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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1378358
審判番号 不服2020-11774  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-24 
確定日 2021-09-24 
事件の表示 特願2017-504809号「高コントラストの、ガラスに基づく書込み可能/消去可能な前面投影スクリーン」拒絶査定不服審判事件〔平成28年2月4日国際公開、WO2016/018861、平成29年10月12日国内公表、特表2017-530383号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月28日を国際出願日とする外国語特許出願(パリ条約による優先権主張、2014年7月30日、米国)であって、平成29年3月17日に翻訳文が提出され、令和元年6月20日付けの拒絶理由通知に対し、同年11月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年4月15日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(原査定の謄本の送達日:同年4月22日)、これに対して、同年8月24日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1?8に係る発明は、令和元年11月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)及び請求項6に係る発明(以下「本願発明6」という。)は、それぞれ次に特定されるとおりである。

「【請求項1】
投影スクリーンの使用中にユーザに面するユーザ側の表面を有する投影スクリーンであって、該投影スクリーンが透明なガラスシートおよび拡散要素を含み、
(a)前記ガラスシートが、距離dだけ離れた前面および後面を有し、
(b)前記ガラスシートの前記後面が、前記拡散要素と光学的に接触し、
(c)前記投影スクリーンの使用中に、前記ガラスシートの前記前面および前記後面が、プロジェクタからの画像光を前記拡散要素へと透過させ、該拡散要素が、前記光の一部を、再び前記ガラスシートを通してユーザへと反射し、
(d)前記距離dが、0.05ミリメートルより大きく且つ0.2ミリメートル以下であり、
(e)前記投影スクリーンの前記ユーザ側の表面が、書込み可能/消去可能な表面であり、
(f)前記投影スクリーンが、少なくとも75%のコントラストを有する、
ことを特徴とする投影スクリーン。」

「【請求項6】
投影スクリーンの使用中にユーザに面するユーザ側の表面を有する投影スクリーンであって、該投影スクリーンが透明なガラスシートおよび拡散要素を含み、
(a)前記ガラスシートが前面および後面を有し、
(b)前記ガラスシートの前記後面が、前記拡散要素と光学的に接触し、
(c)前記投影スクリーンの使用中に、前記ガラスシートの前記前面および前記後面が、プロジェクタからの画像光を前記拡散要素へと透過させ、該拡散要素が、前記光の一部を、再び前記ガラスシートを通してユーザへと反射し、
(d)前記ガラスシートおよび前記拡散要素が組み合わさって、0.5以下の白色度Wを有する前記投影スクリーンを設け、
(e)前記投影スクリーンの前記ユーザ側の表面が、書込み可能/消去可能な表面であり、
(f)前記投影スクリーンが、少なくとも75%のコントラストを有する、
ことを特徴とする投影スクリーン。」


第3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明1及び本願発明6についての理由は、次のとおりである。

本願発明1は、下記の引用文献1、2、4及び5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

本願発明6は、下記の引用文献1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特開2003-237295号公報
引用文献2:特開2013-19886号公報
引用文献3:特開2003-270726号公報
引用文献4:特開2006-162838号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2007-4107号公報(周知技術を示す文献)


第4 当審の判断
1 引用文献等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用する特開2003-237295号公報(上記引用文献1)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0010】図1に示される第1実施例は、フロートガラス等の透明で且つ略矩形状の板ガラス1を備えて形成されていて、この板ガラス1の表面にサンドブラスト、エッチングにより無反射性加工面1aを形成している。
【0011】この板ガラス1の表面に設けた無反射性加工面1aは凹凸面として形成され、その面粗さと形状により、水性ペン等を使用した場合に、適度なペンタッチの感覚を与えて文字、図柄の書き込みが可能であると同時に、ガラスクリーナ等の溶剤や字消具等により消去が可能となっている。また、この無反射性加工面1aは、入射光をその凹凸面で散乱することから光沢が低下しており、書き込んだ文字や図柄等が見やすくなっている。
【0012】前記板ガラス1は、壁面、机等の光拡散性の背景Aで使用することができ、板ガラス1の表面である無反射性加工面1aで書き込み、消去が可能であると共に、背景Aと板ガラス1との間にメモや図面等を挟み込んで、トレース台として使用することができる。また、無反射性加工面1aへ入射した光は、その全体が背景A上で反射するため、映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる。
【0013】また、本発明の板ガラス1は、図2に図示の如く、適宜な彩色を施して膜層1bが形成される。この膜層1bは、光拡散性の塗料または顔料を含む層として形成され、具体的には白色乃至淡色系の塗装による層や、印刷等による膜層を有するフィルムまたは着色フィルムから形成される。
【0014】ここで、前記塗料または顔料が白色乃至淡色系の場合で、且つ、層中に高い密度で分散している場合には、板ガラス1の表面である無反射性加工面1aから入射した光は、その全体が層上で反射するため、反射型のスクリーンとして機能させることができる。」

「【0019】図6に示される第6実施例は、板ガラス1の表面にサンドブラスト、エッチングにより無反射性加工面1aを形成し、板ガラス1の背面に、鉄や磁性体等の磁性層または金属層1eを形成している。これにより、板ガラス1の表面に紙等を磁石等を使用して取付けたり、本発明の書写及び映写用ガラスそのものを、図10に図示の如く、机9等の金属面に磁着することができる。」

