもできることが理解される。この例では、カテーテルが必要とされず、処理システム110、照射光源131、および検出装置132が赤外線画像撮影システムの一部を形成することができ、下でさらに詳しく説明するように、切片試料から蛍光情報を取得するためのその赤外線画像撮影システムを使用することができる。
[0087] いずれにしても、アテローム斑が赤外照射光に曝露される場合、それらはプラークの状態、とりわけ、プラークの安定性または脆弱性に応じて自家蛍光を発し得ることが発見されている。これに関し、プラークが安定である場合、自家蛍光のレベルは最小である。しかしながら、プラークが一般に「脆弱」と呼ばれる不安定である場合、自家蛍光の程度は顕著に増加する。結果として、蛍光指標を決定することによって、これがアテローム斑の存在、不在、または程度を表すことができ、例えば、破裂のリスクが高い、または破裂しやすいといったプラークの脆弱性を表すことができる。
・・・
[0098] 蛍光指標を決定するため、処理システム110は、例えば、蛍光レベルを閾値と比較し、その蛍光レベルがその閾値を越えるのか、それともそれを下回るのか判定することにより、この蛍光レベルの部分的評価を実施し得る。アテローム斑の状態、とりわけ、アテローム斑の脆弱性の程度を示すためにこれを用いることができる。
[0099] 加えて、下でさらに詳しく説明するように、処理システム110は健常部位で検出された蛍光レベルを疑わしいアテローム斑が存在する部位で検出された蛍光レベルと比較するように作動することができ、その比較が次に、アテローム斑が存在するかどうか、および任意により脆弱性の程度を確認するために用いられ得る。」

(引1d)
「[0115] It will be appreciated that a number of variations of the above described process may be implemented. For example, the or each part of the artery can be exposed to radiation at a number of different first wavelengths, with the fluorescence being measured at a corresponding number of different second wavelengths. This can be used to help further classify the nature of any atherosclerotic plaque. Furthermore, multiple different thresholds can be used to allow the vulnerability of the plaques to be accurately identified.」
(和訳)
「[0115] 上記の処理を様々に変化させたものを実施することができることが理解される。例えば、動脈の前記の部分または各部分を多数の異なる第1波長の照射光に曝露させることができ、対応する数の異なる第2波長で蛍光を測定する。あらゆるアテローム斑の性質をさらに分類することを支援するためにこれを用いることができる。さらに、プラークの脆弱性が正確に特定されることを可能にするために複数の異なる閾値を用いることができる。」

(引1e)
「[0120] Experimental evidence of the effectiveness of the above described auto-fluorescence of vulnerable plaques will now be described.
[0121] For the purpose of a first experimental example, animal data is derived using a "tandem stenosis model" of atherosclerosis in mice, which closely resembles the atherosclerosis process in humans.
[0122] A surgical ligation procedure (serial ligation of segments of the carotid arteries) was performed to create a tandem stenosis to the carotid artery of ApoE^(-/-) mice fed with high fat diet. After 7 and 11 weeks postoperatively, disruption of fibrous caps, intraplaque haemorrhage, intraluminal thrombosis, neovascularisation and other characteristics of plaque instability/rupture in humans were seen in these mice.
[0123] The fresh carotid artery specimens from these mice, shown in Figure 4A, were examined for autofluorescence under an Odyssey Infrared Imaging System which has 2 excitation channels 685 nm (detection on 700 nm) and 785 nrn (detection 800 nm). Vulnerable plaques were identified by histological examination.
[0124] The results of fluorescence imaging are shown in Figure 4B, which shows minimal autofluorescence in stable atherosclerotic plaque in aortic arch and carotid arteries 401, no autofluorescence in healthy carotid artery 402, significant autofluorescence in an unstable carotid plaque with intraplaque haemorrhage 403 and significant autofluorescence in a vulnerable carotid plaque with positive remodelling 404. Thus, the vulnerable atherosclerotic plaques 403, 404 show significant autofluorescence in both channels, in contrast to the healthy vessels and stable plaques 401, 402, which showed no intrinsic fluorescence.」
(和訳)
「[0120] 次に、脆弱プラークの上記の自家蛍光の有効性の実験的証拠を説明する。
[0121] 第1実験例の目的のためにヒトにおけるアテローム性硬化症の過程に極めて似ているマウスにおけるアテローム性硬化症の「タンデム狭窄モデル」を用いて動物データを得る。
[0122] 高脂質食を給餌したApoE^(-/-)マウスの頚動脈にタンデム狭窄を作るために外科的結紮術(頚動脈区分の連続的結紮)を実施した。手術後から7週間および11週間の後に線維性被膜の破壊、プラーク内出血、腔内血栓症、血管新生、およびヒトにおける不安定な/破裂したプラークの他の特徴がこれらのマウスにおいて見られた。
[0123] 図4Aに示されるこれらのマウスに由来する新しい頚動脈標本を、685nm(700nmで検出)と785nm(800nmで検出)の2つの励起チャンネルを有するオデッセイ赤外線画像撮影システム(Odyssey Infrared Imaging System)の下で自家蛍光について検査した。脆弱プラークを組織学的検査により特定した。
[0124] 蛍光画像撮影の結果が図4Bに示されており、その図は大動脈弓と頚動脈401中の安定アテローム斑において最小の自家蛍光を示し、健常頚動脈402において自家蛍光を示さず、プラーク内出血を有する不安定頚動脈プラーク403において顕著な自家蛍光を示し、血管径の拡大を有する脆弱頚動脈プラーク404において顕著な自家蛍光を示す。このように、内部蛍光を示さなかった健常血管と安定プラーク401、402と対照的に、脆弱アテローム斑403、404は両方のチャンネルで顕著な自家蛍光を示す。」

