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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1378439
審判番号 不服2021-3245  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-10 
確定日 2021-10-19 
事件の表示 特願2019-235468号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月26日出願公開、特開2020- 44440号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和1年12月26日の出願であって、令和2年7月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月7日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。送達日:同年同月15日)がなされ、それに対し、令和3年3月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(令和2年12月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2016-171830号公報
2.特開2019-162529号公報


第3 審判請求時の補正(令和3年3月10日付け手続補正)について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
当該補正によって、請求項1に、「前記選択演出では、前記別の領域に、前記対象情報の少なくとも一部が表示画面上で重なるように複数の前記対象情報を表示し、前記表示画面上の最も手前側の前記対象情報を順次変更して停止させることにより、前記最も手前側の前記対象情報に対応する前記選択対象が選択される」という事項を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、審判請求時の補正により追加された上記事項は、当初明細書等の【2192】、【2201】、【2210】、図187(E)、図188(E)、図189(E)に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、当該補正後の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年3月10日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次の発明である(記号A?Gは、分説するため当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 遊技機であって、
B 複数の選択対象のうちの一つを選択する演出であって、前記選択対象を表示するとともに、前記選択対象の表示領域とは別の領域に前記選択対象に関する情報である対象情報を表示し、前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される選択演出を実行可能であり、
C 前記対象情報は、複数の情報を表す情報画像として表示され、
D 前記選択対象は、対戦相手のキャラクタであって、
E 前記情報画像には、前記キャラクタの攻略難易度を示唆するグラフ画像が含まれており、
F 前記選択演出では、前記別の領域に、前記対象情報の少なくとも一部が表示画面上で重なるように複数の前記対象情報を表示し、前記表示画面上の最も手前側の前記対象情報を順次変更して停止させることにより、前記最も手前側の前記対象情報に対応する前記選択対象が選択される、
G ことを特徴とする遊技機。」


第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2016-171830号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。

ア「【技術分野】
「【0001】
本発明は、パチンコ機やアレンジボールなどの遊技機に関する。」

イ「【0005】
本発明の遊技機は、遊技者に多様な期待感を付与して、遊技興趣を向上させることを主目的とする。」

ウ「【実施例】
【0024】
[第1実施例]
図1は実施例のパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。実施例では、第1種の遊技性と第2種の遊技性とを併せ持ったいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。なお、第1種の遊技性は、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、所定の大当り図柄で特別図柄が停止表示すると大当り遊技を開始する、いわゆるセブン機タイプの遊技性である。また、第2種の遊技性は、始動口に遊技球が入球したことを契機として可変入球装置に設けられた開閉部材(羽根)を開閉して小当り遊技を開始し、開閉部材が開状態のときに可変入球装置内に入球した遊技球が可変入球装置内に設けられた特定領域(いわゆるV領域)を通過したことを契機として大当り遊技を開始する、いわゆる羽根物タイプの遊技性である。」

エ「【0039】
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出、予告演出などの様々な演出表示が行われる。・・・
・・・
【0072】
[演出制御処理]
次に、サブ制御基板90により実行される動作について説明する。図23は、サブ制御基板90のCPU90により実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理は、演出図柄を変動表示させる図柄変動演出を行う図柄変動演出処理(S500)と、大当り遊技の実行に伴って大当り遊技演出(大当り遊技開始演出,ラウンド演出,大当り遊技終了演出)を行う大当り遊技演出処理(S510)と、図柄変動演出中に味方キャラクタと対決する敵キャラクタを対戦キャラクタとして表示する対戦キャラクタ表示演出処理(S520)と、表示した対戦キャラクタを変更するための対戦キャラクタ変更演出処理(S530)と、大当り遊技演出中に味方キャラクタが敵キャラクタと対決するバトル演出を行うバトル演出処理(S540)等の各種処理を繰り返し実行することにより行われる。バトル演出は、本実施例では、大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生するか否かを示唆するものであり、味方キャラクタが敵キャラクタに勝利する演出結果によって、大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生することを示し、味方キャラクタが敵キャラクタに敗北する演出結果によって、大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生しないことを示す。」