「【図1】



「【図2】



「【図6】



上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「表面にサンドブラスト、エッチングにより無反射性加工面1aが形成され、無反射性加工面1aへ入射した光の全体が背景A上で反射するため、映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる、フロートガラス等の透明で且つ略矩形状の板ガラス1であって、
(【0010】、【0012】、【図1】)
無反射性加工面1aは凹凸面として形成され、その面粗さと形状により、水性ペン等を使用した場合に、適度なペンタッチの感覚を与えて文字、図柄の書き込みが可能であると同時に、ガラスクリーナ等の溶剤や字消具等により消去が可能となっており、この無反射性加工面1aは、入射光をその凹凸面で散乱することから光沢が低下しており、書き込んだ文字や図柄等が見やすくなっており、(【0011】)
板ガラス1には、適宜な彩色を施して膜層1bが形成されており、この膜層1bは、光拡散性の塗料または顔料を含む層として形成され、具体的には白色乃至淡色系の塗装による層や、印刷等による膜層を有するフィルムまたは着色フィルムから形成され、前記塗料または顔料が白色乃至淡色系の場合で、且つ、層中に高い密度で分散している場合には、板ガラス1の表面である無反射性加工面1aから入射した光は、その全体が層上で反射するため、反射型のスクリーンとして機能させることができ、
(【0013】?【0014】、【図2】)
板ガラス1の背面に、鉄や磁性体等の磁性層または金属層1eを形成することにより、板ガラス1の表面に紙等を磁石等を使用して取付けたりすることができる、(【0019】、【図6】)
板ガラス1。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由において引用する特開2013-19886号公報(上記引用文献2)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0011】
以下、本発明を適用した画像計測装置の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は実施形態の画像計測装置の構成を示す概略図である。同図に示す画像計測装置10は、投影画像の投影光の一部を拡散透過させる材料で作られた光学部材の一つであるスクリーン11及び撮影装置12を含んで構成されている。スクリーン11は、全波長域で反射率が90%以上97%以下と規定し、詳細にはフラットである白色の分光特性を有し、計測対象のプロジェクタ20から投射された投影画像21が表面11-1で拡散反射する同時に入射光画像の一部が透過するスクリーンとした。入射光画像が透過していく際、その光の分散によって、透過側の投影画像22がぼけることを防ぐために十分薄い素材とする。以上の条件を満たすスクリーンとしては、例えばポリエステルなどの強靭な素材のフィルムに1[μm]以下厚さとなる染料または顔料などを分散させたもので、20?100[μm]の範囲の厚さのものなどである。実験からは50[μm]の厚さが好ましい。具体的には、このフィルムの厚さが20[μm]より薄いと透過した投影画像光が十分拡散するが、透過した光の画像がぼけてしまう。また、フィルムの厚さが100[μm]より厚いと透過した投影画像光の像はぼけにくいが、光の拡散反射が十分でなくなり、フィルム上で光の画像が形成されなくなって透過側からの計測が困難となる。例えばスクリーンの部材をガラスにしたと考えれば計測できないことと同じである。
【0012】
そこで、フィルムの厚さを決定する判断の一例として、フィルムの厚さの異なる2枚の拡散透過型のAフィルム及びBフィルム(フィルムAの厚さ>フィルムBの厚さ)を用いて反射側から計測したコントラスト比と透過側から計測したコントラスト比との相関関係を図2に示すように、両者のコントラスト比において、反射側からの計測値が基準値となり、透過側からの計測値が反射側からの計測値に近い値であるほど、投影光の波長域で反射率が90%以上の適正なフィルム条件となる。一方、反射率が100%に近づくと結果的に透過する光が少なくなり、透過光による投影画像の計測ができなくなる。そして、上述したようにスクリーン11のポリエステルなどのフィルムには1[μm]以下の厚さの染料または顔料などが分散されており、投影画像の投影光の一部はフィルム、あるいは分散されている染料又は顔料に吸収される。これらにより、スクリーン11の反射率は最大97%程度になると考えられる。以上説明したように、反射率に関しては図3で示すようにスクリーン11の厚さにも関係があり、反射率90%以上97%以下を確保するためには、50[μm]以上の厚さが必要となる。」

「【0016】
通常、このようなスクリーンは透過率が低すぎるため、透過光を計測するためのスクリーンとして用いられることは無い。これに対して、プロジェクタの投影画像を本実施形態のスクリーンに投影した場合、反射側の投影画像と、透過側の投影画像は、画像のコントラストや解像度において、ほぼ同等のドット画像を得られ、実際に使用される状態と同じ画像を撮影することが可能となる。」

「【0020】
ところで、本実施形態の画像計測装置では、スクリーン11の光学面に到達した光を反射拡散させ、撮影装置12によって当該光学面を撮影することで光学面のコントラストを検出している。その際光学面での像がぼけてしまうと、正しく計測することができない。そこで、図7の(a)に示す実験を通じて、フィルム31の光源32による照射側にレチクル33を設置させている。このレチクル33は光学ガラスで作られ、図7の(b)に示すようにフィルム31側に万線パターンピッチが蒸着されている。この万線パターンピッチが実際にプロジェクタ投影画像のパターンピッチ相当になっていることが重要である。図7の(c)に示すように、100[μm]を大きく超えるような厚さになると、投影画像に対して透過した画像のコントラスト比が急激に減少してしまう。このように、スクリーンの光学面で反射する光やスクリーンを透過する光を様々な観点で見た場合、スクリーンの光学面の反射率が90%以上97%以下、スクリーンの厚さが50[μm]?100[μm]であることが望ましいと言える。」

「【図1】



「【図2】



「【図7】



(3)引用文献3
原査定の拒絶の理由において引用する特開2003-270726号公報(上記引用文献3)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0014】映写用スクリーンは、用途によって各種型式があり、スクリーンの全体構成や製法はそれぞれ異なる。本明細書では巻取収納式スクリーンを例に説明する。図1(a)に巻取収納式スクリーンの一例を示し、巻取収納式スクリーン1は、スクリーン基布3を所定の寸法にカッティングし、そのスクリーン基布3の周囲3aに黒色などのマスク塗装または印刷を施してスクリーン2を形成し、スクリーン2の上端には吊り下げ手段としてのフック7,7を備えた巻取収納装置5を、また下端にはスクリーン2を垂直に垂下展張させる重錘としてのバー6をそれぞれ取り付けて構成される。スクリーン2は、図1(b)に中心部の側断面を示すように、変化二重組織つまり表側がアムンゼン織り組織8で裏側がサテン織り組織9からなるスクリーン基布3の裏面(即ちサテン織り組織9の表面)に、寒色系、または暖色系、或いは無彩色系のいずれかの着色樹脂を塗布して塗膜4を形成して構成する。この着色樹脂塗膜4には、基布3の裏面と接する面に基布3の経糸と緯糸との交差する織り組織の間隙内に基布表面側に向け貫入する着色樹脂の凸部11が基布全面に亘って無数に形成され、一部の凸部先端については基布組織内部の表面近傍に達している(つまりスクリーン基布組織の表面側に凸部先端が覗く直前まで貫入している)。」

「【0018】前記の映写スクリーン1におけるスクリーン基布3の表側のアムンゼン織り組織について説明する。アムンゼン織りとは、前述の説明の如く経糸と緯糸の浮き沈みの凹凸が表面に不規則に粒状となって現れる織組織で、その凹凸の稜線は方向が不規則且つ短く寸断されて連続しない変化組織である。参考までに、図2にアムンゼン織りの組織パターンの一例を示す。図2は一般の布地によく利用される1リピートが径糸66本×緯糸40本、6枚ヘルドにて織られたアムンゼン織りの組織図の一部分を示し、黒塗り部と白抜き部とは経糸と緯糸の交差点における糸の浮き沈みを示す。部分的ながらこの図によりアムンゼン織りの組織は経糸と緯糸との交差によって表面に現れる凹凸に不規則性があること解る。そしてアムンゼン織りは、経糸緯糸の1リピートあたりの本数の組み合わせとヘルド数とにより、種々の異なる組織パターンとなり、太い糸にすると組織の凹凸が大きくなる織布である。」

