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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1378168
審判番号 不服2020-3959  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-24 
確定日 2021-10-05 
事件の表示 特願2016-130778「電子機器、制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月11日出願公開、特開2018- 5514、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年6月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年 7月 2日 :拒絶理由通知書
平成 元年 9月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年10月 7日付け:拒絶理由通知書(最後の拒絶理由)
令和 元年12月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年12月18日付け:補正の却下の決定、拒絶査定
令和 2年 3月24日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 3年 4月13日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 3年 6月17日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年12月18日付け拒絶査定)の概要は、この出願については、令和元年10月7日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものである、というものである。
そして、令和元年10月7日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6も項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1-3における「タッチスクリーンディスプレイの輪郭を構成する辺に沿って並ぶ」という記載が特定する事項の範囲が明確でない。

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和3年4月13日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1 理由1,2(明確性、サポート要件)
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項1に、
「前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示されると、前記文字編集処理を実行し、前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当てて」と記載されているが、以下の(1)、(2)の点で不備である。

(1)上記記載は、「前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示される」ことにおいて、タッチスクリーンディスプレイに表示される文字数が、複数の物理キーに「割り当て」られる「前記編集対象の文字列のうちの1つ以上の文字」の文字数よりも多い場合のみに限定されているのか、両者が同数である場合を含むのか、いずれか不明である(明確性)。
(2)上記記載は、文言上、「前記編集対象の文字列が表示される」ことを契機として、「前記文字編集処理」及び「少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て」る処理を個別に実行することを特定するものと解し得る。
しかしながら、そのような2つの処理を個別に実行することについては、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない(サポート要件)。

請求項2,3にも請求項1と同様の記載がある。

2 理由3(進歩性)
この出願の請求項1?3に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2012-156607号公報
引用文献2:特開2006-148536号公報(周知技術を示す文献)

第4 本願発明
本願請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明3」という。)は、令和3年6月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
筐体と、
タッチスクリーンディスプレイと、
前記筐体の縁と前記タッチスクリーンディスプレイの輪郭を構成する辺とに沿って並ぶ複数の物理キーと、
前記物理キーの操作に基づいて文字編集処理を実行するコントローラと、
編集対象の文字列を記憶するストレージと、
を備え、
前記コントローラは、
前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示されると、割り当てパターンの種類の各々を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て、前記物理キーへの選択操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた割り当てパターンの種類で、前記文字編集処理を実行し、
前記文字編集処理は、
前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当てて、
前記物理キーへの操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた文字の編集を受け付ける
電子機器。
【請求項2】
筐体と、
タッチスクリーンディスプレイと、
前記筐体の縁と前記タッチスクリーンディスプレイの輪郭を構成する辺とに沿って並ぶ複数の物理キーと、
編集対象の文字列を記憶するストレージと、
を備える電子機器の制御方法であって、
前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示されると、割り当てパターンの種類の各々を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て、前記物理キーへの選択操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた割り当てパターンの種類で、文字編集処理を実行し、
前記文字編集処理は、
前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当てるステップと、
前記物理キーへの操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた文字の編集を受け付けるステップと
を含む制御方法。
【請求項3】
筐体と、
タッチスクリーンディスプレイと、
前記筐体の縁と前記タッチスクリーンディスプレイの輪郭を構成する辺とに沿って並ぶ複数の物理キーと、
編集対象の文字列を記憶するストレージと、
を備える電子機器に、
前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示されると、割り当てパターンの種類の各々を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て、前記物理キーへの選択操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた割り当てパターンの種類で、文字編集処理を実行させ、
前記文字編集処理は、
前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当てるステップと、
前記物理キーへの操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた文字の編集を受け付けるステップと
を実行させるプログラム。」

第5 当審拒絶理由の「理由1,2(明確性、サポート要件)」について
令和3年6月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、「前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示されると、割り当てパターンの種類の各々を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て、前記物理キーへの選択操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた割り当てパターンの種類で、前記文字編集処理を実行」すること、及び、「前記文字編集処理」が、「前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て」ることを含むことが記載されている。
そして、当該記載では、「タッチスクリーンディスプレイ」に「表示され」る「前記編集対象の文字列」と、「前記文字編集処理」において「複数の物理キー」に「割り当て」られる「前記編集対象の文字列のうちの1つ以上の文字」とは、独立しており、前者と後者との文字数の関係について限定するものではないものと理解でき、明確であるといえる。
また、請求項1の上記記載については、発明の詳細な説明の段落【0064】、【0081】、【0082】に記載されているといえる。
そして、以上のことは、請求項2,3についても同様である。
したがって、当審拒絶理由の「理由1,2(明確性、サポート要件)」(上記第3の1)は解消した。

