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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01G
管理番号 1378417
審判番号 不服2020-16081  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-20 
確定日 2021-10-19 
事件の表示 特願2018-551789「コンデンサアレンジメント」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日国際公開、WO2017/167507、令和 1年 5月30日国内公表、特表2019-514209、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2017年2月23日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2016年3月31日 ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、令和2年1月9日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年4月6日に手続補正がなされたが、同年7月13日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対して、同年11月20日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされ、当審による令和3年5月31日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年8月5日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和3年8月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である(なお、下線部は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
コンデンサアレンジメントであって、
- 複数のセラミック層と、その間に配置された第1電極及び第2電極とを有する少なくとも1つのセラミック多層コンデンサ、及び
- 基板と配線路とを有する台座、を備え、
前記配線路は、前記セラミック多層コンデンサに面する方を向いた前記基板の上面から、前記セラミック多層コンデンサから離れる方を向いた前記基板の下面へと導かれ、
前記セラミック多層コンデンサは、前記台座上に機械的に固定されており、
前記セラミック多層コンデンサは外部コンタクトを有し、
前記セラミック多層コンデンサは、全ての前記外部コンタクトが前記台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されており、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記外部コンタクトを介して前記配線路と電気的に接続されており、
複数のセラミック層とその間に配置された電極とを有する第2セラミック多層コンデンサが、前記台座上に配置されており、
前記第2セラミック多層コンデンサの前記電極は前記配線路と電気的に接続されており、
前記台座は、前記セラミック多層コンデンサと第2セラミック多層コンデンサとの間に延在する少なくとも1つのスリットを有し、
前記少なくとも1つのスリットは、前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサの熱膨張係数と前記台座の熱膨張係数との間の差の結果として生じる機械的応力を低減するように構成されている、
コンデンサアレンジメント。
【請求項2】
前記セラミック多層コンデンサの前記第1電極及び前記第2電極はそれぞれ、前記セラミック多層コンデンサの、前記台座に向いた前記外面に接している、
請求項1記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項3】
前記セラミック多層コンデンサは、前記セラミック多層コンデンサの同一の外面上に配置された、第1外部コンタクト及び第2外部コンタクトを備え、
前記第1電極は前記第1外部コンタクトを介して複数の前記配線路のうちの1つと接続されており、
前記第2電極は前記第2外部コンタクトを介して複数の前記配線路のうちの1つと接続されている、
請求項1又は2記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項4】
前記セラミック多層コンデンサは、前記外面の少なくとも半分で、前記台座の直接上に載置されている、
請求項1乃至3いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項5】
前記セラミック多層コンデンサは、銀含有層を介して前記台座と接続されている、
請求項1乃至4いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項6】
前記セラミック多層コンデンサは、ペーストを塗布した後に焼結させて形成される層を介して前記台座と接続されている、
請求項1乃至5いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項7】
前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサは相互に並列に接続されている、
請求項1乃至6のいずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項8】
前記コンデンサアレンジメントはSMD素子である、
請求項1乃至7いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項9】
前記基板の材料と厚さ及び前記配線路の材料と厚さは、前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサの熱膨張係数と適合する熱膨張係数を前記台座が有するように選択される、
請求項1乃至8いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項10】
前記台座及び前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサは同一の幅を有している、
請求項1乃至9いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項11】
前記基板は、窒化ケイ素、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムを含む、
請求項1乃至10いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項12】
前記配線路は銅を含む、
請求項1乃至11いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。
【請求項13】
前記配線路は0.05mm乃至1.0mmの厚さを有する、
請求項1乃至12いずれか1項記載のコンデンサアレンジメント。」

