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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B66B
管理番号 1378254
審判番号 不服2020-15966  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-18 
確定日 2021-09-16 
事件の表示 特願2016-115245「昇降機用復旧支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日出願公開、特開2017-218302〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願は、平成28年 6月 9日の出願であって、令和 2年 1月 8日付けで拒絶理由通知がされ、同年 3月10日に意見書が提出されるとともに手続補正され、同年 4月20日付けで最後の拒絶理由通知がされ、同年 6月29日に意見書が提出されるとともに手続補正されたが、当該令和 2年6月29日にした手続補正は、同年 8月 6日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶査定(以下、「原査定」という。)された。
これに対して同年11月18日に審判請求書が提出されると同時に手続補正書により手続補正がなされ、令和 3年 3月15日に上申書が提出されたものである。

第2 令和2年11月18日にした手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和2年11月18日にした手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

【請求項1】
作業者の位置を示す作業者位置情報、復旧作業が必要な複数の昇降機のそれぞれの位置を示す複数の昇降機位置情報および複数の前記昇降機のそれぞれの優先度を示す複数の優先度情報を用いて、前記作業者が担当する前記昇降機を決定する担当決定装置を備え、
複数の前記優先度情報のうち、前記昇降機が設置された建物の管理者からの電話による復旧作業の催促があった場合に、催促を受けた情報センタの管理者により前記昇降機の前記優先度が上位の前記優先度となるように前記担当決定装置が操作されることによって、復旧作業の催促があった前記昇降機の前記優先度を示す前記優先度情報が変更され、
前記担当決定装置は、前記昇降機の復旧作業が完了した場合に、復旧作業が完了した前記昇降機を担当した前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する時の前記作業者位置情報、複数の前記昇降機位置情報および複数の前記優先度情報を用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する昇降機用復旧支援システム。
【請求項2】
前記担当決定装置は、複数の前記作業者のそれぞれの位置を示す複数の前記作業者位置情報、複数の前記昇降機位置情報および複数の前記優先度情報を用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する請求項1に記載の昇降機用復旧支援システム。
【請求項3】
前記作業者に所持される携帯端末装置をさらに備え、
前記携帯端末装置には、前記携帯端末装置を所持する前記作業者が次に担当する前記昇降機を前記担当決定装置が決定した場合に、担当が決定された前記昇降機を特定する昇降機特定情報または担当が決定された前記昇降機の前記昇降機位置情報が入力される請求項1または請求項2に記載の昇降機用復旧支援システム。
【請求項4】
前記担当決定装置は、前記昇降機の復旧作業が完了した場合に、復旧作業が完了した前記昇降機についての前記担当決定装置に記憶されている前記昇降機位置情報を、復旧作業が完了した前記昇降機を担当した前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する時の前記作業者位置情報として用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の昇降機用復旧支援システム。

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和 2年 3月10日に手続補正した特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。

【請求項1】
作業者の位置を示す作業者位置情報、復旧作業が必要な複数の昇降機のそれぞれの位置を示す複数の昇降機位置情報および複数の前記昇降機のそれぞれの優先度を示す複数の優先度情報を用いて、前記作業者が担当する前記昇降機を決定する担当決定装置を備え、
複数の前記優先度情報のうち、復旧作業の催促があった場合に、前記担当決定装置が操作されることによって、復旧作業の催促があった前記昇降機の前記優先度を示す前記優先度情報が変更され、
前記担当決定装置は、前記昇降機の復旧作業が完了した場合に、復旧作業が完了した前記昇降機を担当した前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する時の前記作業者位置情報、複数の前記昇降機位置情報および複数の前記優先度情報を用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する昇降機用復旧支援システム。
【請求項2】
前記担当決定装置は、複数の前記作業者のそれぞれの位置を示す複数の前記作業者位置情報、複数の前記昇降機位置情報および複数の前記優先度情報を用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する請求項1に記載の昇降機用復旧支援システム。
【請求項3】
前記作業者に所持される携帯端末装置をさらに備え、
前記携帯端末装置には、前記携帯端末装置を所持する前記作業者が次に担当する前記昇降機を前記担当決定装置が決定した場合に、担当が決定された前記昇降機を特定する昇降機特定情報または担当が決定された前記昇降機の前記昇降機位置情報が入力される請求項1または請求項2に記載の昇降機用復旧支援システム。
【請求項4】
前記担当決定装置は、前記昇降機の復旧作業が完了した場合に、復旧作業が完了した前記昇降機についての前記担当決定装置に記憶されている前記昇降機位置情報を、復旧作業が完了した前記昇降機を担当した前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する時の前記作業者位置情報として用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の昇降機用復旧支援システム。