オ「【0080】
敵キャラクタA?Eには、それぞれバトル演出にて味方キャラクタが勝利する可能性(信頼度)として異なる可能性(信頼度)が定められており、本実施例では、味方キャラクタが勝利する可能性の高い順に、敵キャラクタA,敵キャラクタB,敵キャラクタC,敵キャラクタD,敵キャラクタEとなっている。また、各敵キャラクタA?Eには、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)が示されており、示された星の数が少ないほど味方キャラクタが勝利する可能性が高くなっている。前述したように、バトル演出で味方キャラクタが勝利する演出結果によって、電サポあり状態が発生(継続)することを示すから、星の数は,電サポあり状態発生の信頼度を表示する信頼度表示手段といえる。
【0081】
図28は、対戦キャラクタ表示演出の様子を示す説明図である。図示するように、電サポあり状態中に第2特別図柄の変動表示に伴う図柄変動演出が開始されると、対戦キャラクタとして敵キャラクタA?Eのいずれかが選択されて表示される(図28(a)参照)。前述したように、各敵キャラクタA?Eは、それぞれバトル演出で味方キャラクタが勝利する可能性(信頼度)として異なる可能性(信頼度)が定められており、図28(a)の例では、星の数(危険度)が4つの敵キャラクタDが表示されている。但し、図柄変動演出中に表示される対戦キャラクタの信頼度は、暫定的なものであり、後述する対戦キャラクタ変更演出にて変更される場合がある。そして 、図柄変動演出が10回実行されるまで、同じ対戦キャラクタが表示される(図28(b)?(d)参照)。図柄変動演出が10回実行されると、新たな対戦キャラクタが選択され、以後、図柄変動演出が10回実行されるまで、同じ対戦キャラクタの表示が維持される(図28(e)?(g)参照)。図28(f)の例では、星の数(危険度)が4つの敵キャラクタDから星の数(危険度)が5つの敵キャラクタEに変更されている。・・・」

カ「【0095】
[第2実施例]
次に、第2実施例のパチンコ機10について説明する。第1実施例のパチンコ機10では、バトル演出に使用する対戦キャラクタを、特別図柄の変動表示に伴って(図柄変動演出中)に表示するものとしたが、第2実施例のパチンコ機10では、バトル演出に使用する対戦キャラクタを、大当り遊技中(第2特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合又は第2特別図柄が小当り図柄で停止表示され小当り遊技にて第2大入賞口50に入球した遊技球が特定領域52を通過した場合)に表示するものである。第2実施例のパチンコ機10では、図23の演出制御処理に代えて図36の演出制御処理が実行される。」

キ「【0106】
また、図43の例では、第1グループ識別オブジェクトが表示されている状態で(図43(a)参照)、大当り遊技が発生すると、第1グループ識別オブジェクトから出現させる第1チャンスアップアイテムとして、敵キャラクタEが選択されればバトル演出で勝利結果となることが確定する条件付き勝利予告アイテムEが表示される(図43(b),(c)参照)。そして、敵キャラクタC?Eの中から選択された対戦キャラクタを表示する第1対戦キャラクタ表示演出を行い(図43(d),(e)参照)、バトル演出へ発展する。図43の例では、対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され、味方キャラクタが敵キャラクタEと対決するバトル演出に発展し、味方キャラクタが先制攻撃して敵キャラクタに勝利する勝利演出が行われる(図43(f)?(h)参照)。」

ク「



ケ「



(2)認定事項
(ア)【0039】の「演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出、予告演出などの様々な演出表示が行われる。」との記載を踏まえると、図43(d)、(e)に記載の「対戦キャラクタ表示演出」、同(f)、(g)に記載の「バトル演出」、同(h)に記載の「勝利演出(電サポあり状態継続)」は、演出表示装置34の表示画面上で表示されるものと認められる。

(イ)【0080】の「敵キャラクタA?Eには、それぞれバトル演出にて味方キャラクタが勝利する可能性(信頼度)として異なる可能性(信頼度)が定められており、本実施例では、味方キャラクタが勝利する可能性の高い順に、敵キャラクタA,敵キャラクタB,敵キャラクタC,敵キャラクタD,敵キャラクタEとなっている。また、各敵キャラクタA?Eには、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)が示されており、示された星の数が少ないほど味方キャラクタが勝利する可能性が高くなっている。」との記載を参酌すると、図43(d)から、対戦キャラクタ表示演出として、表示画面上で、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組とした画像が5組表示され、その5組の画像の組は、画面左側に上下方向に2組配置され、画面中央の中段に1組配置され、画面右側の上下方向に2組配置されることが看取される。

(ウ)加えて、【0106】の「そして、敵キャラクタC?Eの中から選択された対戦キャラクタを表示する第1対戦キャラクタ表示演出を行い(図43(d),(e)参照)、バトル演出へ発展する。」(なお、当審は、当該記載における「敵キャラクタC?Eの中から」は、「敵キャラクタA?Eの中から」の誤記であると認めた。)との記載、及び対戦キャラクタ(敵キャラクタ)A?Eに対応付けられる継続信頼度を示す説明図である図27の記載より、5つの数の星が表示されたキャラクタに対応するキャラクタは、敵キャラクタEであることを参酌すると、図43(e)から、対戦キャラクタ表示演出として、表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示されることにより、敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択されることが看取される。