第3 当審の拒絶の理由について

1.当審拒絶理由の概要
当審において令和3年5月31日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備なため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1において、「前記第1電極及び前記第2電極は、前記配線路と電気的に接続されており」なる記載事項と、「前記多層コンデンサは外部コンタクトを有し、前記多層コンデンサは、全ての前記外部コンタクトが前記台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されており」なる記載事項との技術的関係が不明瞭であり、この点において請求項1に係る発明及び請求項1を引用する請求項2ないし13に係る発明は明確でない。
(2)請求項4において、「第1前記外面」なる記載における「第1」の意味するところが不明であり、請求項4に係る発明は明確でない。
(3)請求項1ないし4、9、10において、「前記多層コンデンサ」なる用語が、「セラミック多層コンデンサ」のみのことを意味するのか、あるいは「セラミック多層コンデンサ」と「第2セラミック多層コンデンサ」の双方を意味し得るのかが不明確である。
よって、請求項1ないし4、9、10に係る発明は明確でない。

2.当審拒絶理由についての判断
上記(1)の指摘に対して、令和3年8月5日の手続補正により、請求項1において、「前記多層コンデンサは外部コンタクトを有し、前記多層コンデンサは、全ての前記外部コンタクトが前記台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されており」なる記載の後に「前記第1電極及び前記第2電極は、前記外部コンタクトを介して前記配線路と電気的に接続されており」との記載が続くように補正がなされ、第1電極及び第2電極は「外部コンタクトを介して」配線路と電気的に接続されるものであることが明確に理解し得るものとなった。
また、上記(2)の指摘に対して、令和3年8月5日の手続補正により、請求項4において、「第1前記外面」なる記載について「第1」を削除し、「前記外面」とする補正がなされた。
さらに、上記(3)の指摘に対して令和3年8月5日の手続補正により、特許請求の範囲全体において「前記多層コンデンサ」なる記載を「前記セラミック多層コンデンサ」と補正し、用語を統一するとともに、請求項1の下から3行目の「前記多層コンデンサ」なる記載、及び請求項9、請求項10における「前記多層コンデンサ」なる記載については、「前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサ」と補正し、「セラミック多層コンデンサ」と「第2セラミック多層コンデンサ」の双方を意味することが明確となった。

したがって、当審拒絶理由で指摘した不備な点はすべて解消され、本件出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているものと認められる。

第4 原査定について

1.原査定の概要
原査定(令和2年7月13日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1ないし7、8、11に対して引用文献1ないし3
・請求項9、10、12、13に対して引用文献1ないし4
<<引用文献一覧>>
引用文献1:特開2014-187322号公報
引用文献2:特開2014-53588号公報
引用文献3:特開2014-179512号公報
引用文献4:特開2014-192386号公報

2.原査定についての判断
(1)引用文献、引用発明
(1-1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2014-187322号公報)には、「電子部品」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項4】
複数の誘電体層と複数の内部電極とが交互に積層されることにより直方体形状に形成され、外形が上下面、両側面、ならびに上下面および両側面に直交する両端面で規定される積層体と、前記積層体の少なくとも両端面付近の下面においてそれぞれ形成される複数の外部電極と、を備える積層コンデンサと、
対向する第1主面と第2主面とを有する平板状の基体と、前記第1主面に形成され、複数の前記外部電極がそれぞれ実装される複数の実装用電極と、前記第2主面に形成され、複数の前記実装用電極にそれぞれ接続する複数の外部接続用電極と、を備える基板型の端子と、
前記積層コンデンサと前記基板型の端子とを接合するため、前記外部電極と前記実装用電極との間に設けられる接合部と、
を備える電子部品であって、
前記積層体は、複数の前記内部電極の対向領域を含む容量部と、前記容量部を囲む外装部と、により構成されており、
前記電子部品を前記積層体の端面側から投影して視たときに、
前記外部電極は、前記容量部と重ならないように形成されており、
前記接合部は、前記容量部と重ならないように形成されており、前記容量部と前記実装用端電極の間に形成されている、電子部品。」