第6 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1(特開2012-156607号公報)
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0015】
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る携帯端末装置の正面外観図であり、図1(b)は、本発明の実施の形態に係る携帯端末装置の背面外観図である。本実施の形態に係る携帯端末装置101は、図1(a)に示すように正面にタッチパネル部102、図1(b)に示すように背面に点字表示部103を備えており、また、表示切替スイッチ104を備えている。」

「【0018】
本実施の形態におけるタッチパネル部102は、端末操作者による接触位置を検出する機能を備えており、操作面への接触がなされたか否かを示す接触検出信号および、操作面への接触位置座標値(X軸、Y軸)を示す接触座標信号を出力するように構成されている。また、タッチパネル部102は文字や図柄、アイコンなどの情報を表示する機能を備えている。」

「【0020】
図3は、本実施の形態に係る携帯端末装置101の機能ブロック図である。図3に示す機能ブロックについては本発明を説明するために簡略化したものであり、携帯端末装置101は通常の携帯端末装置に必要な処理機能を備えるものとする。図3に示すように、携帯端末装置101は制御部301を備えている。制御部301にはタッチパネル部102と点字表示部103が接続され、タッチパネル部102が出力する前記接触検出信号および前記接触座標信号を受け取って、タッチパネル部102および点字表示部103が表示する内容を指示する。」

「【0028】
次に、本実施の形態において、制御部301がタッチパネル部102に指示する表示の一例について、図5を用いて説明する。本実施の形態における制御部301は、タッチパネル部102を、図5(a)に示すY軸方向に2つに分割することにより、所定の文字または文字列を表示できる文字表示領域506と、所定の動作の実行開始を指示するための操作アイコンを表示できるアイコン表示領域507とに区別して表示するように指示することができる。また、文字表示領域506をX軸方向に分割することで、所定の数の文字・音節表示領域508を表示するように指示することができる。文字・音節表示領域508には、1文字または1音節が表示される。」

「【0031】
制御部301は、表示する元々の文字列504を、2列3行の計6点で点字表記が可能なようにすべて平仮名に変換し、表示仮名列505を生成する。図5(a)の例では、表示仮名列505は18文字・音節の「とっきょちょうでいろはにほへとちりぬるを」となる。このとき文字表示領域506は、6個の文字・音節表示領域508に分割されているため、18文字の表示仮名列505を、一度にすべて表示することはできない。
【0032】
そこで、制御部301は表示仮名列505を複数の行に分割する。このとき、1行は文字・音節表示領域508の数以下の文字・音節数から構成されるものとする。図5(a)の例では、文字・音節表示領域508の数は6個であるため、1行は6文字・音節以下であり、制御部301は、「とっきょちょうでいろはにほへとちりぬるを」の18文字の表示仮名列505を「とっきょちょうで」「いろはにほへ」「とちりぬるを」の3行に分割する。
【0033】
そして、最初の行である「とっきょちょうで」を、1文字または1音節毎に分割し、「と」「っ」「きょ」「ちょ」「う」「で」という6個の文字・音節に分割する。制御部301は、前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示する。
【0034】
また、図5(a)の例では、アイコン表示領域507には、コピー動作アイコン501と、貼り付け動作アイコン502と、表示切り替え動作アイコン503とが表示されている。このように、制御部301はタッチパネル部102に対して、任意の文字、文字列またはアイコンを任意の位置に表示するように、表示する内容と表示する座標とを指示することができる。」

「【0054】
図5、6に示す画面で、テキストを点字表示させるだけではなく、メールを作成するなど操作者がテキストを編集することも可能である。具体例としては、文字表示領域506はテキスト編集画面とし、アイコン表示領域507に平仮名、数字、アルファベットを表示させる。表示された文字を選択し、テキストを作成する。そして、タッチパネル部102の文字表示領域506上で操作者の手が所定の軌跡を描いたならば、作成したテキストの順送り・巻き戻り表示動作を行い、点字表示部103に点字表示させることが出来るので作成したテキストの確認が出来る。」

