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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G03F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03F
管理番号 1377781
異議申立番号 異議2020-700595  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-13 
確定日 2021-07-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6650696号発明「ドライフィルム積層体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6650696号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、〔3-4〕について訂正することを認める。 特許第6650696号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続等の経緯
特許第6650696号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願(特願2015-160780号)は、平成27年8月18日(先の出願に基づく優先権主張 平成26年9月8日)の出願であって、令和2年1月23日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月19日に特許掲載公報が発行された。
本件特許について、特許掲載公報発行の日から6月以内である令和2年8月13日に特許異議申立人 藤江桂子(以下「特許異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和2年11月20日付け:取消理由通知書
令和3年 1月22日付け:意見書(特許権者)
令和3年 1月22日付け:訂正請求書(この訂正請求書による訂正の請求 を、以下「本件訂正請求」という。)
令和3年 3月24日付け:手続補正書(方式)
令和3年 5月20日付け:意見書(特許異議申立人)


第2 本件訂正請求について
1 訂正の趣旨及び訂正の内容
(1)訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第6650696号の特許請求の範囲及び明細書を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正し、また、本訂正請求書の手続補正書に添付した明細書のとおり、明細書の【0009】について訂正することを求める、というものである。

(2)訂正の内容
本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂を含まない。)」と記載されているのを、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合本であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)」、
「【化2】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂を含まない。)」と記載されているのを、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合本であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)」、
「【化4】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)。

イ 訂正事項3
願書に添付した明細書の【0009】に「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に塗工する工程、
ii.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化13】



(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)」と記載されているのを、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合本であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に塗工する工程、
ii.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化13】


(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)
【化14】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)」に訂正する。

(3)本件訂正請求は、一群の請求項〔1?2〕、〔3?4〕に対して請求されたものである。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」について、「一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない」(当合議体注:一般式(B)は、上記1(2)アで一般式(B)として示したとおりのものである。)という限定を付加する訂正である。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の記載に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
さらに、訂正事項1による訂正によって、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとならないことは明らかであるから、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正に該当しない。
請求項2についてみても、同じである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項3に記載された「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」について、「一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない」(当合議体注:一般式(B)は、上記1(2)イで一般式(B)として示したとおりのものである。)という限定を付加する訂正である。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項2による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の記載に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
さらに、訂正事項2による訂正によって、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとならないことは明らかであるから、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正に該当しない。
請求項4についてみても、同じである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の請求項1及び3の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るための訂正である。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項3による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の記載に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
さらに、訂正事項3による訂正によって、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとならないことは明らかであるから、訂正事項3による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正に該当しない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正(訂正事項1ないし3による訂正)は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条4項から6項までの規定に適合する。
よって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?2〕、〔3?4〕について訂正することを認める。


第3 本件特許発明
上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」などといい、総称して「本件特許発明」という。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のものである。

「【請求項1】
i.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に塗工する工程、
ii.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化1】


(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)
【化2】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)
【請求項2】
工程iiの後、得られたドライフィルム上に保護フィルムを積層する工程
を含み、保護フィルムのドライフィルムに対する剥離力が1?500gf/24mmであることを特徴とする請求項1記載のドライフィルム積層体の製造方法。」

「【請求項3】
iii.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に0.05?1,000m/minの速度で塗工する工程、
iv.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程、
v.連続的に得られた積層体をロールフィルム化する工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化3】


(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)
【化4】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)
【請求項4】
工程vの後、得られたドライフィルム上に保護フィルムを積層する工程
を含み、保護フィルムのドライフィルムに対する剥離力が1?500gf/24mmであることを特徴とする請求項3記載のドライフィルム積層体の製造方法。」


第4 取消しの理由の概要
令和2年11月20日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由は、概略、以下のとおりである。

理由1:(進歩性)本件特許の請求項1?4に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2001-281863号公報(甲第1号証)
引用文献2:征矢野晃雄,”フォトレジスト材料における高分子材料技術”,日本ゴム協会誌,日本ゴム協会,2012年,第85巻,第2号,p.33-39(甲第2号証)
引用文献3:特開2011-145664号公報(甲第3号証)
引用文献4:特開2010-258147号公報(甲第4号証)
引用文献5:特表2008-529080号公報(甲第5号証)
引用文献6:特開2004-287267号公報(甲第6号証)
引用文献7:特開平10-293404号公報(甲第7号証)(当合議体注:引用文献1は、主引用例であり、引用文献2?引用文献7は、副引例又は周知技術を示す文献である。)

理由2:(実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明が、当業者が本件特許の請求項1?4に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができないから、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。

理由3:(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1?4の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

理由4:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1?4の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

第5 当合議体の判断
1 取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由1(進歩性)について

(1)引用文献1の記載、引用発明
ア 引用文献1の記載
取消しの理由に引用された引用文献1(特開2001-281863号公報)には、次の記載がある。なお、下線は、重合体等の項目名の下線を除いて当合議体が付与したものであって、引用発明の認定及び判断等で活用した箇所である。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体、(B)ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)、(C)放射線の照射により酸を発生する成分および(D)有機溶剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】 (A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体と(B)ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)との合計を100重量部としたときに、(B)ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)の含有量が5?60重量部、(C)放射線の照射により酸を発生する成分の含有量が0.1?20重量部、並びに(D)有機溶剤の含有量が20?400重量部である請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】 (B)ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)のポリスチレン換算重量平均分子量が1,000?200,000である請求項1または請求項2に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】 (A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体中の該酸解離性官能基が解離して発生する酸解離物質の1気圧における沸点が20℃以上であることを特徴とする請求項1?3の何れかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】 (イ)請求項1?4の何れかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を、表面に導電層を有する基板上に塗布したのち乾燥して樹脂膜を形成する工程、(ロ)該樹脂膜に所定の形状に放射線を照射後加熱し、さらに現像してパターンを形成する工程、(ハ)基板上に形成された該パターンを鋳型とし所定厚さに電解メッキしてメッキ造形物を形成する工程、(ニ)基板から樹脂膜部分を剥離する工程、および(ホ)基板上のメッキ造形物を形成した領域以外の導電層を除去する工程を経てなることを特徴とするメッキ造形物の製造方法。
【請求項6】 請求項1?4の何れかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を支持体フィルム上に塗布して乾燥したのち、該支持体フィルムを剥離することにより形成されてなるポジ型感放射線性樹脂膜。
【請求項7】 (イ)請求項6に記載のポジ型感放射線性樹脂膜を、表面に導電層を有する基板上に積層する工程、(ロ)積層された樹脂膜に所定の形状に放射線を照射後加熱し、さらに現像してパターンを形成する工程、(ハ)基板上に形成された該パターンを鋳型とし所定厚さに電解メッキしてメッキ造形物を形成する工程、(ニ)基板から樹脂膜部分を剥離する工程、および(ホ)基板上のメッキ造形物を形成した領域以外の導電層を除去する工程を経てなることを特徴とするメッキ造形物の製造方法。
【請求項8】 基板上に形成または積層された樹脂膜の膜厚が20?100μmであることを特徴とする請求項5または請求項7のメッキ造形物の製造方法。」

(イ)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポジ型感放射線性樹脂組成物およびメッキ造形物の製造方法に関わり、さらに詳しくは、酸解離性官能基を有する重合体およびポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を樹脂成分として含有するポジ型感放射線性樹脂組成物、並びに当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いる、集積回路素子に実装する際のバンプあるいは配線等として好適なメッキ造形物の製造方法に関わる。
・・・省略・・・
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術における前記問題点に鑑み、バンプなどの加工用レジストとして使用される感放射線性樹脂組成物の構成成分について鋭意検討した結果なされたものであり、その課題は、特に、メッキ中およびメッキ後の水洗・乾燥によってもレジストパターンにクラックを生じることがなく、バンプあるいは配線等の厚膜のメッキ造形物を精度よく形成することができ、かつ感度、解像度等にも優れたポジ型感放射線性樹脂組成物、並びに当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いるメッキ造形物の製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によると、前記課題は、第一に、(A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体、(B)ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)、(C)放射線の照射により酸を発生する成分および(D)有機溶剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物、により達成される。」

(ウ)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する。
重合体(A)
本発明に用いられる酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体(以下、「重合体(A)」という。)としては、酸により解離して、例えばカルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を生成する酸解離性官能基を有する限り特に限定されるものではないが、前記酸解離性官能基を有するラジカル重合性単量体(以下、「単量体(I)」という。)の重合性不飽和結合が開裂した繰返し単位(以下、「酸解離性繰返し単位」という。)を含有する重合体が好ましい。
【0013】酸解離性繰返し単位のうち、酸により解離してカルボキシル基を生成する繰返し単位としては、例えば、t-ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2-t-ブトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、2-ベンジルオキシカルボニルエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-3-オキソブチル(メタ)アクリレート、t-ブトキシカルボニルメトキシスチレンの重合性不飽和結合が開裂した単位や、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」という。)等を挙げることができる。
・・・省略・・・
【0017】さらに、酸により解離してフェノール性水酸基を生成する繰返し単位としては、例えば、p-1-メトキシエトキシスチレン、p-1-エトキシエトキシスチレン等のアセタール基で保護されたヒドロキシスチレン類や、t-ブトキシスチレン、t-ブトキシカルボニルオキシスチレン等の重合性不飽和結合が開裂した単位等を挙げることができる。
・・・省略・・・
【0024】前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド等の有機過酸化物などを挙げることができる。また、前記溶液重合法に用いられる溶媒としては、使用される単量体成分と反応せず、生成する重合体を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、n-ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。なお、重合体(A)が溶液重合法により製造された場合、得られる重合体溶液をそのままポジ型感放射線性樹脂組成物の調製に供してもよく、あるいは重合体溶液から重合体(A)を分離してポジ型感放射線性樹脂組成物の調製に供してもよい。また、前記(i)?(iii)の方法における重合に際しては、必要に応じて、例えばメルカプタン化合物、ハロゲン炭化水素等の分子量調節剤を使用することができる。
・・・省略・・・
【0026】(B)ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)
本発明に用いられるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)は、下記一般式(2)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体からなる。
・・・省略・・・
【0031】本発明において、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)の使用量は、重合体(A)とポリ(ビニル低級アルキルエーテル)との合計を100重量部としたときに、好ましくは5?60重量部、さらに好ましくは10?50重量部である。この場合、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)の使用量が5重量部未満では、厚膜のメッキ造形物を製造する際のメッキ後の水洗・乾燥過程で、鋳型となるレジストパターンにクラックが発生することがあり、好ましくなく、一方60重量部を超えると、パターンを形成するための現像時に、露光部と未露光部とのコントラストが低下して、パターン形状が損なわれるおそれがある。
【0032】酸発生剤(C)
本発明に用いられる感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(C)」という。)は、露光により酸を発生する化合物であり、この酸の作用により重合体(A)中に存在する酸解離性官能基が解離して、例えばカルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基が生成し、その結果、ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成された樹脂膜の露光部がアルカリ性現像液に易溶性となり、ポジ型のパターンを形成することができる。酸発生剤(C)としては、例えば、オニウム塩化合物(但し、チオフェニウム塩化合物を含む。)、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等を挙げることができる。以下、これらの化合物の具体例を示す。
・・・省略・・・
【0050】(D)有機溶剤
本発明に用いられる有機溶剤としては、例えば、前記重合体(A)を製造する溶液重合法について例示した溶媒のほか、ジメチルスルホキシド、アセトニルアセトン、イソホロン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。有機溶剤の使用量は、ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗布方法、製造されるメッキ造形物の用途等を考慮して調整することができ、組成物を均一に混合させることができれば特に限定されないが、重合体(A)とポリ(ビニル低級アルキルエーテル)との合計を100重量部としたときに、好ましくは20?400重量部、さらに好ましくは50?300重量部である。
【0051】本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、特に、例えば集積回路素子のバンプあるいは配線等のメッキ造形物の製造に好適に使用することができる。また、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、支持体フィルム上に塗布して乾燥したのち、該支持体フィルムを剥離することにより樹脂膜とし、このポジ型感放射線性樹脂膜を前記と同様のメッキ造形物の製造に好適に使用することができる。この場合、ポジ型感放射線性樹脂組成物を支持体フィルム上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷、アプリケーター法等を挙げることができる。なお、支持体フィルムの材料は、特に限定されるものではなく、所要の強度を有する限り適宜のものを使用することができる。」

