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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21S
管理番号 1378348
審判番号 不服2021-2788  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-02 
確定日 2021-10-12 
事件の表示 特願2017-550037号「ランプ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日国際公開、WO2017/081999、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)10月18日(優先権主張2015年11月11日、日本国)を国際出願日とする出願であって、令和2年5月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和3年3月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1?7に係る発明は、その出願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項 1
・刊行物等 1?3

・請求項 2?4
・刊行物等 1?4

・請求項 5?6
・刊行物等 1?5

・請求項 7
・刊行物等 1?6

刊行物等一覧
1.特開2013-175391号公報
2.特開2014-102881号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2008-135260号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2009-147175号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2009-187707号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2004-308296号公報(周知技術を示す文献)
以下、刊行物1?6を引用文献1?6という。

第3 本願発明
本願請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、令和2年7月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
光源であるLEDモジュールと、
ヒートシンクと、
熱移送手段と、
配光手段と、
開口部を有する筐体と、
光透過性カバーとを含み、
前記LEDモジュールは、複数のLEDと、前記複数のLEDを実装する実装面を有するLED基板とを含み、
前記ヒートシンクは、前記LED基板に対し、前記実装面の反対側に配置され、
前記配光手段は、前記LEDモジュールの光照射側に配置され、
前記筐体の内部に、前記LEDモジュール、前記ヒートシンク及び前記配光手段が配置され、
前記筐体の開口に、前記光透過性カバーが配置され、
前記熱移送手段は、熱伝導部と放熱部とを有し、前記熱伝導部は、前記ヒートシンクの熱が伝導されるように配置され、前記放熱部は、前記光透過性カバーに前記熱を放熱できるように配置されており、
前記熱移送手段が、ヒートパイプを含み、
前記光透過性カバーに、前記放熱部と熱的に接続された熱線ヒータが配置されていることを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記放熱部は、前記ランプ設置時の下方向に配置される請求項1記載のランプ。
【請求項3】
前記配光手段が、リフレクタ及びレンズの少なくとも一方を含む請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項4】
前記リフレクタは、筒状であり、
前記LEDモジュール及び前記ヒートシンクは、前記リフレクタの光源側開口に、前記実装面を前記リフレクタの光照射側の開口側に向けて配置されている請求項3記載のランプ。
【請求項5】
前記放熱部は、前記熱移送手段の一端に形成されており、
前記熱移送手段の他端は、前記ヒートシンクと熱的に接続されている請求項1から4のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項6】
前記熱移送手段は、前記リフレクタと前記筐体との間に配置され、前記放熱部は、前記光透過性カバーの内面と、前記リフレクタの光照射側の開口との間に配置されている請求項3から5のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項7】
航空機着陸誘導閃光装置に用いられる請求項1から6のいずれか一項に記載のランプ。」

第4 引用文献、引用発明等
引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
本願の優先権主張の日(以下「本願優先日」という。)前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。

「【請求項1】
LED光源と、前記LED光源を搭載する搭載面を有する本体と、前記搭載面に取り付けられ前記LED光源からの光を該LED光源の光軸方向と直交する一の方向に反射する第1の反射板と、前記本体の側面に取り付けられ前記第1の反射板により反射された光を前記光軸方向へ更に反射して所定のパターンで外部に出射する第2の反射板と、前記第1の反射板により反射された光を配光制御して前記第2の反射板へ出射する投影光学部と、を備えたことを特徴とする車両用前照灯。」

「【請求項6】
前記本体に取り付けられ前記LED光源からの熱を放熱するための放熱体を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用前照灯。」

「【請求項8】
前記LED及び本体及び第1の反射板及び第2の反射板及び投影光学部及び放熱体を収納して前記搭載面と対向する位置に透光性の前面パネルを有するケースと、前記搭載面から前記ケースの前面パネルに向かって伸びる放熱部材と、を更に備え、前記放熱部材は、前記搭載面に立設された柱部と、前記柱部の前記前面パネル側に該前面パネルと相対して該搭載面と同じ大きさに構成された平板状の平板部と、を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両用前照灯。」