「【図1(a)】



「【図1(b)】



「【図5(a)】



(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「正面にタッチパネル部102、背面に点字表示部103を備えており、タッチパネル部102は、端末操作者による接触位置を検出する機能を備えており、操作面への接触がなされたか否かを示す接触検出信号および、操作面への接触位置座標値(X軸、Y軸)を示す接触座標信号を出力するように構成され、
制御部301を備えており、制御部301にはタッチパネル部102と点字表示部103が接続され、タッチパネル部102が出力する前記接触検出信号および前記接触座標信号を受け取って、タッチパネル部102および点字表示部103が表示する内容を指示し、
タッチパネル部102を、所定の文字または文字列を表示できる文字表示領域506と、所定の動作の実行開始を指示するための操作アイコンを表示できるアイコン表示領域507とに区別して表示するように指示し、
制御部301は、表示する元々の文字列504を、2列3行の計6点で点字表記が可能なようにすべて平仮名に変換し、表示仮名列505を生成し、
文字表示領域506は、6個の文字・音節表示領域508に分割されており、
制御部301は、表示仮名列505を複数の行に分割し、最初の行を、1文字または1音節毎に分割し、6個の文字・音節に分割し、前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示し、
アイコン表示領域507には、コピー動作アイコン501と、貼り付け動作アイコン502と、表示切り替え動作アイコン503とが表示されており、このように、制御部301はタッチパネル部102に対して、任意の文字、文字列またはアイコンを任意の位置に表示するように、表示する内容と表示する座標とを指示することができ、
テキストを点字表示させるだけではなく、メールを作成するなど操作者がテキストを編集することも可能であり、文字表示領域506はテキスト編集画面とし、アイコン表示領域507に平仮名、数字、アルファベットを表示させ、表示された文字を選択し、テキストを作成する、
携帯端末装置101。」

2 引用文献2(特開2006-148536号公報)
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0137】
図26の携帯情報端末1においては、面1Aのタッチパネル式ディスプレイ11の縁の外側の、キー21-1乃至21-5の左隣にはボタン141-1乃至141-5がそれぞれ設けられている。また、縁11Bの外側のキー21-6乃至21-10の右隣にはボタン141-6乃至141-10がそれぞれ設けられている。ボタン141-1乃至141-10は、ユーザの押し下げ操作を検出可能なプッシュボタンや圧力センサなどよりなる。
【0138】
図26の携帯情報端末1の場合も、文字入力の方式がマルチストローク方式である場合、各キーの割り当ては、例えば、図5乃至図12を参照して説明したようにして切り替えられる。すなわち、例えば、図26の状態(キー21-1乃至21-10に50音の各行の文字が割り当てられている状態)で、「か」行の文字が割り当てられているキー21-2の左隣のボタン141-2が押されたとき、図6に示すように、キー21-1乃至21-5には「が」、「ぎ」、「ぐ」、「げ」、「ご」の文字がそれぞれ割り当てられ、キー21-6乃至21-10には「か」、「き」、「く」、「け」、「こ」の文字がそれぞれ割り当てられる。この状態で、例えば、キー21-10の右隣のボタン142-10が押されたとき、キー21-10に割り当てられている「こ」の1つの文字が入力される。」

「【図26】



(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。
「タッチパネル式ディスプレイ11の縁の外側の、キー21-1乃至21-5の左隣にはボタン141-1乃至141-5がそれぞれ設けられ、また、縁11Bの外側のキー21-6乃至21-10の右隣にはボタン141-6乃至141-10がそれぞれ設けられ、ボタン141-1乃至141-10は、ユーザの押し下げ操作を検出可能なプッシュボタンよりなり、各キーの割り当てが切り替えられる、携帯情報端末1。」

第7 当審拒絶理由の「理由3(進歩性)」について
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「携帯端末装置101」の「正面」及び「背面」は、「筐体」の面であることが明らかであり、また、引用発明の「タッチパネル部102」は、本願発明1の「タッチスクリーンディスプレイ」に相当する。

(イ)引用発明では、「タッチパネル部102」が、「端末操作者による接触位置を検出する機能を備えており、操作面への接触がなされたか否かを示す接触検出信号および、操作面への接触位置座標値(X軸、Y軸)を示す接触座標信号を出力するように構成され」ており、ここで、「操作面への接触」は、「端末操作者による」ものであって、本願発明1の「前記物理キーの操作」と、「入力手段の操作」である点で共通している。

