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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1378360
審判番号 不服2020-12608  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-09 
確定日 2021-09-24 
事件の表示 特願2016- 73310「広告商品情報生成装置及び広告商品情報生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-182728〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)3月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 1月23日付け:拒絶理由通知
令和2年 3月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 5月29日付け:拒絶査定(原査定)
令和2年 9月 9日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 補正の却下の決定
[結論]
令和2年9月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、請求項1については、令和2年3月27日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の
「前記広告商品画像と、前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した少なくとも広告主に関する情報及び広告の配信期間の情報を含む前記広告に関する情報及び前記入力部により入力された前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を生成し、前記広告商品情報記憶部に書き込む広告商品情報生成部」
との記載を、
「前記広告商品画像と、前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した少なくとも広告主に関する情報及び検索条件を受信した日時から所定時間を加算した日時を含む広告の配信期間の情報を含む前記広告に関する情報及び前記入力部により入力された前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を生成し、前記広告商品情報記憶部に書き込む広告商品情報生成部」(下線部は補正箇所を示す。)
に補正するものである。
ここで、本件補正により追加された「検索条件を受信した日時から所定時間を加算した日時を含む」という事項を、以下「追加事項」という。

2 補正の適否
本件補正が特許法第17条の2第3項の規定に適合するか否かについて、以下検討する。

本件の願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
ア 「【0023】
図4は、広告商品情報のデータ例を示す図である。同図に示すように、広告商品情報は、広告商品画像又は広告商品画像の記憶場所の情報と、メタ情報とを対応付けた情報である。メタ情報は、広告に関する情報及び商品に関する情報を含む。同図に示すメタ情報は、広告に関する情報として、広告主に関する情報と広告の配信期間の情報とを含む。広告主に関する情報は、広告情報から取得された店舗名、店舗住所、店舗電話番号、店舗地図、リンク先URLなどの情報を含む。また、メタ情報は、商品に関する情報として、商品種別、商品名、商品の価格、価格が税込であるか本体価格であるか、商品に関するイベントなどの情報を含む。商品名は、商品の名称を示す。商品種別は、商品が属する種別を示す。商品種別は、例えば、「食品-惣菜・弁当-寿司」や、「アウトドア用品-レジャーシート」などのように階層化されたカテゴリにより示されるものであってもよい。」

イ 「【0032】
図7は、広告商品情報生成装置2における広告商品情報提供処理を示す処理フローである。
広告商品情報生成装置2の情報提供部255は、広告商品情報提供装置3から、検索条件を受信する(ステップS205)。検索条件は、広告商品情報提供サイトのオペレータが広告商品情報提供装置3に入力した条件であってもよく、広告商品情報提供装置3がユーザ端末4から受信した情報に基づく検索条件であってもよい。検索条件は、メタ情報を構成する情報のうち、1以上の情報の設定値により示される。
【0033】
情報提供部255は、受信した検索条件と、広告商品情報に含まれる配信期間の情報とに基づいて広告商品情報を選択する(ステップS210)。例えば、情報提供部255は、検索条件を受信した日時、又は、検索条件を受信した日時から所定時間を加算した日時が含まれる配信期間が設定された広告商品情報のうち、検索条件に合致した情報が設定された広告商品情報を選択する。例えば、情報提供部255は、検索条件が「行楽」であれば、イベントに「行楽」が含まれる広告商品情報を選択する。また、情報提供部255は、検索条件に地域及び商品種別「牛肉」が設定されていれば、検索条件が示す地域に含まれる店舗住所又はその地域から所定距離以内の店舗住所が設定され、かつ、商品種別に「牛肉」が含まれる広告商品情報を選択する。」

上記アには、「広告商品情報は、広告商品画像又は広告商品画像の記憶場所の情報と、メタ情報とを対応付けた情報である。メタ情報は、広告に関する情報及び商品に関する情報を含む。同図に示すメタ情報は、広告に関する情報として、広告主に関する情報と広告の配信期間の情報とを含む。」の記載があるものの、広告商品情報のメタ情報に含まれる「広告の配信期間の情報」を追加事項により限定することは、上記アを含む発明の詳細な説明に記載されていない。
一方、追加事項に関し、上記イには、「広告商品情報生成装置2の情報提供部255」が、「受信した検索条件と、広告商品情報に含まれる配信期間の情報とに基づいて広告商品情報を選択する」例として、「検索条件を受信した日時、又は、検索条件を受信した日時から所定時間を加算した日時が含まれる配信期間が設定された広告商品情報のうち、検索条件に合致した情報が設定された広告商品情報を選択する」ことが記載されている。この記載からみて、追加事項は、情報提供部255が広告商品情報を選択するに際し、広告の配信期間が「検索条件を受信した日時から所定時間を加算した日時」までの期間を含有するか否かを判断するために情報提供部255内の処理に用いられる事項であるといえるものの、広告商品情報における広告の配信期間を特定するものではないことが明らかである。
したがって、発明の詳細な説明に記載された上記アの広告商品情報のメタ情報に含まれる「広告の配信期間の情報」を追加事項により限定した「検索条件を受信した日時から所定時間を加算した日時を含む広告の配信期間の情報」は、上記ア及びイの事項から導出できるものではなく、発明の詳細な説明の他の記載からみて、自明な事項であるともいえない。
よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。

