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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L
管理番号 1378252
審判番号 不服2020-14989  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-28 
確定日 2021-09-16 
事件の表示 特願2016-182338「管固定具」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日出願公開、特開2018- 44662〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月16日の出願であって、令和2年3月13日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年5月18日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年7月14日付け(発送日:令和2年7月28日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和2年10月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年10月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年10月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
管を施工面に対して固定するための管固定具であって、
前記施工面に固定されるベース本体部と、前記ベース本体部から突出し、前記ベース本体部に対する規定位置に配置される前記管に接触して前記管を支持する仮保持部と、を有するベースと、
前記ベースとは別体であって、前記ベースに取り外し可能に結合されて、前記規定位置にある前記管を前記ベースとの間に挟んで固定するサドルと、
を備える
管固定具。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
管を施工面に対して固定するための管固定具であって、
前記施工面に固定されるベース本体部と、前記ベース本体部から突出し、前記ベース本体部に対する規定位置に配置される前記管に接触して前記管を支持する仮保持部と、を有するベースと、
前記ベースとは別体であって、前記ベースに取り外し可能に結合されて、前記規定位置にある前記管を前記ベースとの間に挟んで固定するサドルと、
を備え、
前記サドルは、第1端に前記ベース本体部に結合される第1結合部を有し、第2端に前記仮保持部に係合される第2結合部を有する
管固定具。」

2 補正の適否について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「サドル」に関して、「前記サドルは、第1端に前記ベース本体部に結合される第1結合部を有し、第2端に前記仮保持部に係合される第2結合部を有する」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する(下線は当審にて付した。以下同様。)。

(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された米国特許第3061253号明細書には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審にて付したものである。当審による訳文を()内に示す。)。

(1-a)「This invention relates to supports and more particularly to supporting clips of the type adapted to secure conduit to a support within an aircraft installation.
In modern day aircraft installations, there are literally thousands of conduit such as electrical lines, air pressure lines, hydraulic lines and the like, which must be effectively secured in position so that no damage will result during the extreme conditions encountered during flight.
Because of weight and size considerations, such conduit often must be securely fastened at locations within the structure of the aircraft installation which are difficult to reach and are otherwise not readily accessible.」(第1欄第9?20行)
(本発明は、支持体に関し、より詳細には、航空機設備内の支持体に導管を固定するように適合されたタイプの支持クリップに関する。
現代の航空機設備では、電気ライン、空気圧ライン、油圧ラインなどの文字通り数1000の導管があり、これらは、飛行中に遭遇する極端な条件の間に損傷が生じないように所定の位置に効果的に固定されなければならない。
重量およびサイズを考慮すると、そのような導管は、しばしば、航空機設備の構造内の、到達が困難であり、そうでなければ容易にアクセス可能ではない場所にしっかりと固定されなければならない。)

(1-b)「An object of the present invention is to provide a conduit supporting clip which overcomes the disadvantages noted above and renders securement of conduit in inaccessible positions of an aircraft installation easier and less time-consuming.
Another object of the present invention is the provision of a conduit supporting clip of the type described having a pair of hingedly interconnected cushioned strap sections which may be initially suspended from the support by a fastening element so that the conduit can be suspended from the clip in its open position and the clip subsequently moved into its closed position and then secured to the support.」(第1欄第50?62行)
(本発明の目的は、上述欠点を克服し、航空機設置のアクセス不可能な位置において、より容易で時間がかからないように、導管の固定を可能にする導管支持クリップを提供することである。
本発明の別の目的は、導管をその開放位置でクリップから吊り下げ、その後クリップをその閉鎖位置に移動させ、次いで支持体に固定することができるように、最初に締結要素によって支持体から吊り下げることができる一対のヒンジ式に相互接続されたクッション付きストラップ部分を有する、記載されたタイプの導管支持クリップを提供することである。)