(エ)「【0061】以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。以下において、部および%は、特記しない限り重量基準である。
〈重合体(A)の合成〉
合成例1
p-アセトキシスチレン71g、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート23gおよびスチレン6gをジオキサン150gと混合して均一溶液とした。この溶液を30分間窒素ガスによりバブリングしたのち、AIBN4.5gを添加し、窒素ガスによるバブリングを継続しつつ、反応温度を70℃に維持して、7時間重合した。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解したのち、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。得られた重合体を、プロピレングリコールモノメチルエーテル500gに溶解したのち、25%アンモニア水溶液50gを添加し、80℃で5時間攪拌して、加水分解を行った。次いで、反応溶液を0.2%蓚酸水溶液中に投入して、重合体を凝固させたのち、水洗し、減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。この重合体は、Mwが10,000であり、元素分析の結果、p-ヒドロキシスチレン、2-ベンジル-2-プロピルアクリレートおよびスチレンの共重合重量比が、70:10:20であった。この重合体を、重合体A-1とする。
【0062】合成例2
p-イソプロペニルフェノール35gおよび2-ベンジル-2-プロピルアクリレート65gをジオキサン150gと混合して均一溶液とした。この溶液を30分間窒素ガスによりバブリングしたのち、AIBN4.5gを添加し、窒素ガスによるバブリングを継続しつつ、反応温度を70℃に維持して、7時間重合した。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解したのち、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。この重合体は、Mwが16,000であり、元素分析の結果、p-イソプロペニルフェノールおよび2-ベンジル-2-プロピルアクリレートの共重合重量比が、35:65であった。この重合体を、重合体A-2とする。
【0063】合成例3
単量体として、p-イソプロペニルフェノール30g、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート20gおよびイソボルニルアクリレート50gを使用した以外は、合成例2と同様にして、白色の重合体を得た。この重合体は、Mwが19,000であり、元素分析の結果、p-イソプロペニルフェノール、2-ベンジル-2-プロピルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートの共重合重量比が、30:20:50であった。この重合体を重合体A-3とする。
【0064】合成例4
単量体として、p-イソプロペニルフェノール45g、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート35gおよびエチルアクリレート20gを使用した以外は、合成例2と同様にして、白色の重合体を得た。この重合体は、Mwが15,000であり、元素分析の結果、p-イソプロペニルフェノール、2-ベンジル-2-プロピルアクリレートおよびエチルアクリレートの共重合重量比が、45:35:20であった。この重合体を、重合体A-4とする。
【0065】合成例5
単量体として、p-イソプロペニルフェノール40g、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート30g、2-ヒドロキシプロピルアクリレート10gおよびベンジルアクリレート20gを使用した以外は、合成例2と同様にして、白色の重合体を得た。この重合体は、Mwが16,000であり、元素分析の結果、p-イソプロペニルフェノール、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートおよびベンジルアクリレートの共重合重量比が、40:30:10:20であった。この重合体を、重合体A-5とする。
【0066】合成例6
単量体として、p-イソプロペニルフェノール37g、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート28g、2-ヒドロキシプロピルアクリレート5gおよびイソボルニルアクリレート30gを使用した以外は、合成例2と同様にして、白色の重合体を得た。この重合体は、Mwが17,000であり、元素分析の結果、p-イソプロペニルフェノール、2-ベンジル-2-プロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートの共重合重量比が、37:28:5:30であった。この重合体を、重合体A-6とする。
【0067】
【実施例】実施例1?10および比較例1?2
表1に示す各成分を混合して、均一溶液としたのち、孔径3μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過して、各樹脂組成物を調製し、下記の要領で、パターニング基板およびメッキ基板を作製して、各種評価を行った。評価結果を、表2に示す。【0068】金スパッタ基板の作製
直径4インチのシリコンウエハー基板上に、クロムを厚さが約500Åとなるようにスパッタリングしたのち、その上に、金を厚さが1,000Åとなるようにスパッタリングして、導電層を形成した。以下、この導電層を形成した基板を、「金スパッタ基板」という。
【0069】パターンの形成
金スパッタ基板にスピンコーターを用いて、各樹脂組成物を塗布したのち、ホットプレート上にて、90℃で5分間加熱して、厚さ25μmの樹脂膜を形成した。次いで、パターンマスクを介し、超高圧水銀灯(OSRAM社製HBO、出力1,000W)を用いて、1,000?3,000J/m^(2 )の紫外線を露光した。露光量は、照度計((株)オーク製作所製 UV-M10(照度計)にプローブUV-35(受光器)をつないだもの)により確認した。露光後、ホットプレート上にて、100℃で5分間PEBを行った。次いで、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、室温で1分間浸漬して現像したのち、流水洗浄し、窒素ブローして、パターンを形成した。以下、このパターンを形成した基板を、「パターニング基板」という。
【0070】メッキ造形物の形成
パターニング基板に対して、電解メッキの前処理として、酸素プラズマによるアッシング処理(出力200W、酸素流量200ミリリットル、処理時間2分)を行って、親水化処理を行った。次いで、この基板をノンシアン金メッキ液(エヌ・イー・ケムキャット(株)製、商品名ECF88K)2リットル中に浸漬し、メッキ浴温度60℃、電流密度0.5A/dm^(2 )に設定して、約60分間電解メッキを行い、厚さ19?20μmのバンプ用メッキ造形物を形成した。次いで、流水洗浄し、窒素ガスにてブローして乾燥したのち、室温にて、ジメチルスルホキシドとN,N-ジメチルホルムアミドの混合溶液(重量比=50:50)中に5分間浸漬して、樹脂膜部分を剥離し、さらに基板上のメッキ造形物を形成した領域以外の導電層をウエットエッチングにより除去することにより、メッキ造形物を有する基板を得た。以下、このメッキ造形物を有する基板を、「メッキ基板」という。
【0071】評価
(1)感度
金スパッタ基板に、マスク設計寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したとき、抜きパターンの底部の寸法が30μmになる露光量を最適露光量とし、この最適露光量より評価した。
(2)解像度
マスク設計寸法で40μmピッチの2種のパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン、32μm幅抜きパターン/8μm幅残しパターン)を別々に形成した2枚のパターニング基板を、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡にて観察し、下記の基準で評価した。
○: 32μm幅抜きパターン/8μm幅残しパターンが解像できる。
△: 30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターンは解像できるが、32μm幅抜きパターン/8μm幅残しパターンが解像できない。
×: 40μmピッチのパターンが解像できないかあるいは再現性よく解像できない。
【0072】(3)クラック耐性
パターニング基板に対して、前記メッキ造形物の形成と同様にして、バンプ用メッキ造形物を形成したのち、流水洗浄し、窒素ガスにてブローして乾燥した基板(樹脂膜部分を剥離していない基板)を、室温23℃および湿度約45%に保持したクリーンルーム内に放置して、3時間後および24時間後に、光学顕微鏡にて基板表面を観察し、下記の基準で評価した。ここで、「残しパターン」は、レジストパターンに相当するものである。
○: 24時間後も、残しパターン中にクラックが発生しない。
△: 3時間後は、残しパターン中にクラックが発生しないが、24時間後に、残しパターン中にクラックが発生する。
×: 3時間後に、残しパターン中にクラックが発生する。
(4)パターンの寸法忠実性
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板を、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡にて観察し、抜きパターンの頂部寸法(Wt)と底部寸法(Wb)を測定して、マスク寸法(30μm)に対するパターンの寸法忠実性を評価した。
【0073】(5)メッキの形状
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板にメッキ造形物を形成したメッキ基板を、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡にて観察し、下記の基準で評価した。
○: メッキの形状が、樹脂膜から形成されたパターン形状を忠実に転写しており、こぶ状の異常突出は認められない。
×: メッキの形状が、樹脂膜から形成されたパターン形状を忠実に転写せず、こぶ状の異常突出が認められる。
(6)メッキの寸法忠実性
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板にメッキ造形物を形成したメッキ基板を、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡にて観察し、メッキ部分の頂部寸法(Wt)と底部寸法(Wb)を測定して、マスク寸法(30μm)に対するメッキの寸法忠実性を評価した。
【0074】表1において、重合体(A)以外の成分は、次のとおりである。
ポリ(ビニルメチルエーテル)
B-1: ポリ(ビニルメチルエーテル)(Mw=50,000)のメタノール溶液(東京化成工業(株)製、濃度50重量%)を、ロータリーエバポレーターを用いて、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルに溶剤置換して、濃度50重量%の溶液として使用した。
酸発生剤(C)
C-1: 4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート
C-2: 4-t-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
(D)有機溶剤
D-1:乳酸エチル
D-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
酸拡散制御剤
E-1:2,4,6-トリ(2-ピリジル)-s-トリアジン
【0075】
【表1】