3 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記第2のとおり、令和2年9月9日にされた手続補正は、決定をもって却下された。
したがって、本願の請求項1-7に係る発明は、令和2年3月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
広告の画像データである広告画像と、前記広告に関する情報を含む広告情報とを対応付けて記憶する広告記憶部と、
前記広告画像において広告されている商品の画像である広告商品画像と、前記広告に関する情報及び前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を記憶する広告商品情報記憶部と、
ユーザの操作を入力する入力部と、
画面を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記広告画像において前記入力部により選択された商品の掲載領域の情報を受信する領域情報受信部と、
前記広告画像における前記掲載領域の画像に基づいて広告商品画像を生成する広告商品画像生成部と、
前記広告商品画像と、前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した少なくとも広告主に関する情報及び広告の配信期間の情報を含む前記広告に関する情報及び前記入力部により入力された前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を生成し、前記広告商品情報記憶部に書き込む広告商品情報生成部と、
を備えることを特徴とする広告商品情報生成装置。」

2 原査定の拒絶理由の概要
原査定(令和2年5月29日付け拒絶査定)の拒絶理由の概要は以下のとおりである。

本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015-197685号公報
2.特開平6-149968号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2011-159250号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献と引用発明
(1)引用文献1について
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0013】
<第1実施形態>
[電子チラシ情報処理システムの構成例]
図1は、本実施形態における電子チラシ情報処理システムの構成例を示している。同図に示す電子チラシ情報処理システムは、端末装置100と電子チラシサーバ200(情報処理サーバの一例)とを備える。端末装置100と電子チラシサーバ200とは、ネットワーク300経由で通信を行うことができる。
【0014】
端末装置100は、ユーザが使用するネットワーク端末である。端末装置100は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話などである。
電子チラシサーバ200は、ネットワーク300経由で端末装置100に対して電子チラシを配信するサーバである。」

