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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61J
管理番号 1377828
異議申立番号 異議2021-700467  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-17 
確定日 2021-09-09 
異議申立件数
事件の表示 特許第6787474号発明「薬品秤量装置、薬品秤量システム、薬品秤量プログラム、記録媒体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6787474号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6787474号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成25年4月15日(優先権主張平成24年4月13日)を国際出願日とする特願2014-510222号の一部を平成29年11月7日に新たな特許出願とした特願2017-214851号の一部を令和1年12月25日に新たな特許出願としたものであって、令和2年11月2日にその特許権の設定登録がされ、令和2年11月18日に特許掲載公報が発行された。その後、令和3年5月17日に特許異議申立人中谷浩美(以下「申立人」という。)から本件特許の請求項1に係る特許について特許異議の申立てがあったものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「薬品を秤量する秤量手段と、
処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る処方箋情報読取手段と、
薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る収容薬品情報読取手段と、
前記収容薬品情報読取手段により読み取られた前記収容薬品識別情報が示す前記収容薬品が前記処方箋情報読取手段により読み取られた前記処方薬品識別情報が示す前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択する制御手段と、
前記処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための入力手段と、
前記入力手段により秤量の完了が入力された前記処方箋情報に含まれている前記処方薬品の中に秤量が完了していない処方薬品が存在する場合にその旨を表示する未完了表示手段と、
を備え、
前記未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しない、
薬品秤量装置。」

第3 特許異議の申立ての理由及び証拠方法
1 特許異議の申立ての理由
申立人がした特許異議の申立ての理由は、概略、次のとおりである。
本件発明は、甲1号証(以下「甲1」という。)に記載された発明及び甲2号証ないし甲10号証(以下、「甲2」ないし「甲10」という。)の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当する。

2 証拠方法
申立人が提出した証拠方法は、以下に示す甲1?10である。
甲1:国際公開第2006/095850号(写し)
甲2:特開2005-334056号公報(写し)
甲3:特開2006-92197号公報(写し)
甲4:特開2010-115518号公報(写し)
甲5:天秤監査システム onedy RCS-620D 取扱説明書(抜粋)(写し)
甲6の1:簡易型散薬監査システム HP-CK650S 取扱説明書(抜粋)(写し)
甲6の2:薬学機器総覧02/03(抜粋)(写し)
甲7の1:調剤監査システム Rak-Che CK-IP3S1 取扱説明書(抜粋)(写し)
甲7の2:調剤監査システム Rak-Che CK-IP3S1 カタログ(写し)
甲8:特開2004-216144号公報(写し)
甲9:登録実用新案第3132263号公報(写し)
甲10:島森美光ほか、「薬局におけるリスクとその防止対策に関するアンケート調査の共分散構造分析による解析」、薬学雑誌、第126巻、第4号、表紙、目次、P.273-282、裏表紙(写し)

第4 甲各号証の記載事項
1 甲1
(1)甲1の記載
本件特許の優先日前である平成18年(2006年)9月14日に国際公開された甲1には、以下の事項が記載されている。

ア 「[0001] 本発明は、病院や調剤薬局等で、散薬や水剤等の薬品を調剤する際、この薬品を秤量して監査を行うための薬品秤量装置に関するものである。」

イ 「[0031]<構成>
図1は、本実施形態に係る薬品秤量装置を示す。この薬品秤量装置は、大略、装置本体1に、秤量部2、表示部3、記憶部4、及び、制御部5を設け、プリンタ6及びバーコードリーダー7を接続した構成である。」

ウ 「[0035] 記憶媒体11には、後述する記憶部4に記憶した情報以外の種々の情報が記憶されている。ここでは、監査機能に関するプログラムや薬品データ等が記憶されている。
[0036] 薬品データとしては、例えば、サーバに格納した薬品マスタ(マザーマスタ)から薬品秤量装置を使用する調剤薬局で取り扱う薬品(採用薬品)に関するデータのみを抽出したものが挙げられる。ここでは、薬品コード、薬品名、JANコード、薬瓶(ロット番号、有効期限、在庫等の管理)、区分(剤形:散薬、水剤、外用薬)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治験薬)、配合変化、賦形薬品、注意事項等の各データが該当する。・・・
[0037] なお、前記記憶媒体11に記憶させる薬品データは、マザーマスタから必要なデータを抽出するほか、予め前記薬品秤量装置で取り扱う薬品について薬品マスタ(サブマスタ)を作成しておくようにしてもよい。そして、マザーマスタあるいはサブマスタへのデータの登録は次のようにして行うことが可能である。
[0038] すなわち、前記表示部3に図17に示す薬品マスタ登録画面を表示させる。・・・
[0040] また、詳細ボタンをクリック操作すれば、図18に示す薬品マスタの詳細登録画面に切り替わる。詳細登録画面では、区分、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品(単位、秤量)を入力可能である。区分欄には剤形(散薬、水剤、外用)を入力する。・・・
[0042] 前記区分データでは、散薬の場合、1回量(例えば、食後等の1回に服用する散薬の重量)でのチェックを行うか否かの設定が可能である。また、散薬のみの調剤、あるいは、水剤及び外用薬のみの調剤を許可する設定や、散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可、あるいは、不許可する設定をすることも可能である。・・・」

エ 「[0045] 秤量部2は、本発明に係る秤量手段を構成するもので、図2に示すように、天秤ユニット13を備える。天秤ユニット13は、・・・、天秤台2aに載置された薬品の重量をデジタル信号に変換し、メイン基板18にシリアル通信で出力する。」

オ 「[0046] 表示部3はタッチパネルで構成され、本発明に係る表示手段と入力手段の両方の機能を兼ね備える。表示部3には、起動後の初期画面として図5に示す調剤者入力画面が表示される。・・・」

カ 「[0049] 前記調剤者入力画面は、少なくとも調剤者が入力され、バーコードリーダー7で薬瓶に貼着したバーコードが読み取られると、図8に示す秤量画面に切り替わるようになっている。・・・」

キ 「[0050] 秤量画面は、上部に、前記各ボタン操作により入力した秤量情報及び監査情報が表示される。・・・さらに、秤量枠の下方には、「風袋」、「拡張」、「中止」(14:図面では丸付き文字)、「決定」(15:図面では丸付き文字)の各ボタンが表示される。」

ク 「[0052] 制御部5は、本発明に係る制御手段を構成するもので、図2に示すように、メイン基板18からなる。メイン基板18には、CPU19、メモリ回路20、通信制御回路21、音声回路22、表示回路23が実装され、前記記憶媒体11が着脱可能となっている。制御部5では、後述するように、記憶部4及び記憶媒体11からプログラムをそれぞれ呼び出して実行するほか、表示部3の表示制御等を行う。」

ケ 「[0054] バーコードリーダー7は、薬瓶に貼着された薬品の種類を示すバーコードを読み取るために使用される。・・・」

コ 「[0055] <動作>
次に、前記構成を備えた薬品秤量装置の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。
・・・
[0060] ・・・「処方箋番号」ボタンをタッチ操作すると、処方箋に対して自動的に振られた番号に基づいて処方データを抽出することができる。・・・」

サ 「[0069] 調剤設定がクリック操作されると、調剤設定画面に切り替わり、種々の設定を行うことができるようになっている。ここでは、設定1?4の4つのボタンを設けることにより、狭い画面で多数の設定が行えるようになっている。例えば、設定1を操作すれば、賦形処理を行うか否か、水剤に対応可能とするか否か等を設定することが可能となっている。・・・」

シ 「[0075] 続いて、薬品一覧表にこれから秤量しようとする薬品名及び用量(目標値)を入力する。・・・但し、前記処方箋番号の入力によりサーバから処方データを読み込み、自動的に薬品一覧表に表示させるようにしてもよい。」

ス 「[0078] 監査業務画面での入力が終了すれば、調剤者によって処方箋の記載内容に基づいて調剤する薬品が収容された薬瓶が選択され、バーコードリーダー7により薬瓶に貼着したバーコードが読み込まれると(ステップS4)、入力された薬品名とバーコードリーダー7によって読み取った薬品名とが合致しているか否かを判断する。合致していなければ、秤量しようとする薬品が誤っているので、図12に示すように、画面に警告メッセージを表示し、調剤者にその旨を報知する。この場合、エラー画面は赤色とすることにより強調表示すれば、調剤者は一目で薬品を取り違えたことを認識することができる。合致していれば、表示部3の表示を監査業務画面から図8に示す秤量画面に切り替える(ステップS5)。」

セ 「[0080] 秤量画面では、項目「薬品名(1:図面では丸付き文字)」に、読み込んだバーコードに基づいて、データベースを検索し、該当する薬品名を抽出して表示する。・・・
[0095] ・・・「決定」ボタンがタッチ操作されると、秤量を終了し、秤量値を最終安定値として取得する。」

