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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B62D 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B62D 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する B62D 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B62D |
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管理番号 | 1378085 |
審判番号 | 訂正2021-390056 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-04-01 |
確定日 | 2021-06-16 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5983036号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5983036号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第5983036号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成24年5月29日に特許出願され、平成28年8月12日にその特許権の設定登録がされ、令和3年4月1日(令和3年3月31日付け、提出年月日不明、令和3年4月1日受付)に本件訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5983036号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 本件訂正の内容 請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(審決注:下線部分は訂正箇所であり、請求人が訂正特許請求の範囲において示したとおりである。)。 1 訂正事項1 訂正前の請求項1に「点接触」と記載されているのを「断面において点接触」に訂正する(訂正前の請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。)。 2 訂正事項2 訂正前の請求項2に「点接触」と記載されているのを「断面において点接触」に訂正する。 3 訂正事項3 訂正前の請求項3に「点接触」と記載されているのを「断面において点接触」に訂正する。 4 訂正事項4 訂正前の請求項4に「点接触」と記載されているのを「断面において点接触」に訂正する(訂正前の請求項4を引用する請求項5についても同様に訂正する。)。 第4 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的の適否について ア 訂正前の「点接触」は、傾斜面部とフランジ部の結合に関する構成であるが、これらが3次元空間の1点で、点接触し結合しているようにも解され、明瞭でない記載となっている。 イ 願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。さらに、特許請求の範囲又は図面を併せたものを「本件明細書等」という。)明細書及び図面には、以下のとおり記載されている(下線は当審が付した。)。 「【0009】 【図1】図1は本発明が適用される車体の一例を示す斜視図である。 【図2】図2は本発明のルーフパネルの取付構造の一例を示す図1のA-A線断面図である。 【図3】図3は本発明で使用するプラズマブレージング溶接装置の一例を示す斜視図である。 【図4】図4はルーフパネルとボディサイドアウタパネルをプラズマブレージング溶接するトーチの拡大図である。 【図5】図5はボディサイドアウタパネルの傾斜面部に折れ曲部を形成した例を示す図1のA-A線に対応する断面図である。 【図6】図6はボディサイドアウタパネルの傾斜面部に折れ曲部を複数形成した例を示す図1のA-A線に対応する断面図である。 ・・・ 【0015】 ルーフパネル3は、両ルーフサイドレール4、4間に載せられて前記傾斜面部8bに対して外縁フランジ部5が点接触で結合されている。ルーフパネル3とボディサイドアウタパネル8は、傾斜面部8bと外縁フランジ部5とが点接触した接点S位置よりも少し上の部位がブレージング溶接されて両者が固定されている。図3には、プラズマブレージング溶接装置の一例を示し、図4にはその溶接装置のトーチ部分の拡大図を示す。 【0016】 プラズマブレージング溶接装置10は、プラズマを噴射するトーチ11と、溶材であるワイヤを供給するワイヤー供給装置12とを有している。ワイヤー供給装置12からトーチ11の先端に供給されたワイヤは、トーチ11から噴射されるプラズマによって溶け、円弧部5aと傾斜面部8b間を連結させるようにブレージングされて結合部13を形成する。このプラズマブレージング溶接により、ルーフパネル3は、両ルーフサイドレール4、4に対して結合(固定)される。 ・・・ 【0023】 本実施形態のルーフパネルの取付構造によれば、ルーフサイドレール4とルーフパネル3との結合をブレージング溶接で結合したので、両者の母材を溶かすことなく結合でき、溶接後の寸法精度のバラツキが生じ難い。特に、プラズマブレージング溶接では、ワイヤの溶融を安定させることができ、ブレージング溶接を綺麗に行うことができる。 【0024】 以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、図5に示すように、ボディサイドアウタパネル8の傾斜面部8bに、ルーフパネル3の外縁フランジ部5が点接触する接点Sより車両上方に車両幅方向内側に曲がる折れ曲部14を形成してもよい。 【0025】 折れ曲部14は、接点Sから頂部9の間で傾斜面部8bと異なる角度で車両幅方向内側に曲がるように傾斜している。この折れ曲部14が形成されることで、ルーフパネル3からボディサイドアウタパネル8の頂部9を乗り越えてサイドドア(図示は省略する)に到達する雨滴の流れを止めることができる。