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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1378329
審判番号 不服2020-16195  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-25 
確定日 2021-10-18 
事件の表示 特願2017-513775「電子機器キャビネット」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月17日国際公開、WO2016/039959、平成29年 9月21日国内公表、特表2017-528003、請求項の数(34)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年8月20日(パリ条約に基づく優先権主張2014年9月11日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年8月20日に手続補正がなされ、令和元年10月23日付けで拒絶理由が通知され、令和2年1月28日に手続補正がなされたが、令和2年7月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和2年11月25日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年7月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
「●理由1
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 13,31
発明の詳細な説明には、図65、66において「1250」が付された部材が「略C字形断面」を有する旨は示されていない。
また、補正後請求項13、31で規定される「上方から見たときに前後方向で開」く構成とは、開いた部分を通じて「構造エアダム」の内部と外部を結ぶ方向が「前後方向」である構成を指すのか、或いは、開いた部分の幅方向が「前後方向」である構成を指すのか、が不明である([0037][0043]の記載から見て、図68の下側が「前方」であることが明らかであるところ、図68において「1250」が付された部材は、図中右端が開放されていると認められる。)。
よって、請求項13、31に係る発明の構成は明確でない。

●理由3
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1-7,14-17,19-25,32-35
・引用文献等 引用例1,2

・請求項 8-12,26-30
・引用文献等 引用例1-4

・請求項 13,31
・引用文献等 引用例1,2

・請求項 18,36
・引用文献等 引用例1,2,4

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2013/0342091号明細書(パテントファミリー「特表2015-521805号」)
2.米国特許出願公開第2012/0063099号明細書
3.米国特許出願公開第2012/0273438号明細書
4.米国特許出願公開第2010/0219726号明細書」

第3 審判請求時の補正について
1 本件補正前の請求項1に「前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され」とあったところを「前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され、前記構造エアダムがビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置され」とする補正、及び本件補正前の請求項19に「前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され」とあったところを「前記構造エアダムがビームブラケットを通じて補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置され」と補正して本件補正後の請求項18とする補正は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、出願当初の図66に記載されているから、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1、18に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

2 本件補正前の請求項5及び23を削除するとともに、請求項6以降の項番及び引用関係を整理する補正は、請求項の削除及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。

3 本件補正前の請求項13、31に「前記構造エアダムが、上方から見たときに前後方向で開く略C字形断面を有し」とあったところを「前記構造エアダムが、上方から見たときに略C字形断面を有し」として本件補正後の請求項12、29とする補正は、図面との関係で不明確となっていた記載(原査定の理由1で指摘された事項)について釈明を行うものであって、出願当初の図68に記載されているから、新規事項を追加するものではない。

4 上記1ないし3のとおり、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし34に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明34」という。)は、令和2年11月25日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし34に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
一対の上部左右梁に接合される前後梁の第1の対、一対の下部左右梁に接合される前後梁の第2の対、ならびに、前記一対の上部左右梁及び前記一対の下部左右梁に接合される複数の垂直柱を含むキャビネットフレームと、
前記前後梁の第1の対の1つに、かつ前記前後梁の第2の対の1つに、着脱自在に接合される前方機器レールと、
前記前方機器レールに、かつ前記複数の垂直柱の1つに着脱自在に接合される構造エアダムと、
を含み、
前記キャビネットフレームが、一対の前記複数の垂直柱の間に位置し、一対の前記複数の垂直柱に接合される補強前後梁をさらに含み、
前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され、
前記構造エアダムがビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合され、
前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている、電子機器キャビネット。」