【0076】
【表2】


【0077】
【発明の効果】本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、電解メッキの鋳型となるパターンをマスク寸法に忠実に形成できるとともに、電解メッキ段階でも、鋳型となるパターンの形状を忠実に転写し、かつマスク寸法に忠実なメッキ造形物を形成できる。しかも、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、メッキ中およびメッキ後の水洗・乾燥によってもレジストパターンにクラックを生じることがなく、かつ感度、解像度等にも優れている。したがって、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、集積回路素子におけるバンプあるいは配線等の厚膜のメッキ造形物の製造に極めて好適に使用することができる。」

イ 引用発明
上記アの記載によると、引用文献1には、実施例1の各成分を混合して樹脂組成物を調製し、金スパッタ基板に樹脂組成物を塗布したのち、ホットプレート上にて樹脂膜を形成する方法として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 重合体A-1(80部)、ポリ(ビニルメチルエーテル)B-1(20部)、酸発生剤C-1(1部)、有機溶剤D-1(150部)の各成分を混合して、均一溶液としたのち、ろ過して樹脂組成物を調製し、金スパッタ基板に樹脂組成物を塗布したのち、ホットプレート上にて、90℃で5分間加熱して、厚さ25μmの樹脂膜を形成する方法。
ここで、重合体A-1は、p-ヒドロキシスチレン、2-ベンジル-2-プロピルアクリレートおよびスチレンの共重合比が、70:10:20であり、ポリ(ビニルメチルエーテル)B-1は、ポリ(ビニルメチルエーテル)ポリ(ビニルメチルエーテル)(Mw=50,000)メタノール溶液(濃度50重量%)を、ロータリーエバポレーターを用いて、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルに溶剤置換して、濃度50重量%の溶液としたものであり、酸発生剤C-1は、4,7-ジ-n-ブトキシナフタチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートであり、有機溶剤D-1は、乳酸エチルである。」

(2)本件特許発明1
ア 対比
本件特許発明1と引用発明とを対比する。

(ア)高分子化合物
引用発明の「樹脂組成物」における「重合体A-1」は、「p-ヒドロキシスチレン、2-ベンジル-2-プロピルアクリレートおよびスチレンの共重合比が、70:10:20であ」る。
上記組成からみて、引用発明の「重合体A-1」は、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である。
(当合議体注:このことは、本件特許明細書の【0014】の記載からも確認できる事項である。)。
そうしてみると、引用発明の「重合体A-1」は、本件特許発明1の「フェノール含有樹脂である高分子」に相当する。また、引用発明の「重合体A-1」は、本件特許発明1の「フェノール含有樹脂である高分子」の「酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる」との要件を満たす。

(イ)光酸発生剤
引用発明の「樹脂組成物」における「酸発生剤C-1」は、「4,7-ジ-n-ブトキシナフタチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートであ」る。
上記組成からみて、引用発明の「酸発生剤C-1」は、放射線又は活性光源の作用により酸を生じるといえる(当合議体注:このことは、引用文献1の【0032】?【0033】の記載からも確認できる事項である。)。
そうしてみると、引用発明の「酸発生剤C-1」は、本件特許発明1の「光酸発生剤」に相当する。また、引用発明の「酸発生剤C-1」は、本件特許発明1の「光酸発生剤」の「放射線又は活性光源の作用により酸を生じる」との要件を満たす。

(ウ)常圧での沸点が55?250℃の成分
引用発明の「樹脂組成物」における「有機溶剤D-1」は、「乳酸エチルである」。
上記組成からみて、引用発明の「乳酸エチル」は、常圧での沸点が55?250℃である(当合議体注:このことは、本件特許明細書の【0055】?【0056】の記載からも確認できる事項である。)。」
そうしてみると、引用発明の「乳酸エチル」は、本件特許発明1の「常圧での沸点が55?250℃の成分」に相当する。

(エ)化学増幅ポジ型レジスト材料
引用発明の「樹脂組成物」は、「重合体A-1(80部)、ポリ(ビニルメチルエーテル)B-1(20部)、酸発生剤C-1(1部)、有機溶剤D-1(150部)の各成分を混合して、均一溶液としたのち、ろ過して」「調製し」たものである。
上記(ア)?(ウ)及び上記工程からみて、引用発明の「樹脂組成物」は、本件特許発明1の「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」に相当する(当合議体注:このことは、引用文献1の【0007】の記載からも確認できる事項である。)。
また、引用発明の「樹脂組成物」が、本件特許発明1の一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂を含まないことは明らかである。
そうしてみると、引用発明の「樹脂組成物」は、本件特許発明1の「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」の、「高分子化合物」、「光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有」し、「ただし」、「一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂」「を含まない。」との要件を満たす。

(オ)i.化学増幅ポジ型レジスト材料を支持フィルム上に塗布する工程
引用発明は、「金スパッタ基板に樹脂組成物を塗布したのち、ホットプレート上にて、90℃で5分間加熱して、厚さ25μmの樹脂膜を形成する」。
上記工程からみて、引用発明の「金スパッタ基板」と本件特許発明1の「支持フィルム」とは、「支持体」という点で共通する。
また、上記(ア)?(エ)と上記工程からみて、引用発明は、本件発明の「i.」の「工程」と、「i.化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」「を」「支持体」「上に塗布する工程」「を含み」という点で共通する。

(カ)ii.化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程
上記(オ)の工程からみて、引用発明において、加熱することにより、金スパッタ基板上に塗布した樹脂組成物から有機溶剤及び揮発分を除去しているといえる。
そうしてみると、上記(ア)?(オ)も勘案すると、引用発明の「樹脂膜」は、本件特許発明1の「化学増幅ポジ型レジスト」「フィルム」に相当する。また、引用発明は、本件特許発明の「ii.」の「工程」と、「ii.支持体上の塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジスト」「フィルムを得る工程を含み」という点で共通する。

(キ)ドライフィルム積層体の製造方法
上記(ア)?(カ)を総合すると、引用発明の方法は、「金スパッタ基板に」「樹脂膜を形成する」ものであるから、引用発明と本件特許発明1とは、「フィルム積層体の製造方法」である点において共通する。

イ 一致点・相違点
(ア)一致点
上記アの対比からみて、本件特許発明1と引用発明は、次の点で一致する。

「 i.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂を含まない。)を、支持体上に塗工する工程、
ii.加熱することにより、支持体上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストフィルムを得る工程
を含むフィルム積層体の製造方法。
【化1】


(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)」

(イ)相違点
上記アの対比からみて、本件特許発明1と引用発明は、次の点で相違する。

(相違点1)
「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」が、本件特許発明1は、「下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない
【化2】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)」のに対して、引用発明の「樹脂組成物」は、「ポリ(ビニルメチルエーテル)」を含む点。

(相違点2)
「i.支持体上に塗工する工程」が、本件特許発明1は、「支持体」が「支持フィルム」であって、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」「を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に塗工する」のに対して、引用発明は、「支持体」が「金スパッタ基板」であって、「金スパッタ基板に樹脂組成物を塗布」する際の、クリーン度、温度、湿度は明らかでない点。

(相違点3)
「ii.化学増幅ポジ型レジストフィルムを得る工程」が、本件特許発明1は、「インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することによ」るのに対して、引用発明は、「ホットプレート上にて、90℃で5分間加熱して」いる点。

(相違点4)
本件特許発明1は、「得られた化学増幅ポジ型レジスト」「フィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する」のに対して、引用発明の「樹脂膜」は、そのように特定されていない点。

(相違点5)
「化学増幅ポジ型レジストフィルム」及び「フィルム積層体」が、本件特許発明1では、「化学増幅ポジ型レジストドライフィルム」及び「ドライフィルム積層体」であるのに対して、引用発明では、いわゆる、(レジスト)「ドライフィルム」に該当するものではない点。

ウ 判断
まず、上記相違点1について検討する。
引用文献1の【0031】には、「本発明において、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)の使用量は、重合体(A)とポリ(ビニル低級アルキルエーテル)との合計を100重量部としたときに、好ましくは5?60重量部、さらに好ましくは10?50重量部である。この場合、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)の使用量が5重量部未満では、厚膜のメッキ造形物を製造する際のメッキ後の水洗・乾燥過程で、鋳型となるレジストパターンにクラックが発生することがあり、好ましくなく、一方60重量部を超えると、パターンを形成するための現像時に、露光部と未露光部とのコントラストが低下して、パターン形状が損なわれるおそれがある。」と記載されている。
上記記載から、引用発明の「樹脂組成物」において、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)は必須であるといえる。このことは、引用文献1の特許請求の範囲、【0007】の課題を解決するための手段についての記載、【0075】等における、樹脂組成物において、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含有する実施例とポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含有しない比較例の記載からも理解できる事項である。
そうしてみると、引用文献1の記載に接した当業者であれば、引用発明の「樹脂組成物」から、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を除くことは、想定できない。
また、引用文献2?7においても、引用発明において、相違点1に係る本件特許発明1の構成を適用することを窺わせる記載はない。
したがって、たとえ当業者といえども、相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たということはできない。

さらに進めて検討する。
引用文献1には、得られた樹脂膜中に、常圧での沸点が55?250℃の成分をどの程度含有するかについて、記載も示唆もなく、また、樹脂膜中の上記成分の含有量を調整するために樹脂膜を形成する際の加熱温度や時間を調整することについても、記載も示唆もない。また、引用発明において、相違点3及び4に係る本件特許発明1の構成を適用することを窺わせる記載は、引用文献2?7においてもなく、周知技術であるともいえない。
そうしてみると、たとえ当業者といえども、相違点3及び4に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たということはできない。

また、引用文献1における実施例1を他の実施例2?10に置き換えても結論は同様である。

なお、引用文献1には、樹脂組成物はポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含有しない、比較例1及び2も開示されている。しかしながら、引用文献1に記載された発明において、「樹脂組成物」を改善しようとする当業者は、まずは、「樹脂組成物」の成分として、「ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)」の採用を試みると考えられる。
したがって、仮に、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含有しない比較例を主引用発明としても、当業者は、相違点3及び4に係る本件特許発明1の構成には至らないといえる。

エ 本件特許発明1についてのまとめ
以上のことから、本件特許発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(3)本件特許発明2
本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て具備するものであるから、本件特許発明2も、本件特許発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(4)本件特許発明3
ア 対比、一致点・相違点
本件特許発明3と引用発明とを対比すると、一致点・相違点は以下のとおりとなる。

