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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1378299
審判番号 不服2021-1354  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-01 
確定日 2021-10-12 
事件の表示 特願2018-567124「フレキシブル熱電モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日国際公開、WO2017/223278、令和 1年 9月 5日国内公表、特表2019-525456、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年6月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年6月23日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成31年4月23日付けで手続補正がされ、令和1年10月2日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年1月7日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年3月30日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年7月2日付けで意見書が提出され、同年9月29日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年2月1日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年6月21日付けで当審より最後の拒絶理由通知がされ、同年6月29日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和3年6月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
導電性材料を充填された複数のビアを備えるフレキシブル基材であって、第1の基材表面と、前記第1の基材表面の反対側を向いた第2の基材表面とを有する、フレキシブル基材と、
前記フレキシブル基材の前記第1の基材表面上に配置された複数のp型熱電素子及び複数のn型熱電素子であって、前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記複数のビアに電気接続されており、p型熱電素子はn型熱電素子に隣接する、複数のp型熱電素子及び複数のn型熱電素子と、
前記フレキシブル基材の前記第2の基材表面上に配置された第1のセットのコネクタであって、前記第1のセットのコネクタの各々は、1対の隣接するビアを電気接続している、第1のセットのコネクタと、
前記複数のp型及びn型熱電素子上に直接印刷又は堆積された第2のセットのコネクタであって、前記第2のセットのコネクタの各々は、1対の隣接するp型及びn型熱電素子に電気接続している、第2のセットのコネクタと、
を備え、
前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される、フレキシブル熱電モジュール。」

なお、本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2011-91243号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、P型熱電半導体素子とN型熱電半導体素子とを含む熱電変換素子にフレキシブル配線が接続された熱電変換モジュール及び熱電変換モジュール作製方法に関する。」

「【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱電変換モジュール100を示す模式図である。熱電変換モジュール100は、主要な構成として、熱電変換素子102と、熱電変換素子102に接続されたフレキシブル配線104とを備える。さらに、熱電変換モジュール100は、フレキシブル基板106と、熱源に耐え得る耐熱性基板108と、銅箔配線110と、はんだ合金112とを備える。熱電変換素子102はフレキシブル基板106と耐熱性基板108とに挟まれている。熱電変換素子102は、P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとを含む。フレキシブル配線104は、伸縮性を有し、P型熱電半導体素子102a及びN型熱電半導体素子102bの少なくとも一方の変位に伴って伸縮可能に構成されている。
【0019】
熱電変換素子102の材料としては、ビスマス・テルル系(Bi-Te系:常温から500K程度まで)、鉛・テルル系(Pb-Te系:常温から800K程度まで)、シリコーン・ゲルマニウム系(Si-Ge系:常温から1000K程度まで)が用いられる。P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとは、耐熱性基板108の上に交互に配列され、はんだ合金112によってはんだ接続されている。
【0020】
フレキシブル配線104は、例えばシリコーン樹脂とAg粒子とを含む。フレキシブル配線104は、P型熱電半導体素子とN型熱電半導体素子とを接続する。更に、フレキシブル配線104は熱電変換素子102に直列電圧を印加するためのリード線としても機能し得る。フレキシブル配線104の詳細は、図2を参照して後述する。
【0021】
フレキシブル基板106は、伸縮性を有する。フレキシブル基板106は、フレキシブル配線104を保護するためにフレキシブル配線104を覆うように設けられる。フレキシブル基板106の材質はフレキシブル配線104の材質と同一である方が好ましい。フレキシブル基板とフレキシブル配線との接着性が強く熱電変換モジュールの強度が向上するからである。フレキシブル基板106の材質は例えばシリコーン樹脂を含む。耐熱性基板108は、熱源に耐え得る限りは、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリエーテルサルホン等からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質を用い得る。耐熱性基板108は、シリコーン系樹脂とガラス繊維とを含んだ基板でもよい。P型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子は、銅箔配線110へのはんだ接続により耐熱性基板上に実装されている。銅箔配線110は熱電変換素子102の起電力を取り出すためのリード線として機能し得、更に銅箔配線110は熱電変換素子102に直列電圧を印加するためのリード線としても機能し得る。
【0022】
本発明の実施形態によれば、フレキシブル配線104は、P型熱電半導体素子102a及びN型熱電半導体素子102bの少なくとも一方の変位に伴って伸縮可能に構成されているので、熱電変換モジュール100全体の変形に追随してフレキシブル配線104が伸縮することができる。その結果、フレキシブル配線104を断線させることなく自動車の排気管等の曲面熱源に装着することができる。装着側とは反対側に位置するフレキシブル基板106の伸張性が良く、曲面に沿わせた状態で形状維持できるため、曲面熱源に密着させることができる。
【0023】
更に本発明の実施形態によれば、熱電変換素子102は、伸縮性を有するフレキシブル基板106と熱源に耐え得る耐熱性基板108とで狭持されている。これにより、装着側とは反対側に位置するフレキシブル基板106の伸張性が良くなり、曲面に沿わせた状態で形状維持できるため、曲面熱源に密着させることができる。また、熱電変換モジュール100全体の可撓性が向上し、曲面熱源への装着性をさらに向上することができるとともに、耐熱性基板108を熱源側にして、曲面熱源に熱電変換モジュール100を設置することで、熱電変換モジュール100全体の耐熱性を向上し得る。
【0024】
更に本発明の実施形態によれば、耐熱性基板108はポリイミドを含み、フレキシブル基板106及びフレキシブル配線104は、シリコーン樹脂を含む。フレキシブル基板106及びフレキシブル配線104は材質同一であるのでフレキシブル基板106とフレキシブル配線104との接着性が強く熱電変換モジュール100の強度が向上する。更にフレキシブル基板106及びフレキシブル配線104がシリコーン樹脂を含むことによって伸張側の基板部分の可撓性及びフレキシブル配線104の伸縮性が良好なものとなり、曲面熱源への装着性をさらに向上することができる。」