【請求項2】
前記前後梁の第1の対が前記一対の上部左右梁に溶接され、前記前後梁の第2の対が前記一対の下部左右梁に溶接され、かつ前記複数の垂直柱が前記一対の上部左右梁及び前記一対の下部左右梁に溶接される、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項3】
前記前後梁の第1の対及び前記前後梁の第2の対が、対応する前記複数の垂直柱に対して差し込まれる、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項4】
前記補強前後梁が前記一対の前記複数の垂直柱に溶接される、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項5】
前記前後梁の第1の対の1つに、前記前後梁の第2の対の1つに、かつ前記補強前後梁に着脱自在に接合される後方機器レールをさらに含む、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項6】
前記後方機器レールが後方ビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合される、請求項5に記載の電子機器キャビネット。
【請求項7】
前記複数の垂直柱の2つに接合される上側パネル梁と、
前記複数の垂直柱の前記2つに接合される下側パネル梁と、
をさらに含む、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項8】
前記上側パネル梁が前記複数の垂直柱の前記2つに溶接され、前記下側パネル梁が前記複数の垂直柱の前記2つに溶接される、請求項7に記載の電子機器キャビネット。
【請求項9】
前記下側パネル梁及び前記上側パネル梁に係合するように構成されるサイドパネルをさらに含む、請求項7に記載の電子機器キャビネット。
【請求項10】
前記サイドパネルの下部から延在し、前記サイドパネルの前記下部が前記下側パネル梁の上面に載せられるために、前記下側パネル梁内のスロットに係合するように構成されるタブを有する管状部材を前記サイドパネルが含む、請求項9に記載の電子機器キャビネット。
【請求項11】
前記上側パネル梁のフランジに係合し、前記サイドパネルの取り外しを防止するように構成される前記サイドパネルの上部に隣接するロック機構を、前記サイドパネルがさらに含む、請求項10に記載の電子機器キャビネット。
【請求項12】
前記構造エアダムが、上方から見たときに略C字形断面を有し、その中に形成される少なくとも1つの通過可能な切欠部を含む、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項13】
前記構造エアダムがポストブラケットを通じて前記前方機器レールに接合される、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項14】
前記キャビネットフレームの上部に着脱自在に接合される上部キャップをさらに含む、請求項1に記載の電子機器キャビネット。
【請求項15】
前記キャビネットフレームの前記上部に着脱自在に接合される前部及び、前記キャビネットフレームの前記上部に着脱自在に接合される離れた後部を前記上部キャップが含む、請求項14に記載の電子機器キャビネット。
【請求項16】
データ及び/または電力ケーブルの通過を可能にするように構成される、少なくとも1つの開口部を前記上部キャップが含む、請求項14に記載の電子機器キャビネット。
【請求項17】
前記上部キャップに隣接する前記キャビネットフレームの前記上部に着脱自在に接合される垂直排気ダクトをさらに含む、請求項14に記載の電子機器キャビネット。
【請求項18】
上部フレームを形成するための一対の上部左右梁に接合される前後梁の第1の対、下部フレームを形成するために一対の下部左右梁に接合される前後梁の第2の対、ならびに、前記上部フレーム及び前記下部フレームに接合される複数の垂直柱を含むキャビネットフレームと、
前記前後梁の第1の対の1つに、かつ前記前後梁の第2の対の1つに、着脱自在に接合される前方機器レールと、
前記前方機器レールに、かつ前記複数の垂直柱の1つに接合される構造エアダムと、を含み、
前記キャビネットフレームが、一対の前記複数の垂直柱の間に位置し、前記一対の垂直柱に接合される複数の補強前後梁をさらに含み、
前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記複数の補強前後梁に接合され、前記構造エアダムがビームブラケットを通じて補強前後梁に接合され、
前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている、電子機器キャビネット。
【請求項19】
前記前後梁の第1の対が前記一対の上部左右梁に溶接され、前記前後梁の第2の対が前記一対の下部左右梁に溶接され、かつ前記垂直柱が前記上部フレーム及び前記下部フレームに溶接される、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項20】
前記前後梁の第1の対及び前記前後梁の第2の対が、対応する前記垂直柱に対して差し込まれる、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項21】
前記補強前後梁が前記一対の垂直柱に溶接される、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項22】
前記前後梁の第1の対の1つに、前記前後梁の第2の対の1つに、かつ前記補強前後梁に着脱自在に接合される後方機器レールをさらに含む、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項23】
前記後方機器レールが後方ビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合される、請求項22に記載の電子機器キャビネット。
【請求項24】
前記複数の垂直柱の2つに接合される上側パネル梁と、
前記複数の垂直柱の前記2つに接合される下側パネル梁と、
をさらに含む、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項25】
前記上側パネル梁が前記複数の垂直柱の前記2つに溶接され、前記下側パネル梁が前記複数の垂直柱の前記2つに溶接される、請求項24に記載の電子機器キャビネット。
【請求項26】
前記下側パネル梁及び前記上側パネル梁に係合するように構成されるサイドパネルをさらに含む、請求項24に記載の電子機器キャビネット。
【請求項27】
前記サイドパネルの下部から延在し、前記サイドパネルの前記下部が前記下側パネル梁の上面に載せられるために、前記下側パネル梁内のスロットに係合するように構成されるタブを有する管状部材を前記サイドパネルが含む、請求項26に記載の電子機器キャビネット。
【請求項28】
前記上側パネル梁の1つのフランジに係合し、前記サイドパネルの取り外しを防止するように構成される前記サイドパネルの上部に隣接するロック機構を、前記サイドパネルがさらに含む、請求項27に記載の電子機器キャビネット。
【請求項29】
前記構造エアダムが、上方から見たときに略C字形断面を有し、その中に形成される少なくとも1つの通過可能な切欠部を含む、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項30】
前記構造エアダムがポストブラケットを通じて前記前方機器レールに接合される、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項31】
前記上部フレームに着脱自在に接合される上部キャップをさらに含む、請求項18に記載の電子機器キャビネット。
【請求項32】
前記上部フレームに着脱自在に接合される前部及び、前記上部フレームに着脱自在に接合される離れた後部を前記上部キャップが含む、請求項31に記載の電子機器キャビネット。
【請求項33】
データ及び/または電力ケーブルの通過を可能にするように構成される、少なくとも1 つの開口部を前記上部キャップが含む、請求項31に記載の電子機器キャビネット。
【請求項34】
前記上部キャップに隣接する前記上部フレームに着脱自在に接合される垂直排気ダクトをさらに含む、請求項31に記載の電子機器キャビネット。」