(引1f)
「[0135] Whilst not wishing to be bound by any particular theory or mode of action, it has been discovered following experimentation that autofluorescence in unstable plaques may be at least partially caused by a molecular species including haeme-degradation products, for example, haeme, methaeme, and protoporphyrin IX. In view of this, the experimental evidence may suggest an at least partial correlation between haeme-degradation products and autofluorescence of unstable plaques, and this will now be described.
[0136] Renishaw Invia confocal micro-Raman system using Raman laser source of Innova Ar/Kr ion laser 514/413nm was used to assess Raman signals from the areas of autofluorescence in the vulnerable plaque sections. The Raman signals reveal that the source of autofluorescence is haeme-degradation products, which are abundant in the areas of intraplaque haemorrhage (microscopic or macroscopic). Intraplaque haemorrhages are well established as the triggers for plaque vulnerability (Jean-Baptise Michel et al. (2011) Eur Heart J. 32(16): 1977-85). Figure 7A is an example of Raman signals from the area of fluorescence 7Π in the vulnerable plaque section in comparison with Raman signals from purified haeme 714, met-haeme 712 and two examples of Raman signals of the same sample of protoporphrin IX compounds 713, 715. Figure 7B is an example of Raman signals from stable plaque section without autofluorescence 721 in comparison with Raman signals from purified haeme 724, met-haeme 722 and two examples of Raman signals of the same sample of protoporphrin IX compounds 723, 725. Figure 7C shows an example of a trichrome staining image of an "intraplaque haemorrhages in the plaque", and Figure 7D shows an autofluorescence image of the "intraplaque haemorrhages in the plaque" of the example in Figure 7C.」
(和訳)
「[0135] どのような理論または作用様式にも捉われるつもりはないが、不安定プラークにおける自家蛍光はヘム分解産物、例えば、ヘム、メトヘム、およびプロトポルフィリンIXを含む分子種によって少なくとも部分的に生じ得ることが実験後に発見された。このことを考慮すると、その実験的証拠はヘム分解産物と不安定プラークの自家蛍光の間の少なくとも部分的な相関を示唆する可能性があり、次にこのことを説明する。
[0136] Innova Ar/Krイオンレーザー514/413nmラマンレーザー源を使用するRenishaw Invia共焦点マイクロラマンシステムを使用して脆弱プラーク区域における自家蛍光領域からのラマンシグナルを評価した。それらのラマンシグナルは、自家蛍光源が(顕微鏡レベルまたは肉眼レベルの)プラーク内出血領域に豊富にあるヘム分解産物であることを明らかにする。プラーク内出血はプラーク脆弱性のきっかけとしてよく立証されている (Jean-Baptise Michel et al. (2011) Eur Heart J. 32(16): 1977-85)。図7Aは、精製されたヘム714、メトヘム712からのラマンシグナルおよび同一試料のプロトポルフィリンIX化合物の2例のラマンシグナル713、715と比較した、脆弱プラーク区域内の蛍光領域711からのラマンシグナルの一例である。図7Bは、精製されたヘム724、メトヘム722からのラマンシグナルおよび同一試料のプロトポルフィリンIX化合物の2例のラマンシグナル723、725と比較した、自家蛍光が無い安定プラーク区域721からのラマンシグナルの一例である。図7Cは「プラークにおけるプラーク内出血」のトリクローム染色像の一例を示し、図7Dは図7Cの例の「プラークにおけるプラーク内出血」の自家蛍光像を示す。」