(ア)一致点
本件特許発明3と引用発明は、次の点で一致する。

「 i.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂を含まない。)を、支持体上に塗工する工程、
ii.加熱することにより、支持体上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストフィルムを得る工程
を含むフィルム積層体の製造方法。
【化1】


(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)」

(イ)相違点
本件特許発明3と引用発明は、次の点で相違する。

(相違点6)
「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」が、本件特許発明3は、「下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない
【化2】


(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)」のに対して、引用発明の「樹脂組成物」は、「ポリ(ビニルメチルエーテル)」を含む点。

(相違点7)
「支持体上に塗工する工程」が、本件特許発明3は、「支持体」が「支持フィルム」であって、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」「を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に0.05?1.000m/minの速度で塗工する」のに対して、引用発明は、「支持体」が「金スパッタ基板」であって、「金スパッタ基板に樹脂組成物を塗布」する際の、クリーン度、温度、湿度、塗工の速度は明らかでない点。

(相違点8)
「化学増幅ポジ型レジストフィルムを得る工程」が、本件特許発明3は、「インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することによ」るのに対して、引用発明は、「ホットプレート上にて、90℃で5分間加熱して」いる点。

(相違点9)
本件特許発明3は、「連続的に得られた積層体をロールフィルム化する工程を含」むのに対して、引用発明は、そのような工程を有しない点。

(相違点10)
本件特許発明3は、「得られた化学増幅ポジ型レジストフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する」のに対して、引用発明の「樹脂膜」は、そのように特定されていない点。

(相違点11)
「化学増幅ポジ型レジストフィルム」及び「フィルム積層体」が、本件特許発明3では、「化学増幅ポジ型レジストドライフィルム」及び「ドライフィルム積層体」であるのに対して、引用発明では、いわゆる、(レジスト)「ドライフィルム」に該当するものではない点。

イ 判断
上記相違点6、8及び10は、それぞれ、上記相違点1、3及び4と同じであるから、上記(2)の本件特許発明1で示した理由と同じ理由により、本件特許発明3は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(5)本件特許発明4
本件特許発明4は、本件特許発明3の構成を全て具備するものであるから、本件特許発明4も、本件特許発明3と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(6)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和3年5月20日付け意見書において、「「除くクレーム」とする訂正が新規事項追加とならないのであれば、訂正により新たな技術的事項を導入したものではないと解されるはずであり、そうであれば、本件特許発明が訂正により新たな技術的事項を導入したものではないにもかかわらず、該訂正によって進歩性が認められることとなるとすれば、それは理に適わないものと思料する。」と主張している。
しかしながら、上記(2)?(5)で示したとおり、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

(7)まとめ
本件特許発明1?4は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

2 取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由2(実施可能要件)について
(1)本件訂正明細書の【0070】には、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液が塗布された支持フィルム(離型基材)をインラインドライヤ(熱風循環オーブン)に通し、40?130℃、1?40分間、より好ましくは50?120℃、2?30分間で有機溶剤及び揮発分を除去し、乾燥させて化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層を形成する。」と記載されている。また、本件訂正明細書の【0079】?【0092】には、実施例、比較例が記載されている。
たしかに、実施例、比較例については、【表2】(【0088】)において、熱風循環オーブン温度のみの記載で、加熱時間は記載されていない。しかしながら、上記【0070】の記載に接した当業者であれば、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中の5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有するドライフィルム積層体を得るためには、上記【0070】に記載された加熱温度及び加熱時間の範囲内で調整すればよいのであるから、過度の試行錯誤を強いるものとまではいえない。

(2)特許異議申立人は、令和3年5月20日付け意見書において、特開2018-155802号公報(以下「参考資料1」という。)の実施例、比較例における乾燥工程温度と沸点55?250℃の成分の関係を示して、「したがって、所望のドライフィルム積層体を製造するために当業者に過度の試行錯誤を強いるものであるから、本件訂正明細書は、当業者が実施できる程度に記載されているということができないと思料する。」と主張している。
たしかに、参考資料1に記載された感光性樹脂組成物の乾燥工程温度が本件特許発明1?4の範囲内にあっても沸点55?250℃の成分の質量%が本件特許発明1?4の範囲外となる場合がある。しかしながら、参考資料1の【0134】?【0141】に記載された感光性樹脂組成物は、本件特許発明の化学増幅ポジ型レジスト材料とは組成が異なるものであるから、前提において異なるものである以上、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
また、仮に、所望の含有量が得られなかったとしても、上記(1)と同様、当業者は、加熱温度及び加熱時間を適宜調整して対応することができるといえる。

(3)したがって、本件特許は、発明の詳細な説明が、当業者が本件特許発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

3 取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由3(サポート要件)について
(1)本件特許発明は、「化学増幅ポジ型レジスト材料溶液」「を」「インラインドライヤで」「1?40分間加熱する」という発明特定事項を有している。これに対して、本件訂正明細書の記載は上記2で述べたとおりである。そして、上記2で述べたように、本件特許は、発明の詳細な説明が、当業者が本件特許発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、出願時の技術常識に照らせば、本件特許発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるといえる。

(2)特許異議申立人は、令和3年5月20日付け意見書において、「本件訂正明細書の記載は理由2について述べたとおりである。したがって、出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないと思料する。」と主張している。
しかしながら、上記2で述べた理由と同じ理由により、特許異議申立の上記主張を採用することはできない。

(3)したがって、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。

4 取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由4(明確性要件)について
(1)本件特許発明は、「クリーン度1000以下」という発明特定事項を有している。ここで、「半導体・金属材料用語辞典」、株式会社 工業調査会、第356頁、1999年9月20日初版第1刷発行(以下「乙第1号証」という。)及び「半導体大辞典」、株式会社 工業調査会、第1610-1611頁、1999年12月20日初版第1刷発行(以下「乙第2号証」という。)には、それぞれ、「クリーン度に関しては1立方フィートに0.5μmの塵が何個存在するかで決まる。クラス1000では塵が1,000個存在することになる。」及び「この清浄度クラスに関しては,米国規格Fed.STD.209Dに準じた塵埃粒径0.5μmの微粒子個数で管理する方法が一般的であり」と記載されている。
上記乙第1号証及び乙第2号証の記載を心得た当業者であれば、本件特許発明における「クリーン度1000以下」とは、1立方フィートに0.5μmの塵が1,000個以下存在するクリーン度であると理解できる。

(2)特許異議申立人は、令和3年5月20日付け意見書において、特開2005-332259号公報及び特開2014-72399号公報を示して「以上のように、「クリーン度」や「クラス」の表し方や測定方法には種々なものがあり、特許権者が米国規格Fed.STD.209Dに基づいて主張する、「『クリーン度1000以下』とは、1立方フィートに0.5μmの塵が1,000個以下存在するクリーン度である」ことに一義的に特定されるということはできない。」と主張するとともに、「「クラス1000」のように「クラス」に数字を付して表されるクラス表示が必要になり、「クリーン度1000」という表記は行われない。その点においても、「クリーン度1000以下」の意味は明らかでない。」と主張している。
たしかに、「クリーン度」や「クラス」の表し方や測定方法には種々なものがあるといえども、上記(1)で述べたとおり、「半導体・金属材料用語辞典」や「半導体大辞典」といった辞典の記載を参酌して一義的に理解でき、また、「クリーン度1000以下」との表記についても、当業者がみて理解できる範囲内であって、この記載が第三者に不測の不利益を与えるとまではいえない。
そうしてみると、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

(3)したがって、本件特許発明は、明確である。


第6 むすび
本件特許1?4は、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許1?4を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ドライフィルム積層体の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム並びにドライフィルム積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高集積化に伴い、多ピン薄層実装が用いられてきている。このような多ピン構造では、接続用端子である高さ10?100μm又はそれ以上のバンプ電極を形成するための技術が求められており、この電極をメッキ法により形成する際には、高感度かつ高解像性を比較的容易に達成でき、メッキ後のフォトレジスト膜の剥離が容易であることから、化学増幅ポジ型フォトレジスト材料が用いられる場合が多い。その際の塗膜形成方法については、多くの場合、スピンコーティング法を用いて、基板上へフォトレジスト材料の塗布が行われているが、塗布時の条件によっては、余剰なフォトレジスト材料がコーターカップのドレインに吸引される前に乾燥し、コットンキャンディと呼ばれる綿あめ状となってコーターカップの上部で浮遊するため、周辺部や基板を汚染することが知られている。
【0003】
このような現象を回避するためには、別の手段による塗膜形成方法が望ましく、例えば、半導体製造工程中の後工程で用いられる再配線材料では、特開2011-145664号公報(特許文献1)のようなシリコーン構造を含む高分子化合物を用いたネガ型ドライフィルムのレジスト材料が用いられている。しかしながら、フェノール含有樹脂を有効な主成分とする化学増幅ポジ型レジスト材料については、特開2006-350293号公報(特許文献2)や国際公開第2014/065220 A1号(特許文献3)等に限定された報告例しかない。そして、特開2006-350293号公報では、熱重合性化合物と熱重合開始剤を用いるという、非常に限定的な組成物であった。また、国際公開第2014/065220 A1号では、目的成分である化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層と支持フィルムの中間層として熱可塑性樹脂層を必要としており、加えて、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層の範囲が、0.5?10μmであることから、材料としての用途が限定されていた。
【0004】
これは、一般に化学増幅ポジ型レジスト材料に用いられている高分子化合物が、フェノール含有樹脂、特にp-ヒドロキシスチレン等をモノマー単位として用いる場合が多いためであり、フェノール単位の含有量が多い高分子化合物は、固く脆いために、フィルム化した際に、可撓性が得られず、クラックが発生する問題を有していた。前記2報は、このクラックを回避するために、2以上のエチレン性不飽和結合を分子内に有する熱重合性化合物や熱可塑性樹脂層を用いることによって、可撓性を付与しているものと思われる。しかしながら、このような材料では、本来材料に要求されるべき特性に制限が発生することは明らかである。
【0005】
このような点から、液状の化学増幅ポジ型レジスト材料と同様に、化学増幅ポジ型レジスト材料としての基幹の組み合わせである(1)酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる高分子化合物、(2)放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤を必須成分とし、必要に応じ、添加剤を選択できる化学増幅ポジ型レジストドライフィルムが、用途限定も無く、幅広く利用できることから、このような材料が長らく待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2011-145664号公報
【特許文献2】 特開2006-350293号公報
【特許文献3】 国際公開第2014/065220 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、可撓性、寸法安定性に優れ、クラックが生じ難い化学増幅ポジ型レジストドライフィルム並びにドライフィルム積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、常圧での沸点が55?250℃の成分を5?40質量%含有することが有効であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記ドライフィルム積層体の製造方法を提供する。
〔1〕
i.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に塗工する工程、
ii.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化13】