ソ 「[0097] 秤量画面が表示された状態で、処方箋に記載された処方量に従って、天秤台2aに(トレイに収容した)薬品を載置し、秤量を開始する。・・・
[0099] その後、決定ボタンが操作されるか、あるいは、天秤台2aから薬品を収容したトレイが取り除かれて所定時間が経過すれば(ステップS8)、秤量枠に表示した値を最終安定値すなわち秤量値として取り込み(ステップS9)、次に説明する常用量チェック処理を実行する(ステップS10)。
・・・
[0106] このようにして、入力された秤量条件に従って常用量チェックを行った結果、秤量値が常用量の範囲内にある場合、「決定」ボタン(15:図面では丸付き文字)がタッチ操作されることにより(ステップS32)、秤量を中止し、最終安定値を取得する(ステップS33)。・・・
[0108] 以上のようにして一連の秤量が終了すれば、同じ患者について次に秤量する薬品がある場合、前記調剤設定画面で、属性クリアが「なし」に設定されていれば、秤量値が確定されると秤量値等はクリアされるが、秤量画面に患者データが表示されたままとなる。」

(2)甲1発明
ア 薬品秤量装置
上記記載事項(1)アの「本発明は、病院や調剤薬局等で、散薬や水剤等の薬品を調剤する際、この薬品を秤量して監査を行うための薬品秤量装置に関するものである」から、甲1には、薬品を調剤する際、この薬品を秤量して監査を行うための薬品秤量装置が記載されているといえる。

イ 秤量部
上記記載事項(1)イの「この薬品秤量装置は、大略、装置本体1に、秤量部2・・・を設け、・・・」から、薬品秤量装置は秤量部2を備えるといえる。
上記記載事項(1)エの「秤量部2は、・・・天秤ユニット13を備える。天秤ユニット13は、・・・、天秤台2aに載置された薬品の重量をデジタル信号に変換し、メイン基板18にシリアル通信で出力する。」から、秤量部2が天秤ユニット13を備え、当該天秤ユニット13が天秤台2aに載置された薬品の重量をデジタル信号に変換し、出力するといえる。
以上から、薬品秤量装置は、天秤台2aに載置された薬品の重量を出力する秤量部2を備えるといえる。

ウ 処方データを読み込む手段
上記記載事項(1)コの「次に、前記構成を備えた薬品秤量装置の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。・・・「処方箋番号」ボタンをタッチ操作すると、処方箋に対して自動的に振られた番号に基づいて処方データを抽出することができる。」から、薬品秤量装置は、処方箋に対して自動的に振られた番号に基づいて処方データを抽出する手段を備えるといえる。
上記記載事項(1)シの「薬品一覧表にこれから秤量しようとする薬品名及び用量(目標値)を入力する。・・・但し、前記処方箋番号の入力によりサーバから処方データを読み込み、自動的に薬品一覧表に表示させるようにしてもよい。」から、処方データは、秤量しようとする薬品名を含むといえる。
処方データが含む、秤量しようとする薬品名は、処方された薬品名といえる。
そして、「処方箋」とは、「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」をいうのであるから(「広辞苑」第6版参照。)、処方箋に対して自動的に振られた番号に基づいて抽出される処方データが含む、処方された薬品名は、処方箋に記された、処方された薬品名であるといえる。
上記記載事項(1)シの「前記処方箋番号の入力によりサーバから処方データを読み込み、・・・」から、処方箋に対して自動的に振られた番号に基づいて処方データを抽出することは、処方箋番号に基づいてサーバから処方データを読み込むことであるといえる。
以上から、薬品秤量装置は、処方箋に記された、処方された薬品名を含む処方データをサーバから読み込む手段を備えるといえる。

エ バーコードリーダー
上記記載事項(1)イの「この薬品秤量装置は、大略、装置本体1に、・・・バーコードリーダー7を接続した構成である。」から、薬品秤量装置は、バーコードリーダー7を備えるといえる。
上記記載事項(1)ケの「バーコードリーダー7は、薬瓶に貼着された薬品の種類を示すバーコードを読み取るために使用される。」から、バーコードリーダー7は、薬瓶に貼着されたバーコードを読み取るといえる。
上記記載事項(1)スの「調剤者によって処方箋の記載内容に基づいて調剤する薬品が収容された薬瓶が選択され、バーコードリーダー7により薬瓶に貼着したバーコードが読み込まれると(ステップS4)、入力された薬品名とバーコードリーダー7によって読み取った薬品名とが合致しているか否かを判断する」から、薬瓶に貼着されたバーコードは、その収容する薬品の薬品名を含むといえる。
以上から、薬品秤量装置は、薬瓶に貼着された、その収容する薬品の薬品名を含むバーコードを読み取るバーコードリーダー7を備えるといえる。

オ 決定ボタン
上記記載事項(1)イの「この薬品秤量装置は、大略、装置本体1に、・・・表示部3・・・を設け、・・・」及び上記記載事項(1)オの「表示部3はタッチパネルで構成され、本発明に係る表示手段と入力手段の両方の機能を兼ね備える。」から、薬品秤量装置は、タッチパネルで構成され、表示手段と入力手段の機能を兼ね備える表示部3を備えるといえる。
上記記載事項(1)オの「表示部3には、起動後の初期画面として図5に示す調剤者入力画面が表示される。」及び上記記載事項(1)カの「前記調剤者入力画面は、少なくとも調剤者が入力され、バーコードリーダー7で薬瓶に貼着したバーコードが読み取られると、図8に示す秤量画面に切り替わるようになっている。」から、表示部3には秤量画面が表示されるといえる。
上記記載事項(1)キの「秤量画面は、上部に、・・・秤量情報及び監査情報が表示される。・・・さらに、秤量枠の下方には、・・・「決定」(15:図面では丸付き文字)の各ボタンが表示される。」から、秤量画面には、決定ボタンが表示されるといえる。
上記記載事項(1)ソの「秤量画面が表示された状態で、処方箋に記載された処方量に従って、天秤台2aに(トレイに収容した)薬品を載置し、秤量を開始する。・・・「決定」ボタン(15:図面では丸付き文字)がタッチ操作されることにより(ステップS32)、秤量を中止し、最終安定値を取得する(ステップS33)。・・・以上のようにして一連の秤量が終了すれば、同じ患者について次に秤量する薬品がある場合、・・・」から、決定ボタンは、薬品ごとの秤量の終了のときにタッチ操作されるものといえる。
以上から、薬品秤量装置は、薬品ごとの秤量の終了のときにタッチ操作される決定ボタンを備えるといえる。

カ 制御部
上記記載事項(1)イの「この薬品秤量装置は、大略、装置本体1に、・・・制御部5を設け、・・・」から、薬品秤量装置は、制御部5を備えるといえる。
上記記載事項(1)クの「制御部5は、本発明に係る制御手段を構成するもので、図2に示すように、メイン基板18からなる。・・・制御部5では、後述するように、記憶部4及び記憶媒体11からプログラムをそれぞれ呼び出して実行するほか、表示部3の表示制御等を行う。」から、上記記載事項(1)スの「入力された薬品名とバーコードリーダー7によって読み取った薬品名とが合致しているか否かを判断」し、「合致していれば、表示部3の表示を監査業務画面から図8に示す秤量画面に切り替える」主体は、制御部5であるといえる。
上記記載事項(1)シの「薬品一覧表にこれから秤量しようとする薬品名及び用量(目標値)を入力する。・・・但し、前記処方箋番号の入力によりサーバから処方データを読み込み、自動的に薬品一覧表に表示させるようにしてもよい。」に照らすと、上記記載事項(1)スの「入力された薬品名」は、サーバから読み込まれた、処方された薬品名も含む記載といえる。
そして、上記認定事項ウ及びエも考慮して整理すると、薬品秤量装置は、バーコードリーダー7により読み取られた薬品名が示す、薬瓶に収容された薬品が、前記処方データをサーバから読み込む手段により読み込まれた処方された薬品名が示す、処方された薬品に合致する場合に、当該処方された薬品が秤量しようとする薬品であるとする制御部5を備えるといえる。

キ 設定
上記記載事項(1)ウの「散薬のみの調剤、あるいは、水剤及び外用薬のみの調剤を許可する設定や、散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可、あるいは、不許可する設定をすることも可能である。許可しない条件で調剤された場合、警告するように設定することも可能である。」及び上記記載事項(1)サの「水剤に対応可能とするか否か等を設定することが可能となっている」から、薬品秤量装置は、散薬のみの調剤を許可する設定、水剤及び外用薬のみの調剤を許可する設定、散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可する設定、又は散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可しない設定をすることが可能であるといえる。