(引1g)
Fig. 1A


2 引用発明2
(1)上記(引1c)[0082]の「検出装置132は、第1赤外波長と異なる第2赤外波長で動脈のその一部から放出される蛍光照射光を感知する」という記載について、[0087]の「アテローム斑が赤外照射光に曝露される場合、それらはプラークの状態、とりわけ、プラークの安定性または脆弱性に応じて自家蛍光を発し得ることが発見されている。」という記載に鑑みれば、「蛍光照射光」とは、「自家蛍光」を指すといえる。

(2)上記(引1e)に記載の「第1実験例」について
ア 上記(引1e)に記載の「第1実験例」は、「脆弱プラークの上記の自家蛍光の有効性の実験的証拠」として挙げられているものであるから、「アテローム斑の検出に使用するための器械100」によって実行される実験例であるといえる。

イ 上記「ア」から、「アテローム斑の検出に使用するための器械100」に含まれる「照射光源131」は「第1赤外波長」として685nm及び785nmの赤外光を発生し、「検出装置132」は「第2赤外波長」として700nm及び800nmの赤外光を感知すると認められる。

(3)上記(1)、(2)を踏まえると、上記引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「アテローム斑の検出に使用するための器械100であって、
プロセッサ111を含む処理システム110と、
カテーテル120と、
光ファイバー123に光学的に接続された照射光源131と、
光ファイバー124に光学的に接続された検出装置132とを含み、
照射光源131が発生する第1赤外波長の照射光に動脈の一部が曝露され、カテーテル120を介してその動脈にその照射光が伝達され、
検出装置132は、第1赤外波長と異なる第2赤外波長で動脈のその一部から放出される自家蛍光を感知するように作動し、
処理システム110は検出装置132から取得したシグナルを使用して蛍光のレベルを測定し、蛍光指標を決定するため、蛍光レベルを閾値と比較し、その蛍光レベルがその閾値を越えるのか、それともそれを下回るのか判定することにより、この蛍光レベルの部分的評価を実施し、これはアテローム斑の脆弱性の程度を示すために用いることができ、
第1赤外波長は685nm及び785nmであり、
第2赤外波長は700nm及び800nmであり、
器械100を用いた実験例において大動脈弓と頚動脈401中の安定アテローム斑において最小の自家蛍光を示し、健常頚動脈402において自家蛍光を示さず、プラーク内出血を有する不安定頚動脈プラーク403において顕著な自家蛍光を示し、
不安定プラークにおける自家蛍光はヘム分解産物、例えば、ヘム、メトヘム、およびプロトポルフィリンIXを含む分子種によって生じ、自家蛍光源はプラーク内出血領域に豊富にあるヘム分解産物である、
器械100。」

第6 対比・判断
1 引用発明2の「器械100」は、本願発明の「機器」に相当する。

2 引用発明2の「カテーテル120」は、(引1b)[0066]に「冠動脈での使用のために器械100は・・・カテーテル120をさらに含み得る。」と記載されているように、冠動脈等の血管で使用するものであるから、本願発明の「血管中へ挿入されるように構成かつ構築されたカテーテル」に相当する。