(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)
【化14】

(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)
〔2〕
工程iiの後、得られたドライフィルム上に保護フィルムを積層する工程
を含み、保護フィルムのドライフィルムに対する剥離力が1?500gf/24mmであることを特徴とする〔1〕記載のドライフィルム積層体の製造方法。
〔3〕
iii.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に0.05?1,000m/minの速度で塗工する工程、
iv.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程、
v.連続的に得られた積層体をロールフィルム化する工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
〔4〕
工程vの後、得られたドライフィルム上に保護フィルムを積層する工程
を含み、保護フィルムのドライフィルムに対する剥離力が1?500gf/24mmであることを特徴とする〔3〕記載のドライフィルム積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、簡便な作業工程で、可撓性及び寸法安定性を有する化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを作製することができ、得られたレジストドライフィルムは、連続的に被保護対象物と短時間で効率的に積層し、パターン形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のレジストドライフィルムは、回路基板、プリント配線基板、TSV、半導体パッケージ等の半導体基材の保護として用いることができる非液状型のフィルムである。このドライフィルムは、支持フィルム上に積層して積層体を形成することができ、この積層体には、剥離可能な保護フィルムを更に積層させることができる。
この場合、上記レジストドライフィルムは、
(1)酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる高分子化合物、
(2)放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤
を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料から形成することができる。
【0012】
まず、化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを構成する(1)酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる高分子化合物については、アルカリ水溶液への溶解を抑制するために変性されている酸解離性溶解抑制基が、酸の作用によって、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基となる官能基を有している高分子化合物であれば、特段、制約を受けるものではない。好適な高分子化合物としては、フェノール構造を含有する高分子化合物、アクリル酸又はアクリル酸エステル系高分子化合物等が好ましく、このような高分子化合物の具体例としては、特開2006-309051号公報に示されているようなノボラック樹脂中の一部の水酸基の水素原子を酸解離性溶解抑制基で保護した高分子化合物を挙げることができる。更に好適には、ヒドロキシスチレン単独、もしくはヒドロキシスチレンとカルボキシル基を含むビニルモノマーを共重合した高分子化合物である。このような高分子化合物の具体例としては、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部の水素原子を炭素数1?6のアルキル基、アセタール基やtert-ブトキシカルボニル基で置換された材料を用いることができる。このような高分子化合物の例としては、特開平11-236416号公報に示されている高分子化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。更に、ヒドロキシスチレンとアクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸などのカルボキシル基を含むモノマーを共重合した高分子化合物のヒドロキシ基とカルボキシル基の一部の水酸基の水素原子を酸解離性溶解抑制基で保護した高分子化合物を用いることができる。このような高分子化合物の例としては、特開2002-234910号公報や特開2003-131384号公報等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に本発明では、このような樹脂をフィルム化できることで可撓性を改善できる。
【0013】
なお、上記高分子化合物(ベース樹脂)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1,000?500,000、特に2,000?50,000であることが好ましく、また分散度(Mw/Mn)は1.0?4.0、特に1.0?2.0であることが好ましい。
【0014】
ベースポリマーとなる原料は、フェノール単量体、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であり、スチレン系やアクリル酸系のモノマーを用いることができる。
例えば下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物のフェノール性水酸基の一部の水素原子が1種又は2種以上の酸不安定基により部分置換された高分子化合物が挙げられる。特にポリヒドロキシスチレン及びその誘導体のフェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基で部分的に置換した平均分子量1,000?500,000のものが好適である。
【化1】

【0015】
ここで、R^(1)は水素原子又はメチル基を示し、R^(2)は炭素数1?8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、xは0又は正の整数、yは正の整数であり、x+y≦5を満足する数である。
【0016】
酸不安定基としては、種々選定されるが、特に、下記一般式(2)又は(3)で示される基、tert-アルキル基、トリアルキルシリル基、ケトアルキル基等であることが好ましい。
【化2】

【0017】
ここで、R^(3)、R^(4)はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1?6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R^(5)は炭素数1?10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であるか、又はR^(3)とR^(4)、R^(3)とR^(5)又はR^(4)とR^(5)とはこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に環を形成してもよい。環を形成する場合R^(3)、R^(4)、R^(5)はそれぞれ独立して炭素数1?6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0018】
具体的には、式(2)の基として、1-エトキシエチル基、1-n-プロポキシエチル基、1-イソプロポキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-sec-ブトキシエチル基、1-tert-ブトキシエチル基、1-tert-アミロキシエチル基、1-エトキシ-n-プロピル基、1-シクロヘキシロキシエチル基等の直鎖状もしくは分岐状のアセタール基、テトラヒドロフラニル基等の環状のアセタール基等が挙げられ、好ましくは1-エトキシエチル基、1-エトキシ-n-プロピル基が挙げられる。
【0019】
式(3)において、R^(6)は炭素数4?12、好ましくは4?8、更に好ましくは4?6の3級アルキル基を示し、aは0?6の整数である。
具体的には、式(3)の基として、tert-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、tert-アミロキシカルボニル基、tert-アミロキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0020】
また、上記tert-アルキル基としては、tert-ブチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル-tert-ブチルシリル基等の各アルキル基の炭素数が1?6のものが、ケトアルキル基としては、3-オキソシクロヘキシル基や下記式で示される基等が挙げられる。
【化3】

【0022】
更に、エステル側鎖部に酸解離性溶解抑制基を有し、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有するアクリル樹脂成分も使用可能であり、下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量1,000?500,000である高分子材料を挙げることができる。
【化4】

(式中、R^(7)は水素原子又はメチル基を表し、R^(8)は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R^(9)は炭素数4?30の置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、又はラクトン基を表す。また、式(4)において、iは0又は正数であり、jは正数である。但し、i+j=1である。)
【0023】
更に好ましい形態として、下記一般式(5)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量1,000?500,000である高分子材料を挙げることができる。
【化5】

(式中、R^(10)は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1?6の直鎖状アルキル基、炭素数3?6の分岐状アルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R^(11)は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R^(12)は炭素数4?12の三級アルキル基を表し、R^(13)は水素原子、炭素数1?12のフッ素原子によって置換されていてもよい置換可アルキル基、炭素数1?12のフッ素原子によって置換されていてもよい置換可アルコキシ基、-C(CF_(3))_(2)-OH基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1?6のトリアルキルシロキシ基、炭素数4?20のオキソアルコキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、又はトリアルキルシロキシ基を表し、R^(14)は水素原子又はメチル基を表し、R^(15)は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R^(16)は炭素数4?30の置換又は非置換の直鎖状又は分岐状アルキル基あるいは置換又は非置換のシクロアルキル基を表す。また、nは0又は1?4の正の整数であり、mは0又は1?5の正の整数である。また、上記式(5)において、p、r、sは0又は正数であり、qは正数である。)
【0024】
上記R^(13)の置換可アルコキシ基において、これらが酸不安定基の機能を示す場合、種々選定されるが、特に下記一般式(6)又は(7)で示される基、又は炭素数4?20の直鎖状、分岐状又は環状の三級アルコキシ基から選ばれることが好ましい。
また、R^(13)が三級アルコキシ基の場合、R^(12)で選ばれた三級アルキル基を除くアルコキシ基が選ばれる。
【化6】

(式中、R^(17)、R^(18)、R^(19)、R^(20)、R^(21)は各々独立して水素原子、又は炭素数1?8の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R^(17)とR^(18)、R^(17)とR^(19)、R^(18)とR^(19)とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合は環の形成に関与するR^(17)、R^(18)、R^(19)はそれぞれ炭素数1?18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R^(22)は炭素数4?40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、bは0又は1?4の整数である。)
【0025】
ここで、上記式(6)で示される酸不安定基として具体的には、フェニル基に結合した酸素原子を介して結合する、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n-プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n-ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、tert-ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1-メトキシ-1-メチル-エチル基、1-エトキシ-1-メチル-エチル基等が挙げられる。一方、上記式(7)の酸不安定基として、例えばフェニル基に結合した酸素原子を介して結合する、tert-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、エチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、メチルシクロペンチルオキシカルボニル基が挙げられる。
また、上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基等の各アルキル基の炭素数が1?6のものが挙げられる。
【0026】
上記式(5)のR^(10)、R^(11)、R^(15)において、これらがハロゲン原子を示す場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0027】
R^(16)のアルキル基が三級アルキル基の場合、下記一般式(8)又は(9)で示される基が特に好ましい。
【化7】

(式中、R^(23)は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ビニル基、アセチル基、フェニル基、ベンジル基、又はシアノ基であり、cは0?3の整数である。)
【0028】
上記一般式(8)の環状アルキル基としては、5員環及び6員環がより好ましい。具体例としては、1-メチルシクロペンチル、1-エチルシクロペンチル、1-イソプロピルシクロペンチル、1-ビニルシクロペンチル、1-アセチルシクロペンチル、1-フェニルシクロペンチル、1-シアノシクロペンチル、1-メチルシクロヘキシル、1-エチルシクロヘキシル、1-イソプロピルシクロヘキシル、1-ビニルシクロヘキシル、1-アセチルシクロヘキシル、1-フェニルシクロヘキシル、1-シアノシクロヘキシル等が挙げられる。
【0029】
【化8】

(式中、R^(24)は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ビニル基、フェニル基、ベンジル基、又はシアノ基である。)
【0030】
上記一般式(9)の具体例としては、tert-ブチル基、1-ビニルジメチルメチル基、1-ベンジルジメチルメチル基、1-フェニルジメチルメチル基、1-シアノジメチルメチル基等が挙げられる。
【0031】
また、以下に例示する三級エステルとなるアルキル基もR^(16)として好ましい。
【化9】