(1-c)「Referring now more particularly to the drawings,there is shown therein a conduit supporting clip, generally indicated at 10, embodying the principles of the present invention. The clip comprises a pair of hingedly interconnected cushioned strap sections 12 and l4.The strap section 12 comprises a semi-circular loop portion 16 having a straight portion 18 extending tangentially from one end thereof. The section 14 comprises an arcuate portion 20 of substantially quadrant extent, a straight intermediate portion 22 extending tangentially from one end of the arcuate portion, and a straight end portion 24 extending substantially perpendicularly from the intermediate portion 22.
The opposite ends of the semi-circular portion 16 and arcuate portion 20 are pivotally or hingediy interconnected by any suitable means about an axis parallel with the axis of the semi-circular portion 16 and disposed in a plane passing through the latter and the opposite extremity of the semi-circular portion 16. As shown, such means comprises an integral tongue 26 of a width less than the width of the strap section 12, extending outwardly from the opposite extremity of the semi-circular portion 16 in substantially perpendicular relation, then arcuately in substantially semi-circular configuration and finally, terminating in a straight extension engaging the outer periphery of the semi-circular portion 16 at a position spaced from the extremity thereof. Formed on the extremity of the arcuate portion 20 is an extension 28 which, at its connection at the extremity of the arcuate portion 20,is bent so as to be displaced from the plane of the arcuate portion a distance equal to the thickness of the strap section.Formed in the- extension 28 is a rectangular opening 30 arranged to receive the bent tongue 26.」(第2欄第5?38行)
(この図には、本発明の原理を具体化する導管支持クリップ10が示されている。クリップは、ヒンジ式に相互接続された一対のクッション付きストラップ部分12およびl4を備える。ストラップ部分12は、その一端から接線方向に延びる直線部分18を有する半円形部分16を含む。ストラップ部分14は、実質的に四分円の範囲の弓状部分20と、直線状の中間部分14とを備える。部分22は、弓形部分の一端から接線方向に延在し、直線端部分24は、中間部分22から実質的に垂直に延在する。
半円形部分16と弓形部分20の対向する端部は、半円形部分16の軸と平行な軸の周りで任意の適切な手段によって枢動可能にまたは蝶番式に相互接続され、半円形部分16および半円形部分14の対向する端部を通過する平面内に配置される。図示のように、このような手段は、ストラップ部分12の幅よりも小さい幅の一体の舌部26を有し、この舌部は、半円形部分16の反対側の端部から実質的に垂直な関係で外方に延び、次に、実質的に半円形の形態で弓形に延び、最後に、その端部から間隔を置いた位置で半円形部分16の外周に係合する真っ直ぐな延長部で終わっている。弓状部分20の端部には延長部28が形成されており、この延長部は、弧状部分20の端部の接続部において、ストラップ部分の厚さに等しい距離だけ弧状部分の平面から変位するように曲げられている。延長部28には、舌部26を受け入れるように配置された矩形開口部30が形成されている。)

(1-d)「Formed in the intermediate portion 22 of the strap section 14 intermediate the side edges of the strap section is an opening 36 having a width at least as wide as the head of a fastening element to be utilized with the clip 10 and a height at least as high as the height of such head. The opening 36 is disposed adjacent the associated attaching portion 24 and communicates with one end of an opening, generally indicated at 38, formed in the attaching portion 24. As shown, the opening 38 includes a portion 40 having a width substantially equal to the width of the opening 36 and communicating therewith. The opening 33 includes a portion 42 which extends from the portion 40 and has a width less than the latter.」(第2欄第63行?第3欄第4行)
(ストラップ部分14の中間部分22には、ストラップ部分の側縁の中間に開口36が形成されており、この開口は、クリップ10と共に利用される締結要素のヘッドと少なくとも同じ幅を有し、かかるヘッドの高さと少なくとも同じ高さを有する。開口部36は、取付部24に隣接して配置され、取付部24に形成された開口38の一端と連通する。図示されるように、開口部38は、開口部36の幅と実質的に等しい幅を有し、それと連通する部分40を含む。開口部33は、部分40から延在し、後者よりも小さい幅を有する部分42を含む。)

(1-e)「In utilizing the present clip, as, for example, in an aircraft installation, the fastening element 50 is extended through the opening 46 and is secured within a suitable support 54.The fastening element 50 which, as shown, comprises a headed screw, is engaged within the support so that there is provided between the head 52 and the interior surface of the attaching portion 18 a space at least equal to the thickness of the strap section and preferably a little more. With the fastening element 50 thus secured to the support 54, the clip 10 will be suspended in the position shown in FIGURE 1.It will be noted that the strap section 14 depends from the strap section 12 by virtue of the hinged or pivotal connection provided by the bent tongue 26 and opening 30.This depending or open position of the strap section 14 leaves the semicircular portion 16 of the strap section 12 unobstructed so that suitable conduit, such as pipe 56 as shown in FIGURE 1, can be simply lowered into supporting engagement with the cushion pad 32 of the semi-circular portion 16.」(第3欄第20?39行)
(本発明のクリップを、例えば、航空機の設備に使用する場合、締結要素50は、開口46を通って延び、適当な支持体54内に固定される。図示のように、ヘッド付きねじを含む締結要素50は、ヘッド52と取付け部分18の内面との間にストラップ部分の厚さに少なくとも等しく、好ましくは少し大きい空間が設けられるように支持体内に係合される。締結要素50がこのように支持体54に固定されると、クリップ10は図1に示す位置に懸架される。ストラップ部分14は、曲げられた舌部26及び開口部30によって提供されるヒンジ接続又は枢動接続によってストラップ部分12から垂れ下がることに留意されたい。これはすなわち、ストラップ部分14の開放位置は、ストラップ部分12の半円形部分16を妨害されないままにし、その結果、図1に示すパイプ56などの適切な導管を半円形部分16のクッションパッド32と支持係合状態で簡単に吊り下げることができる。)