(エ)さらに、【0106】の「図43の例では、対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され、味方キャラクタが敵キャラクタEと対決するバトル演出に発展し、味方キャラクタが先制攻撃して敵キャラクタに勝利する勝利演出が行われる(図43(f)?(h)参照)。」との記載を踏まえると、上記のとおり、図43(f)、(g)に記載の「バトル演出」、同(h)に記載の「勝利演出(電サポあり状態継続)」は、演出表示装置34の表示画面上で表示されるものと認められることから、引用文献1には、表示画面上で、味方キャラクタが敵キャラクタEと対決するバトル演出に発展し、味方キャラクタが先制攻撃して敵キャラクタに勝利する勝利演出が行われることが記載されていると認められる。

(オ)以上の(ア)?(エ)を併せると、引用文献1には、演出表示装置34の表示画面上で、対戦キャラクタ表示演出として、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組とした画像が5組表示され、その5組の画像の組は、画面左側に上下方向に2組配置され、画面中央の中段に1組配置され、画面右側の上下方向に2組配置され、
続けて、表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示されることにより、敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され、
さらに、表示画面上で、味方キャラクタが敵キャラクタEと対決するバトル演出に発展し、味方キャラクタが先制攻撃して敵キャラクタに勝利する勝利演出が行われることが記載されていると認められる(認定事項1)。

(3)引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生するか否かを示唆するものであり、味方キャラクタが敵キャラクタに勝利する演出結果によって、大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生することを示し、味方キャラクタが敵キャラクタに敗北する演出結果によって、大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生しないことを示すバトル演出に使用する対戦キャラクタを、大当り遊技中に表示するパチンコ機10であって(【0072】、【0095】)、
演出表示装置34を備え(【0039】)、
演出表示装置34の表示画面上で、対戦キャラクタ表示演出として、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組とした画像が5組表示され、その5組の画像の組は、画面左側に上下方向に2組配置され、画面中央の中段に1組配置され、画面右側の上下方向に2組配置され、
続けて、表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示されることにより、敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され、
さらに、表示画面上で、味方キャラクタが敵キャラクタEと対決するバトル演出に発展し、味方キャラクタが先制攻撃して敵キャラクタに勝利する勝利演出が行われる(【0039】、【0080】、【0106】、図27、図43(d)?(h)、認定事項1)、
パチンコ機10(【0095】)。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2019-162529号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。
(1)記載事項
ア「【0001】
本発明は、遊技機に関し、特にパチンコ遊技機等に適用することができる。
・・・
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、趣向性の高い演出を実現して、遊技興趣を向上させることにある。」

イ「【0023】
また、前面枠51には、装飾用の枠ランプ66、スピーカ67及び画像表示装置(第2画像表示装置71、第3画像表示装置72)が設けられている。また、図1に示すように、第2画像表示装置71及び第3画像表示装置72は、その表示画面71a、72aを遊技者が視認し易いように、前面枠51の前方(遊技者側)に向けて突出するように、且つ、外側方向に傾斜状に設置されている。また、第2画像表示装置71及び第3画像表示装置72は、後述する画像表示装置7と同様に、遊技の実行・非実行や、遊技の状況や、実行される遊技演出等に応じて、遊技演出(キャラクタや演出図柄等)や、デモ演出や、遊技に関する情報(獲得出玉情報、ラウンド数、連荘回数、遊技状態の残り期間、遊技モード、遊技演出の信頼度・説明等)や、遊技機の設定に関する情報(音量設定情報、輝度設定情報等)が表示される。また、第2画像表示装置71と、第3画像表示装置72とで、これらの情報のうち、異なる情報を表示する場合と、同じ情報を表示する場合とがある。また、画像表示装置7(第1画像表示装置)と、第2画像表示装置71と、第3画像表示装置72とで、これらの情報のうち、異なる情報を表示する場合と、同じ情報を表示する場合とがある。また、画像表示装置7(第1画像表示装置)と、第2画像表示装置71と、第3画像表示装置72とのうち、何れか2個で同じ情報を表示し、残り1個で異なる情報を表示する場合もある。尚、画像表示装置7、第2画像表示装置71および第3画像表示装置72のいずれか又は全部を指して単に「画像表示装置」ということもある。
【0024】
また、画像表示装置7は遊技盤2に形成される遊技領域3の内側領域に設けられており、第2画像表示装置71及び第3画像表示装置72は、遊技領域3の外側領域に設けられている。また、図1に示すように、(非開放側端部に設けられる)第2画像表示装置71は、前面枠51に対して、第2画像表示装置用ヒンジ75(ヒンジ部)を介して取り付けられている。そのため、上下の第2画像表示装置用ヒンジ75を軸として、左右方向に回動可能となっている。より具体的には、図1に示す状態(通常状態)から右方向に所定角度(45度程度)回動可能な構成とされている。これは、前面枠51や本体枠52を、上下の枠ヒンジ56、56を軸として開状態とした際に、前面枠51の前方に突出して設けられている第2画像表示装置71が、パチンコ遊技機1の枠ヒンジ56側(図1紙面左側)に隣接して設けられているホール設備(球貸機、台間設備等)に衝突して破損してしまうのを防ぐための構成である。一方、(開放側端部に設けられる)第3画像表示装置72は、前面枠51に対して、固定して設けられ、回動不能となっている。」