「【0015】
[電子チラシ情報処理システムにおける動作手順の概要例]
図1及び図2乃至図7を参照して、本実施形態の電子チラシ情報処理システムにおける端末装置100と電子チラシサーバ200の動作手順の概要について説明する。以下の説明は、図1に示した手順1?手順7に従って行う。
【0016】
手順1:電子チラシサーバ200は、端末装置100に対して電子チラシを配信する。配信される電子チラシとしてのデータには、例えば電子チラシの画像を端末装置100の画面に表示させるための画像データを含む。
端末装置100は、配信された電子チラシを受信する。端末装置100は、受信した電子チラシの画像を画面に表示させる。電子チラシの画像が端末装置100にて表示されることで、ユーザは電子チラシを閲覧することができる。なお、電子チラシの表示は、電子チラシを表示する機能を有する電子チラシ閲覧アプリケーションによって行われればよい。あるいは、電子チラシの表示は、ウェブブラウザ上で行われてもよい。
【0017】
手順2:ユーザは、電子チラシの画像における一部をチラシ部分画像として選択するチラシ切り抜き操作(チラシ部分画像選択操作の一例)を行うことができる。チラシ切り抜き操作は、ユーザが、端末装置100に表示されている電子チラシを閲覧して購入したいと思った商品(購入対象商品)が有った場合に、電子チラシにおいて購入対象商品が掲載されている部分を切り出すといった意味合いで行われる。
つまり、チラシ切り抜き操作は、ユーザが、紙媒体のチラシを見て購入対象商品を見つけた場合に、消費者が購入対象商品を覚えておくためにチラシに書き込みを行ったり、鋏で購入対象商品の掲載部分を切り取って保管しておくなどの行為に相当する。
【0018】
図2は、端末装置100の画面にて表示される電子チラシ閲覧画面の態様例を示している。電子チラシ閲覧画面は、電子チラシサーバ200から配信された電子チラシのうちから閲覧対象として選択された電子チラシの画像が表示される画面である。
なお、以降の説明にあたっては、端末装置100の画面がタッチパネルとして構成されており、表示部の画面に対して指やスタイラスペンなどの操作体を触れることによる操作が可能である場合を例に挙げる。
【0019】
同図において、電子チラシ表示エリアAR1は、閲覧対象として選択された電子チラシの画像が表示されるエリアである。電子チラシ表示エリアAR1において表示される電子チラシの画像は、画面に対するスライド操作に応じて任意の方向に移動させることができる。これにより、電子チラシ表示エリアAR1からはみ出していた電子チラシの画像部分を表示させることができる。
また、電子チラシ表示エリアAR1において表示される電子チラシの画像は、ピンチアウト、ピンチインの操作などにより、拡大、縮小することができる。
これらの操作により、ユーザは、閲覧対象の電子チラシにおける任意の部分を適切なサイズで閲覧することができる。
【0020】
また、端末装置100の画面には、電子チラシ表示エリアAR1に重畳されるように電子チラシ選択エリアAR2が表示される。電子チラシ選択エリアAR2は、閲覧対象の電子チラシを選択する操作が行われる領域である。なお、電子チラシ選択エリアAR2は、所定の操作によって消去することができる。
【0021】
電子チラシ選択エリアAR2には、閲覧対象候補の電子チラシごとに応じたサムネイル画像が配列されている。ユーザは、配列されたサムネイル画像のうちから閲覧したい電子チラシを示すサムネイル画像に対するタッチ操作を行う。このタッチ操作に応じて、電子チラシ表示エリアAR1にはタッチ操作が行われたサムネイル画像に対応する電子チラシの画像が表示される。
【0022】
また、端末装置100の画面において、電子チラシ表示エリアAR1の上側には、店舗名エリアAR3とチラシタイトルエリアAR4とが表示されている。
店舗名エリアAR3は、電子チラシ表示エリアAR1に表示されている電子チラシの提供元である店舗の名称が表示される領域である。
チラシタイトルエリアAR4は、電子チラシ表示エリアAR1に表示されている電子チラシに付与されたタイトルが表示されるエリアである。
【0023】
ここで、ユーザが、電子チラシ表示エリアAR1に表示されている電子チラシを閲覧していて買いたいと思う商品を見つけ、見つけた商品を購入対象商品管理アプリケーションに登録しようとする場合、ユーザは、以下の操作を行う。
つまり、ユーザは、図2において電子チラシ表示エリアAR1の下側に配置される「買い物メモに登録」ボタンBT1を操作する。「買い物メモに登録」ボタンBT1に対する操作は、電子チラシの画像の一部を購入対象商品管理アプリケーションに登録するための操作画面(電子チラシ切り抜き操作画面)への遷移を指示する操作である。
【0024】
「買い物メモに登録」ボタンBT1に対する操作が行われるのに応じて、例えば、購入対象商品管理アプリケーションが有効化される。ここでの購入対象商品管理アプリケーションの有効化とは、購入対象商品管理アプリケーションが起動してアクティブ(有効)な状態となること、あるいは、既に起動してはいるがアクティブではない購入対象商品管理アプリケーションをアクティブな状態に切り替えることである。
このように購入対象商品管理アプリケーションが有効化されることで、端末装置100の画面において、図3に示す電子チラシ切り抜き操作画面が表示される。電子チラシ切り抜き操作画面は、電子チラシの画像から一部(チラシ部分画像)を切り抜く(選択する)ための操作が行われる画面である。
【0025】
図3に示す電子チラシ切り抜き操作画面は、上記のように起動された購入対象商品管理アプリケーション上で表示される画面である。
電子チラシ切り抜き操作画面は、切り抜き元(取得元)の電子チラシ画像P1が表示され、表示された電子チラシ画像P1に対して、切り抜きフレームFLが重畳して表示される。
【0026】
電子チラシ画像P1は、図2に示した電子チラシ閲覧画面において、「買い物メモに登録」ボタンBT1が操作されたときに電子チラシ表示エリアAR1に表示されていたのと同じ電子チラシの画像である。
【0027】
切り抜きフレームFLは、電子チラシ画像P1から切り抜かれる画像部分を示すために表示される枠である。切り抜きフレームFLは、端末装置100の画面において例えば図3に示す位置とサイズにより固定された状態で、電子チラシ画像P1に重畳して表示される。
【0028】
ユーザは、端末装置100の画面に対するスライド操作に応じて電子チラシ画像P1を任意の方向に移動させることが可能である。また、ユーザは、所定操作によって電子チラシ画像P1のサイズを変更することができる。具体的に、ユーザは、画面に対するピンチアウトの操作により電子チラシ画像P1を拡大し、ピンチインの操作により電子チラシ画像P1を縮小することができる。
これらの操作により、ユーザは、電子チラシ画像P1において、切り抜きたい画像部分が切り抜きフレームFLに収まるように調整する。このような操作によって切り抜きフレームFLに収められる電子チラシ画像P1の画像部分は、ユーザが切り抜きたい部分、即ち、電子チラシ画像P1において、ユーザが購入したい商品が掲載されている部分になる。
【0029】
一例として、図4には、図3の状態から電子チラシ画像P1の移動、拡大などの操作を行った結果、電子チラシ切り抜き操作画面において、電子チラシ画像P1において掲載されている1つの商品が掲載された画像部分を切り抜きフレームFL内に収めた状態が示されている。
【0030】
ユーザは、電子チラシ画像P1から切り抜きたい部分が意図したとおりに切り抜きフレームFLに収まっていることを確認すると、電子チラシ画像P1上に重畳表示されている決定ボタンBT11を操作する。
決定ボタンBT11に対する操作に応じて、フレームFL内に収まっていた電子チラシの部分画像が電子チラシから切り抜かれる。具体的には、端末装置100が、フレームFL内に収まっていた電子チラシの部分画像を電子チラシの画像からコピーし、コピーした部分画像の画像データを取得する。
このように、本実施形態では、ユーザが行うチラシ切り抜き操作に応じて電子チラシから部分画像(チラシ部分画像)が取得される。
【0031】
手順3:端末装置100は、上記のようにチラシ部分画像を取得したのに応じて、取得されたチラシ部分画像を示すチラシ部分画像情報を生成する。チラシ部分画像情報は、例えば、チラシ部分画像の電子チラシにおける位置と、チラシ部分画像のサイズと、取得元の電子チラシについての電子チラシIDとの各情報を含んで生成される。
そして、端末装置100は、生成したチラシ部分画像情報を、ネットワーク300経由で電子チラシサーバ200に対して送信する。
なお、端末装置100は、取得したチラシ部分画像を、購入対象商品管理アプリケーションに購入対象商品を登録する際の登録情報において商品を表すサムネイル画像として使用することができる。
【0032】
手順4:電子チラシサーバ200は、端末装置100からチラシ部分画像情報を受信するのに応じて、受信したチラシ部分画像情報が示すチラシ部分画像を対象として文字認識を実行する。
このために、電子チラシサーバ200は、端末装置100からチラシ部分画像情報を受信するのに応じて、受信したチラシ部分画像情報が示すチラシ部分画像を取得する。
つまり、電子チラシサーバ200は、今回受信されたチラシ部分画像情報が示すチラシ部分画像の取得元の電子チラシの配信データを記憶している。そこで、電子チラシサーバ200は、記憶している配信データのうちから、受信されたチラシ部分画像情報に含まれる電子チラシIDによって示される電子チラシの画像データを取得する。
【0033】
そして、電子チラシサーバ200は、取得した電子チラシの画像データから、受信されたチラシ部分画像情報に含まれる位置とサイズにより特定される部分領域をチラシ部分画像として取得する。このようにして電子チラシサーバ200は、受信されたチラシ部分画像情報が示すチラシ部分画像を取得する。
そのうえで、電子チラシサーバ200は、取得したチラシ部分画像を対象として文字認識を実行する。つまり、電子チラシサーバ200は、チラシ部分画像に含まれる文字を認識する処理を実行する。
【0034】
チラシ部分画像には、図4にも例示しているように、例えば「キ」、「ャ」、「ベ」、「ツ」のように商品名に関する文字と、「9」、「8」、「円」のように価格に関する文字が含まれている。電子チラシサーバ200は、文字認識により、上記の各文字を認識する。
そして、電子チラシサーバ200は、例えば形態素解析、辞書の参照などの解析処理を実行することにより、「キャベツ」という商品名の語を認識し、「98円」という価格を示す語を認識する。
【0035】
なお、チラシ部分画像情報としては、チラシ部分画像としての画像データ自体であってもよい。この場合、電子チラシサーバ200は、受信されたチラシ部分画像情報としてのチラシ部分画像をそのまま対象として文字認識を実行できる。
一方、本実施形態のようにチラシ部分画像情報を電子チラシIDとチラシ部分画像の位置及びサイズを含む情報とした場合には、チラシ部分画像情報をチラシ部分画像としての画像データ自体とした場合と比較して、チラシ部分画像情報のサイズは小さくなる。従って、チラシ部分画像情報を端末装置100から電子チラシサーバ200に送信する際の処理負荷が軽減され、トラフィックも抑制される。
【0036】
手順5:電子チラシサーバ200は、上記のように取得した、「キャベツ」という商品名の文字列と、「98円」という価格の文字列とを含む登録属性情報を、端末装置100に送信する。
【0037】
手順6:端末装置100は、登録属性情報を受信すると、受信した登録属性情報に含まれる商品名、価格の各文字列を以下のように購入対象商品情報における商品名、価格として入力する。
【0038】
ここで、決定ボタンBT11が操作されるのに応じて、端末装置100上で動作する購入対象商品管理アプリケーションは、図5に示す登録確認画面を表示する。
同図に示す登録確認画面は、電子チラシ画像P1から切り抜かれたチラシ部分画像に対応する購入対象商品の登録内容を確認するための画面である。同図に示す登録確認画面においては、登録確認画像P2と、入力ボックスBx1?Bx4と、キャンセルボタンBT21、登録ボタンBT22が表示される。
【0039】
登録確認画像P2は、図3または図4に示した電子チラシ切り抜き操作画面において決定ボタンBT11が操作された際に切り抜きフレームFL内に収まっていたチラシ部分画像を示す。ユーザは、登録確認画像P2を見ることにより、電子チラシから切り抜いたチラシ部分画像が自分の意図通りであるか否かについて確認することができる。
【0040】
入力ボックスBx1?Bx4は、それぞれ、購入対象商品についての所定の属性についての内容を示す文字列が入力される領域である。
入力ボックスBx1は、購入対象商品についての属性として、商品名を示す文字列が入力される領域である。
入力ボックスBx2は、購入対象商品についての属性として、購入対象商品を購入する際に予定している数量を示す文字列(数字)が入力される領域である。
入力ボックスBx3は、購入対象商品についての属性として、価格を示す文字列が入力される領域である。
入力ボックスBx4は、購入対象商品についての属性として、購入対象商品が販売される店舗の名称(店名)を示す文字列が入力される領域である。
【0041】
入力ボックスBx1?Bx4のそれぞれは、ユーザによる文字入力操作に応じて任意の文字列を入力することが可能とされている。
そのうえで、本実施形態においては、商品名の文字列が入力される入力ボックスBx1については、電子チラシサーバ200から受信した登録属性情報に含まれていた商品名の文字列を利用して、「キャベツ」という文字列が初期値として入力される。
同様に、価格が入力される入力ボックスBx3についても、受信した登録属性情報に含まれていた価格の文字列を利用して、「98円」という文字列が初期値として入力される。
即ち、本実施形態においては、電子チラシサーバ200から受信した登録属性情報に含まれているのと同じ属性に対応する入力ボックスに対しては、受信した登録属性情報に含まれる文字列のうちで該当の属性の文字列が入力されるようになっている。
【0042】
このように、本実施形態においては、図1に示す手順6により、入力ボックスBx1、Bx3に対して、それぞれ商品名、価格として適切な文字列が初期値として入力されるようになっている。これにより、ユーザは、自分で商品名、価格を入力する操作を行う必要がない。
【0043】
また、入力ボックスBx4には、登録確認画像P2に表示されるチラシ部分画像の取得元の電子チラシにメタデータとして付与された店舗名が初期値として入力される。即ち、ユーザは、上記の商品名、価格に加えて、さらに店名についても自分で入力操作を行う必要がない。
なお、入力ボックスBx1、Bx3、Bx4に初期値として入力された各文字列は、ユーザが文字入力操作を行うことによって変更することが可能である。」