「【0023】つぎに、スクリーン基布3の裏面に塗布する着色樹脂の塗膜4について説明する。着色樹脂塗膜4には、基布3の裏面と接する面に基布3の経糸と緯糸との交差する織り組織の間隙内に基布表面側に向け貫入する着色樹脂の凸部11(図1(b))が基布全面に亘って無数に形成され、一部の凸部先端については基布組織内部の表面近傍に達している(つまりスクリーン基布組織の表面側に凸部先端が覗く直前まで貫入している)。この凸部は、基布の織り組織の粗さを変えたり、着色樹脂の濃度即ち粘性や流動性を変えたり、或いは撥水剤の種類や混入率の調整など、適宜の方法で繊維基布組織内部への貫入量の調整が可能である。
【0024】着色樹脂の塗膜4の作用効果確認のため、表側がアムンゼン織りの変化二重組織の基布の裏面に着色樹脂を塗布したスクリーン基布に、各種のプロジェクターで映像を投影し目視確認を行った。その結果、詳細データの掲載は省略するが、樹脂塗布を行わない場合に比べ、スクリーンの輝度を向上し(但し明るい暖色系と白色系のみ)、フォーカス感を高め且つコントラストを強め、一方、液晶プロジェクタによる映像に対しては暖色系の着色樹脂を用いるとその色相により画像の色調バランスを改善するなどの作用効果が認められた。
【0025】上記の現象を個別に以下に詳しく考察する。まず、スクリーン基布3の裏面に着色樹脂を塗布すると、白色系と明るい暖色系においては光の反射率が寒色系や黒色系より高いためスクリーン基布組織内に入射したを光を反射し、この作用によりスクリーンの輝度が向上すると考察される。この現象は、着色樹脂の色相により差異が認められ、暖色系と白色系に認められる。
【0026】つぎに、塗膜4の基布の組織内に貫入した凸部11が、基布組織内に入射した光の基布組織内での乱反射に伴うスクリーン面に沿う方向の迷光を吸収しまたその一部を跳ね返し、隣接組織内への侵入つまりスクリーン面に沿う方向への光の拡散を制限するため、この作用により映像の輪郭が鮮明になりフォーカス感が向上すると考察される。この現象は、着色樹脂が寒色系とグレー系から黒系の無彩色系において顕著であるが、その理由は、寒色系やグレー系から黒系の方がスクリーン面に沿う方向に拡散する迷光の吸収率が高く、色調を引き締めて輪郭がシャープでコントラストの強い鮮明な映像となるものと考察される。」

「【図1】



(4)引用文献6(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する国際公開第2013/062927号(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は当審が付した。日本語訳は、引用文献6の日本語ファミリー文献である特表2015-501243号公報における対応箇所の記載を段落番号も含めてそのまま引用している。

「[0057] In Fig. 1, a conformable writable erasable device 100 is mounted on a face 102 of an object 104 to provide a writable erasable area 106 on the object face 102. The conformable writable erasable device 100 may be large enough to cover the entire object face 102 or may occupy only a selected area of the object face 102. Dry-erase or wet-erase markers can be used to write or draw on the writable erasable area 106. In general, the shape of the object face 102 or the selected area of the object face where the writable erasable area 106 is formed would be non-flat. Preferably, the non-flat shape is a curved shape. Alternatively, the non-flat shape may generally be a bent shape without sharp corners. In one embodiment, as shown in Fig. 1, the object face 102 is curved, and the conformable writable erasable device 100 conforms to the shape of the object face 102 to provide the writable erasable area 106. In the embodiment shown in Fig. 1, the object 102 is a refrigerator, and the object face 102 is located on a door of the refrigerator. However, the conformable writable erasable device 100 is not restricted to providing the writable erasable area 106 on a refrigerator object. In general, the object 102 can be any object having a face, and particularly an object that is expected to be both functional and decorative. In general, the object 102 may be selected from household appliances, e.g., a refrigerator or dishwasher, pieces of furniture, e.g., a cabinet or console, architectural elements, e.g., a glass window, and non-glass boards, e.g., a cork board, a chalkboard, a porcelain board, or a melamine board. The conformable writable erasable device 100 may be used to refurbish non-glass boards, for example. In general, the object face 102 may be a glass surface or a non-glass surface, such as a metallic or plastic surface.」
(日本語訳)
「【0048】
図1では、書込み消去可能エリア106を物体外面102に提供するために、形状適合書込み消去可能機器100が物体104の外面102に据え付けられている。形状適合書込み消去可能機器100は、物体外面102全体を覆うくらい大きいものでもよいし、あるいは物体外面102の選択エリアのみを占めるものでもよい。ドライイレースマーカーまたはウェットイレースマーカーを使用して、書込み消去可能エリア106に書くまたは描くことができる。一般に、物体外面102の形状、すなわち物体外面の書込み消去可能エリア106が形成される選択エリアの形状は、非平坦であろう。この非平坦な形状は、湾曲した形状であることが好ましい。あるいは、この非平坦な形状は概して、稜角を含まない屈曲形状でもよい。一実施の形態では、図1に示したように、物体外面102は湾曲しており、形状適合書込み消去可能機器100は、物体外面102の形状に適合して書込み消去可能エリア106を提供する。図1に示した実施形態では、物体104は冷蔵庫であり、物体外面102は冷蔵庫の扉に位置付けられている。しかしながら、形状適合書込み消去可能機器100は、書込み消去可能エリア106を冷蔵庫の表面に提供するものに限定されない。一般に、物体104は外面を有する任意の物体とすることができ、特に機能的かつ装飾的であるよう期待される物体としてもよい。一般に、物体104は例えば、冷蔵庫または食洗機などの家庭用電化製品、キャビネットまたはコンソールなどの家具、ガラス窓などの建築部材、そしてコルクボード、黒板、磁器ボード、またはメラミンボードなどの非ガラスボード、から選択され得る。形状適合書込み消去可能機器100を、例えば非ガラスボードの改造に使用することもできる。一般に、物体外面102はガラス表面でもよいし、あるいは金属表面またはプラスチック表面などの非ガラス表面でもよい。」