第5 引用発明、引用文献等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。また、当審訳は、引用文献1のパテントファミリーである特表2015-521805号に依ったものであり、対応する段落番号も付記した。)。
「[0002] The present invention relates to a server cabinet, and more particularly, a server cabinet having inset front-to-back beams and removable vertical posts.」(当審訳:【0001】 本発明は、サーバキャビネットに関し、より詳細には、はめ込み式前後梁および取外し可能な垂直支柱を有するサーバキャビネットに関する。)

「[0069] As shown in FIG. 5 , front-to-back beams 210 and top side-to-side beams 220 A are connected to form top frame 250 A. Similarly, front-to-back beams 210 and bottom side-to-side beams 220 B are connected to form bottom frame 250 B. Preferably, front-to-back beams 210 are permanently connected to side-to-side beams 220 A, 220 B, for example, using permanent connectors, such as rivets and welds, but it is likewise contemplated that front-to-back beams 210 are removably connected to side-to-side beams 220 A, 220 B, for example, using removable connectors, such as nuts and bolts and screws.」(当審訳:【0008】 図5に示されたように、前後梁210と頂部左右梁220Aが連結されて、頂部フレーム250Aを形成する。同様に、前後梁210と底部左右梁220Bが連結されて、底部フレーム250Bを形成する。好ましくは、前後梁210は、例えば、リベットおよび溶接などの永久連結具を使用して、左右梁220A、220Bに永久的に連結されるが、前後梁210は、例えば、ナットおよびボルトおよびネジなどの取外し可能な連結具を使用して、左右梁220A、220Bに取外し可能に連結されることも同様に企図される。)



「[0070] As shown in FIGS. 6 and 7 , vertical posts 230 are connected to top and bottom frames 250 A, 250 B, and more particularly, side-to-side beams 220 A, 220 B, to form cabinet frame 200 . Preferably, vertical posts 230 are removably connected to side-to-side beams 220 A, 220 B, for example, using removable connectors, such as nuts and bolts and screws, but it is likewise contemplated that vertical posts 230 are permanently connected to side-to-side beams 220 A, 220 B, for example, using permanent connectors, such as rivets and welds. Cover plates 232 are removably connected to vertical posts 230 , for example, using removable connectors, such as nuts and bolts and screws, and when removed, provide access to cabinet frame assembly openings 234 . Additionally, when installed, cover plates 232 act as standoffs for ganging multiple cabinets.」(当審訳:【0009】 図6および7に示されたように、垂直支柱230は、頂部および底部フレーム250A、250Bに、より具体的には、左右梁220A、220Bに連結されて、キャビネットフレーム200を形成する。好ましくは、垂直支柱230は、例えば、ナットおよびボルトおよびネジなどの取外し可能な連結具を使用して、左右梁220A、220Bに取外し可能に連結されるが、垂直支柱230は、例えば、リベットおよび溶接などの永久連結具を使用して、左右梁220A、220Bに永久的に連結されることも同様に企図される。カバープレート232は、例えば、ナットおよびボルトおよびネジなどの取外し可能な連結具を使用して、垂直支柱230に取外し可能に連結され、取り外されたときは、キャビネットフレーム組立体開口234へのアクセスを提供する。加えて、設置されたときは、カバープレート232は、複数のキャビネットをまとめるためのスタンドオフとして作用する。)



「[0076] As shown in FIGS. 17-19 and 28 - 31 , equipment rails 300 A, 300 B are connected to cabinet frame 200 , and more particularly, front-to-back beams 210 of top and bottom frames 250 A, 250 B. Preferably, equipment rails 300 A, 300 B are adjustable. That is, equipment rails 300 A, 300 B are removably connected to cabinet frame 200 , and more particularly, front-to-back beams 210 of top and bottom frames 250 A, 250 B, for example, using removable connectors, such as nuts and bolts and screws.」(当審訳:【0015】 図17?19および28?31に示されたように、機器レール300A、300Bは、キャビネットフレーム200に、より具体的には、頂部および底部フレーム250A、250Bの前後梁210に連結される。好ましくは、機器レール300A、300Bは調節可能である。すなわち、機器レール300A、300Bは、例えば、ナットおよびボルトおよびネジなどの取外し可能な連結具を使用して、キャビネットフレーム200に、より具体的には、頂部および底部フレーム250A、250Bの前後梁210に、取外し可能に連結される。)