イ.「【0001】
本発明は、積層コンデンサと、積層コンデンサを回路基板に実装する際に用いる基板型の端子と、を備えた電子部品に関する。」

ウ.「【0013】
本発明の第2の局面に係る電子部品は、複数の誘電体層と複数の内部電極とが交互に積層されることにより直方体形状に形成され、外形が上下面、両側面、ならびに上下面および両側面に直交する両端面で規定される積層体と、積層体の少なくとも両端面付近の下面においてそれぞれ形成される複数の外部電極と、を備える積層コンデンサと、対向する第1主面と第2主面とを有する平板状の基体と、第1主面に形成され、複数の外部電極がそれぞれ実装される複数の実装用電極と、第2主面に形成され、複数の実装用電極にそれぞれ接続する複数の外部接続用電極と、を備える基板型の端子と、積層コンデンサと基板型の端子とを接合するため、外部電極と実装用電極との間に設けられる接合部と、を備える電子部品であって、積層体は、複数の内部電極の対向領域を含む容量部と、容量部を囲む外装部と、により構成されており、電子部品を積層体の端面側から投影して視たときに、外部電極は、容量部と重ならないように形成されており、接合部は、容量部と重ならないように形成されており、容量部と実装用端電極の間に形成されている。」

エ.「【0021】
誘電体層12は、たとえばチタン酸バリウムなどの強誘電体材料からなる。内部電極13は誘電体層12を間に挟むように対向して配置される。外部電極14は、少なくとも積層体11の両端面11e、11fから両端面11e、11f付近の下面11bにかけて形成される。外部電極14は、さらに、積層体11の両端面11e、11fから両端面11e、11f付近の上面11aおよび両側面11c、11dにかけて形成される。外部電極14aは、対向する複数の内部電極13のうちの一方に接続され、外部電極14bは、対向する複数の内部電極13のうちの他方に接続される。」

オ.「【0043】
基板型の端子20は、第1実施形態と同様に、平板状の基体21と、複数の実装用電極22a、22bと、複数の外部接続用電極23a、23bと、を備える。
【0044】
基体21は、平板状の形状をしており、第1主面28および第2主面29を有する。基体21の大きさは、第1主面28に直交する方向から見て、長手方向、短手方向ともに、積層コンデンサ50よりも若干大きい。基体21の材質は、たとえば絶縁性樹脂である。
【0045】
実装用電極22a、22bは、基体21の第1主面28にそれぞれ形成される。実装用電極22は、基体21の長手方向の端部から中央方向に向けて所定長さ形成される。ただし、実装用電極22の形状は、積層コンデンサ50の外部電極54の位置や形状に応じて、適宜設定すればよい。
【0046】
外部接続用電極23a、23bは、基体21の第2主面29にそれぞれ形成される。外部接続用電極23aは、実装用電極22aに対向しており、外部接続用電極23bは、実装用電極22bに対向している。基体21の側壁面27には接続導体24が形成される。この接続導体24よって、実装用電極22aと外部接続用電極23bとが導通され、実装用電極22bと外部接続用電極23bとが導通される。電子部品5は、図5で示すように矢印M方向へ移送されて回路基板40に搭載されるが、外部接続用電極23の形状は、回路基板40の搭載用ランド(図示省略)の形状に応じて適宜設定すればよい。」

カ.「【0053】
図7(A)および図7(B)は、電子部品5の変形例である電子部品5Aを示した図である。電子部品5Aは、積層コンデンサ50Aと基板型の端子20と、積層コンデンサ50Aと基板型の端子20とを接合する接合部35Aと、を備える。電子部品5Aは、積層コンデンサ50Aの外部電極54A、64Aおよび接合部35Aの構造に特徴がある。また、電子部品5Aにおいて、外部電極54A、64Aは、積層体51の両側面51c、51dおよび両端面51e、51fには形成されず、上面51aおよび下面51bに形成される。この変形例では、積層体51を端面51e側から投影して視たときに、外装部58の外形により囲まれる領域を積層体領域51pと呼ぶことにする。
【0054】
図7(B)に示すとおり、電子部品5Aでは、積層体51の積層体領域51pに外部電極54A、64Aを形成せずに、誘電体層52を露出させている。これにより、積層コンデンサ50Aを基板型の端子20に実装したときに、接合部35Aの材料が、誘電体層52に付かなくなるので、積層体領域51pと重なる位置に接合部35Aが形成されなくなる。」