「【0036】
〔熱電変換モジュールの作製方法〕
図3は、熱電変換モジュール100の作製方法の手順を示す模式図である。本発明の実施形態の熱電変換モジュール作製方法は、工程1から工程6によって実行される。図3において、(a)?(f)は、夫々工程1?工程6に対応する。
【0037】
工程1:耐熱性基板108を形成する。
【0038】
工程2:耐熱性基板108の上に銅箔配線110を形成する。
【0039】
工程3:銅箔配線110の上に、はんだ合金112を形成する。はんだ合金を0.1mmでスクリーン印刷することにより実行する。
【0040】
工程4:はんだ合金112の上に熱電変換素子102(P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102b)を形成する。
【0041】
工程5:熱電変換素子102上にフレキシブル配線104を形成する。フレキシブル配線104はAg-シリコーン樹脂を含む導電ペーストである。例えば、インクジェット印刷機構、ディスペンサ印刷機構、スクリーン印刷(シルク印刷)機構又はオフセット印刷機構を備えた形成手段によって実行し得る。このような形成手段は、マスクにより形成できるパターンが決まるが、大量生産に適している。導電ペーストの粘度は、特に限定されないが、使用する形成手段が備える機構の種類によって設定することが好ましい。例えば、インクジェット印刷機構の場合には0.01?1Pa・sの粘度ものを使用し、スクリーン印刷機構やオフセット印刷機構の場合には100?1000Pa・sの粘度ものを使用することが好ましい。導電ペーストの粘度はペーストの温度調整や、添加剤(希釈剤・増粘剤)の添加によって調整することができる。例えば、室温において、希釈剤を添加して銀粒子の含有率を75wt%にした導電ペーストの粘度は、1?3Pa・sになる。また、硬化後の銀粒子の含有率は85wt%になる。
【0042】
工程6:フレキシブル配線104上にフレキシブル基板106を形成する。
【0043】
なお、本発明の実施形態において、工程1?工程4は「熱電変換素子102を形成する第1工程」に相当し、工程5は「フレキシブル配線104を形成する第2工程」に相当し、工程6は「フレキシブル基板106を形成する第3工程」に相当する。
【実施例】
【0044】
〔発電能力試験〕
図4は、本発明の実施例であり、図3に示した作製方法で得られた本発明の熱電変換モジュール100の発電能力を示すグラフである。熱電変換モジュール100及び熱電変換モジュール100に含まれる各構成要素の作製条件、及び発電能力の測定条件は、以下のとおりである。
【0045】
熱電変換モジュール100に関して、熱電素子ゼーベック定数αは240μV/Kであり、内部抵抗Riは0.041Ωである。実施例として、熱電変換素子102(P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとのセット)を32個有する熱電変換モジュール100を用いた。熱電変換素子102に関して、ビスマス・テルル系(Bi-Te系)を用いた。P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとの各々については、大きさは縦3.2mm、横3.2mm、厚さ1.5mmであり、各々の無次元性能指数ZTは0.7(300K)、各々の抵抗率ρは1×10^(-3)Ω・cmである。フレキシブル電極104に関して、熱伝導率2.1W/m・K、抵抗率8×10^(-4)Ω・cm、厚さ250?280μmである。フレキシブル基板106に関して、シリコーン樹脂を含み、厚さ約120μmである。耐熱性基板108の材質はポリイミドであり、熱伝導率0.2W/mK、耐熱温度150℃、厚さ67μmである。銅箔配線110に関して、Au/NiPコートした銅箔配線であり、厚さは10μmである。はんだ合金112に関して、組成Sn-3.5Ag-0.5Cu(wt%)のはんだペーストであり、RMAフラックス10.5wt%含有し、融点は217℃であり、厚さは50?60μmである。」