(3)本件補正の適否
本件補正は、請求項1の「復旧作業の催促があった場合」との発明特定事項を、「前記昇降機が設置された建物の管理者からの電話による復旧作業の催促があった場合」とするとともに、「前記担当決定装置が操作される」との発明特定事項を「催促を受けた情報センタの管理者により前記昇降機の前記優先度が上位の前記優先度となるように前記担当決定装置が操作される」とするものである。

当該発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に「 また、優先度が上位のエレベーター11としては、建物1の管理者から電話などによって復旧作業の催促があったエレベーター11、閉込故障が発生したエレベーター11などが挙げられる。優先度が標準のエレベーター11は、復旧作業の催促がある場合、閉込故障が発生した場合などに、優先度が上位のエレベーター11となる。つまり、エレベーター11の優先度は変更可能となっている。エレベーター11の優先度情報は、監視装置12から担当決定装置31に送信されてもよく、また、情報センタ3における管理者が担当決定装置31を操作することによって担当決定装置31に入力されてもよい。」(段落【0017】)と記載されているから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

また、本件補正は補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「復旧作業の催促」、「担当決定装置」を操作する者及び操作内容について、上記のとおり発明特定事項を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記のとおり、本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許をうけることができるものであるか)について、以下、検討する。

2. 独立特許要件について
2-1 本件補正発明
補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」いう。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記1.(1)に記載したとおりのものである。

2-2 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2009-214994号公報(平成21年 9月24日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生等の非常事態が発生した場合の昇降機の復旧のための機能を有する昇降機保守管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生時、例えば地震が発生した場合には、エレベータの地震感知器により地震を感知して動作を停止させるとともに、地震感知情報が電話回線を介して遠隔監視センタに設置された監視端末に対して発報される。一方、監視端末はエレベータの動作を常時監視しており、エレベータから発報された地震感知情報を監視端末が受信すると当該遠隔監視センタのオペレータが保守員の派遣を指示する。」

イ「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば大規模な災害が発生して、保守員が多数の昇降機の復旧のための作業を行なわなければならなくなった場合に、例えば昇降機の設置箇所が昇降機の早急な復旧を要する病院であったり乗りかごに乗客が閉じ込められていたりと、保守員が優先的に巡回して作業を行なわなければならない場合がある。
【0008】
保守員は、平常時の保守作業のために各昇降機を巡回する場合には巡回予定の昇降機を記したリストにしたがって巡回すればよいが、災害が発生した場合には、保守員は、緊急性などを考慮した巡回を行なうためには前述した閉じ込めの有無の情報や保守員自身の現在位置から各昇降機までの距離などを考慮して巡回の順序を判断する必要があるため、各昇降機を適切な順序で巡回して復旧作業を行なうことが困難であった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、災害が発生した場合の保守員による昇降機の適切な復旧作業を支援することが可能になる昇降機保守管理装置を提供することにある。」

ウ「【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムは、複数のエレベータを監視するための監視センタ1、当該監視センタ1内に設置されたセンタ装置2、エレベータの各号機の図示しない乗りかごを運転させるエレベータ制御装置3a?3c、当該エレベータ制御装置3a?3cとそれぞれ接続されてエレベータの状態を監視する各号機の遠隔監視装置4a?4c、センタ装置2と遠隔監視装置4a?4cとを繋ぐ電話回線5、エレベータ制御装置3a?3cと接続されて地震発生時にエレベータの運行停止の信号を出力する各号機の地震感知器6a?6c、監視センタ1との間の通信を行なうための携帯通信端末装置7を有する。携帯通信端末装置7は保守員8が携帯する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのセンタ装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、センタ装置2は、装置全体の処理動作を司る制御部11、主記憶装置12、補助記憶装置13、災害情報受信部14、モード切替部15、演算部16、昇降機の復旧のための作業の優先順位 の更新手段である優先度更新部17、保守員の現在位置情報 を取得する位置情報取得部18、エレベータのそれぞれについて復旧作業を担当する保守員を割り当てる割当手段である割当処理部19、指示情報生成部20、前述のように割り当てた保守員に当該保守員が復旧作業を担当するエレベータの情報を通知する通知手段である通知処理部21、キーボードやスイッチなどの入力装置22、通信インタフェース23、ディスプレイ装置などの表示装置24を備え、それぞれがバス25を介して相互に接続される。」