ウ「【0318】
[常駐画像の選択]
また状態Aにおいて、本パチンコ遊技機1が客待ち用のデモ演出が実行される状態(「客待ち状態」や「デモ状態」ともいう)にあるときや、識別情報(特別図柄及び/又は演出図柄)の変動表示中に、遊技者が所定の入力手段を操作して選択指示の入力を行うことで、前面枠51の左右上部(遊技領域外の左右両側)に設けられた第2画像表示装置71及び第3画像表示装置72の何れか一方又は両方に普段から表示される演出画像(「常駐画像」ともいう)を、予め用意された複数種の画像の中から任意に選択できるように構成されている。そして、演出図柄遊技演出(変動演出)として前述の特定演出(特定の演出)が実行される場合、その選択結果を反映した内容で特定演出が実行され得るように構成されている。以下では、こうした遊技者による常駐画像の選択及びその選択結果を反映した特定演出について説明する。【0319】
尚、以下では、前面枠51の左右上部(遊技領域外の左右両側)に設けられた第2画像表示装置71及び第3画像表示装置72のことを総じて「サブ液晶」ともいい、第2画像表示装置71のことを「左サブ液晶」ともいい、第3画像表示装置72のことを「右サブ液晶」ともいう。また、遊技盤2(遊技領域3)の略中央(遊技領域内)に設けられた画像表示装置7のことを「メイン液晶」ともいう。また、以下の設例では、左サブ液晶(表示画面71a)に常駐画像が表示されるものとする。
【0320】
本実施例のパチンコ遊技機1には、画像表示装置にて実行される遊技演出で登場するキャラクタとして、歌手をモチーフにしたキャラクタが複数設定されており、それぞれのキャラクタ(人物)を表す画像(画像データ)が、常駐画像として設けられている。具体的に、そのキャラクタとして、5人の男性歌手により構成される男性グループの各人(メンバー)をモチーフにした男性キャラクタB1?B5と、5人の女性歌手により構成される女性グループの各人(メンバー)をモチーフにした女性キャラクタL1?L5と、が設定されている。そして、パチンコ遊技機1が客待ち状態にあるときや、演出図柄の変動表示中(変動演出中)であって演出ボタン63を用いた演出(ボタン演出)が行われていないときに、遊技者が第1演出ボタン63aを操作(押下)すると、本遊技機1の演出環境に関する設定(カスタマイズ)を行うためのメニュー画面(図示せず)が左サブ液晶の表示画面71aに表示される。
・・・
【0322】
そして、本実施例では、演出ボタン63とは別に、副制御基板90に操作信号(操作検知スイッチの検知信号)が入力される操作レバー(図示せず)が前面枠51の上皿61の周辺に設けられている。この操作レバーは、演出ボタン63と同様に遊技者が入力を行うための入力手段として機能するものである。前述のメニュー画面を通じた演出環境に係る選択・設定の入力は、この操作レバーを操作して行うことができるようになっている。
【0323】
前述のメニュー画面には、設定可能な演出環境の項目の一つとして、サブ液晶に普段から表示させておくキャラクタ(「常駐キャラクタ」ともいう)の選択受付を指示する項目(キャラクタ選択)が表示される。このキャラクタ選択の項目を選択すると、図56に示すキャラクタ選択処理(S4306)を演出制御用マイコン91が実行することにより、常駐キャラクタの選択受付が可能となる。
【0324】
図56に示すように、キャラクタ選択処理(S4306)ではまず、左サブ液晶の表示画面71aにキャラクタ選択画面G1を表示する(S5001)。キャラクタ選択画面G1の表示は、当該画面の表示開始を指示するコマンドを画像制御基板100に送信し、当該コマンドを受信した画像制御基板100のCPU(画像制御用マイコン101)が画像ROMから対応する画像データを読み出して表示画面71aに表示することにより行われる。
【0325】