「【0049】
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態に係る熱電変換モジュール200を示す模式図である。熱電変換モジュール200は、熱電変換素子102、フレキシブル配線104、フレキシブル基板106、耐熱性基板108、銅箔配線110、はんだ合金112、及び充填剤202を備える。充填剤202以外の各構成要素は、第1実施形態で説明した熱電変換モジュール100に含まれた対応する各構成要素と同様の機能を有するので、これらの説明を省略する。
【0050】
充填剤202は、P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとの間に充填されている。P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bによる熱伝導を支障なく行えると共に、熱電変換モジュール200の強度が増し、曲げ等に対する衝撃を吸収し、熱電変換モジュール200の強度を維持することができる。例えば充填剤202の熱伝導率は0.2W/m・Kであり、充填剤202の抵抗率は3×10^(16)Ω・cmである。充填剤202は、熱伝導率が低く、多孔質でかつ発泡性及び柔軟性を有するシリコーン等のゴム系材料や、空洞の球粒状セラミックスが混在されたゴム系材料であり得る。なお、フレキシブル配線104と充填剤202との接着性向上のため、フレキシブル配線104と充填剤202とは同様の材料を有する基材であることが好ましい。
【0051】
また、フレキシブル配線104とP型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとによって囲まれた空間の全てに充填剤202を充填する必要はない。フレキシブル配線104とP型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとによって囲まれた空間の少なくとも一部に充填剤202を充填することで、熱電変換モジュール200の一体感が高まる。従って、P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとの変位を許容しつつ、熱電変換モジュール200全体の強度を高めることができる。更に、充填剤202によりP型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとの間の空間が埋められるので、フレキシブル配線104が安定する。また、充填材202が良好な熱伝導性を有する場合は、P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとは熱源からの熱を均一に受けることができるので、より良好な起電力を生じることができる。
【0052】
P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとの間に充填剤202を充填する工程(充填工程)は、例えば、熱電変換モジュール100の作製方法における工程4の実行の後、工程5の実行前に、実行される。」

図1、3、7は、以下のとおりのものである。



上記引用文献1の段落【0041】の記載に照らすと、フレキシブル配線104は、導電ペーストであり、インクジェット印刷機構等を備えた形成手段によって、熱電変換素子102上に形成されるから、熱電変換素子102上に「直接印刷」されたものであるといえる。
したがって、上記引用文献1には、第2実施形態について、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「熱電変換素子102と、熱電変換素子102に接続されたフレキシブル配線104、フレキシブル基板106と、耐熱性基板108と、銅箔配線110と、はんだ合金112とを備える熱電変換モジュール200であって、
熱電変換素子102は、P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとを含み、熱電変換素子102(P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとのセット)を32個有し、
P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとは、耐熱性基板108の上に交互に配列され、はんだ合金112によってはんだ接続されており、
フレキシブル配線104は、P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとを接続し、熱電変換素子102上に直接印刷されており、
P型熱電半導体素子102aおよびN型熱電半導体素子102bは、銅箔配線110へのはんだ接続により耐熱性基板108上に実装されており、
充填剤202が、P型熱電半導体変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとの間に充填されている、熱電変換モジュール200。」

2 引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(韓国公開特許第10-2015-0116187号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(合議体による翻訳文のみを記載する。)。

「[0001]
本発明は、伸縮性熱電モジュール及びその製造方法に関するものである。詳細には、熱と電気の直接変換が可能な素子として、電子冷却、熱電発電などに利用される熱電モジュールに関するものである。」

「[0035]
図1は、既存技術による熱電モジュールの概略的な断面図。図2の(a)は、本発明の一実施例による伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図、図2の(b)は、伸縮性熱電モジュールが外力(F)によって伸張されたときの模式図。図3の(a)?(d)は、本発明の一実施例による伸縮性配線の模式図。図4の(a)は、本発明の一実施例による伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図、図4の(b)は、伸縮性熱電モジュールが曲がったときを示す模式図。図5は、本発明の一実施例によってモジュール内部を伸縮性高分子で満たして成り立った伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図。図6の(a)は、本発明の一実施例によって剛性が互いに異なる伸縮性高分子を使用した伸縮性基板を使用して行われる伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図、図6の(b)は、外力(F)によって伸張されたときの模式図。図7の(a)は、本発明による一実施例による、サーマルビア電極を備えた伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図、図7の(b)は、外力(F)によって伸張されたときの模式図。図8は、本発明の一実施例による、モジュール内部を伸縮性高分子で充填したサーマルビア電極を備えた伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図。図9は、本発明の一実施例によってサーマルビア電極が形成された基板表面に絶縁層が備えられている伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図。図10は、本発明の一実施例によってサーマルビア電極と基板との間にビア接着層が介在されている伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図。図11及び図12は、本発明の一実施例によるサーマルビア電極を備えた伸縮性熱電モジュールの別の例を示す概略的な断面図。」