ク 小括
上記認定事項ア?キから、甲1には、次に示す甲1発明が記載されているといえる。

「天秤台2aに載置された薬品の重量を出力する秤量部2と、
処方箋に記された、処方された薬品の薬品名を含む処方データをサーバから読み込む手段と、
薬瓶に貼着された、収容された薬品の薬品名を含むバーコードを前記薬瓶から読み取るバーコードリーダー7と、
前記バーコードリーダー7により読み取られた前記薬瓶に収容された薬品名が示す、前記薬瓶に収容された薬品が、前記処方データをサーバから読み込む手段により読み込まれた処方された薬品の薬品名が示す、処方された薬品に合致する場合に、当該処方された薬品が秤量しようとする薬品であるとする制御部5と、
薬品ごとの秤量の終了のときにタッチ操作される決定ボタンと、
を備え、
散薬のみの調剤を許可する設定、水剤及び外用薬のみの調剤を許可する設定、散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可する設定、又は散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可しない設定をすることが可能である、
薬品を調剤する際、この薬品を秤量して監査を行うための薬品秤量装置。」

2 甲2
(1)甲2の記載
本件特許の優先日前である平成17年12月8日に出願公開された甲2には、以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、複数の患者に処方された処方薬を調剤するのを支援する調剤支援システムに関するものである。」

イ 「【0039】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、調剤支援システム1は、コンピュータ2(例えば、パーソナルコンピュータであり、以下、PC2という)、携帯端末機3、処方箋作成装置4、ラベル作成装置5を備えている。この調剤支援システム1には、図1には示していないが、複数の携帯端末機3を設けることができる。携帯端末機3は、通常はPC2と分離されているが、PC2との間でデータを送受信する場合にケーブルを介してPC2に接続可能である。処方箋作成装置4は2次元バーコード付き注射処方箋30(図9参照)を作成する為の装置であり、ラベル作成装置5は2次元バーコード付き輸液ラベル35(図10参照)を作成する為の装置であり、これら処方箋作成装置4とラベル作成装置5はケーブルを介してPC2に接続されている。」

ウ 「【0046】
次に、PC2では、処方関連情報、即ち、各患者用の複数の処方薬の情報、患者基本情報、その付随情報をバーコード印字可能な印字情報が作成される。PC2には、処方箋作成装置4、ラベル作成装置5の駆動ソフトが格納されており、PC2の操作部を用いて所定操作を行うことにより、PC2により作成された処方関連情報の印字情報が処方箋作成装置4、ラベル作成装置5に供給され、処方箋作成装置4により、図9に示す2次元バーコード付き注射処方箋30が作成され、ラベル作成装置5より、図10に示す2次元バーコード付き輸液ラベル35が作成される。」

エ 「【0049】
次に、携帯端末機3について説明する。
図11、図12に示すように、携帯端末機3は、2次元バーコードリーダ10(バーコード読取手段)、スピーカ11、データ処理部12、データ記憶部13、ディスプレイからなる表示部14、入力操作部15を備え、これらはバス等で接続されている。データ処理部12とデータ記憶部13の構成については、図13に示すように、データ処理部12に、薬品調製順表示手段20、薬品チェック手段21、溶解液指示手段22、端数指示手段23、画像監査手段24、単独混合指示手段25が設けられ、データ記憶部13に、薬品マスターファイル6A、画像データファイル7Aが設けられている。
【0050】
次に、データ処理部12及びデータ処理部12に設けられた各手段20?25の機能について説明し、その後、各手段20?25が実行する一連の処理についてフローチャートに基づいて説明する。
データ処理部12は、2次元バーコードリーダ10により2次元バーコード付き帳票30又は35から読取った2次元バーコード31又は36が示す複数の処方薬とその数量と患者基本情報を含む処方関連情報をデータ記憶部13に記憶し且つ表示部14に表示させる。」

(2)甲2技術
以上から、甲2には、次に示す「甲2技術」が記載されているといえる。

「複数の処方薬を含む処方関連情報を2次元バーコード付き注射処方箋30から読み取る2次元バーコードリーダ10。」

3 甲3
(1)甲3の記載
本件特許の優先日前である平成18年4月6日に出願公開された甲3には、以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
この発明は、例えば、病院における薬の処方および患者への薬袋の患者への受け渡し、さらに患者への用法の報知を行う技術に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で投薬ミスを大幅に削減することのできる薬管理システムを提供することを目的とする。」

ウ 「【0016】
以下、本発明における実施形態について図面を参照して説明する。
<実施形態>
本発明の実施形態に係る薬管理システムについて、図1を参照しつつ説明する。このシステムは、非接触ICタグを用いて病院内での薬の調合、患者への薬袋の受け渡し、患者への用法の報知等を行うものである。」

エ 「【0025】
C.タグリーダ(読取装置)
次に、本実施形態に用いられるタグリーダについて説明する。図3は、タグリーダ20の機能を示すブロック図である。
受信部21は、受信アンテナ22を介してICタグとの間で、マイクロ波、誘導電磁界等を用いて非接触状態でデータの通信を行わせ、ICタグに書き込まれたデータを読み取る。
【0026】
表示部23は、処理結果や処理の指示を促す画面を表示するもので、液晶パネルからなる。・・・
【0027】
制御部27はマイクロコンピュータからなり、CPU28、ROM29、RAM30によって構成されている。ここで、ROM29には、タグリーダ20の各種制御を行うためのプログラムが格納されている。CPU28は、このプログラムをROM29から読み出して実行することにより各動作を制御する。・・・
【0028】
各動作とは、ICタグに書き込まれたデータを読み取る読取動作、読み取った2つのデータを比較する判定動作、予めROM29に記憶されたテーブルに基づいて対象を検索する検索動作等である。」

オ 「【0031】
一方、医師は、患者を診察する際、カルテを記載し、薬の処方箋も同時に作成する。この処方箋の情報は、端末1に入力され、予め記憶された個人情報に対応付けて記憶エリアに記憶される。薬の調合に用いる処方箋をプリンタ10により印刷する。処方箋の表面には、患者氏名、識別IDおよび処方内容が印刷され、同時に貼着されたICタグには、処方情報(識別ID、病名、投与薬名、用法、用量等)に応じたデータが書き込まれる。」

カ 「【0035】
薬剤士は、薬品棚50の収容庫51から薬品を選ぶ作業を行う。
始めに、タグリーダ20で処方箋のICタグから処方情報を読み取る(図5)。読み取った処方情報の薬品名からこの薬品が収容される薬品棚50の収容庫51を検索する。例えば、読み取った処方情報の薬品が左上段の収容庫51に収容されている場合には、図6に示すように、表示部23に薬品棚50の配置が表示され、該当位置が点灯する。これにより、薬剤士は、指定の薬品が収容されている収容庫51の位置を容易に把握できる。次に、薬剤士は、検索された収容庫51のラベルに貼着されたICタグからタグリーダ20を用いて薬品情報を読み取る(図5)。タグリーダ20は、先に読み取った処方情報の薬品名と、今読み取った薬品情報の薬品名とを照合する。両者の一致、不一致を示す表示を表示部23に表示する。この処理により、薬品の選択間違いを無くし、薬剤士の人為ミスを低減する。
さらに、収容庫51の検索処理を行うことにより、薬剤士が収容庫51を捜す手間が省け、作業効率の向上を図ることができる(図6)。」

(2)甲3技術
以上から、甲3には、次に示す「甲3技術」が記載されているといえる。

「薬品名を含む処方情報を処方箋に貼着されたICタグから読み取るとともに、薬品名を含む薬品情報を、薬品を収容する収容庫51のラベルに貼着されたICタグから読み取る受信部21と、
前記受信部21により読み取られた薬品名が示す、収容庫51に収容されている薬品が、前記受信部21により読み取られた薬品名が示す処方された薬品に一致する場合に、両者の一致を示す表示を表示部23に表示する制御部27と
を備える、
薬管理システムのタグリーダ20。」

4 甲4
(1)甲4の記載
本件特許の優先日前である平成22年5月27日に出願公開された甲4には、以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、調剤過誤防止システムに係り、調剤における薬品の取り違い、二重の調剤、調剤漏れを防止できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局において、処方箋に基づいて調剤する場合に、処方された薬品を正確に取りだし、調剤しなければならない。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、調剤過誤防止システムにより、調剤における薬品の取り違い、二重の調剤、調剤漏れを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る調剤過誤防止システムは、
以下の要素を有することを特徴とする
(1)薬品を識別する薬品識別情報を含む処方箋情報を入力する処方箋情報入力部
(2)調剤する薬品に関連付けられているバーコードを読み取るバーコード入力部
(3)読み取ったバーコードにより特定される調剤薬品が、入力した処方箋情報に含まれる薬品識別情報により特定される処方薬品のうちのいずれかと一致するか否かを判定し、一致しない場合に警告の出力を指示する調剤薬品確認部
(4)調剤薬品確認部より指示された警告を出力する出力部。
・・・
【0008】
前記調剤過誤防止システムは、更に、
前記処方薬品のうち、前記調剤薬品のいずれにも該当しない未調剤薬品が存在する場合に、警告の出力を指示する調剤漏れ検出部を有することを特徴とする。」