「[0058] The conformable writable erasable device 100 includes a conformable glass sheet and means for mounting the conformable glass sheet on the object 104 such that the conformable glass sheet is placed at a desired location on the object face 102 in order to provide the writeable erasable area 106 on the object face 102. The glass sheet is conformable due to being preformed in a select non-flat shape and/or due to its ability to be elastically deformed into a select non-flat shape. In one embodiment, the conformable glass sheet is a relatively flexible glass sheet, i.e., the glass sheet can be bent repeatedly within a predetermined range of bend angles without damage to the glass sheet. The flexibility of the glass sheet is partly due to the structural properties of the glass sheet and partly due to the thinness of the glass sheet. In another embodiment, the conformable glass sheet is a relatively rigid glass sheet, i.e., the glass sheet cannot be bent repeatedly within a predetermined range of bend angles without damage to the glass sheet.」
(日本語訳)
「【0049】
形状適合書込み消去可能機器100は、形状適合ガラスシートと、書込み消去可能エリア106を物体外面102に提供するために、形状適合ガラスシートを物体外面102の所望の位置で設置するよう形状適合ガラスシートを物体104に据え付ける手段とを含む。ガラスシートは、選定された非平坦形状に事前に形成されているため、および/または、選定された非平坦形状に弾性的に変形する能力を有しているため、形状適合する。一実施の形態において、形状適合ガラスシートは比較的柔軟なガラスシートであり、すなわちこのガラスシートを、既定範囲内の曲げ角度で、損傷させることなく繰り返し屈曲させることができる。ガラスシートの柔軟性は、ある程度はガラスシートの構造的性質によるものであり、またある程度はガラスシートの薄さによるものである。別の実施形態において、形状適合ガラスシートは比較的剛性のガラスシートであり、すなわちこのガラスシートは、既定範囲内の曲げ角度で、損傷させることなく繰り返し屈曲させることはできない。」

「[0059] Fig. 2a shows a conformable glass sheet 200 having a front surface 202, a back surface 204, and a uniform thickness of glass 206 between the front surface 202 and the back surface 204. In one embodiment, the glass thickness 206 is less than 2.0 mm. In another embodiment, the glass thickness 206 is less than 1.0 mm. In yet another embodiment, the glass thickness 206 is less than 0.7 mm. Typically, the glass thickness 206 will not be less than 0.3 mm. In some embodiments, the glass thickness may be 2.0 mm or greater. In one embodiment, the conformable glass sheet 200 is a transparent glass sheet. In another embodiment, the conformable glass sheet 200 is a color tinted transparent glass sheet or a colored opaque glass sheet. In some embodiments, where the conformable glass sheet 200 is a transparent glass sheet, a decoration or printed image may be formed on the back surface 204 of the glass sheet 200. The decoration may be dense enough to cover the back surface 204, and of an opaque color, such that the back surface 204 appears opaque.」
(日本語訳)
「【0050】
図2aは、前表面202および後表面204を有し、さらに前表面202と後表面204との間に均一なガラス厚さ206を有している、形状適合ガラスシート200を示している。一実施の形態において、ガラス厚さ206は2.0mm未満である。別の実施形態では、ガラス厚さ206は1.0mm未満である。さらに別の実施形態では、ガラス厚さ206は0.7mm未満である。典型的には、ガラス厚さ206は0.3mm未満にならない。いくつかの実施形態において、ガラス厚さは2.0mm以上になり得る。一実施の形態において、形状適合ガラスシート200は透明なガラスシートである。別の実施形態では、形状適合ガラスシート200は着色された透明なガラスシートであり、あるいは有色の不透明なガラスシートである。形状適合ガラスシート200が透明なガラスシートである場合、いくつかの実施形態では、装飾またはプリント画像がガラスシート200の後表面204に形成され得る。装飾は、後表面204を覆い隠すくらい濃いものでもよく、また後表面204が不透明に見えるように不透明色のものでもよい。」

「[0060] The front surface 202 is the writable erasable surface and is the surface that would be in the fore when the conformable writable erasable device 100 (in Fig. 1) is mounted on an object face. The front surface 202 may or may not have special surface attributes compared to the back surface 204. In some embodiments, the front surface 202 may be treated with agents that would facilitate surface writing and erasability. The back surface 204 is parallel and in opposing relation to the front surface 202. In the embodiment shown in Fig. 2a, the conformable glass sheet 200 is formed in a bent or bowed shape, such that the front and back surfaces 202, 204 are curved. Typically, the shape of the front and back surfaces 202, 204 will depend on the shape of the object face area where the conformable writable erasable device 100 would be mounted. For example, the conformable glass sheet 200 may be bent such that the back surface 204 has a shape that conforms to the shape of the object face area on which it is to be mounted.」
(日本語訳)
「【0051】
前表面202は、書込み消去可能な表面であり、かつ形状適合書込み消去可能機器100(図1)が物体外面に据え付けられたときに前方になる表面である。前表面202は、後表面204に比べて特別な表面属性を有したものでもよいし、あるいは特別な表面属性を有していないものでもよい。いくつかの実施形態では、前表面202を、表面の書込みや消去性を助ける薬剤で処理してもよい。後表面204は、前表面202に平行でありかつこれに対向した関係にある。図2aに示した実施形態では、前表面202および後表面204が湾曲するように、形状適合ガラスシート200は、屈曲した、すなわち弓形の形状に形成されている。典型的には、前表面202および後表面204の形状は、形状適合書込み消去可能機器100が据え付けられることになる物体外面エリアの形状に依存する。例えば、後表面204が、これが据え付けられる物体外面エリアの形状に適合した形状を有するように、形状適合ガラスシート200を屈曲させてもよい。」

「【図1】



「【図2a】



「【図2b】



(5)引用文献7(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する米国特許出願公開第2014/0154661号明細書(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は当審が付した。日本語訳は、引用文献7の日本語ファミリー文献である特表2017-505725号公報における対応箇所の記載を段落番号も含めてそのまま引用している。

「[0020] FIG. 1A shows a writeable erasable marker board or device comprised of a strengthened glass sheet 200 having a front surface 202, a back surface 204, and a uniform thickness of glass 206 between the front surface 202 and the back surface 204. In one embodiment, the glass thickness 206 is less than 2.0 mm. In another embodiment, the glass thickness 206 is less than 1.0 mm. In yet another embodiment, the glass thickness 206 is less than 0.7 mm. The glass will typically have a thickness from about 0.2 mm to about 2.0 mm. In some embodiments, the glass thickness may be 2.0 mm or greater. In one embodiment, the strengthened glass sheet 200 is a transparent glass sheet. In another embodiment, the strengthened glass sheet 200 is a color tinted transparent glass sheet or a colored opaque glass sheet. In some embodiments, where the strengthened glass sheet 200 is a transparent glass sheet, a decoration or printed image may be formed on the back surface 204 of the glass sheet 200. The decoration may be dense enough to cover the back surface 204, and of an opaque color, such that the back surface 204 appears opaque.」
(日本語訳)
「【0018】
図1Aは、前面202、裏面204、及び前面202と裏面204との間に、均一なガラスの厚さ206を有する、強化ガラス板200を備えた、書込み消去自在のマーカーボード又は装置を示す図である。1つの実施の形態において、ガラスの厚さ206は2.0mm未満である。別の実施の形態において、ガラスの厚さ206は1.0mm未満である。更に別の実施の形態において、ガラスの厚さ206は0.7mm未満である。概して、ガラスは約0.2mm?約2.0mmの厚さを有することになる。一部の実施の形態において、ガラスの厚さは2.0mm以上であってよい。1つの実施の形態において、強化ガラス200は透明なガラス板である。別の実施の形態において、強化ガラス200は、薄く着色された透明ガラス板、又は着色された不透明なガラス板である。強化ガラス200が透明ガラス板である、一部の実施の形態において、ガラス板200の裏面204に、装飾又は印刷画像を形成することができる。装飾は裏面204をカバーするのに十分な緻密性を有し、且つ不透明な色から成り、裏面が不透明に見えるようにしてよい。」