「[0037]
図1に示すような従来の技術による熱電モジュール(10)は、伸縮性が低い素材で構成されており、伸縮性電子素子として利用されにくく、特に、熱電モジュール(10)に反復的な伸縮が加えられるとき、電極層(12)が破断したり、上部基板(11)と下部基板(11)から剥離される問題が発生することができる。
[0038]
本発明では、従来の熱電モジュールにおいて、p型熱電素子とn型熱電素子を電気的に直列に接続するために、p型熱電素子とn型熱電素子の間に渡って形成されている既存の電極とは異なり、p型熱電素子とn型熱電素子に接合されている各電極を分離し、この電極の間を伸縮性配線で接続することにより、外力による伸縮応力を伸縮性配線が吸収するように伸縮性熱電モジュールを構成した。
[0039]
図2の(a)は、本発明の一実施例による伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図である。図示されたように、伸縮性熱電モジュール(20)は、上部基板(21)と下部基板(21)と、上部基板(21)と下部基板(21)にそれぞれ接合された複数の電極(22)と、上部基板(21)の電極(22)と下部基板(21)の電極(22)との間に交互に配置して接合されているp型熱電素子(25)とn型熱電素子(26)と、これらが電気的に直列に接続されるように、上部基板(21)の電極(22)の間を接続し、下部基板(21)の電極(22)の間を接続する伸縮性配線(23)を含んでなる。
[0040]
各電極(22)は素子接合層(24)を介してp型熱電素子(25)とn型熱電素子(26)に接合される。素子接合層(24)には、はんだや導電性接着剤が使用されることができる。
[0041]
伸縮性配線(23)は、導電性と伸縮性を有する材料からなること好ましく、形状は伸縮応力を吸収することができる構造が望ましい。
[0042]
伸縮性配線(23)の形態を示す実施例が、図3の(a)?(d)図示されている。 伸縮性配線(23)は、(a)と(b)のように、二次元波形状または馬蹄形状に形成されていることが好ましく、(c)と(d)のように、波形状が三次元的に形成されることも好ましい。このような形態以外にも、伸縮応力を吸収することができる形態であれば、様々な形で形成されることもできる。
[0043]
伸縮性配線(23)は、伸縮性高分子に導電性が良い金属やCNT(炭素ナノチューブ)が複合された複合材料が使用されることが好ましい。具体的には、CNT、金属及び伸縮性高分子の複合材料で作られるか、金属と伸縮性高分子の複合材料で構成されたり、CNTと伸縮性高分子の複合材料からなることができる。これらの複合材料の構成は、伸縮性及び導電性が確保されている方向に多様に行うことができる。
[0044]
図2の(b)は、伸縮性熱電モジュールが外力(F)によって伸張されたときを示す模式図である。 図示されたように、外力(F)によって熱電モジュール(20)が伸張されている場合、図3に示された形態で行われた伸縮性配線(23)が増え、伸縮応力を吸収し、熱電素子(25、26)と電極(22)に及ぼす応力を最小限に抑えるようになる。したがって、繰り返された伸縮にも素子の安定性を維持しながら、機能することができるようになる。
[0045]
図4の(b)では、伸縮性熱電モジュール(20)が曲がっているときを模式図で示している。 図示されたように、曲がる方向によって伸縮性配線(23)の増える程度が変わることができ、よって多様な方向で印加される外力(F)に対しても伸縮性配線(23)が伸張が可能で、フレキシブル電子素子として機能することができるようになる。
[0046]
上部基板(21)または下部基板(21)は、アルミナ(Al_(2)O_(3))、窒化アルミニウム(AlN)、硝子(SiO_(2))、ガラス-セラミックス、炭化けい素(SiC)、窒化シリコン(Si_(3)N_(4))、シリコン(Si)の中で少なくとも一つを含んでなるセラミックスを使用して行うことともでき、エポキシ、フェノール、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポルリエテルスルホン、テプロン、FR4、シリコーン(silicone)、PDMS(polydimethylsiloxane)、ポリウレタンの中で少なくとも一つを含んでなる高分子を使用して行うこともできる。
[0047]
また、電極(22)は、銅(Cu)、銀(Ag)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、金(Au)、白金(Pt)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)のいずれかまたは複数が含まれている組成の金属でなることが好ましい。
[0048]
図2に示すように、電極(22)は、p型熱電素子(25)及びn型熱電素子(26)と素子接合層(24)を介して接合されるが、このとき、はんだは、スズ(Sn)に銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、金(Au)の中でいずれかまたは複数が含有された組成からなることが好ましい。
・・・
[0051]
図5は、モジュール内部を伸縮性高分子で充填した伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図である。本発明による伸縮性熱電モジュール(20)は、伸縮性を向上させるために、図5に示すように、モジュール内部の空きスペースを伸縮性高分子(51)で充填して構成することもできる。この場合には、伸縮性配線(23)と一緒にモジュール内部に充填された伸縮性高分子(51)が、伸縮性をより向上させることができる。
[0052]
本発明による伸縮性熱電モジュールは。上部基板と下部基板も伸縮性のある構造で構成することができるが、その一実施例が図6に示されている。図6の(a)は、剛性が互いに異なる伸縮性高分子を使用した伸縮性の基板を使用して行われた伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図であり、図6の(b)は、外力(F)によって伸張されたときを示す模式図である。図6(a)に示されるように、上部基板(21)または下部基板(21)は、剛性が異なる伸縮性高分子が接続されて構成され、剛性差による伸縮応力吸収作用を有することができる。好ましくは、電極(22)と接合されている部分は、相対的に剛性が高い高分子で、電極(22)と接合されていない部分は、相対的に剛性が低い高分子と接続されてなることが伸縮応力吸収に有利である。
[0053]
本発明による伸縮性熱電モジュールは、発明者が最初に開発したサーマルビア電極を備えた熱電モジュールの形態でも実施することができる。
