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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1378584 |
審判番号 | 不服2020-7233 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-27 |
確定日 | 2021-10-26 |
事件の表示 | 特願2017-542446「状況環境情報を提供するためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 1日国際公開、WO2016/137705、平成30年 3月29日国内公表、特表2018-508893、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年2月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年2月27日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年3月28日に手続補正がされ、平成31年1月25日付けで拒絶理由が通知され、令和元年8月1日に意見書が提出され、令和2年1月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年5月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年4月27日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和3年8月6日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年1月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(新規性) 本願請求項1-4、6-7、9-11、14-15に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性) 本願請求項1-15に係る発明は、以下の引用文献A-Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.国際公開第2011/108198号 B.特開2013-092992号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.(明確性) この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.(進歩性) 本願請求項1-15に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開2014-6776号公報(当審において新たに引用した文献) 2.特開平10-40481号公報(当審において新たに引用した文献) 第4 本願発明 本願請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、令和3年8月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 状況環境情報を提供する方法であって、 環境内の複数のオブジェクトを検出することと、 前記環境内の前記複数のオブジェクトの少なくとも一部を識別することと、 前記複数のオブジェクトに対するユーザの位置を決定することと、 前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定することと、 前記アラートの所望の数が前記環境内で検出されたオブジェクトの数よりも少ないと判別したことに応答して、前記ユーザに対する前記複数のオブジェクトのサブセットの位置に関連するデータを提供することと、 を含む、方法。」 なお、本願発明2-15の概要は以下のとおりである。 本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明7、14は、それぞれ本願発明1に対応するシステム、デバイスの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 本願発明8-13、15は、それぞれ、本願発明7、14を減縮した発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 ア 段落【0001】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、車両に搭載されたカメラにより車両周辺に存在する対象物を監視する車両周辺監視装置に関する。」 イ 段落【0027】-【0045】 「【0027】 次に、図3に示したフローチャートに従って、車両周辺監視装置のコントローラ10による車両1の前方に存在する対象物に対する注意喚起処理について説明する。コントローラ10は、所定の制御サイクル毎に図3のフローチャートを実行して、車両1 の前方に存在する対象物を認識し、必要に応じて運転者に対する注意喚起を行う。 【0028】 図3のSTEP1は撮像画像取得部11による処理である。撮像画像取得部11は、左カメラ21及び右カメラ22から出力される映像信号をデジタル信号に変換し、左カメラ21及び右カメラ22の撮像画像(グレースケール画像)として画像メモリに保持する。 【0029】 続くSTEP2は対象物検知部12による処理である。対象物検知部12は、右カメラ22の撮像画像を基準画像とし、そのグレースケール画像の各画素について、輝度が所定の閾値以上である画素を「1」(白)とし、輝度が閾値よりも小さい画素を「0」(黒)とする2値化処理を行って2値画像を取得する。そして、対象物検知部12は、2値画像中の白の各領域のランレングスデータを算出し、ラベリング処理等を行って対象物の画像部分(探索画像)を抽出する。 【0030】 続くSTEP3は距離算出部13による処理である。距離算出部13は、左カメラ21の撮像画像から、探索画像に対応する画像(対応画像)を抽出する。そして、探索画像と対応画像の視差から、車両1と対象物間の距離を算出する。 ・・・(中略)・・・ 【0035】 また、STEP8は物体種別判定部16による処理である。物体種別判定部16は、対象物の種別が歩行者であるか否かを、対象物の画像部分の高さ、幅、存在高さ、輝度平均値、輝度分散等に基づいて判定する。より具体的には、前掲の特開2003-284057号公報に記載された手法等を用いて、歩行者であるか否かを判定することができる。 【0036】 次のSTEP9?STEP10、及びSTEP20は、表示制御部19による処理である。表示制御部19は、物体種別判定部16により歩行者と判定された対象物について、運転者に対する注意喚起処理を行う。表示制御部19は、STEP9で、警報領域内に歩行者が存在し、且つ、検出された歩行者が表示上限数(例えば3に設定される)以上であるかという条件が成立しているか否かを判断する。 【0037】 なお、表示上限数を、車速センサ32により検出される車両1の走行速度に応じて変更してよい。