「【0021】
図1及び図2に示すように、車両用前照灯1は、LED光源2と、LED光源2を保持する本体3と、を備える。本体3は、その内部が空洞となった円柱形状とされ、円柱が伸びる方向が前後方向(水平方向)となるように配置される。本体3は、その一方の端面がLED光源2を搭載するための搭載面3Aとされる。LED光源2は、その光軸Axが前後方向と一致するように搭載面3Aに搭載される。本体3は、所定の剛性を有し、かつ光反射性及び熱伝導性に優れた材料、例えば、アルミニウムにより構成される。
【0022】
また、車両用前照灯1は、LED光源2からの光を光軸Axと直交する一の方向に反射する第1の反射板4と、第1の反射板4からの光を配光制御する投影光学部5と、投影光学部5からの光を光軸Ax方向に反射する第2の反射板6と、を備える。図例では、第1の反射板4はLED光源2からの光を上方に反射し、第2の反射板6は投影光学部5からの光を前方に反射する。このような光は、ロービーム光として車両用前照灯1から出射される(図1において光路の一例を一点鎖線矢印で示す)。」

「【0026】
また、車両用前照灯1は、上述のLED光源2、本体3、第1の反射板4、投影光学部5及び第2の反射板6の各々を収納するケース7を備える。ケース7は、第2の反射板6により反射された光を外部に出射することができるように、搭載面3Aと対向する位置に透光性部材から成る前面パネル71を有する。前面パネル71は、例えば、透明アクリル樹脂により構成される。
【0027】
LED光源2は、複数のLEDユニット20により構成され、図例では左右方向に横並びに配置された2つのLEDユニット20により構成されている。各々のLEDユニット20は、マトリクス状に配置された多数のLEDにより構成される。各々のLEDは、例えば、白色光を出射する白色LEDにより構成される。白色LEDは、例えば、青色光を出射するGaN系青色LED光源チップと、この青色光により励起され黄色光を発する黄色蛍光体と、を有し、これら青色光と黄色光とを混色させることで白色光を出射する。LED光源2は、配電線により外部の駆動回路と接続される。この外部駆動回路は、LED光源2を点灯制御する。」

「【0043】
次に、更に他の実施形態の係る車両用前照灯について図10及び図11を参照して説明する。なお、図11ではケース7を省略している。車両用前照灯15は、上述の車両用前照灯1を基に、LED光源2を点灯制御する駆動回路21と、LED光源2及び駆動回路21で発生した熱を放熱するための放熱体8と、を更に設けたものである。駆動回路21は、本体3に内蔵され、配電線22によりLED光源2と接続されている。また、駆動回路21は、放熱体8の外面に設けられ外部電源との接続に関わるコネクタ23と配電線により接続され、熱伝導性に優れた材料から成る伝熱部材24により本体3と接続されている。放熱体8は、本体3の搭載面3Aとは反対側の面に取り付けられ、熱伝導性に優れた材料、例えば、アルミニウムや銅により構成される。駆動回路21で発生した熱は、伝熱部材24を介して本体3、次いで放熱体8へ伝熱されて最終的に外部へ放熱される。また、車両用前照灯15では、第2の反射板6が本体3の側面全周に亘って設けられている。」

「【0051】
次に、更に他の実施形態の係る車両用前照灯について図17及び図18を参照して説明する。車両用前照灯17は、上述の車両用前照灯16を基に、本体3の搭載面3Aからケース7の前面パネル71に向かって伸びる放熱部材81を更に設けたものである。放熱部材81は、搭載面3Aの中央に立設された柱部82と、柱部82の前面パネル71側に前面パネル71と相対するように設けられた略円板状の平板部83と、を有する。平板部83の直径は、搭載面3Aの直径とほぼ同じに構成されている。放熱部材81は、放熱体8と同様の材料により構成され、LED光源2、2aから生じた熱を前面パネル71に伝熱することで前面パネル71を暖める。」