エ「【0017】
図3は、本発明の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのセンタ装置が管理する物件情報第1テーブルの構成例を表形式で示す図である。
センタ装置2の補助記憶装置13の物件情報記憶部36には図3に示した構成の物件情報第1テーブルが記憶される。
【0018】
このテーブルでは、監視センタ1による監視対象のエレベータが設置される各建物の建物ID、建物住所 、建物用途、階高、製造年、契約種別および過去の故障回数が関連付けられる。建物用途は例えば病院、駅舎、学校、マンション、オフィスが挙げられる。」

オ「【0019】
図4は、本発明の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのセンタ装置が管理する物件情報第2テーブルの構成例を表形式で示す図である。
補助記憶装置13の物件情報記憶部36には図4に示した構成の物件情報第2テーブルがさらに記憶される。
【0020】
このテーブルは、物件情報第1テーブル上で示された各建物内に設置されるエレベータの各号機の情報を管理するものであり、建物ID、エレベータ号機を示す物件名、現場位置、現場までの経路情報、建物に入館してからのエレベータへ到着するまでの経路を示す入館情報、顧客代表者名、顧客連絡先が関連付けられて管理される。
【0021】
図5は、本発明の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのセンタ装置が管理する優先度テーブルの構成例を表形式で示す図である。
センタ装置2の主記憶装置12の優先度情報記憶部31には図5に示した構成の優先度テーブルが記憶される。
【0022】
このテーブルは、監視センタ1による監視対象の各エレベータについて災害発生時における復旧作業の優先順位を定めたものであり、建物ID、エレベータ号機名を示す物件名、優先度パラメータおよび優先度の値が関連付けられて管理される。
【0023】
優先度パラメータは優先度の値の計算のためのパラメータであり、顧客重要度、保守対応リスク、故障発生リスク、緊急性・重要性リスク、対応困難性および即時性リスクでなる。
・・・
【0027】
緊急性・重要性リスクは災害に対する防災の緊急性あるいは重要性に基づくリスクの程度を示す値である。このうち緊急性とは乗客の乗りかごへの閉じ込めの有無を示しており、当該乗りかごのインターホンによる発呼の有無により決定される。また、前述した重要性はエレベータの設置箇所の状況に左右される。具体的には図3に示した物件情報第1テーブル上の該当号機の設置建物の建物IDに関連付けられる建物用途や階高により決定される。」

カ「【0032】
定期点検時保守作業項目は平常の定期点検時に行なわれる保守作業項目であり、制御盤の保守作業、乗りかごの保守作業などが挙げられる。また、障害時保守作業項目は災害発生時や障害発生時に行なわれる保守作業項目であり、エレベータが復旧できたか否かを判定するための作業項目である。
【0033】
主記憶装置12の作業項目第1記憶部33には、前述した優先度テーブルにおいて優先度が高い、例えば基準値以上のエレベータに関する作業項目テーブルが記憶され、補助記憶装置13の作業項目第2記憶部37には前述した優先度テーブルにおいて優先度が低い、例えば前述した基準値未満のエレベータに関する作業項目テーブルが記憶される。このように作業項目テーブルの記憶箇所を区別しておくことでアクセスの効率を向上させることができる。これにより通信集中にともなうセンタ装置2での処理能力オーバー等により通信不能状態に陥ることを回避することができる。」

キ「【0038】
前述した優先度テーブル上の優先度パラメータは、物件情報第1テーブル、物件情報第2テーブル、各保守員の現在位置情報や作業管理テーブルが更新されることにともない、センタ装置2の入力装置22への操作により書き換えられる。この優先度パラメータが書き換えられることにともない、演算部16が優先度を再度計算する。つまり、地域毎の被災あるいは復旧の連絡が確認される毎に優先度パラメータを増減させるのでリアルタイムで優先順位を変動させることができる。」

