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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01H
管理番号 1378513
審判番号 不服2020-17527  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-22 
確定日 2021-10-19 
事件の表示 特願2019- 78571「テストリード」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月29日出願公開、特開2020-177788、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年4月17日の出願であって、令和2年3月17日付けの拒絶理由の通知に対し、令和2年5月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和2年9月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和2年12月22日に審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年9月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし3に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開平11-96889号公報
2.実願昭49-146760号(実開昭51-72137号)のマイクロフィルム
3.実願昭57-160647号(実開昭59-63955号)のマイクロフィルム

第3 本願発明
本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和2年5月25日に提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
電気回路の試験の際に回路の二次側を短絡させるためのテストリードにおいて、
長手方向の両端に挿通孔を有する筒状のケースと、
上記ケース内において該ケースの長手方向に並んで配置されるヒューズ及び発光素子を有し、該ヒューズが溶断した状態で印加した電圧によって該発光素子を発光させる検知回路と、
上記検知回路が有する一方及び他方の端子から、それぞれ上記挿通孔を通って上記ケースの外方へ延びるリード線と、
上記リード線の先端に接続されたクリップと、を備え、
上記ケースは、上記検知回路を収容する部分が、上記ヒューズを視認可能にするとともに、上記発光素子の光を透過させる光透過部と、長手方向の両端に、先端側へ向けて窄むテーパー部と、該テーパー部の先端に上記挿通孔を有し、
上記検知回路の一方の端子は、上記ケースの一方の上記テーパー部に収容され、
上記検知回路の他方の端子は、上記ケースの他方の上記テーパー部に収容され、
上記ヒューズ及び上記発光素子は、上記ケースにおける上記一方の端子と上記他方の端子との間に収容され、
上記ヒューズ、上記発光素子、及び上記挿通孔は、略一直線上にあることを特徴とするテストリード。
【請求項2】
上記ケースは、円筒状であり、径方向に分割された第1ケース構成部材及び第2ケース構成部材を有し、
一方のケース構成部材が透明な樹脂材で構成され、他方のケース構成部材が着色された樹脂材で構成されることを特徴とする請求項1に記載のテストリード。
【請求項3】
上記挿通孔は、上記ケースと略同軸上にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のテストリード。」

第4 引用文献に記載の事項及び発明
1 引用文献1に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数個の配線用ヒューズを収納したヒューズホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】制御回路などの試験や仮設電源回路で、電路の保護として使用されているヒューズ付きクッリプもしくはヒューズ付きリード線は、制御回路などの試験回路、あるいは仮設電源回路にあった定格の配線用ヒューズに、その都度交換して使用している。(ヒューズ付きクリップもしくはヒューズ付きリード線には、配線用ヒューズが1個付いている。)」
「【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明のヒューズホルダの実施の形態を図を参照して説明する。図1はヒューズホルダの構成図であり、ヒューズホルダ内に複数個の配線用ヒューズを収納し、前記配線用ヒューズ3A?3Dの一端側に配線用ヒューズ3A?3Dと同数の個別固定接点2と個別固定接点2の上部には、個別固定接点2をスライドまたは回転式により任意の配線用ヒューズ3A?3Dを選択できるように可動式接点1を設けると共に、配線用ヒューズ3A?3Dのもう一端側には各配線用ヒューズ3A?3Dの共通導体5を設ける。さらに共通導体5の下部には圧力スプリング6を取り付けることにより、ワンタッチで2分割する事が出来るヒューズホルダ本体に収納する配線用ヒューズ3A?3Dと分割されたヒューズホルダ本体を押さえつけることで、各配線用ヒューズ3A?3Dとヒューズホルダとを固定することができる。ヒューズホルダ内配線用ヒューズ3A?3Dの両端に備え付けてある可動接点1と共通導体5からは、リード線7を経てクリップ8まで接続されていることによりヒューズホルダを接続しようとする制御回路の試験回路や仮設電源回路に容易に接続でき、なおかつ、ヒューズホルダを接続したままで配線用ヒューズ3A?3Dの切り替えが容易にできる。
【0008】図2は、ヒューズホルダの断面図である。ヒューズホルダ内に複数個収納した各配線用ヒューズ3A?3Dの仕切り用として、各配線用ヒューズ3A?3Dを取り囲むように反射板9を取り付けることにより、各配線用ヒューズ3A?3Dのヒューズリンク4が反射板9に映るために、配線用ヒューズの各ヒューズリンク4の溶断の有無もヒューズホルダが制御回路の試験回路や仮設電源回路に接続されたままでも容易に確認することができる。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のヒューズホルダにおいては、複数個の配線用ヒューズを一つの容器に収納することにより、必要な定格の配線用ヒューズを容易に切り替えて選択する事ができる。また、各配線用ヒューズ間に反射板を取り付けることにより、ヒューズリンクの溶断の有無が容易に確認でき、取り扱いを効率よく行うことができる。」
「【図1】