(1-f)「With the pipe or other conduit 56 initially suspended from the support by the strap section 12 and fastening element 50, the strap section 14 is then swung about the pivotal axis provided by the bent tongue 26 and extension slot 30 in a counterclockwise direction, as viewed in FIGURE 1. During this swinging movement care should be taken to swing the strap section 14 into embracing relation to the upper surface of the pipe so that the head 52 of the fastening element passes relatively through the opening 36 and the shank portion 48 of the fastening element 50 passes into the opening portion 42 with the head engaging the adjacent exterior surface of the attaching portion 24 as clearly shown in FGIURE 2.
In the position shown in FIGURE 2, the clip 10 is finally secured to the support 54 in supporting relation to the pipe 56 by tightening the securement of the fastening element 50 to the support to bring the attaching portions 18 and 24 into substantially abutting superposed relation.」(第3欄第40?57行)
(パイプ又は他の導管56が最初にストラップ部分12及び締結要素50によって支持体から吊り下げられた状態で、ストラップ部分14は、図1に示すように、曲げられたタング26及び延長スロット30によって提供される枢動軸線を中心として反時計回り方向に揺動される。
この揺動運動の間、図2に明瞭に示されるように、締結要素のヘッド52が開口部36を相対的に通過し、締結要素50のシャンク部48が開口部42を通過し、ヘッドが取付部24の隣接する外面に係合するように、ストラップ部14をパイプの上面に対して抱持する関係に揺動するように注意すべきである。図2に示す位置において、クリップ10は、最終的に、直線部分18および取付部24を実質的に当接して重ね合わされた関係にするために、締結要素50の固定部を支持体54に締め付けることで、パイプ56を支持する関係となり、支持体54に固定される。)

(1-g)「図1(上)、図2(下)




(1-h)図1、2には、クリップ10を固定する支持体54は施工面を有しており、クリップ10はパイプ56を支持体54の施工面に固定することが示されている。

(1-i)図1には、ストラップ部分12は、直線部分18と半円形部分16とを有しており、直線部分18は、支持体54の施工面に固定されることが示されている。
また、図1には、半円形部分16は、直線部分18から延出し、直線部分18に対して所定の位置に配置されるパイプ56を、ストラップ部分14の開放位置において、クッションパッド32を介して支持することが示されている。

(1-j)図1には、ストラップ部分14は、ストラップ部分12と別体であることが示されている。
また、上記(1-c)の記載、及び図2から、ストラップ部分14は、ストラップ部分12と枢動可能に相互接続され、所定位置にあるパイプ56をストラップ部分12との間に挟んで支持するといえる。

(1-k)上記(1-f)の記載、及び図2から、ストラップ部分14は、一端に締結要素50で締め付けることで直線部分18と重ね合わされた関係となる取付部24を有しているといえる。
また、上記(1-c)の記載、及び図1から、ストラップ部分14は、他端に半円形部分16の端部から延びる舌部26を受け入れる矩形開口部30が形成された延長部28を有するといえる。

上記(1-a)?(1-k)の事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。
「パイプ56を支持体54の施工面に固定するクリップ10であって、
支持体54の施工面に固定される直線部分18と、当該直線部分18から延出し、直線部分18に対して所定の位置に配置されるパイプ56を、ストラップ部分14の開放位置において、クッションパッド32を介して支持する半円形部分16と、を有するストラップ部分12と、
ストラップ部分12とは別体であって、ストラップ部分12と枢動可能に相互接続されて、所定位置にあるパイプ56をストラップ部分12との間に挟んで支持するストラップ部分14と、
を備え、
ストラップ部分14は、一端に締結要素50で締め付けることで直線部分18と重ね合わされた関係となる取付部24を有し、他端に半円形部分16の端部から延びる舌部26を受け入れる矩形開口部30が形成された延長部28を有する
クリップ10。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「パイプ56」、「支持体54の施工面」、「クリップ10」は、それぞれ、本願補正発明の「管」、「施工面」、「管固定具」に相当する。
よって、引用発明の「パイプ56を支持体54の施工面に固定するクリップ10」は、本願補正発明の「管を施工面に対して固定するための管固定具」に相当する。