【0032】
また更に、レジスト材料の特性を考慮すると、上記式(5)において、p、r、sは0又は正数であり、qは正数であり、下記式を満足する数であることが好ましい。
【0033】
一般式(5)において、基本的にp、r、sは0又は正数、qは正数であるが、具体的には、0<q/(p+q+r+s)≦0.5、更に好ましくは0<q/(p+q+r+s)≦0.3である。0≦p/(p+q+r+s)≦0.8、更に好ましくは0.3≦p/(p+q+r+s)≦0.8である。0≦r/(p+q+r+s)≦0.35である。なお、4成分の際には、r>0である。また、0≦s/(p+q+r+s)≦0.35、更に好ましくは0<s/(p+q+r+s)<0.3である。なお、p+q+r+s=1である。
qが0となり、上記式(5)の高分子化合物がこの単位を含まない構造となると、アルカリ溶解速度のコントラストがなくなり、解像度が悪くなる。また、pの割合が多すぎると、未露光部のアルカリ溶解速度が大きくなりすぎる場合がある。また、p、q、r、sはその値を上記範囲内で適宜選定することによりパターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。
【0034】
また、p-クレゾール、m-クレゾール等のクレゾールとアルデヒドとの縮合によって得られるノボラック樹脂でも構わない。更に、そのベンゼン環の水素原子の一部をビニルアルキルエーテル等の保護基で置換されていてもよい。ノボラック樹脂は通常使用されている分子量で構わないが、重量平均分子量は1,000?100,000であることが望ましい。
【0035】
次に、(2)放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤については、高エネルギー線照射により、酸を発生する光酸発生剤であれば、いずれでも構わない。好適な化合物としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド型光酸発生剤等である。以下に詳述するが、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0036】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートの塩であり、スルホニウムカチオンとしては、トリフェニルスルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、(3-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4-チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ビス(4-ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2-ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2-ナフチルスルホニウム、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4-メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2-オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2-トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4-(4-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0037】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートの塩であり、ヨードニウムカチオンとしては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、4-tert-ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンなどが挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2-トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4-(4-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0038】
スルホニルジアゾメタンとしては、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1-メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2-メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4-メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2-ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、4-メチルフェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert-ブチルカルボニル-4-メチルフェニルスルホニルジアゾメタン、2-ナフチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、4-メチルフェニルスルホニル-2-ナフトイルジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert-ブトキシカルボニル-4-メチルフェニルスルホニルジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタンとスルホニルカルボニルジアゾメタンが挙げられる。
【0039】
N-スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド、7-オキサビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸イミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフオロオクタンスルホネート、2,2,2-トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0040】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等が挙げられる。
【0041】
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、ピロガロール、フルオログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンのヒドロキシ基の全てをトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2-トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等で置換した化合物が挙げられる。
【0042】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、2,4-ジニトロベンジルスルホネート、2-ニトロベンジルスルホネート、2,6-ジニトロベンジルスルホネートが挙げられ、スルホネートとしては、具体的にトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2-トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられる。また、ベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0043】
スルホン型光酸発生剤としては、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4-メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2-ナフチルスルホニル)メタン、2,2-ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2-ビス(2-ナフチルスルホニル)プロパン、2-メチル-2-(p-トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2-(シクロヘキシルカルボニル)-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン、2,4-ジメチル-2-(p-トルエンスルホニル)ペンタン-3-オン等が挙げられる。
【0044】
O-アリールスルホニルオキシム化合物あるいはO-アルキルスルホニルオキシム化合物(オキシムスルホネート)型光酸発生剤としては、グリオキシム誘導体型、チオフェンやシクロヘキサジエンを介した共役系の長いオキシムスルホネート型、トリフルオロメチル基のような電子吸引基で化合物の安定性を増したオキシムスルホネート型、フェニルアセトニトリル、置換アセトニトリル誘導体を用いたオキシムスルホネート型、また、ビスオキシムスルホネート型等が挙げられる。
【0045】
グリオキシム誘導体型光酸発生剤としては、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-2,3-ペンタンジオン=ジオキシム、ビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス-O-(メタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(トリフルオロメタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(10-カンファースルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(ベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(4-フルオロベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(4-トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(キシレンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(トリフルオロメタンスルホニル)-ニオキシム、ビス-O-(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)-ニオキシム、ビス-O-(10-カンファースルホニル)-ニオキシム、ビス-O-(ベンゼンスルホニル)-ニオキシム、ビス-O-(4-フルオロベンゼンスルホニル)-ニオキシム、ビス-O-(4-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル)-ニオキシム、ビス-O-(キシレンスルホニル)-ニオキシム等が挙げられ、更に上記骨格に2-ベンゾイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(4-フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2-シクロヘキサンカルボニルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-フロイルオキシプロパンスルホネート、2-ナフトイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(4-tert-ブチルベンゾイルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(1-アダンマンタンカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-アセチルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トシルオキシプロパンスルホネート、1,1-ジフルオロ-2-トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(3-ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4-オキソ-1-アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0046】
チオフェンやシクロヘキサジエンを介した共役系の長いオキシムスルホネート型光酸発生剤として、(5-(P-トルエンスルホニル)オキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)フェニルアセトニトリル、(5-(10-カンファースルホニル)オキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)フェニルアセトニトリル、(5-n-オクタンスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)フェニルアセトニトリル、(5-(P-トルエンスルホニル)オキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-(10-カンファースルホニル)オキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-n-オクタンスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-(4-(P-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニル)オキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)フェニルアセトニトリル、(5-(2,5-ビス(P-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニル)オキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)フェニルアセトニトリル等が挙げられ、更に上記骨格に2-ベンゾイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(4-フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2-シクロヘキサンカルボニルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-フロイルオキシプロパンスルホネート、2-ナフトイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(4-tert-ブチルベンゾイルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(1-アダンマンタンカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-アセチルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トシルオキシプロパンスルホネート、1,1-ジフルオロ-2-トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(3-ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4-オキソ-1-アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0047】
トリフルオロメチル基のような電子吸引基で化合物の安定性を増したオキシムスルホネート型酸発生剤として、2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエタノン=O-(10-カンファースルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエタノン=O-(4-メトキシベンゼンスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエタノン=O-(1-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエタノン=O-(2-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエタノン=O-(2,4,6-トリメチルフェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルフェニル)エタノン=O-(10-カンファースルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルフェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2-メチルフェニル)エタノン=O-(10-カンファースルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,4-ジメチルフェニル)エタノン=O-(10-カンファースルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,4-ジメチルフェニル)エタノン=O-(1-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,4-ジメチルフェニル)エタノン=O-(2-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,4,6-トリメチルフェニル)エタノン=O-(10-カンファースルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,4,6-トリメチルフェニル)エタノン=O-(1-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,4,6-トリメチルフェニル)エタノン=O-(2-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルチオフェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(3,4-ジメトキシフェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)エタノン=O-(4-メチルフェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)エタノン=O-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)エタノン=O-(4-ドデシルフェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)エタノン=O-(オクチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-チオメチルフェニル)エタノン=O-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-チオメチルフェニル)エタノン=O-(4-ドデシルフェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-チオメチルフェニル)エタノン=O-(オクチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-チオメチルフェニル)エタノン=O-(2-ナフチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2-メチルフェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルフェニル)エタノン=O-(フェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-クロロフェニル)エタノン=O-(フェニルスルホニル)オキシム、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-フェニルブタノン=O-(10-カンファースルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(1-ナフチル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2-ナフチル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-ベンジルフェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(フェニル-1,4-ジオキサ-ブト-1-イル)フェニル)エタノン=O-(メチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(1-ナフチル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2-ナフチル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-ベンジルフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルスルホニルフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルスルホニルオキシフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メチルカルボニルオキシフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(6H,7H-5,8-ジオキソナフト-2-イル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-メトキシカルボニルメトキシフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(メトキシカルボニル)-(4-アミノ-1-オキサ-ペンタ-1-イル)フェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(3,5-ジメチル-4-エトキシフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(2-チオフェニル)エタノン=O-(プロピルスルホネート)オキシム、及び2,2,2-トリフルオロ-1-(1-ジオキサチオフェン-2-イル)エタノン=O-(プロピルスルホネート)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメタンスルホニルオキシイミノ)エチル)フェノキシ)プロポキシ)フェニル)エタノン=O-(トリフルオロメタンスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-(1-プロパンスルホニルオキシイミノ)エチル)フェノキシ)プロポキシ)フェニル)エタノン=O-(プロピルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-(1-ブタンスルホニルオキシイミノ)エチル)フェノキシ)プロポキシ)フェニル)エタノン=O-(ブチルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)エチル)フェノキシ)プロポキシ)フェニル)エタノン=O-(4-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニル)オキシム、2,2,2-トリフルオロ-1-(4-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-((2,5-ビス(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)エチル)フェノキシ)プロポキシ)フェニル)エタノン=O-((2,5-ビス(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニルオキシ)フェニルスルホニル)オキシム等が挙げられ、更に上記骨格に2-ベンゾイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(4-フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2-シクロヘキサンカルボニルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-フロイルオキシプロパンスルホネート、2-ナフトイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(4-tert-ブチルベンゾイルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(1-アダンマンタンカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-アセチルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トシルオキシプロパンスルホネート、1,1-ジフルオロ-2-トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(3-ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4-オキソ-1-アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0048】
また、下記式(Ox-1)で示されるオキシムスルホネートが挙げられる。
【化10】