例えば、車両1の走行速度が低いほど表示上限数を増加させ、車両1が停止しているときには、表示上限数を設定せずに、歩行者と判定された全ての対象物の画像部分について後述する検知枠を表示するようにしてもよい。 【0038】 ここで、警報領域内に歩行者が存在する場合とは、図1を参照して、接近判定領域AR1内に歩行者が存在するか、或いは進入判定領域AR2,3から接近判定領域AR1に向かって進んでいる歩行者(移動ベクトルにより判断される)が存在している場合である。 【0039】 そして、STEP9の条件が成立していないとき(STEP9のNO)はSTEP10に進み、表示制御部19は、図4(b),図5(b)に示したように、左カメラ21又は右カメラ22の撮像画像(グレースケール画像)に、検知された全ての歩行者の画像部分について、画像部分を囲む検知枠(本発明の対象物位置表示部に相当する)を重畳して、表示器42aに表示する。 【0040】 なお、図5(a)に示したように警報領域内に歩行者が存在しない場合に、表示上限数よりも多く設定された制限個数以下に絞って、検知された歩行者の画像部分に検知枠を表示するようにしてもよい。また、本発明の対象物位置表示部としては、検知枠の他に、歩行者を示すアイコン(例えば、歩行者の擬似画像)等を採用してもよい。 【0041】 図4(b)は、図4(a)に示したように、接近判定領域AR1内に存在する歩行者P5の画像部分50と、進入判定領域AR2から接近判定領域AR1に進んでいる歩行者P4の画像部分51が検知された場合の表示器42aの表示画面Im1を示している。 【0042】 図4(b)の表示画面Im1において、表示制御部19は、歩行者の画像部分50の周囲に検知枠50aを表示すると共に、歩行者の画像部分51の周囲に検知枠51aを表示する。また、表示制御部19は、スピーカ41から警報ブザー音を出力して、車両1に歩行者P4,P5が接近していることを運転者に報知する。 【0043】 一方、図5(b)は、図5(a)に示したように、接近判定領域AR1及び進入判定領域AR2,AR3の外側に存在する歩行者P6の画像部分53と、進入判定領域AR3内を車両の進行方向(Z軸方向)と平行に進んでいて、車両1と接触する可能性が低い歩行者P7の画像部分52が検知された場合の、表示器42aの表示画面Im2を示している。 【0044】 図5(b)の表示画面Im2において、表示制御部19は、歩行者の画像部分52の周囲に検知枠52aを表示すると共に、歩行者の画像部分53の周囲に検知枠53aを表示する。また、この場合は、注意喚起の緊急性が図4(a)の場合よりも低いので、表示制御部19は、スピーカ41からの警報ブザー音の出力は行わない。 【0045】 また、STEP9の条件が成立している場合はSTEP20に分岐し、表示制御部19は、検知枠の表示個数を表示上限数以下に制限する。制限の仕方としては、接近判定領域AR1又は進入判定領域AR2,AR3内に存在する歩行者を、これらの領域の外側に存在する歩行者よりも優先して、対応する画像部分に検知枠を表示する。また、接近判定領域AR1又は進入判定領域AR2,AR3内に存在する歩行者同士、及び、これらの判定領域の外側に存在する歩行者同士については、車両1からの距離が短い方を優先して、対応する画像部分に検知枠を表示する。」 ウ 段落【0055】 「【0055】 また、ナビゲーション装置42からの地図情報により、車両1の走行エリアを認識し、両1が都市部を走行している時と、車両1が郊外を走行している時とで、警報領域の広狭を切替えるようにしてもよい。」 (2) 引用発明 よって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両に搭載されたカメラにより車両周辺に存在する対象物を監視する車両周辺監視装置のコントローラ10による車両1の前方に存在する対象物に対する注意喚起処理において、 STEP2で、対象物検知部12は、2値画像中の白の各領域のランレングスデータを算出し、ラベリング処理等を行って対象物の画像部分(探索画像)を抽出し、 STEP3で、距離算出部13は、左カメラ21の撮像画像から、探索画像に対応する画像(対応画像)を抽出して、探索画像と対応画像の視差から、車両1と対象物間の距離を算出し、 STEP8で、物体種別判定部16は、対象物の種別が歩行者であるか否かを、対象物の画像部分の高さ、幅、存在高さ、輝度平均値、輝度分散等に基づいて判定し、 STEP9で、表示制御部19は、警報領域内に歩行者が存在し、且つ、検出された歩行者が表示上限数(例えば3に設定される)以上であるかという条件が成立しているか否かを判断し、 なお、表示上限数を、車速センサ32により検出される車両1の走行速度に応じて変更してよく、例えば、車両1の走行速度が低いほど表示上限数を増加させ、 STEP9の条件が成立していないときは、STEP10に進み、左カメラ21又は右カメラ22の撮像画像(グレースケール画像)に、検知された全ての歩行者の画像部分について、画像部分を囲む検知枠(対象物位置表示部)を重畳して、表示器42aに表示し、 なお、接近判定領域AR1内に存在する歩行者P5の画像部分50と、進入判定領域AR2から接近判定領域AR1に進んでいる歩行者P4の画像部分51が検知された場合、表示制御部19は、スピーカ41から警報ブザー音を出力して、車両1に歩行者P4,P5が接近していることを運転者に報知し、 一方、接近判定領域AR1及び進入判定領域AR2,AR3の外側に存在する歩行者P6の画像部分53と、進入判定領域AR3内を車両の進行方向(Z軸方向)と平行に進んでいて、車両1と接触する可能性が低い歩行者P7の画像部分52が検知された場合は、注意喚起の緊急性が低いので、表示制御部19は、スピーカ41からの警報ブザー音の出力は行わず、 STEP9の条件が成立している場合は、STEP20に分岐し、表示制御部19は、検知枠の表示個数を表示上限数以下に制限し、制限の仕方としては、接近判定領域AR1又は進入判定領域AR2,AR3内に存在する歩行者を、これらの領域の外側に存在する歩行者よりも優先して、対応する画像部分に検知枠を表示し、また、接近判定領域AR1又は進入判定領域AR2,AR3内に存在する歩行者同士、及び、これらの判定領域の外側に存在する歩行者同士については、車両1からの距離が短い方を優先して、対応する画像部分に検知枠を表示し、 ナビゲーション装置42からの地図情報により、車両1の走行エリアを認識し、車両1が都市部を走行している時と、車両1が郊外を走行している時とで、警報領域の広狭を切替える、方法。」 2 引用文献2 当審拒絶理由に引用した引用文献2には、図面とともに、段落【0044】に、以下の記載がある。 「以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態1の効果が得られることに加え、検出対象者1自らが好みに応じて警報の種類を選択することが可能となり、より検出対照者1に適合した警報を行うことが可能となる。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 ア.