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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1378468
審判番号 不服2020-9286  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-02 
確定日 2021-09-29 
事件の表示 特願2018-122273「基板処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月18日出願公開,特開2018-164108〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成24年(2012年)10月26日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2011年10月26日(以下,「本願優先日」という。)米国)とする特願2014-537746号(以下,「原出願」という。)の一部を,平成30年 6月27日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 6月27日 :翻訳文,上申書の提出
令和 1年 5月17日付け:拒絶理由通知書
令和 1年11月21日 :意見書,手続補正書の提出
令和 2年 2月21日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年 7月 2日 :審判請求書,手続補正書の提出
令和 2年12月 7日 :上申書の提出

第2 令和 2年 7月 2日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和 2年 7月 2日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。(下線部は,補正箇所である。以下,「補正後の請求項1」という。)

「 【請求項1】
少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルと,多関節搬送ロボットアームとを備える基板処理システムであって,
前記少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルのそれぞれが,
前記少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルから分離し,かつ前記別の搬送トンネルとは別個であり,
垂直方向に積み重ねられた処理モジュールに連結するように構成された開口部の垂直方向の積み重ねを形成するように配置された複数の開口部を含み,
前記垂直方向に積み重ねられた処理モジュールは,各垂直方向に積み重ねられた処理モジュールが,垂直方向に積み重ねられて並列に配置された処理モジュールのそれぞれの積み重ね高さを有するように,上下に積み重ねられて並列に配置され,
前記垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルの少なくとも1つは,線形搬送トンネルを形成するために,少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,
前記少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルが,前記線形搬送トンネルから分離し,かつ前記線形搬送トンネルとは別個の別の線形搬送トンネルを形成するために,別の少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,
前記多関節搬送ロボットアームが,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれに配置され,前記多関節搬送ロボットアームの連結部が,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれによって形成される線形経路に沿って位置的に固定され,
各搬送トンネルは,それぞれの移送面を画定し,それぞれの移送面の高さは,前記垂直方向に積み重ねられて並列に配置された処理モジュールの上側の処理モジュールにより画定される上側の移送面の高さが,前記垂直方向に積み重ねられて並列に配置された処理モジュールの下側の処理モジュールにより画定される下側の移送面の高さに基づくように,前記垂直方向に積み重ねられて並列に配置された処理モジュールのそれぞれの処理モジュールの積み重ね高さによって画定される基板処理システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。(以下,「補正前の請求項1」という。)

「 【請求項1】
少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルと,多関節搬送ロボットアームとを備える基板処理システムであって,
前記少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルのそれぞれが,
前記少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルから分離し,かつ前記別の搬送トンネルとは別個であり,
垂直方向に積み重ねられた処理モジュールに連結するように構成された開口部の垂直方向の積み重ねを形成するように配置された複数の開口部を含み,
前記垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルの少なくとも1つは,線形搬送トンネルを形成するために,少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,
前記少なくとも2つの垂直方向に積み重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルが,前記線形搬送トンネルから分離し,かつ前記線形搬送トンネルとは別個の別の線形搬送トンネルを形成するために,別の少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,
前記多関節搬送ロボットアームが,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれに配置され,前記多関節搬送ロボットアームの連結部が,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれによって形成される線形経路に沿って位置的に固定され,
各搬送トンネルは,それぞれの移送面を画定し,それぞれの移送面の高さは,上側の移送面の高さが,下側の移送面の高さに基づくように,前記垂直方向に積み重ねられた処理モジュールのそれぞれの処理モジュールの積み重ね高さによって画定される基板処理システム。」

2 補正の目的
(1)本件補正は,概略,補正前の請求項1に記載された「処理モジュール」の配置と,「移送面」の高さを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする補正を含むものである。
そして,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

3 独立特許要件
(1)以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。

そこで,補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献1に記載されている技術的事項及び引用発明
ア 原査定の拒絶の理由において引用された,特開平8-340034号公報(以下,「引用文献1」という。)には,以下の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同じ。)