(上記式中、R^(401)は置換又は非置換の炭素数1?10のハロアルキルスルホニル又はハロベンゼンスルホニル基を表す。R^(402)は炭素数1?11のハロアルキル基を表す。Ar^(401)は置換又は非置換の芳香族基又はヘテロ芳香族基を表す。)
【0049】
具体的には、2-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)フルオレン、2-(2,2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)フルオレン、2-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)フルオレン、2-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)-4-ビフェニル、2-(2,2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)-4-ビフェニル、2-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)-4-ビフェニルなどが挙げられ、更に上記骨格に2-ベンゾイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(4-フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2-シクロヘキサンカルボニルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-フロイルオキシプロパンスルホネート、2-ナフトイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(4-tert-ブチルベンゾイルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(1-アダンマンタンカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-アセチルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トシルオキシプロパンスルホネート、1,1-ジフルオロ-2-トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(3-ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4-オキソ-1-アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0050】
置換アセトニトリル誘導体を用いたオキシムスルホネート型として、α-(p-トルエンスルホニルオキシイミノ)-フェニルアセトニトリル、α-(p-クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)-フェニルアセトニトリル、α-(4-ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)-フェニルアセトニトリル、α-(4-ニトロ-2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)-フェニルアセトニトリル、α-(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)-4-クロロフェニルアセトニトリル、α-(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)-2,4-ジクロロフェニルアセトニトリル、α-(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)-2,6-ジクロロフェニルアセトニトリル、α-(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシフェニルアセトニトリル、α-(2-クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシフェニルアセトニトリル、α-(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)-2-チエニルアセトニトリル、α-(4-ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)-フェニルアセトニトリル、α-((4-トルエンスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル、α-((ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル、α-(トシルオキシイミノ)-3-チエニルアセトニトリル、α-(メチルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロペンテニルアセトニトリル、α-(エチルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロペンテニルアセトニトリル、α-(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロペンテニルアセトニトリル、α-(n-ブチルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロペンテニルアセトニトリル、α-(エチルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロヘキセニルアセトニトリル、α-(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロヘキセニルアセトニトリル、α-(n-ブチルスルホニルオキシイミノ)-1-シクロヘキセニルアセトニトリル等が挙げられ、更に上記骨格に2-ベンゾイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(4-フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2-シクロヘキサンカルボニルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-フロイルオキシプロパンスルホネート、2-ナフトイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(4-tert-ブチルベンゾイルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(1-アダンマンタンカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-アセチルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トシルオキシプロパンスルホネート、1,1-ジフルオロ-2-トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(3-ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4-オキソ-1-アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0051】
また、ビスオキシムスルホネートとして、ビス(α-(p-トルエンスルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(メタンスルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリルビス(α-(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(10-カンファースルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(4-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)-p-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(p-トルエンスルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(メタンスルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(10-カンファースルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル、ビス(α-(4-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)-m-フェニレンジアセトニトリル等が挙げられ、更に上記骨格に2-ベンゾイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(4-フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2-シクロヘキサンカルボニルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-フロイルオキシプロパンスルホネート、2-ナフトイルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(4-tert-ブチルベンゾイルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-(1-アダンマンタンカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、2-アセチルオキシ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トシルオキシプロパンスルホネート、1,1-ジフルオロ-2-トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(3-ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1-(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4-オキソ-1-アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0052】
中でも好ましく用いられる光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシム化合物類である。
【0053】
ポリマーに用いられる酸不安定基の切れ易さ等により最適な発生酸のアニオンは異なるが、一般的には揮発性がないもの、極端に拡散性の高くないものが選ばれる。この場合、好適なアニオンは、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、4-(4-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンである。
【0054】
本発明に係る化学増幅ポジ型レジスト材料における光酸発生剤の添加量としては、ベース樹脂100質量部に対して0.2?20質量部、好ましくは0.5?10質量部である。上記光酸発生剤(2)は単独又は2種以上混合して用いることができる。更に露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0055】
化学増幅ポジ型レジスト材料は、更に常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することができる。常圧での沸点が55?250℃の成分については、(1)の高分子化合物と(2)の光酸発生剤を均一に溶解する性質を有することが好ましく、(1)の高分子化合物及び(2)の光酸発生剤に対して十分な溶解度をもち、良好な塗膜性を与える溶剤であれば特に制限なく使用することができる。
【0056】
具体的には、入手が容易であることから、有機溶剤が好適であり、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸エチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の高極性溶剤あるいはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
更に、好ましくはプロピレングリコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤等の混合溶剤が挙げられる。
【0057】
溶剤の使用量は、レジスト固形分100質量部に対して20?400質量部、特に50?150質量部の範囲が望ましい。溶剤量が少ないと、ドライフィルムを製造する際に膜厚分布が悪化したり、フィルム中に気泡が入り込んだりするおそれがある。また、溶剤量が多いと、希望のドライフィルム厚を得ることが困難になる場合がある。
なお、沸点が55℃未満の溶剤では、常温での揮発性が高いため取り扱い時に濃度変化が大きくなる可能性があるため好ましくない。また、250℃を超える溶剤を用いると、パターン形状が悪化する可能性があるため好ましくない。
【0058】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、塩基性化合物、酸増殖剤、光塩基発生剤、熱可塑性樹脂、感光剤、染料、溶解促進剤、架橋剤、界面活性剤などを挙げることができる。また、これらの添加剤の添加量は、目的に応じて、通常量である。
【0059】
塩基性化合物は、光酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適しており、このような塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができたりする。
【0060】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0061】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、tert-アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N-ジメチルメチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ-sec-ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0062】
また、混成アミン類としては、例えば、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、2-メチルアニリン、3-メルアニリン、4-メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2-ニトロアニリン、3-ニトロアニリン、4-ニトロアニリン、2,4-ジニトロアニリン、2,6-ジニトロアニリン、3,5-ジニトロアニリン、N,N-ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H-ピロール、1-メチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、N-メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2-メチル-1-ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N-メチルピロリジン、ピロリジノン、N-メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4-(1-ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3-メチル-2-フェニルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1-メチル-2-ピリジン、4-ピロリジノピリジン、1-メチル-4-フェニルピリジン、2-(1-エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H-インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3-キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10-フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0063】
更に、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3-アミノピラジン-2-カルボン酸、メトキシアラニン等)などが例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として、3-ピリジンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2-ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4-キノリンジオール、3-インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’-イミノジエタノール、2-アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリジノン、3-ピペリジノ-1,2-プロパンジオール、3-ピロリジノ-1,2-プロパンジオール、8-ヒドロキシユロリジン、3-クイヌクリジノール、3-トロパノール、1-メチル-2-ピロリジンエタノール、1-アジリジンエタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0064】
更に下記一般式(B)-1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)_(c)(Y)_(3-c) (B)-1
式中、c=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)-1?(X)-3で表すことができる。側鎖Yは、同一又は異種の、水素原子、又は直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1?20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシ基を含んでもよい。また、X同士が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。
【化11】

【0065】
ここで、R^(300)、R^(302)、R^(305)は炭素数1?4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R^(301)、R^(304)は水素原子、又は炭素数1?20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
R^(303)は単結合、又は炭素数1?4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R^(306)は炭素数1?20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0066】
一般式(B)-1で表される化合物は具体的には下記に例示される。
トリス(2-メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18-テトラオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザビシクロオクタデカン、1-アザ-12-クラウン-4、1-アザ-15-クラウン-5、1-アザ-18-クラウン-6、トリス(2-ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2-アセトキシエチル)アミン、トリス(2-プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2-ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2-イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2-バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2-ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2-メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2-tert-ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2-(2-オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2-(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2-(tert-ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2-(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2-メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2-エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(2-アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(2-オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(2-オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-[(2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-[(2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(4-ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)2-(4-ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)2-(2-ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-メトキシエチル)2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-アセトキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ビス[2-(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-アセトキシエチル)ビス[2-(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(3-ヒドロキシ-1-プロピル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(3-アセトキシ-1-プロピル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-メトキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-ブチルビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-ブチルビス[2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N-メチルビス(2-アセトキシエチル)アミン、N-エチルビス(2-アセトキシエチル)アミン、N-メチルビス(2-ピバロイルオキシエチル)アミン、N-エチルビス[2-(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N-エチルビス[2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N-ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N-ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β-(ジエチルアミノ)-δ-バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0067】
なお、これらの塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0?2質量部、特に0.01?1質量部を混合したものが好適である。配合量が2質量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0068】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171,F172,F173(DIC(株)製)、フロラードFC-4430,FC-430,FC-431(住友スリーエム(株)製)、サーフィノールE1004(日信化学工業(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS-381,S-382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106、KH-10,KH-20,KH-30,KH-40(AGCセイミケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X-70-092,X-70-093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社化学(株)製)が挙げられ、中でもFC-430、サーフロンS-381、サーフィノールE1004,KH-20,KH-30が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせて用いることができる。
【0069】
本発明に係る化学増幅ポジ型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、ベース樹脂100質量部に対して2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
これらの添加剤については、必要に応じて用いることができる。
【0070】
以下、本発明の化学増幅ポジ型レジストドライフィルムの製造方法について述べる。前記の(1)酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる高分子化合物、(2)放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤を前記の有機溶剤に溶解し、必要に応じ、適当に選ばれた添加剤を加え、均一な化学増幅ポジ型レジスト材料溶液とする。次に、必要に応じ、得られた均一な溶液に対し、フィルターを用いて、濾過を行っても構わない。その後、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃、好ましくは15?35℃、かつ湿度5?90%、好ましくは10?70%に管理された領域に設置されたフォワードロールコータ、リバースロールコータ、コンマコータ、ダイコータ、リップコータ、グラビアコータ、ディップコータ、エアナイフコータ、キャピラリーコータ、レイジング&ライジング(R&R)コータ、ブレードコータ、バーコータ、アプリケータ、押し出し成形機等を用いて支持フィルム(離型基材)の上に塗布する。この場合、塗布速度は、0.05?1,000m/min、好ましくは0.1?500m/minで支持フィルム上に塗布することが好ましい。そして、化学増幅ポジ型レジスト材料溶液が塗布された支持フィルム(離型基材)をインラインドライヤ(熱風循環オーブン)に通し、40?130℃、1?40分間、より好ましくは50?120℃、2?30分間で有機溶剤及び揮発分を除去し、乾燥させて化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層を形成する。また、必要に応じて、別の保護フィルム(離型基材)を前記化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層上にロールラミネータを用いて圧着し、積層してもよい。
【0071】
なお、本発明では、支持フィルムにレジスト材料溶液を特定の成形条件及び成形機を用いて製造ラインにすることで、連続的にロールフィルム化され、所望な形状に扱えるロールフィルムを製造することが可能であり、またレジストドライフィルム層上に保護フィルムを形成した場合も同様である。
【0072】
この時、沸点55?250℃の成分を5?40質量%、好ましくは10?35質量%含有することにより、好適に化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層を形成することができる。上記沸点成分が5質量%未満の場合、得られたドライフィルムが固くなり、クラックが発生する場合があるため、好ましくない。上記沸点成分が40質量%を超える含有量の場合、ドライフィルムとならず、支持フィルム上に化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを固定できない場合が発生するため、好ましくない。なお、レジストドライフィルム層の沸点55?250℃の成分以外の残部は、高分子化合物及び光酸発生剤であり、場合によっては、必要に応じて用いられる塩基性化合物等の各種添加剤や、前記沸点成分以外の溶剤を含む。
更には、得られたレジストドライフィルムは、150℃で1時間の熱処理を行った後の揮発分を5?40質量%、好ましくは10?30質量%含む特徴を有する。揮発分が5質量%未満であるとクラックが発生する場合があり、40質量%を超えると固定できない場合が発生するため好ましくない。この場合、揮発分としては、原料溶解時に用いた有機溶剤や不純物である原料由来の低分子成分を挙げることができる。
なお、沸点55?250℃の成分を5?40質量%に維持するための手段は、レジストドライフィルム層を形成する際の乾燥条件を40?130℃×1?40分間にして適切にコントロールすることによって、所望の濃度のドライフィルム層を得ることができる。
【0073】
更に、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層の厚みは5?250μmであることが好ましく、特には10?150μmが好適である。
【0074】
そして、離型基材となる支持フィルム、必要に応じて用いることのできる保護フィルムは、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層の形態を損なうことなく、化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層から剥離できるものであれば特に限定されず、単一でも複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムを用いることができる。ナイロンフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテン(TPX)フィルム、ポリカーボネート、フッ素含有フィルム、特殊ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、離型処理を施したポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0075】
これらの中から、支持フィルムについては、適度の可撓性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらのフィルムについては、コロナ処理や剥離剤が塗布されたような各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えば、セラピールWZ(RX),セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302,E7304(以上、東洋紡績(株)製)、ピューレックスG31,ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1-A3,PET38×1-V8,PET38×1-X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0076】
更に、保護フィルムについては、適度の可撓性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしては上に例示したもの、またポリエチレンとしては、例えば、GF-8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0077】
上記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、製造の安定性及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10?100μm、特に好ましくは25?50μmである。
【0078】
上記工程で製造された化学増幅ポジ型レジストドライフィルムに対する保護フィルムの剥離力は、通常1?500gf/24mmの範囲であり、以下にその測定方法を記述する。試験方法は、JIS Z0237に記されている「はく離ライナーをテープ粘着面に対して引きはがす粘着力試験方法」に準じて行う。試験環境は、標準状態(温度は23±1℃、相対湿度は50±5%)である。試験に用いるフィルム幅は24mmであり、フィルム幅が変動すると、剥離力が変化するために、好ましくない。所定のサイズのフィルムを作製後、試験機を用いて測定する際は、保護フィルムの引きはがし角度は、180°であり、剥離速度は、5.0±0.2mm/secである。なお、測定値としては、最初の25mmの測定値を除外し、次の50mmの平均値を試験値として用いる。このような本発明で得られるドライフィルムは、半導体分野やMEMS分野における貫通電極を形成する用途等で、特に有用に活用することが可能である。
【実施例】
【0079】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。
酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる高分子化合物としては、下記の合成例1?3により得られた高分子化合物を用いた。
【0080】
[合成例1]
2Lのフラスコにp-アセトキシスチレン66.5g、p-アミロキシスチレン33.5g、溶剤としてトルエンを200g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を3.9g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール4.5L、水0.5Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体92gを得た。このポリマーをメタノール0.27L、テトラヒドロフラン0.27Lに再度溶解し、トリエチルアミン77g、水15gを加え、脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体61gを得た。
【0081】
得られた重合体を^(13)C,^(1)H-NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:アミロキシスチレン=72.5:27.5(モル比)
重量平均分子量(Mw)=16,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.73
これを(Poly-1)とする。
【0082】
[合成例2]
2Lのフラスコにp-アセトキシスチレン71.5g、p-アミロキシスチレン22.4g、メタクリル酸1-エチルシクロペンチルエステル8.1g、溶剤としてトルエンを200g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを3.9g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール4.5L、水0.5Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体89gを得た。このポリマーをメタノール0.27L、テトラヒドロフラン0.27Lに再度溶解し、トリエチルアミン77g、水14gを加え、脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体55gを得た。
【0083】
得られた重合体を^(13)C,^(1)H-NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:アミロキシスチレン:メタクリル酸1-エチルシクロペンチルエステル=70.9:21.9:7.2(モル比)
重量平均分子量(Mw)=17,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.70
これを(Poly-2)とする。
【0084】
[合成例3]
m-クレゾール/p-クレゾール=6/4(モル比)の混合フェノール類と、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(モル比)の混合アルデヒド類とを用いて、常法により、Mw=5,500、Mw/Mn=10のノボラック樹脂1を合成した。メチルイソブチルケトン(MIBK)溶剤に濃度30質量%になるようにノボラック樹脂1を撹拌溶解し、内温100?110℃にした後、下記式で表される化合物を、樹脂固形分100質量部に対して8質量部に相当する量だけ滴下した。24時間反応後、15時間室温にて後撹拌を行い、その後、MIBKからプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートへの溶剤置換を行った。その結果、Mw=37,000であり、ノボラック樹脂1の水酸基の7.5モル%が保護された高分子化合物(Poly-3)を得た。
【化12】