「【0052】
[端末装置の構成例]
続いて、図8を参照して、本実施形態における端末装置100の構成例について説明する。
同図に示す端末装置100は、通信部101、制御部102、記憶部103、操作部104及び表示部105を備える。
通信部101は、ネットワーク300経由で電子チラシサーバ200と通信を行う。
【0053】
制御部102は、端末装置100としての機能を実現するための各種の制御を実行する。制御部102としての機能は、例えば制御部102を構成するCPU(Central Processing Unit)が、記憶部103に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
本実施形態の制御部102は、電子チラシの閲覧と購入対象商品情報の管理とに対応する機能部として、電子チラシ閲覧制御部121、チラシ部分画像情報取得部122及び購入対象商品情報管理部123を備える。
電子チラシ閲覧制御部121としての機能は、例えば、CPUが電子チラシ閲覧アプリケーションのプログラムを実行することで実現される。また、チラシ部分画像情報取得部122及び購入対象商品情報管理部123としての機能は、それぞれ、購入対象商品管理アプリケーションとしてのプログラムを実行することにより実現される。
【0054】
電子チラシ閲覧制御部121は、電子チラシの閲覧に対応した各種処理を実行する。例えば、電子チラシ閲覧制御部121は、電子チラシサーバ200からの電子チラシの配信を受けるための処理を実行する。
また、電子チラシ閲覧制御部121は、電子チラシサーバ200から受信した電子チラシがユーザにより閲覧可能なように、電子チラシの画像を表示部105に表示させるための制御を実行する。
【0055】
チラシ部分画像情報取得部122は、図3?図5により説明したチラシ切り抜き操作に応じて、電子チラシの画像から選択されたチラシ部分画像を示すチラシ部分画像情報を取得する。つまり、チラシ部分画像情報取得部122は、取得されたチラシ部分画像の電子チラシにおける位置及びサイズと、取得元の電子チラシについての電子チラシIDとの各情報を含めてチラシ部分画像情報を生成する。
【0056】
購入対象商品情報管理部123は、購入対象商品情報を管理する。これまでの説明から理解されるように1つの購入対象商品に対応する購入対象商品情報は、チラシ部分画像情報取得部122により取得されたチラシ部分画像と所定の属性情報とを含む。属性情報は、商品名、価格、数量、店名(購入対象商品を販売する店舗の名称)などのように、購入対象商品に関連する所定の属性の内容を示す情報である。
【0057】
購入対象商品情報管理部123は、図5にて説明したように、登録確認画面における登録ボタンBT22が操作されるのに応じて、登録確認画面に示されている内容を含む購入対象商品情報を記憶部103の購入対象商品情報記憶部131に記憶させる。即ち、購入対象商品情報管理部123は、登録確認画面における登録確認画像P2に表示されるチラシ部分画像と、入力ボックスBx1?Bx4に入力された各属性の文字列による属性情報とを含む購入対象商品情報を記憶部103に記憶させる。
また、購入対象商品情報管理部123は、購入対象商品情報記憶部131に記憶されている購入対象商品情報を利用して、図7に例示した購入対象商品一覧画面を表示させる。
【0058】
記憶部103は、制御部102が実行するプログラムをはじめ、制御部102が利用する各種の情報を記憶する。
記憶部103は、購入対象商品情報記憶部131を備える。購入対象商品情報記憶部131には、購入対象商品情報管理部123によって購入対象商品情報が記憶される。購入対象商品情報記憶部131に購入対象商品情報が記憶されることにより、購入対象商品管理アプリケーション上で購入対象商品の登録が行われる。
【0059】
操作部104は、端末装置100が備える操作子や操作デバイスなどを一括して示している。例えば操作デバイスとして、表示部105と一体化されたタッチパネルが端末装置100に備えられる場合、操作部104にはタッチパネルが含まれる。
操作部104は、操作子や操作デバイスなどに対して行われた操作に応じて操作信号を制御部102に対して出力する。制御部102は、入力した操作信号に応じて所定の処理を実行する。
表示部105は、制御部102の制御に応じて画像を表示する。」