「【請求項1】 基体仕込み室と,複数の成膜室と,該仕込み室と成膜室間および/または該成膜室間に基体を搬送するための複数の基体搬送室とからなり,該基体搬送室の間に少なくとも一つの基体受渡し室を介在せしめてなる薄膜形成装置であって,一つの成膜室から他の成膜室への基体の搬送において,該複数の基体搬送室と該介在せる基体受渡し室を経由しうる構造としたことを特徴とする薄膜形成装置。
【請求項2】 複数の成膜室が,抵抗加熱蒸着,EB蒸着,スパッタ,プラズマCVD,熱CVD,光CVD,レーザーCVDから選択される薄膜形成装置と,エッチング装置またはレーザーを利用した表面処理装置と,からなることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。
【請求項3】 複数の基体搬送室が,ロボットを利用した搬送,トロッコ方式による搬送またはラックアンドピニョン方式による搬送の機能を有した構造をもつことを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。
【請求項4】 複数の基体受渡し室が,枚葉式のカセットをもつ構造および/または昇降機能を有する構造であることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。」

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,積層構造を有する薄膜を形成する装置に関する。さらに詳しくは,基体仕込み室と複数の成膜室と複数の基体搬送室と基体受渡し室からなる薄膜形成装置であって,一つの成膜室から他の成膜室への基体の搬送において,さらに他の成膜室を経ることなく,基体搬送室と基体受渡し室だけを経由して移送することのできる構造を有する薄膜形成装置に関する。」

「【0017】本発明の装置の基本構成を図3に示す。すなわち,この装置は,基体仕込み室21,2つの基体搬送室31,32,該基体搬送室31,32の間に介在せしめられた1つの基体受渡し室41と5つの成膜室51, 52, 53, 54, 55から構成されている。そして,この2つ基体搬送室は,上記したように基体受渡し室の両側に配置されており,各それらの成膜装置は,ゲートバルブ61,62,63,64,65,66,67,68によって隔てられている。
【0018】基体仕込み室とは,基体を成膜室に投入する前に先立ち,該基体を成膜室にある環境に近い状態にするためのいわば予備室である。薄膜形成装置の場合,大気中にある基体を,薄膜形成の条件に近い温度,および圧力状態にするため等に用いる。
【0019】また,基体搬送室とは,基体仕込み室と成膜室間や成膜室間に基体を搬送するための搬送装置を備えた室のことである。ここでいう搬送装置81とは,基体を,別の場所に移動させるために用いる装置である。代表的なものとしてロボットを挙げることができる。なお,全ての成膜装置は,この搬送室とゲートバルブを介して接続している。基体が一つの成膜室から他の成膜室へ搬送される場合は必ず基体搬送室を経由する。
【0020】基体受渡し室とは,本願発明の一つの部分であって,基体搬送室の間に介在位置せしめたもので,基体搬送室間における基体のやりとりを仲介するための機室を有するものである。すなわち,上述の基体搬送室には,基体を設置する場所はなく,基体搬送装置に乗せられた状態で,基体は基体搬送室内で存在する。従って,基体搬送室間にて基体の移動を行うためには,基体を設置するための中間室が必要となる。基体受渡し室は,まさにかかる役割をなさしめるものである。
【0021】例えば,その様子を図3を用いて説明する。基体仕込み室21に導入した基体1は,基体搬送室31に装着された搬送装置81によって,ゲートバルブ61および62を経て,成膜室51に搬送される。そこで,所定の膜厚が形成された基体1(もしくは,所定の操作を完了した基体1)をたとえば成膜室53に搬送するには,ゲートバルブ62と64を経由して,搬送装置81によってまず,基体受渡し室41に搬送される。さらに,基体1は基体搬送室32に設置された搬送装置82によって,ゲートバルブ65と66を介して基体受け渡し室32から成膜室53に搬送される。
【0022】このようにして,基体は,成膜室間の移動および成膜室と基体仕込み室間の搬送において,基体搬送室および該基体搬送室に介在する基体受渡し室を介して搬送されうるように構成されている。特に,一つの成膜室から他の成膜室に搬送される場合( もちろん基板仕込み室から成膜室への搬送においても適用可能であるが ),「一つの基体搬送室→基体受け渡し室→他の基体搬送室」なる工程を経由して該搬送が行われうるように構成されていることが本発明のひとつの特徴なのである。」