「【図2】



2 引用文献1に記載の技術的事項
上記1の記載より、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているといえる。
・ヒューズ付きリード線は、制御回路の試験回路に用いられるものであって、ヒューズホルダ内に4個の配線用ヒューズ3A?3Dを周方向に並べて配置し、各配線用ヒューズ3A?3Dを取り囲む仕切り用の反射板9を取り付けることで、反射板9に映る各配線用ヒューズ3A?3Dの各ヒューズリンク4の溶断の有無を確認できる(段落【0002】、【0008】及び【図2】)。
・ヒューズホルダの一端側に各配線用ヒューズ3A?3Dと同数の個別固定接点2を有し、個別固定接点2をスライド又は回転式により任意のヒューズ3A?3Dを選択できるように可動式接点1を設け、もう一端側に各配線用ヒューズ3A?3Dの共通導体5を設ける(段落【0007】及び【図1】)。
・ヒューズホルダ内配線用ヒューズ3A?3Dの両端に備え付けてある可動接点1と共通導体5からは、それぞれヒューズホルダ外方へ延びるリード線7を経てクリップ8まで接続されており、一端側からリード線7、可動式接点1、個別固定接点2、周方向に並べた配線用ヒューズ3A?3D、共通導体5、リード線7の順に並べられている(段落【0007】及び【図1】)。
・ヒューズホルダは、長手方向の両端にリード線7の挿通孔を有するものであることが看取される(【図1】)。

3 引用文献1に記載の発明
上記2の引用文献1に記載の技術的事項より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
[引用発明]
「制御回路の試験回路に用いられるヒューズ付きリード線において、
長手方向の両端に挿通孔を有するヒューズホルダと、
ヒューズホルダ内の一端側から可動式接点1、個別固定接点2、周方向に並べた配線用ヒューズ3A?3D、共通導体5の順に並べられており、各配線用ヒューズ3A?3Dを取り囲む仕切り用の反射板9を取り付けることで、反射板9に映る配線用ヒューズ3A?3Dのヒューズリンク4が溶断したことを確認できるものであり、
可動式接点1と共通導体5から、それぞれリード線7が上記挿通孔を通ってヒューズホルダ外方へ延びるとともに、上記リード線7に接続されたクリップ8と、を備えるヒューズ付きリード線。」