「[0084] As shown in FIGS. 28-31 , equipment rails 300 A include mounting openings 340 for mounting electronic equipment, such as servers, patch panels, and switches, in server cabinet 100 , and are configured to receive blanking panels, such as horizontal blanking panels (not shown), which are typically mounted to equipment rails 300 A using mounting openings 340 , and vertical blanking panels 370 , for sealing open areas of server cabinet 100 to separate cooled intake air and heated exhaust air.
[0085] For example, as shown in FIGS. 28-31 , equipment rails 300 A include vertical blanking panels 370 . As shown in FIG. 30 , vertical blanking panels 370 are removably connected to equipment rails 300 A, for example, using removable connectors, such as nuts and bolts and screws, but it is likewise contemplated that vertical blanking panels 370 are permanently connected to equipment rails 300 A, for example, using permanent connectors, such as rivets and welds. Alternatively, equipment rails 300 A and vertical blanking panels 370 are integrally formed. Additionally, vertical blanking panels 370 are removably connected to vertical posts 230 , providing additional stiffness to cabinet frame 200 , and more particularly, vertical posts 230 .」(当審訳:【0023】 図28?31に示されたように、機器レール300Aは、サーバ、パッチパネル、およびスイッチなどの電子装置をサーバキャビネット100内に取り付けるために取付開口340を含み、冷却された呼気および加熱された排気を分離するためにサーバキャビネット100の開口領域を封止するために、通常、取付開口340を使用して機器レール300Aに取り付けられる水平ブランクパネル(図示せず)、および垂直パネルブランク370などのブランクパネルを受領するように構成される。
【0024】 例えば、図28?31に示されたように、機器レール300Aは、垂直ブランクパネル370を含む。図30に示されたように、垂直ブランクパネル370は、例えば、ナットおよびボルトおよびネジなどの取外し可能な連結具を使用して、機器レール300Aに取外し可能に連結されるが、垂直ブランクパネル370は、例えば、リベットおよび溶接などの永久連結具を使用して、機器レール300Aに永久的に連結されることも同様に企図される。別法として、機器レール300Aおよび垂直ブランクパネル370は一体形成される。加えて、垂直ブランクパネル370は、垂直支柱230に取外し可能に連結され、キャビネットフレーム200に、より具体的には、垂直支柱230にさらなる剛性を提供する。)

(2)引用文献1に記載された技術事項
上記(1)によれば、引用文献1には、次の技術事項が記載されている。
ア 段落【0001】より、引用文献1は、「サーバキャビネット」に関するものであることがわかる。

イ 段落【0008】より、「前後梁210と頂部左右梁220Aが連結されて、頂部フレーム250Aを形成」し、「同様に、前後梁210と底部左右梁220Bが連結されて、底部フレーム250Bを形成する」ことを読み取ることができる。

ウ 段落【0009】より、「垂直支柱230は、」「左右梁220A、220Bに連結されて、キャビネットフレーム200を形成」することを読み取ることができる。

エ 段落【0015】より、「機器レール300A、300Bは、」「頂部および底部フレーム250A、250Bの前後梁210に、取外し可能に連結され」ることを読み取ることができる。

オ 段落【0023】、【0024】より、「冷却された呼気および加熱された排気を分離するためにサーバキャビネット100の開口領域を封止するために」、「垂直ブランクパネル370」が「機器レール300Aに取外し可能に連結され」、「機器レール300Aに取外し可能に連結され」、「加えて、垂直ブランクパネル370は、垂直支柱230に取外し可能に連結され、キャビネットフレーム200に、より具体的には、垂直支柱230にさらなる剛性を提供する」ことを読み取ることができる。