「【0107】
また、本実施形態の端末装置100は、電子チラシの配信データを受信することにより、電子チラシの画像データなどとともに、チラシ部分画像属性情報も受信することができる。
そこで、端末装置100における購入対象商品情報管理部123は、チラシ切り抜き操作によって電子チラシからチラシ部分画像が選択された場合に、選択されたチラシ部分画像に対応するチラシ部分画像属性情報が配信データに含まれているか否かについて判定する。そして、チラシ部分画像属性情報が含まれている場合、購入対象商品情報管理部123は、選択されたチラシ部分画像に対応するチラシ部分画像属性情報を取得する。このように取得したチラシ部分画像属性情報を利用することで、購入対象商品情報管理部123は、例えば図5に示した登録確認画面において、チラシ部分画像属性情報が対応するのと同じ属性(商品名、価格など)の入力ボックスに対して文字列を入力することができる。
【0108】
そして、購入対象商品情報管理部123は、ユーザによる購入対象商品の登録操作に応じて、取得したチラシ部分画像属性情報を含む購入対象商品情報を生成し、生成した購入対象商品情報を、購入対象商品情報記憶部131に記憶させる。
即ち、第3実施形態における端末装置100は、購入対象商品の登録にあたり、購入対象商品情報に含めるべき商品名、価格などの属性としての文字列を、電子チラシの配信データに含まれるチラシ部分画像属性情報から取得することができる。この場合、端末装置100は、購入対象商品の登録のためにチラシ部分画像情報を送信する必要はない。」