4 引用文献2に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
(1)明細書第1ページ第10行ないし第3ページ第10行
「本案は電気機械器具などが故障して過大電流が流れた際、溶断して自動的に回路をしや断するヒユーズ装置に係り、特に電気ルミネセンスからなる発光表示素子をヒユーズとは電気的に並列になるよう具備せしめることによつて、前記ヒユーズが溶断しているか否かを的確に把握できるようにしたヒユーズ装置に関するものである。
以下の図面の実施例について説明する。
図面においてFは筒形ヒユーズを示し、ガラス製の円筒1と、該円筒1内に消弧剤3と共に挿填された亜鉛、錫等の可溶片2と、該可溶片2と接合する電極片5,5を外端面に具え前記円筒1の両端開口部に嵌着した一対の端蓋4,4とに構成されている。Hは上記筒形ヒユーズFを脱着自在に支持し得るよう本体6と蓋体7とに分割してなる筒状のホルダを示し、本体6は内面の中央に凹部6aと、その両端部から上方に突設した各々端面となる半円弧状の側壁6b,6bを有し、かつ一端部が前記側壁6b,6bを貫通して内面に露出し他端部が外方に突出する一対の取付端子8,8を一体に固定しているが、この本体6の凹部6aに上述したヒユーズFを収めると共にヒユーズの両端に突出する一対の電極片5,5を取付端子8,8の一端部の露出面に当接せしめ、一対の小ねじ9,9によつて両者を接続した後、本体6の上方開口部を密閉するよう蓋体7を被せて完成品とするもので、ここまでは公知のものと何んら変わりない。
次にEは上記ホルダHを構成する蓋体7の肉厚部内に埋設した電気ルミネセンスよりなる発光表示素子を示し、この発光表示素子Eは上記筒形ヒユーズFに対して電気的に並列になるよう、各々上下電極部から接触導電片11,11を引出し、蓋体7を本体6に被せた際に前記一対の導電片11,11がヒユーズFの電極片5,5上に圧接する如く構成してなる。この場合、蓋体7に埋設した表示素子Eが外部から見えるように前記蓋体7の全部又は一部を透明性のガラス、プラスチツク等で成形する。」
(2)明細書第5ページ第1行ないし第15行
「以上の通り本案のヒユーズ装置は、ヒユーズを支持するホルダに電気ルミネセンスよりなる発光表示素子を具備せしめ、これを前記ヒユーズと電気的並列に挿入したものであるから、電気機械器具に何んらかの故障を生じ過大電流が流れてヒユーズが溶断したときには発光素子がただちに冷光を発つためヒユーズの溶解が的確に把握できるが、特に配電盤の分岐回路、三相電動機の作動回路などに複数個のヒユーズ装置が並列して用いられる場合、従来のものではどのヒユーズが飛んだのか、その確認が非常に面倒であつたのに対し、本案は前述の通りヒユーズが溶断すると同時に発光する表示素子を具備せしめたから、溶断したヒユーズの確認及び交換が極めて容易になし得るなど大きな効果がある。」
(3)第1図




5 引用文献3に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)明細書第1ページ下から第4行ないし第2ページ第1行
「本考案は各種の電気回路内に挿入されるヒユーズを装填した筒状のヒユーズホルダに於て、装填されているヒユーズが切れたときに発光して、ヒユーズ切れを視覚的に検知できるようにしたヒユーズホルダに関する。」
(2)明細書第5ページ第7行ないし第6ページ第12行
「而して、上記LED素子3、抵抗4及び導線5a,5b並びに接片7は、ヒユーズホルダが形成するヒユーズ回路に対し並列に接続される発光回路を形成し、ヒユーズが切れたときのみ前記LED素子3が発光するヒユーズチエツク回路として機能する。
次に、本考案ヒユーズホルダは第2図に示すように形成してもよい。
第2図に示すものは、それぞれ底部にヒユーズ受11a,21aを有する合成樹脂等の不導体で製した筒状の本体11と蓋体21とを、両者の結合部31で結合し、内部にヒユーズ管41を保持するようにした筒状のヒユーズホルダである。尚、11b,21bは夫々のヒユーズ受11a,21aから外部に導出されたリード線、41aはヒユーズ管両端に設けられた端子、41bはヒユーズである。
而して、この実施例では本体11と蓋体21とに夫々に抵抗4及びLED素子3とを埋設し、両部材3,4の一端をそれぞれ前記リード線21b,11bに接続すると共に、他端側のリード線を、蓋体21と本体11の結合部31における開口縁まで延設し、この部分に設けた接片51,61に接続してある。尚、接片51,61は本体11及び蓋体21の開口部内縁において、両者11,21を結合したとき接触するように形成してある。」
(3)第2図