「【0028】さらに,基体受渡し室に基体を昇降できる機能を持たせることにより,3次元に配置した薄膜形成装置を構成することもできる。図9の側面図はその様子を示したものである。すなわち基体受渡し室41,42には,基体を昇降するための装置71が取り付けられており,この装置を用いて,基体1を下方に設置されている基体受渡し室41から,上方に設置されている基体受渡し室42に移動させることができる。このことにより,限られた設置面積の中で,幾層にも形成した薄膜を形成することが可能になるのである。」


「【図3】



「【図9】



イ ここで,引用文献1に記載されている事項を検討する。
(ア)引用文献1の請求項1,段落0017-0022及び図3,9から,引用文献1の「薄膜形成装置」は,「基体仕込み室」,「基体搬送室」,基体搬送室の間に介在せしめられた「基体受渡し室」及び「成膜室」から構成されており,それぞれが「ゲートバルブ」を介して接続されていると認められる。

(イ)引用文献1の段落0019から,引用文献1において「基体搬送室」は,基体仕込み室と成膜室間や成膜室間に基体を搬送するための「搬送装置」を備えており,該「搬送装置」として「ロボット」を挙げることができることが記載されている。
また,引用文献1の図3,図9を参照すると,「搬送装置」の「ロボット」が,「多関節搬送ロボットアーム」であることは明らかである。

(ウ)引用文献1の段落0019-0022及び図3から,引用文献1の「薄膜形成装置」において,「基体仕込み室」に導入した「基体」は,「基体搬送室」に装着された「搬送装置」によって,「ゲートバルブ」を経て,「成膜室」に搬送されるように,「成膜室」間の移動および「成膜室」と「基体仕込み室」間の搬送において,「基体搬送室」および該基体搬送室に介在する「基体受渡し室」を介して搬送されるように構成されている。

(エ)上記(ア)-(ウ)から,引用文献1において,「基体搬送室」,「基体受渡し室」が「ゲートバルブ」を介し接続された構造は,その内部空間に,「基体」を搬送する「トンネル」が形成されていることは明らかである。

(オ)引用文献1の段落0028及び図9から,引用文献1には,「基体受渡し室」に「基体を昇降するための装置」を取り付けることにより,3次元に配置した「薄膜形成装置」を構成することができる点が記載されている。
ここで,3次元に配置した「薄膜形成装置」の下方には,「基体仕込み室」,「基体搬送室」,「基体受渡し室」及び「成膜室」が備わり,また,上方には,「基体搬送室」,「基体受渡し室」及び「成膜室」が備わっていると認められる。
そして,3次元に配置した「薄膜形成装置」は,「基体搬送室」及び「基体受渡し室」が上下方向に距離を隔てて重ねられており,また,上下方向に距離を隔てて重ねられた「成膜室」が含まれていると認められる。

(カ)上記(エ)-(オ)から,引用文献1において,3次元に配置した「薄膜形成装置」は,上下方向に重ねられた「トンネル」を有していると認められる。
そして,引用文献1の図9から,それぞれの「トンネル」は,上下方向に
距離を隔てて重ねられていると認められる。

ウ 以上から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「 基体仕込み室,基体搬送室,基体搬送室の間に介在せしめられた基体受渡し室及び成膜室から構成されており,それぞれがゲートバルブを介して接続されている薄膜形成装置であって,
基体搬送室は,基体仕込み室と成膜室間や成膜室間に基体を搬送するための搬送装置を備えており,該搬送装置として多関節ロボットアームを挙げることができ,
基体仕込み室に導入した基体は,基体搬送室に装着された搬送装置によって,ゲートバルブを経て,成膜室に搬送されるように,成膜室間の移動および成膜室と基体仕込み室間の搬送において,基体搬送室および該基体搬送室に介在する基体受渡し室を介して搬送されるように構成されており,
基体搬送室,基体受渡し室がゲートバルブを介し接続された構造により,基体を搬送するトンネルが形成されており,
基体受渡し室に基体を昇降するための装置を取り付けることにより,3次元に配置した薄膜形成装置を構成することができ,
3次元に配置した薄膜形成装置の下方には,基体仕込み室,基体搬送室,基体受渡し室及び成膜室が備わり,また,上方には,基体搬送室,基体受渡し室及び成膜室が備わり,基体搬送室,基体受渡し室が上下方向に距離を隔てて重ねられており,また,上下方向に距離を隔てて重ねられた成膜室が含まれ,
トンネルは上下方向に距離を隔てて重ねられていること。」