イ 引用発明
上記アの記載事項からみて、引用文献1には、ネットワーク300経由で通信を行うことができる端末装置100と電子チラシサーバ200とを備える電子チラシ情報処理システムのうちの端末装置100について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「通信部101、制御部102、記憶部103、操作部104及び表示部105を備える端末装置100(【0052】)において、
記憶部103は、購入対象商品情報管理部123によって購入対象商品情報が記憶される購入対象商品情報記憶部131を備え(【0058】)、
操作部104は、操作子や操作デバイスなどに対して行われた操作に応じて操作信号を制御部に対して出力し(【0059】)、
表示部105は、制御部102の制御に応じて画像を表示し(【0059】)、
制御部102は、電子チラシ閲覧制御部121、チラシ部分画像情報取得部122及び購入対象商品情報管理部123を備え(【0053】)、
電子チラシ閲覧制御部121は、電子チラシサーバ200からの電子チラシの配信を受けるための処理を実行し、電子チラシサーバ200から受信した電子チラシがユーザにより閲覧可能なように、電子チラシの画像を表示部105に表示させるための制御を実行し(【0054】)、
チラシ部分画像情報取得部122は、チラシ切り抜き操作に応じて、電子チラシの画像から選択されたチラシ部分画像を示すチラシ部分画像情報を取得し(【0055】)、
購入対象商品情報管理部123は、
購入対象商品情報を管理し、1つの購入対象商品に対応する購入対象商品情報は、チラシ部分画像情報取得部122により取得されたチラシ部分画像と所定の属性情報とを含み、属性情報は、商品名、価格、数量、店名(購入対象商品を販売する店舗の名称)などのように、購入対象商品に関する所定の属性の内容を示す情報であり(【0056】)、
登録確認画面における登録ボタンBT22が操作されるのに応じて、登録確認画面における登録確認画像P2に表示されるチラシ部分画像と、入力ボックスBx1?Bx4に入力された各属性の文字列による属性情報とを含む購入対象商品情報を記憶部103に記憶させ(【0057】)、
入力ボックスBx1?Bx4は、それぞれ、購入対象商品についての所定の属性についての内容を示す文字列が入力される領域であり、入力ボックスBx1は、購入対象商品についての属性として、商品名を示す文字列が入力される領域であり、入力ボックスBx2は、購入対象商品についての属性として、購入対象商品を購入する際に予定している数量を示す文字列(数字)が入力される領域であり、入力ボックスBx3は、購入対象商品についての属性として、価格を示す文字列が入力される領域であり、入力ボックスBx4は、購入対象商品についての属性として、購入対象商品が販売される店舗の名称(店名)を示す文字列が入力される領域であり(【0040】)、
入力ボックスBx1?Bx4のそれぞれは、ユーザによる文字入力操作に応じて任意の文字列を入力することが可能とされ、
そのうえで、商品名の文字列が入力される入力ボックスBx1については、電子チラシサーバ200から受信した登録属性情報に含まれていた商品名の文字列が初期値として入力され、
同様に、価格が入力される入力ボックスBx3についても、受信した登録属性情報に含まれていた価格の文字列が初期値として入力され(【0041】)、
入力ボックスBx4には、登録確認画像P2に表示されるチラシ部分画像の取得元の電子チラシにメタデータとして付与された店舗名が初期値として入力され、入力ボックスBx1、Bx3、Bx4に初期値として入力された各文字列は、ユーザが文字入力操作を行うことによって変更することが可能であり(【0043】)、
購入対象商品情報管理部123は、チラシ切り抜き操作によって電子チラシからチラシ部分画像が選択された場合に、選択されたチラシ部分画像に対応するチラシ部分画像属性情報が配信データに含まれているか否かについて判定し、チラシ部分画像属性情報が含まれている場合、購入対象商品情報管理部123は、選択されたチラシ部分画像に対応するチラシ部分画像属性情報を取得し、このように取得したチラシ部分画像属性情報を利用することで、購入対象商品情報管理部123は、登録確認画面において、チラシ部分画像属性情報が対応するのと同じ属性(商品名、価格など)の入力ボックスに対して文字列を入力することができる(【0107】)
端末装置100。」

(2)引用文献2について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0008】図3は、本発明による文書処理装置の概略動作を説明するフローチャートである。まずオペレータは、操作部2を介して各領域の重要部分を矩形として指示する。指示された情報はトリミング情報としてトリミング情報部6に格納される。次にオペレータは、操作部2を介して自動レイアウト作業の実行を指示し、図3に示した動作が始まる。自動レイアウト部8は、編集用メモリ3の内容を読み取り、各領域の大きさを領域制御部7に指示する(ステップ1)。領域制御部7は、トリミング情報部6の内容を読み取り(ステップ2)、編集用メモリ3の領域データを変更する。すなわち領域の大きさおよび位置を変更し、トリミングのサイズを決定する(ステップ3)。以上の操作にエラーがあったかどうか判定が行われ(ステップ4)、エラーがなければ(ステップ4;N)、前記領域データの変更が確定され(ステップ5)、エラーがあれば(ステップ4;Y)、エラー処理を行った(ステップ6)後に動作は終了する。」