ここで、左サブ液晶の表示画面71aに表示されるキャラクタ選択画面G1の一例を図57(a)に示す。同図に示すように、キャラクタ選択画面G1には、その下部の左右方向に亘って情報表示領域Sが設けられている。情報表示領域Sには、前述の男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の各々に対応するキャラクタ情報(複数種の演出情報)が表示される。具体的には、男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、名称(名前)と顔を示す情報(複数種の演出情報)が表示される。本実施例では、男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタのうち、3つのキャラクタに対応するキャラクタ情報が表示されて視認可能となり、その視認可能となるキャラクタ情報の種類が、操作レバーの操作により変更可能となっている。すなわち、情報表示領域Sでは、操作レバーを操作して左右何れかの方向に傾倒させることで、そこに表示されるキャラクタ情報が、操作レバーの傾倒方向と同じ方向(左方向又は右方向)にスクロールするようになっている。これにより、男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、それぞれのキャラクタ情報が視認可能となるように表示される。そして、情報表示領域Sのうち左右方向の中央に表示された一のキャラクタ情報が選択予定のキャラクタ情報となり、当該選択予定のキャラクタ情報に対応するキャラクタ画像CG1が、情報表示領域Sの上方(キャラクタ選択画面G1の略中央)に表示される(図57(a)では男性キャラクタB1が選択予定)。この画面略中央に表示されるキャラクタ画像CG1の種類は、情報表示領域Sでのキャラクタ情報のスクロール表示に連動して変更される。このようにキャラクタ選択画面G1には、男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の各々に対応するキャラクタ情報(複数種の演出情報)が、操作レバー(入力手段)の操作に基づいて選択可能に表示される。
【0326】
図56に戻り、S5001に続いてS5002では、前述の情報表示領域Sに表示されるキャラクタ情報をスクロール表示させるための指示入力(スクロール指示入力)があるか否かを判定する(S5002)。このスクロール指示入力は、前述のように操作レバーが左右何れかの方向に傾倒された場合に、その検知信号(操作信号)が副制御基板90に入力することにより生じるものである。そして、S5002にてスクロール指示入力があると判定した場合(S5002でYES)、情報表示領域Sに表示されるキャラクタ情報を、操作レバーの傾倒方向と同じ方向(左方向又は右方向)にスクロール表示させる(S5003)。このスクロール表示は、当該スクロール表示を指示するコマンドを副制御基板90から受信した画像制御基板100のCPU(画像制御用マイコン101)の表示制御により実行される。一方、S5002にてスクロール指示入力がないと判定した場合(S5002でNO)、S5003の処理を行うことなくS5004の処理に進む。
【0327】
次いでS5004では、常駐キャラクタを確定させる指示入力(キャラクタ確定指示入力)があるか否かを判定する(S5004)。ここで、操作レバーには、押圧操作可能なプッシュボタン(図示せず)が一体的に設けられており、このプッシュボタンが押下されると、その検知信号(操作信号)が副制御基板90に入力するものとなっている。キャラクタ確定指示入力は、そのプッシュボタンの検知信号(操作信号)が副制御基板90に入力することにより生じるものである。
【0328】
S5004にてキャラクタ確定指示入力があると判定した場合(S5004でYES)、その時点で情報表示領域Sの中央に表示されているキャラクタ情報が、常駐キャラクタ(常駐画像)のキャラクタ情報(「常駐キャラクタ情報」ともいう)として選択されたものとして、その選択を受け付ける(S5005)。そして、その受け付けたキャラクタ情報を常駐キャラクタ情報として副制御基板90のRAMの所定領域(常駐キャラクタ情報記憶領域)に記憶するとともに(S5006)、キャラクタ選択画面G1の表示を終えて、常駐キャラクタの選択結果を示す常駐キャラクタ決定画面G2を表示画面71aに表示して(S5007)、キャラクタ選択処理(S4306)を終える。一方、S5004にてキャラクタ確定指示入力がないと判定した場合(S5004でNO)、S5005?S5007の処理を行うことなく、キャラクタ選択処理(S4306)を終える。」