[0054]
図1に示された従来の熱電モジュールは、アルミナのようなセラミックス素材で形成した上部基板(11)と下部基板(11)の低い熱伝導度によって、上部基板(11)と下部基板(11)の熱抵抗が大きいから、p型とn型熱電素子(15,16)の両端で実際に発生する温度差が熱電モジュール(10)の高温端と低温端に加える温度差に比べて大きく低下して、熱電モジュール(10)の性能が低くなる問題がある。
[0055]
このような問題を解決するために、本発明では、基板の一部を連通するビアホール部に電極を形成し、この電極を介してp型とn型熱電素子を接合させることで、このように形成された電極を介して、ヒートソース(heat source)から熱電素子への熱伝達と熱電素子からヒートシンクへの熱放出とが行われ、性能が大幅に改善された熱電モジュールを提供することになる。
[0056]
発明者は、このように基板の一部を連通するビアホール部に形成されて基板と一体を成す新しい概念の電極を、“サーマルビア電極(thermal-via electrode)”と命名した。本発明でサーマルビア電極は、セラミックスまたは高分子基板に電極接合層を介して接合された電極とは区別される用語として、基板の一部を連通するビアホール部に形成されるか、または基板の一部に形成されたビア溝部に形成されて基板と一体からなる電極を総称して定義する。したがって、本発明のサーマルビア電極は、セラミックス基板に接合された従来の電極とは異なり、基板の一部に形成されて基板と一体をなすものであれば、すべてこれに含まれることがある。
[0057]
図7は、サーマルビア電極を備えた伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図である。図示されたように、本実施例での伸縮性熱電モジュール(20)は、基板の一部に連通して形成された複数のサーマルビア電極(71)を備えた上部基板(21)と下部基板(21)と、上部基板(21)のサーマルビア電極(71)と下部基板(21)のサーマルビア電極(71)との間に交互に配置して接合されているp型熱電素子(25)とn型熱電素子(26)と、これらが電気的に直列に接続されるように、上部基板(21)のサーマルビア電極(71)の間を接続し、下部基板(21)のサーマルビア電極(71)の間を接続する伸縮性配線(23)を含んでなる。
[0058]
本実施例では、サーマルビア電極(71)は上部基板(21)と下部基板(21)を連通し、基板よりわずかに外に突出している構造である。このようなサーマルビア電極(71)の間を伸縮性配線(23)で接続することになる。
[0059]
各電極(22)は素子接合層(24)を介してp型熱電素子(25)とn型熱電素子(26)に接合される。素子接合層(24)には、はんだや導電性接着剤が使用されることができる。
[0060]
伸縮性配線(23)は、導電性と伸縮性を有する材料からなることが好ましく、形状は伸縮応力を吸収することができる構造が望ましい。
[0061]
伸縮性配線(23)の好ましい形態は、前述のように図3の(a)?(d)に示されている。伸縮性配線(23)は、(a)と(b)のように、二次元波形状または馬蹄形状に形成されていることが好ましく、(c)と(d)のように、波形状が三次元的に形成されることも好ましい。このような形態以外にも、伸縮応力を吸収することができる形態であれば、様々な形で形成されることもできる。
[0062]
伸縮性配線(23)は、伸縮性高分子に導電性が良い金属やCNT(炭素ナノチューブ)が複合された複合材料が使用されることが好ましい。具体的には、CNT、金属及び伸縮性高分子の複合材料で作られるか、金属と伸縮性高分子の複合材料で構成されたり、CNTと伸縮性高分子の複合材料からなることができる。これらの複合材料の構成は、伸縮性及び導電性が確保されている方向に多様に行うことができる。
[0063]
図7の(b)は、伸縮性熱電モジュールが外力(F)によって伸張されたときを示す模式図である。図示されたように、外力(F)によって熱電モジュール(20)が伸張されている場合、図3に示された形態で行われた伸縮性配線(23)が増え、伸縮応力を吸収し、熱電素子(25、26)と電極(22)に及ぼす応力を最小限に抑えるようになる。したがって、繰り返された伸縮にも素子の安定性を維持しながら、機能することができるようになる。
[0064]
本発明の伸縮性熱電モジュール(20)は、上部基板(21)または下部基板(21)のいずれかがサーマルビア電極(71)が含まれている基板で構成され、残りは、図2に示すような一般的な基板で構成されることもできる。
[0065]
上部基板(21)または下部基板(21)は、アルミナ(Al_(2)O_(3))、窒化アルミニウム(AlN)、硝子(SiO_(2))、ガラス-セラミックス、炭化けい素(SiC)、窒化シリコン(Si_(3)N_(4))、シリコン(Si)の中で少なくとも一つを含んでなるセラミックスを使用して行うこともでき、エポキシ、フェノール、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポルリエテルスルホン、テプロン、FR4、シリコーン(silicone)、PDMS(polydimethylsiloxane)、ポリウレタンの中で少なくとも一つを含んでなる高分子を使用して行うこともできる。
[0066]
また、サーマルビア電極(71)は、銅(Cu)、銀(Ag)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、金(Au)、白金(Pt)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)のいずれかまたは複数が含まれている組成の金属からなることが好ましい。
[0067]
図7に示すように、サーマルビア電極(71)は、p型熱電素子(25)及びn型熱電素子(26)と素子接合層(24)を介して接合されるが、このとき、はんだは、スズ(Sn)に銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、金(Au)のいずれかまたは複数が含有された組成からなることが好ましい。
・・・
[0070]
図8は、モジュール内部を伸縮性高分子で充填したサーマルビア電極を備えた伸縮性熱電モジュールの概略的な断面図である。図示されたように、伸縮性熱電モジュール(20)は、モジュール内部の空きスペースを伸縮性高分子で充填した構成することもできる。この場合には、伸縮性配線(23)と一緒にモジュール内部に充填された伸縮性高分子(51)が、伸縮性をより向上させることができる。」