(3)引用文献3について
原査定の拒絶理由に周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
広告主が、チラシ広告集配信サイト運営企業が提供する広告フォーマットに広告条件情報とチラシ広告画像とを含むチラシ広告情報を入力して転送することによって、指定した広告期間においてインターネットに自動的に電子チラシ広告を公開し、顧客側端末機で閲覧させるチラシ広告配信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この広告配信システムによれば、広告紙である「チラシ広告」をもとに電子チラシ広告を作成してインターネットに公開し、顧客側端末機が所望の電子チラシ広告を検索し閲覧することができる。」

「【0036】
(略)検索部109は、キーワード情報から商品名を検索する際に、有効期間が設定されている場合はこの期間に現在の日付(検索日)が含まれているか否かを判定し、有効期間に検索日が含まれている場合についてのみ、検索された商品名を検出するようにしてもよい。」

(4)引用文献4について
当審において、周知技術を示す文献として新たに引用する特開2009-116425号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0011】
図2(a)に示すように、チラシ情報は、チラシID、タイトル、配信期間、店舗IDの項目を有している。このチラシ情報は、Webサーバにおいて、いわゆるデジタルチラシとして公開しているものに関する情報である。デジタルチラシとは、紙媒体として配るチラシと同様の内容をデジタルデータで記録し、利用者の要求に応じて配信するものである。(略)」

(5)引用文献5について
当審において、周知技術を示す文献として新たに引用する特開2014-194641号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0040】
また、電子チラシを配信する店舗は、単発で電子チラシを配信するのではなく、例えば新しいイベントやセールなどに対応させて新たに作成した電子チラシを、配信期間(配信開始日時、配信終了日時)を設定して逐次配信するということを通常行っている。」

「【0053】
電子チラシ情報は、対応の店舗が配信(公開)中の電子チラシに関する情報である。電子チラシ情報は、対応の店舗が配信中の電子チラシごとに、電子チラシID、配信期間、サムネイルURI、電子チラシデータURI、チラシメタデータを格納する。
電子チラシIDは、対応の電子チラシを一意に識別するように負荷される識別子である。
配信期間は、対応の電子チラシの配信期間(例えば、配信開始日時と配信終了日時)を示す。(略)」

4 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「電子チラシの画像」、「電子チラシにメタデータとして付与された店舗名」及び該「メタデータ」は、それぞれ本願発明の「広告の画像データである広告画像」、「前記広告に関する情報」及び「広告情報」に相当するから、本願発明と引用発明とは、「広告の画像データである広告画像と、前記広告に関する情報を含む広告情報とを対応付けて扱う」点で共通する。

イ 引用発明の「購入対象商品情報」は、「チラシ部分画像と所定の属性情報とを含み、属性情報は、商品名、価格、数量、店名(購入対象商品を販売する店舗の名称)などのように、購入対象商品に関する所定の属性の内容を示す情報であ」って、「チラシ」、すなわち「広告」に掲載された「商品」の「情報」といえるから、本願発明の「広告商品情報」とは、後述のカのとおり、両者に含まれる情報は異なるものの「広告商品情報」といえる点で共通する。そして、引用発明の「チラシ切り抜き操作に応じて、電子チラシの画像から選択された」「チラシ部分画像」は、本願発明の「前記広告画像において広告されている商品の画像である広告商品画像」に相当し、引用発明の「属性情報」は本願発明の「メタ情報」に相当し、引用発明の前記「属性情報」のうちの「店名」及び「商品名」は、それぞれ本願発明の「前記広告に関する情報」及び「前記商品に関する情報」に相当する。そうすると、引用発明の「購入対象商品情報が記憶される購入対象商品情報記憶部131」は、本願発明の「前記広告画像において広告されている商品の画像である広告商品画像と、前記広告に関する情報及び前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を記憶する広告商品情報記憶部」に相当する。

ウ 引用発明の「操作子や操作デバイスなどに対して行われた操作に応じて操作信号を制御部に対して出力」する「操作部104」は、本願発明の「ユーザの操作を入力する入力部」に相当する。

エ 引用発明の「制御部102の制御に応じて画像を表示」する「表示部105」は、本願発明の「画面を表示する表示部」に相当する。

オ 本願発明の「広告商品画像」に相当する引用発明の「チラシ部分画像」はユーザの「チラシ切り抜き操作に応じて、電子チラシの画像から選択された」ものであるから、引用発明の「チラシ部分画像情報取得部122」が「チラシ部分画像」を取得する機能は、本願発明の「領域情報受信部」の「前記表示部に表示された前記広告画像において前記入力部により選択された商品の掲載領域の情報を受信する」機能と、「広告商品画像生成部」の「前記広告画像における前記掲載領域の画像に基づいて広告商品画像を生成する」機能とを併せた機能に相当する。