イ 引用発明の「直線部分18」、「ストラップ部分12」は、それぞれ、本願補正発明の「ベース本体部」、「ベース」に相当する。
また、引用発明の(直線部分18を除く)「半円形部分16」は、「パイプ56を、ストラップ部分14の開放位置において」「支持する」ものであるから、本願補正発明の「仮保持部」に相当する。
よって、引用発明の「支持体54の施工面に固定される直線部分18と、当該直線部分18から延出し、直線部分18に対して所定の位置に配置されるパイプ56を、ストラップ部分14の開放位置において、クッションパッド32を介して支持する半円形部分16と、を有するストラップ部分12」と、
本願補正発明の「施工面に固定されるベース本体部と、前記ベース本体部から突出し、前記ベース本体部に対する規定位置に配置される管に接触して前記管を支持する仮保持部と、を有するベース」とは、
「施工面に固定されるベース本体部と、前記ベース本体部から突出し、前記ベース本体部に対する規定位置に配置される管を支持する仮保持部と、を有するベース」である点で共通する。

ウ 引用発明の「ストラップ部分14」は、本願補正発明の「サドル」に相当する。
よって、引用発明の「ストラップ部分12とは別体であって、ストラップ部分12と枢動可能に相互接続されて、所定位置にあるパイプ56をストラップ部分12との間に挟んで支持するストラップ部分14」と、
本願補正発明の「ベースとは別体であって、前記ベースに取り外し可能に結合されて、規定位置にある管を前記ベースとの間に挟んで固定するサドル」とは、
「ベースとは別体であって、規定位置にある管を前記ベースとの間に挟んで固定するサドル」である点で共通する。

エ 引用発明の「取付部24」、「延長部28」は、それぞれ、本願補正発明の「第1結合部」、「第2結合部」に相当する。
引用発明の「取付部24」(第1結合部)は、締結要素50で締め付けることで直線部分18(ベース本体部)と重ね合わされた関係となるから、直線部分18(ベース本体部)と結合されるといえる。
また、引用発明の「延長部28」(第2結合部)は、半円形部分16(仮保持部)の端部から延びる舌部26を矩形開口部30で受け入れ、「延長部28」(第2結合部)を有するストラップ部分14と半円形部分16(仮保持部)を有するストラップ部分12とは、枢動可能に相互接続されるものであるから、半円形部分16(仮保持部)と係合されるといえる。
よって、引用発明の「ストラップ部分14は、一端に締結要素50で締め付けることで直線部分18と重ね合わされた関係となる取付部24を有し、他端に半円形部分16の端部から延びる舌部26を受け入れる矩形開口部30が形成された延長部28を有する」点は、本願補正発明の「サドルは、第1端にベース本体部に結合される第1結合部を有し、第2端に仮保持部に係合される第2結合部を有する」点に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「管を施工面に対して固定するための管固定具であって、
前記施工面に固定されるベース本体部と、前記ベース本体部から突出し、前記ベース本体部に対する規定位置に配置される前記管を支持する仮保持部と、を有するベースと、
前記ベースとは別体であって、前記規定位置にある前記管を前記ベースとの間に挟んで固定するサドルと、
を備え、
前記サドルは、第1端に前記ベース本体部に結合される第1結合部を有し、第2端に前記仮保持部に係合される第2結合部を有する
管固定具。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
仮保持部に関して、本願補正発明は、「管に接触して」支持するのに対し、引用発明は、クッションパッド32を介して支持する点。

[相違点2]
サドルに関して、本願補正発明は、「ベースに取り外し可能に結合され」るのに対し、引用発明は、ストラップ部分12と枢動可能に相互接続される点。

(3)判断
ア 上記[相違点1]について検討する。
一般に、管を固定する管固定具において、管を支持する際にクッションパッドを用いるかどうかは、配管の種類等に応じて当業者が適宜設定するものであるところ、管に接触して管を支持するように構成された管固定具は、周知の技術である(例えば、米国特許出願公開第2013/0313375号明細書の図1A、欧州特許出願公開第2218954号明細書の図4参照のこと。以下「周知技術1」という。)。
よって、周知技術1を勘案すれば、引用発明において、仮保持部が管に接触して管を支持するように構成することは、当業者が適宜なし得たことである。