(ウ)引用発明の「携帯端末装置101」は、「タッチパネル部102を、所定の文字または文字列を表示できる文字表示領域506と、所定の動作の実行開始を指示するための操作アイコンを表示できるアイコン表示領域507とに区別して表示するように指示」するものであり、また、「テキストを点字表示させるだけではなく、メールを作成するなど操作者がテキストを編集することも可能であり、文字表示領域506はテキスト編集画面とし、アイコン表示領域507に平仮名、数字、アルファベットを表示させ、表示された文字を選択し、テキストを作成する」ものである。
ここで、「タッチパネル部102」における「テキスト編集画面」である「文字表示領域506」には、編集対象の「テキスト」、すなわち「文字列」が表示されるといえる。
この点について上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示される」ことに相当する構成を備えている。

(エ)引用発明は、「制御部301」が、「タッチパネル部102が出力する前記接触検出信号および前記接触座標信号を受け取って、タッチパネル部102および点字表示部103が表示する内容を指示」すること、及び「表示仮名列505を複数の行に分割し、最初の行を、1文字または1音節毎に分割し、6個の文字・音節に分割し、前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示」することを行うものである。また、「文字表示領域506は、6個の文字・音節表示領域508に分割されて」いるものである。
ここで、「前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示」することは、「6個の文字・音節」を、「タッチパネル部102」の「6個の文字・音節表示領域508」に、「個々に割り当て」ることであるといえる。
また、引用発明の「制御部301」は、本願発明1の「コントローラ」に相当する。
以上の点について上記(イ)を踏まえると、本願発明1の、「前記コントローラ」は、「少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て」るとの構成に関して、引用発明と本願発明1とは、「前記コントローラ」は、「少なくとも1つ以上の文字を、前記入力手段に、個々に割り当て」るものである点で共通している。

(オ)引用発明の「制御部301」は、「表示する元々の文字列504を、2列3行の計6点で点字表記が可能なようにすべて平仮名に変換し、表示仮名列505を生成」するものであるところ、上記(エ)で述べた引用発明の構成において、「制御部301」が「前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示」する動作は、「2列3行の計6点で点字表記」を行うためである。
また、引用発明の「携帯端末装置101」が、上記(ウ)のとおり「テキストを点字表示させるだけではなく、メールを作成するなど操作者がテキストを編集することも可能であり、文字表示領域506はテキスト編集画面とし、アイコン表示領域507に平仮名、数字、アルファベットを表示させ、表示された文字を選択し、テキストを作成する」ものであることは、「テキストを点字表示させる」、具体的には、「2列3行の計6点で点字表記」を行うことができるように、「前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示する」した状態で、「テキストを編集することも可能」であることを示していることが明らかである。
したがって、上記(エ)で述べた、「タッチパネル部102」の「6個の文字・音節表示領域508」に「個々に割り当て」る対象となる「6個の文字・音節」は、上記(ウ)で述べた、編集対象の「テキスト」であり得るといえる。
一方、編集対象の「テキスト」であり得る当該「6個の文字・音節」は、本願発明1の「前記編集対象の文字列のうちの1つ以上の文字」に含まれる。
以上のことから、上記(エ)の末尾で述べた点は、結局、本願発明1の、「前記コントローラ」は、「前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の少なくとも1つ以上の文字を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て」るとの構成に関して、引用発明と本願発明1とは、「前記コントローラ」は、「前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、前記入力手段に、個々に割り当て」るという点で共通しているということである。

(カ)上記(エ)で述べた引用発明の構成において、「制御部301」が「タッチパネル部102が出力する前記接触検出信号および前記接触座標信号を受け取」ることは、換言すれば「タッチパネル部102」への「操作を検出する」ことである。
また、上記(ウ)で述べた引用発明の構成において、「文字表示領域506はテキスト編集画面とし、アイコン表示領域507に平仮名、数字、アルファベットを表示させ、表示された文字を選択し、テキストを作成する」動作は、テキストの「編集」を「受け付ける」ことであって、上記の「操作を検出する」ことを契機として行われることが明らかである。
以上の点について上記(イ)、(エ)、(オ)を踏まえると、本願発明1の、「前記コントローラ」は、「前記物理キーへの操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた文字の編集を受け付ける」との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、「前記コントローラ」は、「前記入力手段への操作を検出すると、該入力手段に割り当てられた文字の編集を受け付ける」という点で共通している。