「[0021] The front surface 202 is the writeable erasable surface and is the surface that would be in the fore when the strengthened writeable erasable device 100 is mounted. The front surface 202 may or may not have special surface attributes compared to the back surface 204. In some embodiments, the front surface 202 may be treated with agents that would facilitate surface writing and erasability. The back surface 204 is parallel and in opposing relation to the front surface 202.」
(日本語訳)
「【0019】
前面202は筆記消去自在の表面であり、強化筆記消去自在の装置100が取り付けられたとき、前方に位置することになる表面である。前面202は、裏面204と比較して、特別な表面属性を有していてもいなくてもよい。一部の実施の形態において、表面の筆記性及び消去性を促進する薬剤で前面202を処理することができる。裏面204は前面202に対し平行、且つ対向関係にある。」

「【図1A】



(6)引用文献8(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する特開平8-2176号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【0008】以下、本発明を図面に基づきさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一実施態様を示す書き込み用ボードの模式斜視断面図である。同図において、Wは書き込み用ボードであり、書き込み用シート1の書き込み側とは反対側に背面シート2を有し、且つ背面シート2の書き込み用シート1側面に印刷Pが施された構成となっている。
【0009】本発明においては、上記書き込み用シート1として、透明性の材料よりなるものが使用される。この書き込み用シート1の透明性は、実質的に書き込み側からその反対側の印刷Pが透視され得る程度のものであればよいが、該印刷Pが十分に透視され得るようにするためには、該書き込み用シート1が、可視光の透過率が50%以上、好ましくは95%以上の材料よりなるものであることが望ましい。
【0010】上記書き込み用シート1の材質としては透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、該書き込み用シート1の少なくとも書き込み側面は、良好な透明性が維持されるよう、傷がつきにくい材料で構成されていることが望ましく、このような特性を有するものとして、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンのような樹脂やガラス等が例示されるが、なかでも機械的強度、耐摺動性、透明性等に優れるポリエステル等の樹脂、就中PETが好適である。
【0011】上記書き込み用シート1の厚さは、通常は、材質にもよるが10?200μm、好ましくは50?100μm程度が適当である。該シート1の厚さが上記範囲内であれば、機械的強度が十分であるとともに、書き込み用ボードWを軽量かつ安価なものとすることができる。
【0012】上記書き込み用シート1の書き込み側には、例えば図2に示すように、水性インクによる書き込みが行いやすく、かつ書き込みの消去性が良好となるように、水性インクに対する親和性、ならびに水性インクを容易に消去し得る性質(本明細書では、「易消去性」と称す)を有する透明層11が形成されていることが望ましい。この透明層11を構成する材質としては、塩化ビニル等の樹脂を圧延、熱処理して得られる硬質樹脂等が、水性インク親和性および易消去性に優れるものとして例示される。なお、この透明層11においても、前記書き込み用シート1の場合と同様の透明性を有する材料が使用される。
【0013】上記透明層11の厚さは、通常は、材質にもよるが50?100μm程度が好適である。上記透明層11の厚さが50μm以上であれば該透明層11の機械的強度が十分であり、一方100μm以下であれば書き込み用ボードWの軽量化および低コスト化の点で好ましい。
【0014】本発明の書き込み用ボードWは、上記書き込み用シート1の書き込み側と反対側に背面シート2を有する。この背面シート2は印刷Pの背景となるものであり、このためこの背面シート2としては不透明性の材料よりなるものが使用される。さらに本発明においては、この背面シート2として、印刷を容易に施し得、かつこれを安定して保持し得る材料よりなるものを用い、該背面シート2の書き込み用シート1側面に印刷Pを施すようにすることが好ましい。このような材料として、合成紙、天然紙(白板紙、洋紙等)、合成樹脂フィルム等が例示される。なかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリエステル等の合成樹脂および炭酸カルシウム等の無機充填材を用いた合成紙は、平滑性、厚みの均一性、不透明性、白色度等に優れるため印刷加工に特に適する上、耐水性に優れるため寸法変化が少なく、したがってこれを背面シート2として用いると書き込み用ボードWに反りが生じたりすることが少ない。さらに、この合成紙は機械的強度、耐油性、耐薬品性等にも優れる等種々の利点を有するものである。この合成紙としては、より具体的には、ユポ(商品名;王子油化合成紙社製;主原料ポリプロピレン)が特に好適なものとして例示される。


「【図1】



(6)技術常識の認定
ア 引用文献2の記載事項(特に【0011】、【0016】、【0020】)から、次の技術常識(以下「技術常識1」という。)が認定できる。
[技術常識1]
「ポリエステルなどの強靭な素材のフィルムに1μm以下の厚さとなる染料または顔料などを分散させた20?100μm(=0.02?0.1mm)の範囲の厚さのスクリーンに、プロジェクタの投影画像を投影した場合、反射側の投影画像と、透過側の投影画像は、画像のコントラストや解像度においてほぼ同等であり、
フィルムの厚さが100μm(=0.1mm)を大きく超えるようになると、投影画像に対して透過した画像のコントラスト比が急激に減少してしまうこと。」

イ 上記引用文献3の記載事項(特に【0026】)から、次の技術常識(以下「技術常識2」という。)が認定できる。
[技術常識2]
「映写用スクリーン部材の裏面に形成され、スクリーン部材の内部に貫入した凸部がスクリーン部材全面に亘って無数にある着色樹脂塗膜が、寒色系とグレー系から黒系の無彩色系の着色樹脂の場合には、コントラストの強い鮮明な映像となること。」

(7)周知技術の認定
ア 引用文献6の記載事項(日本語訳【0050】)及び引用文献7の記載事項(日本語訳【0018】)から、次の周知技術(以下「周知技術1」という。)が認定できる。
[周知技術1]
「書込み消去可能な表面を有し、厚さが0.7mm未満の透明なガラスシート。」