(3)引用発明
よって、上記(2)アないしオから、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という、)が記載されているものと認められる。
「サーバキャビネットであって、
前後梁210と頂部左右梁220Aが連結されて、頂部フレーム250Aを形成し、同様に、前後梁210と底部左右梁220Bが連結されて、底部フレーム250Bを形成し、
垂直支柱230は、左右梁220A、220Bに連結されて、キャビネットフレーム200を形成し、
機器レール300A、300Bは、頂部および底部フレーム250A、250Bの前後梁210に、取外し可能に連結され、
冷却された呼気および加熱された排気を分離するためにサーバキャビネット100の開口領域を封止するために、垂直パネルブランク370が、機器レール300Aに取外し可能に連結され、加えて、垂直ブランクパネル370は、垂直支柱230に取外し可能に連結され、キャビネットフレーム200に、より具体的には、垂直支柱230にさらなる剛性を提供する、
サーバキャビネット。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「[0070] FIG. 1A is an isometric cross-sectional view of an electronic equipment enclosure 10, shown with several panels removed to reveal a pair of vertical mounting rails 30 installed therein, each with a pair of rail seals 40 in accordance with one or more preferred embodiments of the present invention, and FIG. 1B is a front cross-sectional view of the electronic equipment enclosure 10 of FIG. 1A, taken along line 1B-1B. The electronic equipment enclosure 10 includes a frame structure 12 formed of four vertical support posts 16, upper and lower front cross members (not illustrated), upper and lower rear cross members 19,20 and three pairs of side cross members 21,22,23. Each vertical support post 16 includes a plurality of cross member attachment apertures at each end. Two of the vertical support posts 16 are connected together at their upper and lower ends by the upper and lower front cross members, respectively, and the other two support posts 16 are connected together at their upper and lower ends by the upper and lower rear cross members 19,20, respectively. The front cross members and their respective support posts thus define a front frame (not illustrated), and the rear cross members 19,20 and their respective support posts 16 define a rear frame 26. The front and rear frames may be connected together at their respective corners by the upper, middle and lower side cross members 21,22,23.」(当審訳:図1Aは、電子機器筐体10の等角断面図であり、その中に設置される一対の垂直搭載レール30を明らかにするために、いくつかのパネルが除去されて示され、本発明の1つ以上の好ましい実施形態においては、それぞれが一対のレールシール40を伴っており、そして、図1Bは、図1Aの線1B-1Bに沿った、電子機器筐体10の正面断面図である。電子機器用筐体10は、4本の垂直支持柱16と、上下の前クロス部材(図示せず)と、上下の後クロス部材19,20と、3対の側クロス部材21,22,23とからなるフレーム構造12を備えている。各垂直支持柱16は、各端部に複数のクロス部材取付孔を含む。2本の垂直支柱16の上端及び下端は、それぞれ上側及び下側前クロス部材によって互いに連結され、他の2本の垂直支柱16の上端及び下端は、それぞれ上側及び下側後クロス部材19,20によって互いに連結されている。したがって、前方クロス部材およびそれらのそれぞれの支持柱は、前方フレーム(図示せず)を画定し、後方クロス部材19,20およびそれらのそれぞれの支持柱16は、後方フレーム26を画定する。前部フレームと後部フレームは、それらのそれぞれの角部で、上部、中間部、および下部サイドクロス部材21,22,23によって互いに接続されてもよい。)

「[0074] As shown in FIG. 1A and 1B, the enclosure 10 further includes one or more vertical mounting rails 30 that extend therein in a generally vertical orientation and are fastened to the frame structure 12. One contemplated mechanism for fastening the vertical mounting rail 30 to the frame structure 12 is described in the co-pending, commonly-assigned non-provisional patent application Ser. No. 13/229,707, ・・・(以下、省略)・・・」(当審訳:図1Aおよび図1Bに示されるように、筐体10は、1つ以上の垂直取り付けレール30をさらに含み、1つ以上の垂直取り付けレール40は、筐体内で略垂直方向に延在し、フレーム構造12に固定される。垂直取付レール30をフレーム構造体12に固定するための1つの考えられる機構が、同時係属中の同一出願人による非仮特許出願第13/229,707号に記載され・・・(以下、省略)・・・)

「[0075] As further shown in FIG. 1A and 1B, a pair of rail seals 40 is attached to each of the vertical mounting rails 30. The rail seals 40 attach to a portion of the corresponding vertical mounting rail 30 and thereby provide a vertical air dam, in the interior of the enclosure 10, between the side panels 14 and the vertical mounting rails 30. The rail seals 40 may have any of a variety of different shapes and configurations. For instance, the rail seals 40 may be sized to correspond with an enclosure having any desired height and a width larger than 600 millimeters. In contemplated embodiments, the rail seals 40 are sized to correspond with an enclosure having a width of 750 millimeters and/or an enclosure having a width of 800 millimeters. As will be explained in greater detail below, each rail seal 40 includes a rail seal panel 42 and a seal 50. The seal 50 is preferably made from a compliant, flexible material. In one contemplated embodiment, the seal 50 is composed of a rubber material.」(当審訳:図1Aおよび図1Bに示すように、一対のレールシール40が垂直取付レール30の各々に取り付けられる。レールシール40は、対応する垂直取付レール30の一部に取り付けられ、それによって、側部パネル14と垂直取付レール30との間のエンクロージャ10の内部に垂直エアダムを提供する。レールシール40は、様々な異なる形状及び構成のいずれかを有することができる。例えば、レールシール40は、任意の所望の高さ及び600ミリメートルよりも大きい幅を有するエンクロージャに対応するようなサイズにすることができる。企図される実施形態では、レールシール40は、750ミリメートルの幅を有するエンクロージャおよび/または800ミリメートルの幅を有するエンクロージャに対応するようにサイズ決定される。以下により詳細に説明するように、各レールシール40は、レールシールパネル42及びシール50を含む。シール50は、好ましくは、従順な可撓性材料から作製される。考えられる一実施形態では、シール50はゴム材料で構成される。)