図7、8は、以下のとおりのものである。
図7

図8


したがって、上記引用文献2には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。

「複数のサーマルビア電極71を備える下部基板21であって、基板表面と、前記基板表面の反対側を向いた基板裏面とを有する、下部基板21と、
前記下部基板21の前記基板表面上に配置された複数のp型熱電素子25及び複数のn型熱電素子26であって、前記複数のp型及びn型熱電素子25、26のうちの少なくとも一部は、前記複数のサーマルビア電極71に電気接続されており、p型熱電素子25はn型熱電素子26に隣接する、複数のp型熱電素子25及び複数のn型熱電素子26と、
前記下部基板21の前記基板裏面上に配置された伸縮性配線23であって、前記伸縮性配線23の各々は、1対の隣接するサーマルビア電極71を電気接続している、伸縮性配線23と、を備え、下部基板21は、ポリイミド、シリコーン、ポリウレタン等の中で少なくとも一つを含んでなる高分子を使用して行うこともできる伸縮性熱電モジュール20であって、このように形成されたサーマルビア電極71を介して、ヒートソースから熱電素子への熱伝達と熱電素子からヒートシンクへの熱放出とが行われ、熱電モジュールの性能を大幅に改善できること。」

3 引用文献5について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2006-40963号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0043】
図8は本実施形態の熱電モジュールの製造方法を示すフローチャート図であり、図9は本実施形態の熱電モジュールの製造方法を模式的に示す断面図である。図8に示すように、本実施形態の熱電モジュール30の製造方法においては、先ず、液体急冷法により、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成のp型熱電材料薄帯、及びBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、I、Cl、Hg、Br、Ag及びCuからなる群から選択された少なくとも1種の元素からなる組成のn型熱電材料薄帯を夫々作製する(ステップS21a)。
・・・
【0045】
次に、Ni等の電極材料からなる金属粉末にバインダーを添加して混練して得た電極材料ペースト使用し、スクリーン印刷等の公知の印刷方法により、下基板1上に下部電極パターンを印刷する(ステップ21b)。その後、下部電極パターンが印刷された下基板1を、例えば、窒素等の不活性ガス雰囲気中で焼成して、下基板1上に下部電極3を形成する(ステップS22b)。同様に、前述の電極材料ペースト使用し、スクリーン印刷等の公知の印刷方法により、下基板2上に上部電極パターンを印刷した後(ステップ21c)、上部電極パターンが印刷された上基板2を、不活性ガス雰囲気中で焼成して、上基板2上に上部電極4を形成する(ステップS22c)。
【0046】
次に、スクリーン印刷等の公知の印刷方法又はドクターブレード法等により、下部電極3上のp型熱電素子5が配置される領域にp型熱電材料ペーストを塗布して、p型熱電素子パターンを形成する(ステップS23b)。その後、p型熱電素子パターン上にアルミナ板を載せ、更にこのアルミナ板上にステンレス製の錘を載せることにより、p型熱電素子パターンに下基板1の表面に対して垂直な方向に荷重を付与しながら、アルゴン等の不活性ガス雰囲気又は水素等の還元ガス雰囲気中で焼成してp型熱電素子5を形成する(ステップS24b)。
【0047】
次に、上部電極4上のn型熱電素子6が配置される領域にn型熱電材料ペーストを塗布して、n型熱電素子パターンを形成する(ステップS23c)。その後、n型熱電素子パターン上にアルミナ板を載せ、更にこのアルミナ板上にステンレス製の錘を載せることにより、n型熱電素子パターンに上基板2の表面に対して垂直な方向に荷重を付与しながら、アルゴン等の不活性ガス雰囲気又は水素等の還元ガス雰囲気中で焼成してn型熱電素子6を形成する(ステップS24c)。