ク「【0043】
そして、災害発生から一定時間が経過した後、保守員による復旧連絡により図7に示した作業管理テーブルが更新されると、この処理により優先度のパラメータが更新された優先度テーブル上の優先度の高さおよび保守員の現在位置からの距離が考慮されて、保守員が保守作業を行なうべきエレベータの情報が対応情報テーブルに再度割り当てられる 。これにより、災害発生と同時に、回線障害などによりエレベータの遠隔監視装置4およびセンタ装置2間の通信が滞って優先度の適切な更新が出来ない場合でも、保守員に復旧作業を行なうべき昇降機の情報を送信することができる。」

ケ「【0057】
割当処理部19は、各保守員の現在位置情報から物件情報記憶部36に記憶される物件情報第1テーブル上で管理される各建物の住所までの距離、および優先度テーブル上の各物件の優先度の高低を考慮して、各保守員のそれぞれについて、物件情報記憶部36に記憶される物件情報第2テーブルで示される各エレベータの物件名から当該保守員が復旧のための保守作業を行なうべきエレベータの物件名を選択する 。
【0058】
割当処理部19は、この選択した物件名および当該物件名に関連付けられる現場位置、経路情報、入館情報、顧客代表者名、顧客連絡先を物件情報第2テーブルから読み出し、これら読み出した情報を前述した対応情報テーブル上の該当保守員の保守員IDに関連付ける(ステップS7)。
【0059】
ここでは、割当処理部19は、単一の保守員IDについて対応情報テーブル上に関連付けたエレベータの各種情報が複数台分であるとする。この場合、割当処理部19は、これらのエレベータのそれぞれについて、作業を担当すべき保守員による保守作業の優先順位を計算する。
【0060】
指示情報生成部20は、対応情報テーブルおよび計算済みの優先順位をもとに各保守員に対応する指示情報テーブルを生成する。通知処理部21は、対応情報テーブル上の各保守員の保守員IDに対応付けられるメールアドレス宛てに、生成済みの指示情報テーブル上の該当保守員IDおよび当該IDに関連付けられる物件名、現場位置、経路情報、入館情報、顧客代表者名、顧客連絡先を指示情報として送信する(ステップS8)。
【0061】
送信先の携帯通信端末装置7が指示情報である物件名、現場位置、経路情報、入館情報、顧客代表者名、顧客連絡先を受信すると、保守員は携帯通信端末装置7の入力装置の操作により指示情報の確認通知信号をセンタ装置2に送信する、この確認通知信号には指示情報に含まれていた保守員IDおよび各エレベータの物件名が含まれる。
【0062】
ここで、送信する指示情報には、保守作業の優先順位が高い予め定められた台数のエレベータに関する指示情報の優先的な表示を指示するための制御情報が含まれる。これにより受信先、つまりエレベータの保守員が携帯する携帯通信端末装置7では、受信済みの指示情報のうち、保守作業の優先順位が高い予め定められた台数のエレベータに関する指示情報の優先的な表示を行なう。これにより携帯通信端末装置7の表示装置の表示領域が小さい場合でも必要な情報を保守員に通知できる。」

コ「【図1】



サ「【図2】



シ「【図11】



上記摘記事項ア?シから、引用文献1には、次の発明が記載されているものといえる(以下、「引用発明」という。)。

(引用発明)
各保守員の現在位置情報から物件情報記憶部36に記憶される物件情報第1テーブル上で管理される各建物の住所までの距離、および優先度テーブル上の各物件の優先度の高低を考慮して、各保守員のそれぞれについて、物件情報記憶部36に記憶される物件情報第2テーブルで示される各エレベータの物件名から当該保守員が復旧のための保守作業を行なうべきエレベータの物件名を選択する割当処理部19を備え、
乗りかごのインターホンによる発呼の有無により決定される緊急性・重要性リスクから優先度の高さが計算され、
割当処理部19は、保守員による復旧連絡により作業管理テーブルが更新されると、この処理により優先度のパラメータが更新された優先度テーブル上の優先度の高さおよび保守員の現在位置からの距離が考慮されて、保守員が保守作業を行なうべきエレベータの情報が対応情報テーブルに再度割り当てられるエレベータ遠隔保守システム。