イ 「【0028】
実施の形態1.
以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は、調剤過誤防止システムの構成を示す図である。
【0029】
1は、処方箋情報入力部、2は、処方箋情報記憶部、3は、バーコード入力部、4は、調剤薬品確認部、5は、表示部、6は、音源部、7は、終了入力部、8は、調剤漏れ検出部、9は、調剤結果出力部である。この調剤過誤防止システムは、例えば、バーコードリーダを備えるハンドヘルドコンピュータのような単体装置でもよいし、バーコードリーダと処理装置とを接続するシステムであってもよい。情報の入出力手段としては、有線、無線や赤外線等の通信手段を用いてもよいし、フレキシブルディスクやCD等の記録媒体を用いてもよい。また、表示部5と音源部6については、通信手段を介して接続する形態であっても構わない。
【0030】
続いて処理について説明する。図2は、全体処理フローを示す図である。
【0031】
処方箋情報入力部1は、処方箋情報入力処理(S201)を行う。この処理により、患者名とともに、処方箋情報を入力する。処方箋情報は、少なくとも薬品を特定する情報(例えば、薬品コードあるいは薬品名)を含んでいる。入力した情報は、処方箋情報記憶部2に記憶される。
【0032】
図3は、処方箋情報記憶部の構成例を示す図である。患者名305に対応付けて、テーブルが設けられている。薬品コード301に対応付けて、薬品名302、棚番号303、処理フラグ304の各項目を有し、処方薬品毎にレコード351、352が設けられている。・・・」

ウ 「【0033】
その後、図2に示すように、調剤過誤防止システムは入力待ち(S202)となる。この状態で、調剤者は、調剤をしようとする薬品の容器に付されたバーコードを読み取る。そのため、バーコード入力部3によりバーコード入力されると(S203)、調剤薬品確認部4は、調剤薬品確認処理(S204)を行う。
【0034】
調剤薬品確認処理(S204)の詳細について説明する。図4は、調剤薬品確認処理フローを示す図である。
【0035】
まず、バーコードを取得する(S401)。この例では、バーコードとして薬品コードを用いているが、バーコードから薬品コードを特定するようにしてもよい。次に、薬品コードをキーとして処方箋情報記憶部内を検索する(S402)。適合するレコードが存在しなかった場合には、処方外警告処理(S403)を行う。適合するレコードが存在する場合には、当該レコードの処理フラグを取得し、判定する(S404)。「処理済」の場合には、二重調剤警告処理(S405)を行う。「未処理」の場合には、適合処理(S406)を行う。」

エ 「【0042】
前述の適合処理(S406)の詳細について説明する。図9は、適合処理フローを示す図である。
【0043】
調剤薬品確認部4は、当該処理フラグを「処理済」に更新し(S901)、表示部5へ適合通知の表示指示を出力する(S902)。これにより、表示部5は、適合通知を表示する。・・・」

オ 「【0045】
調剤者は、調剤を終える場合に、調剤過誤防止システムへ「終了」の入力を行う。このため、図2の入力待ち(S202)の状態で、終了が入力されると(S205)、調剤漏れ検出処理(S206)に移行し、この処理後、調剤結果出力処理(S207)に移行する。
【0046】
前述の調剤漏れ検出処理(S206)の詳細について説明する。図11は、調剤漏れ検出処理フローを示す図である。
【0047】
調剤漏れ検出部8は、処方箋情報記憶部2の各レコード毎(各処方薬品毎)に、以下の処理を繰り返す(S1101)。レコードに含まれる処理フラグを判定する(S1102)。「未処理」の場合には、調剤漏れ警告処理(S1103)を行う。
【0048】
図12は、調剤漏れ警告処理フローを示す図である。
【0049】
薬品コードと薬品名の取得を取得し(S1201)、薬品コードと薬品名とを含む調剤漏れ警告の表示指示を、表示部5へ出力する(S1202)。更に、棚番号(未調剤薬品の格納位置の例)を取得し(S1203)、棚番号の表示指示を表示部5へ出力する(S1204)。これにより、表示部5は、調剤漏れ警告と棚番号を表示する。図13は、調剤漏れ警告と棚番号の表示例を示す図である。
【0050】
この例によらず、薬品コードと薬品名のいずれか一方のみを含む表示であっても構わない。また、棚番号の表示を省く形態であっても構わない。
【0051】
音源部6へ警告音を鳴らす指示を出力する(S1205)。これにより、音源部6は、警告音を出力する。
【0052】
その後、「確認」の入力待ちとなり(S1206)、「確認」が入力されると終了する。」

(2)甲4技術
ア 処方箋情報入力部
上記記載事項(1)イの「図1は、調剤過誤防止システムの構成を示す図である。・・・1は、処方箋情報入力部・・・である。」から、調剤過誤防止システムは、処方箋情報入力部1を備えるといえる。
上記記載事項(1)イの「処方箋情報入力部1は、処方箋情報入力処理(S201)を行う。この処理により、患者名とともに、処方箋情報を入力する。処方箋情報は、少なくとも薬品を特定する情報(例えば、薬品コードあるいは薬品名)を含んでいる。入力した情報は、処方箋情報記憶部2に記憶される。・・・図3は、処方箋情報記憶部の構成例を示す図である。・・・薬品コード301に対応付けて、薬品名302、棚番号303、処理フラグ304の各項目を有し、処方薬品毎にレコード351、352が設けられている。」から、処方箋情報入力部1は、処方薬品を特定する薬品コードを含む処方箋情報を入力するものといえる。
そして、「処方箋」とは、「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」をいうのであるから(「広辞苑」第6版参照。)、処方箋情報が含む薬品コードによって特定される処方薬品は、処方箋に記された処方薬品といえる。
以上から、調剤過誤防止システムは、処方箋に記された処方薬品を特定する薬品コードを含む処方箋情報を入力する処方箋情報入力部1を備えるといえる。

イ バーコード入力部
上記記載事項(1)イの「図1は、調剤過誤防止システムの構成を示す図である。・・・3は、バーコード入力部・・・である。」から、調剤過誤防止システムは、バーコード入力部3を備えるといえる。
上記記載事項(1)ウの「その後、図2に示すように、調剤過誤防止システムは入力待ち(S202)となる。この状態で、調剤者は、調剤をしようとする薬品の容器に付されたバーコードを読み取る。そのため、バーコード入力部3によりバーコード入力されると(S203)、調剤薬品確認部4は、調剤薬品確認処理(S204)を行う。・・・この例では、バーコードとして薬品コードを用いているが、・・・」から、バーコード入力部3は、薬品の容器に付された、薬品を特定する薬品コードを含むバーコードを読み取るといえる。
そして、薬品の容器に付されたバーコードが含む薬品コードが特定する薬品は、当該薬品の容器に収容された薬品であることが明らかである。
以上から、調剤過誤防止システムは、薬品の容器に付された、当該薬品の容器に収容された薬品を特定する薬品コードを含むバーコードを前記薬品の容器から読み取るバーコード入力部3を備えるといえる。

ウ 調剤薬品確認部
上記記載事項(1)イの「図1は、調剤過誤防止システムの構成を示す図である。・・・4は、調剤薬品確認部・・・である。」から、調剤過誤防止システムは、調剤薬品確認部4を備えるといえる。
上記記載事項(1)ウの「この状態で、調剤者は、調剤をしようとする薬品の容器に付されたバーコードを読み取る。そのため、バーコード入力部3によりバーコード入力されると(S203)、調剤薬品確認部4は、調剤薬品確認処理(S204)を行う。・・・まず、バーコードを取得する(S401)。この例では、バーコードとして薬品コードを用いているが、・・・。次に、薬品コードをキーとして処方箋情報記憶部内を検索する(S402)。・・・適合するレコードが存在する場合には、当該レコードの処理フラグを取得し、判定する(S404)。「処理済」の場合には、二重調剤警告処理(S405)を行う。「未処理」の場合には、適合処理(S406)を行う。」から、調剤過誤防止システムは、バーコード入力部3により読み取られた、薬品の容器に収容された薬品を特定する薬品コードが特定する薬品が処方箋情報入力部1により入力された、処方された薬品を特定する薬品コードが特定する薬品のいずれかに適合する場合であって、処理フラグが未処理のときに適合処理を行うといえる。
上記記載事項(1)エの「前述の適合処理(S406)の詳細について説明する。・・・調剤薬品確認部4は、当該処理フラグを「処理済」に更新し(S901)、表示部5へ適合通知の表示指示を出力する(S902)。これにより、表示部5は、適合通知を表示する。」から、適合処理は、表示部5に適合通知を表示することを含むといえる。
以上から、調剤過誤防止システムは、バーコード入力部3により読み取られた、薬品の容器に収容された薬品を特定する薬品コードが特定する薬品が処方箋情報入力部1により入力された処方薬品を特定する薬品コードが特定する処方薬品のいずれかに適合する場合であって、処理フラグが未処理のときに、当該処方薬品についての適合通知を表示部5に表示する調剤薬品確認部4を備えるといえる。