引用発明の「車両に搭載されたカメラにより車両周辺に存在する対象物を監視する車両周辺監視装置のコントローラ10による車両1の前方に存在する対象物に対する注意喚起処理」に関する「方法」は、本願発明1の「状況環境情報を提供する方法」に相当する。 イ.引用発明の「STEP2で、対象物検知部12は、2値画像中の白の各領域のランレングスデータを算出し、ラベリング処理等を行って対象物の画像部分(探索画像)を抽出する」ことは、本願発明1の「環境内の複数のオブジェクトを検出すること」に相当する。 ウ.引用発明の「STEP8で、物体種別判定部16は、対象物の種別が歩行者であるか否かを、対象物の画像部分の高さ、幅、存在高さ、輝度平均値、輝度分散等に基づいて判定し」ていることは、本願発明1の「前記環境内の前記複数のオブジェクトの少なくとも一部を識別すること」に相当する。 エ.引用発明の「STEP3で、距離算出部13は、左カメラ21の撮像画像から、探索画像に対応する画像(対応画像)を抽出して、探索画像と対応画像の視差から、車両1と対象物間の距離を算出し」ていることは、本願発明1の「前記複数のオブジェクトに対するユーザの位置を決定すること」に相当するといえる。 オ.引用発明の「車速センサ32により検出される車両1の走行速度」は、本願発明1の「前記ユーザの速度」に相当するといえる。 よって、引用発明の「STEP9で、表示制御部19は、警報領域内に歩行者が存在し、且つ、検出された歩行者が表示上限数(例えば3に設定される)以上であるかという条件が成立しているか否かを判断し、なお、表示上限数を、車速センサ32により検出される車両1の走行速度に応じて変更してよく、例えば、車両1の走行速度が低いほど表示上限数を増加させ」ることは、本願発明1の「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定すること」と、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数を決定すること」である点で共通するといえる。 カ.引用発明の「STEP9の条件が成立している場合は、STEP20に分岐し、表示制御部19は、検知枠の表示個数を表示上限数以下に制限し」て、「対応する画像部分に検知枠を表示し」ていることは、本願発明1の「前記アラートの所望の数が前記環境内で検出されたオブジェクトの数よりも少ないと判別したことに応答して、前記ユーザに対する前記複数のオブジェクトのサブセットの位置に関連するデータを提供すること」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があると いえる。 [一致点] 「状況環境情報を提供する方法であって、 環境内の複数のオブジェクトを検出することと、 前記環境内の前記複数のオブジェクトの少なくとも一部を識別することと、 前記複数のオブジェクトに対するユーザの位置を決定することと、 前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数を決定することと、 前記アラートの所望の数が前記環境内で検出されたオブジェクトの数よりも少ないと判別したことに応答して、前記ユーザに対する前記複数のオブジェクトのサブセットの位置に関連するデータを提供することと、 を含む、方法。」 [相違点1] 本願発明1では、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定する」のに対し、引用発明では、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度」に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数「及びアラートの種類」を決定することが特定されていない点。 (2) 当審の判断 本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定すること」は、上記引用文献1-2には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。 特に、引用文献2には、段落【0044】の記載を参照すると、ユーザに適合したアラームを提供するために、「ユーザの特性」に応じて、「アラートの種類」を決定する周知技術が開示されているが、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて」、「アラートの所望の数及びアラートの種類」を決定することは開示されていない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 請求項2-15について 本願発明2-15も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定すること」と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 3.当審拒絶理由の理由1(特許法第36条第6項第2号)について 当審では、請求項1-15の「前記複数のオブジェクトのそれぞれについて」前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定するとの記載が不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、令和3年8月6日付けの補正において、「前記複数のオブジェクトのそれぞれについて」との記載が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。 第6 原査定についての判断 令和3年8月6日付けの補正により、補正後の請求項1-15は、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記ユーザの位置又は前記ユーザの速度に基づいて、前記ユーザに提供するアラートの所望の数及びアラートの種類を決定すること」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Bには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-15は、原査定における引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A-Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-10-05 |
出願番号 | 特願2017-542446(P2017-542446) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) P 1 8・ 113- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 米倉 秀明、北川 純次 |
特許庁審判長 |
角田 慎治 |
特許庁審判官 |
富澤 哲生 稲葉 和生 |
発明の名称 | 状況環境情報を提供するためのシステム及び方法 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 胡田 尚則 |
代理人 | 渡辺 陽一 |