イ 上記[相違点2]について検討する。
複数の支持具により管を挟んで固定する管固定具において、複数の支持具を取り外し可能に結合することは、周知の技術である(例えば、原査定において引用文献2として示した実願平2-1399号(実開平4-1790号)のマイクロフィルムの第6頁第15行?第8頁第3行、図1及び図2、米国特許出願公開第2013/0313375号明細書の段落[0031]、図5、米国特許出願公開第2013/0117971号明細書の図5A乃至図8C、欧州特許出願公開第2218954号明細書の図1乃至図3を参照のこと。以下「周知技術2」という。)
さらに、上記周知技術2として例示した米国特許出願公開第2013/0313375号明細書には、クランプ630におけるヒンジ640を取り外し可能にベース620に取り付けた点が記載されており(段落[0031])、上記記載は、複数の支持具がヒンジにより結合された管支持具においても、支持具を取り外し可能に構成することができることを示唆している。

「米国特許出願公開第2013/0313375号明細書 図5



引用発明と周知技術2とは、共に複数の支持具により管を挟んで固定する管固定具である点で共通する。
よって、引用発明に周知技術2を適用し、ストラップ部分14(サドル)とストラップ部分12(ベース)とを取り外し可能に結合するように構成することは、当業者であれば容易になし得たことである。

ウ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「さらに、引用文献1は、課題の一つとして「航空機設備等において、手が届かなかったり容易にアクセスできない位置に導線管を固定するための留め具を提供する」ことを挙げている(第1欄43-54行)。引用文献1の支持留め具において、Strap section 14が取り外し可能になれば、アクセスしづらい位置にあるにも関わらずStrap section 14が外れてしまい取り付けずらくなるという不具合が生じ、上記の課題を解決できなくなる。
上記の検討結果から分かるとおり、引用文献1は、ストラップ部12,14を分離可能とする構成を積極的に排斥しており、引用文献1に、引用文献2の「第1ブラケットと第2ブラケットとが別体であって、取り外し可能に結合される」という技術を適用することには阻害要因があり(審査基準 第III部 第2章 第2節 進歩性 3.2.2 阻害要因)、上記の相違点1及び相違点2は、当業者が容易に想到し得たこととは言えない。したがって、引用文献1,2に基づいて本願発明を容易に想到することはできないと思料する。」(「(4)本願発明と引用文献との対比」参照)と主張する。
しかしながら、引用文献2の第1ブラケットと第2ブラケットとの取付けは、第2ブラケットの舌片22を第1ブラケットの長孔5に差込み、ボルトを挿入穴11に通して固定する(第8、9頁、図1参照)という簡単なものであるから、容易にアクセスできない位置において管を固定できないものではない。むしろ、引用文献1のようなストラップ部分14とストラップ部分12と枢動可能に相互接続されるものは、ストラップ部分14を回動させるためのスペースが必要となるため、容易にアクセスできない狭い空間においては、引用文献2のような取り外し可能なものの方が作業がしやすい場合もあると考えられる。
仮に、引用発明において、ストラップ部分12とストラップ部分14とが枢動可能に相互接続されることが、容易にアクセスできない位置に導線管を固定するための留め具を提供するという課題を解決するために必要な構成であったとしても、上記(3)イで検討したとおり、周知技術2として例示した米国特許出願公開第2013/0313375号明細書は、複数の支持具がヒンジにより結合された管支持具においても、支持具を取り外し可能に構成することができることを示唆しているから、引用発明のストラップ部分12とストラップ部分14とが枢動可能な構成を採用したまま、取り外し可能とすることも当業者が適宜なし得たことといえる。
したがって、引用文献1に引用文献2に記載されるような第1ブラケットと第2ブラケットを取り外し可能に結合されるという技術を適用することに阻害要因があるとはいえない。
よって、請求人の主張は採用できない。

「引用文献2:実願平2-1399号(実開平4-1790号)のマイクロフィルム 第1図



(4)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明は、令和2年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2[理由]1(1)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:米国特許第3061253号明細書
引用文献2:実願平2-1399号(実開平4-1790号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)

3 引用例
引用例1及びその記載事項は、前記「第2[理由]3(1)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本願補正発明の「サドル」に関して、「前記サドルは、第1端に前記ベース本体部に結合される第1結合部を有し、第2端に前記仮保持部に係合される第2結合部を有する」との限定を削除するものである。
本願発明と引用発明とを対比すると、前記「第2[理由]3(2)」で検討した相違点と同様の相違点1、2において相違するから、前記「第2[理由]3(3)(4)」で検討したとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-07-09 
結審通知日 2021-07-13 
審決日 2021-07-30 
出願番号 特願2016-182338(P2016-182338)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳本 幸雄豊島 ひろみ  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 山崎 勝司
平城 俊雅
発明の名称 管固定具  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
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