(キ)上記(オ)、(カ)で述べた、「割り当て」る動作及び「受け付ける」動作を「文字編集処理」と総称することは任意である。そうすると、引用発明の「制御部301」は、「6個の文字・音節」を「割り当てる」対象が「物理キー」ではない点を除き、本願発明1の「文字編集処理を実行」することに相当する動作を行うものであるといえる。
また、上記(イ)、(カ)を踏まえると、本願発明1の「前記物理キーの操作に基づいて文字編集処理を実行するコントローラ」との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、「前記入力手段の操作に基づいて文字編集処理を実行するコントローラ」を備える点で共通している。

(ク)引用発明の「携帯端末装置101」は、本願発明1の「電子機器」に相当する。

イ したがって、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。
(一致点)
「筐体と、
タッチスクリーンディスプレイと、
入力手段の操作に基づいて文字編集処理を実行するコントローラと、
を備え、
前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示され、
前記コントローラは、
前記文字編集処理を実行し、
前記文字編集処理は、
前記編集対象の文字列のうちの少なくとも1つ以上の文字を、前記入力手段に、個々に割り当てて、
前記入力手段への操作を検出すると、該入力手段に割り当てられた文字の編集を受け付ける
電子機器。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「前記筐体の縁と前記タッチスクリーンディスプレイの輪郭を構成する辺とに沿って並ぶ複数の物理キー」を備えるとともに、「入力手段」が「物理キー」であるのに対し、引用発明は、「物理キー」を備えるものではなく、「入力手段」が、「タッチパネル部102」である点。

(相違点2)
本願発明1は、「編集対象の文字列を記憶するストレージ」を備えるのに対し、引用発明は、「テキストを編集する」際の「テキスト」を記憶する手段を備えると特定されるものではない点。

(相違点3)
本願発明1は、「前記コントローラ」が「前記文字編集処理を実行」することを、「前記タッチスクリーンディスプレイに前記編集対象の文字列が表示される」ことを契機として行うものであるのに対し、引用発明は、「制御部301」が「前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示」するものである、つまり、「6個の文字・音節」の「表示」と、それらを「タッチパネル部102」の「6個の文字・音節表示領域508」に「個々に割り当て」ることが、同時に行われる点。

(相違点4)
本願発明1では、「前記文字編集処理を実行」することが、「割り当てパターンの種類の各々を、複数の前記物理キーに、個々に割り当て、前記物理キーへの選択操作を検出すると、該物理キーに割り当てられた割り当てパターンの種類で」、行われるのに対し、引用発明では、「前記6個の文字・音節を、文字・音節表示領域508に1文字または1音節ずつ表示するように、タッチパネル部102に指示」するものである、つまり、「文字編集処理」に関する「割り当てパターンの種類」の選択の余地がない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点4について先に検討する。
入力手段としての複数のキーに編集対象の文字列中の文字を割り当てる際に、割り当てパターンの種類を選択可能とし、割り当てパターンの種類の各々を、複数のキーに、個々に割り当て、前記キーへの選択操作を検出すると、該キーに割り当てられた割り当てパターンの種類で、前記文字を前記複数のキーに個々に割り当てることは、引用文献1,2には記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったとも認められない
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1,2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2,3について
本願発明2,3は、いずれも本願発明1と発明のカテゴリが相違するのみであり、本願発明1に対応する発明特定事項を含んでいる。
そうすると、本願発明2,3も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1,2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由の「理由3(進歩性)」(上記第3の2)は解消した。

第8 原査定について
請求項1?3にそれぞれ記載されている「タッチスクリーンディスプレイの輪郭を構成する辺に沿って並ぶ複数の物理キー」は、「複数の物理キー」が、「タッチスクリーンディスプレイの輪郭」のいずれかの「辺」の近傍かつその「辺」と概ね平行に配列されているものと理解でき、明確であるといえる。
したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-14 
出願番号 特願2016-130778(P2016-130778)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 富澤 哲生
林 毅
発明の名称 電子機器、制御方法、及びプログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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