「【0052】
従来の車両用前照灯では、ケースの前面パネルに電熱線を設けたり、ケース内において空気を循環させるファンを設けたりすることで前面パネルを暖め、これにより前面パネル外面における積雪及び凍結と前面パネル内面における結露とを防止していた。これに対し、本実施形態の車両用前照灯17によれば、このような電熱線やファンを設けなくても、放熱部材81によりLED光源2、2aからの熱で前面パネル71を暖めて、前面パネル71内外面における積雪、凍結及び結露を防止することができる。また、放熱部材81と放熱体8によりLED光源2、2aからの熱を放熱するので、放熱体8だけしか設けていない場合に比べて、より効率良くLED光源2、2aの温度上昇を防止することができる。これにより、放熱体8を小さくして、車両用前照灯17を小型化及び軽量化することも可能となる。更に、車両用前照灯17では、搭載面3Aの前方領域は、光の通過が無い又は光の通過があっても出射光パターンに影響を与えない領域となっている。そのため、平板部83の直径と搭載面3Aの直径とをほぼ同じに構成することで、出射光パターンに影響を与えることなく上記効果を得ることができる。」

以下の図面が示されている。
【図1】

【図3】

【図13】

【図17】



(2)認定事項
引用文献1には、段落【0051】及び【図17】等において、実施形態としての「車両用前照灯17」について記載されているところ、上記(1)の記載事項から、以下のことが認定できる。なお、実施形態にあわせて、各構成要素に符号を付している。

ア 請求項1、6の記載、及び段落【0046】の「LED光源2aからの光を下方に反射する第4の反射板9と、を更に設けたものである。」との記載から、
車両用前照灯17は、LED光源2、2aと、前記LED光源2、2aを搭載する搭載面3Aを有する本体3と、前記搭載面3Aに取り付けられ前記LED光源2からの光を該LED光源2の光軸方向Axと直交する一の方向に反射する第1の反射板4と、前記本体3の側面に取り付けられ前記第1の反射板4により反射された光を前記光軸方向Axへ更に反射して所定のパターンで外部に出射する第2の反射板6と、前記第1の反射板4により反射された光を配光制御して前記第2の反射板6へ出射する投影光学部5と、前記LED光源2aからの光を下方に反射する第4の反射板9とを備え、
前記本体3に取り付けられ前記LED光源2、2aからの熱を放熱するための放熱体8を更に備えること。

イ 段落【0027】の下線部の記載事項から、LED光源2、2aは、複数のLEDユニット20により構成され、各々のLEDユニット20は、マトリクス状に配置された多数のLEDにより構成されること。

ウ 段落【0043】の下線部の記載事項から、放熱体8は、本体3の搭載面3Aとは反対側の面に取り付けられていること。

エ 請求項8の記載と、段落【0051】の「放熱部材81は、搭載面3Aの中央に立設された柱部82」との記載、及び【図17】等から、「第4の反射板9」が「ケース7」に収納されることが明らかであることから、
LED光源2、2a及び本体3及び第1の反射板4及び第2の反射板6及び投影光学部5及び第4の反射板9及び放熱体8を収納して搭載面3Aと対向する位置に透光性の前面パネル71を有するケース7と、前記搭載面3Aから前記ケース7の前面パネル71に向かって伸びる放熱部材81と、を更に備え、前記放熱部材81は、前記搭載面3Aの中央に立設された柱部82と、前記柱部82の前記前面パネル71側に該前面パネル71と相対して該搭載面3Aと同じ大きさに構成された平板状の平板部83と、を有し、前記LED光源2、2aから生じた熱を前面パネル71に伝熱することで前記前面パネル71を暖めること。

(3)引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「LED光源2、2aと、前記LED光源2、2aを搭載する搭載面3Aを有する本体3と、前記搭載面3Aに取り付けられ前記LED光源2からの光を該LED光源2の光軸方向Axと直交する一の方向に反射する第1の反射板4と、前記本体3の側面に取り付けられ前記第1の反射板4により反射された光を前記光軸方向Axへ更に反射して所定のパターンで外部に出射する第2の反射板6と、前記第1の反射板4により反射された光を配光制御して前記第2の反射板6へ出射する投影光学部5と、前記LED光源2aからの光を下方に反射する第4の反射板9と、を備え、
前記本体3に取り付けられ前記LED光源2、2aからの熱を放熱するための放熱体8を更に備えた車両用前照灯17であって、
前記LED光源2、2aは、複数のLEDユニット20により構成され、各々の前記LEDユニット20は、マトリクス状に配置された多数のLEDにより構成され、
前記放熱体8は、前記本体3の前記搭載面3Aとは反対側の面に取り付けられており、前記LED光源2、2a及び前記本体3及び前記第1の反射板4及び前記第2の反射板6及び前記投影光学部5及び第4の反射板9及び前記放熱体8を収納して前記搭載面3Aと対向する位置に透光性の前面パネル71を有するケース7と、前記搭載面3Aから前記ケース7の前面パネル71に向かって伸びる放熱部材81と、を更に備え、前記放熱部材81は、前記搭載面3Aの中央に立設された柱部82と、前記柱部82の前記前面パネル71側に該前面パネル71と相対して該搭載面3Aと同じ大きさに構成された平板状の平板部83と、を有し、前記LED光源2、2aから生じた熱を前面パネル71に伝熱することで前面パネル71を暖める車両用前照灯17。」