イ 引用文献7の記載事項(日本語訳【0018】の数値範囲に0.2mmが含まれること)及び引用文献8の記載事項(【0010】?【0011】)から、次の周知技術(以下「周知技術2」という。)が認定できる。
[周知技術2]
「書込み消去可能な表面を有する透明なガラスシートの厚さを10?200μm(=0.01?0.2mm)にできること。」

2 本願発明6について
(1)対比
本願発明6と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「板ガラス1」は、「映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる」ものであるから、本願発明6の「投影スクリーン」に相当する。
また、引用発明の「無反射性加工面1aが形成され」た「表面」は、「映写等の反射型のスクリーンとして機能させる」とき、「無反射性加工面1aへ入射した光の全体が背景A上で反射する」から、本願発明6の「ユーザに面するユーザ側の表面」に相当する。
よって、引用発明の「表面」に「無反射性加工面1aが形成され」「映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる」「板ガラス1」は、本願発明6の「投影スクリーンの使用中にユーザに面するユーザ側の表面を有する投影スクリーン」に相当する。

イ 引用発明の「板ガラス1」に「光拡散性の塗料または顔料を含む層として」「形成され」た「膜層1b」は、本願発明6の「拡散要素」に相当する。
また、引用発明の「板ガラス1」は「透明」であり、本願発明6の「透明なガラスシート」と、「透明なガラス部材」である点で共通するから、本願発明6の「前記ガラスシートが前面および後面」と、引用発明の「板ガラス1の表面」及び「板ガラス1の背面」は、それぞれ「ガラス部材の前面および後面」である点で共通する。
さらに、引用発明の「膜層1b」は「塗装による層」であるから、「板ガラス1の背面」に光学的に接触しているといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明は、「該投影スクリーンが透明なガラス部材および拡散要素を含み、前記ガラス部材が前面および後面を有し、前記ガラス部材の前記後面が、前記拡散要素と光学的に接触」するという点で共通する。

ウ 引用発明では、「光拡散性の塗料または顔料を含む層として」「形成され」た「膜層1b」について、「前記塗料または顔料が白色乃至淡色系の場合で、且つ、層中に高い密度で分散している場合には、板ガラス1の表面である無反射性加工面1aから入射した光は、その全体が層上で反射するため、反射型のスクリーンとして機能させることができ」、このように「反射型のスクリーンとして機能させる」ときには、プロジェクタからの画像光を板ガラス1の表面に投影することは明らかである。
よって、本願発明6と引用発明は、「前記投影スクリーンの使用中に、前記ガラス部材の前記前面および前記後面が、プロジェクタからの画像光を前記拡散要素へと透過させ、該拡散要素が、前記光の一部を、再び前記ガラス部材を通してユーザへと反射」する点で共通する。

エ 引用発明の「膜層1b」(本願発明6の「拡散要素」に相当)は「白色乃至淡色系の塗装による層」であるところ、本願明細書の段落【0008】に規定された「投影スクリーンの白色度」の定義が「式(2)」に示されるとおり、基準となる「白いプリント用紙」について測定した「平均光強度I_(white)」に対する、「投影スクリーン」について測定した「平均光強度I_(screen)」の比であることも考慮すれば(詳細な定義は、本願明細書の段落【0008】参照)、本願発明6と引用発明は、「前記ガラス部材および前記拡散要素が組み合わさって、所定の白色度Wを有する前記投影スクリーンを設け」という点で共通する。

オ 引用発明の「板ガラス1の表面である無反射性加工面1a」は、「凹凸面として形成され、その面粗さと形状により、水性ペン等を使用した場合に、適度なペンタッチの感覚を与えて文字、図柄の書き込みが可能であると同時に、ガラスクリーナ等の溶剤や字消具等により消去が可能となって」いるから、このことは、本願発明6の「前記投影スクリーンの前記ユーザ側の表面が、書込み可能/消去可能な表面」であることに相当する。

カ 引用発明の「板ガラス1の表面である無反射性加工面1a」は、「入射光をその凹凸面で散乱することから光沢が低下しており、書き込んだ文字や図柄等が見やすくなって」いるところ、本願明細書の段落【0006】?【0007】に規定された「投影スクリーンのコントラスト」の定義が「式(1)」に示されるとおり、「最大光強度I_(max)」と「最小光強度I_(min)」の和と差の比であることも考慮すれば(詳細な定義は、本願明細書の段落【0006】?【0007】参照)、このような「無反射性加工面1a」が「表面」に「形成」され「映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる」「板ガラス1」は、所定のコントラストを有しているといえる。
よって、本願発明6と引用発明は、「前記投影スクリーンが、所定のコントラストを有する」点で共通する。

上記ア?カを踏まえると、本願発明6と引用発明は、以下の一致点Aで一致し、以下の相違点Aで相違する。

[一致点A]
「投影スクリーンの使用中にユーザに面するユーザ側の表面を有する投影スクリーンであって、該投影スクリーンが透明なガラス部材および拡散要素を含み、
前記ガラス部材が前面および後面を有し、
前記ガラス部材の前記後面が、前記拡散要素と光学的に接触し、
前記投影スクリーンの使用中に、前記ガラス部材の前記前面および前記後面が、プロジェクタからの画像光を前記拡散要素へと透過させ、該拡散要素が、前記光の一部を、再び前記ガラス部材を通してユーザへと反射し、
前記ガラス部材および前記拡散要素が組み合わさって、所定の白色度Wを有する前記投影スクリーンを設け、
前記投影スクリーンの前記ユーザ側の表面が、書込み可能/消去可能な表面であり、
前記投影スクリーンが、所定のコントラストを有する、
投影スクリーン。」

[相違点A]
本願発明6においては、「ガラス部材」が「ガラスシート」であり、「投影スクリーン」の「白色度W」が「0.5以下」、「コントラスト」が「少なくとも75%」であるのに対して、引用発明においては、「ガラス部材」が「板ガラス」であり、白色度やコントラストがどのような数値であるか不明であり、当該数値範囲の限定がない点。

(2)判断
上記相違点Aについて検討する。
ア 前記「1 引用文献等」の「(7)周知技術の認定」において周知技術1として認定したとおり、「書込み消去可能な表面を有し、厚さが0.7mm未満の透明なガラスシート」は、周知なものであり、例えば可及的に軽量化するため、引用発明の「文字、図柄の書き込みが可能であると同時に、ガラスクリーナ等の溶剤や字消具等により消去が可能」な「表面」を有する「板ガラス1」に代えて、前記周知のガラスシートを採用することは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