「[0076] FIG. 2A is an orthogonal partially exploded view of a rail seal panel 42 of one of the rail seals 40 of FIG. 1A. FIG. 2B is an isometric view of one of the vertical mounting rails 30 of FIG. 1A. As shown in FIG. 2A, the rail seal panel 42 is generally flat and includes a plurality of grommets 44, each corresponding to a grommet port 46 extending through the rail seal panel 42.・・・(途中省略)・・・ The rail seal panel 42 is composed of a metal-based material.」(当審訳:図2Aは、図1のレールシール40のうちの1つのレールシールパネル42の直交部分分解図である。図2Bは、図2Aの垂直取付レール30のうちの1つの等角図である。図2Aに示すように、レールシールパネル42は概ね平坦であり、レールシールパネル42を貫通して延びるグロメットポート46にそれぞれ対応する複数のグロメット44を含む。・・・(途中省略)・・・レールシールパネル42は、金属系材料からなる。)

「[0077] The rail seal panel 42 is adapted to be attached via fasteners 64 to a vertical mounting rail 30, such as that which is shown in FIG. 2B.」(当審訳:レールシールパネル42は、図2Bに示されるように、締結具64を介して垂直取付レール30に取り付けられるように適合されている。)

「[0078] It will be appreciated that openings 33 may be provided in the surface 31 of the vertical mounting rail 30 to correspond and align with the grommet ports 46 so as to allow cables and/or air to be routed through the grommet ports 46 when the rail seal panel 42 is mounted on the vertical mounting rail 30. In particular, as perhaps most apparent from a close inspection of FIG. 1A relative to FIG. 2B, each grommet port 46 may be centered on a large rectangular opening 33 in the main surface 31 of the vertical mounting rail 30. In the contemplated embodiment, seven large rectangular openings 33 are provided, with all but the middle opening being aligned with a grommet port 46.」(当審訳:開口部33は、レールシールパネル42が垂直取付レール30に取り付けられたときにグロメットポート46を通してケーブルおよび/または空気を送ることができるように、グロメットポート46に対応して整列するように垂直取付レール30の表面31に設けることができることが理解されよう。特に、図2の詳細な検査からおそらく最も明らかからおそらく最も明らかであるように、この方法は、以下のステップを含む。図1Aに対応する図である。図2Bに示すように、各グロメットポート46は、垂直取付レール30の主面31の大きな矩形開口部33の中心に位置してもよい。考えられる実施形態では、7つの大きな長方形の開口部33が設けられ、中央の開口部を除く全てがグロメットポート46と位置合わせされる。)

(2)引用文献2に記載された技術事項
上記(1)によれば、引用文献2には、次の技術事項が記載されている。
ア 段落[0070]より、「電子機器用筐体10は」、「パネル」と、「4本の垂直支持柱16と、上下の前クロス部材」「と、上下の後クロス部材19,20と、3対の側クロス部材21,22,23とからなるフレーム構造12を備え」、「各垂直支持柱16は、各端部に複数のクロス部材取付孔を含」み、「2本の垂直支柱16の上端及び下端は、それぞれ上側及び下側前クロス部材によって互いに連結され、他の2本の垂直支柱16の上端及び下端は、それぞれ上側及び下側後クロス部材19,20によって互いに連結され」、「したがって、前方クロス部材およびそれらのそれぞれの支持柱は、前方フレーム」「を画定し、後方クロス部材19,20およびそれらのそれぞれの支持柱16は、後方フレーム26を画定」し、「前部フレームと後部フレームは、それらのそれぞれの角部で、上部、中間部、および下部サイドクロス部材21,22,23によって互いに接続され」ていることを読み取ることができる。

イ 段落[0074]より、「筐体10は、1つ以上の垂直取り付けレール30をさらに含み、1つ以上の垂直取り付けレール40は、筐体内で略垂直方向に延在し、フレーム構造12に固定され」ていることを読み取ることができる。

ウ 段落[0075]より、「一対のレールシール40が垂直取付レール30の各々に取り付けられ」、「レールシール40は」、「側部パネル14と垂直取付レール30との間のエンクロージャ10の内部に垂直エアダムを提供」し、「各レールシール40は、レールシールパネル42及びシール50を含む」ことを読み取ることができる。