エ「



(2)引用文献2に記載の事項
したがって、上記引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
「遊技盤2に形成される遊技領域3の内側領域に設けられた画像表示装置7と、遊技領域3の外側領域であって前面枠51に設けられた左サブ液晶である第2画像表示装置71及び右サブ液晶である第3画像表示装置72を備え(【0023】、【0024】、【0319】、図1)、
遊技演出で登場するキャラクタとして、5人の男性歌手により構成される男性グループのメンバーをモチーフにした男性キャラクタB1?B5と、5人の女性歌手により構成される女性グループのメンバーをモチーフにした女性キャラクタL1?L5と、が設定され、遊技者の操作により、演出環境に関する設定(カスタマイズ)を行うためのメニュー画面が左サブ液晶の表示画面71aに表示され(【0320】)、
メニュー画面には、設定可能な演出環境の項目の一つとして、サブ液晶に普段から表示させておく常駐キャラクタの選択受付を指示する項目が表示され、このキャラクタ選択の項目を選択すると、キャラクタ選択処理を実行することにより、常駐キャラクタの選択受付が可能となり(【0323】)、
キャラクタ選択処理ではまず、左サブ液晶の表示画面71aにキャラクタ選択画面G1を表示し、キャラクタ選択画面G1には、その下部の左右方向に亘って情報表示領域Sが設けられていて、情報表示領域Sには、男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の各々に対応するキャラクタ情報である複数種の演出情報が表示され(【0324】、【0325】、図57)、
男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、名前と顔を示す情報という複数種の演出情報が表示され、男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタのうち、3つのキャラクタに対応するキャラクタ情報が表示されて視認可能となり、その視認可能となるキャラクタ情報の種類が、操作レバーの操作によりスクロール表示されて変更可能となっていて、情報表示領域Sのうち左右方向の中央に表示された一のキャラクタ情報が選択予定のキャラクタ情報となり、当該選択予定のキャラクタ情報に対応するキャラクタ画像CG1が、情報表示領域Sの上方(キャラクタ選択画面G1の略中央)に表示され、当該選択予定のキャラクタ画像CG1の種類は、情報表示領域Sでのキャラクタ情報のスクロール表示に連動して変更され(【0325】、図57)、、
操作レバーには、押圧操作可能なプッシュボタンが一体的に設けられており、このプッシュボタンが押下されると、その時点で情報表示領域Sの中央に表示されているキャラクタ情報が、常駐キャラクタのキャラクタ情報として選択されたものとしてキャラクタ選択処理を終える、パチンコ遊技機1(【0327】、【0328】、図57)。」


第6 対比・判断
1.本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを分説に従って対比する。
ア 構成A、Gについて
引用発明の「パチンコ機10」は、本願発明の「遊技機」に相当し、引用発明は、本願発明の構成A、Gを具備している。

イ 構成Bについて
引用発明の「バトル演出」で「味方キャラクタ」と「対決する」「各敵キャラクタA?E」は、本願発明の「複数の選択対象」に相当し、引用発明の「敵キャラクタA?Eの中から」、「バトル演出」で「味方キャラクタ」と「対決する」「敵キャラクタEが選択され」る「対戦キャラクタ表示演出」は、本願発明の「複数の選択対象のうちの一つを選択する演出」に相当する。

引用発明の「上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組とした」「5組の画像の組」は、本願発明の「選択対象に関する情報である対象情報」に相当し、引用発明において、「敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され」る演出として、「表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示されること」は、本願発明において、「前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される」ことに相当する。

よって、引用発明の「敵キャラクタA?Eの中から」、「バトル演出」で「味方キャラクタ」と「対決する」「敵キャラクタEが選択され」る「対戦キャラクタ表示演出」において、「上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組とした」「5組の画像の組」が「表示され、」「敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され」る演出として、「表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示される」構成と、本願発明の構成Bとは、複数の選択対象のうちの一つを選択する演出であって、前記選択対象に関する情報である対象情報を表示し、前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される選択演出を実行可能である点で共通する。

ウ 構成Cについて
上記イで検討したとおり、引用発明の「上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組とした」「5組の画像の組」は、本願発明の「選択対象に関する情報である対象情報」に相当するところ、それぞれの「画像の組」は、「対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像」及び「各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像」から構成されるので、本願発明の「複数の情報を表す情報画像」に相当する。
してみると、引用発明は、本願発明の構成Cに係る構成を具備している。

エ 構成Dについて
上記イの検討を踏まえると、本願発明の「複数の選択対象」に相当する、引用発明における「バトル演出」で「味方キャラクタ」と「対決する」「各敵キャラクタA?E」は、本願発明の「対戦相手のキャラクタ」にも相当する。
してみると、引用発明は、本願発明の構成Dに係る構成を具備している。

オ 構成Eについて
上記ウの検討を踏まえ、引用発明における「各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像」を含むそれぞれの「画像の組」は、本願発明の「複数の情報を表す情報画像」に相当するところ、引用発明の「各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像」は、本願発明の「キャラクタの攻略難易度を示唆するグラフ画像」と、キャラクタの攻略難易度を示唆する画像である点で共通する。
よって、引用発明における前記それぞれの「画像の組」が、「各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像」を含む構成と、本願発明の構成Eとは、前記情報画像には、前記キャラクタの攻略難易度を示唆する画像が含まれている点で共通する。