エ 終了入力部
上記記載事項(1)イの「図1は、調剤過誤防止システムの構成を示す図である。・・・7は、終了入力部・・・である。」から、調剤過誤防止システムは、終了入力部7を備えるといえる。
上記記載事項(1)オの「調剤者は、調剤を終える場合に、調剤過誤防止システムへ「終了」の入力を行う。」から見て、調剤者は、調剤を終える場合に、終了入力部7により終了の入力を行うといえる。
上記記載事項(1)アの「調剤薬局において、処方箋に基づいて調剤する」から見て、調剤者が調剤を終える場合は、処方箋ごとの調剤を終える場合といえる。
処方箋ごとの調剤を終える場合は、処方箋情報ごとの調剤を終了する場合と言い換えることができる。
以上から、調剤過誤防止システムは、処方箋情報ごとの調剤の終了を入力するための終了入力部7を備えるといえる。

オ 表示部
上記記載事項(1)イの「図1は、調剤過誤防止システムの構成を示す図である。・・・5は、表示部・・・である。」から、調剤過誤防止システムは、表示部5を備えるといえる。
上記記載事項(1)オの「表示部5は、調剤漏れ警告と棚番号を表示する」から、表示部5は、調剤漏れ警告を表示するといえる。
上記記載事項(1)オから、表示部5に調剤漏れ警告が表示されるのは、終了入力部7により調剤の終了が入力された場合であって、処方箋情報に含まれている処方薬品の中に未調剤薬品が存在する場合であるといえる。
以上から、調剤過誤防止システムは、終了入力部7により調剤の終了が入力された場合であって、処方箋情報に含まれている処方薬品の中に未調剤薬品が存在する場合に調剤漏れ警告を表示する表示部5を備えるといえる。

カ 小括
上記認定事項ア?オから、甲4には、次に示す「甲4技術」が記載されているといえる。

「処方箋に記された処方薬品を特定する薬品コードを含む処方箋情報を入力する処方箋情報入力部1と、
薬品の容器に付された、当該薬品の容器に収容された薬品を特定する薬品コードを含むバーコードを前記薬品の容器から読み取るバーコード入力部3と、
前記バーコード入力部3により読み取られた、前記薬品の容器に収容された薬品を特定する薬品コードが特定する薬品が前記処方箋情報入力部1により入力された処方薬品を特定する薬品コードが特定する処方薬品のいずれかに適合する場合であって、処理フラグが未処理のときに、当該処方薬品についての適合通知を表示部5に表示する調剤薬品確認部4と、
前記処方箋情報ごとの調剤の終了を入力するための終了入力部7と、
前記終了入力部7により調剤の終了が入力された場合であって、前記処方箋情報に含まれている前記処方薬品の中に未調剤薬品が存在する場合に調剤漏れ警告を表示する表示部5と、
を備える、
調剤過誤防止システム。」

5 甲5
(1)甲5の記載
甲5には、以下の事項が記載されている。

ア 最初のページには、
「取扱説明書
天秤監査システム
onedy
RCS-620D
yuyama」
という記載がある。

イ 5ページには、「2.各部の名称と機能」という見出しがあり、当該見出しの下には、「2-1 本体まわりの構成」という小見出しがあり、当該小見出しの下には、次のとおりの記載がある。
「操作表示パネル
測定結果、機能設定のための情報、稼働中の機能、エラー等の表示と、画面タッチで風袋引きや機能設定、感度設定の実行を指示します。」

ウ 6ページには、「3.仕様」という見出しがあり、当該見出しの下には、「仕様一覧」と題された表があり、当該表からは、「品名」が「天秤監査システム」であることが読み取れる。

エ 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出し及び「7-1 システム連動の形態」という小見出しがあり、当該小見出しの下に「上位システムと連動仕様」という記載があり、90ページには、「(4)秤量機能」という小見出しがあり、当該小見出しの下には、次のとおりの記載がある。
「(c)秤量完了チェック
未秤量薬品があるかチェックを行い、未秤量薬品があれば、エラー画面を表示します。」

オ 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出しがあり、95ページには、「7-4 各システム連動モードの操作」という小見出しがあり、当該小見出しの下の小見出しとして、同ページに、「7-4-1 順次検索モード」という小見出しがあり、当該小見出しの下には、次のとおりの記載がある。
「処方データ表示
上位システムから取得した処方データが、画面に表示されます。
上位システムの薬品コードとOnedy本体の薬品コードを比較し、データを表示します。
Onedyの薬品マスタに薬品コードが無い場合は、エラー画面を表示し、薬品コードと薬品名が表示されます。
薬品マスタに登録を行って、再度連動を行って下さい。
※薬品名に「(未)」と表示された薬品は調剤できません。」

カ 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出しがあり、95ページには、「7-4 各システム連動モードの操作」という小見出しがあり、当該小見出しの下の小見出しとして、96ページに、「7-4-2 患者ID検索モード」という小見出しがあり、当該小見出しの下の記載として、97ページには、次のとおりの記載がある。
「処方データ表示
上位システムから取得した処方データが、画面に表示されます。
上位システムの薬品コードとOnedy本体の薬品コードを比較し、データを表示します。
Onedyの薬品マスタに薬品コードが無い場合は、エラー画面を表示し、薬品コードと薬品名が表示されます。
薬品マスタに登録を行って、再度連動を行って下さい。
※薬品名に「(未)」と表示された薬品は、未登録ダミー番号にて調剤可能です。」

キ 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出しがあり、95ページには、「7-4 各システム連動モードの操作」という小見出しがあり、当該小見出しの下の小見出しとして、98ページに、「7-4-3 引換券番号検索モード」という小見出しがあり、当該小見出しの下の記載として、99ページには、次のとおりの記載がある。
「処方データ表示
上位システムから取得した処方データが、画面に表示されます。
上位システムの薬品コードとOnedy本体の薬品コードを比較し、データを表示します。
Onedyの薬品マスタに薬品コードが無い場合は、エラー画面を表示し、薬品コードと薬品名が表示されます。
薬品マスタに登録を行って、再度連動を行って下さい。
※薬品名に「(未)」と表示された薬品は、未登録ダミー番号にて調剤可能です。」

ク 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出しがあり、95ページには、「7-4 各システム連動モードの操作」という小見出しがあり、当該小見出しの下の小見出しとして、100ページに、「7-4-4 未処理処方検索モード」という小見出しがあり、当該小見出しの下の記載として、101ページには、次のとおりの記載がある。
「処方データ表示
上位システムから取得した処方データが、画面に表示されます。
上位システムの薬品コードとOnedy本体の薬品コードを比較し、データを表示します。
Onedyの薬品マスタに薬品コードが無い場合は、エラー画面を表示し、薬品コードと薬品名が表示されます。
薬品マスタに登録を行って、再度連動を行って下さい。
※薬品名に「(未)」と表示された薬品は、未登録ダミー番号にて調剤可能です。」

ケ 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出しがあり、95ページには、「7-4 各システム連動モードの操作」という小見出しがあり、当該小見出しの下の小見出しとして、102ページに、「7-4-5 処理済処方検索モード」という小見出しがあり、当該小見出しの下の記載として、103ページには、次のとおりの記載がある。
「処方データ表示
上位システムから取得した処方データが、画面に表示されます。
上位システムの薬品コードとOnedy本体の薬品コードを比較し、データを表示します。
Onedyの薬品マスタに薬品コードが無い場合は、エラー画面を表示し、薬品コードと薬品名が表示されます。
薬品マスタに登録を行って、再度連動を行って下さい。
※薬品名に「(未)」と表示された薬品は、未登録ダミー番号にて調剤可能です。」

コ 88ページには、「7.製品の使い方(システム連動)」という見出しがあり、104ページには、「7-5 各システム連動モードの共通操作」という小見出しがあり、当該小見出しの下の小見出しとして、115ページに、「7-5-8 登録について」という小見出しがあり、当該小見出しの下には、次のとおりの記載がある。
「処方データ表示
上位システムから取得した処方データが、画面に表示されます。
上位システムの薬品コードとOnedy本体の薬品コードを比較し、データを表示します。
Onedyの薬品マスタに薬品コードが無い場合は、エラー画面を表示し、薬品コードと薬品名が表示されます。
薬品マスタに登録を行って、再度連動を行って下さい。
※薬品名に「(未)」と表示された薬品は、未登録ダミー番号にて調剤可能です。

登録確認
「登録ボタン」を押すと登録確認が表示されます。
【はい】ボタン 調剤記録印字画面へ。(次ページ)
【いいえ】ボタン 処方データ表示画面へ戻ります。

未秤量薬品
未秤量薬品が1つでもある場合はエラーが表示されます。
・・・

トレイの重複
トレイが重複していた場合はエラーが表示されます。
・・・」

サ 89ページには、「7-5-8 登録について つづき」という小見出しがあり、当該小見出しの下には、次のとおりの記載がある。
「調剤記録 印字中
接続されているプリンタより処方データが印字されます。
印字が終了しますと、各システム連動モードへ移行します。」