3 引用発明2の「照射光源131」は、「カテーテル120を介して」「動脈に」「685nm及び785nm」である「第1赤外波長」の「照射光」を「伝達」するものであるから、本願発明の「少なくとも1つの第1の光放射を600nmと900nmとの間にある少なくとも1つの第1の波長で前記カテーテルを通して前記血管へ供給するように構成されたエネルギー・ソース装置」に相当する。

4 引用発明2の「検出装置132」は、「第1赤外波長と異なる」「700nm及び800nm」である「第2赤外波長で動脈のその一部から放出される自家蛍光を感知するように作動」するものである。また、引用発明2の「検出装置132」は、「光ファイバー124に光学的に接続され」ており、「光ファイバー124」は「カテーテル120」内に設けられた部材であるから、「検出装置132」は「カテーテル120」を通して「自家蛍光」を「感知」するといえる。
よって、引用発明2の「検出装置132」は、本願発明の「少なくとも1つの第2の光放射を前記少なくとも1つの第1の波長とは異なる640nmと1000nmとの間にある少なくとも1つの第2の波長で前記カテーテルを通して検出するように構成された検出器装置であって、前記少なくとも1つの第2の光放射は、前記少なくとも1つの第1の光放射による衝突を受けた前記血管の少なくとも1つの部分の自己蛍光に基づいている、前記検出器装置」に相当する。

5 本願発明の「コンピュータ装置」について
(1)「少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルのスペクトル形状又はスペクトル間の相対強度に基づ」くという点について
ア まず、本願発明の「前記血管の少なくとも1つの炎症のタイプを診断またはキャラクタライズするために、前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルのスペクトル形状又はスペクトル間の相対強度に基づいて、前記血管における少なくとも1つの炎症のタイプを識別する」という記載における、「少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルのスペクトル形状又はスペクトル間の相対強度に基づ」くという記載が指す内容について検討する。
本願の発明の詳細な説明には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審にて付した。)。
「【0027】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によれば、決定は、少なくとも2つの第2の波長範囲を検出するステップと、少なくとも2つの第2の波長範囲をもつスペクトル形状データまたは相対強度データをキャラクタライズするステップと、スペクトル形状または相対強度データをトレーニング・データセットと比較するステップとによって行うことができる。スペクトル形状データは、第2の波長範囲の比として比較できる。スペクトル形状または相対強度データをノイズまたはセンサ・パラメータを用いて較正できる。キャラクタライズする処理は、主成分分析法を用いて分析するステップを備えることができる。
・・・
【0057】
図14(b)は、異なる形態学的特徴間のスペクトル形状の違いを推定するために例示的な方法によって用いることができる、スペクトル帯域比のグラフを示す。例えば、スペクトル比(青色/赤色)のランクは、高から低へNC>PIT>内膜?中膜>IHとなりうる。NCは、他の4つのカテゴリより著しく強い赤色シフトを示す(p<0.01)。これは、バルク組織測定からの観測と一致する。PITは、2番目に強い赤色/青色比を有し、これは、正常組織とNCとの間の移行につれて、PITがある一定の化学反応および生理的過程を経験し、NIRAFフルオロフォアの発生につながることを示唆する。内膜および中膜は、同様の赤色/青色比を有し、それらがともにコラーゲンおよびエラスチンを主成分として有するという事実と合致する。IHは、プラークの内膜/中膜より若干低い。考えられる理由としてありうるのは、NCおよびPITに存在する炎症活性が内膜および中膜で蛋白質およびリポ蛋白を修飾するかもしれないということである。」
【図14(b)】

これらの記載から、本願発明の「スペクトル形状」とは、対象とする波長帯域の全体にわたる連続的なデータからなるものに限られず、対象とする波長帯域のうち少なくとも2つの波長におけるデータからなるものをも含むものと認められる。

イ 引用発明2では「700nm及び800nm」という2つの波長を含む「第2赤外波長」において「自家蛍光を感知」し、これら2つの波長における「蛍光のレベル」と「閾値」を比較して評価を行っているといえる。