2.引用文献2ついて
本願優先日前に日本国内で頒布された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】
複数のLEDモジュールと、
前記LEDモジュールが取り付けられた基板と、
前記LEDモジュールの近傍に配置され、温度を検出する温度検知ユニットと、
前記温度検知ユニットで検知された温度に基づいて、前記LEDモジュールを制御する制御部と、
前記LEDモジュールの発光面側に設けられ、前記LEDモジュールが発光する光を透過する透光板とを備え、
少なくとも、前記LEDモジュールと前記透光板との間には、放熱材料が形成されており、
前記制御部は、前記温度検知ユニットが、前記温度が第1の所定の温度以下になったことを検知すると、消灯していた前記LEDモジュールのうち少なくとも1つの前記LEDモジュールが点灯され、または、減光されて点灯していた前記LEDモジュールのうち少なくとも1つの前記LEDモジュールがより明るく点灯されて、前記LEDモジュールの温度が上昇する、ように制御することを特徴とするLED照明装置。」

「【0108】
本実施の形態2のLED照明装置は、複数のLEDモジュール40を備えている。各LEDモジュール40は、実施の形態1のLEDモジュール11と同様の構成であり、それぞれ複数のLED素子41がCOB実装された、AC電源駆動型のLEDモジュールである。」

「【0113】
本体フレーム42の下面外側には、アルミニウム製のヒートシンク44が設けられており、LEDモジュール40で生じた熱が、本体フレーム42の下面部分を介してヒートシンク44へ伝導され、放熱される。」

「【0114】
また、LEDモジュール40の周縁部からガラス板43の周縁部までの間の、本体フレーム42の内壁面に放熱塗料45が塗布されている。
【0115】
なお、実施の形態1のLED照明装置と同様に、本実施の形態2のLED照明装置も、LEDモジュール40の温度を検出するための温度センサー47がLEDモジュール40の近傍に設けられているが、図9では、温度センサー47の図示を省略している。
【0116】
LED照明装置を降雪地域等の屋外に設置する場合、ガラス板43に雪が付着すると、LED素子41が発光した光が、ガラス板43に付着した雪によって遮られてしまい、LED照明装置の機能を発揮できなくなってしまう。
【0117】
本実施の形態2のLED照明装置は、熱伝導率の大きい放熱塗料45が、LEDモジュール40の周縁部からガラス板43の周縁部に至るまで塗布されているので、LED素子41の発光により生じた熱が、効率よくガラス板43に伝導される。
【0118】
なお、放熱塗料45は、LED素子41が発光する光を遮らない範囲で、ガラス板43下面の周縁部分の広い範囲に塗布されているのが望ましい。
【0119】
照明制御部46は、温度センサー47で検知された温度に基づいて、例えば、実施の形態1で説明した制御方法と同様の制御方法で、LEDスイッチ50の切り替えによりLEDモジュール40の発光を制御する。
【0120】
温度センサー47によって、LEDモジュール40の周囲の温度が氷結する温度に近づいたことを検出したときに、LEDモジュール40を発光させるように制御することにより、LED素子41の発光により生じた高熱が、放熱塗料45によってガラス板43に効率よく伝導され、ガラス板43が加熱されて、ガラス板43に氷雪が付着することを防止できる。また、ガラス板43に氷雪が付着していた場合でも、ガラス板43が加熱されることによって、それらの付着している氷雪を迅速に融かすことができる。」