【0085】
[実施例及び比較例]
次に、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤については、PAI-101(みどり化学(株)製、PAG-1)、IRGACURE PAG121(BASFジャパン(株)製、PAG-2)、HT-1CS(サンアプロ(株)製、PAG-3)を用いた。これらの原料を均一に混合するために、有機溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、シクロペンタノン、乳酸エチルを用い、表1に示す配合比で組成物1?7を作製した。
【0086】
【表1】

PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PG:プロピレングリコール
CyP:シクロペンタノン
EL:乳酸エチル
なお、使用する有機溶剤の混合比は、質量比とする。
【0087】
次に、得られた均一な化学増幅ポジ型レジスト材料に対し、1.0μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過を行った。
そして、フィルムコーターとしてダイコータ、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)を用いて、塗工速度0.8m/minで化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを作製した(フィルムの膜厚は、表2に示す)。なお、熱風循環オーブンの温度については表2に示す。
その後、作製した化学増幅ポジ型レジストドライフィルムの表面には、保護フィルムとしてポリエチレン(PE)フィルム(厚さ50μm)、及びPETフィルム(厚さ25μm)を圧力1MPaで貼り合わせた。
【0088】
【表2】

【0089】
表2の実施例及び比較例中に含まれる常圧での沸点55?250℃の成分含有量を測定するために、電子天秤(XS204、メトラー・トレド(株)製)を用いて、アルミシャーレ上に、各ドライフィルムサンプルを約1g精秤した。次に、常圧、温度25±5℃、相対湿度50±15%に管理された室内に設置された乾燥機(ST-110、エスペック(株)製)を用いて、150℃、1時間の処理を行い、乾燥機からアルミシャーレを取り出し後、デシケーター中で5分間冷却し、その後、再度電子天秤を用いて重量を測定し、乾燥機への投入前後の重量変動から、揮発分の重量を算出した。
沸点成分量の測定及び沸点成分の分析
熱重量測定により、分析を行った。サンプルパン上に10mgを精秤し、TG8120((株)リガク製)を用い、常圧にて30℃から300℃までを5℃/分の速度で昇温し、30?250℃の範囲の熱重量損失値から、30?55℃の熱重量損失値を減算することによって得た。その結果を表3に示す。
【0090】
次に、保護フィルムに対する剥離力を測定するために、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを、長さ300mm、幅24mに切り出し、オートグラフAGS-X((株)島津製作所製)を用い、保護フィルムと化学増幅ポジ型レジストドライフィルム(レジストフィルム)の間の剥離力測定を行った。更に、可撓性を確認するために、長さ100mm、幅24mmに切り出し、長さ方向が円柱面となるように両端を合わせ、その際にクラックが発生するかどうかを確認した結果を表3に示す。
【0091】
【表3】

【0092】
最後に、実施例1で得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを用い、パターン形成できるかの確認を行った。
まず、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM-300M((株)タカトリ製)を用いて、真空チャンバー内を真空度80Paに設定し、支持フィルム上の化学増幅ポジ型レジストドライフィルム層を300mmのSi基板に密着させた。温度条件は100℃とした。常圧に戻した後、上記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより120℃で5分間ソフトベークを行った。ソフトベーク後のフィルムの厚みを、光干渉式膜厚測定機(M6100、ナノメトリクス社製)により確認したところ、45μmであった。その後、i線ステッパーNSR-2205i11D((株)ニコン製)を用いて露光し、PEBとして、ホットプレートを用いて、110℃/90sec処理後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)=2.38質量%のアルカリ現像液を用いて、200secの現像を行った。
得られた基板に対して、走査型電子顕微鏡S-4700((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、断面形状を観察し、20μmのホールパターンが解像していることを確認した。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に塗工する工程、
ii.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化1】

(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)
【化2】

(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)
【請求項2】
工程iiの後、得られたドライフィルム上に保護フィルムを積層する工程
を含み、保護フィルムのドライフィルムに対する剥離力が1?500gf/24mmであることを特徴とする請求項1記載のドライフィルム積層体の製造方法。
【請求項3】
iii.酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる、フェノール含有樹脂である高分子化合物、放射線又は活性光線の作用により酸を生じる光酸発生剤、及び常圧での沸点が55?250℃の成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料溶液(ただし、下記一般式(A)で表される構造単位を含有する樹脂、及び下記一般式(B)で表されるビニル低級アルキルエーテルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体であるポリ(ビニル低級アルキルエーテル)を含まない。)を、クリーン度1000以下のクリーンルーム中で、温度5?45℃かつ湿度5?90%に管理された領域内で、支持フィルム上に0.05?1,000m/minの速度で塗工する工程、
iv.インラインドライヤで40?130℃、1?40分間加熱することにより、支持フィルム上に塗工したレジスト材料から有機溶剤及び揮発分を除去して化学増幅ポジ型レジストドライフィルムを得る工程、
v.連続的に得られた積層体をロールフィルム化する工程
を含み、得られた化学増幅ポジ型レジストドライフィルム中に、5?40質量%の、常圧での沸点が55?250℃の成分を含有することを特徴とするドライフィルム積層体の製造方法。
【化3】

(式中、R^(101)は水素原子又はメチル基を示し、R^(102)、R^(103)は、相互に独立に、水素原子、炭素数1?6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。尚、R^(102)及びR^(103)が相互に結合して環状構造を形成してもよい。また、kは1?4の整数である。)
【化4】

(式中、R^(201)は、炭素数1?5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)
【請求項4】
工程vの後、得られたドライフィルム上に保護フィルムを積層する工程
を含み、保護フィルムのドライフィルムに対する剥離力が1?500gf/24mmであることを特徴とする請求項3記載のドライフィルム積層体の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-07-13 
出願番号 特願2015-160780(P2015-160780)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (G03F)
P 1 651・ 537- YAA (G03F)
P 1 651・ 121- YAA (G03F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 塚田 剛士  
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 井口 猶二
下村 一石
登録日 2020-01-23 
登録番号 特許第6650696号(P6650696)
権利者 信越化学工業株式会社
発明の名称 ドライフィルム積層体の製造方法  
代理人 特許業務法人英明国際特許事務所  
代理人 特許業務法人英明国際特許事務所  
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