エ また,引用文献1の図3において,「成膜室51」,「成膜室53」は並列に配置,また,「成膜室52」,「成膜室54」も並列に配置されていることは明らかであるから,引用文献1には,次の事項(以下,「引用文献1記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「 薄膜形成装置において,成膜室を並列に配置すること。」

(3)周知文献に記載されている技術的事項
ア 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特表2007-511104号公報(以下,「周知文献」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。

「【0004】
線形ツールの問題を回避しながら,クラスターツール固有の制限を克服することができる半導体製造装置に対する必要性が存在する。」

「【0161】
図41は,積層ロードロック4008,40004の先の原理が,2つの工程モジュール41006,41008を積層させることによって工程を通して如何に実施可能であるかを詳細に示す。このようなモジュールは半導体製造装置材料協会標準に適合しないが,このような構成は,装置の設置面積及び処理能力において相当な利益をもたらす。
【0162】
図42は,2つの処理平面4008,40004,4010,42004を備えているシステムを示し,ウェハは上部リンク40006又は底部リンク4004のどちらかを利用して,モジュール間を独立して移送される。随意的に,各処理平面は2つのロードロックを有し,上記した低下した真空引き速度の利点をもたらす。したがって4つの入力ロードロック,2つの処理平面,随意的に4つの出力ロードロックを備えているシステムがまた,付加的なロードロック及び処理平面を備えているシステムであるように,本明細書でもたらされる説明によって予期される。
【0163】
図43は,図42のシステムの平面図を示す。」

「【図41】



「【図42】



「【図43】



イ ここで,周知文献に記載されている事項を検討する。
(ア)周知文献の段落0162及び図41-43を参照すると,周知文献のの「半導体製造装置」は,「2つの工程モジュール41006,41008」を積層した「積層工程モジュール43002」を備えていると認められる。
ここで,特に図43を参照すると,周知文献の「半導体製造装置」は,「積層工程モジュール43002」が並列に配置されていると認められる。

ウ 以上から,周知文献には,次の事項が記載されているものと認められる。

「 2つの工程モジュールを積層した積層工程モジュール43002を備えるとともに,積層工程モジュール43002が並列に配置されている半導体製造装置。」

(4)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「3次元に配置した薄膜形成装置」において,「トンネル」は,上下方向に距離を隔てて重ねられているから,本件補正発明の,「少なくとも2つの垂直方向に」「重ねられた搬送トンネル」に対応する。
また,引用発明の「搬送装置」は,「該搬送装置として多関節搬送ロボットアームを挙げることができ」るから,本件補正発明とは,「多関節搬送ロボットアーム」である点で一致する。
そして,引用発明の「3次元に配置した薄膜形成装置」が,本件補正発明の「基板処理システム」に対応することは明らかである。

(イ)引用発明の,上下方向に距離を隔てて重ねられた「トンネル」において,上側の「トンネル」は下側の「トンネル」と,上下方向に距離を隔てているから,分離しており,かつ,別個であることは明らかである。
すると,引用発明の「トンネル」と,本件補正発明の「搬送トンネル」は,「前記少なくとも2つの垂直方向に」「重ねられた搬送トンネルのそれぞれが,前記少なくとも2つの垂直方向に」「重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルから分離し,かつ前記別の搬送トンネルとは別個であ」る点で一致する。

(ウ)引用発明の「上下方向に距離を隔てて重ねられた成膜室」と,本件補正発明の「処理モジュール」は,「垂直方向に」「重ねられた処理モジュール」である点で一致する。
また,引用発明の上下方向に距離を隔てて重ねられている「成膜室」と,本件補正発明の「処理モジュール」は,「各垂直方向に」「重ねられた処理モジュールが,垂直方向に」「重ねられて」「配置された処理モジュールのそれぞれの」「重ね高さを有するように,上下に」「重ねられて」「配置され」ている点で一致することは明らかである。