以下の図面が示されている。
【図9】


3.引用文献3ついて
本願優先日前に日本国内で頒布された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】 ハウジングと、前記ハウジングの先端開口部に位置し、所定の間隔で配置された放熱フィンを光透過材料で覆うように一体的に形成した放熱部と、前記ハウジングと前記放熱部が構成する空間内に配設された半導体発光素子と、前記半導体発光素子からの光を反射し集光させるリフレクタと、前記リフレクタからの反射光を略平行光に変換するレンズ系と、前記平行光の配光パターンを形成するシェード部と、前記半導体発光素子の熱を伝導し支持する発光素子支持部と、前記発光素子支持部と前記放熱フィンとを接続するヒートパイプとを具備し、前記半導体発光素子の熱を前記放熱部から外部へ放熱し、前記光透過材料を介して前記反射光を前方に照射することを特徴とする車両用前照灯。」

以下の図面が示されている。
【図1】


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、
ア 後者の「LED光源2、2a」は、前者の「LEDモジュール」に相当し、後者の「放熱体8」は、前者の「ヒートシンク」に、後者の「放熱部材81」は、前者の「熱移送手段」に、それぞれ相当する。また、後者の「第1の反射板4」、「第2の反射板6」、「第4の反射板9」、及び「投影光学部5」は、前者の「配光手段」に相当する。

イ 後者の「前面パネル71」は、前者の「光透過性カバー」に相当し、後者の「透光性の前面パネル71を有するケース7」は、「前面パネル71」を取り付けるための開口部を有することは明らかであるから、前者の「開口部を有する筐体」に相当する。

ウ 後者の「マトリクス状に配置された多数のLED」は、前者の「複数のLED」に相当し、後者の「前記LED光源2、2aを搭載する搭載面3A」は、前者の「LEDを実装する実装面」に相当し、後者の「前記LED光源2、2aを搭載する搭載面3Aを有する本体3」「を備え、」「前記LED光源2、2aは、複数のLEDユニット20により構成され、各々の前記LEDユニット20は、マトリクス状に配置された多数のLEDにより構成」する点は、前者の「前記LEDモジュールは、複数のLEDと、前記複数のLEDを実装する実装面を有するLED基板とを含」む点とは、「前記LEDモジュールは、複数のLEDと、前記複数のLEDを実装する実装面を含み」との構成で共通する。

エ 後者の「前記放熱体8は、前記本体3の前記搭載面3Aとは反対側の面に取り付けられており」との構成は、前者の「前記ヒートシンクは、前記実装面の反対側に配置され」る構成に相当する。

オ 後者の「前記搭載面3Aに取り付けられ前記LED光源2からの光を該LED光源2の光軸方向Axと直交する一の方向に反射する第1の反射板4と、前記本体3の側面に取り付けられ前記第1の反射板4により反射された光を前記光軸方向Axへ更に反射して所定のパターンで外部に出射する第2の反射板6と、前記第1の反射板4により反射された光を配光制御して前記第2の反射板6へ出射する投影光学部5と、前記LED光源2aからの光を下方に反射する第4の反射板9と、を備え、」る構成は、少なくとも該「第1の反射板4」及び「第4の反射板9」は、【図1】、【図17】等から、「LED光源2、2a」の光照射側に配置されることは明らかであるから、前者の「前記配光手段は、前記LEDモジュールの光照射側に配置され」との構成とは、「前記配光手段の少なくとも一部は、前記LEDモジュールの光照射側に配置され」との構成において共通する。

カ 後者の「ケース7」に「前記LED光源2、2a及び前記本体3及び前記第1の反射板4及び前記第2の反射板6及び前記投影光学部5及び第4の反射板9及び前記放熱体8を収納」する構成は、前者の「前記筐体の内部に、前記LEDモジュール、前記ヒートシンク及び前記配光手段が配置され」る構成に相当する。

キ 上記イを踏まえると、後者の「ケース7」において「前記搭載面3Aと対向する位置に透光性の前面パネル71を有する」構成は、前者の「前記筐体の開口に、前記光透過性カバーが配置され」る構成に相当する。