カ 引用発明の「購入対象商品情報管理部123」が生成する「購入対象商品情報」と本願発明の「広告商品情報生成部」が生成する「広告商品情報」とを対比すると、前述のとおり引用発明の「チラシ部分画像」は本願発明の「広告商品画像」に相当し、引用発明の「チラシ部分画像の取得元の電子チラシにメタデータとして付与された店舗名」は、本願発明の「前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した少なくとも広告主に関する情報」に相当する。
さらに、引用発明の「商品名」は本願発明の「前記商品に関する情報」に含まれる。そして、入力ボックスBx1?Bx4のそれぞれは、ユーザによる文字入力操作に応じて任意の文字列を入力することが可能とされ、そのうえで、引用発明の「商品名」及び「価格」は、「商品名の文字列が入力される入力ボックスBx1及びBx3について」、「電子チラシサーバ200から受信した登録属性情報に含まれていた商品名及び価格の文字列が初期値として入力され」たもの、又は、「チラシ切り抜き操作によって電子チラシからチラシ部分画像が選択された場合に、選択されたチラシ部分画像に対応するチラシ部分画像属性情報が配信データに含まれているか否かについて判定し、チラシ部分画像属性情報が含まれている場合、購入対象商品情報管理部123は、選択されたチラシ部分画像に対応するチラシ部分画像属性情報を取得し、このように取得したチラシ部分画像属性情報を利用することで、購入対象商品情報管理部123は、登録確認画面において、チラシ部分画像属性情報が対応するのと同じ属性(商品名、価格など)の入力ボックスに対して」入力された文字列であり、「初期値として入力された各文字列は、ユーザが文字入力操作を行うことによって変更することが可能であ」るものである。そして、引用発明の「ユーザが文字入力操作を行うことによって」入力した「商品名」及び「価格」は、本願発明の「前記入力部により入力された前記商品に関する情報」といえる。
そうすると、引用発明の「購入対象商品情報管理部123」と本願発明の「広告商品情報生成部」とは、「前記広告商品画像と、前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した少なくとも広告主に関する情報を含む前記広告に関する情報及び前記入力部により入力された前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた所定の情報を生成し、前記広告商品情報記憶部に書き込む」点で共通する。

キ 引用発明の「端末装置100」は、「購入対象商品情報管理部123」が「購入対象商品情報」を生成するものであるから、本願発明の「広告商品情報生成装置」といえる。

上記アないしキより、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
広告の画像データである広告画像と、前記広告に関する情報を含む広告情報とを対応付けて扱い、
前記広告画像において広告されている商品の画像である広告商品画像と、前記広告に関する情報及び前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を記憶する広告商品情報記憶部と、
ユーザの操作を入力する入力部と、
画面を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記広告画像において前記入力部により選択された商品の掲載領域の情報を受信する領域情報受信部と、
前記広告画像における前記掲載領域の画像に基づいて広告商品画像を生成する広告商品画像生成部と、
前記広告商品画像と、前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した少なくとも広告主に関する情報を含む前記広告に関する情報及び前記入力部により入力された前記商品に関する情報を含むメタ情報とを対応付けた広告商品情報を生成し、前記広告商品情報記憶部に書き込む広告商品情報生成部と、
を備える広告商品情報生成装置。

<相違点1>
本願発明では、「広告の画像データである広告画像と、前記広告に関する情報を含む広告情報とを対応付けて記憶する広告記憶部」を備えるのに対し、引用発明ではこの点が特定されていない点。

<相違点2>
「広告商品情報」における「前記広告に関する情報」について、本願発明では、「前記広告画像に対応した前記広告情報から取得した」「広告の配信期間の情報」を含むのに対し、引用発明では、この点が不明である点。

(2)判断
ア 相違点1について
相違点1について検討すると、引用発明の「電子チラシサーバ200から受信した電子チラシ」は、「電子チラシの画像」と店舗名が付与された「メタデータ」を含むところ、引用発明では、「電子チラシ閲覧制御部121は、」「電子チラシサーバ200から受信した電子チラシがユーザにより閲覧可能なように、電子チラシの画像を表示部105に表示させるための制御を実行し、」「チラシ部分画像情報取得部122は、チラシ切り抜き操作に応じて、電子チラシの画像から選択されたチラシ部分画像を示すチラシ部分画像情報を取得」するという処理を行うことから、上記処理を行うために、少なくとも、電子チラシサーバ200から受信した「電子チラシ」を一時的に記憶するメモリを必要とすることは明らかであるから、引用発明において、受信した「電子チラシの画像」と「メタデータ」とを含む「電子チラシ」を記憶する記憶部を備えること、すなわち相違点1に係る構成を備えることは、自明の事項である。

イ 相違点2について
電子チラシに付随する情報(メタデータ)が「広告の配信期間」の情報を含むことは、引用文献3ないし引用文献5に記載されているように周知技術である。そして、ユーザが、購入対象商品がいつまで購入可能であるかを知りたいと思うことは自然のことであるから、ユーザが購入対象商品情報を参照する際に購入対象商品の購入期限がわかるように、引用発明において、周知技術を勘案して、購入対象商品情報に、電子チラシのメタデータとして通常含まれる広告の配信期間を含めることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(3)小括
したがって、本願発明は、引用発明と、引用文献3-5に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明と、引用文献3-5に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-07-15 
結審通知日 2021-07-20 
審決日 2021-08-05 
出願番号 特願2016-73310(P2016-73310)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 55- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 牧 裕子相澤 祐介  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 中野 浩昌
上田 智志
発明の名称 広告商品情報生成装置及び広告商品情報生成方法  
代理人 大槻 真紀子  
代理人 清水 雄一郎  
代理人 松沼 泰史  
代理人 鈴木 史朗  

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