エ 段落[0076]より、「レールシールパネル42は概ね平坦であり」、「金属系材料からなる」ことを読み取ることができる。

(3)引用文献2に記載された技術
よって、上記(2)アないしエから、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「電子機器用筐体10は、パネルと、4本の垂直支持柱16と、上下の前クロス部材と、上下の後クロス部材19,20と、3対の側クロス部材21,22,23とからなるフレーム構造12を備え、各垂直支持柱16は、各端部に複数のクロス部材取付孔を含み、2本の垂直支柱16の上端及び下端は、それぞれ上側及び下側前クロス部材によって互いに連結され、他の2本の垂直支柱16の上端及び下端は、それぞれ上側及び下側後クロス部材19,20によって互いに連結され、したがって、前方クロス部材およびそれらのそれぞれの支持柱は、前方フレームを画定し、後方クロス部材19,20およびそれらのそれぞれの支持柱16は、後方フレーム26を画定し、前部フレームと後部フレームは、それらのそれぞれの角部で、上部、中間部、および下部サイドクロス部材21,22,23によって互いに接続され、
筐体10は、1つ以上の垂直取り付けレール30をさらに含み、1つ以上の垂直取り付けレール40は、筐体内で略垂直方向に延在し、フレーム構造12に固定され、
一対のレールシール40が垂直取付レール30の各々に取り付けられ、レールシール40は、側部パネル14と垂直取付レール30との間のエンクロージャ10の内部に垂直エアダムを提供し、各レールシール40は、レールシールパネル42及びシール50を含み、
レールシールパネル42は概ね平坦であり、金属系材料からなる」技術。

3 引用文献3について
(1)引用文献3に記載された事項
引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「[0117] Referring to FIGS.7A, 7B, 8A, and 9, the side panels 300 in this embodiment are generally rectangular sheet steel that can be solid or perforated for aesthetics and air flow. Alternatively, rather than using a single side panel 300 per side of the network cabinet, multiple side panels could be used on each side and various geometries, materials, and designs could be used depending on the particular application. Here, the side panels 300 have hooks 305 attached to the bottom inside surface of the side panels 300 and latches 315 attached to the top of the side panels 300.」(当審訳:図7A、図7B、図8A、および図9に示すように、この実施形態のサイドパネル300は、美観および空気流のために中実または穿孔され得る略矩形の鋼板である。あるいは、ネットワークキャビネットの各側に単一のサイドパネル300を使用するのではなく、各側に複数のサイドパネルを使用することができ、特定の用途に応じて様々な形状、材料、および設計を使用することができる。ここで、サイドパネル300は、サイドパネル300の底部内面に取り付けられたフック305と、サイドパネル300の頂部に取り付けられたラッチ315とを有する。)


(2)引用文献3に記載された技術
上記(1)によれば、引用文献3には、次の技術事項(以下、「引用文献3に記載された技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「ネットワークキャビネットのサイドパネル300は、サイドパネル300の底部内面に取り付けられたフック305を有する」技術。

4 引用文献4について
引用文献4の段落[0087]及び図7A、図7B、図8A、図9には、引用文献3の段落[0117] 及び図7A、図7B、図8A、図9と同じ内容が記載されている。
よって、引用文献4には、引用文献3と同じく、次の技術事項(以下、「引用文献4に記載された技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「ネットワークキャビネットのサイドパネル300は、サイドパネル300の底部内面に取り付けられたフック305を有する」技術。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1における「サーバキャビネット」が、本願発明1における「電子機器キャビネット」に相当する。

イ 引用発明1における「頂部左右梁220Aが連結され」る「前後梁210」が、本願発明1における「一対の上部左右梁に接合される前後梁の第1の対」に相当する。

ウ 引用発明1における「底部左右梁220Bが連結され」る「前後梁210」が、本願発明1における「頂部左右梁220Aが連結され」に相当する。

エ 引用発明1における「垂直支柱230」は、「左右梁220A、220Bに連結されて、キャビネットフレーム200を形成しているから、本願発明1における「頂部左右梁220Aが連結され、ならびに、前記一対の上部左右梁及び前記一対の下部左右梁に接合される複数の垂直柱」に相当する。

オ 引用発明1における、「垂直支柱230」が「左右梁220A、220Bに連結されて」「形成」された「キャビネットフレーム200」が、本願発明1における「キャビネットフレーム」に相当する。

カ 引用発明1における「機器レール300A、300B」は、「頂部および底部フレーム250A、250Bの前後梁210に、取外し可能に連結され」ているから、本願発明1における「前記前後梁の第1の対の1つに、かつ前記前後梁の第2の対の1つに、着脱自在に接合される前方機器レール」に相当する。

キ 引用発明1における「垂直パネルブランク370」は「冷却された呼気および加熱された排気を分離するためにサーバキャビネット100の開口領域を封止するために」設けられる部材であるから、本願発明1における「エアダム」に相当する。