シ 最後のページには、次のとおりの記載がある。
「発売元
株式会社ユヤマ
製造元
株式会社ユヤマ製作所」
「2009年10月30日現在
09JRCS620A」

(2)甲5技術
ア 天秤監査システム及び操作表示パネル
上記記載事項(1)ア及びウから、甲5には、天秤監査システムが記載されているといえ、上記記載事項(1)イの「各部の名称と機能」は、当該天秤監査システムの各部の名称及び機能を意味するものといえる。
したがって、甲5に記載された当該天秤監査システムは、上記記載事項(1)イの「操作表示パネル」を備えるといえる。
上記記載事項(1)イの「操作表示パネル/測定結果、機能設定のための情報、稼働中の機能、エラー等の表示と、画面タッチで風袋引きや機能設定、感度設定の実行を指示します。」
」(「/」は改行を示す。)から、上記記載事項(1)エの「エラー画面」、上記記載事項(1)コの「未秤量薬品が1つでもある場合」の「エラー」は、天秤監査システムの操作表示パネルに表示されるといえる。

イ 登録ボタン
上記記載事項(1)コの「「登録ボタン」を押すと登録確認が表示されます。/【はい】ボタン 調剤記録印字画面へ。(次ページ)」(「/」は改行を示す。)及び上記記載事項(1)サの「調剤記録 印字中/接続されているプリンタより処方データが印字されます。」(「/」は改行を示す。)から、登録ボタンは、処方データを印字する調剤記録印字画面に進む前の登録確認に進むときに押されるといえる。
また、上記記載事項(1)イの「操作表示パネル/・・・画面タッチで風袋引きや機能設定、感度設定の実行を指示します。」(「/」は改行を示す。)から、登録ボタンは、操作表示パネルに表示されるといえる。
上記認定事項アから、天秤監査システムは、登録ボタンを表示する操作表示パネルを備えるといえる。
以上から、天秤監査システムは、処方データを印字する調剤記録印字画面に進む前の登録確認に進むときに押される登録ボタンを備えるといえる。

ウ 小括
上記認定事項ア及びイから、甲5には、次に示す「甲5技術」が記載されているといえる。

「処方データを印字する調剤記録印字画面に進む前の登録確認に進むときに押される登録ボタンと、
前記登録ボタンが押されると、未秤量薬品が1つでもある場合はエラーを表示する操作表示パネルと、
を備える、
天秤監査システム。」

6 甲6の1
(1)甲6の1の記載
甲6の1には、以下の事項が記載されている。

ア 最初のページには、
「簡易型 散薬監査システム
型式 HP-CK650S
取扱説明書」
「この取扱説明書は、HP-CK650Sのご使用いただくためのガイドブックです。」
「高園産業株式会社」
という記載がある。

イ 8ページ?10ページには、「3.操作画面」という大見出しの下に、「3-1.散薬監査」という小見出しがあり、当該小見出しの下に次のとおりの記載がある([散薬監査]、[調剤完了]は、甲6の1ではそれぞれ、「散薬監査」、「調剤完了」の文字を長方形で囲んだ表現となっている。)。
「[メニュー画面]で[散薬監査]を選択すると、下図にあるような[散薬監査画面]が開きます。」
「23 - 次Rpボタン:次の用法に進みます。」
「25 - 調剤完了ボタン:計量まで終了したところで、[調剤完了]ボタンを選択すると、計量結果と処方終了のデータをプリントアウトします。このあとは受付番号の入力になります。」

ウ 13?16ページには、「4.操作方法」という大見出しの下に、「4-1.通常監査業務」という小見出しがあり、当該小見出しの下に次のとおりの記載がある([次Rp]、[調剤完了]は、甲6の1ではそれぞれ、「次Rp」、「調剤完了」の文字を長方形で囲んだ表現となっている。)。
「ディスプレイの電源投入後、各システムの電源が立ち上がります。ディスプレイに[散薬監査画面]の薬剤師選択ウィンドゥが開いたら入力が行えます。
・・・
(9)調剤最後の薬品秤量が終わって、[次Rp]ボタンを選択した場合は次の用法に移るために、現調剤の記録をプリントアウトします。次の用法に入ると、日数、回数の変更が可能になります。操作は(5)のバーコード入力から繰り返して下さい。
注記
賦形剤の設定がされている場合、[次Rp]ボタンの選択後に案内画面が表示されます。・・・
(10)[調剤完了]ボタンを選択すると、残りの計量結果と処方終了のデータをプリントアウトして終わります。この後、次の処方箋の入力に入り、(2)の受付番号入力ウィンドゥが開きます。
注記
・・・
・賦形剤の設定がされている場合、[調剤完了]ボタン選択後に案内画面が表示されます。・・・」

エ 最後のページには、「高園産業株式会社」と記載されており、同ページ右下には、「HP-CK650S V13.011120」と記載されている。

(2)甲6第1技術及び甲6第2技術
上記記載事項(1)ア?ウから、甲6の1には、次に示す「甲6第1技術」及び「甲6第2技術」が記載されているといえる。

ア 甲6第1技術
「次Rpボタンが選択されると、散薬監査システムが、現調剤の記録をプリントアウトするとともに、次の用法についての日数、回数の変更を可能にし、賦形剤の設定がされている場合、案内画面を表示する、次Rpボタン
を備える、
散薬監査システム。」

イ 甲6第2技術
「調剤完了ボタンが選択されると、散薬監査システムが、残りの計量結果と処方終了のデータをプリントアウトし、その後、受付番号入力ウィンドゥを開き、賦形剤の設定がされている場合、案内画面を表示する、調剤完了ボタン
を備える、
散薬監査システム。」

7 甲7の1
(1)甲7の1の記載
甲7の1には、以下の事項が記載されている。

ア 最初のページには、
「調剤監査システム
Rak-Che
CK-IP3S1
取扱説明書」
「高園産業株式会社」
という記載がある。

イ 25ページ?26ページには、「各ボタンの機能」という見出しの下に、次のとおりの記載がある([次RP]、[完了]は、甲7の1では、それぞれ「次RP」、「完了」の文字を長方形で囲んだ表現となっている。)。
「[次RP](F8)
・次Rpの処方明細表グリッドが表示されます。
・「保守」→「システム管理」→「調剤監査設定」→【調剤監査設定】の監査終了単位が分包単位になっている場合は、分包単位の監査記録を印字します。
・「保守」→「システム管理」→「調剤監査設定」→【調剤監査設定】の監査終了単位が処方せん単位になっている場合は、監査記録を印字しません。
・自動賦形のチェックを行い、賦形剤が存在する場合は賦形剤追加画面が表示されます。」
「[完了](F12)
・「保守」→「システム管理」→「調剤監査設定」→【調剤監査設定】の監査終了単位が分包単位になっている場合は、分包単位の監査記録を印字します。
・「保守」→「システム管理」→「調剤監査設定」→【調剤監査設定】の監査終了単位が処方せん単位になっている場合は、処方せん単位の監査記録を印字します。
・自動賦形のチェックを行い、賦形剤が存在する場合は賦形剤追加画面が表示されます。」

ウ 最後のページには、「高園産業株式会社」という記載があり、同ページ右下には、「CK-IP3S1 V10.100308」という記載がある。

(2)甲7第1技術及び甲7第2技術
上記記載事項(1)ア及びイから、甲7の1には、次に示す「甲7第1技術」及び「甲7第2技術」が記載されているといえる。

ア 甲7第1技術
「次RPボタンが操作されると、調剤監査システムが、監査終了単位が分包単位になっている場合は、分包単位の監査記録を印字し、監査終了単位が処方せん単位になっている場合は、監査記録を印字せず、自動賦形のチェックを行い、賦形剤が存在する場合は賦形剤追加画面を表示する、次RPボタン
を備える、
調剤監査システム。」

イ 甲7第2技術
「完了ボタンが操作されると、調剤監査システムが、監査終了単位が分包単位になっている場合は、分包単位の監査記録を印字し、監査終了単位が処方せん単位になっている場合は、処方せん単位の監査記録を印字し、自動賦形のチェックを行い、賦形剤が存在する場合は賦形剤追加画面を表示する、完了ボタン
を備える、
調剤監査システム。」

8 甲8
(1)甲8の記載
本件特許の優先日前である平成16年8月5日に出願公開された甲8には、以下の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局、病院、診療所等において、調剤した薬剤を誤りなく患者に手交できるようにする方法及びそのための装置に係り、より詳しくは、調剤した薬剤の数量の誤りをなくするための調剤の数量の鑑査方法及び鑑査装置に関するものである。」