イ 前記「1 引用文献等」の「(6)技術常識の認定」において技術常識2として認定したとおり、「映写用スクリーン部材の裏面に形成され、スクリーン部材の内部に貫入した凸部がスクリーン部材全面に亘って無数にある着色樹脂塗膜が、寒色系とグレー系から黒系の無彩色系の着色樹脂の場合には、コントラストの強い鮮明な映像となること。」は技術常識であるから、このような技術常識に従って、引用発明において、「映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる」「板ガラス1」のコントラストを向上させるために、「膜層1b」の色として、グレー系から黒系の無彩色系のものを採用することは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

ウ ここで、本願明細書の段落【0032】?【0033】、【図12】には、次の記載がある。
「【0032】
拡散要素の吸収は、例えば、着色された拡散要素(例えば、グレーに着色された拡散要素)を用いて高めることができる。図9、図10、および図11は、図1の実験を繰り返した結果を示すが、図1のようにガラスシートの後面を白く塗る代わりに、図9、図10、および図11のガラスシートの後面には、それぞれ色合いが異なるグレーの塗料を塗った。また、図1のように0.7mmの厚さを有するガラスを用いる代わりに、これらの実験で用いたガラスは1.1mmの厚さを有した。次に、式(1)および(2)、並びに上述のコントラストおよび白色度の実験プロトコルを用いて、コントラストCおよび白色度Wの値を得た。このようにして、測定されたCおよびWの値は、図9については92.4%および0.17であり、図10については82.5%および0.3であり、図11については73.4%および0.4であった。図8に示されるように、0.7mmを超えるガラスの厚さについてはC値は略一定となり、従って、後面に白い塗料を有する1.1mmのガラスシートについては、C値は図1のように43.4%であり、W値は1.0であった。
【0033】
図12に、これらの実験の結果の概要を示す。図からわかるように、0.5以下のW値については、コントラストは実質的に向上する。図9、図10、および図11の実験においては、拡散要素はグレーとしたが、所望であれば他の色を用いてもよい。例えば、青い光に対する人間の目の感度は、赤および緑色の光に対する感度よりも低いので、青は効果的な吸収色であり得る。従って、青い光を吸収することにより、拡散要素による吸収の結果としてのスクリーンから発する光の全体的な低減が、ユーザにとって煩わしいものとなる可能性は低い。この点に関して、従来の投影スクリーンはしばしば0.3前後のW値を有するので、0.5以下のW値、特に0.3?0.5の範囲内のW値は、大半の用途のために十分に明るい画像を提供する。また、導波される光は、横方向に伝搬する際に何度も拡散要素に当たるので、その光は画像自体よりも遥かに速く減衰する。従って、コントラストの実質的な向上を達成するために、W値は0.5よりかなり低い必要はない。拡散要素を吸収体として用いる代わりに、例えば、ガラス組成中に鉄等の吸収体を含むことにより、ガラスシート内で吸収が行われてもよい。所望であれば、ガラスによる吸収および拡散要素による吸収、並びにスクリーンの他の構成要素による吸収を組み合わせて用いてもよい。」

「【図12】



エ 上記ウに摘記した記載内容から、厚みが0.7mmを越えないガラスシートの後面にグレーの塗料を塗って拡散要素とした場合には、概ね「白色度W」が「0.5以下」であり、「コントラスト」が「少なくとも75%」であることが実現できるという実験事実が開示されている。したがって、この実験事実に照らして、引用発明において、上記周知技術1の0.7mm未満の透明なガラスシートを採用し、上記技術常識2に従って、コントラストの最適化の観点から「膜層1b」の色としてグレー系から黒系の無彩色系のものを採用して最適化した場合の白色度及びコントラストを評価すれば、それぞれ0.5以下及び75%以上になると予測される。

オ そうすると、上記相違点Aに係る本願発明6の構成は、可及的に軽量化しつつコントラストも最適化するという観点から、引用発明に上記周知技術1及び技術常識2を適用した結果、当然実現されるものにすぎないということができる。
そして、本願発明6の奏する効果は、引用発明、周知技術1及び技術常識2から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明6は、引用発明、周知技術1及び技術常識2に基づいて当業者が容易になし得たものである。

3 本願発明1について
(1)対比
前記「2 本願発明6について」の「(1)対比」の検討内容も踏まえて本願発明1と引用発明を対比すると、本願発明1と引用発明は、以下の一致点Bで一致し、以下の相違点Bで相違する。

[一致点B]
「投影スクリーンの使用中にユーザに面するユーザ側の表面を有する投影スクリーンであって、該投影スクリーンが透明なガラス部材および拡散要素を含み、
前記ガラス部材が前面および後面を有し、
前記ガラス部材の前記後面が、前記拡散要素と光学的に接触し、
前記投影スクリーンの使用中に、前記ガラス部材の前記前面および前記後面が、プロジェクタからの画像光を前記拡散要素へと透過させ、該拡散要素が、前記光の一部を、再び前記ガラス部材を通してユーザへと反射し、
前記投影スクリーンの前記ユーザ側の表面が、書込み可能/消去可能な表面であり、
前記投影スクリーンが、所定のコントラストを有する、
投影スクリーン。」

[相違点B]
本願発明1においては、「ガラス部材」が「ガラスシート」であり、「前面および後面」の「離れた」「距離dが、0.05ミリメートルより大きく且つ0.2ミリメートル以下であり」、「投影スクリーン」の「コントラスト」が「少なくとも75%」であるのに対して、引用発明においては、「ガラス部材」が「板ガラス」であり、その厚みの限定はなく、コントラストがどのような数値範囲であるか不明である点。

(2)判断
上記相違点Bについて検討する。
ア 前記「1 引用文献等」の「(7)周知技術の認定」において周知技術1として認定したとおり、「書込み消去可能な表面を有し、厚さが0.7mm未満の透明なガラスシート」は、周知なものである。
また、周知技術2として認定したとおり、「書込み消去可能な表面を有する透明なガラスシートの厚さを0.01?0.2mmにできること」も、周知である

イ 前記「1 引用文献等」の「(6)技術常識の認定」において技術常識1として認定したとおり、「ポリエステルなどの強靭な素材のフィルムに1μm以下の厚さとなる染料または顔料などを分散させた0.02?0.1mmの範囲の厚さのスクリーンに、プロジェクタの投影画像を投影した場合、反射側の投影画像と、透過側の投影画像は、画像のコントラストや解像度においてほぼ同等であり、フィルムの厚さが0.1mmを大きく超えるようになると、投影画像に対して透過した画像のコントラスト比が急激に減少してしまうこと」は技術常識であるから、引用発明においても、コントラストが板ガラス1の厚みに依存することは、当業者が容易に推論できることにすぎない。したがって、前記技術常識1を踏まえて、引用発明において、「映写等の反射型のスクリーンとして機能させることができる」「板ガラス1」のコントラストを向上するために、「板ガラス1」の厚みを好適化することは、当業者にとっては通常の創作能力の発揮にすぎない。