キ.「



上記「ア.」ないし「キ.」から以下のことがいえる。
・上記「イ.」の記載によれば、引用文献1に記載の「電子部品」は、積層コンデンサと、積層コンデンサを回路基板に実装する際に用いる基板型の端子とを備えた電子部品に関するものである。
・上記「ア.」、「ウ.」?「カ.」の記載、及び「キ.」(図7(A)(B))によれば、積層コンデンサ50Aは、複数のチタン酸バリウムなどの強誘電体材料からなる誘電体層と複数の内部電極とが交互に積層されることにより直方体形状に形成された積層体51と、積層体51の4つの側面51c?51fには形成されずに上面51aおよび下面51bのみにそれぞれ形成され、複数の内部電極の一方と他方にそれぞれ接続される複数の外部電極54A,64Aとを備えるものである。また、基板型の端子20は、対向する第1主面28と第2主面29とを有する平板状の基体21と、第1主面28に形成され、複数の外部電極54Aがそれぞれ実装される複数の実装用電極22と、第2主面29に形成され、複数の実装用電極22にそれぞれ接続する複数の外部接続用電極23とを備えるものである。そして、積層コンデンサ50Aと基板型の端子20とを接合するため、複数の外部電極54Aと複数の実装用電極22との間に設けられた接合部を備えている。

以上のことから、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数のチタン酸バリウムなどの強誘電体材料からなる誘電体層と複数の内部電極とが交互に積層されることにより直方体形状に形成された積層体と、前記積層体の4つの側面には形成されずに上面および下面のみにそれぞれ形成され、前記複数の内部電極の一方と他方にそれぞれ接続される複数の外部電極とを備える積層コンデンサと、
前記積層コンデンサを回路基板に実装する際に用いる基板型の端子であって、対向する第1主面と第2主面とを有する平板状の基体と、前記第1主面に形成され、前記積層体の下面に形成された前記複数の外部電極がそれぞれ実装される複数の実装用電極と、前記第2主面に形成され、前記複数の実装用電極にそれぞれ接続する複数の外部接続用電極とを備える基板型の端子と、
前記積層コンデンサと前記基板型の端子とを接合するため、前記積層体の下面に形成された前記複数の外部電極と前記複数の実装用電極との間に設けられた接合部と、を備える電子部品。」

(1-2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2014-53588号公報)には、「コンデンサ部品及びコンデンサ部品実装構造体」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【0043】
(変形例1)
図4(A)はコンデンサ部品10の他の構成例の外観斜視図であり、図4(B)はコンデンサ部品10の実装状態斜視図である。
【0044】
上述のコンデンサ部品10は、積層セラミックコンデンサ20,30に一体の第1外部電極41及び第2外部電極42が設けられている。これに対し、図4に示すコンデンサ部品10Aでは、積層セラミックコンデンサ20,30それぞれに第1外部電極421,431及び第2外部電極422,432が設けられている。
【0045】
図4(B)に示すように、積層セラミックコンデンサ20,30は、接合材51,52により一体化されて基板に実装されている。このとき、積層セラミックコンデンサ20の第1外部電極421と、積層セラミックコンデンサ30の第1外部電極431とは、セラミック積層体21,31の側面に形成された互いに対向する面(本発明の第1領域)で接合している。また、積層セラミックコンデンサ20の第2外部電極422と、積層セラミックコンデンサ30の第2外部電極432とは、セラミック積層体21,31の側面に形成された互いに対向する面(本発明の第2領域)で接合している。これにより、上述の外部電極を一体化した構造と同様の構造を実現することができる。
【0046】
なお、実装に用いられる接合材51、52と外部電極同士を接合する接合材は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、外部電極同士を接合する接合材は、導電材に限らず絶縁材であってもよい。
【0047】
また、予め積層セラミックコンデンサ20,30を接合してコンデンサ部品10Aを構成しておき、その後基板へ実装するようにしてもよいし、積層セラミックコンデンサ20,30それぞれを基板へ実装した後、基板上でコンデンサ部品10Aを構成してもよい。」