ク 後者の「柱部82」及び「平板部83」は、前者の「熱伝導部」及び「放熱部」にそれぞれ相当し、後者の「前記搭載面3Aから前記ケース7の前面パネル71に向かって伸びる放熱部材81と、を更に備え、前記放熱部材81は、前記搭載面3Aの中央に立設された柱部82と、前記柱部82の前記前面パネル71側に該前面パネル71と相対して該搭載面3Aと同じ大きさに構成された平板状の平板部83と、を有し、前記LED光源2、2aから生じた熱を前面パネル71に伝熱することで前面パネル71を暖める」構成は、前者の「前記熱移送手段は、熱伝導部と放熱部とを有し、前記熱伝導部は、熱が伝導されるように配置され、前記放熱部は、前記光透過性カバーに前記熱を放熱できるように配置されており」との構成に相当する。

そうすると、両者は、本願発明1の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「光源であるLEDモジュールと、ヒートシンクと、熱移送手段と、配光手段と、開口部を有する筐体と、光透過性カバーとを含み、前記LEDモジュールは、複数のLEDと、前記複数のLEDを実装する実装面を含み、
前記ヒートシンクは、前記実装面の反対側に配置され、
前記配光手段の少なくとも一部は、前記LEDモジュールの光照射側に配置され、前記筐体の内部に、前記LEDモジュール、前記ヒートシンク及び前記配光手段が配置され、前記筐体の開口に、前記光透過性カバーが配置され、前記熱移送手段は、熱伝導部と放熱部とを有し、前記熱伝導部は、熱が伝導されるように配置され、前記放熱部は、前記光透過性カバーに前記熱を放熱できるように配置されているランプ。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
「LEDモジュール」に関し、
本願発明1は、「前記複数のLEDを実装する実装面を有するLED基板」を含んでいるのに対し、
引用発明は、かかるLED基板の明示がない点。

[相違点2]
「ヒートシンク」に関し、
本願発明1は、「前記LED基板に対し、前記実装面の反対側に配置され」ているのに対し、
引用発明は、LED基板の明示がないため、かかる配置が特定されていない点。

[相違点3]
「配光手段」に関し、
本願発明1は、「前記LEDモジュールの光照射側に配置され」ているのに対し、
引用発明は、「前記搭載面3Aに取り付けられ前記LED光源2からの光を該LED光源2の光軸方向Axと直交する一の方向に反射する第1の反射板4と、前記本体3の側面に取り付けられ前記第1の反射板4により反射された光を前記光軸方向Axへ更に反射して所定のパターンで外部に出射する第2の反射板6と、前記第1の反射板4により反射された光を配光制御して前記第2の反射板6へ出射する投影光学部5と、前記LED光源2aからの光を下方に反射する第4の反射板9と、を備え」る構成であって、その全てがLED光源2、2aの光照射側に配置されていることが特定されていない点。

[相違点4]
「熱伝導部」に関し、
本願発明1は、「ヒートシンクの熱が伝導されるように配置され」ているのに対し、
引用発明は、「LED光源2、2aを搭載する」「搭載面3Aの中央に立設され」、「前記LED光源2、2aから生じた熱を前面パネル71に伝熱する」ものであって、放熱体8の熱が伝導されることが特定されていない点。

[相違点5]
「熱移送手段」に関し、
本願発明1は、「ヒートパイプを含」んでいるのに対し、
引用発明は、ヒートパイプを含んでいることの特定がない点。

[相違点6]
「光透過性カバー」に関し、
本願発明1は、「前記放熱部と熱的に接続された熱線ヒータが配置されている」のに対し、
引用発明は、かかる熱線ヒータの配置が特定されていない点。