ウ ここで、本願明細書の段落【0029】、【図8】には、次の記載がある。
「【0029】
図8は、ガラスの厚さの低減に伴う導波路効果の低減を示す。この図面中、正方形のデータ点は図1、図3、および図4の実験についてのものであり、菱形のデータ点は、図6に示されているタイプのZEMAX光線追跡を用いて算出したものである。図8に示されるように、ガラスシートの厚さが0.2mmより小さくなるよう低減されると、コントラストCが急速に向上する。一実施形態では、コントラストCは少なくとも75%であり、このレベルは、図8に示されているように、0.2mm以下の厚さdについて達成される。別の実施形態では、Cは少なくとも95%であり、このレベルは、図8に示されているように、0.1mm以下の厚さdについて達成される。このコントラストレベルでは、本スクリーンによって生成される画像は、白いプリント用紙に投影する場合とほぼ同じくらい良好である。コントラストの向上に加えて、0.2mm以下の厚さを有するガラスシートを用いることは、投影スクリーンの全体的な重量も低減し得る。」

「【図8】



エ 上記ウに摘記した記載内容から、厚みが0.1mm程度のガラスシートの場合には、概ね「コントラスト」が「少なくとも75%」であることが実現できるという実験事実が開示されている。したがって、この実験事実に照らせば、引用発明において、上記技術常識1を踏まえてガラス板の厚みを0.1mm程度に薄くするため、上記周知技術2の開示範囲にある0.1mmの透明なガラスシートを採用した場合、そのコントラストを評価すれば、少なくとも75%になると考えられる。

オ そうすると、上記相違点Bに係る本願発明1の構成は、コントラストを好適化するために、引用発明に周知技術1、2及び技術常識1を適用した結果、当然実現されるものにすぎないということができる。
そして、本願発明1の奏する効果は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明1は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1に基づいて当業者が容易になし得たものである。

4 請求人の主張について
(1)審判請求書において、請求人は次のとおり主張している。下線は当審が付した。

「(b)本願発明と引用発明との対比
(b-1)請求項1について
引用文献1において記載されているホワイトボードを検討すると、板ガラス、またはフロートガラスであると開示されております。通常、フロートガラス、板ガラスの厚みは3?5mmです。これは、本願発明で特定される距離dよりもはるかに厚みの大きなものです。
本願の図1及び図2を参照すると、ここでは、使用されているガラスの厚みが大きくコントラストがまったく得られていない比較例が開示されています。図1,2の例では、ガラスの厚みはわずか0.7mmですが(これはもちろん本願請求項1で特定される距離dの範囲外です)、通常のフロートガラスや板ガラスよりもはるかに薄いものです。
ガラス板の前面から拡散要素までの距離など、本願請求項で特定されているその他の要素はガラスの厚みを示すもう1つの方法です。ガラスが薄いほどコントラストが良くなります。
本願の図1は、既存のガラスベースの書き込み可能/消去可能な低コントラストタイプのマーカーボードを開示しています。コントラスト値を決定するための手順に従い(明細書段落0006-0008をご参照ください)、後面が白く塗られたガラスシートに黒い線を投影することによって、図1に示されている画像が生成されています。このガラスシートの厚さは0.7mmであり、黒い線はガラスシートの前面において1.77mmの太さを有します。図1は、ガンマ補正をオフにした化学用カメラで撮影された黒い線の写真であり、明細書段落0006で開示する解析手順および式(1)を用いてコントラストを算出すると、図1の画像については43.4%の値が得られています。また、本願の図2は、図1で用いられたガラスシートの代わりに白いプリント用紙に黒い線を投影した際に得られた結果を示すものです。この場合において、式(1)を用いて算出されたコントラストの値は97.7%でした。従って、図1のガラスシートでは、コントラストの低下が50%を超えており、画像が実質的に使用に適さないものとなります。(以上は、本願明細書段落0016-0018で議論されているものです)
引用文献1で開示されるフロートガラス/ガラス板は、そもそもの厚みが3-5mmのもので、この厚みの値では、本願請求項1で特定するようなコントラストの値(75%以上)を得ることはできません。
引用文献2,4,5の開示には、引用文献1が開示するフロートガラス/ガラス板において75%以上のコントラスト値を得るための示唆となる開示はなく、いずれも、引用文献1の開示の不足を補うものではありません。」

「(b-2)
本願の請求項6に係る発明もまた、投影スクリーンが「少なくとも75%のコントラストを有する」という特徴を備えます。また、投影スクリーンは、「前記ガラスシートおよび前記拡散要素が組み合わさって、0.5以下の白色度Wを有する」という特徴も備えます。
引用文献1に開示されるフロートガラス/板ガラスは通常、その厚みが3?5mmです。本願の明細書段落0032で議論しているとおり、0.7mmをこえる厚さのガラスについてはコントラスト値が略一定になること(本願の図8参照のこと)、それに伴いW値も1.0になることが分かっています。翻って、引用文献1に開示されるフロートガラス/板ガラスについて考えれば、「少なくとも75%」というコントラスト値も、「0.5以下の白色度W」もいずれも、達成することはできないでしょう。
引用文献2,3,4,5の開示には、引用文献1が開示するフロートガラス/ガラス板において「75%以上のコントラスト値」および「0.5以下の白色度W」の両方を得るための示唆となる開示はなく、いずれも引用文献1の開示の不足を補うものではありません。」

(2)しかしながら、前述のとおり、「書込み消去可能な表面を有し、厚さが0.7mm未満の透明なガラスシート」は周知であり(周知技術1参照)、引用発明の「板ガラス1」に代えて、上記周知のガラスシートを採用することは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
また、引用発明の「板ガラス1の表面」は「入射光をその凹凸面で散乱することから光沢が低下しており、書き込んだ文字や図柄等が見やすくなって」おり、引用発明も「映写等の反射型のスクリーンとして機能させる」場合のコントラストを向上させる契機を有しているといえる。
そして、引用文献2及び3には、上述のとおり、スクリーンのコントラストに関する技術常識1、2が開示されているから、これらの技術常識に従って、ガラスの厚みやスクリーンの白色度を変更することにより、コントラストを最大化させるようにすることは、当業者にとって格別困難なことであるとはいえない。
したがって、上記(1)の主張を採用することはできない。


第5 むすび
以上検討のとおり、本願発明1は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明6は、引用発明、周知技術1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、いずれも特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2021-04-15 
結審通知日 2021-04-21 
審決日 2021-05-10 
出願番号 特願2017-504809(P2017-504809)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石本 努  
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 濱野 隆
清水 靖記
発明の名称 高コントラストの、ガラスに基づく書込み可能/消去可能な前面投影スクリーン  
代理人 柳田 征史  

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