つまり、この折れ曲部14がダムの堰き止め壁として機能し、ルーフパネル3からサイドドアへと流れようとする雨滴を堰き止める。 【0026】 この他、図6に示すように、ボディサイドアウタパネル8の傾斜面部8bに、ルーフパネル3の外縁フランジ部5が点接触する接点Sより車両上方に傾斜面部8bと異なる角度で車幅方向内側に曲がる折れ曲部14、15を複数形成してもよい。図6では、1つ目の折れ曲部14の先端に2つの折れ曲部15を形成することで、これら2つの折れ曲部14、15が全体としてくの字状とされている。 【0027】 こうすることで、サイドドアへ流れようとする雨滴の堰き止め効果の他に、車幅方向外側からの視点でボディサイドアウタパネル8の頂部9で影が出来て、ブレージング溶接された結合部13が見え難くなり、見栄えが良くなる。」 ウ 上記イの記載を総合すると(特に、プラズマブレージング溶接に係る記載を参照すると)、訂正前の「点接触」は、3次元空間の1点で点接触するものではなく、実質的に、図2、図5及び図6のような断面において点接触するものであることが、明らかである。 したがって、訂正事項1の「断面において点接触」とする訂正は、「点接触」という明瞭でなかった記載(上記ア)を、本件明細書等を根拠にして明瞭にするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 上記(1)のとおりであるから、訂正事項1による訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について 訂正事項1による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり(上記(1))、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)独立特許要件について 訂正事項1による訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 2 訂正事項2、訂正事項3及び訂正事項4について 訂正事項2、訂正事項3及び訂正事項4による訂正は、いずれも、訂正事項1と同じ訂正であるから、上記1のとおり、明瞭でなかった記載を、本件明細書等を根拠にして明瞭にするものであって、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第6項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ボディサイドインナとルーフサイドレールレインフォースとボディサイドアウタパネルにより閉断面を構成するルーフサイドレールと、ルーフ部を構成するルーフパネルとを備え、車幅方向両側に車両前後方向に延在する両ルーフサイドレール間にルーフパネルが載せられて結合されたルーフパネルの取付構造において、 前記ルーフパネルの車幅方向外側縁部は、車体内側下方へ円弧状に屈曲する外縁フランジ部とされ、 前記ボディサイドアウタパネルの車幅方向内側縁部は、前記ルーフサイドレールレインフォースと結合される内縁フランジ部と、この内縁フランジ部から起立して車両外側に傾斜し車両高さ方向で頂部となる傾斜面部とを有した構造とされ、 車両外側に傾斜する前記傾斜面部に対して前記外縁フランジ部が断面において点接触で結合されている ことを特徴とするルーフパネルの取付構造。 【請求項2】 請求項1に記載のルーフパネルの取付構造であって、 前記傾斜面部には、前記外縁フランジ部が断面において点接触する接点より車両上方に傾斜面部と異なる角度で車両幅方向内側に曲がる折れ曲部が形成されている ことを特徴とするルーフパネルの取付構造。 【請求項3】 請求項1に記載のルーフパネルの取付構造であって、 前記傾斜面部には、前記外縁フランジ部が断面において点接触する接点より車両上方に傾斜面部と異なる角度で車両幅方向内側に曲がる折れ曲部が複数形成されている ことを特徴とするルーフパネルの取付構造。 【請求項4】 ボディサイドインナとルーフサイドレールレインフォースとボディサイドアウタパネルにより閉断面を構成するルーフサイドレールと、ルーフ部を構成するルーフパネルとを備え、車幅方向両側に車両前後方向に延在する両ルーフサイドレール間にルーフパネルを載せて結合するルーフパネルの取付方法において、 前記ルーフパネルの車幅方向外側縁部を車体内側下方へ円弧状に屈曲した外縁フランジ部とし、 前記ボディサイドアウタパネルの車幅方向内側縁部を、前記ルーフサイドレールレインフォースと結合される内縁フランジ部と、この内縁フランジ部から起立して車両外側に傾斜し車両高さ方向で頂部となる傾斜面部とを有した構造として、 前記両ルーフサイドレール間に前記ルーフパネルを載せ、車両外側に傾斜する前記傾斜面部に対して前記外縁フランジ部を断面において点接触させてルーフサイドレールとルーフパネルとを結合する ことを特徴とするルーフパネルの取付方法。 【請求項5】 請求項4に記載のルーフパネルの取付方法であって、 前記ルーフサイドレールとルーフパネルとの結合をプラズマブレージング溶接で行う ことを特徴とするルーフパネルの取付方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-05-20 |
結審通知日 | 2021-05-25 |
審決日 | 2021-06-08 |
出願番号 | 特願2012-121820(P2012-121820) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(B62D)
P 1 41・ 855- Y (B62D) P 1 41・ 854- Y (B62D) P 1 41・ 841- Y (B62D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 畔津 圭介 |
特許庁審判長 |
一ノ瀬 覚 |
特許庁審判官 |
出口 昌哉 島田 信一 |
登録日 | 2016-08-12 |
登録番号 | 特許第5983036号(P5983036) |
発明の名称 | ルーフパネルの取付構造及びその取付方法 |
代理人 | 森 太士 |
代理人 | ▼廣▲瀬 文雄 |
代理人 | ▼廣▲瀬 文雄 |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 伊藤 正和 |
代理人 | 森 太士 |
代理人 | 伊藤 正和 |
代理人 | 三好 秀和 |