イ 「【0063】
図9の画面で表示された薬剤の全てについて数量鑑査は前記の作業を繰り返して、1つの処方箋についてのピッキング鑑査を終了する。次の処方箋に対するピッキング数量鑑査を実行するには、図10の画面No.5における「次鑑査へ」ボタン49をタッチすることにより、図8の画面No.3に戻るから、ここで、次のピッキング鑑査すべき処方箋受付番号を入力するなどを実行すれば良い。ピッキング鑑査の作業を終了するときには、画面No.3?No. 6 において、「終了」ボタン52をタッチする。」

(2)甲8技術
上記記載事項(1)ア及びイから、甲8には、次に示す「甲8技術」が記載されているといえる。

「ピッキング鑑査の作業を終了するときにタッチされる終了ボタン52
を備える、
調剤した薬剤の数量の誤りをなくするための調剤の数量の監査装置。」

9 甲9
(1)甲9の記載
本件特許の優先日前である平成19年6月7日に発行された登録実用新案公報である甲9には、以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本考案は、調剤における薬品の取り違い、二重の調剤、調剤漏れを防止できる、小型情報処理装置およびプログラムに関する。」

イ 「【考案が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの方法では、薬品名称や薬品の効能、および様々な情報を文字として調剤者に示す方法であった。この場合、例えば薬品名称に1%という文字を含むものと10%という文字を含むものでは文字の表記として酷似しているために混同しやすい。本考案は上記の従来技術にはなかった、薬品名称や薬品の効能、およびさまざまな情報を音声による案内を調剤者に伝達することによって調剤業務における薬品の取り違い、二重の調剤、調剤漏れを防止することである。」

(2)甲9の認定事項
上記記載事項(1)ア及びイから、甲9には、調剤業務においては、調剤漏れを防止するという課題が存在することが記載されている。

10 甲10
(1)甲10の記載
甲10には、以下の事項が記載されている。

ア 最初のページには、次のとおりの記載がある。
「毎月1回1日発行 126巻4号 平成18年4月1日発行・・・」
「YAKUGAKU ZASSHI
「国立国会
18.04.07
図書館」
「Vol.126 No.4
YKKZAJ 126(4)265-320(2006)」
「藥學
雜誌」
「PHARMACEUTICAL SOCIETY OF JAPAN」

イ 274ページ左欄最後の行?右欄3行目には、「本研究では医療事故防止対策やヒューマンエラーの観点から,ミスとミスに対する防止対策の関係やヒューマンエラー対策について薬剤師がどのように考えているかについてアンケート調査を行った.・・・」という記載がある。

ウ 274ページ右欄9?22行目には、「1.薬剤師に対するアンケート アンケートは,北海道薬剤師会登録保険薬局勤務の薬剤師を対象に実施した.・・・アンケートの構成は,問1から問6までの全30項目とした.内容は・・・問5:調剤ミスの内容とミスの原因(1項目),・・・である(Table1).」という記載がある。

エ 274ページ?276ページの「Table 1.Questionnaire」のうち、275ページには、次のとおりの記載がある(「○10」は、甲10では「10」を丸で囲んだ表現となっている。)。
「5.あなたが調剤中や服薬指導時におこしやすいと考えられるミスの内容を[ミスの内容]欄から3つ選んでください.・・・
[ミスの内容]
・・・○10調剤漏れ・・・」

オ 276ページ左欄13行目?右欄1行目には、次のとおりの記載がある。
「アンケートは,355の薬局(回収率71.0%)から回答が得られた.・・・
ミスの内容に関する回答では、「規格間違い」と「計数間違い」で全体の44.3%を占めた。ついで多かったのは「薬袋・薬情の記載ミス」,「調剤漏れ」であった(Fig.2).・・・」

カ 277ページの「Fig.2.Contents of Mistakes」からは、「調剤漏れ」が9.5%であることが読み取れる。

キ 最後のページには、次のとおりの記載がある。
「YAKUGAKU ZASSHI 平成18年4月1日発行・・・編集兼発行 東京都渋谷区渋谷2の12の15 社団法人日本薬学会・・・」

(2)甲10の認定事項
上記記載事項(1)イ?カから、北海道薬剤師会登録保険薬局勤務の薬剤師を対象に実施したアンケートにおける、自身が調剤中や服薬指導時に起こしやすいと考えられるミスの内容を3つ選ぶという問いに対する回答では、「調剤漏れ」が4番目に多く、9.5%であったことが認められる。

第5 当審の判断
1 対比
本件発明と甲1発明とを対比する。

(1)秤量手段
甲1発明の「天秤台2aに載置された薬品の重量を出力する秤量部2」は、本件発明の「薬品を秤量する秤量手段」に相当する。

(2)処方箋情報読取手段
甲1発明の「処方された薬品の薬品名」は、それにより処方された薬品を識別することができることが明らかであり、また、処方される薬品は病状に応じて一又は複数であることが明らかであるから、本件発明の「一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報」に相当し、したがって、甲1発明の「処方箋に記された、処方された薬品の薬品名を含む処方データ」は、本件発明の「処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報」に相当する。
そうすると、甲1発明の「処方箋に記された、処方された薬品の薬品名を含む処方データをサーバから読み込む手段」と、本件発明の「処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る処方箋情報読取手段」とは、「処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を読み取る処方箋情報読取手段」という限りにおいて一致する。

(3)収容薬品情報読取手段
甲1発明の「薬瓶」は、本件発明の「薬品容器」に相当する。甲1発明の「収容された薬品の薬品名」は、それにより収容された薬品を識別することができることが明らかであるから、本件発明の「収容薬品を識別する収容薬品識別情報」に相当する。
一般に、「バーコード」とは、「太さの違う線とその間隔の並びで、英字・数字などを表現した符号」をいい(「広辞苑」第6版参照。)、「符号」とは、「情報を伝えるため一定の規則にもとづいて作られた記号の体系的な組合せ」をいう(「広辞苑」第6版参照。)のであるから、甲1発明の「薬瓶に貼着された、収容された薬品の薬品名を含むバーコードを前記薬瓶から読み取る」ことは、「薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る」ことに相当する。
したがって、甲1発明の「薬瓶に貼着された、収容された薬品の薬品名を含むバーコードを前記薬瓶から読み取るバーコードリーダー7」は、本件発明の「薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る収容薬品情報読取手段」に相当する。

(4)制御手段
上記(2)及び(3)に示した相当関係を踏まえると、甲1発明の「前記バーコードリーダー7により読み取られた前記薬瓶に収容された薬品名が示す、前記薬瓶に収容された薬品が、前記処方データをサーバから読み込む手段により読み込まれた処方された薬品の薬品名が示す、処方された薬品に合致する場合に、当該処方された薬品が秤量しようとする薬品であるとする制御部5」は、本件発明の「前記収容薬品情報読取手段により読み取られた前記収容薬品識別情報が示す前記収容薬品が前記処方箋情報読取手段により読み取られた前記処方薬品識別情報が示す前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択する制御手段」に相当する。

(5)一致点及び相違点
したがって、本件発明と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
「薬品を秤量する秤量手段と、
処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を読み取る処方箋情報読取手段と、
薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る収容薬品情報読取手段と、
前記収容薬品情報読取手段により読み取られた前記収容薬品識別情報が示す前記収容薬品が前記処方箋情報読取手段により読み取られた前記処方薬品識別情報が示す前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択する制御手段と、
を備える、
薬品秤量装置。」である点。

[相違点1]
処方箋情報読取手段に関して、本件発明は、処方箋情報を処方箋から読み取るのに対し、甲1発明は、処方データをサーバから読み取る点。

[相違点2]
本件発明は、処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための入力手段と、前記入力手段により秤量の完了が入力された前記処方箋情報に含まれている処方薬品の中に秤量が完了していない処方薬品が存在する場合にその旨を表示する未完了表示手段と、を備え、前記未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しないのに対し、甲1発明は、そのような入力手段と未完了表示手段とを備えていない点。

2 相違点についての検討
事案に鑑み、まず相違点2について検討する。

(1)甲1発明と甲4技術との組合せについて
ア 甲1発明は、薬品を調剤する際、この薬品を秤量して監査を行うための薬品秤量装置であるから、甲1発明には、調剤過誤を防止するという課題は内在するといえる。
調剤過誤すなわち調剤ミスの一つとして、調剤漏れがあることは、技術常識であったといえる(上記甲9、10の認定事項参照。)。
甲4技術は、調剤漏れ警告を表示する表示部5を備える調剤過誤防止システムであるから、調剤過誤の一つである調剤漏れを防止することに資するといえる。
そうすると、甲1発明の薬品秤量装置に、調剤過誤の一つである調剤漏れを防止するために、甲4技術を適用することの動機付けは、一応存在するということができる。

イ しかしながら、甲4技術は、処方薬品が秤量対象外の薬品種別である場合に、調剤漏れ警告を表示しないようになっているものではない。

ウ ところで、上記第4の1(2)において認定したとおり、甲1発明の薬品秤量装置は、散薬のみの調剤を許可する設定、水剤及び外用薬のみの調剤を許可する設定、散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可する設定、又は散薬、水剤及び外用薬の同時調剤を許可しない設定をすることが可能なものである。甲1発明の上記「散薬のみの調剤を許可する設定」とは、処方箋に記載された散薬、水剤、外用薬等の薬品のうち、散薬のみを甲1発明の薬品秤量装置で秤量して調剤することを許可し、水剤、外用薬等を甲1発明の薬品秤量装置で秤量して調剤することは許可しない設定という意味に解される。