第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「制御回路の試験回路に用いられる」「ヒューズ付きリード線」は、本願発明1の「電気回路の試験の際に回路の二次側を短絡させるための」「テストリード」との関係において、「回路の試験に用いられる」「テストリード」である限りにおいて共通する。
引用発明の「長手方向の両端に挿通孔を有するヒューズホルダ」は、本願発明1の「長手方向の両端に挿通孔を有する筒状のケース」に相当する。また、引用発明の「ヒューズホルダ内の」「配線用ヒューズ3A?3D」は、本願発明1の「上記ケース内」に「配置される」「ヒューズ」に相当する。
引用発明の「可動式接点1」及び「共通導体5」は、本願発明1の「一方及び他方の端子」に相当する。
引用発明の「上記挿通孔を通ってヒューズホルダ外方へ延びる」「リード線7」は、本願発明1の「上記挿通孔を通って上記ケースの外方へ延びるリード線」に相当する。また、引用発明の「上記リード線7に接続されたクリップ8」は、本願発明1の「上記リード線の先端に接続されたクリップ」に相当する。
引用発明において、「反射板9に映る配線用ヒューズ3A?3Dのヒューズリンク4が溶断したことを確認できるものであ」ることは、ヒューズホルダが光を透過する部分を有することであるので、本願発明1において、「ケースは」「上記ヒューズを視認可能にする」「光透過部」「を有」することに相当する。
引用発明において、「ヒューズホルダの一端側から可動式接点1、個別固定接点2、周方向に並べた配線用ヒューズ3A?3D、共通導体5の順に並べられて」いることは、本願発明1において、「上記ヒューズ」は、「上記ケースにおける上記一方の端子と上記他方の端子との間に収容され」ていることに相当する。
以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。
[一致点]
「回路の試験に用いられるテストリードにおいて、
長手方向の両端に挿通孔を有する筒状のケースと、
上記ケース内に配置されるヒューズを有し、
一方及び他方の端子から、それぞれ上記挿通孔を通って上記ケースの外方へ延びるリード線と、
上記リード線の先端に接続されたクリップと、を備え、
上記ケースは、上記ヒューズを視認可能にする光透過部を有し、
上記ヒューズは、上記ケースにおける上記一方の端子と上記他方の端子との間に収容されているテストリード。」
[相違点1]
本願発明1のテストリードは、「電気回路の試験の際に回路の二次側を短絡させるための」ものであるのに対し、引用発明のヒューズ付きリード線は、「制御回路の試験回路に用いられる」ものであって、回路が電気回路に該当するものか不明であり、また、回路の二次側を短絡させるものであるか不明である点。
[相違点2]
本願発明1は、「上記ケース内において該ケースの長手方向に並んで配置されるヒューズ及び発光素子を有し、該ヒューズが溶断した状態で印加した電圧によって該発光素子を発光させる検知回路と、上記検知回路が」「一方及び他方の端子」を有しているのに対し、引用発明は、ヒューズホルダに発光素子及び検知回路を有するものではなく、端子に相当する可動式接点1及び共通導体5が検知回路に接続されたものではない点。
[相違点3]
本願発明1は、「上記ケースは、上記検知回路を収容する部分が、上記ヒューズを視認可能にするとともに、上記発光素子の光を透過させる光透過部」を有するものであるのに対し、引用発明は、「ヒューズホルダ」が「反射板9に映る配線用ヒューズ3A?3Dのヒューズリンク4が溶断したことを確認できるものであ」るが、発光素子の光を透過させるものではない点。
[相違点4]
本願発明1は、「上記ケースは、」「長手方向の両端に、先端側へ向けて窄むテーパー部と、該テーパー部の先端に上記挿通孔を有し、上記検知回路の一方の端子は、上記ケースの一方の上記テーパー部に収容され、上記検知回路の他方の端子は、上記ケースの他方の上記テーパー部に収容され」ているものであるのに対し、引用発明のヒューズホルダは該構成を備えていない点。
[相違点5]
本願発明1は、「上記ヒューズ及び上記発光素子は、上記ケースにおける上記一方の端子と上記他方の端子との間に収容され、上記ヒューズ、上記発光素子、及び上記挿通孔は、略一直線上にある」のに対し、引用発明は、該構成を備えていない点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点2及び5について検討する。
ア 相違点2
まず、上記相違点2について検討する。
引用文献2には、上記摘記箇所の記載及び図面から、ヒユーズ装置において、ホルダHの本体6の凹部6aに収めたヒユーズFに対して、電気的に並列になるように発光表示素子EをホルダHを構成する蓋体7に埋設配置し、蓋体7を本体6に被せた際に、発光表示素子Eの一対の接触導電片11,11がヒユーズFの一対の電極片5,5に圧接し、前記一対の電極片5,5はヒユーズ装置両端の取付端子8,8に固定されており、ヒユーズFが溶断した際には、ただちに発光表示素子Eが発光すること(以下、「引用文献2に記載の技術的事項1」という。)が記載されている。