(エ)引用発明の「トンネル」は,基体を「ゲートバルブを経て,成膜室に搬送されるように,成膜室間の移動および成膜室と基体仕込み室間の搬送において,基体搬送室および該基体搬送室に介在する基体受渡し室を介して搬送されるように構成されて」おり,ここで,「基体搬送室」と「成膜室」との間の「ゲートバルブ」が設けられている部分には,「基体」を搬送するための何らかの「開口部」が設けられていることは明らかである。
そして,引用発明の「トンネル」は,上側の「トンネル」が上側の「成膜室」に,下側の「トンネル」が下側の「成膜室」に「ゲートバルブ」を解して接続されている。
すると,引用発明の「トンネル」と,本件補正発明の「搬送トンネル」は,「垂直方向に」「重ねられた処理モジュールに連結するように構成された開口部の垂直方向の」「重ねを形成するように配置された複数の開口部を含」む点で一致する。

(オ)引用発明の「トンネル」は,線形に伸びていると認められるから,一種の「線形トンネル」であると認められる。
また,引用発明の「トンネル」は,「基体搬送室」を含み,該「基体搬送室」は「基体受け渡し室」に接続されている。
ここで,引用発明の「基体搬送室」,「基体受け渡し室」が,それぞれ,本件補正発明の「搬送チャンバモジュール」,「搬送トンネルモジュール」に対応すると認められる。
すると,引用発明の上下方向に距離を隔てて重ねられた「トンネル」と,本件補正発明の「搬送トンネル」は,「前記垂直方向に」「重ねられた搬送トンネルの少なくとも1つは,線形搬送トンネルを形成するために,少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,前記少なくとも2つの垂直方向に」「重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルが,前記線形搬送トンネルから分離し,かつ前記線形搬送トンネルとは別個の別の線形搬送トンネルを形成するために,別の少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含」む点で一致する。

(カ)引用発明の「搬送装置」は,上下方向に重ねられたそれぞれの「トンネル」の「基体搬送室」に備えられており,ここで,「搬送装置」は「基体搬送室」に装着されているから,固定されていることは明らかである。
また,引用発明の「トンネル」は,基体を搬送する「経路」を有しており,「搬送装置」は,該「経路に沿って位置的に固定され」ていると認められる。
すると,引用発明の「搬送装置」と,本件補正発明の「多関節搬送ロボットアーム」は,「前記多関節搬送ロボットアームが,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれに配置され,前記多関節搬送ロボットアームが,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれによって形成される線形経路に沿って位置的に固定され」る点で一致する。

(キ)引用発明の上下方向に距離を隔てて重ねられた「トンネル」は,それぞれ,「基体」を「成膜室」へ搬送するものであるから,それぞれが「成膜室により画定される」「移送面を画定」していることは明らかである。
ここで,引用発明の「基体を昇降するための装置」は,一定の高さを有するものと認められるから,上側の「トンネル」の「移送面」の高さは,下側の「トンネル」の「移送面」の高さに基づくものと認められる。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で一応相違する。
<一致点>
「少なくとも2つの垂直方向に重ねられた搬送トンネルと,多関節搬送ロボットアームとを備える基板処理システムであって,
前記少なくとも2つの垂直方向に重ねられた搬送トンネルのそれぞれが,
前記少なくとも2つの垂直方向に重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルから分離し,かつ前記別の搬送トンネルとは別個であり,
垂直方向に重ねられた処理モジュールに連結するように構成された開口部の垂直方向の重ねを形成するように配置された複数の開口部を含み,
前記垂直方向に重ねられた処理モジュールは,各垂直方向に重ねられた処理モジュールが,垂直方向に重ねられて配置された処理モジュールのそれぞれの重ね高さを有するように,上下に重ねられて配置され,
前記垂直方向に重ねられた搬送トンネルの少なくとも1つは,線形搬送トンネルを形成するために,少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,
前記少なくとも2つの垂直方向に重ねられた搬送トンネルのうち別の搬送トンネルが,前記線形搬送トンネルから分離し,かつ前記線形搬送トンネルとは別個の別の線形搬送トンネルを形成するために,別の少なくとも1つの搬送トンネルモジュールに連結するように配置された少なくとも1つの搬送チャンバモジュールを含み,
前記多関節搬送ロボットアームが,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれに配置され,前記多関節搬送ロボットアームの連結部が,前記線形搬送トンネルおよび前記別の線形搬送トンネルのそれぞれによって形成される線形経路に沿って位置的に固定され,
各搬送トンネルは,それぞれの移送面を画定し,それぞれの移送面の高さは,前記垂直方向に重ねられて配置された処理モジュールの上側の処理モジュールにより画定される上側の移送面の高さが,前記垂直方向に重ねられて配置された処理モジュールの下側の処理モジュールにより画定される下側の移送面の高さに基づくように,前記垂直方向に重ねられて配置された処理モジュールのそれぞれの処理モジュールの重ね高さによって画定される基板処理システム。」