・・・
【0049】
本実施形態の熱電モジュールの製造方法においては、液体急冷法により作製した熱電材料薄帯をペースト化し、このペーストを熱電材料薄帯が膜厚方向に配向するように塗布することにより電極上に直接熱電素子を形成しているため、薄型で、高性能な熱電モジュールを容易に製造することができる。また、電極上に熱電材料ペーストを塗布して熱電素子を形成する場合、既に形成された熱電材料のパターンの間に、他の熱電材料のパターンを形成することはできないが、本実施形態の熱電モジュールの製造方法においては、p型熱電素子5を下部電極3上に、n型熱電素子6を上部電極4上に形成しているため、パターン形成が容易になる。」

図8、9は、以下のとおりのものである。



したがって、上記引用文献5には、「熱電モジュールにおいて、下基板1上に下部電極パターンを印刷した後、焼成して、下基板1上に下部電極3を形成し、下基板2上に上部電極パターンを印刷した後、焼成して、上基板2上に上部電極4を形成し、次に、下部電極3上にp型熱電材料ペーストを塗布してp型熱電素子6を形成し、次に、上部電極4上にn型熱電材料ペーストを塗布してn型熱電素子6を形成する。」という技術的事項が記載されていると認められる。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「P型熱電半導体変換素子102a」、「N型熱電半導体素子102b」は、それぞれ本願発明1における「p型熱電素子」、「n型熱電素子」に相当し、引用発明における「耐熱性基板108」、「熱電変換モジュール200」は、それぞれ本願発明1における「フレキシブル基材」、「フレキシブル熱電モジュール」に対応する。

イ 引用発明において、「P型熱電半導体素子102aおよびN型熱電半導体素子102bは、銅箔配線110へのはんだ接続により耐熱性基板108上に実装されて」いるところ、「耐熱性基板108」は、耐熱性基板108の基板上面と、前記耐熱性基板108の基板上面の反対側を向いた基板表面とを有するといえるから、本願発明1と引用発明とは、「第1の基材表面と、前記第1の基材表面の反対側を向いた第2の基材表面とを有する、基材」を備える点で共通する。
更に、引用発明において、「熱電変換素子102(P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとのセット)を32個有し、P型熱電変換素子102aとN型熱電半導体素子102bとは、耐熱性基板108の上に交互に配列され」るものであるから、本願発明1と引用発明とは、「前記基材の前記第1の基材表面上に配置された複数のp型熱電素子及び複数のn型熱電素子であって、p型熱電素子はn型熱電素子に隣接する、複数のp型熱電素子及び複数のn型熱電素子」を備える点で一致する。

ウ 引用発明において、「フレキシブル配線104は、P型熱電半導体素子102aとN型熱電半導体素子102bとを接続し、熱電変換素子102上に直接印刷されて」いるところ、引用発明における「接続」は、本願発明1における「電気的接続」に相当し、引用発明における「フレキシブル配線104」は、本願発明1における「第2のセットのコネクタ」に対応するから、本願発明1と引用発明とは、「前記複数のp型及びn型熱電素子上に直接印刷された第2のセットのコネクタであって、前記第2のセットのコネクタの各々は、1対の隣接するp型及びn型熱電素子に電気接続している、第2のセットのコネクタ」を備える点で共通する。

エ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「第1の基材表面と、前記第1の基材表面の反対側を向いた第2の基材表面とを有する、基材と、
前記基材の前記第1の基材表面上に配置された複数のp型熱電素子及び複数のn型熱電素子であって、p型熱電素子はn型熱電素子に隣接する、複数のp型熱電素子及び複数のn型熱電素子と、
前記複数のp型及びn型熱電素子上に直接印刷された第2のセットのコネクタであって、前記第2のセットのコネクタの各々は、1対の隣接するp型及びn型熱電素子に電気接続している、第2のセットのコネクタと、
を備える、熱電モジュール。」