イ.「【0051】
図4(A)に示すコンデンサ部品10Aは、積層セラミックコンデンサ20,30それぞれに外部電極が設けられ、積層セラミックコンデンサ20,30それぞれを個別に製造することができるため、コンデンサ部品10Aの製造が容易となる。なお、積層セラミックコンデンサ20,30の第1外部電極の対向する第1領域同士、及び第2外部電極の対向する第2領域同士は、少なくとも一部が接合していればよく、好ましくは、第1および第2領域の中央が接合していればよい。振動音を低減させる観点から、第1および第2領域を確実に接合していることが好ましく、第1および第2領域の中央を含む30%以上が接合していることが好ましく、50%以上が接合していることがより好ましい。また、外部電極の対向面の少なくとも一部が接合していればよく、セラミック積層体21,31は密接していてもよいし、例えば0.1mm離れていてもよい。セラミック積層体21,31の間隔は、セラミック積層体21,31の幅方向の寸法の20%以内が好ましく、10%以内がより好ましい。」

ウ.「



上記「ア.」、「イ.」、及び「ウ.」(図4(A)(B))によれば、引用文献2には次の技術事項が記載されている。
「振動音を低減させるために、2つの積層セラミックコンデンサを、互いに対向する面の外部電極同士を接合材により接合することにより一体化して基板に実装するようにしたこと。」

(1-3)引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3(特開2014-179512号公報)には、「電子部品、それに含まれる基板型の端子、および、電子部品の実装構造」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
誘電体層と内部電極とが交互に積層された直方体状の積層体、該積層体の長手方向の一方側の端部に設けられた第1外部電極、および、前記積層体の長手方向の他方側の端部に設けられた第2外部電極を含むコンデンサ素子と、
第1主面および該第1主面とは反対側の第2主面を有して、前記コンデンサ素子が前記第1主面に実装された基板型の端子と
を備え、
前記基板型の端子は、前記第1主面に、前記コンデンサ素子の前記第1外部電極と電気的に接続される第1実装電極、および、前記コンデンサ素子の前記第2外部電極と電気的に接続される第2実装電極を有し、
前記基板型の端子は、前記第2主面に、それぞれ外部接続用である、前記第1実装電極と電気的に接続された第1接続電極、および、前記第2実装電極と電気的に接続された第2接続電極を有し、
前記基板型の端子は、前記第1主面から前記第2主面まで貫通し、平面視において前記第1実装電極と前記第1接続電極との間に位置する第1スリット、および、前記第1主面から前記第2主面まで貫通し、平面視において前記第2実装電極と前記第2接続電極との間に位置する第2スリットを有する、電子部品。」

イ.「【0013】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、発生する可聴音を低減できる電子部品、それに含まれる基板型の端子、および、電子部品の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に基づく電子部品は、誘電体層と内部電極とが交互に積層された直方体状の積層体、この積層体の長手方向の一方側の端部に設けられた第1外部電極、および、積層体の長手方向の他方側の端部に設けられた第2外部電極を含むコンデンサ素子と、第1主面およびこの第1主面とは反対側の第2主面を有して、コンデンサ素子が第1主面に実装された基板型の端子とを備える。基板型の端子は、第1主面に、コンデンサ素子の第1外部電極と電気的に接続される第1実装電極、および、コンデンサ素子の第2外部電極と電気的に接続される第2実装電極を有する。基板型の端子は、第2主面に、それぞれ外部接続用である、第1実装電極と電気的に接続された第1接続電極、および、第2実装電極と電気的に接続された第2接続電極を有する。基板型の端子は、第1主面から第2主面まで貫通し、平面視において第1実装電極と第1接続電極との間に位置する第1スリット、および、第1主面から第2主面まで貫通し、平面視において第2実装電極と第2接続電極との間に位置する第2スリットを有する。」