<相違点1>
「搬送トンネル」及び「処理モジュール」に関して,本件補正発明は「垂直方向に積み重ねられ」ているのに対し,引用発明は,そのように特定されているか明らかでない点。

<相違点2>
「処理モジュール」に関して,本件補正発明は「並列に配置」されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

(5)当審の判断
ア 相違点1について
相違点1について検討する。
本件補正発明における「垂直方向に積み重ねられ」について検討する。
本願明細書の段落0259には,「ここで図109を参照すると,任意の適切なサイズのウェハを処理する線形処理ツール10900の一部が,ある実施形態の態様によって示されている。?中略?垂直方向に積み重ねられた搬送トンネル/チャンバ10910,10911は,(例えば線形の搬送チャンバまたは線形に拡張された搬送チャンバを形成する)モジュール式真空チャンバ4012によって形成された移送チャンバに関して上述の搬送トンネル/チャンバと略同様であってもよく,1つまたは2つ以上のモジュール4012移送トンネル/チャンバ間に置かれたバッファステーション4010を備えてもよい。」と記載されているから,図109において,「搬送トンネル/チャンバ10910,10911」は「垂直方向に積み重ねられ」ていると認められる。
ここで,図109を参照すると,「搬送トンネル/チャンバ10910,10911」は,垂直方向で重なっているが,「搬送トンネル/チャンバ10910,10911」は互いに接触しておらず,一定の間隔があるものと認められる。
すると,本件補正発明において「垂直方向に積み重ねられ」との特定事項は,「垂直方向に重ねられ」ることを意味しており,互いに接触しておらず,一定の間隔を有する態様が含まれると認められる。
そして,引用発明の「成膜室」も「トンネル」も,「上下方向に距離を隔てて重ねられ」ていることから,両者は「垂直方向に積み重ねられ」ている点で差異はない。
以上から,相違点1は実質的な相違点ではない。
また,仮に,本件補正発明において「垂直方向に積み重ねられ」との特定事項が,垂直方向に互いに接触するように重ねられる態様であるとしても,「処理モジュール」を積層,すなわち,垂直方向に積み重ねることも,周知文献に記載されているように当該技術分野における周知技術にすぎず,引用発明に該周知技術を適用して,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点2について
相違点2について検討する。
「処理モジュール」の配置をどのようするのかは,当業者が実施に当たり必要に応じて決定すべき設計的事項と認められるところ,「処理モジュール」を並列に配置することは,例えば引用文献1記載事項や周知文献に記載されているように当該技術分野における周知技術にすぎず,引用発明に該周知技術を適用して,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

(6)小括
上記で検討したごとく,相違点1-2に係る構成は当業者が容易に想到し得たものである。
そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定のむすび
以上から,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和 2年 7月 2日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記「第2」の「1(2)」に,補正前の請求項1として記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,以下のとおりである。
この出願の請求項1-16に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された引用文献1-4に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1 特開平8-340034号公報
引用文献2 特表2007-511104号公報
引用文献3 特開2004-140406号公報
引用文献4 特開2009-147236号公報

3 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1は,前記「第2」の「3(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記「第2」の「3」で検討した本件補正発明に関する限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2」の「3」に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記限定事項を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2021-04-14 
結審通知日 2021-04-20 
審決日 2021-05-12 
出願番号 特願2018-122273(P2018-122273)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮久保 博幸井上 和俊  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 小田 浩
▲吉▼澤 雅博
発明の名称 基板処理システム  
代理人 特許業務法人朝日奈特許事務所  

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