ウ そうすると、引用発明2において、2つの波長の「自家蛍光を感知」し、これら2つの波長における「蛍光のレベル」と「閾値」を比較して評価をすることは、上記「ア」に鑑みて、本願発明の「少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルのスペクトル形状又はスペクトル間の相対強度に基づい」て「識別」することに相当する。

(2)「炎症のタイプを識別する」ことについて
引用発明2では、実験例において「大動脈弓と頚動脈401中の安定アテローム斑において最小の自家蛍光を示し、健常頚動脈402において自家蛍光を示さず、プラーク内出血を有する不安定頚動脈プラーク403において顕著な自家蛍光を示」すことが確認され、また、「不安定プラークにおける自家蛍光はヘム分解産物、例えば、ヘム、メトヘム、およびプロトポルフィリンIXを含む分子種によって生じ、自家蛍光源はプラーク内出血領域に豊富にあるヘム分解産物である」とされている。
そして、引用発明2は、「検出装置132から取得したシグナルを使用して蛍光のレベルを測定し」、「その蛍光レベルがその閾値を越えるのか、それともそれを下回るのか判定することにより、この蛍光レベルの部分的評価を実施し、これはアテローム斑の脆弱性の程度を示す」ものであるところ、「蛍光レベル」の変化は、「例えば、ヘム、メトヘム、およびプロトポルフィリンIXを含む分子種」である「プラーク内出血領域に豊富にあるヘム分解産物」によるものといえる。そのため、引用発明2における「例えば、ヘム、メトヘム、およびプロトポルフィリンIXを含む分子種」である「プラーク内出血領域に豊富にあるヘム分解産物」は、本願発明の「プラーク内出血を示すバイオマーカー」に相当する。
そうすると、引用発明2において、「処理システム110」が「自家蛍光」の「蛍光レベル」と「閾値」を比較して「評価」をすることは、この「評価」によって「プラーク内出血を示すバイオマーカー」の有無を識別できるのであるから、本願発明の「コンピュータ装置」が「血管の少なくとも1つの炎症のタイプ」としての「プラーク内出血を示すバイオマーカーが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ」を「識別する」ことに相当する。

(3)まとめ
上記(1)、(2)より、引用発明2における、2つの波長の「自家蛍光を感知」し、これら2つの波長における「蛍光のレベル」と「閾値」を比較して「評価」をする「処理システム110」は、本願発明の「前記血管の少なくとも1つの炎症のタイプを診断またはキャラクタライズするために、前記少なくとも1つの第2の光放射の放出スペクトルのスペクトル形状又はスペクトル間の相対強度に基づいて、前記血管における少なくとも1つの炎症のタイプを識別するように構成されたコンピュータ装置」であって、「炎症のタイプは、酸化ストレスによって生じたバイオマーカーが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、カルシウムが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、プラーク内出血を示すバイオマーカーが前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、蛋白質修飾体が前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、リポ蛋白修飾体が前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、脂質修飾体が前記血管に存在することにより生じる炎症のタイプ、のうちの少なくとも1つを含む」ものに相当する。

6 小括
したがって、上記「1」?「5」にて対比したように、本願発明と引用発明2の間に差異は認められない。

第7 請求人の主張について
請求人は令和2年4月3日提出の審判請求書において、「引用文献2に記載された発明では、例えば、パラグラフ[123]、[0124]には、波長700nm、800nmにおいて、脆弱性プラークである、プラーク内出血を伴う不安定頸動脈プラーク403と、陽性リモデリングを伴う脆弱性頸動脈プラーク404とは、『有意の自己蛍光』を示してはいるが、固有の蛍光は示されなかった、ということが画定することができた旨の記載があるにとどまっており、本願発明1の特徴的構成については、開示も示唆もないと考えます。」と主張している。
しかし、上記「第6」で述べたように、本願発明と引用発明2の間に差異は認められない。
そのため、請求人の上記主張は採用できない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-03-30 
結審通知日 2021-04-06 
審決日 2021-04-23 
出願番号 特願2017-504043(P2017-504043)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 秀樹  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 磯野 光司
▲高▼見 重雄
発明の名称 インビボ・イメージングおよび診断のための機器、デバイスならびに方法  
代理人 林 一好  
代理人 正林 真之  
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