ウ.「【0053】
図5に示すように、基板型の端子30は、第1主面31aに、コンデンサ素子10,20の第1外部電極14,24と電気的に接続される第1実装電極34、および、コンデンサ素子10,20の第2外部電極15,25と電気的に接続される第2実装電極35を有する。
【0054】
すなわち、絶縁性基板31の第1主面31a上において、絶縁性基板31の長手方向の一方の端部に第1実装電極34が設けられ、絶縁性基板31の長手方向の他方の端部に第2実装電極35が設けられている。
【0055】
図6に示すように、基板型の端子30は、第2主面31bに、それぞれ外部接続用である、第1実装電極34と電気的に接続された第1接続電極38、および、第2実装電極35と電気的に接続された第2接続電極39を有する。
【0056】
すなわち、絶縁性基板31の第2主面31b上において、絶縁性基板31の長手方向の一方の端部に第1接続電極38が設けられ、絶縁性基板31の長手方向の他方の端部に第2接続電極39が設けられている。
【0057】
第1実装電極34と第1接続電極38とは、絶縁性基板31に形成された後述する第1スリット32の内面上に設けられた第1接続導体36によって電気的に接続されている。
【0058】
第2実装電極35と第2接続電極39とは、絶縁性基板31に形成された後述する第2スリット33の内面上に設けられた第2接続導体37によって電気的に接続されている。
【0059】
基板型の端子30は、第1主面31aから第2主面31bまで貫通し、平面視において第1実装電極34と第1接続電極38との間に位置する第1スリット32、および、第1主面31aから第2主面31bまで貫通し、平面視において第2実装電極35と第2接続電極39との間に位置する第2スリット33を有する。電子部品の平面視において、第1スリット32および第2スリット33の少なくとも一部は、コンデンサ素子10,20と重なっている。」

エ.「



上記「ア.」?「ウ.」、及び「エ.」(図5?7)によれば、引用文献3には、次の技術事項が記載されている。
「コンデンサ素子と、第1主面および該第1主面とは反対側の第2主面を有して、前記コンデンサ素子が前記第1主面に実装された基板型の端子とを備えた電子部品であって、前記基板型の端子は、前記第1主面に、前記コンデンサ素子の外部電極と電気的に接続される実装電極を有するとともに、前記第2主面に、前記実装電極と電気的に接続された外部接続用の接続電極を有する電子部品において、発生する可聴音を低減するために、前記基板型の端子に、前記第1主面から前記第2主面まで貫通し、平面視において前記実装電極と前記接続電極との間に位置するスリットを設けたこと。」

(2)対比・判断
(2-1)本願発明1について
ア.対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)セラミック多層コンデンサについて
引用発明の「積層コンデンサ」における「チタン酸バリウムなどの強誘電体材料からなる誘電体層」は、チタン酸バリウムがセラミックスであることから、本願発明1でいう「複数のセラミック層」に相当する。
また、引用発明の「積層コンデンサ」における複数の誘電体層と交互に積層される「複数の内部電極」は、本願発明1でいう複数のセラミック層の間に配置された「第1電極及び第2電極」に相当する。
さらに、引用発明の「積層コンデンサ」における積層体の上面および下面のみにそれぞれ形成された「複数の外部電極」は、本願発明1でいう「外部コンタクト」に相当する。
そして、引用発明における「積層コンデンサ」は、複数の誘電体層と複数の内部電極とが交互に積層されることにより直方体形状に形成された積層体を有するものであり、本願発明1でいう「セラミック多層コンデンサ」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「複数のセラミック層と、その間に配置された第1電極及び第2電極とを有する少なくとも1つのセラミック多層コンデンサ」を備え、「前記セラミック多層コンデンサは外部コンタクトを有し」ている点で一致する。