カ 構成Fについて
上記イの検討より、引用発明において、「敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され」る演出として、「表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示される」構成は、本願発明において、「前記選択演出では、」「前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される」ことに相当する。
よって、引用発明において、「敵キャラクタA?Eの中から対戦キャラクタとして敵キャラクタEが選択され」る演出として、「表示画面上の右上に、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタEを示す画像及び下段に敵キャラクタEの、味方キャラクタの強さ(危険度)を示す星の数(危険度)が5つ表示された画像が、表示画面上の右上に1組表示される」構成と、本願発明の構成Fとは、前記選択演出では、前記対象情報に対応する前記選択対象が選択されるという点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「A 遊技機であって、
B’ 複数の選択対象のうちの一つを選択する演出であって、選択対象に関する情報である対象情報を表示し、前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される選択演出を実行可能であり、
C 前記対象情報は、複数の情報を表す情報画像として表示され、
D 前記選択対象は、対戦相手のキャラクタであって、
E’ 前記情報画像には、前記キャラクタの攻略難易度を示唆する画像が含まれている
F’ 前記選択演出では、前記対象情報に対応する前記選択対象が選択される、
G 遊技機。」

(相違点)
ア 相違点1(構成Bについて)
複数の選択対象のうちの一つを選択する演出における選択対象と対象情報の表示について、本願発明は、「選択対象を表示するとともに、前記選択対象の表示領域とは別の領域に」対象情報を表示する構成を備えるのに対し、引用発明は、対戦キャラクタ表示演出において、上段に対戦キャラクタを示す敵キャラクタA?Eのいずれかを示す画像とともに下段に各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像を組にした画像が5組表示されるものの、それとは別に敵キャラクタA?Eを表示しておらず、そのような構成を備えていない点。

イ 相違点2(構成Eについて)
キャラクタの攻略難易度を示唆する画像について、本願発明は、「グラフ画像」を表示するのに対し、引用発明は、「各敵キャラクタA?Eそれぞれの、味方キャラクタの強さ(危険度)に応じた数の星(「★」)を示す画像」を表示し、グラフ画像を表示するものでない点。

ウ 相違点3(構成Fについて)
選択対象における対象情報に対応する選択対象の選択について、本願発明は、「前記別の領域に、前記対象情報の少なくとも一部が表示画面上で重なるように複数の前記対象情報を表示し、前記表示画面上の最も手前側の前記対象情報を順次変更して停止させることにより、前記最も手前側の」対象情報に対応する選択対象が選択されるという構成を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
引用文献2に記載の事項は、上記「第5 引用文献、引用発明等」の「2 引用文献2について」「(2)引用文献2に記載の事項」にて説示したとおりである。

ア 引用文献2に記載の事項の「常駐キャラクタ」として「遊技演出で登場するキャラクタ」である「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5」は、本願発明の「複数の選択対象」に相当し、引用文献2に記載の事項では、「常駐キャラクタ」の「キャラクタ選択処理」において、「操作レバーの操作によりスクロール表示されて変更可能となってい」る「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタのうち、」「視認可能」に表示されている「3つのキャラクタに対応するキャラクタ情報」のうち、「左右方向の中央に表示された一のキャラクタ情報が選択予定のキャラクタ情報となり、」「プッシュボタンが押下されると、その時点で情報表示領域Sの中央に表示されているキャラクタ情報が、常駐キャラクタのキャラクタ情報として選択されたものとしてキャラクタ選択処理を終える」ことから、常駐キャラクタとして選択されるキャラクタは、一のキャラクタであるといえる。
そうすると、引用文献2に記載の事項において、「常駐キャラクタ」として「遊技演出で登場するキャラクタ」である「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5」について、「常駐キャラクタ」の「キャラクタ選択処理」において、「操作レバーの操作によりスクロール表示されて変更可能となってい」る「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタのうち、」「視認可能」に表示されている「3つのキャラクタに対応するキャラクタ情報」のうち、「左右方向の中央に表示された一のキャラクタ情報が選択予定のキャラクタ情報となり、」「プッシュボタンが押下されると、その時点で情報表示領域Sの中央に表示されているキャラクタ情報が、常駐キャラクタのキャラクタ情報として選択されたものとしてキャラクタ選択処理を終える」ことと、本願発明の「複数の選択対象のうちの一つを選択する演出」及び「前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される選択演出を実行可能であ」ることと、「複数の選択対象のうちの一つを選択する」こと、及び「前記対象情報が選択されることにより前記選択対象が選択される」表示「を実行可能であ」るという点で共通する。