(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2011-230892号公報(平成23年11月17日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア「【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、遠隔監視された機器の巡回作業を支援する巡回作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔監視されている監視対象機器が災害で同時に多数被災した場合には、例えば広域災害時復旧支援システムにおいて、監視センターが、各監視対象機器に設置された遠隔監視装置から得た各監視対象機器の運行状況に基づいて、被災して復旧が必要な監視対象機器を復旧作業者の携帯端末へ的確に通知することで、復旧作業者は被災した監視対象機器のみ巡回、復旧を行うことが可能となり、無駄な巡回を最小限に留める方法が知られている。」

イ「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、作業結果及び作業員の巡回ルートの最適化のための入力情報の追加や情報の変更があった場合には、再度最適化処理を行う必要がある。災害時には短期間で状況が大きく変化し、各作業員及び各拠点でリアルタイムに収集される情報が異なることがある。このような不完全情報の状況下では、最適化処理による拠点での処理の負荷及び作業員との調整の負荷が増大し、最適な巡回計画を作業員へ提示しきれない問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、通信装置が収集した巡回対象装置の情報と外部からの連絡と他の作業員の作業予定および作業結果とGPS情報を利用した近辺に所在する作業員の状況とを踏まえ、拠点指令者の大局観に基づいて各作業員が必要な情報に限定して巡回判断材料となる情報を携帯端末に表示する。作業員が巡回時の判断をシステムに入力することにより、災害時に増大する拠点処理負荷および作業員との調整を支援することができる巡回作業支援システムを提供することを目的とする。」

ウ「【0010】
(1)システム構成
本実施例の巡回作業支援システムの構成を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように現場201の例えばセンサー付監視装置といった巡回対象装置2の巡回作業を支援する巡回作業支援システム200は、指令部拠点202に設けられた機器と、現場作業員拠点203に設けられた機器と、作業員が携帯する携帯電話端末17から構成され、これらの機器はネットワークや電話網で接続されている。
【0011】
現場201には、通信装置1と巡回対象装置2が設けられている。通信装置1は、巡回対象装置2からの異常や停電などを示すセンサー情報を、指令部拠点装置202に出力するものである。
【0012】
指令部拠点202には、通信装置6と、監視制御装置7と、監視情報入力装置8と、電話回線制御装置10と、外部情報共有装置11と、情報共有装置12と、携帯端末通信装置13と、情報保存装置14とが設けられ、ネットワークで接続されている。また、電話回線制御装置10には電話機9が接続されている。
【0013】
通信装置6は、通信装置1からセンサー情報が入力される例えばゲートウェイサーバである。
【0014】
監視制御装置7は、例えば監視用サーバであって、指令部拠点202の指令者が監視情報入出力装置8に入力した、作業者にどの巡回対象装置2を巡回するかについての指示を情報保存装置14に保存すると共に、携帯端末通信装置13を介して携帯電話端末17に出力するものである。
【0015】
監視情報入出力装置8は、例えば監視用クライアントとしてのコンピュータ(PC)であって、情報保存装置14に保存された現場作業員情報100と、対象装置情報101と、対象装置間距離情報102を表示するものである。また監視情報入出力装置8は、指令部拠点202の指令者が監視情報入出力装置8に表示された情報に基づいて、大局観から巡回対象装置2を巡回する順番や作業予定者を判断し、作業員への指示を入力するものである。
【0016】
電話回線制御装置10は、例えばCTIサーバであって、指令部拠点202に設けられた電話機9に接続されている。この電話機9は、作業員からの連絡や、巡回対象装置の管理者等から指令部拠点への巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せを受けるためのものである。」