(イ)台座について
引用発明の「基板型の端子」における対向する第1主面と第2主面とを有する「平板状の基体」は、本願発明1でいう「基板」に相当する。
また、引用発明の「基板型の端子」における第1主面に形成された「複数の実装用電極」及び第2主面に形成された「複数の外部接続用電極」とからなるものが、本願発明1でいう「配線路」に相当し、引用発明においても、第2主面に形成された複数の外部接続用電極は、第1主面に形成された複数の実装用電極にそれぞれ接続するものであることから、本願発明でいう「配線路」と同様に、積層コンデンサが実装される第1主面、すなわち積層コンデンサに面する方を向いた上面から、第1主面に対向する第2主面、すなわち積層コンデンサから離れる方を向いた下面へと導かれるものである。
そして、引用発明における「基板型の端子」は、本願発明でいう「基板」と「配線路」とを有するものであるから、本願発明でいう「台座」に相当するものである。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「基板と配線路とを有する台座」を備え、「前記配線路は、前記セラミック多層コンデンサに面する方を向いた前記基板の上面から、前記セラミック多層コンデンサから離れる方を向いた前記基板の下面へと導かれ」るものである点で一致する。

(ウ)セラミック多層コンデンサと台座との接続等について
引用発明における「積層コンデンサ」と「基板型の端子」とは、積層体の下面に形成された複数の外部電極と複数の実装用電極との間に設けられた接合部によって接合されてなるものであり、積層コンデンサは、基板型の端子上に機械的に固定されるとともに、電気的にも接続されてなるものである。ここで、複数の外部電極は複数の内部電極と接続されていることを踏まえると、複数の内部電極は、積層体の下面に形成された複数の外部電極を介して基板型の端子に形成された複数の実装用電極と電気的に接続されているということになる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記セラミック多層コンデンサは、前記台座上に機械的に固定されており」、「前記セラミック多層コンデンサは、」「前記外部コンタクトが前記台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されており」、「前記第1電極及び前記第2電極は、前記外部コンタクトを介して前記配線路と電気的に接続されている」点で共通するといえる。
ただし、セラミック多層コンデンサの外部コンタクトについて、本願発明1では「全ての」外部コンタクトが台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されると特定するのに対し、引用発明では基板型の端子に向いた下面とは反対側の上面にも外部電極が設けられている点で相違する。

(エ)本願発明1では「複数のセラミック層とその間に配置された電極とを有する第2セラミック多層コンデンサが、前記台座上に配置されており、前記第2セラミック多層コンデンサの前記電極は前記配線路と電気的に接続されて」いると特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点で相違する。
さらに、本願発明1では「前記台座は、前記セラミック多層コンデンサと第2セラミック多層コンデンサとの間に延在する少なくとも1つのスリットを有し、前記少なくとも1つのスリットは、前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサの熱膨張係数と前記台座の熱膨張係数との間の差の結果として生じる機械的応力を低減するように構成されている」と特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有してない点で相違する。

(オ)そして、引用発明における「電子部品」は、積層コンデンサと、積層コンデンサを回路基板に実装する際に用いる基板型の端子とを備えるものであることから、本願発明1でいう「コンデンサアレンジメント」に相当するものである。

よって、上記(ア)ないし(オ)によれば、本願発明1と引用発明とは、
「コンデンサアレンジメントであって、
複数のセラミック層と、その間に配置された第1電極及び第2電極とを有する少なくとも1つのセラミック多層コンデンサ、及び
基板と配線路とを有する台座、を備え、
前記配線路は、前記セラミック多層コンデンサに面する方を向いた前記基板の上面から、前記セラミック多層コンデンサから離れる方を向いた前記基板の下面へと導かれ、
前記セラミック多層コンデンサは、前記台座上に機械的に固定されており、
前記セラミック多層コンデンサは外部コンタクトを有し、
前記セラミック多層コンデンサは、前記外部コンタクトが前記台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されており、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記外部コンタクトを介して前記配線路と電気的に接続されている、
コンデンサアレンジメント。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
セラミック多層コンデンサの外部コンタクトについて、本願発明1では「全ての」外部コンタクトが台座に向いた外面に配置される片面接続のために配設されると特定するのに対し、引用発明では基板型の端子に向いた下面とは反対側の上面にも外部電極が設けられている点。