<相違点>
<相違点1>
本願発明1は、「導電性材料を充填された複数のビアを備えるフレキシブル基材」を備える「フレキシブル熱電モジュール」であるのに対し、引用発明の「耐熱性基板108」を備える「熱電変換モジュール200」は、そのようなものではない点。

<相違点2>
本願発明1は、「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記複数のビアに電気接続されており」という構成を備えるのに対し、引用発明の「P型熱電半導体素子102a」と「N型熱電半導体素子102b」は、そのような構成を備えていない点。

<相違点3>
本願発明1は、「前記フレキシブル基材の前記第2の基材表面上に配置された第1のセットのコネクタであって、前記第1のセットのコネクタの各々は、1対の隣接するビアを電気接続している、第1のセットのコネクタ」という構成を備えるのに対し、引用発明の「耐熱性基板108」の基板上面の反対側を向いた基板表面は、そのような構成を備えていない点。

<相違点4>
本願発明1は、「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される」という構成を備えるのに対し、引用発明の「P型熱電半導体素子102a」と「N型熱電半導体素子102b」は、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1-相違点4は互いに関連することから、まとめて検討する。

相違点1に係る本願発明1の「導電性材料を充填された複数のビアを備えるフレキシブル基材」という構成、相違点2に係る本願発明1の「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記複数のビアに電気接続されており」という構成、相違点3に係る本願発明1の「前記フレキシブル基材の前記第2の基材表面上に配置された第1のセットのコネクタであって、前記第1のセットのコネクタの各々は、1対の隣接するビアを電気接続している、第1のセットのコネクタ」という構成について、上記「第3」の「2」に記載のとおり、引用文献2には、「複数のサーマルビア電極71を備える下部基板21」という構成、「前記複数のp型及びn型熱電素子25、26のうちの少なくとも一部は、前記複数のサーマルビア電極71に電気接続されており」という構成、「前記下部基板21の前記基板裏面上に配置された伸縮性配線23であって、前記伸縮性配線23の各々は、1対の隣接するサーマルビア電極71を電気接続している、伸縮性配線23」という構成が記載されているように、相違点1-相違点3に係る本願発明1の構成は、本願の優先日前に公知であったといえる。
しかしながら、引用文献2には、上記相違点4に係る本願発明1の「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される」という構成は、記載も示唆もされていない。

また、上記「第3」の「3」に記載のとおり、引用文献5には、「熱電モジュールにおいて、下基板1上に下部電極パターンを印刷した後、焼成して、下基板1上に下部電極3を形成し、下基板2上に上部電極パターンを印刷した後、焼成して、上基板2上に上部電極4を形成し、次に、下部電極3上にp型熱電材料ペーストを塗布してp型熱電素子6を形成し、次に、上部電極4上にn型熱電材料ペーストを塗布してn型熱電素子6を形成する。」という技術的事項が記載されていると認められる。
しかしながら、引用文献5に記載の「下部電極3」は、「下基板1上」に形成されたものであり、「導電性材料を充填されたビア」とは異なるものであるから、引用文献5にも、上記相違点4に係る本願発明1の「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される」という構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7も、本願発明1の「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-4、7について、引用文献1、2、5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、令和3年6月29日付け手続補正により補正された請求項1-4、7は、「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される」という構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-7は、当業者であっても、上記引用文献1に記載された発明、引用文献2、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、請求項1の「前記複数のp型及びn型熱電素子上に直接形成された第2のセットのコネクタ」、「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの少なくとも一部は、前記導電性材料を充填された複数のビア上に直接形成される」(下線は合議体が付与した。以下同じ。)という記載の意味が明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年6月29日付けの手続補正において、「前記複数のp型及びn型熱電素子上に直接印刷又は堆積された第2のセットのコネクタ」、「前記導電性材料を充填された複数のビアの上方に直接印刷又は吐出される」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)当審では、請求項3には、「前記複数のp型及びn型熱電素子のうちの1つとビアとの間に配置された接合構成要素を更に備える、請求項1に記載のフレキシブル熱電モジュール。」と記載されているが、熱電素子とビアとの間の構成が不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年6月29日付けの手続補正において、請求項1が上記(1)のとおり補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-7は、当業者であっても、引用発明、引用文献2、5に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-22 
出願番号 特願2018-567124(P2018-567124)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田邊 顕人  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 恩田 春香
小川 将之
発明の名称 フレキシブル熱電モジュール  
代理人 浅村 敬一  
代理人 野村 和歌子  
代理人 佃 誠玄  
代理人 赤澤 太朗  
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