エ「【0032】
対象装置情報101は、図2(2)に示すように、各巡回対象装置(サ)について、予め登録された例えば度分秒[dd.mm.ss]や度[dd.dd]を単位とする緯度(シ)と経度(ス)で表わされる位置情報、所属地域(セ)と、通信装置1を介して収集されたセンサー情報の出力より算出されるセンサー情報優先度(タ)と、巡回対象装置の管理者等からの巡回対象装置に対する保守や点検等の作業依頼である問合せに基づいて指令部拠点の指令者が入力した問合せ優先度(チ)と問合せ状況(ツ)と、各優先度と係数から算出される総合優先度(ソ)と、作業予定者(テ)で構成される。
【0033】
<優先度の算出>
ここでセンサー情報優先度(タ)、問合せ優先度(チ)と、総合優先度(ソ)の算出方法について説明する。
【0034】
・センサー情報優先度(タ)
センサー情報優先度(タ)とは、巡回対象の装置に設けられたセンサーから出力された信号の種類に基づいて、巡回対象装置に対する作業の優先度を定義したものである。信号の種類と優先度の例を以下に示す。
【0035】
緊急異常信号:重異常(稼働中緊急異常の発生でユーザに関わるため。)
起動不能信号:中異常(装置異常だが待機中異常でユーザの存在は未確認なため。)
停電信号 :低異常(対処は必要だがバッテリー等により継続動作可能なため。)
・問合せ優先度(チ)
問合せ優先度(チ)とは、巡回対象装置の管理者等から指令部拠点への巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せの優先度である。この問合せ優先度は人間系による判断をシステムに入力する。図1に示すように、拠点指令者は監視情報入出力装置8かPC15から情報共有装置12を介し、作業員は携帯電話端末17から携帯端末通信装置13を介して、情報保存装置14に判断結果を入力する。判断基準の例を以下に示す。
【0036】
緊急:ユーザを束縛する異常ケースで対応を急ぐもの。
【0037】
高:重要顧客からの問合せや、ユーザ数が大きい装置に関するもの。
【0038】
中:一般顧客からの問合せで即日?翌日に対応が必要なもの。
【0039】
低:一般顧客からの問合せで対応に2日以上の猶予があるもの。
【0040】
・総合優先度(ソ)
総合優先度(ソ)は、情報保存装置14に保存された優先度マトリックスに基づいて判断される。図3に示すように優先度マトリックスは、センサー情報優先度と問合せ優先度に基づいて予め管理者が定義する。」

オ「【図1】



カ「【図2】(2)




ク「【図3】



2-3 対比・判断
(1)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「各保守員の現在位置情報」は、本件補正発明の「作業者の位置を示す作業者位置情報」に相当する。

また、引用発明の「物件情報記憶部36に記憶される物件情報第1テーブル上で管理される各建物の住所」は、引用発明が物件情報記憶部36に記憶される建物に設置されたエレベータの復旧作業を行うものであるから、本件補正発明の「復旧作業が必要な複数の昇降機のそれぞれの位置を示す複数の昇降機のそれぞれの位置を示す複数の昇降機位置情報」に相当する。

引用発明の「優先度テーブル上の各物件の優先度の高低」は、本件補正発明の「複数の前記昇降機のそれぞれの優先度を示す複数の優先度情報」に相当する。

そして、引用発明の「割当処理部19」は、「各保守員の現在位置情報から物件情報記憶部36に記憶される物件情報第1テーブル上で管理される各建物の住所までの距離、および優先度テーブル上の各物件の優先度の高低を考慮して、各保守員のそれぞれについて、物件情報記憶部36に記憶される物件情報第2テーブルで示される各エレベータの物件名から当該保守員が復旧のための保守作業を行なうべきエレベータの物件名を選択する」ものであるから、本件補正発明の「作業者の位置を示す作業者位置情報、復旧作業が必要な複数の昇降機のそれぞれの位置を示す複数の昇降機位置情報および複数の前記昇降機のそれぞれの優先度を示す複数の優先度情報を用いて、前記作業者が担当する前記昇降機を決定する担当決定装置」に一致する。