[相違点2]
本願発明1では「複数のセラミック層とその間に配置された電極とを有する第2セラミック多層コンデンサが、前記台座上に配置されており、前記第2セラミック多層コンデンサの前記電極は前記配線路と電気的に接続されて」いると特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。

[相違点3]
台座について、本願発明1では「前記セラミック多層コンデンサと第2セラミック多層コンデンサとの間に延在する少なくとも1つのスリットを有し、前記少なくとも1つのスリットは、前記セラミック多層コンデンサ及び前記第2セラミック多層コンデンサの熱膨張係数と前記台座の熱膨張係数との間の差の結果として生じる機械的応力を低減するように構成されている」と特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有してない点。

イ.相違点についての判断
事案に鑑み、まず上記相違点2及び相違点3について検討する。
引用文献2には、振動音を低減させるために、2つの積層セラミックコンデンサを、互いに対向する面の外部電極同士を接合材により接合することにより一体化して基板に実装するようにした技術事項が記載(上記(1-2)を参照)されているものの、ここでいう「基板」とは、実装基板であると認められ、基板型の端子(本願発明1でいう「台座」)上に2つの積層セラミックコンデンサを配置することまでは記載されていない。
また、引用文献3には、コンデンサ素子と、第1主面および該第1主面とは反対側の第2主面を有して、前記コンデンサ素子が前記第1主面に実装された基板型の端子とを備えた電子部品であって、前記基板型の端子は、前記第1主面に、前記コンデンサ素子の外部電極と電気的に接続される実装電極を有するとともに、前記第2主面に、前記実装電極と電気的に接続された外部接続用の接続電極を有する電子部品において、発生する可聴音を低減するために、前記基板型の端子に、前記第1主面から前記第2主面まで貫通し、平面視において前記実装電極と前記接続電極との間に位置するスリットを設けた技術事項が記載(上記(1-3)を参照)されているものの、ここでの基板型の端子に設けた「スリット」は、平面視において実装電極と接続電極との間に位置するように設けられるものであって、引用文献3の段落【0059】に「電子部品の平面視において、第1スリット32および第2スリット33は少なくとも一部は、コンデンサ素子10,20と重なっている。」と記載され、さらに例えば図7にも見られるように、その一部はコンデンサ素子に重なるものであり、2つのコンデンサ素子の間に延在するように設けられるものではない。
したがって、引用文献2及び引用文献3にそれぞれ記載された技術事項からは、引用発明において、基板型の端子上に2つの積層コンデンサを配置するとともに、基板型の端子に対して、2つの積層コンデンサの間に延在する少なくとも1つのスリットを設ける構成、つまり相違点2及び相違点3に係る構成を導き出すことはできない。

なお、相違点2及び相違点3に係る構成については、上記引用文献4にも記載はなく、また、他の証拠も発見しない。

ウ.まとめ
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2,3にそれぞれ記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2-2)本願発明2ないし13について
請求項2ないし13は、請求項1を引用する請求項であって、請求項2ないし13に係る各発明は、相違点2及び相違点3に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2,3にそれぞれ記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび

以上のとおり、本願の請求項1ないし13に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2,3にそれぞれ記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-09-29 
出願番号 特願2018-551789(P2018-551789)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01G)
P 1 8・ 121- WY (H01G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 晃洋  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 須原 宏光
井上 信一
発明の名称 コンデンサアレンジメント  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 宮崎 修  
代理人 伊東 忠重  

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