(2)判断
事案に鑑み、上記相違点4を先に検討する。
ア 本願発明1の「熱伝導部」に相当する引用発明の「柱部82」は、「LED光源2、2aを搭載する」「搭載面3Aの中央に立設され」、「前記LED光源2、2aから生じた熱を前面パネル71に伝熱する」ものであるところ、引用文献1の段落【0052】に「放熱部材81と放熱体8によりLED光源2、2aからの熱を放熱するので、放熱体8だけしか設けていない場合に比べて、より効率良くLED光源2、2aの温度上昇を防止することができる。これにより、放熱体8を小さくして、車両用前照灯17を小型化及び軽量化することも可能となる。更に、車両用前照灯17では、搭載面3Aの前方領域は、光の通過が無い又は光の通過があっても出射光パターンに影響を与えない領域となっている。そのため、平板部83の直径と搭載面3Aの直径とをほぼ同じに構成することで、出射光パターンに影響を与えることなく上記効果を得ることができる。」と記載されているように、出射光パターンに影響を与えない領域に「柱部82」を立設することで、本願発明1の「ヒートシンク」に相当する「放熱体8」を小さくして、車両用前照灯17を小型化及び軽量化することを可能とし、かつ、効率良くLED光源2、2aの温度上昇を防止するものであって、LED光源2、2aから発生する熱を、「放熱体8」及び「柱部82」の二系統の放熱手段で放熱することを重要視するものであるから、引用発明の「柱部82」を「放熱体8」の熱が伝導されるように配置すること、つまり、放熱手段を一系統に変更する動機付けは存在しないものであり、むしろ阻害要因があるといえる。

イ 上述したとおり、引用発明において「柱部82」を「放熱体8」の熱が伝導されるように配置することには、阻害要因が存在するが、引用文献2及び3の適用について検討する。

イ-1 引用文献2には、上記第4 2.の記載事項から、以下の「周知技術(引用文献2)」及び「引用文献2に記載された事項」が記載されていると認められる。
(ア)周知技術(引用文献2)
「LEDモジュールが基板を含むこと。」(【請求項1】等)

(イ)引用文献2に記載された事項
「ヒートシンク44が設けられているLED照明装置において、
熱伝導率の大きい放熱塗料45が、LEDモジュール40の周縁部からガラス板43の周縁部に至るまで塗布されていること。」(段落【0108】、【0113】及び【0117】等)

(ウ)検討
引用文献2に記載された事項において、本願発明1の「熱伝導部」に相当する「放熱塗料45」が「ヒートシンク44」の熱が伝導されるように配置されているはいえない。

イ-2 引用文献3には、上記第4 3.の請求項1の記載から、以下の「周知技術(引用文献3)」及び「引用文献3に記載された事項」が記載されていると認められる。
(ア)周知技術(引用文献3)
「熱伝導部としてヒートパイプを採用すること。」

(イ)引用文献3に記載された事項
「ハウジングと、前記ハウジングの先端開口部に位置し、所定の間隔で配置された放熱フィンを光透過材料で覆うように一体的に形成した放熱部を具備する車両用前照灯において、
半導体発光素子の熱を伝導し支持する発光素子支持部と、前記発光素子支持部と前記放熱フィンとを接続するヒートパイプとを具備し、前記半導体発光素子の熱を前記放熱部から外部へ放熱すること。」

(ウ)検討
引用文献3に記載された事項には、本願発明1の「ヒートシンク」に相当する構成がないから、本願発明1の「熱伝導部」に相当する「ヒートパイプ」がヒートシンクの熱が伝導されるように配置されているとはいえない。

ウ 以上、検討したとおり、引用発明に、周知技術(引用文献2)及び周知技術(引用文献3)、並びに引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項を適用できたとしても、上記相違点4に係る本願発明1の構成に至るものではない。

エ したがって、上記相違点1?3、5、6について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、周知技術(引用文献2)及び周知技術(引用文献3)、並びに引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2?7について
本願発明2?7は、本願発明1の全ての構成を含み、さらに限定を加えたものであるから、上記1において本願発明1に対して説示したのと同様の理由により、当業者であっても、引用発明、周知技術(引用文献2)及び周知技術(引用文献3)、引用文献2に記載された事項、及び引用文献3に記載された事項、並びに本願優先日前に日本国内で頒布された引用文献4?6で示される周知技術に基いて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?7は、当業者が引用発明、周知技術(引用文献2)及び周知技術(引用文献3)、引用文献2に記載された事項、及び引用文献3に記載された事項、並びに引用文献4?6に記載された各周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-21 
出願番号 特願2017-550037(P2017-550037)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F21S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 河村 勝也  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 島田 信一
一ノ瀬 覚
発明の名称 ランプ  
代理人 伊佐治 創  
代理人 辻丸 光一郎  
代理人 松縄 正登  
代理人 南野 研人  
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