引用発明の「保守員による復旧連絡により作業管理テーブルが更新されると」は、本件補正発明の「前記昇降機の復旧作業が完了した場合に」に相当する。

そして、引用発明の「この処理により優先度のパラメータが更新された優先度テーブル上の優先度の高さおよび保守員の現在位置からの距離が考慮されて、保守員が保守作業を行なうべきエレベータの情報が対応情報テーブルに再度割り当てられる」は、「保守員による復旧連絡により作業管理テーブルが更新される」処理の後に、「この処理により優先度のパラメータが更新された優先度テーブル上の優先度」や「保守員の現在位置からの距離が考慮される」のであって、当該「優先度テーブル上の優先度」が優先度テーブル上の各物件に対応して設定されているとともに各物件が物件情報第1テーブル上で管理されている建物の住所とも対応しているのであるから、本件補正発明の「復旧作業が完了した前記昇降機を担当した前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する時の前記作業者位置情報、複数の前記昇降機位置情報および複数の前記優先度情報を用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する」に一致する。

また、引用発明の「エレベータ遠隔保守システム」は、本件補正発明の「昇降機用復旧支援システム」に相当する。

してみると、本件補正発明と引用発明とは、
「作業者の位置を示す作業者位置情報、復旧作業が必要な複数の昇降機のそれぞれの位置を示す複数の昇降機位置情報および複数の前記昇降機のそれぞれの優先度を示す複数の優先度情報を用いて、前記作業者が担当する前記昇降機を決定する担当決定装置を備え、
前記担当決定装置は、前記昇降機の復旧作業が完了した場合に、復旧作業が完了した前記昇降機を担当した前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する時の前記作業者位置情報、複数の前記昇降機位置情報および複数の前記優先度情報を用いて、前記作業者が次に担当する前記昇降機を決定する昇降機用復旧支援システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本件補正発明では、「複数の前記優先度情報のうち、前記昇降機が設置された建物の管理者からの電話による復旧作業の催促があった場合に、催促を受けた情報センタの管理者により前記昇降機の前記優先度が上位の前記優先度となるように前記担当決定装置が操作されることによって、復旧作業の催促があった前記昇降機の前記優先度を示す前記優先度情報が変更され」るのに対して、引用発明では、乗りかごのインターホンによる発呼の有無により決定される緊急性・重要性リスクから優先度の高さが計算される点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
上記2-2(2)の摘記事項ウに示すように、引用文献2の段落【0016】には、「・・・指令部拠点202に設けられた電話機9に接続されている。この電話機9は、作業員からの連絡や、巡回対象装置の管理者等から指令部拠点への巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せを受けるためのものである。」と記載されている。

また、摘記事項エに示すように、引用文献2の段落【0035】には、「問合せ優先度(チ)とは、巡回対象装置の管理者等から指令部拠点への巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せの優先度である。・・・拠点指令者は監視情報入出力装置8かPC15から情報共有装置12を介し、・・・情報保存装置14に判断結果を入力する。」ことが記載されており、同じく引用文献2の段落【0040】には、「総合優先度(ソ)は、情報保存装置14に保存された優先度マトリックスに基づいて判断される。図3に示すように優先度マトリックスは、センサー情報優先度と問合せ優先度に基づいて予め管理者が定義する。」と記載されている。

そして、摘記事項クに示す引用文献2の【図3】からは、問合せ優先度が「緊急」の場合には総合優先度が「高」に設定され、問合せ優先度が高?低の間では、センサー情報優先度の高低に応じて、総合優先度が「高」、「中」、「低」と定義していることが看取できる。

してみると、引用文献2には、巡回対象装置の管理者等からの電話による巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せがあった場合に、問合せを受けた拠点指令者が問合せ優先度を判断し、監視情報入出力装置8を介して情報保存装置14に判断結果を入力し、情報保存装置14に保存された予め定義された優先度マトリックスに基づいて、問合せのあった巡回対象装置の総合優先度が変更されることが記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。

ここで、引用文献2記載の技術的事項における「保守、点検等の作業依頼である問合せ」とは、引用文献2記載の技術的事項の課題が「災害時に増大する拠点処理負荷および作業員との調整を支援することができる巡回作業支援システムを提供する」(2-2(2)摘記事項イの段落【0006】を参照。)ことであって、「問合せ優先度」が「緊急」である場合の判断基準が「緊急:ユーザを束縛する異常ケースで対応を急ぐもの。」(2-2(2)摘記事項エの段落【0036】を参照。)であることを勘案すると、「災害時」に「ユーザを束縛する異常ケースで対応を急ぐ」ような点検等の作業依頼を含むものと解され、社会通念に照らして考えると、引用文献2記載の技術的事項における「保守、点検等の作業依頼である問合せ」は、「復旧作業の催促」に相当する問い合わせを包含するものというべきである。