上記引用文献2に記載の技術的事項1における「ヒユーズF」、「発光表示素子E」及び「ヒユーズ装置両端の取付端子8,8」は、それぞれ本願発明1の「ヒューズ」、「発光素子」及び「一方及び他方の端子」に相当する。また、上記引用文献2に記載の技術的事項1における「ヒユーズFが溶断した際には、ただちに発光表示素子Eが発光すること」は、ヒユーズFと発光表示素子Eが電気的に並列になるように接続されているから、本願発明1における「該ヒューズが溶断した状態で印加した電圧によって該発光素子を発光させる」ことに相当する。
そして、引用発明と引用文献2に記載の技術的事項1とは、ともにヒューズ装置において、ヒューズの溶断を視覚的に検知することを目的とする点で共通するから、引用発明に引用文献2に記載の技術的事項1を適用することで、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点5
次に、上記相違点5について検討する。
引用文献2には、上記摘記箇所の記載及び図面から、ヒユーズ装置において、筒形ヒユーズFと一対の取付端子8,8とを長手方向として略一直線上に配置されるとともに、発光表示素子Eは上記筒形ヒユーズFと長手方向略同じ位置において並んで配置され、上記長手方向に略垂直な短手方向にずれていること(以下、「引用文献2に記載の技術的事項2」という。)が記載されている。
引用発明に上記引用文献2に記載の技術的事項1を適用することは、上記引用文献2に記載の技術的事項2を考慮すると、引用発明の配線用ヒューズ3A?3Dに対して長手方向と略垂直な短手方向外側の位置、すなわち、引用文献1の【図2】におけるヒューズホルダを構成する外周円の径方向外側の位置に発光表示素子Eを設けることであると理解できる。
引用文献1は、【図2】において配線用ヒューズ3A?3Dをヒューズホルダ内で周方向に配置していることからも分かるように、ヒューズホルダの径を小さくする技術思想を開示しているとはいえない。また、引用文献2においても、上記引用文献2に記載の技術的事項2のとおり、ヒユーズFと発光表示素子Eとを長手方向略同じ位置に並べて配置しているものであることから、ホルダHの径を小さくする技術思想を開示しているとはいえない。
ここで、引用文献3には、上記摘記箇所の記載及び図面から、本体11と蓋体21とからなり、内部にヒユーズ管41を保持する筒状のヒユーズホルダにおいて、ヒユーズ管41と電気的に並列に接続される抵抗4及びLED素子3とを有し、ヒユーズ管41とLED素子3とが長手方向にずれた位置であり、かつ、リード線11b,21bを結ぶ直線からずれた位置に配置されていること(以下、「引用文献3に記載の技術的事項」という。)が記載されている。上記引用文献3に記載の技術的事項は、筒状のヒユーズホルダにおいて、「発光素子」に相当する「LED素子3」をヒユーズ管41と電気的に並列に接続しつつ、長手方向にずれた位置に配置するものであるが、リード線11b,21bを結ぶ直線からずれた位置に配置するものであることから、少なくとも、「上記発光素子、及び上記挿通孔は、略一直線上にある」ことを満たすものではなく、また、これらを略一直線上に配置することを示唆するものでもない。

そうすると、引用発明、引用文献2に記載の技術的事項1及び2、並びに、引用文献3に記載の技術的事項に基いて、相違点5に係る構成とすることは、当業者であっても容易に行い得るものということはできない。
さらに、本願発明1は、該相違点5に係る構成よって、本願明細書の段落【0015】及び【0046】に記載されたように、ケースの径を小さくすることができ、そのために作業者がテストリードを扱いやすく、作業性が向上するという本願発明1特有の作用効果を有するものである。
ウ 小括
したがって、相違点1、2及び4について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載の技術的事項、並びに、引用文献3に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、いずれも本願発明1の発明特定事項を全て含むものであり、上記相違点1ないし5に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載の技術的事項1及び2、並びに、引用文献3に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の技術的事項1及び2、並びに、引用文献3に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-29 
出願番号 特願2019-78571(P2019-78571)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 杉山 健一
尾崎 和寛
発明の名称 テストリード  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
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