ク 引用発明1における「垂直パネルブランク370」は、「レール300Aに取外し可能に連結され、加えて、垂直ブランクパネル370は、垂直支柱230に取外し可能に連結され、キャビネットフレーム200に、より具体的には、垂直支柱230にさらなる剛性を提供する」から、「キャビネットフレーム200」の構造材であるといえるので、本願発明1における「前記前方機器レールに、かつ前記複数の垂直柱の1つに着脱自在に接合される構造エアダム」に相当する。

ケ 本願発明1では「前記キャビネットフレームが、一対の前記複数の垂直柱の間に位置し、一対の前記複数の垂直柱に接合される補強前後梁をさらに含み、前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され、前記構造エアダムがビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている、」のに対し、引用発明1では、そのような「補強前後梁」は用いられていない点で相違する。

上記アないしケより、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点、相違点を有するものと認められる。
(一致点)
「一対の上部左右梁に接合される前後梁の第1の対、一対の下部左右梁に接合される前後梁の第2の対、ならびに、前記一対の上部左右梁及び前記一対の下部左右梁に接合される複数の垂直柱を含むキャビネットフレームと、
前記前後梁の第1の対の1つに、かつ前記前後梁の第2の対の1つに、着脱自在に接合される前方機器レールと、
前記前方機器レールに、かつ前記複数の垂直柱の1つに着脱自在に接合される構造エアダムと、
を含む、
電子機器キャビネット。」

(相違点)
本願発明1では、「前記キャビネットフレームが、一対の前記複数の垂直柱の間に位置し、一対の前記複数の垂直柱に接合される補強前後梁をさらに含み、前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され、前記構造エアダムがビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている」のに対し、引用発明1では、そのような「補強前後梁」は用いられていない点。

(2)判断
引用文献2に記載された技術における「中間部」「サイドクロス部材」「22」(以下、「中間部サイドクロス部材22」という。)が、本願発明1における「補強前後梁」に相当する。
また、引用文献2に記載された技術における「レールシール40」は、「概ね平坦であり、金属系材料からな」り、「垂直エアダムを提供」するから、本願発明1における「構造エアダム」に相当する。
しかしながら、引用文献2に記載された技術では、「レールシール40」が「中間部サイドクロス部材22」に「接合され」ているか、明らかでない。
また、仮に「接合され」ているとしても、該「接合」の具体的構成として、本願発明1におけるような「前記構造エアダムがビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている」構成は、記載も示唆もされていない。
また、「接合」における上記具体的構成は、引用文献3に記載された技術にも、引用文献4に記載された技術にも記載されておらず、また、周知技術であったとも認められない。

よって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし引用文献4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいない。

2 本願発明2ないし17について
本願発明2ないし17は、本願発明1に係る構成を含み、さらに技術的に限定した発明であるから、本願発明1について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし引用文献4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいない。

3 本願発明18について
本願発明18は、本願発明1と同様に「前記キャビネットフレームが、一対の前記複数の垂直柱の間に位置し、前記一対の垂直柱に接合される複数の補強前後梁をさらに含み、前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記複数の補強前後梁に接合され、前記構造エアダムがビームブラケットを通じて補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている」構成を備えているから、本願発明1について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし引用文献4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいない。

4 本願発明19ないし30について
本願発明19ないし30は、本願発明18係る構成を含み、さらに技術的に限定した発明であるから、本願発明18について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし引用文献14に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいない。

5 まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし30は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし引用文献14に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいない。

第7 原査定について
1 理由1(特許法第36条第6項第2号)について
審判請求時の補正により、本件補正前の請求項13、31における「前記構造エアダムが、上方から見たときに前後方向で開く略C字形断面を有し」という記載は、「前記構造エアダムが、上方から見たときに略C字形断面を有し」補正され、それぞれ請求項12、29となっているから、原査定の理由1を維持することはできない。

2 理由3(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、請求項1ないし17に係る発明は「前記キャビネットフレームが、一対の前記複数の垂直柱の間に位置し、一対の前記複数の垂直柱に接合される補強前後梁をさらに含み、前記構造エアダムが、前記垂直柱を介することなく前記補強前後梁に接合され、前記構造エアダムがビームブラケットを通じて前記補強前後梁に接合され、前記ビームブラケットが、前記構造エアダムにおける後方を向く面に固定され、前記ビームブラケットにおける前記補強前後梁に固定される部分が、前記ビームブラケットにおける前記構造エアダムに固定される部分よりも後方に配置されている」という構成を備えるものとなっている。
また、請求項18ないし30に係る発明もこれと同様の構成を備えるものとなっている。
したがって、請求項1ないし30に係る発明は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて、容易になし得たことではない。
よって、原査定の理由3を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-28 
出願番号 特願2017-513775(P2017-513775)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
P 1 8・ 536- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 五貫 昭一  
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 清水 稔
永井 啓司
発明の名称 電子機器キャビネット  
代理人 村山 靖彦  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  

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