エ 以上を踏まえ、甲1発明に甲4技術を適用することについて考えるに、甲4技術は、調剤過誤防止システムであり、調剤の終了時に終了入力部7に終了が入力されたとき、処方薬品のうちに未処理のものがあれば調剤漏れ警告を表示部5に表示するものである。そして「秤量」は調剤工程の途中の一工程にすぎないことを考えると、甲4技術の調剤漏れ警告は調剤工程を終えた段階での調剤漏れを警告するものであって、調剤途中における薬品の秤量工程の判定とは別な段階で異なる判定をしていることが理解される。よって、甲4技術の調剤漏れ警告は、処方薬品が秤量するものであるかどうかにかかわらず、調剤の終了が入力されたときに未処理の処方薬品があればなされるものである。
そうすると、甲1発明に甲4技術を適用しても、甲1発明について、「散薬のみの調剤を許可する設定」等がされているか否かにかかわらず、終了入力部に終了が入力されたとき、処方薬品のうちに未処理のものがあれば調剤漏れ警告を表示部に表示する構成にしかならない。すなわち、上記相違点2に係る本件発明の「未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しない」構成にはならない。

オ そして、本件発明は、上記相違点2に係る構成により、「必要な場合にのみ警告表示を行い、不要な警告表示を防止することができる」という明細書記載の効果を奏するものである(本件特許の明細書の段落【0085】参照。)。

カ したがって、上記相違点2に係る本件発明の構成は、甲1発明及び甲4技術に基いて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

(2)甲1発明と甲5技術との組合せについて
ア 甲1発明は、薬品を調剤する際、この薬品を秤量して監査を行うための薬品秤量装置であるから、甲1発明には、調剤ミスを防止するという課題は内在するといえる。
調剤ミスの一つとして、調剤漏れがあることは、技術常識であったといえる(上記甲9、10の認定事項参照。)。
薬品の秤量漏れが調剤漏れにつながることは、明らかであったといえる。
甲5技術は、登録ボタンが押されたときに未秤量薬品が1つでもある場合はエラーを表示する操作表示パネルを備える天秤監査システムであるから、薬品の秤量漏れを防止することに資するといえる。
そうすると、甲1発明の薬品秤量装置に、薬品の秤量漏れを防止するために、甲5技術を適用することの動機付けは、一応存在するということができる。

イ しかしながら、甲5には、甲5技術の「登録ボタン」が処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための入力手段であることの記載及び示唆はない。また、甲5の95、97、99、101及び103ページ(上記第4の5(1)の記載事項オ?ケ)の「処方データ表示」欄を見ると、処方データを取得した際に入力し得るものであるから、そのようなものは「処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための入力手段」に相当するとはいえない。

ウ また、甲5技術は、登録ボタンが押されたときに未秤量薬品が1つでもある場合は操作表示パネルにエラーを表示するものの、甲5技術は、秤量対象外の薬品種別をあらかじめ設定しておき、未秤量薬品があらかじめ設定された秤量対象外の薬品種別の薬品である場合はエラーを表示しないことまで含むものではない。
よって、甲1発明に甲5技術を適用することについて考えるに、甲5技術は、未秤量薬品が秤量対象外の薬品種別の薬品である場合はエラーを表示しないものではないから、甲1発明において散薬のみを薬品秤量装置で秤量して調剤することを許可し、水剤、外用薬等を薬品秤量装置で秤量して調剤することは許可しない設定とした場合であっても、甲5技術を適用しても、薬品秤量装置で秤量して調剤することが許可されていない水剤、外用薬等について、未秤量薬品が1つでもある場合のエラーの表示の対象外とするという上記相違点2に係る本件発明の構成には想到しない。すなわち、甲1発明に甲5技術を適用しても、上記相違点2に係る本件発明の「処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための入力手段」及び「前記入力手段により秤量の完了が入力された前記処方箋情報に含まれている前記処方薬品の中に秤量が完了していない処方薬品が存在する場合にその旨を表示する未完了表示手段」を備え、「未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しない」構成にはならない。

エ そして、本件発明は、上記相違点2に係る構成により、「必要な場合にのみ警告表示を行い、不要な警告表示を防止することができる」という明細書記載の効果を奏するものである(本件特許の明細書の段落【0085】参照。)。

オ したがって、上記相違点2に係る本件発明の構成は、甲1発明及び甲5技術に基いて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

(3)甲1発明と甲2?10に記載された事項との組合せについて
ア 上記相違点2に係る本件発明の「未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しない」という構成は、上記(1)及び(2)で述べた甲4及び甲5を含め、甲1?10に記載や示唆はないから、甲1発明に甲2?10に記載された事項を組み合わせても、上記相違点2に係る本件発明の構成には想到しない。

イ そして、本件発明は、上記相違点2に係る構成により、「必要な場合にのみ警告表示を行い、不要な警告表示を防止することができる」という明細書記載の効果を奏するものである(本件特許の明細書の段落【0085】参照。)。

ウ したがって、上記相違点2に係る本件発明の構成は、甲1発明及び甲2?10に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

(4)小括
したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明及び甲2?10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

3 申立人の主張について
(1)申立人は、甲1発明において、甲1、甲5の記載事項を組み合わせることで上記相違点2に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得た旨を主張している(異議申立書3(4)エ(エ))。
しかしながら、上記相違点2に係る本件発明の「未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しない」という構成は、甲1?10に記載や示唆はされておらず、当業者が容易に想到し得たものでなく、それにより、「必要な場合にのみ警告表示を行い、不要な警告表示を防止することができる」という明細書記載の効果を奏することは、上記2に述べたとおりである。
よって、申立人の上記主張は失当であり、採用することができない。

(2)申立人は、「分説要件Fが満たされれば自ずと分説要件Gも満たされる」として、甲1発明に「前記入力手段により秤量の完了が入力された前記処方箋情報に含まれている前記処方薬品の中に秤量が完了していない処方薬品が存在する場合にその旨を表示する未完了表示手段」を設ければ自ずと「前記未完了表示手段は、前記処方箋情報に含まれる前記処方薬品のうち秤量の完了していない処方薬品が存在する場合であって、当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品種別の薬品である場合は、前記表示を実行しない」ものとなる旨を主張し、その理由を次のように説明している(異議申立書3(4)エ(エ))。
「つまり、甲第1号証の【0042】【0048】【0058】【0069】【0106】から読み取れるように、調剤不許可とした薬品は、調剤をしない薬品であるから、一覧に表示されることはない(表示する必要性が全くない)。また、前記明細書の記載から、薬品種別(散薬、水剤、外用薬)に応じて許可または不許可にできることも読み取れる。甲第1号証の記載内容では、「不許可の薬品種別」を設定できる(【0042】)ことから、甲1発明に甲第5号証の記載事項を組み合わせた場合の「エラー表示」中にもまた、不許可とされた薬品種別の薬品は表示されないと言える。
この場合、例えば甲第1号証の図6に示された画面の「薬品名」欄に薬品種別が表示されないことになる。」
しかしながら、甲1発明に甲5技術を組み合わせても、上記相違点2に係る本件発明の構成には想到しないのであって、「甲1発明に甲第5号証の記載事項を組み合わせた場合の「エラー表示」中にもまた、不許可とされた薬品種別の薬品は表示されない」とはならないことは、上記2(2)に述べたとおりである。
したがって、申立人の上記主張は理由がなく、採用することができない。

(3)申立人は、予備的主張として、審査官が作成した令和2年9月16日付けの特許メモの記載から、「当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品である場合は、前記表示を実行しない」点が文献に記載又は示唆されていたと解釈でき、表示を実行しないことを薬品をもとにして行うか、薬品種別をもとにして行うかは、当業者が適宜選択できる事項にすぎないから、上記相違点2に係る本件発明の構成とすることは当業者が容易になし得た旨を主張している(異議申立書3(4)エ(エ))。
しかしながら、「当該処方薬品が、予め設定された秤量対象とならない秤量対象外の薬品である場合は、前記表示を実行しない」点は、提出された甲1?10に記載や示唆はないから、申立人の当該主張は何ら根拠がなく、採用することができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、申立人がした特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-08-31 
出願番号 特願2019-234056(P2019-234056)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A61J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増山 慎也  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 倉橋 紀夫
木村 立人
登録日 2020-11-02 
登録番号 特許第6787474号(P6787474)
権利者 株式会社湯山製作所
発明の名称 薬品秤量装置、薬品秤量システム、薬品秤量プログラム、記録媒体  
代理人 種村 一幸  
代理人 華山 浩伸  

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