また、当該「復旧作業の催促」に相当する「保守、点検等の作業依頼である問合せ」があった場合は、「問合せ優先度」が「緊急」の場合であるから、引用文献2記載の技術的事項における「監視情報入出力装置8を介して情報保存装置14に判断結果を入力し、情報保存装置14に保存された予め定義された優先度マトリックスに基づいて、問合せのあった巡回対象装置の総合優先度が変更されること」は、総合優先度が上位の「高」となるように情報保存装置14を操作することと解される。

そして、引用発明の課題が「災害が発生した場合の保守員による昇降機の適切な復旧作業を支援することが可能になる昇降機保守管理装置を提供する」(2-2(1)摘記事項イの段落【0009】を参照。)であって、引用文献2記載の技術的事項の課題が「災害時に増大する拠点処理負荷および作業員との調整を支援することができる巡回作業支援システムを提供する」ことであるから、引用発明と引用文献2記載の技術的事項とは、ともに共通の課題に対応する技術であって、引用発明において、「乗りかごのインターホンによる発呼の有無により決定される緊急性・重要性リスクから優先度の高さが計算される」ことに代えて、巡回対象装置の管理者等からの電話による巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せ、すなわち復旧作業の催促があった場合に、催促を受けた拠点指令者が問合せ優先度を「緊急」と判断し、当該巡回対象装置の総合優先度が上位の「高」となるように、監視情報入出力装置8を介して情報保存装置14に判断結果を入力し、情報保存装置14に保存された予め定義された優先度マトリックスに基づいて、問合せのあった巡回対象装置の総合優先度が変更されるよう構成することは、当業者が容易に想到し得たことというほかない。

(3)審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求書の第5ページにおいて、「上記引用文献2の段落[0035]には、問合せ優先度に関して、拠点指令者および作業員が判断結果を情報保存装置に入力する点が記載されております。
しかしながら、上記引用文献2には、昇降機が設置された建物の管理者からの電話による復旧作業の催促があった場合に、催促を受けた情報センタの管理者により昇降機の優先度が上位の優先度となるように担当決定装置が操作されることによって、優先度情報が変更される点について全く記載されておりません。」、「また、上記引用文献2には、電話によって復旧作業の催促を受けた情報センタの管理者により昇降機の優先度が上位の優先度となるように担当決定装置が操作される点については全く記載されておりません。」と主張するとともに、令和 3年 3月15日に提出した上申書においても、「また、審査官殿は、上記引用文献2には、復旧等の優先度を人の操作により入力できるものとすることが例示されていると御認定しております。
しかしながら、上記引用文献1および上記引用文献2の何れにも、担当決定装置が操作されることによって、特定の昇降機の優先度が上位の優先度となるように優先度情報が変更される点ついて全く記載されておりません。」とも主張している。

しかしながら、上記(2)で示したとおり、引用文献2記載の技術的事項における「保守、点検等の作業依頼である問合せ」は、「復旧作業の催促」に相当する問い合わせを包含するものであって、当該「復旧作業の催促」に相当する「保守、点検等の作業依頼である問合せ」があった場合は、総合優先度が上位の「高」となるように「拠点指令者」が情報保存装置14を操作するものであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。

2-4 小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件に係る出願の請求項1-4に係る発明は、令和 2年 3月10日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-4に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2009-214994号公報
引用文献2:特開2011-230892号公報

3.引用文献に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項並びに引用発明は、前記第2の[理由]2.2-2に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「復旧作業の催促」、「担当決定装置」を操作する者及び操作内容について限定する発明特定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.2-3に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。



 
審理終結日 2021-06-18 
結審通知日 2021-06-22 
審決日 2021-07-21 
出願番号 特願2016-115245(P2016-115245)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B66B)
P 1 8・ 575- Z (B66B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三宅 達  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 内田 博之
間中 耕治
発明の名称 昇降機用復旧支援システム  
代理人 曾我 道治  
代理人 梶並 順  
代理人 松岡 隆裕  
代理人 上田 俊一  
代理人 吉田 潤一郎  
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