イ 引用文献2に記載の事項において、「情報表示領域Sのうち左右方向の中央に表示された一のキャラクタ情報が選択予定のキャラクタ情報となり、当該選択予定のキャラクタ情報に対応するキャラクタ画像CG1が、」「表示され」ることは、本願発明の「前記選択対象を表示する」ことに相当し、引用文献2に記載の事項の「情報表示領域Sの上方(キャラクタ選択画面G1の略中央)」は、本願発明の「選択対象の表示領域」に相当し、引用文献2に記載の事項の「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、名前と顔を示す情報という複数種の演出情報」は、本願発明の「選択対象に関する情報である対象情報」に相当する。
また、引用文献2に記載の事項において、「当該選択予定のキャラクタ情報に対応するキャラクタ画像CG1」が表示される「情報表示領域Sの上方」と、「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、名前と顔を示す情報という複数種の演出情報」が表示される「情報表示領域S」とは、異なる領域であることは明らかであるから、引用文献2に記載の事項において、「当該選択予定のキャラクタ情報に対応するキャラクタ画像CG1が、情報表示領域Sの上方」に表示される一方で、「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、名前と顔を示す情報という複数種の演出情報」が、「情報表示領域Sに」表示されることは、本願発明において、「前記選択対象の表示領域とは別の領域に」対象情報を表示することに相当する。

ウ 上記ア、イより、引用文献2に記載の事項において、「常駐キャラクタ」として「遊技演出で登場するキャラクタ」である「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5」について、「常駐キャラクタ」の「キャラクタ選択処理」において、「操作レバーの操作によりスクロール表示されて変更可能となってい」る「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタのうち、」「視認可能」に表示されている「3つのキャラクタに対応するキャラクタ情報」のうち、「左右方向の中央に表示された一のキャラクタ情報が選択予定のキャラクタ情報となり、」「プッシュボタンが押下されると、その時点で情報表示領域Sの中央に表示されているキャラクタ情報が、常駐キャラクタのキャラクタ情報として選択されたものとしてキャラクタ選択処理を終える」とともに、「当該選択予定のキャラクタ情報に対応するキャラクタ画像CG1が、情報表示領域Sの上方」に表示される一方で、「男性キャラクタB1?B5及び女性キャラクタL1?L5の全キャラクタについて、名前と顔を示す情報という複数種の演出情報」が、「情報表示領域Sに」表示されることは、複数の選択対象のうちの一つを選択する演出における選択対象と対象情報の表示について、「選択対象を表示するとともに、前記選択対象の表示領域とは別の領域に」対象情報を表示するという上記相違点1に係る本願発明の構成に照らせば、両者は、複数の選択対象のうちの一つを選択する際の選択対象と対象情報の表示について、「選択対象を表示するとともに、前記選択対象の表示領域とは別の領域に」対象情報を表示するという点で共通する。

エ 引用発明に引用文献2に記載の事項を適用することを検討する。
引用文献2に記載の事項の左サブ液晶の表示画面71aにおける常駐キャラクタを選択する表示は、「遊技者の操作により、演出環境に関する設定カスタマイズを行う」ものであり、「設定可能な演出環境の項目の一つとして、サブ液晶に普段から表示させておく常駐キャラクタの選択受付を」可能とするもの、具体的には、遊技者が操作レバーを操作することにより表示される演出情報のスクロール表示を行うととともに、プッシュボタンを押下することでサブ液晶に表示する常駐キャラクタを設定する際の表示であって、これ自体は、「演出」乃至「選択演出」には当たらないものである。
一方で、引用発明の「大当り遊技終了後に、電サポあり状態が発生するか否かを示唆する」「敵キャラクタA?Eの中から」、「バトル演出」で「味方キャラクタ」と「対決する」「敵キャラクタEが選択され」る「対戦キャラクタ表示演出」は、いわば、信頼度を示す演出であり、パチンコ機10が備えるプログラムにより表示するキャラクタが選択される演出である。
そうすると、引用文献2に記載の事項は、「演出」乃至「選択演出」には当たらず、また、操作レバー及びプッシュボタンといった遊技者自身の操作を必須とするものであるから、該引用文献2に記載の事項を、引用発明に適用する前提を欠くものである。さらに、遊技者自身の操作により、キャラクタの選択を行うカスタマイズのための表示と、パチンコ機が備えるプログラムにより信頼度を示す演出のためにキャラクタの選択を行う演出とでは、その目的及び課題が異なるものであるから、引用発明に引用文献2に記載の事項を適用する動機付けがあるとはいえない。

オ まとめ
以上の検討から、上記相違点1に係る本願発明の構成については、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載の事項に基いて容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点2及び相違点3について判断するまでもなく、本願発明は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載の事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定について
原査定の理由2(特許法第29条第2項)について、本願発明の「選択対象を表示するとともに、前記選択対象の表示領域とは別の領域に前記選択対象に関する情報である対象情報を表示」するという事項について、上記「第6 対比・判断」の「(2)相違点についての判断」に記載したとおり、当業者であっても、原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1-2に基いて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-10-01 
出願番号 特願2019-235468(P2019-235468)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 手塚 毅  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 田邊 淳也  

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